白内障及び老眼を阻害する方法

 

本明細書には、γクリスタリン帯電マスキング剤を投与することにより、眼における白内障形成若しくは老眼の進行を阻害するか、又は後退させる方法が記載される。老眼及び白内障のいずれも、クリスタリンと呼ばれる可溶性クリスタリン水晶体タンパク質の凝集によって引き起こされる。

 

 

本発明は、眼の水晶体における加齢性変化の進行を阻害するか、又は後退させる方法に関する。
眼の水晶体は、虹彩のすぐ後方に吊り下げられている透明の構造であり、これにより、光線が網膜上の焦点に導かれる。水晶体は、可溶性タンパク質及び不溶性タンパク質の両方を含有し、これらを合わせると、水晶体の湿重量の35%を占める。若年の健常な水晶体の場合、一般にクリスタリンと呼ばれる可溶性タンパク質が、水晶体タンパク質の90%を占める。老化の過程で、水晶体のクリスタリンは、不溶性の凝集物を形成し、これは少なくとも部分的には、近くの物体に対して焦点を変える眼の能力の喪失である老眼を特徴付ける水晶体核の変形能低下の原因となる。老眼における水晶体の不溶性凝集物の形成は、加齢性白内障の形成における早期段階であると考えられている。
白内障は、眼の水晶体における濁り又は混濁化により定義される。個体が加齢するに従い、水晶体内に存在するクリスタリンが凝集物へと変換されて白内障が形成し、これにより、水晶体の混濁が増大する。具体的には、加齢と共に、ヒトの水晶体核における可溶性シャペロンであるαクリスタリンが高分子量の凝集物及び不溶性タンパク質中に組み込まれ、αクリスタリンの濃度が徐々に低下する。凝集物の存在は、水晶体の健康及び機能を損なうため、治療しないまま放置すると、白内障により、実質的な視力喪失、又は失明を招く恐れがある。現在のところ、白内障の最も一般的な治療は、手術である。
クリスタリンは、脊椎動物の眼の水晶体線維細胞において最も高度に発現する構造タンパク質である。クリスタリンは、次の2つのサブファミリー:低分子の熱ショックタンパク質スーパーファミリーのメンバーであり、また構造タンパク質及び分子シャペロンとしても機能するαクリスタリン(αA及びαBクリスタリン)と;水晶体中の構造タンパク質として主に機能し、水晶体構造の透明性及び屈折特性に寄与する、βクリスタリン及びγクリスタリンの進化的に関連するスーパーファミリーに分けられる。白内障の発症における役割以外に、αAクリスタリン及びαBクリスタリンは、アレキサンダー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、アルツハイマー病及びパーキンソン病などの神経変性疾患にも関与している。
特許文献1は、シャペロン活性を有するペプチドを治療的処置として用いる、タンパク質の脱凝集化について記載している。具体的には、光散乱により測定される、βクリスタリンのpH誘導による凝集物を脱凝集化するために、αBペプチドが使用された。水晶体内にαクリスタリンを継続的に供給することは困難である。必要とされるのは、白内障及び老眼の阻害及び/又は後退のためにクリスタリンを脱凝集化する上で好適な別の方法である。
米国特許出願公開第2008/0227700号明細書
一態様では、眼における白内障形成若しくは老眼の進行を阻害するか、又は後退させる方法は、眼を、少なくとも1種のγクリスタリン帯電マスキング剤を含む、白内障又は老
眼の阻害に有効な量の眼科用組成物と接触させるステップを含み、ここで、前記帯電マスキング剤は、ポリペプチドではない。
別の態様では、眼科用組成物は、分子の毛(molecular bristle)に共有結合した脱離基を含有する二官能価分子を含む。
別の態様では、眼における加齢性水晶体変性の進行を阻害するか、又は後退させる方法は、眼を、少なくとも1種のγクリスタリン帯電マスキング剤を含む、白内障又は老眼の阻害に有効な量の眼科用組成物と接触させるステップを含み、ここで、前記γ帯電マスキング剤は、ポリペプチドではない。
また別の態様では、治療を必要とする患者におけるタンパク質フォールディングに関する疾患を治療する方法は、分子の毛に共有結合した脱離基を含有する、治療に有効な量の二官能価分子を投与するステップを含む。
PEG24によるγクリスタリンの修飾についてのMALDI−TOFデータを示すグラフ。 PEG24で修飾したγクリスタリンのNICFを示すグラフ。 PEG24で修飾したγクリスタリンの分布関数を示すグラフ。 PEG24で修飾したγクリスタリンのΓ対qのグラフ。 PEG4によるγクリスタリンの修飾についてのMALDI−TOFデータを示すグラフ。 PEG4で修飾したγクリスタリンのNICFを示すグラフ。 PEG4で修飾したγクリスタリンの分布関数を示すグラフ。 PEG4で修飾したγクリスタリンのΓ対qのグラフ。 CAPEGによるγクリスタリンの修飾についてのMALDI−TOFデータを示すグラフ。 CAPEG4で修飾したγクリスタリンのNICFを示すグラフ。 CAPEG4で修飾したγクリスタリンの分布関数を示すグラフ。 CAPEG4で修飾したγクリスタリンのΓ対qのグラフ。 MMPEGで修飾したγクリスタリンの分布関数を示すグラフ。 ビオチンで修飾したγクリスタリンの分布関数を示すグラフ。 ビオチン−PEGで修飾したγクリスタリンの分布関数を示す。 スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミド酢酸塩で修飾したγクリスタリンの分布関数を示すグラフ。 帯電マスキング基の実施形態を示す化学式(各構造において、Rは、分子の毛である)。 分子の毛の実施形態を示す化学式。 経上皮輸送の測定の概略図。 経上皮輸送実験における細胞の底部に輸送されたCAPEG4を示すグラフ。 添加したCAPEG4のmg/mlに対するオピゾル(Opisol)(登録商標)のpHを示すグラフ。
当業者は、以下の詳細な説明、図面、及び付属の特許請求の範囲から、上に説明した特徴及び他の特徴を認識し、かつ理解するであろう。
本明細書では、γクリスタリン凝集物を脱凝集化する、及び/又はその形成を阻止する方法であって、γクリスタリン凝集物を、γクリスタリン凝集物の脱凝集化、及び/又はその形成の阻止に十分な量で、γクリスタリン帯電マスキング剤を含む組成物と接触させ
るステップを含む方法が開示される。当業者であれば、本明細書に開示する分子は、γクリスタリン帯電マスキング剤として記載されるが、これらは、βクリスタリンのタンパク質凝集の脱凝集化/阻止も可能であることは認識されよう。さらに、眼における白内障形成の進行を阻害又は後退させる方法であって、眼を、γクリスタリン帯電マスキング剤を含む、白内障の阻害に有効な量の眼科用組成物と接触させるステップを含む方法も開示される。また、眼における老眼の進行を阻害又は後退させる方法であって、眼を、γクリスタリン帯電マスキング剤を含む、老眼の阻害に有効な量の眼科用組成物と接触させるステップを含む方法も開示される。特定の実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤は、ポリペプチドではない。
本明細書において、本発明者らは、動的光散乱などの技術を用いて、溶液中のγクリスタリンにより形成される凝集物を調べた。β及びγクリスタリンのいずれも、2つのドメインに4つのグリークキーモチーフを含む極めて安定した構造タンパク質である。βクリスタリンは、二量体、並びにヘテロ及びホモオリゴマーを形成するのに対し、γクリスタリンは、眼において単量体である。さらに、βクリスタリンは、溶液中に斥力を呈示するが、γクリスタリンは、非特異的タンパク質又は水相互作用に起因する引力相互作用を呈示する。また、チオール修飾が、γクリスタリンの凝集物を溶液中に形成させることも仮定されている。
