副生成物の形成を低減させた糖からhmfを作製するプロセス、および安定性が改善されたhmf組成物

 

低減酸素環境下で1種または複数のヘキソース糖を脱水することによる、HMFまたはHMFの誘導体を作製するプロセスが開示され、別の関連する態様では、HMF生成物の安定性および分解に対する耐性を改善する方法は、1種または複数の酸化防止剤をHMF生成物に添加することを伴う。

 

 

[0001] 本発明は、一態様において、糖、特定には、ただしこれらに限定されないが、グルコースおよびフルクトースなどのヘキソース炭水化物からヒドロキシメチルフルフラールを作製するプロセスに関する。第2の態様において、本発明は、このような糖からの脱水によって生成されるヒドロキシメチルフルフラール生成物に関する。
[0002] デンプン、セルロース、スクロースまたはイヌリンなどの農業原材料は、グルコースおよびフルクトースなどのヘキソースを製造するための安価な出発材料である。これらのヘキソース生成物の脱水により、レブリン酸およびギ酸などの他の生成物の中でも、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)としても知られる2−ヒドロキシメチル−5−フルフルアルデヒドが生成される。HMFおよびその関連する2,5−二置換フラン誘導体は、再生可能資源に由来する中間体化学物質の分野における使用に対して、大きな可能性を有するとみなされてきた。より具体的には、その様々な官能性により、HMFはポリマー、溶媒、界面活性剤、医薬品、および植物保護剤などの広範な製品を製造するのに利用できると提案されており、HMFは、抗菌特性および耐食特性を有すると報告されている。HMFは、フルフリルジアルコール、ジアルデヒド、エステル、エーテル、ハライドおよびカルボン酸などの広範な化合物の合成における出発材料または中間体として、重要な構成要素でもある。HMFから調製することができる化合物の注目に値する例は、HMFから調製することができる2,5−フランジカルボン酸、すなわちFDCA、酸化プロセスによるHMFのエーテルまたはエステル誘導体であり、例えば、Sanbornらに帰属するUS7,317,116およびUS2009/0156841を参照されたい。FDCAは、数百万トンのエチレンテレフタレートまたはブチレンテレフタレートなどのポリエステルポリマーの生成における、テレフタル酸のバイオベースの再生可能な代替物として議論されている。FDCAエステルもまた、近年、PVC用のフタレート可塑剤の代わりになると評価されており、例えば、いずれもEvonik Oxeno GmbHに帰属するWO2011/023491A1およびWO2011/023590A1、ならびにR.D.Sandersonら、Journal of Appl.Pol.Sci.1994、53巻、1785〜1793頁を参照されたい。
[0003] 加えて、HMFは、化石燃料に対する持続可能な代替物としてバイオマスから得られる燃料であるバイオ燃料の開発に有用であると考えられている。HMFはさらに、鎌状赤血球貧血の治療剤として評価されている。簡単に言えば、HMFは重要な化学化合物であることから、顕著な量の不純物、副生物および残存出発材料を含まずにHMFを生成するラージスケールでの合成法がほぼ1世紀にわたり探求され続けている。
[0004] HMFを脱水によって糖から調製できることが同様に長く知られており、1895年にDullによってレブロースから最初に調製され(Chem, Ztg., 19, 216)、Kiermayerによってスクロースから調製されているが(Chem. Ztg., 19, 1003)、化学者らは、HMFがある種の糖から形成される精確なメカニズムに関して、長年にわたって意見を異にしてきた。関連してごく最近、Weingartenら、「Kinetics and Reaction Engineering of Levulinic Acid Production from Aqueous Glucose Solutions」、ChemSusChem 2012、5巻、1280〜1290頁(2012)において、「全体として、C炭水化物からHMFを形成するメカニズムに関して、2つの学派が存在する。一方の理論は、非環式1,2−エンジオール中間体を経由して反応が進行すると主張している。他方は、フルクトースからからのHMFの形成において、フルクトフラノシル環中間体を考慮している。」と述べられている。具体的には、グルコースに関して、Weingartenは、どのようにHMFがグルコースから形成されるかについて、可能性の高い2つの理論が存在すると報告している:「一方の理論は、グルコースからのHMFの形成はフルクトースを経由して進行すること、およびフルクトースの存在がほぼ皆無であることは、グルコースと比較して高いその反応性が原因であり得るということを提唱している。対照的に、他の著者らは、グルコースの開環形態から形成される3−デオキシ−グルコソン中間体の環化により、グルコースが直接HMFに変換され得ると主張している。この点において、グルコースからHMFへの変換が比較的低いことは、水溶液中におけるグルコースのピラノース形態の安定性のために開環形態で存在するには親和性が低すぎることによって生じる。」。
[0005] したがって、HMFおよび他の観察される脱水生成物が、フルクトースおよびグルコースなどのヘキソース炭水化物の脱水において形成される精確な様式に関して、決定的な意見の一致は存在しないように思われるが、それにもかかわらずどのようなメカニズムが働いていても、そしてそのようなメカニズムによってどのような中間体種が形成されても、中間体種を伴う反応を通してであれHMFを伴う反応を通してであれ、数多くの望ましくない副生物がHMFと共に決まって生成され、したがって、HMFをラージスケールで良好な収率で作製する経済的なプロセスは未だに実現していないと意見が一致している。レブリン酸およびギ酸などの副生成物を生じるHMFの再水和により、困難が生じる。もう1つの望ましくない副反応には、HMFおよび/またはフルクトースの重合が含まれ、これにより、固体廃棄物であるフミンポリマーが生じる。溶媒選択の結果として、さらなる困難が生じる場合もある。水はフルクトースを容易に処理し溶解させるが、残念なことに、低い選択性とポリマー形成の増加のために、水性条件下においてフミンが増加する。
[0006] HMFの経済的な商業生産の実現は、HMFのかなりの不安定性および分解傾向によっても妨げられており、そのため、様々な副生物および未変換の糖からHMFを精製することが、それ自体困難であることがわかっている。所望の生成物が蒸留する可能性がある温度に長く曝露されると、例えばHMFと合成混合物に関連する不純物が、タール状の分解生成物を形成する傾向がある。この熱不安定性により、流下膜真空をなお使用しなければならない。このような装置においてでさえ、加熱面に、操作を非効率化するローターの失速や頻繁な停止期間を引き起こす樹脂の固体が形成される。蒸留、および固体フミンポリマーの発生を防ぐためのPEG−600などの非揮発性溶媒の添加により、先行研究が行われている(Cope、米国特許第2,917,520号)。残念ながら、ポリグリコールの使用は、HMF−PEGエーテルの形成につながる。
[0007] HMFのかなりの不安定性および分解傾向に対処するためのさらに別のより最近の試みは、より安定で容易に分離されるHMF誘導体、例えば、HMFのエステルおよびエーテル誘導体を形成すること、またはHMFを、例えば、その分解に寄与する傾向がある酸性条件などの条件への曝露から速やかに取り除くことを追求してきた。
[0008] 前者のアプローチの例は、先に引用したSanbornらによるUS2009/0156841に見出すことができ、そこでは、炭水化物源を固相触媒と接触させることにより、炭水化物源から実質的に純粋なHMFおよびHMFエステルを生成する方法が提供されている。「実質的に純粋」は、約70%以上、任意選択により約80%以上、または約90%以上のHMFの純度を指すと規定された。
