メロペネム誘導体及びその使用

著者らは特許

A61K9/50 - マイクロカプセル(A61K9/52が優先)
A61K9/51 - ナノカプセル
A61K31/407 - 他の複素環系と縮合したもの,例.ケトロラック,フィソスチグミン
A61K45/06 - 化学的特性をもたない活性成分の混合物,例.消炎剤および強心剤
C07D477/20 - 硫黄原子
C07D487/04 - オルソー縮合系

の所有者の特許 JP2016517435:

カラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド

 

本発明は、メロペネムなどのβ−ラクタム系抗生物質の新規誘導体を提供する。本発明に係る化合物は式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、及びプロドラッグを含む。これらからなる粒子(例えば、ナノ粒子)及び医薬組成物であって、粘液貫通性であるものも提供される。本発明に係る粒子及び医薬組成物は本発明に係る化合物を患者の気道に送達することに役立ち得る。本発明は、さらに、肺疾患(例えば、気道感染症)を治療及び/又は予防するために、本発明に係る化合物、その粒子、及び/又は、その医薬組成物を用いる方法、並びに、これらを含むキットも提供する。


(I)
【選択図】なし

 

 

肺細菌感染症及びその合併症は、特に嚢胞性線維症患者で、罹患及び死亡の主要原因である。これらの感染症への現在の治療法では、抗生物質を肺組織に送達する必要がある。こうした送達技術は、侵襲性であり、且つ、入院又は訓練された医療関係者(例えば、静脈注射や筋肉注射)を必要とし、生体利用効率の乏しさ(例えば、経口投与)が問題となる上、全身的薬剤曝露に関連する有害作用など、その他の欠点もあり得る。吸引による治療薬の局所的投与は、非侵襲性で、簡便で、入院が不要であり、全身的暴露量やその潜在的関連有害副作用が減少する点で、送達法として好ましい。しかし、一般的には、吸引による抗生物質などの治療剤の送達は、送達効率が低く、クリアランスが高いため、有効ではない。吸引により肺へ抗生物質を薬剤送達するためのより効果的な方法が求められている。
β−ラクタム系抗生物質の一種であるメロペネムは、現在、広範な病原性細菌への静脈内治療に利用可能な抗生物質のなかで最も効能が優れたものの一つであり、例えば、嚢胞性線維症患者が肺気道感染により最も頻繁に罹る病原菌であるシュードモナス・アエルギノーサ(MIC90約8μg/mL)などに適用できる。メロペネムからなる従来の医薬組成物は、吸収が悪いため、経口投与に適していない。メロペネムを吸引可能な製品に改良することはできるかもしれないが、その高い水溶性(>1mg/mL)により可能な投与手段が限られるため、霧状溶液が唯一の選択肢である。霧状溶液として投与される場合の治療剤の服用量は、その溶解性により制限され、服用毎に特定の最大薬剤添加量が存在する。ネブライザーなどで溶液として服用されると、薬剤は肺から体循環へと極めて急速に移動するため、肺での局所的曝露は限られたものとなり、その結果、頻繁な服用が必要となる。さらに、噴霧は、難しく時間の掛かる工程なので、慢性的に用いられると(例えば、30日を超えて毎日投与されると)、患者の生活の質を著しく低下させる。
噴霧よりも好ましい治療薬送達法である、乾燥粉末吸引(dry−powder inhalable;DPI)薬剤製品としての改良など、メロペネムは吸引投与のための新規の方法及び医薬組成物による利益を受け得る。DPIによる送達は、霧状溶液よりも、服用毎の薬剤添加量を多くできる。さらに、この送達法は、噴霧に関連する患者への不便を解消する。このためには、改良された水不溶性の形態及び製剤のメロペネムを製造することにより、粒子ベースのメロペネム製剤を開発する必要がある。薬剤粒子の肺組織への効率的な送達のためには、粒子が粘液バリアを克服する必要もある。粘液層は、眼、鼻、肺、消化管、女性生殖管をはじめとする体への進入点の様々な場所に存在し、病原菌、アレルゲン、及びゴミを粘液のターンオーバーにより効率的に捕獲し迅速に除去することでそれらから体を守る働きをしている。粘膜を介して治療薬粒子を効率的に送達するためには、粘液との接着や急速な粘液クリアランスを回避できるよう、粒子が粘液層を容易に浸透できる必要がある。しかし、吸引により投与された粒子を気道(例えば、肺、気管、又は、気管支)の組織に有効量送達することは、急速なクリアランス及び/又はその他の理由で、しばしば難しい。そのため、服用毎の薬剤濃度が高く、粘液バリアを効率的に浸透する、メロペネムなどの治療剤を肺に送達するための新規の医薬組成物及び製剤が必要とされている。
気道への薬剤送達は特に難しい。水溶性薬剤の従来の薬剤送達法(例えば、経口又は注射投与)には、様々な欠点がある。例えば、細菌感染症(例えば、院内肺炎、重症市中肺炎、嚢胞性線維症など)の治療のために抗生物質のメロペネムを気道に送達することは難しく、メロペネムは静脈内投与されるのみであった。メロペネムの経口服用は吸収が悪いため、メロペネムからなる従来の医薬組成物は経口投与に適さない。吸引投与は治療剤を対象組織に効率的に送達することができるかもしれないものの、メロペネムは、噴霧により気道上皮に局所的に投与することのみが可能な水溶性薬剤であり、肺から急速にクリアランスされる可能性があり、そのため、頻繁で多量の服用が必要となる。気道や両肺に局所的に送達するためのより好ましい方法としては、薬学的に許容される担体粒子に結び付けられた不溶形態のメロペネムの小粒子を含む担体粒子ベースの製剤から構成されるだろう乾燥粉末吸引(DPI)薬剤製品を用いる方法が挙げられる。