ヒトγクリスタリンファミリーは、5つのメンバー、すなわち、γA〜Dクリスタリン及びγ−Sクリスタリンを含む。γA〜Dクリスタリンは、発生の早期に発現され、主として水晶体核に存在し;γC及びγDクリスタリンが最も優勢である。in vitroでのγDクリスタリンのアンフォールディング及びリフォールディングは、リフォールディングされたタンパク質に安定性が欠如するために、タンパク質凝集の増大を引き起こすことが明らかにされている。γS−クリスタリンは、他の結晶性タンパク質の凝集を抑制し、透明な水晶体をもたらす上で重要なタンパク質であることがわかっている。
特定の理論に束縛されるわけではないが、γクリスタリンの凝集は、静電及び疎水性現象の両方であり、静電力が優勢であると考えられている。ヒートショックタンパク質αA−及びαB−クリスタリンは、γクリスタリン凝集を破壊する。静電相互作用を破壊しうるγクリスタリン帯電マスキング剤は、αクリスタリンのシャペロン活性の代わりになり、γクリスタリン凝集物のサイズを阻止/縮小することが可能である。
γクリスタリン帯電マスキング剤による治療は、白内障及び老眼など、γクリスタリンの凝集を原因とする疾患及び/又は病状を治療するのに用いることができる。本明細書で用いられる場合、白内障とは、水晶体におけるタンパク質相互作用の変化により引き起こされる、眼の水晶体の混濁である。タンパク質相互作用には、タンパク質のミスフォールディングに加えて、凝集など、タンパク質間相互作用も含まれる。老眼は、加齢又は老齢による視覚障害である。老眼の症状としては、近くの物体に焦点を合わせる能力の低下、眼精疲労、細かい印字を読むことの困難、読書時又は照明画面を見る際の疲労、はっきりと接視することの困難、印字を読む際のコントラストの低下、読書のためのより明るく、しかもより直接的な照明の必要性、読書対象をはっきりと見るために読書対象を遠くに保持する必要があること、及び頭痛、とりわけ、近見視力を用いるときの頭痛が挙げられる。老眼を患う個体の視力は正常であることもあるが、時間と共に、近くの物体に焦点を合わせる能力が少なくとも部分的には失われ、老眼を患う個体は、読書など、近見視力を必要とする作業に眼鏡を必要とするようになる。40歳を過ぎたほとんど全ての個体が、多かれ少なかれ老眼に罹患する。
眼における白内障形成の進行を阻害する方法では、眼をγクリスタリン帯電マスキング剤と接触させる前に、眼は、1つ又は複数の発症しつつあるか又は完全に発症した白内障
を既に含んでいてもよい。従って、眼におけるさらなる白内障の形成を阻害するか、又は眼に既に存在する、発症しつつある白内障から成熟白内障の形成を阻害するために、本方法を用いることができる。あるいは、眼をγクリスタリン帯電マスキング剤と接触させる前に、発症しつつあるか又は完全に発症した白内障が眼になくてもよい。
眼における白内障形成の進行を後退させる方法では、眼を本明細書に開示するγクリスタリン帯電マスキング剤と接触させることにより、眼における白内障の少なくとも部分的な後退から完全な後退までを達成する。
同様に、眼における老眼の進行を阻害する方法では、眼をγクリスタリン帯電マスキング剤と接触させる前に、個体が、1つ又は複数の老眼の症状を既に知覚していてもよい。従って、知覚される症状の進行を抑制するか、又は老眼のさらに別の症状の形成を阻害するために、この方法を用いることができる。あるいは、眼をγクリスタリン帯電マスキング剤と接触させる前に、老眼の症状が眼になくてもよい。
眼における老眼の進行を後退させる方法では、眼を本明細書に開示するγクリスタリン帯電マスキング剤と接触させることにより、眼における老眼の症状の少なくとも部分的な後退から完全な後退までを達成する。
本明細書で用いられる場合、γクリスタリン帯電マスキング剤は、γクリスタリンの凝集をもたらす、γクリスタリンによるタンパク質間静電相互作用を妨害するのに好適な分子である。一実施形態では、上記マスキング剤は、ポリペプチドではない。γクリスタリン帯電マスキング剤は、γクリスタリン凝集物の形成を阻止、及び/又は既に形成された凝集物のサイズを縮小する。
一実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤は、400mMを超える塩濃度を有する高濃度塩溶液である。本明細書で用いる「塩」という用語は、限定はしないが、以下のうちの1つ又は複数を含む有機塩又は無機塩を包含することを意図する:NaCl、KCl、NHClなどのハロゲン化アンモニウム、CaClなどのハロゲン化アルカリ土類金属、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸カルシウム、又はこれらの混合物。さらなる有機塩としては、エチルアンモニウムニトレートなどのアルキルアンモニウム塩、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、トリメタミン塩酸塩、コハク酸ナトリウム、及びこれらの組合せが挙げられる。特定の理論に束縛されるわけではないが、例えば、Li+、Na+及びK+などのイオンのアイデンティティが、γクリスタリン凝集を阻止するγクリスタリン帯電マスキング剤の能力に影響を及ぼし得ると考えらえる。
意外なことに、本明細書において、300nM未満の塩(例えば、KCl)濃度は、γクリスタリン凝集物のサイズ縮小をもたらさないことがわかった。しかし、400〜1000mMのKCl濃度では、凝集物形成が有効に阻害された。
別の実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤は、分子の毛に共有結合した脱離基を含む二官能価分子である。二官能価分子は、陽荷電リシン及びアルギニン残基並びに陰荷電グルタミン酸及びアスパルギン酸残基などのγクリスタリン分子上の電荷と相互作用する。分子の毛は、γクリスタリン分子同士に間隔をもたらし、凝集を阻止する親水性の水溶性種である。特定の理論に束縛されるわけではないが、二価官能価分子が反応して、分子の毛を効果的にタンパク質上に配置し、反応中に脱離基を排出すると考えられる。共有結合した分子の毛は、γクリスタリン分子の凝集を阻止する。特定の理論に束縛され
るわけではないが、本明細書に記載する二官能価分子は、βクリスタリン分子の相互作用阻害剤としても作用し得ると考えられる。
脱離基(反応基とも呼ばれる)の例としては、スクシンイミド及びカルボン酸官能基、特にN−ヒドロキシスクシンイミド及びCOOHが挙げられる。一部の実施形態では、脱離基は、生体適合性である。脱離基の別の例としては、イソシアネート、イソチオシアネート、塩化スルホニル、アルデヒド、カルボジイミド、アシルアジド、無水物、フルオロベンゼン、炭酸塩、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、エポキシド、及びフルオロフェニルエステルが挙げられる。図17は、R基が分子の毛である脱離基の実施形態を示す。二官能価分子が、COOHを含有する場合、これがタンパク質のアミン基と反応すると、水が脱離する。二官能価分子が、N−ヒドロキシスクシンイミドを含有する場合、水は放出されない。NH反応において、NHがタンパク質上のCOOH基と反応すると、水が脱離する。
分子の毛の例としては、4個以上のオキシエチレン基、例えば、4〜200個のオキシエチレン基を有する直鎖又は分岐状ポリエチレングリコールがある。また、4〜200個、特に4〜24個のオキシエチレン、アルコキシエチレン又はアリールオキシエチレン基を有するアルコキシ−及びアリールオキシポリエチレングリコールなどの修飾ポリエチレングリコールも含まれる。上記以外の分子の毛としては、ポリ(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、ポリ(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA)、ポリ(2−オキサジリン)、ポリ(m−ホスホコリン)、ポリリシン、及びポリグルタミン酸が挙げられる。図18は、分子の毛の実施形態を示す。一実施形態では、分子の毛は、150〜8000の数平均分子量を有する。
具体的実施形態では、二官能価γクリスタリン帯電マスキング剤は、以下:

