自己組織化合成タンパク質(Self−AssemblingSyntheticProteins)

 

本発明は、自己抗原を含むがこれに限定されない、免疫原性に欠けた抗原を含む共役タンパク質又はペプチドに対する哺乳類の免疫反応を向上させるための免疫調節剤として用いられる合成免疫原性タンパク質を提供する。本発明のキメラ免疫原性タンパク質は、がん、感染性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、及び哺乳類宿主の免疫反応を伴うか又はそれに影響を受ける臨床的適応を含むがこれに限定されない、多数の疾病治療に使用できる。

 

 

本発明は、宿主免疫系に抗原を伝達及び提示する合成タンパク質の使用において有利な特定機能及び生物物理学的特徴を示し、前記抗原が宿主に対して低免疫原性又は非免疫原性の場合にも、宿主が抗原に対して特定の抗体反応が起こるように誘発させる合成タンパク質骨格の生成に関するものである。哺乳類の免疫系に対して免疫原性であり、安定的に規定された多量体に組み立てることのできる合成タンパク質について記載する。さらに、低免疫原性又は非免疫原性ペプチドに免疫原性を付与し、特定の抗体反応を誘発する前記タンパク質の使用方法について記載する。
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年3月15日付で出願された発明の名称「合成自己組織化免疫原性タンパク質」の米国特許出願番号第61/791,268号に対する優先権を主張し、本明細書はその全体を参照文献として含む。
脊椎動物の免疫系への異物(非自己物質)、即ち、抗原の導入は、一般に、抗原に対する宿主による免疫反応の誘発をもたらす。通常、これは、Bリンパ球及び/又はTリンパ球の刺激、及び抗体を認識して結合する免疫グロブリン分子(抗体)の生産を伴う。ある物質が宿主において免疫反応を誘発させる程度に影響を与える因子は数多くある。免疫系は、「自己」に対して無反応であるように進化及び発達してきたため、異質の程度は重要である。また、一般に、大きな分子であるほど、小さな分子よりも免疫原性が高いので、大きさも重要な因子である。分子量が〜1000Da以下の分子(ハプテンに分類される)は、抗原性であっても小さ過ぎるため、分離の際見られず、非免疫原性である。
大きな分子であるほど複雑なので、多重免疫原性エピトープを含む可能性がより高く、また、抗原提示細胞(APC)により囲まれてより処理し易い。さらに、タンパク質は、最も免疫原性になり易いため、物質の組成も重要である。多糖類は、(分離の際)免疫原性が遥かに低く、核酸及び脂質は、本質的に非免疫原性である。同様に、粒子状抗原又は変性抗原は、可溶性分子及び天然の分子よりも免疫原性が高い。また、異物の露光活性及び生物学的活性の経路も、宿主による任意の免疫反応の性質及び程度にかなり影響を与え得る。例えば、免疫系の成分又は細胞と相互作用する物質の非経口注射は、相対的に不活性又は非活性物質の粘膜暴露(摂取/吸入)よりもさらに強い反応を起こす。
T細胞及びB細胞は、様々な方法で外来抗原を認識し反応する。特殊な抗原提示細胞又はAPC(大食細胞、樹状細胞及びB細胞)は、細胞外空間から巨大分子及び微生物全体を含む分子を収集し、これらのタンパク質情報を処理することでその環境を継続的に調査する。外来性タンパク質は、エンドソームにおけるプロテアーゼ酵素のパネルにより消化され、得られたペプチドは、MHCII分子のグルーブにおける細胞表面上に表示される。結果的に、これらはT細胞(TCR)の表面上の専門受容体により認識される。T細胞の発達過程は、自己ペプチドを含むMHCIIと反応するT細胞表示受容体を枯渇させ、また、外来配列を認識するT細胞表示受容体のみがうまく成熟するようにする。T細胞(T細胞エピトープ)により認識されたペプチドは、例外なく直鎖状であるが、これから誘導される天然の折り畳みタンパク質に常に暴露又は接近できるわけではない。
逆に、B細胞表面受容体又は免疫グロブリン(BCR)は、主に、可溶性タンパク質(立体構造エピトープと変性エピトープの両方)、ハプテン、多糖類により、また、それより程度は低いが、一部の脂質及び核酸に対して認識し相互作用する。BCRの特異性は、B細胞が分泌できる抗体の特異性と同一である。その同種抗原の結合の際、BCRは内在化してその結合抗原を処理する。これがタンパク質であったり、又はタンパク質成分に付着した場合にのみ、MHCII複合体の一部として細胞表面に提示される。これらの条件下において、提示されたペプチドを認識するTCRを有するヘルパーT細胞により刺激されるようにB細胞を用い得る。よって、巨大又は複合タンパク質の場合、B細胞は、全体がBCRと同一の抗原エピトープを必ずしも認識する必要はないが、全体が同一タンパク質のペプチド成分を認識する多数の相違するT細胞により活性化され得る。これが、本来免疫原性ではない抗原決定基に対して抗体を発生させる脊椎動物の免疫系の能力である。
効果的なワクチンを開発するためには、Tリンパ球及びBリンパ球をともに含む強い免疫反応を刺激する方式により宿主免疫系に対して抗原エピトープを提示することが必要である。エフェクター(ヘルパー)T細胞の活性化及びそれに続くB細胞の刺激を含まない免疫反応は、通常長続きせず、また、抗原が記憶されなくなる、即ち、宿主が再度免疫原に暴露したとき、さらに攻撃的で迅速な抗体反応を起こさない。
また、ワクチンに対して標的の機能活性を抑制、遮断又は無力化させて宿主を保護できる抗体を誘導することが求められる場合がある。これは、様々な理由で重大な課題をもたらし得る。頻繁に抗体反応により標的となる必要があるこれらのエピトープは、標的に関する構造−機能データの不足により識別されなかった。標的とその相互作用に関する情報が詳細であっても、識別されたエピトープは免疫優勢ではない可能性があるので、大半の患者に必要な反応を起こさない可能性がある。他の場合において、中核となる保護抗原決定基はタンパク質ではなく、例えば、病原体糖タンパク質上の多糖類であるので、分子の際、免疫原性(T細胞依存性)ではない可能性がある。
ワクチンの大半は非経口経路を通じて伝達されるが;粘膜伝達は、患者のコンプライアンス、自己投与、感染リスクの減少、及び粘膜免疫と全身性免疫の両方を誘導する可能性等の多くの利点がある。また、例えば、ワクチンの希釈、マイクロフローラの存在、経口投与時の低いpHに耐えてメンブレンを通過する必要性、及び強力なアジュバントの必要性(Vajdy et. al., 2004年)等の克服すべき多くの障害がある。さらに、粘膜投与は、免疫反応よりはB細胞耐性をもたらし得る。また、用量も免疫反応に重大な影響を及ぼし得る。免疫原が免疫系により効果的に消去されなかったり、或いは、高過ぎる用量が免疫系に殺到する場合、耐性が誘発され得る。逆に、用量が低過ぎても、耐性を誘発したり、十分な免疫細胞を全く刺激することができない。
これらの問題克服のために、多数の接近法が開発されてきた。大抵の場合、ワクチンは所定の形態のアジュバントとともに投与される。根本的に、アジュバントは、免疫原とともに投与される場合、注射部位での免疫原の持続、共刺激シグナルの増大、リンパ球の増殖又は肉芽腫形成の非特異的刺激のうち1つ以上をもたらす任意の製剤である。これらは、多様な形態をとり、例えば、完全なフロイントアジュバントは、不活性化のマイコバクテリウムからなるのに対し、他のものは、水中油(例えば、スクアレン)型エマルジョンを含む。これらは、注射部位に副作用を引き起こし得るので、ほぼ一般的に動物に用いられる。ヒトワクチンにおいては、Montanide(登録商標)(植物性成分を含むミネラルオイル系)等の一部有機系のアジュバントが用いられるが、さらに一般的には、アルミニウム塩等の無機系が用いられる。
低免疫原性を克服するために最も大衆的且つ広く採用されている方法は、同定された若しくは所望の抗原、又は抗原決定基を免疫原性の強い免疫原性担体と結合させることである。これは、異種に由来するタンパク質又はポリペプチドであり、例えば、動物において抗体を生成するために、化学的に接合されたハプテンと小さなペプチドの担体として、ウシ血清アルブミン(BSA)及びキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)が用いられる場合がある(Berzofsky及びBerzofsky1993年)。前記担体は、宿主の免疫系により認知され処理される程度に十分大きな分子上にハプテンを提示し、また、本質的に免疫原性であることにより、宿主の免疫反応を刺激する。
一般的に言うと、担体タンパク質は、受容者から系統学的により遠い根源に由来するほどよい。そうなると、担体は、宿主タンパク質とさらに相違し得るので、さらに異質である。担体タンパク質の選択の際にさらに重要となる考慮事項は、担体タンパク質が宿主タンパク質の同族体であるか否かの可能性や、相当な相同性を共有すると、誘導された免疫反応は宿主タンパク質と反応して不利な副作用をもたらし得るという可能性である。非タンパク質抗原は、化学的にのみ結合し得るので、担体上のどこに付着するか、どのように提示するかにおいて限定制御され得る。小さなペプチド同士は、化学的に又は遺伝学的に結合し得る。他の研究分野においては、現代のバイオインフォマティクスの発達は、免疫原、特に、ペプチドの合理的設計において発展を導いてきた。