患者の様々な組織(例えば、気道、消化管、眼、尿生殖路)で観察される粘液は、多種の異物(例えば、微生物、粒子、埃など)を捕捉する粘弾性と接着性を有する物質である。効率的薬剤送達という観点において、粘液中に固定された粒子は、粘液クリアランス機構により迅速に排除されるため、そのペイロードを効率的に送達することはできない。粒子でペイロードを効率的に送達するためには、粒子が粘液を迅速に浸透し及び/又は粘液クリアランス機構を回避する必要がある。従って、粘膜付着性材料を被膜で改質して粒子の粘膜付着性を低下させることや、粒子のサイズを粘液ゲル孔のサイズより小さくすることで、粒子の効率的送達を可能にできる。
本発明は、様々な気道感染症の治療のためにメロペネム及び他のβ−ラクタム系抗生物質を製剤化し患者の呼吸器系に送達することに関連する課題を解決する。一態様では、本発明は、まず、以下の式(1)で示されるメロペネムの誘導体などのβラクタム系抗生物質の新規な水不溶性誘導体を提供する。
メロペネム(1)
ある実施形態では、本発明は、以下の式(I)の化合物
(I)
並びに、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、及び同位体標識誘導体(但し、R、R、R、及びRは本明細書に記載の通り)を提供する。元のβ−ラクタム系抗生物質と比較すると、本発明に係る誘導体は、低い親水性及び/又は水溶性を示し得る。本誘導体は、従来の医薬組成物として患者に投与される際、元のβ−ラクタム系抗生物質よりも改善された生体利用効率(例えば、経口生体利用効率)を示し得る。さらに、本誘導体は、患者の気道への吸引投与のために適している粘液浸透粒子(mucus−penetrating particles;MPP)及び/又は粘液浸透結晶(mucus−penetrating crystals;MPC)により容易に加工できる。元のβ−ラクタム系抗生物質への本誘導体の上述の優位性は、本誘導体の低い親水性及び/又は水溶性に起因するのかもしれない。ある実施形態では、本発明に係る化合物は結晶質である。本誘導体は、通常、生体内で変換されて、元となったβ−ラクタム系抗生物質となる。本発明に係る化合物の特定例として、以下の式(I−A−1)の化合物
(I−A−1)
並びに、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、及び同位体標識誘導体が挙げられる。生体内で、式(I−A−1)の化合物は、加水分解して、元の抗生物質であるメロペネムとなる。一態様では、式(I−A−1)の化合物は結晶質である。別態様では、本発明は本化合物の製造法を提供する。本発明に係る化合物は、β−ラクタム系抗生物質の極性部分(例えば、アミノ基やカルボキシル基)をアシル化して、元のβ−ラクタム系抗生物質より疎水性の高い製品を得ることで、合成できる。ある実施形態では、本発明に係る化合物の製造法は、式(i−A)の化合物、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を、式(i−B)の化合物と反応させて、式(i−C)の化合物、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を得ること、
(i−A)
(i−B)
(i−C)
式(i−C)の化合物、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を、塩基の存在下で、式(i−D)の化合物と反応させて、式(I)の化合物、その薬学的に許容される、塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を得ることを備える。
(i−D)
別態様では、本発明は式(I)の化合物を含む粒子を提供する。一態様では、本発明は結晶質である式(I)の化合物を含む粒子を提供する。ある実施形態では、本粒子は粘液を浸透する。本発明に係る粒子はコアを囲む被膜を含み得る。コアは、本発明に係る化合物を主成分として含有するか、又は、ポリマー内に当該化合物がカプセル化されているポリマー性コアであってもよい。ある実施形態では、本発明に係る化合物からなる本発明の粒子はナノ粒子(例えば、少なくとも約10nmで約1μm未満の平均直径を有する粒子)である。本発明に係る粒子は、医薬剤を患者に送達することに役立ち得る。ある実施形態では、本発明に係る粒子は、医薬剤を患者の気道に送達する能力を有する。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物を含む本発明に係る粒子は、DPI薬剤製品中のより大きな担体粒子に結び付けられている。そのため、本発明に係る粒子(直に投与され、又は、本発明に係る粒子を肺に送達するDPI薬剤製品中のより大きな担体粒子に結び付けられた状態で投与される)は、気道の粘液を浸透し、そこに医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)を送達することにより、気道疾患の治療に役立ち得る。
本発明の別態様は、本発明に係る化合物及び/又は複数の本発明に係る粒子を含む医薬組成物に関する。ある実施形態では、本医薬組成物は医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)を患者に送達することに役立つ。本発明に係る医薬組成物は、気道感染症(例えば、インフルエンザ、気管支炎、肺炎)などの患者の気道疾患を治療及び/又は予防することにも役立ち得る。
本発明の別態様は、乾燥粉末吸引器により送達される医薬組成物であって、粘液を浸透する複数の本発明に係る粒子及び薬学的に許容される担体粒子を含む吸引可能な乾燥粉末を備える医薬組成物に関する。