である。
一実施形態では、本明細書に開示する二官能価γクリスタリン帯電マスキング剤は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病などのタンパク質フォールディングに関する疾患の治療においても有用である。具体的実施形態では、二官能価γクリスタリン帯電マスキング剤は、経口組成物として投与する。
一実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤は、ポリペプチドではない。「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において置換え可能に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1個又は複数のアミノ酸残基が、対応する天然のアミノ酸の人工的化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然のアミノ酸ポリマー及び非天然のアミノ酸ポリマーに適用する。
本明細書に記載するγクリスタリン帯電マスキング剤の利点は、例えば、アミノ基転移、酸化、修飾及び機能障害性コネキシンなどのγクリスタリンの翻訳後修飾、並びに高濃度のCa+2などの無機及び有機イオンの存在下で有効であると考えられていることである。
白内障の進行を阻害する及び/若しくは既存の白内障を軽減する、又は老眼の症状を阻害する及び/若しくは軽減するために、γクリスタリン帯電マスキング剤を眼と接触させる。本明細書で用いるように、「眼を接触させる」という用語は、γクリスタリン帯電マスキング剤を、眼に直接適用する方法を包含する。上記で説明した方法では、当業者に周知の適切な手段を用いて、眼を化合物と接触させることができる。このような方法の例としては、限定はしないが、眼科用デバイスの形態で適用されるか、イオン電気導入により適用されるか、又は他の方法で眼に局所適用される、眼内への化合物の注射、又は化合物の点眼若しくは噴霧が挙げられる。
本明細書で用いるように、「白内障の阻害に有効な量」という用語は、眼における白内障の進行若しくは形成を阻害するか、又は眼に既に存在する、発症しつつある白内障の、進行又は成熟白内障の形成を阻害する量を意味する。白内障の阻害に有効なγクリスタリン帯電マスキング剤の量は、当業者には周知の多様な因子に応じて変動する。このような因子としては、眼のサイズ、眼に既に存在する、完全に発症したか又は発症しつつあるあらゆる白内障の数及び進行、並びに投与方式が含まれるがこれらに限定されない。白内障の阻害に有効な量はまた、医薬組成物が、単回投与されるかどうか、又は医薬組成物が、ある期間にわたり定期的に投与されるかどうかによっても変動する。上記の期間は、任意の日数、週数、月数、年数であってよい。一実施形態では、白内障の阻害に有効なγクリスタリン帯電マスキング剤の量は、特に本明細書に記載する二官能価分子の量は、約0.001g〜約0.1gである。具体的には、白内障の阻害に有効な量は、約0.01g〜約0.05gである。
本明細書で用いるように、「老眼の阻害に有効な量」という用語は、眼における老眼の症状を軽減するか、又は眼における老眼のさらなる症状の進行を阻害する量を意味する。老眼の阻害に有効なγクリスタリン帯電マスキング剤の量は、当業者には周知の多様な因子に応じて変動する。このような因子としては、限定はしないが、眼のサイズ、個体に既に存在する症状の数及び種類、並びに投与方式が挙げられる。白内障の阻害に有効な量はまた、医薬組成物が、単回投与されるかどうか、又は医薬組成物が、ある期間にわたり定期的に投与されるかどうかによっても変動する。上記の期間は、任意の日数、週数、月数、年数であってよい。一実施形態では、老眼の阻害に有効なγクリスタリン帯電マスキング剤、特に本明細書に記載する二官能価分子の量は、約0.001g〜約0.1gである。具体的には、老眼の阻害に有効な量は、約0.01g〜約0.05gである。
本明細書で用いるように、「眼科用組成物」という用語は、眼への投与に好適な薬学的に許容される製剤、送達デバイス、機構又はシステムを指す。「眼科用組成物」という用語は、限定はしないが、溶液、懸濁液、ゲル、軟膏、スプレー、デポ剤デバイス、又は眼に対するβクリスタリン静電相互作用阻害剤の短期的送達若しくは長期的送達に好適な、他の任意の種類の製剤、デバイス若しくは機構を含む。例えば、経口製剤とは対照的に、眼科用組成物は、例えば、結膜及び角膜の刺激、閉瞼、涙液の分泌、並びに痛みを伴う反応など、多様な反応の誘導を回避する、薬学的に許容される眼科用ビヒクルの使用を含む、眼科用組成物の眼への適用と関連する、特定の技術的特徴を示す。具体的な眼科用組成物は、βクリスタリン静電相互作用阻害剤を含有する眼科用溶液若しくは眼科用懸濁液(すなわち、点眼液)、眼科用軟膏、又は眼科用ゲルの形態であることが有利である。選択した具体的な形態に応じて、組成物は、緩衝剤、等張化剤、可溶化剤、防腐剤、増粘
剤、キレート化剤、抗酸化剤、抗生剤、糖、及びpH調節剤など、各種の添加剤を含有しうる。
防腐剤の例としては、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ピリジニウム、フェネチルアルコール、パラヒドロキシ安息香酸エステル、塩化ベンゼトニウム、酸化エチレンとジメチルエチレンイミンとの親水性二ハロゲン化コポリマー、これらの混合物などが含まれるがこれらに限定されない。増粘剤は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、硫酸コンドロイチン、及びこれらの塩から選択することができる。適切な可溶化剤として、限定はしないが、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80、及びモノステアリン酸ポリオキシエチレンが挙げられる。典型的なキレート化剤としては、限定はしないが、エデト酸ナトリウム、クエン酸、ジエチレントリアミン五酢酸の塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、並びにエデト酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムなどの安定化剤が含まれるがこれらに限定されない。
緩衝液の例としては、限定はしないが、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液などが挙げられる。眼科用組成物中の緩衝液濃度は、選択した具体的な緩衝液に応じて、約1mM〜約150mM以上まで変動しうる。
本明細書で用いる場合、「ビヒクル」という用語は、眼科用途に好適な担体、希釈剤、又は賦形剤を包含することを意図する。「賦形剤」とは、1つ又は複数のバルクを供給し、満足のゆく加工特徴を付与し、溶解速度の制御を補助し、またそれ以外に組成物にさらなる望ましい特徴を与える成分を指す。特に、眼科用組成物が、有効成分を同伴する涙液の分泌を誘発しないように、賦形剤を選択する。許容される賦形剤は、要望される製剤に応じて賦形剤を選択する方法について精通する当業者には周知である。
一実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤を、コンタクトレンズ又は涙点プラグなどの眼科用デバイスの形態で投与する。好適な眼科用デバイスには、矯正用、美容用、又は治療用の品質を備えた生体適合性デバイスが含まれる。
一実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤は、任意選択で制御放出組成物として、コンタクトレンズに付着させるか、コンタクトレンズ内に組み込むか、又はコンタクトレンズに結合させてもよい。コンタクトレンズは、既知の材料、例えば、ハイドロゲル、シリコーンハイドロゲル、シリコーンエラストマー、及びポリメチルメタクリレート(PMMA)、メタクリル酸エステルポリマー、オリゴシロキサニルアルキル(メタ)アクリレート単量体/メタクリル酸のコポリマーなどの気体透過性材料を用いて作製することができる。含水性眼科用ソフトレンズ用材料の具体例としては、米国特許第5,817,726号明細書に記載されている材料、米国特許第5,905,125号明細書に記載されている2−ヒドロキシエチルメタクリレートポリマー、欧州特許出願第781,777号明細書に記載されている眼科用レンズ材料、米国特許第5,942,558号明細書に記載されている、さらに脂質層でコーティングしたハイドロゲルレンズが挙げられる(これら文献は全て、コンタクトレンズに関するその教示について、本明細書に組み込まれる)。前述した公知の材料から作製される、ハードレンズ又は硬質の角膜型レンズ、及びゲルレンズ、ハイドロゲルレンズ、又はソフトレンズなど、一般に使用されるコンタクトレンズを用いることができる。
コンタクトレンズ産業では、コンタクトレンズを次の2つの主要なカテゴリー:従来型のハイドロゲル及びシリコーンハイドロゲルに特徴付けることが一般的である。従来型のハイドロゲルは、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(ポリHEMA)として開始
し、n−ビニルピロリドン(nVP)、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、及びメタクリル化ホスホリルコリンなどの他の親水性部分とのポリHEMAコポリマーに進化した。また、ポリビニルアルコールレンズを使用してもよい。
シリコーンハイドロゲル(SiH)は、典型的には、メタクリル化又はメト(アクリルアミド)シリコーン単量体、プレポリマー又はマクロマーと、典型的な常用のハイドロゲル単量体とのコポリマーから構成される。シリコーン単量体の例としては、「トリス」、アルキル末端の、メタクリル化ポリジメチルシロキサン(PMDS)、及びシリコーン及び親水性単量体のブロックコポリマーが挙げられる。A基が親水性ブロックで、B基がシリコーン単量体ブロックである、ABAトリブロックコポリマーが一般的である。メタクリレートに加えて、他の反応基として、ビニル、アクリルアミド、又は連鎖重合が可能な他の任意の反応基が挙げられる。また、架橋及び重合を、二官能価の単量体を用いた段階成長重合により達成することもできる。一例は、2つのアミノ酸におけるカルボン酸とのヒドロキシ基の反応又はテレフタル酸とエチレングリコールに由来するものである。
プラズマコーティング法は、プラズマ酸化及びプラズマコーティングなどのシリコーンハイドロゲルに一般に用いられている。
例えば、コンタクトレンズ及び徐放に関するその教示について本明細書に組み込まれる、米国特許第5,658,592号明細書;同第6,027,745号明細書;国際公開第2003/003073号パンフレット;米国特許出願公開第2005−0079197号明細書において説明されている、徐放薬物を含むコンタクトレンズを製造する公知の方法に従い、コンタクトレンズに、γクリスタリン帯電マスキング剤組成物を組み込むか、結合させるか、又は付着させることにより、徐放型γクリスタリン帯電マスキング剤組成物を製造することができる。具体的には、γクリスタリン帯電マスキング剤組成物を、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸ナトリウムなど、微粒子化するか、又はゲル徐放剤の一部に付着させることにより、コンタクトレンズを製造することができる。加えて、レンズの前面を形成する構成要素、及びレンズの裏面を形成する構成要素からコンタクトレンズを製造するなどによって、γクリスタリン帯電マスキング剤組成物のリザーバを形成することによって、徐放を達成することもできる。
一実施形態では、制御放出の注射剤として、房水又はガラス体にγクリスタリン帯電マスキング剤を挿入してもよい。
一実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤を涙点プラグにより投与する。本明細書で用いるように、涙点プラグという用語は、下涙点及び上涙点のそれぞれを介して、眼の下涙小管及び上涙小管へと挿入するのに好適なサイズ及び形状を有するデバイスを指す。
一実施形態では、γクリスタリン帯電マスキング剤をイオン電気導入により投与する。イオン電気導入は、小電荷を用いて、薬剤又は他の化学薬品を経皮送達する技術である。
一実施形態では、超音波増強を用いて、眼科用組成物を投与する。
以下の非制限的実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1:γクリスタリンのクローン化
γD及びγSクリスタリンDNA配列は、マサチューセッツ工科大学キング研究所(King Labs at Massachusetts Institute of Technology)(ケンブリッジ(Cambridge)、マサチューセッツ(MA))により提供されたpGe1プラスミドにおけるものである。γクリスタリンタンパク質配列は、精製の目的で、6×N末端ヒスチジンタグ(hisタグ)を含む。プラスミド
をクローン化コンピテント細胞系に形質転換して、別のプラスミドDNAを作出した。続いて、プラスミドを、タンパク質合成のために発現コンピテント細胞系に形質転換した(TAM1大腸菌(E.coli)細胞(アクティブ・モティフ(Active Motif)、カールスバド(Carlsbad)、カリフォルニア(CA))。
γクリスタリンプラスミドDNAを、タンパク質合成のためにM15pRep大腸菌(E.coli)細胞に化学的に形質転換した。1Lの培養物をタンパク質精製のために増殖させた。Niアフィニティクロマトグラフィーによりγクリスタリンタンパク質を精製した。γクリスタリンタンパク質に含有されるN末端Hisタグは、Niカラムに選択的に結合する。結合したタンパク質は、イミダゾール勾配で溶出することができ、これは、競合的にNiに結合し、精製タンパク質を放出する。純度をSDS PAGEゲル電気泳動及び高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)により確認した。
実施例2:精製γD及びγSクリスタリンに対するpH及び塩の作用
pH及び塩は、βクリスタリンの凝集に作用を及ぼすため、pH及び塩のγクリスタリンへの作用も調べた。動的光散乱(DLS)を用いて、粒度を測定した。
実験の動的光散乱(DLS)は、288チャネル(ALV、ランゲン(Langen)、ドイツ(Germany))及び2Wアルゴンレーザ(コヒレント社(Coherent Inc.)、サンタ・クララ(Santa Clara)、カリフォルニア(CA))を備えたALV−5000/E相関器を有するALVゴニオメータ計器を用い、約40mWの使用電力で測定した。散乱強度は、8.41×10及び2.30×10−1の散乱波ベクター(q)範囲に対応する角度30°〜90°の範囲において5°間隔で測定した。散乱波ベクターは、q=4πn sin(θ/2)/λとして定義し、ここで、θは、散乱角度であり、λ=514.5、すなわち真空でのアルゴンレーザの波長であり、nは1.33で、水の屈折率である。サンプルの温度は、循環水浴により4〜37±0.1℃の一定温度に維持した。
CONTIN分析を用いて、測定角度での相関関数についてのラグタイムを計算して、相関関数を分析した。ピークは、タンパク質の拡散性モードを表している。遅延時間(τ)をΓに変換し、qに対してグラフ化した。あてはめた直線の傾きが、拡散係数(D)である。非ゼロの値のq=0は物理学的に不可能であるため、切片がゼロとなるように、直線をあてはめる。Γ対qプロットは、r値が0.95以上の線形であった。
DLS測定は、修飾及び非修飾γD−及びγSクリスタリンタンパク質の両方について、濃度0.5mg/mlの150mM NaCl、20mM NaHPO/NaHPO緩衝液pH6.8で実施した。0.22μm疎水性PVDF膜(登録商標、フィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、全ての溶液を10mm径のホウケイ酸ガラス管中に導入し、計測した。溶液を30分間平衡させた後、光散乱を測定した。
サイズスケール及びタンパク質が希薄溶液中でどのように挙動するかを理解するために、α−A、α−B、γD−及びγ−Sクリスタリンタンパク質の個別の溶液を調べた。(表1)温度は、DLSにより測定されるように、溶液中のタンパク質サイズにほとんど作用を及ぼさなかった。
表1:修飾及び非修飾γD-及びγ-Sクリスタリンタンパク質の両方について実施したDLS測定