ペプチドワクチンの概念は、例えば、標的分子のB細胞エピトープを、広く知られているT細胞エピトープと結合させて免疫原性とすること(Naz R.K.及びDabir P.2007年)のような、免疫優勢であり特異的免疫反応を誘導し得るB細胞及びT細胞エピトープの識別及び化学的合成に基づく。ペプチドは、さらに大きく複雑なタンパク質抗原と比較すると、比較的容易に製造されると見られる。また、有利な化学的安定性を有し、発がんの可能性又は感染の可能性がないという点がこれらを魅力的なワクチン候補とすることができる。しかし、固有の免疫原性が低い場合があるという点、並びにさらに優れたアジュバント及び担体を必要とするという点を含む様々な障害がペプチドワクチンの広範囲な有用性を制限する。他の研究では、ヘルパーTエピトープがタンデム反復体として含まれると、組換えキメラタンパク質がさらに免疫原性となり得ると提案した(Kjerrulf M, et.al., 1997年)。
また別の担体タンパク質の一般的な部類は、細菌トキソイドである。感染症状が毒素の作用によってもたらされる細菌性感染に対するワクチンの場合、これはワクチンそのものとして用いられ得る。もちろん、これらを化学的に又は無毒性成分を用いて不活性とする必要がある。かかる弱化した毒素、例えば、20世紀に開発されたジフテリア及び破傷風のワクチンをトキソイドと称する。Wyeth(Pfizer)、Aventis Pasteur、GSK、Merck等の会社によって使用又は開発の後期段階にある多糖類−タンパク質接合ワクチンは、破傷風、ジフテリア又はその他のトキソイドを用いる。
コレラ毒素又は大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)のBサブユニットは、各種のワクチン適用のための有用な担体タンパク質として多数により提案されてきた(Nemchinov, L.G等.(2000年)、 George-Chandy,A.et al.(2001年)、米国特許6,153,203)。これは、免疫原性が高く、CT−Aサブユニットの不在時に無毒性である。全身に用いられる場合、広く用いられているコレラワクチンに基づいて形成することが安全な形態であるということが証明されている。反面、相対的に小さい場合(〜12kDa)、安定した五量体に組み込まれ、さらに高い分子量を付与することができる。
多くの研究員にとって特に興味を引いたのは、有核細胞の表面で見付かった分岐状五糖類、GM1ガングリオシドに対するCTB及びエンテロトキシン五量体の親和性を利用することである。これは、コレラ感染時、腸上皮にわたってホロトキシンの転座を促進させる結合である。CTBの化学的又は遺伝的融合に基づくワクチンは、経口又は鼻腔内に投与した場合、粘膜免疫力の刺激に効果的であり得るということが文献に多数報告されている(Georgy−Chandy,A.et al.(2001年)、Houhui Song等.(2003年)、Shenghua Li等.(2009年)、 Harakuni,A.et al.(2005年))。隣接するCTBサブユニット間に形成されたポケットで結合するGM1ガングリオシドと反応する能力を保持するためには、標的抗原がGM1結合部位にブロックアクセスせず、また、CTB多量体の組み込みを妨害しないことが必須である。
遺伝的融合はCTBにGM1結合をうまく保持させることができるということが立証されているが、やはり限界がある。Liljeqvist,S.et al(1997年)によって、連鎖球菌のタンパク質Gの血清アルブミン結合ドメインは、遺伝学的にCTBのN末端若しくはC末端、又は両末端に同時に融合でき、GM1結合を保持できるということが証明されている。しかし、N末端の融合タンパク質及び二重融合タンパク質は、安定した五量体の形成の際に著しく効果が落ち、GM1との結合において効果が弱い。同様に、多くの遺伝的融合は、キメラ型CTBと野生型CTB何れも異種混合物が存在しない限り、五量体を形成できないということが証明されている(Harakuni,A.et al.2005年)。
本開示によると、合成担体の高い免疫原性の性質は、その固有の免疫賦活性及びアジュバント様特性のため、含まれた可変配列に対して宿主免疫反応を増加させることができる。また、本発明による合成担体が可変配列により少なくとも部分的にコードされた「自己」抗原決定基に対して宿主が抗体反応を起こさせることを開示する。
1つの例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、安定したホモ五量体に組み込まれ、ここで、各々の単量体は、標的タンパク質に由来する1つ以上の抗原決定基を含む。
他の例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、安定したヘテロ五量体に組み込まれ、ここで、別の抗原決定基を発現する単量体は、ともに組み込まれる。
また別の例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、下記配列と実質的に類似する。
FTDIITDICGEYHNTQIHTLNDKILSYTESLVGKREIILVNFKGGATFQVEVPGSQHIDSQKKAIERMKDTLRIAYLSNSKIEKLCVWNNKTPHSIAAISMVR(配列番号1)
また別の例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、リンカー配列又はスペーサー配列を含むことで、合成担体の一末端又は両末端に位置する可変配列が合成担体から分離し、かかる方式で、数個の組換えタンパク質からの合成担体成分同士を結合できるようにする。成長因子に付着するリンカー配列を有する組換え合成タンパク質は、下記の配列と実質的に類似する。
ALDTNYCFSSTEKNCCVRQLYIDFRKDLGWKWIHEPKGYHANFCLGPCPYIWSLDTQYSKVLALYNQHNPGASAAPCCVPQALEPLPIVYYVGRKPKVEQLSNMIVRSCKCSGGSGGTSGGGGGSGFTDIITDICGEYHNTQIHTLNDKILSYTESLVGKREIILVNFKGGATFQVEVPGSQHIDSQKKAIERMKDTLRIAYLSNSKIEKLCVWNNKTPHSIAAISMVR(配列番号2)
また別の例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、安定した五量体と環状に結合する。他の多量体集合体としては、例えば、二量体、三量体、四量体及びさらに大きな多量体が挙げられるが、これらに限定されず、また、本発明の範囲内で予想される。リンカー配列は多様であり得、少なくとも可変性抗原決定基の配列が合成担体ドメインの結合により多量体の集合を立体的に抑制することを防止する程度に十分な長さでなければならない。本発明の範囲内でリンカー又はスペーサーは、安定した五量体の形成を可能にする柔軟性を有し得ると考えられる。
また別の実施形態において、多量体である五量体の構造は、少なくとも1つの安定化分子の導入により安定化する。安定化分子は、合成分子として同一の細胞内で共発現でき、或いは、外部から添加され得る。
一実施形態において、安定化分子は、コレラ毒素のCT−A2ドメインと実質的に類似する配列を含む。
他の実施形態において、安定化分子は、合成タンパク質と相互作用して多量体を安定化させる配列を含む。また、かかる安定化により、本分野で公知且つ承認された製造技術を用いて大半の五量体の形態が得られると考えられる。
さらに例示的な実施形態において、安定化分子は、合成タンパク質の多量体の形態に抗原ドメインを固定するのに寄与できる。
さらなる実施形態において、安定化分子の断続的な繰り返しは、合成タンパク質の2つ以上の多量体形態の結合に寄与できる。
1つの例示的な実施形態において、リンカー又はスペーサー配列は、通常親水性であり、また、柔軟であるので、規定された二次構造を含まない。
また別の例示的な実施形態において、リンカー配列は、合成担体ドメイン又は可変性抗原決定基ドメインの折り畳みに直接的又は間接的に影響を与えない。
さらに例示的な実施形態において、リンカー配列は、細胞外プロテアーゼによるタンパク質分解に耐性を有する。
また別の例示的な実施形態において、リンカー又はスペーサー配列は、SSG、SSGGG、SGG、GGSGG、GGGGS、SSGGGSGGSSG、GGSGGTSGGGSG、SGGTSGGGGSGG、GGSGGTSGGGGSGG、SSGGGSGGSSG、SSGGGGSGGGSSG、SSGGGSGGSSGGG、及びSSGGGGSGGGSSGGGを含むが、これらに限定されるわけではない。
1つの例示的な実施形態において、リンカー配列は、単独で、又は、可変性抗原決定基若しくは合成担体のフランキング配列とともに、T細胞エピトープを形成する配列を含む。好ましくは、前記T細胞エピトープは、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)クラスIIタンパク質により結合したときヒトヘルパーT細胞により認識できるT細胞エピトープである。好ましくは、前記T細胞エピトープは、HLA(ヒト白血球抗原)−DR−亜種のMHCII分子により結合し得る。