別態様では、本発明は、本発明に係る化合物、複数の本発明に係る粒子、及び/又は、本発明に係る医薬組成物を含むキットを提供する。本発明に係るキットは、さらに、本化合物、本粒子、又は本医薬組成物を患者に投与するための指示書又は医療専門家向け添付文書を含んでもよい。
本発明の別態様は、必要のある患者において気道疾患を治療及び/又は予防するための方法に関する。ある実施形態では、治療及び/又は予防される呼吸器疾患は、上部気道疾患(例えば、インフルエンザ)である。ある実施形態では、治療及び/又は予防される呼吸器疾患は、下部気道疾患(例えば、肺疾患)である。ある実施形態では、治療及び/又は予防される肺疾患は、肺疾患(例えば、嚢胞性線維症又は肺炎などの肺感染症)である。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。いくつかの実施形態では、患者は嚢胞性線維症及び肺感染症のヒトである。
本発明の別態様は、本発明に係る化合物の患者の組織(例えば、気道)への送達を増加させる方法に関する。
さらなる別態様では、本発明は、気道の対象組織の表面での本発明に係る粒子の被覆均一性を増加させる方法を提供する。本発明は、気道の対象組織の表面での、本発明に係る粒子に含まれる医薬剤の被覆均一性を増加させる方法も提供する。
本発明の別態様は、患者の組織(例えば、気道)での本発明に係る化合物の濃度を増加させる方法に関する。本発明の別態様は、患者の気道での本発明に係る化合物の持続時間を増加させる方法に関する。
ある実施形態では、本発明に係る方法は、患者に本発明に係る、化合物、粒子、及び/又は、医薬組成物を投与することを備える。ある実施形態では、本化合物、本粒子、又は本医薬組成物は吸引により投与される。ある実施形態では、本化合物又は化合物を含む本粒子は粘液を浸透するように製剤化される。別の実施形態では、医薬組成物は、粘液を浸透する、化合物又は化合物を含む粒子を備える。
本発明に係る具体的な実施形態の詳細を以下で記載する。「発明を実施するための形態」、「図面」、「実施例」、及び「特許請求項の範囲」から、本発明の他の特徴、課題、及び利点は明らかとなるだろう。
(定義)
特定の官能基及び化学用語の定義を以下に詳細に記載する。化学元素は、『Handbook of Chemistry and Physics』(75版)の内表紙にある『Periodic Table of the Elements, CAS version』に従って同定し、特定の官能基は以下で示すように一般的に定義する。有機化学の一般原則並びに特定の官能基及び反応性は、Thomas Sorrell著『Organic Chemistry』(University Science Books、ソーサリト、1999年刊)、Smith及びMarch著『March’s Advanced Organic Chemistry』(5版)(John Wiley&Sons,Inc.、ニューヨーク、2001年刊)、Larock著『Comprehensive Organic Transformations』(VCH Publishers,Inc.、ニューヨーク、1989年刊)、Carruthers著『Some Modern Methods of Organic Synthesis』(3版)(Cambridge University Press、ケンブリッジ、1987年刊)に記載されている。
本発明に係る化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得るので、例えば、エナンチオマー及び/又はジアステレオマーなどの様々な異性体の形態で存在し得る。例えば、本発明に係る化合物は、それぞれ、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくは、幾何異性体の形態、又は、ラセミ混合物や1つ以上の立体異性体に富む混合物をはじめとする立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)やキラル塩の形成と結晶化をはじめとする当業者にとって周知の方法により混合物から単離可能であり、好ましい異性体は、不斉合成により製造することが可能である。例えば、Jacques等著『Enantiomers, Racemates and Resolutions』(Wiley Interscience、ニューヨーク、1981年刊)、Wilen等著『Tetrahedron』(33巻、2725号、1977年刊)、Eliel著『 Stereochemistry of Carbon Compounds』(McGraw−Hill、ニューヨーク、1962年刊)、Wilen著『Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions』の 268頁(E.L.Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、ノートルダム、インディアナ州、1972年刊)を参照。本発明は、さらに、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、または、代わりに、様々な異性体の混合物として、本発明に係る化合物を包含する。
数値範囲が記載されている場合、それはその範囲内の各数値及び副範囲を包含することを意図している。例えば、『C1−6』は、C、C、C、C、C、C、C1−6、C1−5、C1−4、C1−3、C1−2、C2−6、C2−5、C2−4、C2−3、C3−6、C3−5、C3−4、C4−6、C4−5、及びC5−6を含むことを意図している。