αAクリスタリンの分子量が19.9kDa、α−Bクリスタリンが20.16kDaであることを考慮すると、DLS実験で認められたサイズは、溶液中、並びにヒトの眼において300〜1200kDa種へのαクリスタリンの既知の集合体と一致する。
γクリスタリンの3nmRは、単量体γD−及びγSクリスタリンについてそれぞれ20.6kDa及び20.9kDaの分子量と十分に相関する単一タンパク質種を表している。またいずれの種も、γD−及びγSクリスタリンについてそれぞれ110及び100nmのR値を有する凝集物を示す。γクリスタリンの凝集は、これまで、γクリスタリン同士の引力相互作用に起因するとされてきた。γクリスタリンに特定のタンパク質間相互作用がないために、これらは、溶液中で大きな凝集物を形成することができる。
pH範囲(5、6、7、8、9、10、11)、KCl濃度(100mM、150mM、300mM、500mM、1000mM)及び温度(4.5℃、22℃、37℃)などの様々な実験条件にγクリスタリンを付した。4℃で透析を一晩実施することによりpH及び塩濃度を調節し、その最終濃度を1.0g/Lに調節した。
表2:γD-及びγ-Sクリスタリンに対するpH及び塩の影響

表2からわかるように、10を超える様々なpHにより、γD−及びγSクリスタリン溶液から凝集物が除去された。300mmKClを超える塩濃度では、γクリスタリン凝集物は個々のタンパク質粒子に縮小されなかった。これらの結果は、γクリスタリン同士の静電相互作用を妨害することにより、γクリスタリンの大きな凝集物が破壊され、阻止されたことを示している。
ジスルフィド結合は、観測されたγクリスタリン凝集物を媒介し得ると仮定されてきた。γクリスタリンタンパク質のDLSも、5mM DTT中で、1.0g/Lのαクリスタリンの存在下で測定した。表3に示すように、DTTは、γクリスタリン凝集物のサイズに作用を及ぼさなかった。従って、上記の仮定は、正しくなかった。
さらに、合成されたαクリスタリンタンパク質をγクリスタリンタンパク質と混合して、αクリスタリンのシャペロン活性能力がγクリスタリン凝集物を破壊するかどうかを決定した。α−A及びα−Bクリスタリンを各々個別にγD−又はγSクリスタリンと、ヒトの眼の水晶体中の比を模倣してそれぞれ3:1のモル比で混合した。全ての溶液を4℃で1時間平衡させた。α−A又はα−Bクリスタリンとのインキュベーション後、数百ナノメートルの大きなγクリスタリン凝集物が消失し、個別のγクリスタリン及びαクリスタリン高分子が認められた。(表3)これらのデータは、αクリスタリンが、非特異的タンパク質凝集物を抑制し、これによってγクリスタリンタンパク質の凝集を阻止するという以前の研究を支持する。
表3:γD-及びγ-Sクリスタリンに対するDTT及びシャペロンの影響

特定の理論に束縛されるわけではないが、αクリスタリンのサイズの増大(63〜68nm〜75nm)は、変性又はミスフォールディングしたγクリスタリンとのαクリスタリンの相互作用によるものと仮定される。αクリスタリンを添加すると、溶液中で、γクリスタリン間の静電荷を破壊することにより、大きなγクリスタリン種の形成を阻止するか、又は破壊することが明らかである。αクリスタリンは、高濃度のγクリスタリンで出現する大きなγクリスタリンの凝集物を破壊することができる。このように、αクリスタリンの非存在下で、γクリスタリンは、静電力によって凝集する大きな可溶性凝集物を形成し、この静電力は、高pH及び高塩濃度で妨害することができる。
凝集物の特性決定のための材料及び方法
γD−及びγSクリスタリンの化学的修飾を実施して、これらのタンパク質の凝集挙動を修飾した。修飾γD−及びγSクリスタリンを特性決定するのに用いる方法は、マトリックス支援レーザ脱離イオン−飛行時間法(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization−Time of Flight)(MALDI−TOF)、円偏光二色性、及び動的光散乱である。
マトリックス支援レーザ脱離イオン−飛行時間法(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization−Time of Flight)
約2mgの標準又は修飾γクリスタリンタンパク質を5mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリスHCl)pH7に一晩透析した。溶液を一晩冷凍保存(フリーズドライ)して、乾燥クリスタリンタンパク質粉末を得た。
337nm窒素レーザを備えるOmniflex MALDI−TOF質量分析計(ブルカー・ダルトニクス社(Bruker Daltonics,Inc.)、ビレリカ(Billerica)、マサチューセッツ(MA))で、質量分析データを取得した。サンプル(2mg/ml)を、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、50%アセトニトリル及び3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸からなるマトリックスと混合(1:1)した。続いて、1μLの溶液をステンレス鋼標的上に載せた。データ取得のために計器を線形モードで用いた。
円偏光二色性
クリスタリンサンプルを10mM NaHPO/NaHPO緩衝液pH6.8中に一晩透析した後、0.5mg/mlの濃度で測定した。1mm経路長さの石英セルを用い、22℃にて、Jasco J715分光偏光計でCDスペクトルを測定した。サンプルを5分間平衡させた後、250〜195nmの範囲でスペクトルを取得した。
動的光散乱
実験の動的光散乱(DLS)は、288チャネル(ALV、ランゲン(Langen)、ドイツ(Germany))及び2Wアルゴンレーザ(コヒレント社(Coherent Inc.)、サンタ・クララ(Santa Clara)、カリフォルニア(CA)
)を備えたALV−5000/E相関器を有するALVゴニオメータ計器を用い、約40mWの使用電力で測定した。散乱強度は、8.41×10及び2.30×10−1の散乱波ベクター(q)範囲に対応する角度30°〜90°の範囲において5°間隔で測定した。散乱波ベクターは、q=4πn sin(θ/2)/λとして定義し、ここで、θは、散乱角度であり、λ=514.5、すなわち真空でのアルゴンレーザの波長であり、nは1.33で、水の屈折率である。サンプルの温度は、循環水浴により4〜37±0.1℃の一定温度に維持した。
CONTIN分析を用いて、測定角度での相関関数についてのラグタイムを計算して、相関関数を分析した。ピークは、タンパク質の拡散性モードを表している。遅延時間(τ)をΓに変換し、qに対してグラフ化した。あてはめた直線の傾きが、拡散係数(D)である。非ゼロの値のq=0は、物理学的に不可能であるため、切片がゼロとなるように、直線をあてはめる。Γ対qのプロットは、r値が0.95以上の線形であった。
DLS測定は、修飾及び非修飾γD−及びγSクリスタリンタンパク質の両方について、濃度0.5mg/mlの150mM NaCl、20mM NaHPO/NaHPO緩衝液pH6.8で実施した。0.22μm疎水性PVDF膜(登録商標、フィッシャーサイエンティフィック)を用いて、全ての溶液を10mm径のホウケイ酸ガラス管中に導入した後、計測した。溶液を30分間平衡させた後、光散乱を測定した。
実施例3:PEG24を用いたγD−及びγSクリスタリンの化学修飾
NHSPEG24を用いて、γクリスタリンの第1修飾を実施した。一級アミノ酸、リシン及びアルギニンを含有するアミノ酸は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)官能化ポリ(エチレングリコール)(PEG)上に求核置換を実施することができる。NHSは、良好な脱離基であるため、Sn2反応機序を加速する活性化エステルである。求核置換は、PEG又はペグ化γクリスタリンタンパク質で修飾されたタンパク質を生成する。PEGによるタンパク質の修飾は、溶解度を増すと共に、3次元構造又は特性に影響を与えないことがわかっているため、ペグ化を選択した。具体的には、付加される適度な分子量(1100.39)及びスペーサアーム長さ(8.82nm)により、PEG24を選択した。