[0009] 炭水化物源および有機酸からHMFエステルを生成する方法は、一実施形態では、カラム中で炭水化物出発材料を溶媒と共に加熱し、加熱された炭水化物および溶媒を有機酸の存在下で固相触媒中に連続的に流してHMFエステルを形成させることを含んでいた。溶媒は回転蒸発によって除去され、実質的に純粋なHMFエステルを得る。別の実施形態では、炭水化物を溶液中で有機酸および固体触媒と共に加熱して、HMFエステルを形成させる。次いで、得られたHMFエステルを濾過、蒸発、抽出および蒸留またはこれらの任意の組合せによって精製することができる。
[0010] 後者のアプローチの例は、DignanらによるWO2009/012445に見出すことができ、そこでは、フルクトースおよび無機酸触媒の水溶液を水非混和性有機溶媒と混合またはかき混ぜて水相および有機相のエマルションを形成させ、次いで、エマルションを高圧において流通型反応器中で加熱し、水相と有機相とを相分離させることにより、HMFを作製することを提唱している。HMFは、水相および有機相中にほぼ等しい量で存在し、例えば、有機相の真空蒸発および真空蒸留と、水相をイオン交換樹脂に通すこととにより、両方から除去される。残留するフルクトースは、水相と共に存在する。反応するフルクトースとの関係において相対的に少量の溶媒を使用するために、初期の水相には高いフルクトースレベルが推奨されている。
[0011] Sanbornらに帰属するWO2013/106136において、本発明者らは、水性ヘキソース糖溶液からHMFまたはHMF誘導体(例えば、エステルまたはエーテル誘導体)を作製する新規のプロセスを記載したが、そこでは、ある実施形態によれば、周囲温度から反応温度への水性ヘキソース溶液の迅速な加熱、ならびに、易発酵性の残留する糖生成物のHMFおよび/またはHMF誘導体生成物からの分離の前に、HMFおよび/またはHMF誘導体と未変換の糖との混合物の迅速な冷却により、酸触媒脱水工程を行う。加えて、水性ヘキソース溶液を反応器中に導入したときとHMFおよび/またはHMFエーテル生成物を冷却し始めるときとの間の時間を、好ましくは制限する。
[0012] 一回通過ごとにHMFへの変換の制限を受け入れることによって、任意の所与の水性ヘキソース溶液から形成されるHMFの、酸性高温条件への全体の曝露が制限され、好ましくは、廃棄物処理を要するフミンなどの望ましくないまたは使用不可能な副生成物がほとんど生成されない。生成物の分離および回収は簡便化され、残留する糖生成物中において、HMFおよび発酵によるエタノール生成を阻害することが知られている他のヘキソース脱水生成物のレベルが、残留する糖生成物を所望であればエタノール発酵に直接使用することができる程度まで減少する。記載されるように行われたプロセスは、非常に高い糖構成率(sugar accountability)および高い変換効率によって特徴付けられ、糖の損失が非常に少ないことは明らかであった。
[0013] 以下は、本発明の態様の一部について基礎的な理解を可能とするために、本発明の簡略化された概要を提示する。この概要は本発明の広範囲な概説ではなく、本発明の重要または決定的な構成要素を特定することも、その範囲を画定することも意図していない。この概要のただ1つの目的は、後に提示されるより詳細な記述への導入部として、簡略化された形態で本発明の一部の概念を提示することである。
[0014] この理解により、一態様では、本発明は、とりわけトウモロコシの湿式もしくは乾式粉砕物またはリグノセルロースバイオマスのセルロース画分由来の一般的なヘキソース糖からHMFを商業規模で製造することを追求する際に遭遇してきた、いくつかの困難を解決することに対するなお異なるアプローチに関し、例えば、低減酸素環境下で1種または複数のヘキソース糖を脱水することによりHMFまたはHMFの誘導体を作製するプロセスを提供することによるアプローチに関する。
[0015] 別の関連する態様では、本発明は、HMF生成物と1種または複数の酸化防止剤との組合せによる、1種または複数のヘキソース糖の酸脱水から生成することができるような、HMF生成物の安定性および分解に対する耐性を改善する方法に関し、ここで「酸化防止剤」は、具体的な作用様式に関係なく、モノマーまたはポリマーの特徴を有する天然または合成起源の有機物質の、自己酸化を含めた酸化の複雑な現象を、直接または間接的に制限または防止さえすることが可能な化合物および化合物の組合せを広く指すものと理解され、本発明はさらに、1種または複数の酸化防止剤を含む、安定性が改善されたHMF組成物自体に関する。よって、例えば、本明細書において使用される場合の「酸化防止剤」には、酸化防止剤それ自体として従来より記載されている材料、さらには、従来より異なる形で記載または分類されている材料、例えば酸素捕捉剤が含まれることが理解されるものと予想される。
[0016] なおさらなる態様では、本発明は、HFM生成物を低減酸素環境下で貯蔵することを含む、1種または複数のヘキソース糖の酸脱水から生成することができるような、貯蔵されたHMF生成物の安定性および分解に対する耐性をその使用の前に改善する方法に関する。
[0017]例示的な一実施形態における、本発明によるプロセスの概略図である。
[0018] HMFのかなりの不安定性および分解傾向については既に述べた。HMFの酸性高温条件への曝露はHMFの分解に寄与することが知られているが、本発明は、HMFのとりわけ自己酸化を含む酸化が、これまでに正しく評価されていない役割も果たすという発見に基づいている。低減酸素環境下で1種または複数のヘキソース糖の脱水を行うこと、および/またはHMFを1種または複数の酸化防止剤と組み合わせることにより、HMFの安定性および分解に対する耐性の顕著な改善を実現することができる。
[0019] 当業者ならば、本発明の性質が、HMFまたは所望のHMFの誘導体を形成するための、1種または複数のヘキソースを脱水する任意の公知の方法を用いることで、本発明の実際的な利用を可能にするものであることを容易に理解するであろうが、単に例示の目的で本発明のプロセスの一実施形態10を図1に概略的に示す。特定には、実施形態10は、別な形に改変した、上述のSanbornらに帰属するWO2013/106136によるプロセスに関し、ここで脱水は、低減酸素環境下で行われるか、ならびに/または1種もしくは複数の酸化防止剤が、その出願で記載されたように行われたプロセス、もしくはそこに記載されたように行われたが脱水工程を低減酸素環境下で行ったプロセスによって作製されたHMFおよび/もしくはHMF誘導体と組み合わせられる。
[0020] ここで図1に戻ると、HMFまたはHMF誘導体を作製するために脱水される水性ヘキソース溶液は、一般に、六炭糖(ヘキソース)のうちの1種または複数を含むことができる。特定の実施形態では、水性ヘキソース溶液は、より一般的なヘキソースであるグルコースとフルクトースのうちの一方または両方を含むことができ、ある実施形態では、グルコースとフルクトースの両方を含むことになる。図1に概略的に示される実施形態10は、グルコースとフルクトースの両方を含む水性ヘキソース溶液に基づいている。