『脂肪族』という用語は、本明細書では、任意に1つ以上の官能基で置換される、飽和又は不飽和で、直鎖状(即ち、非分岐状)、分岐状、非環式、環式、又は多環式の脂肪族炭化水素を含む。当業者であれば理解できるように、『脂肪族』は、本明細書では、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルの部分を非限定的に含むことを意図している。
『ヘテロ脂肪族』という用語は、本明細書では、炭素原子の代わりに1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、リン、及びケイ素)を含む脂肪族部分のことを指す。例えば、C1ー12ヘテロ脂肪族部分は、1−12個の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子を含む。ヘテロ脂肪族部分は、飽和又は不飽和であってもよく、結合価が許容する限り任意の数の不飽和結合(例えば、二重結合、三重結合)を含んでもよい。
ヘテロ脂肪族部分は、分岐状、非分岐状、環式、又は非環式で、モルホリノやピロリジニル等の飽和又は不飽和ヘテロ環を含んでもよい。ある実施形態では、ヘテロ脂肪族部分は、その水素原子の1つ以上が、以下に列記したものを非限定的に含む部分の1つ以上で独立に置換されている:脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−NO、−CN、−CF、−CHCF、−CHCl、−CHOH、−CHCHOH、−CHNH、−CHSOCH、−C(O)R、−CO(R)、−CON(R、−OC(O)R、−OCO、−OCON(R、−N(R、−S(O)、−NR(CO)R、(但し、Rは、それぞれ独立に、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを非限定的に含み、上で又はここで記載した脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルといった置換基のいずれかは置換又は非置換で、分岐状又は非分岐状で、環式又は非環式であってもよく、また、上で又はここで記載したアリール又はヘテロアリール置換基は置換又は非置換であってもよい)。本明細書の実施例に記載の個別の実施形態で、一般的に適用可能な置換基の例を追加で示す。
『アルキル』は、1−20個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素からなる基を指す(『C1−20アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−10個の炭素原子を有する(『C1−10アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−9個の炭素原子を有する(『C1−9アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−8個の炭素原子を有する(『C1−8アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−7個の炭素原子を有する(『C1−7アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−6個の炭素原子を有する(『C1−6アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−5個の炭素原子を有する(『C1−5アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−4個の炭素原子を有する(『C1−4アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−3個の炭素原子を有する(『C1−3アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1−2個の炭素原子を有する(『C1−2アルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は1個の炭素原子を有する(『Cアルキル』)。いくつかの実施形態では、アルキル基は2−6個の炭素原子を有する(『C2−6アルキル』)。C1−6アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソプロピル(C)、n−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、イソブチル(C)、n−ペンチル(C)、3−ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3−メチル−2−ブタニル(C)、tert−アミル(C)、及びn−ヘキシル(C)が挙げられる。アルキル基の追加例としては、n−ヘプチル(C)、n−オクチル(C)等が挙げられる。特記のない限り、アルキル基は、それぞれ独立に、任意置換される、即ち、置換されていないか(『非置換アルキル』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換アルキル』)。ある実施形態では、アルキル基は非置換C1−10アルキル(例えば、−CH)である。ある実施形態では、アルキル基は置換C1−10アルキルである。