PEG24によるγクリスタリンの修飾は、MALDI−TOFで観測されるγクリスタリン分子量の大きな増大によって証明される通り、成功した。γDクリスタリンの最大相対強度は、24,148m/z、すなわち2PEG24単位であったのに対し、γSクリスタリンの場合、ピークは、26,711m/zで、これは4PEG24単位に対応する(図1)。溶液中に存在する非修飾γクリスタリンが全くなかったため、過剰反応物質及び反応条件は十分であった。γDクリスタリンのより高い解像度のMALDI−TOFデータは、23,056m/z及び25,206m/zにさらに2つのはっきりとしたピークを示し、これらは1つ及び3つのPEG24修飾に対応する。
CD分光法は、いずれのクリスタリンタンパク質も、修飾にもかかわらず、その天然の状態を保持していることを明らかにした。γDクリスタリンは、タンパク質濃度の若干の差に起因すると思われるピーク及び深さの増大を示した。ペグ化は、タンパク質の二次構造に干渉しないことが以前証明されているため、この実験データとの良好なフィットが予想される。(データは示していない)
22℃及び37℃で、PEG24で修飾したγD−及びγSクリスタリンについてDLSを実施した。NICFは、Γ対qグラフに認めることができる角度依存を有する単一セットのピークを含む分布関数を付与した。(図2〜4)PEG24修飾γクリスタリンタンパク質は、小さなサイズ分布を有し、凝集物形成を示し得る、より長い緩和時間での別のモードはなかった。γDクリスタリンの場合、拡散係数から計算したRは、22℃及び37℃で3.1nmであったのに対し、γSクリスタリンは、22℃及び37℃で3.1nmのRを有した。R値は、MALDI−TOFによりそれぞれ測定されたγD−及びγSクリスタリンの24.1kDa及び26.7kDa分子量と申し分なく相関した。
NHSPEG24によるγクリスタリンのペグ化は、DLSにおいて明らかなように、希薄溶液中のあらゆる凝集イベントを有効に阻止した。PEGは、親水性ポリマーであり、溶液中のタンパク質の溶解度を高めることがわかっている。特定の理論に束縛されるわけではないが、凝集現象が、疎水性相互作用又は静電に関連する溶解性の問題によるものであるならば、ペグ化に伴う溶解度の増加は、γクリスタリンタンパク質の凝集を阻止すると考えられる。
同様に考えて、特定の理論に束縛されるわけではないが、タンパク質の全表面電荷は、PEGとの反応により改変されていると考えられる。タンパク質の等電点において、等電点に関連する電荷的中性により溶解度の低下が起こる。一級アミンを含むアミノ酸は、このタイプの修飾の標的部位であった。リシン及びアルギニンの一級アミンは、タンパク質構成及び溶液条件に応じて、それと関連する陽電荷を有し得る。NHSPEGをリシン及びアルギニン基と反応させることにより、潜在的に荷電した部位を親水性PEGが占めるようにし、これによって、タンパク質表面電荷を変化させる。凝集イベントが、静電相互作用によるものか、又はタンパク質が等電点に近接していることによるものである場合、上記の推論は、なぜ凝集体が溶液からなくなるのかを説明し得る。他の反応機序を介したPEGによるγクリスタリンタンパク質の修飾を用いて、この可能性を調べることにする。
特定の理論に束縛されるわけではないが、溶液中に凝集物がない理由の最終的説明は、スペーサの問題である。剛球コロイドの分野では、スペーサ分子の添加が凝集を抑制し得ることが証明されている。γクリスタリンにPEG24部分を添加すると、タンパク質の表面上に親水性スペーサ分子がもたらされる。γクリスタリンタンパク質の凝集を阻止するのに、PEGにより賦与されるタンパク質間のスペーシングだけで十分なこともある。実施例4:PEG4を用いたγD−及びγSクリスタリンの化学修飾
PEG4を用いて、γクリスタリンタンパク質を修飾し、γクリスタリンタンパク質凝集に対するスペーサアーム長さの作用を調べた。NHS官能化PEG(NHSPEG4)との反応を再度実施して、修飾方法を同一に維持した。PEG4は、219.33g/モルの付加分子量及び1.6nmのスペーサアームを有し、そのいずれもPEG24より小さい。

MALDI−TOFデータは、γクリスタリン分子量全体の増大を明らかにしたが、これは、PEG4による修飾を示すものである。(図5)γDクリスタリンに認められる最大相対強度は、22,820m/zで起こったのに対し、γSクリスタリンの場合、これは、23,329m/zで発生し、これらは、それぞれ、各々のタンパク質に付加された、4及び5PEG4単位に相当する。相対強度ピーク付近にガウス分布があることに留意すべきであり、これは、高低両方の修飾度を有するタンパク質が存在することを示唆している。MALDI−TOFデータはまた、非修飾クリスタリンタンパク質が全く存在しないことも明らかにした。
CD分光法はここでも、ペグ化がγ及びαクリスタリンタンパク質の二次構造に有意に影響しないことを示した。(データは示してない)ネイティブ及びPEG4改変γクリスタリンタンパク質の間には優れた一致が認められた。
PEG4で修飾したγクリスタリンタンパク質のNICFは、単一指数関数的減衰を有したが、これは、溶液中の単一のサイズスケールの存在を示している。(図6)PEG24で修飾したγクリスタリンと同様に、凝集物は溶液中に存在しなかった。分布関数(図7)はここでも、Γ対qグラフにおける線形角度依存を示す単一セットのピークを呈示した(図8)。DLSにより測定したγDクリスタリンのRは、22℃及び37℃でそれぞれ2.8及び2.9nmであった。Rサイズは、ほぼ22.8kDaの修飾分子量と申し分なく相関する。修飾γDクリスタリンタンパク質のRは、その非修飾の先行物質より若干大きいため、タンパク質単量体サイズの若干の増加がDLSでも観測された。PEG4修飾γSクリスタリンタンパク質は、22℃及び37℃で2.9nmのRを有した。修飾タンパク質の全体的サイズは、非修飾γSクリスタリンと比較して増大せず、Rは、約23.3kDaの分子量と一致する。
NHSPEG4及びNHSPEG24で修飾したγクリスタリンタンパク質は、22°及び37℃で凝集を全く示さなかった。PEG4による修飾は、一般に、4〜5つの低分子量付加をもたらしたのに対し、PEG24の場合、γクリスタリンタンパク質毎に2〜3個の基が付加された。タンパク質毎に実施されたPEG4による修飾の数が多くなっても、凝集の阻止に有意な利益をもたらさなかった。同様に、より高い総量をPEG24でγクリスタリンに付加しても、凝集の阻止には全く利点をもたらさなかった。
PEG24で修飾したγクリスタリンタンパク質は、PEG4修飾と比較してやや大きなRを有した。いずれの修飾も、凝集物を生じなかったため、スペーサアーム長さは、凝集の阻止に有意に寄与しないと結論付けた。より大きなPEG鎖によって同様の結果が得られると推定される。
実施例5:CAPEGを用いたγD−及びγSクリスタリンの化学修飾
γクリスタリンのペグ化のための別の反応機序を調べるために、CAPEG4による修
飾を実施した。生理学的pH(6.8)で、CAPEG4の一級アミンは、やや陽荷電であるため、陰荷電アミノ酸であるアスパルギン酸及びグルタミン酸と反応することができる。あるいは、陽荷電アミノ酸が、CAPEG4のカルボン酸(CA)と反応することもできる。CAPEG4は、NHSPEG4と同様の理由で、単位当たりの付加分子量が小さく(265.3g/モル)、スペーサアームが短い(1.81nm)ものを選択した。