[0021] プロセス10において、酸または酵素によるデンプンの加水分解またはセルロース材料の加水分解から得てもよいグルコースは、工程12において、イソメラーゼを、水性ヘキソース糖溶液14の形態であるグルコースとフルクトースとの混合物に使用することにより、最初に酵素的に変換される。デンプンからグルコースを作製するプロセスおよびグルコースの一部をフルクトースに変換するプロセスは、例えば、高フルクトースコーンシロップの作製において周知である。あるいは、当然ながら、グルコースの異性化ではなく甘ショ糖またはサトウダイコンから得られるフルクトースを、所望の割合でグルコースと組み合わせてもよい。なお別の実施形態では、グルコースの異性化と他の公知の源に由来するフルクトースの配合との組合せを用いて、さらなる処理のために水性ヘキソース糖溶液を形成するための、グルコースとフルクトースとの組合せを準備してもよい。好都合なことに、水性ヘキソース糖溶液14は、現在の高フルクトースコーンシロップ製品、例えば、HFCS42(約42パーセントのフルクトースと約53パーセントのグルコースとを含有する)、HFCS90(さらなる精製によってHFCS 42から作製され、約90パーセントのフルクトースと、グルコースおよびマルトースそれぞれが約5パーセント)またはHFCS55(約55パーセントのフルクトースを含有し、慣例的にHFCS 42とHFCS 90とを配合することによって作製される)と一致させることができるため、HFCSの需要および価格設定ならびにHMFおよびHMF誘導体の需要および価格設定が示す通り、既存のHFCS製品の能力を利用してHMFおよび誘導体生成物を作製することで、資産活用を改善し、資本利益率を改善することができる。
[0022] 次いで、水性ヘキソース糖溶液14は、工程16において酸触媒脱水を受けて、HMFと未変換の糖との混合物18を生成する。フルクトースはグルコースよりもはるかに容易に脱水するので、混合物18の未変換の糖中におけるグルコースの割合はヘキソース糖溶液14におけるよりも高くなる。混合物18中のHMFおよび未変換のヘキソース糖の相対量、ならびに未変換の糖部分中のグルコースおよびフルクトースの相対量は、酸脱水工程16を行う様式、および水性ヘキソース糖溶液14の組成に応じて変動し得る。当然ながら一般に、HMF生成が未変換の残留する糖からのエタノールの生成より優先される場合、同じ脱水条件であれば、HFCS90はHFCS55よりも多くのHMFを生成し、HFCS55はHFCS42より多く生成する(フルクトースはグルコースよりも容易にHMFに脱水するため)。
[0023] ある実施形態では、上述のように、周囲温度から所望の脱水反応温度への水性ヘキソース糖溶液14の迅速な加熱と、それに次ぐ、易発酵性の残留する糖生成物のHMF生成物からの分離の前におけるHMF/未変換の糖の混合物18の迅速な冷却とにより、酸触媒脱水工程16を行う。同様に、糖溶液14の導入からHMF/未変換の糖の混合物を冷却し始めるまでの時間も制限する。
[0024] このように一回通過ごとにHMFへの変換の制限を受け入れることによって、形成されるHMFの酸性高温条件への全体の曝露が相応に制限され、したがって、好ましくは廃棄物処理を要するフミンなどの望ましくないまたは使用不可能な副生成物が、ほとんど乃至まったく生成されない。生成物の分離および回収は簡便化され、残留する糖生成物中において、HMFおよび発酵によるエタノール生成を阻害することが知られている他のヘキソース脱水生成物のレベルが、残留する糖生成物を所望であればエタノール発酵に直接使用することができる程度まで減少する。
[0025] 結果として、典型的には混合物18は、10〜55パーセントモル収率のHMF、30〜80パーセントモル収率の未変換の残留する糖、および10パーセントモル収率以下の、フルフラール、レブリン酸、フミン等などの他の材料を含む。好ましくは、混合物18は、30〜55パーセント収率のHMF、40〜70パーセント収率の未変換の残留する糖、および5パーセントモル収率以下の、フルフラール、レブリン酸、フミン等などの他の材料を含む。より好ましくは、混合物18は、45〜55パーセント収率のHMF、25〜40パーセント収率の未変換の残留する糖、および5パーセントモル収率以下の、フルフラール、レブリン酸、フミン等などの他の材料を含む。
[0026] 形成されるHMFの酸性高温条件への全体的な曝露を制限しようとすることに加えて、本発明による脱水プロセスの例示的な実施形態10では、酸触媒脱水工程16を、大気を下回る酸素含有量となっている低減酸素環境下で行う。酸素は、好ましくは、不活性ガス、例えば、窒素またはアルゴンで置き換えられる。好ましくは、低減酸素環境は、水性ヘキソース糖溶液14を導入する前に、または少なくとも、脱水工程16を行うための水性ヘキソース糖溶液14の酸触媒へのあらゆる曝露の前に、反応器内空間で確立される。
[0027] ここで図1に戻ると、次いで、混合物18中のHMFおよび未変換の残留する糖を、分離工程20において、吸着、溶媒抽出、またはこれらの組合せによって分離して、HMF生成物ストリームまたは部分22、および任意選択によりエタノール生成物28を生成するためのエタノール発酵工程26に供給することができる、易発酵性糖ストリームまたは部分24を産する。
[0028] 工程20における吸着は、混合物18中の残留するヘキソース糖からHMFを優先的に吸着する、任意の材料によって行うことができる。酸触媒脱水工程16において形成されるHMFおよびあらゆるレブリン酸を保持する際に非常に効果的であることが見出された材料は、DOWEX(登録商標)OPTIPORE(登録商標)V−493マクロ多孔質スチレン−ジビニルベンゼン樹脂(CAS 69011−14−9、The Dow Chemical Company、Midland、MI)であり、これは、20〜50のメッシュ粒度、46オングストロームの平均細孔サイズおよび1.16mL/gの細孔体積、1100平方メートル/gの表面積ならびに680g/リットルのバルク密度を有すると、その製造業者によって記載されている。吸着されたHMFの大半を脱着するためにはエタノール洗浄が効果的であり、アセトンによる樹脂のその後の洗浄は、吸着されたHMFの定量的な回収をもたらした。代替物は、AMBERLITE(商標)XAD(商標)−4ポリスチレンジビニルベンゼンポリマー吸着材樹脂(CAS 37380−42−0、Rohm & Haas Company、Philadelphia、PA)であり、これは、1.08g/mLの乾燥密度、725平方メートル/グラムの表面積、50オングストロームの平均細孔直径、20〜60の湿潤メッシュサイズおよび0.98mL/グラムの細孔体積を有する、非官能基化樹脂である。他の好適な吸着材は、活性炭、ゼオライト、アルミナ、クレー、非官能基化樹脂(LEWATIT(登録商標)AF-5樹脂、LEWATIT(登録商標)S7968樹脂、LEWATIT(登録商標)VPOC1064樹脂、すべてLanxess AG製)、Amberlite(登録商標)XAD−4巨大網状架橋ポリスチレンジビニルベンゼンポリマー樹脂(CAS 37380−42−0、Rohm & Haas Company、Philadelphia、PA)、およびカチオン交換樹脂であり、US7,317,116(Sanborn)および最近のUS7,897,794(GeierおよびSoper)を参照されたい。脱着溶媒には、極性有機溶媒、例えば、エタノール、アミルアルコール、ブタノールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール、ならびに酢酸エチル、メチルテトラヒドロフランおよびテトラヒドロフランが含まれ得る。
[0029] 溶媒抽出に適する溶媒には、メチルエチルケトン、とりわけ酢酸エチルが含まれ、後者については、そのHMFおよびレブリン酸に対する大きな親和性、低い沸点(77℃)および水からの分離の容易さによる。WO2013/106136出願の実施例のいくつかで実証されているように、混合物18からの糖およびHMFの実質的に完全な回収は、一連の酢酸エチル抽出によって達成することができる。さらに、他の手段によって回収された残留する糖は、その後のエタノール発酵工程26においてエタノールに直接処理するのになお適していた一方、酢酸エチルによる定量的抽出後に回収された残留する糖は、最適でない条件下においてでさえ、著しく阻害性が低いことが観察された。HMFおよびHMF誘導体の合成ならびに二相系における回収に関連する文献で、他の様々な溶媒が提案されるかまたは使用されており、これらは本発明の状況における使用に適当であり得る。他の有用な溶媒の例は、ブタノール、イソアミルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、シクロペンチルジメチルエーテル、メチルテトラヒドロフラン、およびメチルブチルエーテルである。