また別の例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、細菌性ホロトキシンのA1B5群のBサブユニットと構造的に相同である。
さらに例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質の多量体は、GM1ガングリオシドと結合できる。
1つの例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、哺乳類の宿主において免疫反応を誘発させる免疫原性タンパク質である。
また別の例示的な実施形態において、組換え合成タンパク質は、患者により免疫反応が起こることが好ましい抗原決定基を提示する1つ以上の可変配列を含む免疫原性タンパク質である。可変配列は、合成担体をコードする配列のN末端及び/又はC末端に位置するか、又は合成担体コード化配列内に組み込まれ、免疫系の細胞に適切に提示され得る。好ましい実施形態において、可変配列はそれらが生成された正常分子内で配列を表示する立体構造を複製する方式で提示され、また、B細胞の免疫グロブリン細胞表面受容体に接近可能である。
また別の例示的な実施形態において、可変性抗原決定基は、シグナル伝達分子に由来し、例えば、アドレノメデュリン(AM)、アンジオポイエチン(Ang)、骨形成タンパク質、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、神経成長因子(NGF)及びその他ニューロトロフィン、血小板由来成長因子(PDFG)、形質転換成長因子α(TGF−α)、形質転換成長因子β(TGF−β)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、及び血管内皮成長因子(VEGF)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
また別の実施形態において、可変性抗原決定基は、疾病の発生又は進行にかかわる他のリガンド分子に由来し、例えば、PDL1等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また別の実施形態において、可変性抗原決定基は、細胞の表面で発見される受容体に由来し、成長因子の正常受容体等の細胞の成長を調節するシグナル伝達事象にかかわる。
さらなる実施形態において、可変性抗原決定基は、腫瘍抗原に由来する。
また別の実施形態において、可変性抗原決定基は、細菌性、ウイルス性、真菌性、又はその他の病原体に由来する。
本発明に記載された実施形態を添付の図面に示すが、これは例示であるだけで限定するものではなく、図面において、同一の符号は、同一又は相応する部分を示す。
図1は、固定したガラクトース含有分子(GM1)に結合させた後、3段階の選別を行った可溶性突然変異クローンのパネルにより生成されたELISAシグナルを図示する。 図2は、SDSゲル上で電気泳動する突然変異ライブラリーのうち1つからの可溶性突然変異タンパク質のウエスタンブロットを図示しており、一部は五量体を形成する能力を保持し、その他はそうでないことを図示する。 図3は、数個の突然変異ライブラリーを選別及びスクリーニングした後、識別された選別突然変異を図示し、図3aは、7個の分離突然変異ライブラリーの1つからそれぞれ単離した選別突然変異の配列及び変異した残基の分布を図示し、図3bは、数個の相違する突然変異クローンに由来するコンパイル突然変異に由来する合成タンパク質の配列を図示する。 図4は、2つのクローンがガラクトース結合活性を保持し、2つは保持しないことを示す4つのコンパイル突然変異のGM1結合ELISAデータを図示する。 図5は、完全なコレラホロトキシン分子の構造を図示する。 図6は、本発明による合成タンパク質の配列(配列番号1);及びヒトTGFβ1(ボールド体)、フレキシブルリンカー(イタリック体)、及び合成タンパク質担体をコードする配列を含む本発明による合成タンパク質の配列(配列番号2)を図示する。
本発明の組換えタンパク質又はワクチンの詳細な実施形態をここに開示するが、開示された実施形態は単に例示的なものであり、各種の形態で実施され得る。よって、ここに開示された特定の機能に関する詳細は、限定的に解釈されるものではなく、請求範囲の基準及びここに開示された組換えタンパク質を多様に用いることを当業者に説明するための代表的な基準としてのみ解釈される。
本開示は、免疫原性の組換えタンパク質の構成要素として、最大数の成長因子エピトープ、腫瘍抗原エピトープ、及び/又は受容体の結合部位の提示を改善するための合成組換えタンパク質を提供する。
1つの例示的な実施形態において、ヒト形質転換成長因子(TGF)、腫瘍抗原、及び/又は受容体を含むがこれらに限定されない少なくとも1つの成長因子を含有する配列番号:2に示すような合成組換えタンパク質を記載している。他の例示的な実施形態において、合成組換えタンパク質は、公知の免疫原性タンパク質に基づいてモデルとした他の免疫原性組換えタンパク質を発現し得る。本開示の範囲内で、かかる組換えタンパク質は、ヒトの免疫系に高免疫原性のポリペプチドを発現し得るということが考慮される。好ましくは、組換えタンパク質は、キメラタンパク質に付加的な性質、例えば、高発現収率及び製造の容易性、経口安定性及び消化管から血流までの交差能、及び/又はヒトにおける安定した事前使用性を付与する。
本願に提供された所定の例示的な実施形態は、組換えタンパク質以外に、アジュバントの活性を有する組成物中の成分を指すアジュバントを少なくとも1つ含む医薬組成物を含んだ、ワクチン組成物及び免疫学的アジュバントの組成物内に本開示による組換えタンパク質を含む。
かかるアジュバントの活性を有するアジュバントとしては、ヒト(例えば、ヒト患者)、非ヒト霊長類、哺乳類又は認識免疫系を有するその他高等真核生物等の対象に投与した時に免疫反応の効力及び/又は持続性を変化(即ち、統計的に顕著な方式で増加又は減少させ、また、所定の好ましい実施形態においては、改善または増加)させることができる組成物を含む。本願に開示されている所定の例示的な実施形態においては、所定の例示的な実施形態に限定されるわけではないが、所望の抗原及び/又は複数の抗原は、タンパク質担体中に必要に応じて1つ以上のアジュバントを含むことで、同時に投与されたり又は時間及び/又は空間(例えば、相違する解剖学的部位)に差をおいて投与され得る前記所望の抗原及び/又は複数の抗原に対する免疫反応を、例えば、誘導または増大させる等変化させることができる。よって、特定の抗原は含まず、これに限定されるわけではないが、1つ以上のコアジュバントであるイミダゾキノリンの免疫反応調節物質を含んでもよい組成物で組換えタンパク質を投与することも考慮される。
上述のとおり、アジュバントはサポニン及びサポニン模倣物等のアジュバントの効果を有する組成物を含み、例えば、QS21及びQS21の模倣物(例えば、米国特許第5,057,540号;欧州特許0362279B1;WO95/17210参照)、ミョウバン、トマチン等の植物性アルカロイド、サポニン、ポリソルベート80、スパン85及びステアリルチロシン(これらに限定されない)等の洗浄剤、1つ以上のサイトカイン(例えば、GM-CSF、IL−2、IL−7、IL−12、TNF−α、IFN−γ)、イミダゾキノリンの免疫反応調節物質、及びダブルステムループの免疫調節物質(dSLIM、例えば、Weeratna等.,2005年、ワクチン23:5263)が挙げられる。
サポニンを含む洗浄剤については、例えば、米国特許第6,544,518号;Lacaille−Dubois,M及びWagner H.(1996年 Phytomedicine 2:363−386)、米国特許第5,057,540号、Kensil,Crit.Rev Ther Drug Carrier Syst,1996年,12(1−2):1−55、及びEP0362279B1に教示されている。Quil A(サポニン)分画物を含み、免疫刺激複合体(ISCOMS)とよばれる微粒子構造体は溶血性であり、ワクチンの製造に用いられてきた(Morein,B.,EP0109942B1)。これらの構造体は、アジュバントの活性を有すると報告されている(EP0109942B1;WO96/11711)。溶血性サポニンQS21及びQS17(Quil AのHPLC精製分画物)は、強力な全身性アジュバントとして記載されており、その製造方法は、米国特許第5,057,540号及びEP0362279B1に開示されている。また、これらの参照文献には、全身性ワクチン用の強力なアジュバントとして作用するQS7(Quil−Aの非溶血性分画物)の使用について記載されている。また、QS21の使用については、Kensil等(1991年,J.Immunology 146:431−437)に記載されている。