『アルケニル』は、2−20個の炭素原子と1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、三重結合を有さない直鎖状又は分岐状の炭化水素からなる基を指す(『C2−20アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−10個の炭素原子を有する(『C2−10アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−9個の炭素原子を有する(『C2−9アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−8個の炭素原子を有する(『C2−8アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−7個の炭素原子を有する(『C2−7アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−6個の炭素原子を有する(『C2−6アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−5個の炭素原子を有する(『C2−5アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−4個の炭素原子を有する(『C2−4アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2−3個の炭素原子を有する(『C2−3アルケニル』)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2個の炭素原子を有する(『Cアルケニル』)。1つ以上の炭素−炭素二重結合は、内部(例えば2−ブテニル)又は末端(例えば、1−ブテニル)に存在し得る。C2−4アルケニル基の例としては、エテニル(C)、1−プロペニル(C)、2−プロペニル(C)、1−ブテニル(C)、2−ブテニル(C)、ブタジエニル(C)等が挙げられる。C2−6アルケニル基の例としては、上述のC2−4アルケニル基に加えて、ペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)等が挙げられる。アルケニルの追加例としては、ヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)等が挙げられる。特記のない限り、アルケニル基は、それぞれ独立に、任意置換される、即ち、置換されていないか(『非置換アルケニル』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換アルケニル』)。ある実施形態では、アルケニル基は非置換C2−10アルケニルである。ある実施形態では、アルケニル基は置換C2−10アルケニルである。
『アルキニル』は、2−20個の炭素原子と1つ以上の炭素−炭素三重結合を有し、任意に1つ以上の二重結合を有する直鎖状又は分岐状の炭化水素からなる基を指す(『C2−20アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−10個の炭素原子を有する(『C2−10アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−9個の炭素原子を有する(『C2−9アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−8個の炭素原子を有する(『C2−8アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−7個の炭素原子を有する(『C2−7アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−6個の炭素原子を有する(『C2−6アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−5個の炭素原子を有する(『C2−5アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−4個の炭素原子を有する(『C2−4アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2−3個の炭素原子を有する(『C2−3アルキニル』)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2個の炭素原子を有する(『Cアルキニル』)。1つ以上の炭素−炭素三重結合は、内部(例えば2−ブチニル)又は末端(例えば、1−ブチニル)に存在し得る。C2−4アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニル(C)、1−プロピニル(C)、2−プロピニル(C)、1−ブチニル(C)、2−ブチニル(C)等が挙げられる。C2−6アルキニルの例としては、上述のC2−4アルキニル基に加えて、ペンチニル(C)、ヘキシニル(C)等が挙げられる。アルキニルの追加例としては、ヘプチニル(C)、オクチニル(C)等が挙げられる。特記のない限り、アルキニル基は、それぞれ独立に、任意置換される、即ち、置換されていないか(『非置換アルキニル』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換アルキニル』)。ある実施形態では、アルキニル基は非置換C2−10アルキニルである。ある実施形態では、アルキニル基は置換C2−10アルキニルである。