[0030] エタノール発酵工程26は、易発酵性糖ストリームまたは部分24によって表される種類のヘキソース糖供給材料を、少なくとも一部分、発酵手段によってエタノールを含む1種または複数の生成物に変換することができる、任意の公知のプロセスを包含し得る。よって、好気条件下または嫌気条件下および他の適当な条件下で、易発酵性糖ストリームまたは部分24からエタノールを産生する能力を有する、多種多様なイースト菌(例えば、kluyveromyces lactis、kluyveromyces lipolytica、saccharomyces cerevisiae、s. uvarum、s. monacensis、s. pastorianus、s. bayanus、s. ellipsoidues、candida shehata、c. melibiosica、c. intermedia)のいずれか、または多種多様な細菌(例えば、clostridium sporogenes、c. indolis、c. sphenoides、c. sordelli、candida bracarensis、candida dubliniensis、zymomonas mobilis、z. pomaceas)のいずれかを使用する、好気プロセスと嫌気プロセスの両方が想定される。使用される特定のイースト菌(または細菌)およびこれらの様々なイースト菌(または細菌)を用いる発酵の他の詳細は、発酵技術の当業者が日常的に選択することだが、以下の例は、1つの一般的な嫌気性イースト菌株saccharomyces cerevisiaeの機能性を実証している。糖ストリームまたは部分24が酸脱水生成物HMFを作製するプロセスに由来するならば、特定には、バイオマスおよび/またはバイオマス由来のセルロース画分を酸加水分解することにより、リグノセルロースバイオマスから得られる糖と共に使用することについて実証されているイースト菌または細菌が、好ましい可能性がある。例えば、好気性細菌corynebacterium glutamicum Rは、Sakaiら、「Effect of Lignocellulose−Derived Inhibitors on Growth of and Ethanol Production by Growth−Arrested Corynebacterium glutamicum R」、Applied and Environmental Biology、73巻、7号、2349〜2353頁(2007年4月)において、バイオマスの希酸による前処理に由来する、有機酸、フランおよびフェノールの副生成物に対する無毒化手段の代替物として評価され、有望であると見出された。
[0031] HMF(および/または場合によりHMFエーテル)および未変換の残留する糖の量は幾分変動してもよいが、好ましくは、すべての実施形態において、高い程度の糖構成率が実現され、ここで「糖構成率」は、混合物18中の同定可能な生成物のモル収率を加算したとき、実質的にはHMF(および/またはHMFエーテル)、レブリン酸、フルフラールおよび残留する未変換の糖のモル収率を加算したときに占め得る、酸脱水工程16への糖の投入量の百分率を指すと理解される。好ましくは本発明による改変されたプロセス10は、少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、最も好ましくは少なくとも90パーセントの全糖構成率によって特徴付けられる。
[0032] 易発酵性糖ストリームまたは部分24は、全体または一部を、エタノールの生成の域を超えた他の目的のためにも使用することができる。例えば、ストリームまたは部分24中の糖を、さらなるHMFまたはHMFエーテルを生成するために、酸脱水工程16の最初にリサイクルすることができる。ストリームまたは部分24によって代表されるヘキソース糖は、他のバイオベースの燃料および燃料添加物(エタノール以外に、またはエタノールに加えて)を生成するために、水素化して糖アルコールにすることもでき、例えば、Yaoらに帰属するUS7,678,950を参照されたい。ストリームまたは部分24中の糖を、公知の方法に従って発酵させてリシンまたは乳酸を生成することができ、レブリン酸などの別の脱水生成物を作製するために使用することもできる。記載されたプロセスによって得られる糖ストリームまたは部分24の性質を前提とすると、さらに別の使途は当業者には明白であると思われる。
[0033] HMF生成物ストリームまたは部分22の数多くの有望な使途については既に述べたが、想定される1つの重要な使途は、Sanbornらに帰属する米国特許出願公開第US2009/1056841号、および現在はWO2013/033081として公開されている、2012年8月28日に出願された特許協力条約出願第PCT/US12/52641号「Process for Producing Both Biobased Succinic Acid and 2,5−Furandicarboxylic Acid」に記載されているように、酸化条件下でMid−Century型Co/Mn/Br酸化触媒を使用する、2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の製造においてであると思われる。HMF生成物ストリームまたは部分22が変換プロセスにおいて直接使用されない場合、またはそうでなければ、自己酸化によってHMF(またはより低い程度ではあるが分解されやすいHMF誘導体)の望ましくない分解が予測される使用において、酸素源に曝露される可能性がある場合(例えば、FDCAを生成するためのHMF生成物ストリームもしくは部分22またはその一部分の酸化を行うプロセスであり、これは酸素とHMFとの意図的な相互作用を伴う変換プロセスの例である)、好ましくは、1種または複数の酸化防止剤を、酸素源に曝露され、自己酸化による分解のリスクがあると予測されるHMF生成物ストリームもしくは部分22またはその一部分と組み合わせる。
[0034] 以下の実施例はブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を酸化防止剤添加物として利用しているが、当業者ならば、数多くの材料が周知であり、他の使用状況において酸化防止剤または酸素捕捉剤として使用されることを理解すると思われ、本発明のプロセスにおいて使用することができるBHA以外の材料(または材料の組合せ)を選択すること、およびさもなければ自己酸化によって分解しやすいHMFまたはHMF誘導体の安定性および分解に対する耐性を改善するために必要な、そのような材料の量を決定することは、十分に当業者の能力の範囲内であると思われる。先に述べたように、様々なポリマー用途に対するFDCAおよびFDCAエステルについての実質的な関心を前提にすれば、ポリマー組成物における酸化防止剤としての使用に適するとこれまでに見出された材料は、本発明の実施において、より広範な商業的使途が見出されると予測される。このような様々な材料は、例えば、Plastics Additive Handbook第5版、Carl Hanser Verlag、Munich、Germany(2001)の「Antioxidants」と題された第1章において見出すことができる。
[0035] 先に示したように、酸脱水工程16を、好ましくは、一回通過ごとにHMFへの変換および形成されるHMFの酸性高温条件への曝露を制限する様式で行う。ヘキソース糖溶液14の迅速な加熱、および酸脱水工程16から生成されたHMF/未変換の糖の混合物の迅速な冷却は、所与の量のヘキソース糖溶液14に対してこれらの目的を達成するために望ましい。さらに、水性ヘキソース溶液14が所望の反応温度範囲に達したら、水性ヘキソース溶液が酸性高温条件に供され続ける程度も、好ましくは制限する。最適な条件は実施形態によって幾分変動するが、例えば、WO‘708出願において明白に示されるように、HFCS42、HFCS55およびHFCS90を処理する際、全般に糖溶液14中のヘキソース糖の質量に対して約0.5重量パーセントの濃硫酸含有量(または他の酸触媒については等価な酸強度)について、175℃〜205℃の反応温度、10〜50パーセントの範囲の糖の乾燥固体含量、10〜25パーセントの最終乾燥固体濃度、および2〜10分の平均滞留または反応時間が有利であると思われる。「平均滞留または反応時間」または類似の用語は、本明細書において使用される場合、糖溶液14の反応器への導入から混合物18の冷却を開始するまでの経過時間を指す。