また、QS21とポリソルベート又はシクロデキストリンの組み合わせも公知となっている(WO99/10008)。QS21及びQS7等のQuil Aの分画物を含む微粒子アジュバント系については、WO96/33739及びWO96/11711に記載されている。全身性ワクチン接種の研究に用いられてきたその他のサポニンとしては、カスミソウ、及びサポナリア等のその他植物種に由来するものを含む(Bomford等,Vaccine, 10(9):572−577,1992)。エスシンは、本願に開示されている実施形態のアジュバント組成物に用いられるサポニンに関するまた別の洗浄剤である。エスシンは、マロニエの木(セイヨウトチノキ)の種から生成されるサポニンの混合物であって、メルクインデックス(12.sup.th Ed.:entry3737)に記載されている。その単離については、クロマトグラフィー及び精製(Fiedler,Arzneimittel−Forsch.4, 213(1953年))、並びにイオン交換樹脂(Erbring等、米国特許第3,238,190号)によるものが記載されている。エスシン(エスチンとしても知られている)の分画物は精製され、生物学的活性を示す(Yoshikawa M等(Chem Pharm Bull(Tokyo)1996年8月;44(8):1454−1464))。また、ジギトニンはまた別の洗浄剤であり、メルクインデックス(12th Ed., entry3204)にサポニンとして記載されており、ジギタリスの種に由来し、Gisvo1d等、J.Am.Pharm. Assoc., 1934年,23,664;及びRubenstroth−Bauer、Physio1.Chem.,1955年,301,621に記載の方法によって精製される。
本願に開示されている所定の実施形態によって用いられるその他のアジュバント又はコアジュバントは、当業者によく知られている一種の重合性化合物を指すブロック共重合体又は生分解性ポリマーを含む。ワクチン組成物又は免疫学的アジュバントに含まれ得るブロック共重合体あるいは生分解性ポリマーの例としては、Pluronic.RTM.L121(BASF Corp.,Mount O1ive,N.J.;例えば、Yeh等、1996年、Pharm.Res.13:1693参照)が含まれる。
所定のさらに例示的な実施形態は、オイルを含むがこれに限定されない免疫学的アジュバントを考慮し、この中で一部のかかる実施形態では、コアジュバントの活性を付与してもよく、また、かかる他の実施形態では、追加して又は代わりに、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を提供してもよい。多数の好適なオイルが知られており、本発明に基づくワクチン組成物及び免疫学的アジュバント組成物に含ませるために選択され得る。かかるオイルの例としては、スクアレン、スクアラン、ミネラルオイル、オリーブオイル、コレステロール及びマンニドモノオレエートが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、イミダゾキノリン等の免疫反応調節物質は、当業界に知られており、本願に開示されている所定の実施形態において、アジュバント又はコアジュバントとして含まれてもよい。さらに、上述のとおり、本願に記載されている発明によるワクチン組成物に用いられるアジュバント又はコアジュバントの1種は、通常「ミョウバン」と呼ばれるアルミニウムコアジュバントであってもよい。ミュウバンコアジュバントは、アルミニウムオキシヒドロキシド;アルミニウムヒドロキシホスホエート;又は各種の市販の塩に基づく。ミョウバンコアジュバントは、良好な安全に関する記録を有し、抗体反応を増加させ、抗原を安定化させ、大量生産が比較的簡単であるため、有利である(Edelman 2002年、Mol.Biotechnol.21:129−148;Edelman,R.1980年、Rev.Infect.Dis.2:370−383.)。
薬学的組成物
所定の例示的な実施形態において、薬学的組成物は、本開示による組換えタンパク質だけでなく、本願に規定されたようなTLRアゴニスト、コアジュバント(例えば、サイトカイン、イミダゾキノリンの免疫反応調節物質及び/又はdSLIMを含む)等から選択される1つ以上の成分をさらに含んでもよいワクチン組成物及び/又は薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤と組み合わせた組換え発現構造体である。
例示的な担体は、使用される投与量及び濃度で受容者に無毒性でなければならない。組換えタンパク質を含むワクチンは、通常、皮内、皮下、筋肉内または静脈経路、あるいは他の経路により、体重1kg当り約0.01mu.g〜約100mgが投与される。投与の回数及び頻度が宿主の反応に依存しているのは、当業者にとって明らかである。治療的使用のための「薬学的に許容可能な担体」は、薬学分野でよく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985年)に記載されている。例えば、生理的pHの無菌食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水が用いられ得る。薬学的組成物に、保存剤、安定剤、染料及び香味剤も提供され得る。例えば、保存剤として、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが添加され得る。また、酸化防止剤及び懸濁剤を使用してもよい。
薬学的組成物は、組成物を患者に投与できればどのような形態であってもよい。例えば、組成物は、固体、液体又はガス(エアロゾル)の形態であってもよい。通常の投与経路は、経口、局部、非経口(例えば、舌下又は頬側)、舌下腺、直腸、膣内及び鼻腔内(例えば、噴射方法として)を含むが、これらに限定されるわけではない。ここで使用される用語である非経口とは、イオン泳動投与、超音波泳動投与、受動経皮投与、マイクロニードル投与だけでなく、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内、海綿体内、髄腔内、外耳道内、尿道内の注射または注入技術も含む。特定の実施形態において、ここに記載された組成物(ワクチン及び薬学的組成物を含む)は、イオン泳動、微細空洞化、超音波泳動又はマイクロニードルから選択される技術によって皮内投与される。
薬学的組成物は、患者に該組成物を投与する時にその中に含まれる活性成分が生物学的に利用可能に製剤化される。患者に投与される組成物は、1つ以上の投与量単位の形態をとる。例えば、錠剤は単一の投与量単位であってもよく、エアロゾル状態の本発明の1つ以上の化合物の容器は、複数の投与量単位を有してもよい。
経口投与用には、賦形剤及び/又はバインダーが存在してもよい。例えば、スクロース、カオリン、グリセリン、澱粉デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース及びエチルセルロースが挙げられる。着色剤及び/又は香味剤が存在してもよい。コーティングシェルが用いられてもよい。
前記組成物は、液状、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルション又は懸濁液であってもよい。前記液体は、2つの例として、経口投与用又は注射による伝達用であってもよい。経口投与用の場合、好ましい組成物は、甘味剤、保存剤、染料/着色剤及び香味増進剤のうち1つ以上を含有する。注射により投与する目的の組成物においては、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤及び等張剤のうち1つ以上が含まれてもよい。
本願で用いられる液状の薬学的組成物は、溶液、懸濁液又はその他の類似形態にかかわらず、下記の担体又は賦形剤のうち1つ以上を含んでもよい:注射用蒸留水、塩類溶液、好ましくは生理的塩類溶液、リンガー液、等張食塩水等の滅菌希釈液、スクアレン、スクアラン、ミネラルオイル、マンニドモノオレエート、コレステロール等の固定油、及び/又は溶剤又は懸濁媒体として提供され得る合成モノ又はジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他溶剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;アセテート、クエン酸塩又はリン酸塩等の緩衝剤;及び塩化ナトリウム又はデキストロース等の等張調節剤。非経口用製剤は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は多人数用バイアルに入れられる。注射用の薬学的組成物は無菌であることが好ましい。
特定の実施形態において、本発明の薬学的又はワクチン組成物は、安定した水性懸濁液を0.2μm未満含み、リン脂質、脂肪酸、界面活性剤、洗浄剤、サポニン、フッ素化脂質等からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む。
また、ワクチン又は薬学的組成物には、送達賦形剤、例えば、これらに限定されるのではないが、アルミニウム塩、油中水型エマルション、生分解性油の賦形剤、水中油型エマルション、生分解性のマイクロカプセルやリポソーム等のその他の成分を含むことも好ましい。かかる賦形剤に用いられる付加的な免疫刺激物質(コアジュバント)の例は上述しており、N−アセチルムラミル−L−アラニン−D−イソグルタミン(MDP)、グルカン、IL−12、GM−CSF、γインターフェロン及びIL−12を含んでもよい。