MALDI−TOFは、CAPEG4による修飾の結果生じたγクリスタリン分子量の相当の増大を明らかにした。(図9)いずれの溶液中にも非修飾γクリスタリンは一切なかったが、これは、反応条件が、タンパク質修飾に十分であったことを示唆している。γDクリスタリンについて23,273m/zでの相対強度ピークは、5CAPEG単位がタンパク質に付加されたことを示している。γSクリスタリンについて、より高い解像度のMALDI−TOFスペクトルは、複数のはっきりしたピークが、22,867m/zすなわち2CAPEG4単位、23,089m/zでの相対強度最大値すなわち3CAPEG4単位、及び23,591m/zすなわち5CAPEG4単位を含むことを示した。
γクリスタリンのCAPEG4修飾のCD分光法は、PEG4及びPEG24で実施した修飾と類似の傾向を示した。(データは示していない)γSクリスタリン+CAPEG4は、非修飾γクリスタリンタンパク質との優れた相関を示した。修飾γDクリスタリンはここでも、220nmに若干の変動を呈示したが、全体として、曲線はネイティブγDクリスタリンと同様の形状をしている。
CAPEGによるγクリスタリンの修飾も、タンパク質の凝集を阻止した。NICFは、Γ対q線形依存を有する分布関数を生成する単一指数関数により表すことができる。(図10〜12)修飾γクリスタリンタンパク質は、22°及び37℃の両方においてその単量体形態で認められ、Rは、温度依存的であった。γDクリスタリンについては、拡散係数から、2.8nmの計算Rが得られ、γSクリスタリンの場合、この値は2.9mであった。R値は、PEG4で修飾したγクリスタリンとサイズが類似する以外に、それぞれγD−及びγSクリスタリンの23kDa及び23.5kDa修飾分子量と申し分なく相関した。
生理pH(6.8)でのCAPEGによるペグ化によって、酸性アミノ酸をターゲティングした。NHSPEGを用いて実施した反応と同様に、CAPEG修飾は、タンパク質の表面電荷全体を改変するはずである。陰荷電アミノ酸と反応することにより、親水性PEG鎖は、潜在的に荷電したアミノ酸を占めている。NHSPEG4と同様のサイズ及び修飾数(4〜5)を有するため、CAPEG4で改変したγクリスタリンは、酷似した修飾をもたらす。NHSPEGに代わりCAPEG4を用いる潜在的な利点は、反応物中にNHS脱離基がないことである。
特定の理論に束縛されるわけではないが、CAPEG修飾もやはり、タンパク質表面電荷が、γクリスタリン凝集物の形成に重要な因子であることを示唆している。PEG部分はタンパク質に添加されるため、表面の疎水性が改変され、凝集を阻止することも可能である。この実験から得られた極めて重要な情報は、酸性又は塩基性酸による修飾によって凝集を阻止できることである。
実施例6:MMPEGを用いたγD−及びγSクリスタリンの化学修飾
マレイミド官能化PEGは、γクリスタリンタンパク質がペグ化され得るさらに別の反応機序である。チオール基は、マレイミド官能基の二重結合によってマイケル(Michael)付加反応が可能である。いずれのγクリスタリンタンパク質も、チオール末端基を含有する複数のシステインアミノ酸残基を含む。MMPEG24(MM)によるγクリスタリンのペグ化は、システインアミノ酸によってそのようにして起こる。この反応機序による修飾は、総タンパク質電荷が影響されないと考えられるため、前のペグ化実験に特有のものである。特に、単位当たり付加される高い分子量(1239.44g/モル)及び長いスペーサアーム(9.53nm)が、PEG24と同等であることから、MMPEG24を選択した。

MMPEG24で修飾したγクリスタリンタンパク質のMALDI−TOFスペクトルは、最小からゼロの非修飾γクリスタリンが認められる3つのはっきりしたピークを示した。(データは示していない)4つのγDクリスタリンピークが、1つ、2つ、及び3つの修飾に対応する23187、24426、25666m/zで観測された。γSクリスタリンの場合、1つ、2つ、及び3つの修飾に対応する23565、24426、25666m/zでピークが観測された。両クリスタリンタンパク質の最も高い相対強度は、2つ修飾で発生した。
ここでも、ネイティブ及びペグ化γクリスタリンタンパク質の間で優れた一致が認められた。いくつかの例では、システインのチオール基が、二次構造をもたらす構造統合性を付与する分子内ジスルフィド結合に関与することがわかっている。MM修飾γD−及びγSクリスタリンスペクトルのいずれも、ネイティブγクリスタリン状態と同様の二次構造を示すことから、修飾によってタンパク質構造は変化しなかったと結論付けた。(データは示していない)
そのシステイン残基を介したγクリスタリンのペグ化は、凝集を阻止しなかった。NICF曲線(データは示していない)は、角度依存を有し、これにより、2つのはっきりしたピークのセットを持つ分布機能がもたらされた(図13)。Γ対qグラフは、線形角度依存を有する2つの傾きを呈示したが、これは、低速及び高速拡散係数の存在を示している。(データは示していない)37℃で、低速なモードにより、γDクリスタリンについては80nm、またγSクリスタリンについては85nmのRが得られた。大きなサイズは、タンパク質が溶液中に凝集していることを示した。高速モードは、γD−及びγSクリスタリンについて2.8nm及び3.0nmのRを有する単量体γクリスタリン
タンパク質に37℃で対応する。
マレイミド官能価を介したペグ化が、凝集を阻止しなかったことは、γクリスタリン凝集物の形成に関する重要な情報を提供する。MMPEG24及びNHSPEG24は、いずれも同様の数の修飾をもたらすことから、表面被覆及びγクリスタリンタンパク質周辺のスペーサ基も同等でなければならない。MMPEG24修飾で観測された凝集物から、凝集の阻止が、完全には親水性スペーサ分子に依存性となりえないことが明らかである。
非荷電アミノ酸によるタンパク質のペグ化が凝集を阻止しなかったことをみいだしたことで、凝集機序への重要な眼識が得られた。MMPEGとNHSPEG又はCAPEGの重要な違いは、マレイミド反応によるペグ化が、タンパク質の荷電アミノ酸をターゲティングしない点である。特定の理論に束縛されるわけではないが、これは、表面電荷及び静電が、凝集の形成に主要な役割を果たしており、凝集を破壊する場合、これらをターゲティングしなければならないことを示唆している。
実施例7:BIOTINを用いたγD−及びγSクリスタリンの化学修飾
ビオチンは、アビジンに対するその高い結合親和性のために、タンパク質修飾に一般に用いられる分子である。タンパク質をビオチンで標識し、in vivo又はin vitroでの反応に付した後、アビジンカラムを用いて、バルクから分離又は精製することができる。NHSビオチン分子は、PEG4及びPEG24と同じ機序により反応するが、付加される分子は、もはや親水性ではなく、むしろ高度に荷電された末端基を含むことから、これを選択した。単位当たり付加された分子量は、226.38g/モルで、スペーサアームは1.38nmであった。

γクリスタリンタンパク質は、MALDI−TOFに示される通り、首尾よくビオチンで修飾した。(データは示していない)γDクリスタリンのピーク修飾は、8単位(23758m/z)であったが、γSクリスタリンのピーク発生は、4単位(23325m/z)であった。いずれの系も、非修飾γクリスタリンを全く呈示しなかったが、これは、完全な修飾のために反応条件が十分であることを示している。
CDスペクトルは、タンパク質のネイティブ構造と比較してかなり大きな上向きのシフトを示した。(データは示していない)220nm付近で、より浅いウェルが認められたが、これは、修飾と二次構造の間の良好な相関の傾向に反するものである。スペクトルの変化は、タンパク質の二次構造が修飾により乱されたことを示し得る。スペクトルのシフトにもかかわらず、曲線の全体的形状は、類似しており、無秩序又はランダムなコイルの兆候はなかった。
ビオチンで修飾したγクリスタリンについて、γクリスタリンタンパク質の凝集を観察した。NICFは、2セットのピークを有する分布関数もたらす低速及び高速モードを示
した(図14)。分布関数の角度依存を、Γ対qグラフに認めることができ、ここで、低速及び高速モードの間に量的な差が見られた。22℃で、高速及び低速モードのRは、γDクリスタリンについては2.8nm及び150nmであり、またγSクリスタリンの場合、これらの値は2.6nm及び180nmであった。低速及び高速モードは、37℃でも観測され、R値は、22℃の値と類似していた。
NHSBiotinで修飾したγクリスタリンの凝集から、修飾分子(すなわち、分子の毛)の官能価が重要であることがわかる。機構的に、ビオチンは、NHSPEGと同じ様式でγクリスタリンを修飾した。従って、γクリスタリンの荷電アミノ酸を修飾するだけでは、凝集を阻止するのに不十分である。ビオチン及びPEG4を用いて同等程度の修飾が起こったが、これは、タンパク質の等電点の同等のシフトを意味する。ビオチンで修飾したγクリスタリンの場合に起こった凝集のために、γクリスタリンタンパク質の等電点を単にシフトするだけでは、凝集を阻止するのに不十分である。さらにビオチン化系のDLS測定もまた、γクリスタリンの表面にスペーサ分子を単に付加することによって凝集を阻止することはできないという見解を支持している。
PEGとビオチンの間の化学的性質の明瞭な相違が、一方は凝集を阻止し、他方は阻止しない理由である。PEGは、柔軟な親水性分子であるのに対し、ビオチン官能基は、水素結合及び陰荷電の安定化を可能にする。従って、PEGの特性は、タンパク質の溶解性を促進するが、ビオチンは、凝集物の疎水性及び静電性質に寄与する。
実施例8:BIOTIN−PEGを用いたγD−及びγSクリスタリンの化学修飾
ビオチンを用いたγクリスタリンタンパク質の修飾により、凝集が起こったため、タンパク質とビオチン官能基との間に親水性スペーサを組み込んだNHSBiotinPEGを用いることが提案された。PEGの親水性が、γクリスタリン凝集の阻止における重要な因子であると考えられた。NHS官能化を用いて、反応機序を一定に維持する。単位当たり付加された分子量は、825.64g/モルであり、スペーサアームは5.6nmであった。