[0036] 当然ながら、一般的な事項として、全糖構成率および他の点において多少の犠牲が観察されたが、より少ない含量よりもより多くの含量のヘキソース糖を有する糖溶液14を処理することが好ましく、所与の供給材料について観察される最適な条件を決定する際にこれらを考慮する必要があると思われる。同様に、より穏やかな反応条件は一般により少ない変換をもたらすが、糖構成率の増加を可能にする。
[0037] 40パーセント乾燥固体含量のHFCS42供給材料が最大で20パーセントの最終乾燥固体濃度をもたらす特定の実施例については、より短い反応時間および最高温度寄りの温度、例えば、200℃で5分の使用が好ましいと思われる。HFCS90の場合、同じ酸出発濃度を仮定すると、反応温度は185℃〜205℃の範囲であり得、糖溶液14中のヘキソース糖の乾燥固体含量は30〜50パーセントになり得、8〜15パーセントの最終乾燥固体濃度をもたらし得、反応時間は5〜10分になり得る。
[0038] 1つの供給材料に対してもう1つの供給材料を処理することを考慮する説明として、HFCS90の場合、HFCS42とは対照的に、同じ全糖構成率で20パーセントの最終乾燥固体濃度を処理することができず、より低い最終乾燥固体濃度が好ましいことが示された。10パーセントの最終乾燥固体濃度に対し、185℃の反応温度および10分の反応時間が好ましい結果を与えることが観察された。ストリームまたは部分24中の回収された糖にとって好ましい条件は、さらなるHMF生成物を作製するためにリサイクルが想定される場合、糖溶液14中の新しく供給された糖について想定される条件とは異なる可能性がある点について、留意すべきである。
[0039] いかなる場合においても、所望の反応温度への加熱は、好ましくは15分以内、好ましくは11分以内、より好ましくは8分以内に達成され、さらにより好ましくは5分以内に達成される。WO2013/106136出願の実施例によって実証されるように、ある量の周囲温度のヘキソース糖溶液を高温の水性酸マトリックスに迅速に供給(2分で)することにより、その量のヘキソース糖溶液を完全に導入したときと冷却を開始したときとの間の経過時間が同じであった場合でも、HMF選択性、収率および全糖構成率のうちの1つまたは複数において、それより迅速でない供給と比較して一貫した改善がもたらされた。反応温度から50℃以下への迅速な冷却は、好ましくは、5分以内、とりわけ3分以内に達成される。
[0040] より具体的には、バッチ式反応器において、糖溶液14と酸触媒とを、既に所望の反応温度付近またはその温度になっている高温の反応器中で組み合わせることにより、糖溶液14および酸触媒を反応器に添加し、次いで一緒に所望の反応温度へと徐々に加熱する場合と比較して、改善された結果をもたらす。
[0041] 連続プロセスに関して、糖溶液14および酸触媒を迅速に加熱するのに適した1つの手段は、直接蒸気注入であると考えられる。市販のインライン直接蒸気注入機である、Hydro−Thermal Corporation、400 Pilot Court、Waukesha、WI製Hydro−Thermal Hydroheater(商標)は、入口パイプから一連の間隙を通って流れる音速の蒸気を、液体(糖溶液14など)の薄層に注入する。蒸気流は、可変面積ノズルによって、大きな液体ターンダウン比にわたり出口流体温度が0.5°F以内で制御可能となることが達成される程度まで、精確に調整される。蒸気流の調整に応答して調整可能な程度のせん断力が発生し、一連の間隙を通る液体流(またはそれを横切る圧力低下)が発生する特別に設計された連結管の中では、乱流混合が発生する。この一般的な特徴を有する機器は、例えば、US5,622,655;US5,842,497;US6,082,712;およびUS7,152,851に記載されている。
[0042] このような機器を使用するWO2013/106136で報告された実施例では、HFCS42シロップから得られた最高のHMF収率および糖構成率は、硫酸(糖の0.5wt%)と20%の初期乾燥固体濃度との系、および1.48MPaの系背圧、1.52MPaに対するゲージ、ゲージ(215〜220psig)、1.9MPaの蒸気圧、ゲージ(275psig)、直接蒸気注入によってもたらされる反応温度における5〜6分の時間を用いた、直接蒸気注入による反応混合物の迅速な加熱、および圧力解放前における生成物混合物の迅速な冷却を含んでいた。温度制御構成要素によってモニタリングされる反応制御設定点は200℃であり、静止管(resting tube)の端部において達した最高温度は166℃であった。これらの条件を用いて、HMFが、最大で20%モル収率、90%を超える全糖構成率で得られた。不溶性であるフミンの視覚可能な生成は、実質的に存在しなかった。
[0043] 同じ装置で処理されたHFCS90シロップの場合、最高のHMF収率および糖構成率は、硫酸(糖の0.5wt%)と10%の初期乾燥固体濃度との系、および1MPaの系背圧、ゲージ(150psig)、1.4MPaの蒸気圧、ゲージ(200psig)、直接蒸気注入によってもたらされる反応温度における11分の時間を用いた、直接蒸気注入による反応混合物の迅速な加熱、および圧力解放前における生成物混合物の迅速な冷却を含んでいた。反応制御設定点は185℃であり、静止管の端部において達した最高温度は179℃であった。これらの条件を用いて、HFCS90からHMFが、最大で31%モル収率、95%を超える全糖構成率で得られた。ここでも、不溶性であるフミンの視覚可能な生成は、実質的に存在しなかった。
[0044] 混合物18の迅速な冷却は、様々な手段によって実現することができる。例えば、以下の実施例の少なくともいくつかにおいて、圧力低減の前にブレージングプレート式熱交換器を使用したが、他の種類の交換器を使用することができる。他の選択肢は、当業者に明白と思われる。
[0045] 酸触媒脱水工程16を、バッチモード、セミバッチモード、または連続モードで行うことができる点は理解されよう。ヘキソース含有材料をHMFに脱水するための様々な酸触媒がこれまでに記載されており、均一と不均一の両方の固体酸触媒が含まれる。固体酸触媒は、より容易に分離され再利用のために回収されることを前提とすると好ましいが、水の存在下で脱水工程16を行うのに必要とされる温度で十分な活性および安定性を維持する触媒を選択することは、問題を孕み得る。WO2013/106136出願の実施例では硫酸が使用されたが、以下の実施例では硫酸が使用され、良好な収率および優れた糖構成率をもたらした。
[0046] 本発明を、以下の実施例によって説明する。
[0047] 実施例1および比較例1
[0048] 結晶性フルクトース(5g)を水7mL中に溶解させ、2つ口25mL丸底フラスコに投入した。フラスコに、溶液中にガス(乾燥空気(比較例1)または窒素(実施例1)のいずれか)をスパージするための管と、還流冷却器とを取り付けた。ガス(乾燥空気または窒素)を溶液中に5分間スパージし、次いで、1滴の濃硫酸を溶液に添加した。次いで、フラスコをゴム製セプタムで密閉し、16ゲージ針を挿入してスパージガスを排出し、7時間還流させた。7時間の反応時間後、乾燥空気でスパージしたものと窒素でスパージしたものの両方による内容物は琥珀色であったが、プロトンNMRにより、窒素でスパージしたものの反応器内容物はレブリン酸およびギ酸を実質的に含んでおらず(表1)、一方、通常の乾燥空気でスパージした反応器内容物は、どちらも顕著な量を示した。