当業者に公知の任意の好適な担体を本発明の薬学的組成物に用いてもよいが、投与方法及び徐放性が要求されるかどうかによって担体の種類は変わり得る。皮下注射等の非経口投与用においては、担体は水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス又は緩衝剤を含むことが好ましい。経口投与用においては、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン・ナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、及び炭酸マグネシウム等の固体担体又は前記担体の何れも用いられ得る。また、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ガラクチド)も、本発明の薬学的組成物用の担体として用いられてもよい。
また、薬学的組成物は、緩衝剤等の希釈剤、アスコルビン酸等の酸化防止剤、低分子(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロース又はデキストリンを含む炭水化物、EDTA、グルタチオン等のキレート剤、並びにその他安定剤及び賦形剤を含んでもよい。中性の緩衝生理食塩水又は非特異的血清アルブミンと混合された生理食塩水が適切な希釈剤として例示される。好ましくは、希釈剤として適切な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を用いて、生成物を凍結乾燥させることによって製剤化し得る。
例示的な実施形態において、天然のポリペプチド配列に由来するか、又は合成のポリペプチド配列に由来するかにかかわらず、組換えタンパク質のエピトープ又は受容体支持ドメインは、適切な化学的/環境的条件下でオリゴマーの多量体へ自己組織化したり、他の条件下で単量体に還元する能力を有するべきである。理想的には、多量体化ドメインを、離散的な数のサブユニットを有する安定した多量体、例えば、二量体、三量体、四量体、五量体等に組み込み、均一なサイズの生成物を生成する。特定の理論に何ら限定されず、配列番号1に開示されているように、組換え合成タンパク質により僅かなサブユニットが安定した多量体に組み込まれ得る。天然ポリペプチドの例としては、ロイシン・ジッパー、lacリプレッサータンパク質、ストレプトアビジン/アビジン、コレラ毒素Bサブユニット、シュードモナス3量体ドメイン、及びウイルス性外被タンパク質を含むが、これらに限定されない。
本開示によると、組換えタンパク質は、成長因子又はその一部、細胞受容体又はその一部、腫瘍抗原又はその一部であるかどうかにかかわらず、成長因子及び受容体に対する慢性疾患又はがんに関する広範囲な細胞経路のうちの1つに関連しており、さらに、前記合成タンパク質内の腫瘍抗原を用いる最も広範囲な可能な範囲の固形腫瘍に関連している。前記タンパク質は組換えタンパク質の形態であり、例えば、乳房がん、肺(lung)がん、膀胱がん、卵巣がん、外陰部がん、結腸がん、肺(pulmonary)がん、脳がん、大腸がん、小腸がん、頭頸部がん、及び食道がんの慢性疾患を治療するのに有用であり得る。前記疾患において、相違する腫瘍抗原が発現し、また、複数の細胞受容体及び成長因子が過剰に発現し得るため、後述するタンパク質は、前記疾患に関する1つ又は複数の細胞経路の1つ以上の相違する腫瘍抗原、1つ以上の相違する受容体又は成長因子を含有し得る。これらのタンパク質を「多価」とよぶ。
本開示の文脈において、「中和ドメイン」とは、特異的結合対、例えば、成長因子とその同族受容体のメンバーのうち1つ又は両方の領域として定義され、ここで、上記領域への特異的結合対のメンバーでない第3分子の結合は、特異的結合対の2つのメンバーの連続結合を防止する。第3分子は、抗体を含む他のタンパク質分子又は小さな非タンパク質分子であり得、また、天然由来若しくは合成由来であり得るが、これらに限定されるわけではない。通常、中和ドメインは、結合時に直接接触する特異的結合対のメンバーの領域を含み、また、第3分子の結合時に十分な立体障害を誘発して、特異的結合対のメンバーが直接結合することを防止する前記領域外の領域を含む。
同族受容体によるリガンドの特異的認識は、受容体の結合部位とリガンドの特定の分子シグネチャー(エピトープ)間の相互作用により規定されるということは、本分野において確立している。よって、受容体の結合部位と結合若しくは遮断するか、又はリガンドの認識エピトープと結合若しくは遮断する抗体は、リガンド受容体の相互作用を抑制することができる。かかる抗体を「中和」と記載する。本開示の文脈において、中和抗体は、組換えタンパク質の投与時に宿主によって生成されるのが好ましく、よって、タンパク質の配列は、機能的(天然)立体構造において、受容体結合に必要なエピトープが提示されるよう、成長因子又は腫瘍抗原の全てのうち1つ以上又はこれに由来する好適な配列を発現するか含み得る。
身体的部位当たりの単一腫瘍抗原、受容体及び/又は成長因子又はその一部として、及び/又は腫瘍抗原、受容体及び/又は成長因子の配列の反復鎖(例えば、n=1以上)として提示される単一腫瘍抗原、受容体及び/又は成長因子の多重複製物質を発現する以外に;本開示によるタンパク質は、1つ以上のエピトープの発現も含み、又は2つ以上の相違する腫瘍抗原、受容体及び/又は成長因子からの結合部位を組換えタンパク質の配列内の相違する位置に単独又は鎖として提示する。
例示的な実施形態において、1つ以上の上皮成長因子(EGF)の中和ドメインを発現する均質な組換えタンパク質からなるタンパク質が開示されている。前記タンパク質は組換えタンパク質の形態であり、例えば、乳房がん、肺(lung)がん、膀胱がん、卵巣がん、外陰部がん、結腸がん、肺(pulmonary)がん、脳がん、大腸がん、頭頸部がん、及び食道がんの慢性疾患を治療するのに有用であり得る。例示的な実施形態において、前記タンパク質は、本開示によるEGF配列及び合成ポリペプチド配列を発現する又は含む組換えタンパク質である。1つの例示的な実施形態において、合成ポリペプチド配列は、配列番号1と実質的に類似する。
他の例示的な実施形態において、1つの線維芽細胞成長因子(FGF)を発現する均質な組換えタンパク質からなるタンパク質を開示している。
さらに例示的な実施形態において、前記タンパク質は、本開示によるFGF配列及び合成ポリペプチド配列を発現する又は含む組換えタンパク質である。
また別の例示的な実施形態において、1つの形質転換成長因子β1(TGF−β1)を発現する均質な組換えタンパク質からなるタンパク質を開示している。例示的な実施形態において、前記タンパク質は、本開示によるTGF−β1配列及び合成ポリペプチドを発現する又は含む組換えタンパク質である。
また別の例示的な実施形態において、1つの形質転換成長因子β1(TGF−β1)を発現する均質な組換えタンパク質からなるタンパク質を開示している。例示的な実施形態において、前記タンパク質は、本開示によるTGF−β1配列及び配列番号2と実質的に類似する合成ポリペプチド配列を発現する又は含む組換えタンパク質である。
また別の例示的な実施形態において、1つのインスリン様成長因子−1(IGF−1)を発現することを開示している。例示的な実施形態において、前記タンパク質は、IGF−1配列及び合成ポリペプチド配列を発現する又は含む組換えタンパク質であり、1つの幹細胞成長因子(HGF)を発現する均質な組換えタンパク質からなるタンパク質を開示している。
さらに例示的な実施形態において、前記タンパク質は、本開示によるHGF配列及び合成ポリペプチド配列を発現する又は含む組換えタンパク質である。
さらに例示的な実施形態において、1つのインスリン様成長因子−1(IGF−1)及び1つのインスリン様成長因子−2を発現する均質な組換えタンパク質からなるタンパク質を開示している。例示的な実施形態において、前記タンパク質は、本開示によるIGF−1配列、IGF−2配列及び合成ポリペプチド配列を発現する又は含む組換えタンパク質である。
また別の例示的な実施形態において、1つの血管内皮成長因子−A(VEGF−A)及び1つの血管内皮成長因子−C(VEGF−C)を発現する均質な組換えタンパク質からなるタンパク質を開示している。例示的な実施形態において、前記タンパク質は、本開示によるVEGF−Aの中和ドメイン配列、VEGF−C配列及び合成ポリペプチド配列を発現する又は含む組換えタンパク質である。
本開示の態様を下記の実施例のようにさらに詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本開示の範囲を以下に記載する方法論又は構成の正確な細部事項に限定しようとするものではない。実質的且つ例示的な実施形態を下記の実施例で例示及び説明している。しかし、本開示の思想及び範囲内で変形及び改善が行われ得るということは当業者にとって明らかである。
実施例1:選別可能な炭水化物結合ディスプレイシステムの構成
選別可能な表現型及びコード遺伝子型の多様なクローン集団間の物理的連結を含む、突然変異ライブラリーを生成して所望の特徴を有する突然変異をスクリーニングできるシステムが必要であった。かかるシステムは、特に、抗体工学分野において非常に効果的に採用された確立した技術を利用して開発された。