分子量の明らかなシフトがMALDI−TOFに認められ、これは、BiotinPEG12によるγクリスタリンタンパク質の修飾を示している。(データは示していない)γDクリスタリンは、1つ、2つ、及び3つの修飾に対応する22760、23582、及び24404m/zで観測可能な3つのはっきりしたピークを有した。γSクリスタリンの解像により、1〜5つの修飾に対応する23001、23816、24669、25470、及び26122m/zにMALDI−TOFピークが得られた。MALDI−TOFスペクトルも、非修飾γクリスタリンを全く示さなかったため、十分な反応条件を証明した。
修飾したγクリスタリンタンパク質の二次構造は、CDスペクトルに認められるように、ネイティブγクリスタリンのそれとよく一致した。(データは示していない)ビオチンだけで修飾したγクリスタリンについてのCDスペクトルに認められるウェルは、もはやはっきりとしない。修飾のPEG部分は、タンパク質とビオチン官能基との間にスペーサを提供する以外に、溶解度の増大をもたらす可能性が高い。
ビオチン官能基へのPEGの組込みにもかかわらず、NICFの低速及び高速モードに認められるように、依然として溶液中に凝集物が存在した。(データは示していない)分布関数(図15)は、2セットのピークを含み、これらは角度依存を示す。Γ対qグラフは、明らかに2つの明瞭な線形フィットを示し、その傾きは、低速及び高速拡散モードをもたらす。(データは示していない)高速拡散係数は、単量体γクリスタリンに対応し、ここで、γDクリスタリンは、22℃で2.7nmのRを有し、γSクリスタリンは、2.6nmであった。低速拡散係数は、22℃でγDクリスタリンについては105nm、γSクリスタリンについては115nmのRで、溶液中に存在する大きな凝集物を呈示した。同様のRの凝集物が、37℃でも観測された。
タンパク質とビオチン官能基との間のスペーサとしてのPEGの使用は、凝集を阻止する助けとならなかった。特定の理論に束縛されることなく、また、ビオチンがγクリスタリンの等電点をシフトしたことに関する上の論述を参照して、これらの実験結果は、凝集物形成において疎水性が静電より優位であることも示唆している。また、BiotinPEGの長いスペーサアームによっても、凝集は阻止されなかったが、これは、スペーサ分子の長さが、凝集を回避する(deturing)上で重要な因子ではないという傾向をさらに支持するものである。BiotinPEGで改変したγクリスタリンが、低速モード、又はビオチン修飾より小さい凝集物Rを有し、これは、PEGが凝集の抑制を助けることを示唆することに留意すべきである。
実施例9:スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミド酢酸塩(SA)を用いたγD−及びγSクリスタリンの化学修飾
大きな分子量及びスペーサアームによる前の修飾が依然として凝集を招いたことから、低侵襲性の修飾が研究された。最終的修飾は、最小分子量(43g/モル)及びスペーサアーム(酢酸塩分子)を組み込んだスルホ−N−ヒドロキシスクシンイミド酢酸塩を用いて実施した。反応機序は、PEG4のそれと同様であり、従って、荷電アミノ酸基を介して反応させることにより、γクリスタリンの等電点は影響を受けるであろう。
MALDI−TOFにおいて、γクリスタリンタンパク質の重量にわずかなシフトが観測された。(データは示していない)γDクリスタリンについてのピーク相対強度は、22209m/zで、γSクリスタリンについては、22562m/zで発生し、それぞれ、6個及び7個のアセテート基に対応する。ピークは、非修飾タンパク質を呈示しなかったが、これは、十分な反応条件を示すものである。ピーク相対強度付近のガウス分布は、一部のクリスタリンタンパク質が、高低両方の程度の修飾を有することを示した。
いずれの修飾γクリスタリンタンパク質についてのCDスペクトルも、ネイティブγクリスタリンと比較して、220nm付近に、より小さなウェルを示した。(データは示していない)CDスペクトルの変化は、ビオチン修飾でも観測された。ランダム又は無秩序状態の兆候はないが、修飾により二次構造がやや影響され得ると考える根拠がある。
NICFを調べると、アセテート基によるγクリスタリンの修飾は、凝集を阻止しなかったことが明らかである。(データは示していない)分布関数を図16に示す。低速及び高速拡散モードの角度依存をΓ対qグラフに認めることができる。(データは示していない)37℃でのγDクリスタリンの場合、高速及び低速拡散係数は、2.6nm及び8
5nmのRに対応する。37℃でのγSクリスタリンのRは、2.5nm及び90nmであった。高速モードRは、分子量が約22kDaの修飾γクリスタリンタンパク質に適切なサイズである。室温で実施した測定から得られたR値は、同様の結果を示した。
最小スペーサアームを用いて、タンパク質の等電点をシフトする試みで、SA修飾を実施した。凝集物は溶液中に存在したものの、凝集物サイズは、非修飾γクリスタリンより小さかった。タンパク質当たりの多数の修飾により、等電点の実質的シフトが凝集物のサイズを縮小したことが考えられる。特定の理論に束縛されるわけではないが、凝集は依然として溶液中に存在することから、γクリスタリンタンパク質が等電点に近いことだけが凝集現象の原因になるわけではないと結論付けた。
実施例3〜9の結果を以下の表にまとめる:
表4:二官能価帯電マスキング剤を用いた結果のまとめ

本明細書に示す結果から、静電がγクリスタリン凝集の重要な要素であることがわかる。静電による凝集は、高塩濃度又は二官能価帯電マスキング剤を用いて、有効に阻止することができる。γクリスタリン凝集の機序について理解を深めることにより、白内障及び老眼の治療に特に有用な新規クラスの薬剤が得られた。
方法:ヒト死体水晶体の摘出及び特性決定
死亡から約24時間以内に、眼球を摘出し、スライスして、ガラス体を採取する。水晶体を切除して、オプティゾル(Optisol)(登録商標)と称するインキュベーション培地に導入する。オプティゾル(Optisol)(登録商標)は、コンドロイチン硫
酸、デキストラン40、オプティゾルベース粉末、二酸化ナトリウム、ゲンタマイシン、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、L−グルタミン、2−メルカプトエタノール及び精製水を含有する角膜保存培地である。ODは右眼、OSは左目である。

水晶体混濁は、LOCS IIIシステムに従い分類する。LOCS III測定は、スリットランプ顕微鏡を用いて実施した。LOCS IIIは、白内障研究センター(Center for Clinical Cataract Research)、ボストン、マサチューセッツ(MA)の白内障スライドライブラリーの縦断的研究から選択される標準の広範なセットを含有する。これは、核の色(NC)及び核の乳光(NO)を等級付けするための6つのスリットランプ画像、皮質白内障(C)を等級付けするための5つの反帰光線法画像、並びに後嚢下(P)白内障を等級付けするための5つの反帰光線法画像を含む。白内障の重症度は、小数点以下の桁数で等級付けし、標準は、スケール上に規則的にあけた間隔を有する。
実施例10:上皮を介したヒト死体水晶体輸送におけるCAPEG4の試験
上皮構築物を介したCAPEG4の輸送を調べた。上皮は、角膜の外層であり、上皮からの輸送は、困難であることがわかっている。目標は、CAPEG4構築物を、眼の前方からの輸送のための点眼製剤に使用できることを証明することであった。
具体的には、溶液中のCAPEG4構築物を、培地及び上皮構築物を含有する装置の上部に添加した。(図19)。上皮構築物は、1層のヒト角膜上皮細胞から構成される。15〜120分で、培地の上部及び底部からアリコートを採取した。図20は、細胞の底部に輸送されたCAPEG4を示す。
図21は、添加したCAPEG4のmg/mlに対するオピゾル(Opisol)(登録商標)のpHを示す。表5及び表6にもデータを示す。全体として、ここで、クエン酸によりオプティゾル(Optisol)(登録商標)培地のpHを、CaPEGアミンを含有するオプティゾル(Optisol)(登録商標)の同じpHへと単純に変える(低下させる)だけでは皮質白内障に軽減は見られなかったことから、皮質及び後嚢下白内障の軽減は、CAPEG4によるものであって、培地のpH作用によるものではないことが立証された。混濁の軽減には、活性剤の存在が必要であった。
表5:1m g/ml CAPEG4

表5:16mg/mL

実施例11:ヒト死体水晶体でのCAPEG4の試験−ヒト死体水晶体における白内障の軽減
全てのケースで、対照は、オプティゾル(Optisol)(登録商標)培地である。
残るデータポイントは、オプティゾル(Optisol)(登録商標)を含むCAPEG4溶液を用いて処理した単離ヒト死体水晶体についてである。
表6は、対照培地又は10mg/mLのCAPEG4と一緒にインキュベートした水晶体の、時間に対する結果を示す。表6では、前面皮質下で、10mg/mlのCAPEG4とインキュベートした水晶体の場合、1.0、1.0及び0.9のLOCS III等級が認められる。対照のLOCS等級は、1.0、1.2及び0.9である。10mg/mlでは、対照サンプルに対する実験に有意な変化はなかった。
表6:オプティゾル(Optisol) (登録商標)又は10mg/ml のCAPEG4と一緒にインキュベートした白内障の、時間に対するLOCS III等級付け