『カルボシクリル』又は『炭素環式』は、3−10個の環炭素原子(『C3−10カルボシクリル』)を有し非芳香族環系にヘテロ原子を有しない非芳香族環炭化水素からなる基を指す。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は3から8個の環炭素原子を有する(『C3−8カルボシクリル』)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は3から6個の環炭素原子を有する(『C3−6カルボシクリル』)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は3から6個の環炭素原子を有する(『C3−6カルボシクリル』)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は5から10個の環炭素原子を有する(『C5−10カルボシクリル』)。C3−6カルボシクリル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)等が挙げられる。C3−8カルボシクリル基の例としては、限定されるものではないが、上述のC3−6カルボシクリル基に加えて、シクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)等が挙げられる。C3−10カルボシクリル基の例としては、限定されるものではないが、上述のC3−8カルボシクリル基に加えて、シクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)等が挙げられる。上述の例でも示されるように、ある実施形態では、カルボシクリル基は、単環式(『単環式カルボシクリル』)であるか、又は二環系(『二環式カルボシクリル』)等の縮合、架橋、若しくはスピロ環系を含み、飽和していてもよく、また、部分的に不飽和でもよい。『カルボシクリル』は、また、上で定義したような炭素環が1つ以上のアリール又はヘテロアリール基と縮合し、結合部が炭素環にある環系を含み、この場合、炭素数は炭素環系の炭素数を引き続き示す。特記のない限り、カルボシクリル基は、それぞれ独立に、任意置換される、即ち、置換されていないか(『非置換カルボシクリル』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換カルボシクリル』)。ある実施形態では、カルボシクリル基は非置換C3−10カルボシクリルである。ある実施形態では、カルボシクリル基は置換C3−10カルボシクリルである。
いくつかの実施形態では、『カルボシクリル』は、3から10個の環炭素原子を有する単環式飽和カルボシクリル基である(『C3−10シクロアルキル』)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は3から8個の環炭素原子を有する(『C3−8シクロアルキル』)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は3から6個の環炭素原子を有する(『C3−6シクロアルキル』)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は5から6個の環炭素原子を有する(『C5−6シクロアルキル』)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は5から10個の環炭素原子を有する(『C5−10シクロアルキル』)。C5−6シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル(C)及びシクロヘキシル(C)が挙げられる。C3−6シクロアルキル基の例としては、上述のC5−6シクロアルキル基に加えて、シクロプロピル(C)及びシクロブチル(C)が挙げられる。C3−8シクロアルキル基の例としては、上述のC3−6シクロアルキル基に加えて、シクロヘプチル(C)及びシクロオクチル(C)が挙げられる。特記のない限り、シクロアルキル基は、それぞれ独立に、置換されていないか(『非置換シクロアルキル』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換シクロアルキル』)。ある実施形態では、シクロアルキル基は非置換C3−10シクロアルキルである。ある実施形態では、シクロアルキル基は置換C3−10シクロアルキルである。
『ヘテロシクリル』又は『ヘテロ環式』は、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素からそれぞれ独立に選択される1から4個の環ヘテロ原子を有する3員から10員の非芳香族環系からなる基を指す(『3−10員ヘテロシクリル』)。1つ以上の窒素原子を含むヘテロシクリル基では、結合部は、結合価が許容する限り、炭素又は窒素原子にある。ヘテロシクリル基は、単環式(『単環式ヘテロシクリル』)であるか、又は二環系(『二環式ヘテロシクリル』)等の縮合、架橋、若しくはスピロ環系であり、飽和していてもよく、また、部分的に不飽和でもよい。ヘテロシクリル二環系は一方又は両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含み得る。『ヘテロシクリル』は、また、上で定義したようなヘテロ環が1つ以上のカルボシクリル基と縮合し、結合部がカルボシクリル又はヘテロ環にある環系、又は、上で定義したようなヘテロ環が1つ以上のアリール又はヘテロアリール基と縮合し、結合部がヘテロ環にある環系を含み、この場合、環員数はヘテロ環系の環員数を引き続き示す。特記のない限り、ヘテロシクリル基は、それぞれ独立に、任意置換される、即ち、置換されていないか(『非置換ヘテロシクリル』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換ヘテロシクリル』)。ある実施形態では、ヘテロシクリル基は非置換3−10員ヘテロシクリルである。