選別された炭水化物結合ドメインをコードする遺伝子は、好適な選択マーカー(M13−K07「ファージ」)を有する完全独立的な機能性のM13「ファージ」ベクターと、ウイルスからのF1パッケージング領域及びマイナーコートタンパク質をコードする遺伝子のみを含む「ファージミド」ベクターの何れにおいても、M13バクテリオファージのマイナーコートタンパク質遺伝子(遺伝子III)のインフレームで上流にクローニングされた。前者のベクターは、大腸菌等の好適な細菌宿主に導入して適切に増殖させた場合、マイナーコートタンパク質P3(遺伝子IIIによってコードされる)のN末端融合として線維状ウイルス粒子の一末端に、選択された炭水化物結合ドメインの5つのコピーをディスプレイするウイルス粒子を生成する。
後者のベクターは、当業者によく知られているファージミド/ヘルパーファージシステムを用いた場合、ウイルス増殖の特性に基づいて、前記集団の少数のみが前記と同一の炭水化物結合ドメイン−P3融合タンパク質を通常1つのコピー未満をディスプレイするウイルス粒子を生成する。
各々のベクターに由来するクローンを当業者によく知られている適切な条件下で増殖させ、ウイルス粒子を含む培養上清に対して、炭水化物結合ドメインにより認識された主要炭水化物に対する結合活性をELISAによりスクリーニングした。この実施例では、遠位ガラクトース基を含み、通常の96ウェルの免疫分析プレート上に吸収により固定化し得る複合分子を用いた。炭水化物基に結合させるためには、隣接するドメインとの間に炭化水素結合ポケットが形成されるため、2つ以上の炭水化物結合ドメインを複合体に結合する必要がある。
前者の「ファージ」の実施例において、ファージは、単一のビリオン上の隣接するP3融合タンパク質との間に潜在的に形成され、融合タンパク質又は別個のウイルス粒子との間で許容可能な配向制限を行うようにすることができた。ファージミドシステムの利用の際、単一のビリオン上に2つ以上の融合タンパク質を含むウイルスの割合が非常に小さいことが予想されるので、かかる結合は、2つ以上の別個のウイルス粒子との間で形成される可能性がさらに高い。
上述のクローンをスクリーニングしたとき、「1価」のファージミド由来のクローンは、5価のファージクローンに比べ、有意に強力なELISAシグナルが生成され、5価のファージクローンは、感染性ウイルス粒子の力価がより低かった。本実施例におけるファージシステムの貧弱な性能は、前記プロセスにおけるシステムの有用性を制限するわけではないが、おそらくここに用いられた遺伝的連鎖によりシステムに付加された立体的制限又は配向制限の機能、及び/又はタンパク質の融合(マイナーコートタンパク質P3がウイルス感染の媒介体である)により付加された感染性限定の機能があると考えられる。それゆえ、選択されたファージミド系システムは、突然変異体タンパク質を生成及び選択する。
実施例2:突然変異クローンライブラリーの生成
突然変異ポリペプチドをコードするクローンのライブラリーを炭水化物結合の自己組織化タンパク質ドメインに由来する遺伝的鋳型から生成した。本実施例において、タンパク質ドメインは、細菌性ホロトキシンのA1B5群から選択した。タンパク質データベース(Protein Data Base)等の公開されたデータバース及び科学文献から得られた構造及び機能情報は、安定したホモ五量体を形成したり、多くの哺乳類細胞型の表面上で発見される特異的炭水化物含有部位と相互作用する鋳型タンパク質ドメインの能力に関連していることが潜在的に考慮、又は証明された領域及び/又は特異的残基を識別するのに用いられた。かかる領域/残基は、後続の突然変異の誘発及び突然変異のスクリーニング段階から除かれた。
潜在的に突然変異しやすく所望の特性にかかわらないことが定義された領域又は残基を選択し、適切と判断された合理的又は無作為の突然変異誘発の標的とした。鋳型ドメインから分岐した炭水化物を結合した変種を生成及び選択する機会を最大にするために、突然変異を規制して、ライブラリー構造のスクリーニングの各々の順次段階において非常に近接している残基の数を限定された数に制限した。
標的とする前記領域又は残基に応じて、鋳型ドメインから発見されたものと類似する生物物理学的特性及び/又は化学的特性を表す残基については、できる限り合理的に突然変異を無作為に(即ち、潜在的には、20のアミノ酸全てを含む)又は機能的に規制した。
かかる場合に関連すると思われる特性としては、側鎖サイズ、電荷、極性、疎水性/親水性、及びα−らせん等の特異的二次構造の形態に関与する能力が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。可能な/実現可能な場合、任意の与えられた位置において鋳型によりコードされた残基は、非突然変異体の選択を回避するよう、突然変異ライブラリーから除いた。
ライブラリーは、鋳型遺伝子に相同して適切な条件下でプライマー(具体的に、3’末端)を鋳型DNAにアニールする配列領域と、1つ以上の位置で多様なアミノ酸をコードするように適切な縮重を含むさらなる領域とを何れも含むオリゴヌクレオチドプライマーを設計することで生成された。
本実施例において、かかるオリゴヌクレオチドは、任意の多様な位置のDNA塩基が必要に応じて等量の2−4塩基(G、A、T又はC)を含む当業者によく知られている規定された縮重を用いて構成された。また、トリヌクレオチドホスホロアミダイトの位置混合から生成されたオリゴヌクレオチドを用いて、特異的残基(アミノ酸)及びその相対的割合を各々の多様な位置で精密に調節することで、さらに制御された多様性が予測される。
突然変異体を一末端に導入した場合、求められる遺伝的多様性を導入するために、単一のPCR反応を1つ又は2つの縮重プライマーを用いて行った(必要に応じて繰り返す)。(プライマー由来の)フランキング(flanking)制限部位を含む得られた生成物を前記実施例1で示したファージミドベクターにクローニングして、変種タンパク質のライブラリーをインフレームの遺伝的融合として、M13バクテリオファージのマイナーP3タンパク質をコードする遺伝子(遺伝子III)に対してコードした。
鋳型遺伝子の末端に対して遠位である領域に多様性の導入を所望する場合は、各々の対が鋳型配列と正確に一致する1つの末端(5’又は3’)プライマー、及び必要な多様性の一部若しくは全部をコードするか、又は必要な多様性の何れもコードしない1つの縮重プライマーを含むよう、2対のプライマーを用いた。縮重プライマーの3’末端は、i)各々鋳型配列と正確に一致し、ii)各々第2のプライマー対から縮重プライマーに正確且つ相補的であるように設計された。
かかる方式により、2つのPCR生成物を生成した後、縮重プライマーに由来する相補的重複配列を通じて互いにアニールして連結した。その後、得られた生成物を遺伝子IIIのマイナーコートタンパク質遺伝子を有するインフレームの遺伝的融合として、ファージミドベクターにクローニングした。連続するライブラリーを以前のライブラリーからの1つ以上のクローンをスクリーニングして選択した産出物に基づいて構築するか、又は、鋳型若しくは1つ以上の選択された突然変異クローンから同時に構築してスクリーニングした。
全ての遺伝子構築ライブラリーを標準方法を利用したエレクトロポレーション法により宿主大腸菌TG1細胞に導入し、形質転換体を選択培地に平板培養した。適切に培養した後、バクテリアのコロニーを平板からこすり落とし、必要に応じて保存及び/又はスクリーニングした。
実施例3:突然変異ライブラリーのスクリーニン
ライブラリーから突然変異体の選別を行うために、予想される多様性の表示を100〜1000倍含むのに十分な細胞が含まれ、また、OD600が0.1の領域内にあることを保障するのに十分な体積が含まれるよう、(ライブラリーの)培養物を液体培地(2×TY、100μg/mlのアンピシリン、1%のグルコース)に接種した。その後、培養物を約37℃でOD600が0.4〜0.6(即ち、対数期増殖)に至るまで(振とうしながら)培養した。その後、M13 K07のヘルパーファージを細菌細胞当たり(0.1のOD600は、8.0×10細胞/mlを取る)、〜20ヘルパーファージの割合で添加して培養物を感染させた。約30分間の静的培養後、さらに、約30分間振とうしながら細胞を培養した。カナマイシンを50μg/ml添加し、その培養物を30℃で振とうしながら一晩培養した。
翌朝、培養物を約25〜30分間〜8,000gで遠心分離して細胞をペレットにし、上清液を除去して保存した。細胞ペレットは廃棄した。前記培養上清液に20体積%の200mM NaCl、20%のPEG 6,000を添加し、氷上で約1時間培養してファージ粒子を沈殿させた。ファージを約25〜30分間〜8,000gでペレット化し、元々の20体積%のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中に再浮遊させた。再度、新たな20体積%の200mM NaCl、20%のPEG 6,000を添加し、ファージを氷上で25〜30分間培養した。ファージを再び、約25〜30分間〜8,000gでペレット化し、このペレットを〜2mLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中に再浮遊させた。得られた浮遊液をエッペンドルフチューブに移して、5分間最大速度でペレット化し、任意の残存する細菌細胞/破片をペレットにした。その後、ファージ浮遊物を選別に用いた。