[0049] 実施例2〜5および比較例2〜5
[0050] 溶解したヒドロキシメチルフルフラール500mgの入ったバイアルにブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)(実施例2)1000重量ppmを投入した。混合物をボルテックス撹拌し、次いで、85℃に設定したオーブン中に置いた。比較のため、溶解したヒドロキシメチルフルフラール500mgが入っているがBHAが入っていないバイアル(比較例2)を、オーブン中の第1のバイアルの近くに置いた。
[0051] HMF850mgを水150mgと合わせることによって、実施例3および比較例3である第2の組の試料を調製し、試料のうちの1つにBHA1000ppm当量を添加し、一方、第2の試料には何も添加しなかった。両方の試料を激しく撹拌し、85℃のオーブン中に置いた。
[0052] 次いで、HMF100mgを水900mgと合わせることによって、水中HMF10重量パーセントの4つの試料を調製した。試料のうちの1つ(実施例4)にBHA1000ppm当量を添加した。第2の試料(実施例5)に対して、溶液中にアルゴンをバブリングすることによって空気をパージし、バイアルを密封して、アルゴン雰囲気下でHMFを保存した。第3の試料(比較例4)に対して、HMFの10質量%のギ酸をバイアル中に加えた。第4の試料(比較例5)はまったく変更を加えなかった。ここでもまた、激しい撹拌後に4つの試料すべてを85℃のオーブン中に置いた。
[0053] 様々なバイアルの組成物を1週間後に分析し、次いで再び2週間後に分析した(アルゴンでスパージした試料を除く)。結果をそれぞれ表2および3に示す。