ある実施形態では、ヘテロシクリル基は置換3−10員ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素からそれぞれ独立に選択される1から4個の環ヘテロ原子を有する5−10員の非芳香族環系である(『5−10員ヘテロシクリル』)。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、及び硫黄からそれぞれ独立に選択される1から4個の環ヘテロ原子を有する5−8員の非芳香族環系である(『5−8員ヘテロシクリル』)。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、及び硫黄からそれぞれ独立に選択される1から4個の環ヘテロ原子を有する5−6員の非芳香族環系である(『5−6員ヘテロシクリル』)。いくつかの実施形態では、5−6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1−3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5−6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1−2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5−6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
1個のヘテロ原子を含む3員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、アジリジニル、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)が挙げられる。1個のヘテロ原子を含む4員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、アゼチジニル、オキセタニル、及びチエタニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含む5員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、及びピロリル−2,5−ジオンが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、及びオキサゾリジン−2−オンが挙げられる。3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニル挙げられる。1個のヘテロ原子を含む6員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、及びチアニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む6員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む6員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、トリアジナニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含む7員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、アゼパニル、オキセパニル、及びチエパニル挙げられる。1個のヘテロ原子を含む8員ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものではないが、アゾカニル、オキセカニル、及びチオカニルが挙げられる。Cアリール環に縮合する5員ヘテロシクリル基(本明細書では5、6−二環式ヘテロ環とも呼ぶ)の例としては、限定されるものではないが、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンズオキサゾリニル等が挙げられる。Cアリール環に縮合する6員ヘテロシクリル基(本明細書では6、6−二環式ヘテロ環とも呼ぶ)の例としては、限定されるものではないが、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等が挙げられる。
『アリール』は、6−14個の環炭素原子を有し、芳香族環系にはヘテロ原子を有しない、単環式又は多環式(例えば、二環式又は三環式)の4n+2芳香族環系(例えば、隣接する環上で6、10、又は14個のπ電子が共役している)からなる基を指す。いくつかの実施形態では、アリール基は6個の環炭素原子を有する(『Cアリール』、例えば、フェニル)。いくつかの実施形態では、アリール基は10個の環炭素原子を有する(『C10アリール』、例えば、1−ナフチルや2−ナフチルなどのナフチル)。いくつかの実施形態では、アリール基は14個の環炭素原子を有する(『C14アリール』、例えば、アントラシル)。『アリール』は、また、上で定義したようなアリール環が1つ以上のカルボシクリル又はヘテロシクリル基と縮合し、結合ラジカル又は結合部がアリール環にある環系を含み、この場合、炭素数はアリール環系の炭素数を引き続き示す。特記のない限り、アリール基は、それぞれ独立に、任意置換される、即ち、置換されていないか(『非置換アリール』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換アリール』)。ある実施形態では、アリール基は非置換C6−14アリールである。ある実施形態では、アリール基は置換C6−14アリールである。