表7は、対照培地又は50mg/mlのCAPEG4と一緒にインキュベートした水晶体の、時間に対する結果を示す。表7では、前面皮質下で、全サンプルについて、1.0のLOCS III等級、及び全サンプルについて2.0の核混濁(NO)等級が認められる。対照及び72時間までの50mg/mlインキュベーションとの間に、皮質白内障及びNOについて有意な差はなかった。核の色(NC)は、対照及び50mg/mlのCAPEG4溶液中でのインキュベーション時の両方で、時間と共にやや増加した。後嚢下白内障において、0及び24時間の時点で1.1から0.9へと若干の改善が見られた。
表7:オプティゾル(Optisol) (登録商標)又は50mg/ml のCAPEG4と一緒にインキュベートした白内障の、時間に対するLOCS III等級付け

表8は、対照培地又は100mg/mlのCAPEG4と一緒にインキュベートした水晶体の、時間に対する結果を示す。CAPEG4インキュベーションについて、それぞれ0及び24時間の時点で乳光の低下(NO:1.8から1.2)、並びに72時間までの皮質及び核の色のわずかな改善が見られる。
表8:オプティゾル(Optisol) (登録商標)又は100mg/mlのCAPEG4と一緒にインキュベートした白内障の、時間に対するLOCS III等級付け

表9は、様々な眼を用いた表8の実験の反復を示す。PS(後嚢下白内障)下、100mg/mlのCAPEG4でインキュベートしたサンプルは、0、24及び72時間でそれぞれ1.8、1.5、及び1.0の値を有した。また、0、24及び72時間でそれぞれ3.0から2.6及び2.0へと皮質白内障の軽減も見られた。
表10:オプティゾル(Optisol) (登録商標)又は100mg/mlのCAPEG4と一緒にインキュベートした白内障の、時間に対するLOCS III等級付け

表10は、対照培地又は200mg/mLのCAPEG4と一緒にインキュベートした水晶体の、時間に対する結果を示す。皮質白内障は、0、24、及び72時間の時点でそれぞれ2.5から2.2そして2.0へと軽減した。対照も、24及び72時間の時点でそれぞれ3.3から3.0へと皮質白内障に若干の軽減を示している。
表10:オプティゾル(Optisol) (登録商標)又は200mg/mlのCAPEG4と一緒にインキュベートした白内障の、時間に対するLOCS III等級付け

表11は、対照培地又は200mg/mlのCAPEG4と一緒にインキュベートした水晶体の、時間に対する結果を示す。CAPEG4溶液の皮質白内障に、0、24、及び72時間の時点でそれぞれ1.3から1.0そして0.9へとわずかな低減が観測された。
表11:オプティゾル(Optisol) (登録商標)又は200mg/mlのCAPEG4(オプティゾル(Optisol) (登録商標)中)と一緒にインキュベートした白内障の、時間に対するLOCS III等級付け

表12は、CAPEG4を添加せずに、オプティゾル(Optisol)(登録商標)のpHを変えた結果を示す。pHは、クエン酸の添加により低下させた。白内障に対してオプティゾル(Optisol)(登録商標)のpHの変化の影響はなかった。
表12:オプティゾル(Optisol) (登録商標)のpHの白内障に対する影響

死体水晶体の試験の場合、LOCS III等級の出発点が異なるのは、患者の出発状態がまちまちであるためである。オプティゾル(Optisol)中のCAPEG4の濃度が増すにつれ、水晶体嚢胞にしわが観察され、客観的にも水晶体体積の幾分かの減少を示した。
「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、量の限定を示すのではなく、指示された項目のうちの少なくとも1つの存在を示す。「又は」という用語は、「及び/又は」を意味する。「含む」、「有する」、「包含する」、及び「含有する」という用語は、オープンエンドの用語(すなわち、「限定はしないが、〜を含む」を意味する)と解釈すべきである。本明細書に開示する範囲は全て、包括的で、組み合わせが可能である。
本明細書では、本発明者らが知る最良の形態を含む実施形態が説明される。以上の説明を読めば、当業者には、このような実施形態の変形が明らかになるであろう。当業者は、必要に応じてこのような変形を用いることが予想され、開示された方法は、本明細書で具体的に記載されたものとは別の形で実施されることが予想される。従って、本明細書に添付する特許請求の範囲で列挙される対象物に対するあらゆる改変物及び同等物が、関連法
規により許容される範囲まで包含される。さらに、本明細書で別途指示されるか、あるいは、文脈から明らかに矛盾しない限り、考えられるあらゆる変形における、上に記載した要素の任意の組合せも包含される。



  1. 眼における白内障形成若しくは老眼の進行を阻害するか、又は後退させる方法において、
    眼を、少なくとも1種のγクリスタリン帯電マスキング剤を含む、白内障の阻害に有効な量の眼科用組成物と接触させるステップを備え、前記帯電マスキング剤は、ポリペプチドではない方法。

  2. 前記眼科用組成物が、前記γクリスタリン帯電マスキング剤として、400mMを超える塩を含む、請求項1に記載の方法。

  3. 前記γクリスタリン帯電マスキング剤が、分子の毛に共有結合した脱離基を含有する二官能価分子である、請求項1に記載の方法。

  4. 前記脱離基が、γクリスタリン上の陽荷電リシン及びアルギニンのアミノ酸残基又は陰荷電グルタミン酸及びアスパラギン酸のアミノ酸残基をマスキングする、請求項3に記載の方法。

  5. 前記脱離基が、スクシンイミド及びカルボン酸官能基から選択される、請求項4に記載の方法。

  6. 前記脱離基が、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、イソチオシアネート、塩化スルホニル、アルデヒド、カルボジイミド、アシルアジド、無水物、フルオロベンゼン、炭酸塩、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、エポキシド及びフルオロフェニルエステル、並びにCOOHから選択される、請求項4に記載の方法。

  7. 前記分子の毛が、150〜8000の分子量を有する、親水性の水溶性分子である、請求項3に記載の方法。

  8. 前記分子の毛が、4〜200個のオキシエチレン、アルコキシエチレン若しくはアリールオキシエチレン基を有するポリエチレングリコール、アルコキシ−ポリエチレングリコール、又はアルコキシポリエチレングリコール;ポリ(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA);ポリ(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA);ポリ(2−オキサジリン)、ポリ(m−ホスホコリン、ポリリシン、又はポリグルタミン酸である、請求項7に記載の方法。

  9. 前記γクリスタリン帯電マスキング剤が、以下:
    である、請求項3に記載の方法。

  10. 前記眼科用組成物が、点眼剤又は眼科用デバイスである、請求項1に記載の方法。

  11. 前記眼科用デバイスが、コンタクトレンズ、眼内レンズ又は涙点プラグである、請求項10に記載の方法。

  12. 前記眼科用組成物が、注射により投与される、請求項1に記載の方法。

  13. 前記眼科用組成物が、イオン電気導入により投与される、請求項1に記載の方法。

  14. 前記眼科用組成物が、超音波増強を用いて投与される、請求項1に記載の方法。

  15. 分子の毛に共有結合した脱離基を含有する二官能価分子を含む眼科用組成物。

  16. 前記脱離基が、スクシンイミド及びカルボン酸官能基から選択される、請求項15に記載の眼科用組成物。

  17. 前記脱離基が、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、イソチオシアネート、
    塩化スルホニル、アルデヒド、カルボジイミド、アシルアジド、無水物、フルオロベンゼン、炭酸塩、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、エポキシド及びフルオロフェニルエステル、並びにCOOHから選択される、請求項15に記載の眼科用組成物。

  18. 前記分子の毛が、150〜8000の分子量を有する、親水性の水溶性分子である、請求項15に記載の眼科用組成物。

  19. 前記分子の毛が、4〜200個のオキシエチレン、アルコキシエチレン若しくはアリールオキシエチレン基を有するポリエチレングリコール、アルコキシ−ポリエチレングリコール、又はアルコキシポリエチレングリコール;ポリ(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA);ポリ(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA);ポリ(2−オキサジリン)、ポリ(m−ホスホコリン)、ポリリシン、又はポリグルタミン酸である、請求項18に記載の眼科用組成物。

  20. 前記二官能価分子が、以下:
    である、請求項15に記載の眼科用組成物。

  21. 前記眼科用組成物が、点眼剤又は眼科用デバイスである、請求項15に記載の眼科用組成物。

  22. 前記眼科用デバイスが、コンタクトレンズ、眼内レンズ又は涙点プラグである、請求項21に記載の方法。

  23. 眼における加齢性水晶体変性の進行を阻害するか、又は後退させる方法において、眼を、少なくとも1種のγクリスタリン帯電マスキング剤を含む、変性の阻害に有効な量の眼科用組成物と接触させるステップを含み、ここで、前記γクリスタリン帯電マスキング剤が、ポリペプチドではない方法。

  24. 治療を必要とする患者におけるタンパク質フォールディングに関する疾患を治療する方法において、分子の毛に共有結合した脱離基を含有する、治療に有効な量の二官能価分子を投与するステップを含む方法。

  25. 前記タンパク質フォールディングに関する疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病から選択される、請求項24に記載の方法。

 

 

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