選別を行うために、イムノチューブを固定化ガラクトースの誘導体又はBサブユニットの天然リガンド等の好適な抗原で、4〜8℃で1〜10μg/ml(通常5ml)にて一晩若しくは室温で1時間コーティングした。PBSで3〜5回洗浄(単にイムノチューブに注ぎ込み再び注ぎ出すことによって)した後、MPBS(2%のミルクパウダーを含有するPBS)を37℃で1〜2時間添加してチューブを遮断した。MPBSを上述のように洗浄し、約1×1011〜1×1012以上のファージ粒子を添加した。
体積を〜5mL以下とし、イムノチューブを、例えば、パラフィルムで密封した。その後、約30分間タンブル(回転)した後、約90分間静置して培養し、固定リガンドを認識できる突然変異ライブラリーからタンパク質を表示するこれらのファージをこれに結合させた。結合しなかったり又は単に弱く結合したファージは洗浄して除去した。選別の充実性は、必要に応じて用いられる洗浄回数、洗浄へのPBST(0.1%のTween20を含有するPBS)の使用、又はリガンドのコーティング濃度の調節により変化した。
結合したファージ粒子を、1ml 100mMのトリエチルアミン(TEA)を添加し、最大10分間(長期間の培養は、ファージの生存能力に悪影響を及ぼす)タンブルした後、即時に0.5ml 1Mのトリス−HCl(pH7.4)に注いで中和させることで、イムノチューブから溶出させた。約0.75mLの溶出したファージをTG1(Agilent)等の好適な大腸菌株の〜10mlの対数期培養物に添加した。培養物を振とうせずに約37℃で培養して感染させた。感染した細胞のサンプルの階段希釈物を100μg/mlのアンピシリンと1%のグルコースを含有する小型のTYEプレートに塗った。残存する細胞を前記と同一の培地を有するさらに大きなバイオアッセイプレートにプレートした。これらの全てを約30℃で一晩培養した。他の0.75mlのファージのうち、〜75μlを〜1mlの対数期大腸菌HB2151細胞に前記のように感染させ、前記のように階段希釈物をプレートして培養した。残りのファージを約−80℃でグリセロールストック(〜15%のグリセロール)として保存させた。
翌日、大型バイオアッセイプレートをこすり落として細胞を除去した後、グリセロールストックとして保存又は成長させ、上述のようなM13 K07のヘルパーファージで「救出」して、次の段階の選択用の濃縮ファージ集団を製造した。通常、2つ〜3つの順次の選別段階を行った。選別終了の際、HB2151細胞の小型の階段希釈プレートから個々のコロニーを100μg/mlのアンピシリンを有する100〜μl/ウェル2×TYを含有する96ウェル培養プレートに拾って、37℃で一晩振とう培養した。翌日、各々のウェルから約5μlの培養物を〜150μlの培地/ウェルを有する新鮮なプレートに接種し、37℃で約2時間振とう培養した。1MのIPTGを含有する培地をさらに添加して最終濃度を1mMのIPTGとし、プレートを30℃で一晩振とう培養した。HB2151細胞において、IPTGを用いて誘導することで、大腸菌TG1細胞の場合のように、ウイルス粒子成分に融合されたタンパク質よりは、検出可能なc−mycペプチドタグを含む可溶性突然変異タンパク質が発現することになる。最初の96ウェル培養プレートを約−80℃で保存させた。
翌日、誘導された96ウェルプレートからの培養上清液を通常のELISAプロトコールを用いて固定化炭水化物への結合を、及びすぐに利用可能なHRP標識抗c−Myc抗体を用いて検出された結合を分析した(図1)。網掛けのセルで、GM1への結合に対して強度に陽性のクローンは見られる。陽性対照群及び陰性対照群は囲みで表示した。
結合ELISAにおいて強度に陽性のクローンからの培養上清液をSDS PAGE及びウエスタンブロットによりさらに分析して、図2に図示しているように、五量体の存在及びその他多量体の状態を評価した。電気泳動の前には、サンプルを還元又は沸騰せず、HRP標識抗c−Myc抗体を用いてタンパク質を検出した。示された実施例において、クローンC1及びC3は、〜60kDaの五量体にすぐに組み込まれる陽性対照群である。クローンC2は、使用された条件下で12kDaの単量体として作用する陰性対照群である。クローンA1及びA3は、主に五量体として作用すると見られるのに対し、クローンB12はかなりの割合で単量体を形成する。残りのクローンは、単量体(B1,B7)のみを形成するか、多数の多量体の形態を形成する。
実施例4:突然変異の編成
突然変異が収容する最大残基数の容量を評価するために、相違する鋳型の残基又は領域を各々標的とする数個の相違するライブラリーを構成してスクリーニングした。その結果、多数のクローンが固定化炭水化物の誘導体に結合し、大半が五量体を形成する所望の選別基準を示すということが確認されたが、図3aに図示しているように、各々は、多数の特有の突然変異/相違点を含んでいた。潜在的に改善された特性を有するクローンを生成するためには、これらの多様な配列を少数のクローンに組み合わせることが必要であった。
突然変異の生成及び選別過程は、3つ以上の相違する残基が収容され得る数個の位置が確認されているため、図3bに図示しているように、合わせて4つの組み合わせ突然変異(A−D)が設計された。組み合わせた突然変異を含む4つのクローンが発現し、図4に図示しているように、合成タンパク質についてその結合をELISAにより適切な対照群と比較して評価した。2つのクローン(A及びC)は弱い結合のみを有するが、他の2つのクローン(B及びD)は、GM1に非常に強く結合できた。これは、別個のクローンに由来する突然変異はうまく組み合わされるが、選別された結合特性の改善又は保持さえも保障されないということを示す。
実施例5:ホモ五量体の安定化
天然の完全に機能的な形態において、グループ名「A1B5」と記載された細菌性ホロトキシンは、5つのBサブユニット及び1つのAサブユニットを含む。Bサブユニットは、中央の「ポア」を有する五量体環に組み込む。図5に図示しているように、1つのAサブユニットは前記環の頂点に位置し、ボイド内に挿入されている。Aサブユニット自体は、2つの別個のドメインを含む。ホロトキシンが細胞内へ転座するときに放出されるA1ドメインは、タンパク質複合体の毒性に関する酵素活性を含む。これは、A2ドメインによりホロトキシンの一部として保持される。これは、A1ドメインがN末端に位置し、C末端が5つのBサブユニットにより形成されたポアに突出するα−らせん構造を有する。A2のC末端の一部の残基は、Bサブユニットの残基と相互作用を形成する。BサブユニットとA2ドメインの特定の残基間の相互作用が確認されているように(Zhang R.G等(1995年))、Aサブユニット、具体的には、A2ドメインの存在は、五量体のBサブユニット環の安定化に寄与するということが提示されるのは妥当である。特定の理論に何ら限られることなく、2つのAサブユニットのドメイン間の構造的及び機能的な差により、A2ドメイン単独がBサブユニットの五量体に対してかかる安定化効果を付与すると考えられる。同様に、BサブユニットはAサブユニットの完全な不在時に五量体環を形成できることが知られているように、A2ドメインと連合し得るので、Bサブユニットと共発現するか、又は外部から添加されることでBサブユニットの五量体に安定化効果を発揮すると推定される。
合成ポリペプチド又は非天然型ポリペプチドは、ホロトキシンBサブユニットと十分類似する立体構造を共有し、五量体環を含む多量体に組み込まれ、また、ホロトキシンBサブユニット中のA2と相互作用するものと相応する残基が同じ又は同一の生物物理学的特性を共有するということが提案されているので、かかる合成タンパク質五量体は同様の安定化の利点を経験できる。さらに、天然のA2ドメインの不在時、合成ポリペプチドは、「ファージディスプレイ」のように当業者によく知られている技術を用いて好適なポリペプチドライブラリーから単離され、五量体に組み込まれるとき、2つ以上の天然又は合成単量体の露出面に少なくとも部分的に結合して構造を安定化できるということが提案されている。
天然型A2ドメインは、ホロトキシンのその他の成分とそれ自体では相互作用しない構造的に独立したA1ドメインを支持するので、A2ドメイン又は機能的な合成等価体がまた別のポリペプチドドメインを固定する手段を提供できると推定される。特定の理論に何ら限られることなく、配列番号1に記載のポリペプチドと十分に類似する立体構造を共有する非天然型ポリペプチドは、本開示内に記載されているように、エピトープの付着を可能とする安定化五量体環の構造を表示する五量体環を形成することに単独で寄与すると考えられる。
装置、システム、及び方法を所定の実施形態に関連して記載及び説明したが、本発明の思想及び範囲から外れることなく、各種の変形及び変更が加えられ得るということは当業者にとって明らかである。よって、本開示は、上述した方法又は構成の詳細を具体的に限定するものではないが、かかる変形及び変更は本開示の範囲内に含まれるべきである。
採用された用語及び表現は記載用語として用いたものであって、限定されるものではなく、また、開示及び説明された特徴の同等物又はその一部を除いたかかる用語及び表現の使用を目的とするわけではないが、各種の変更は請求された本発明の内容内において可能であるということが認められる。従って、本発明は、好ましい実施形態及び選択的特徴により具体的に開示されているが、ここに開示された概念の変更及び変形が当業者によって加えられ、かかる変更及び変形は添付の請求の範囲によって規定された本発明の範囲内で考慮されなければならないことを理解すべきである。