[0054] 実施例6および7
[0055] 酸化防止剤BHAが、HMFに加えてHMFのエステルおよびエーテル誘導体も効果的に安定化するかどうかを評価するために、これらの実施例を実施した。
[0056] エステル誘導体:エステル実施例のために、5−アセトキシメチルフルフラール(AcHMF)の市販品(Aldrich製)を購入し、n−ヘキサン/メチルtert−ブチルエーテル混合物から再結晶化させて、その純度を向上させた。BHA500ppm当量の入ったバイアルに、AcHMF900mgを添加した。比較のため、BHAを用いずに、AcHMF700mgを含有する第2の試料を調製した。ヘッドスペースをアルゴンでパージし、AcHMFを融解させて混合した。試料を空気雰囲気に再曝露し、85℃の暗所のオーブン中に置き、1週間後および2週間後に分析した。
[0057] 安定化剤は悪影響を明らかに有さないが、少なくともこの条件下および試験時間枠において感知可能な分解はまったく存在せず、したがって、記載された条件下において、結果は不確定であった。

[0058] エステル実施例についてのHMFおよびAcHMFを、280nmにおけるモニターによるTUV検出器を備えたWaters Acquity H−Class UPLC装置を使用した、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)によって分析した。
[0059] カラム:Waters BEH C18 2.1×50mm、1.7□m
[0060] 温度:50℃
[0061] 流量:0.5mL/分
[0062] パージ溶媒:10%アセトニトリル
[0063] 洗浄溶媒:50%アセトニトリル
[0064] 溶媒C:50%アセトニトリル
[0065] 溶媒D:水
[0066] グラジエント:
[0067] 注入体積:0.5μL
[0068] 実行時間:2.5分
[0069] エーテル誘導体:HMFのエーテル誘導体のために、5−ブトキシメチルフルフラール(BMF)を、NMRによってこれ以上レブリン酸ブチルが観測されなくなるまで、n−ヘキサンから再結晶化させた。BMF(700mg)をBHA500ppm当量が入ったバイアルに添加し、その後、完全に混合した。比較のため、BMF300mgをBHAの入っていないバイアルに入れた。バイアルを暗所の85℃のオーブン中に保持し、1週間および2週間の間隔の後、分析のためにサンプリングした。
[0070] 試験結果を表5に示す:

[0071] BMFを、ガスクロマトグラフィーによって分析した。試料をアセトニトリルで1mg/mLの濃度に希釈し、GC面積パーセントが表5に報告されているように測定された。GC面積により、出発材料は>99.9%であった。すべての分解生成物が同定されたわけではなく、実際に一部の分解生成物は検出されなかった可能性があるが、それにもかかわらず、結果は、BHAがエーテル誘導体BMFを安定化するのに役立ったことを実証している。
[0072] 分析方法の具体的な詳細は以下の通りであった:
[0073] 測器:7693オートサンプラーを備えたAgilent 7890 GC
[0074] カラム:DB−5 UI 60m×250□m×0.25□m
[0075] キャリアガス:H
[0076] 流量:1mL/分(一定)
[0077] 注入温度:200℃
[0078] スプリット:50:1
[0079] 検出器:340℃
[0080] 温度プログラム:初期:50℃
[0081] 勾配1:5°/分で180℃まで
[0082] 勾配2:20℃/分で200℃まで、1分保持



  1. 低減酸素環境下で酸への曝露によって水性ヘキソース溶液を脱水することを含む、1種または複数のヘキソースを含む水溶液からヒドロキシメチルフルフラールを作製するプロセス。

  2. ヒドロキシメチルフルフラールのエステルまたはエーテル誘導体が、それぞれアルコールまたはカルボン酸の存在下で脱水を行うことにより形成される、請求項1に記載のプロセス。

  3. 別の不活性ガスでスパージすることにより、中で脱水が生じる反応器のヘッドスペースから酸素が排除される、請求項1または2に記載のプロセス。

  4. 反応器中に窒素または二酸化炭素をスパージすることを含む、請求項3に記載のプロセス。

  5. 1種または複数の酸化防止剤を添加することを含む、ヒドロキシメチルフルフラールまたはヒドロキシメチルフルフラールの誘導体の分解耐性を改善するプロセス。

  6. ブチル化ヒドロキシアニソールが1種または複数の酸化防止剤中に含まれる、請求項5に記載のプロセス。

  7. 1種または複数の酸化防止剤と共にヒドロキシメチルフルフラールを含む、安定性が改善されたヒドロキシメチルフルフラール組成物。

  8. ヒドロキシメチルフルフラールおよびブチル化ヒドロキシアニソールを含む、請求項7に記載の組成物。

  9. ヒドロキシメチルフルフラールを低減酸素環境下で貯蔵することを含む、貯蔵されたヒドロキメチルフルフラールの分解耐性をその使用の前に改善する方法。

 

 

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