  1. 安定したホモ多量体に組み込まれる単量体配列を含むことを特徴とする組換え合成タンパク質。

  2. 各々の単量体配列は、1つ以上のさらなるポリペプチド配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の組換え合成タンパク質。

  3. 前記ポリペプチド配列は、成長因子、受容体、その一部、及びその組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載の組換え合成タンパク質。

  4. 前記追加のポリペプチド配列は、少なくとも1つの免疫原性配列を含むことを特徴とする請求項2に記載の組換え合成タンパク質。

  5. 前記成長因子は、形質転換成長因子(TGF)を含むことを特徴とする請求項3に記載の組換え合成タンパク質。

  6. 前記成長因子の少なくとも一部は、成長因子の中和ドメインを含むことを特徴とする請求項3に記載の組換え合成タンパク質。

  7. 前記シグナル伝達の少なくとも一部は、IGF−1、IGF−2、FGF1、FGF2、TGF−α、TGF−β、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF、D、PDGF、NGF、EGF、HGF、BMP、PDL1 及びILの1−6からなる群より選択される成長因子のうち1つ以上の全長又はその一部を含むことを特徴とする請求項3に記載の組換え合成タンパク質。

  8. 前記さらなるポリペプチド配列は、前記合成タンパク質に存在する少なくとも2つの相違する成長因子の中和ドメインを含むことを特徴とする請求項3に記載の組換え合成タンパク質。

  9. 前記成長因子の少なくとも一部は、前記タンパク質における1つ以上の成長因子の全長若しくは中和ドメインを単一ドメインとして含むか、又は2つ以上の多重反復体として含むことを特徴とする請求項3に記載の組換え合成タンパク質。

  10. 前記成長因子又はその中和ドメインの少なくとも一部は、スペーサーにより組換えタンパク質から分離されることを特徴とする請求項9に記載の組換え合成タンパク質。

  11. 前記スペーサーは、成長因子又はその中和ドメインを部分的に含むことを特徴とする請求項10に記載の組換え合成タンパク質。

  12. 前記スペーサーは、1つ以上の宿主T−細胞のエピトープを含むことを特徴とする請求項10に記載の組換え合成タンパク質。

  13. 単量体サブユニットから多量体を構築して、1つ以上の成長因子又はその一部を含む合成タンパク質を形成することを含むことを特徴とする多価分子の製造方法。

  14. 1つ以上の単一の1価多量体をともに混合して、1つ以上の成長因子又はその一部を含む合成タンパク質を含む多価ワクチンを製造することを含むことを特徴とするワクチン製剤の製造方法。

  15. 治療期間中、請求項3に記載の1つ以上の合成タンパク質を患者に免疫原性用量を投与することを特徴とする患者の治療方法。

  16. ポリペプチド配列;及び前記ポリペプチド配列内に腫瘍抗原の少なくとも1部を発現する第1の配列を含むことを特徴とする組換えタンパク質。

  17. 前記ポリペプチド配列は、免疫原性配列を含むことを特徴とする請求項16に記載の組換えタンパク質。

  18. 前記ポリペプチド配列は、免疫原性の合成ポリペプチド配列を含むことを特徴とする請求項16に記載の組換えタンパク質。

  19. 前記腫瘍抗原の少なくとも一部は、前記合成タンパク質に存在する1つ以上の相違する腫瘍抗原の全長又は一部を含むことを特徴とする請求項16に記載の組換えタンパク質。

  20. 前記腫瘍抗原の少なくとも一部は、前記合成タンパク質における1つ以上の腫瘍抗原の全長又は一部を単一エピトープ又は多重反復体として含むことを特徴とする請求項16に記載の組換えタンパク質。

  21. 成長因子の少なくとも一部を発現する少なくとも1つのさらなる配列をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の組換えタンパク質。

  22. 前記成長因子の一部は、IGF−1、IGF−2、FGF1、FGF2、TGF−α、TGF−β、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF、D、PDGF、NGF、EGF、HGF、BMP、及びILの1−6からなる群より選択される成長因子のうち1つ以上の全長又はその一部を含むことを特徴とする請求項21に記載の組換えタンパク質。

  23. 前記成長因子の一部は、前記合成タンパク質に存在する少なくとも2つの相違する成長因子の全長又は中和部分を含むことを特徴とする請求項22に記載の組換えタンパク質。

  24. 前記成長因子の少なくとも一部は、前記合成タンパク質における1つ以上の成長因子の全長若しくは中和部分を単一エピトープとして含むか、又は2つ以上のタンデム反復体として含むことを特徴とする請求項22に記載の組換えタンパク質。

  25. 前記成長因子又はその中和部分の少なくとも一部は、ペプチドスペーサーによって、残存する合成タンパク質から分離されることを特徴とする請求項22に記載の組換えタンパク質。

  26. 配列番号1と実質的に類似するポリペプチド配列をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の組換えタンパク質。

  27. 前記ポリペプチド配列に沿って受容体の少なくとも一部を発現し、前記受容体の少なくとも一部は、前記タンパク質に存在する2つ〜4つの相違する受容体の全長又は一部を含むことを特徴とする請求項26に記載の組換えタンパク質。

  28. 前記ポリペプチド配列に沿って成長因子の少なくとも一部を発現する第2の配列をさらに含み、前記成長因子の少なくとも一部は、IGF−1、IGF−2、FGF1、FGF2、TGF−α、TGF−β、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF、D、PDGF、NGF、EGF、HGF、BMP、及びILの1−6からなる群より選択される成長因子のうち1つ以上の全長又はその一部を含むことを特徴とする請求項26に記載の組換えタンパク質。

  29. 前記成長因子の少なくとも一部は、前記合成タンパク質における1つ以上の成長因子の全長若しくは中和部分を単独エピトープとして含むか、又は2つ以上のタンデム反復体として含むことを特徴とする請求項28に記載の組換えタンパク質。

 

 

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本発明は、(i)配列番号1のaFGF、(ii)N末端ホスホグルコノイル化を有する配列番号1のaFGF、(iii)N末端グルコノイル化を有する配列番号1のaFGF、(iv)配列番号2のaFGF、(v)配列番号3のaFGF、またはそれらの組み合わせを含む酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)組成物を提供する。また本発明は、N末端ホスホグルコノイル化またはグルコノイル化を有する改変酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)も提供する。
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