『アラルキル』は、アルキル及びアリールの一部で、本明細書では、任意置換アリール基で置換された任意置換アルキル基を指す。ある実施形態では、アラルキルは任意置換ベンジルである。ある実施形態では、アラルキルはベンジルである。ある実施形態では、アラルキルは任意置換フェネチルである。ある実施形態では、アラルキルはフェネチルである。
『ヘテロアリール』は、芳香族環系上に設けられた、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、及び硫黄からそれぞれ独立に選択される1−4個の環ヘテロ原子を有する、5−10員で単環式又は二環式の4n+2芳香族環系(例えば、隣接する環上で6又は10個のπ電子が共役している)からなる基を指す(『5−10員ヘテロアリール』)。1つ以上の窒素原子を含むヘテロアリール基では、結合部は、結合価が許容する限り、炭素又は窒素原子にある。ヘテロアリール二環系は一方又は両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含み得る。『ヘテロアリール』は、上で定義したようなヘテロアリール環が1つ以上のカルボシクリル又はヘテロシクリル基と縮合し、結合部がヘテロアリール環にある環系を含み、この場合、環員数はヘテロアリール環系の環員数を引き続き示す。『ヘテロアリール』は、また、上で定義したようなヘテロアリール環が1つ以上のアリール基と縮合し、結合部がアリール又はヘテロアリール環にある環系を含み、この場合、環員数は縮合(アリール/ヘテロアリール)環系の環員数を示す。一方の環がヘテロ原子を含まない二環式ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)では、結合部は、一方の環に、即ち、ヘテロ原子を持つ環(例えば、2−インドリル)又はヘテロ原子を含まない環(例えば、5−インドリル)の一方に有り得る。
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環系上に設けられた、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、及び硫黄からそれぞれ独立に選択される1−4個の環ヘテロ原子を有する5−10員芳香族環系である(『5−10員ヘテロアリール』)。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環系上に設けられた、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、及び硫黄からそれぞれ独立に選択される1−4個の環ヘテロ原子を有する5−8員芳香族環系である(『5−8員ヘテロアリール』)。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環系上に設けられた、環炭素原子、並びに、窒素、酸素、及び硫黄からそれぞれ独立に選択される1−4個の環ヘテロ原子を有する5−6員芳香族環系である(『5−6員ヘテロアリール』)。いくつかの実施形態では、5−6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1−3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5−6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1−2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5−6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。特記のない限り、ヘテロアリール基は、それぞれ独立に、任意置換される、即ち、置換されていないか(『非置換ヘテロアリール』)又は1つ以上の置換基で置換されている(『置換ヘテロアリール』)。ある実施形態では、ヘテロアリール基は非置換5−14員ヘテロアリールである。ある実施形態では、ヘテロアリール基は置換5−14員ヘテロアリールである。
1個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロリル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、及びイソチアゾリルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、トリアゾリル、オキサジアゾリル、及びチアジアゾリルが挙げられる。4個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、テトラゾリルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリダジニル、ピリミジニル、及びピラジニルが挙げられる。3及び4個のヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、それぞれ、トリアジニル及びテトラジニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含む7員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、アゼピニル、オキセピニル、及びチエピニルが挙げられる。5,6−二環式ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、及びプリニルが挙げられる。6,6−二環式ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、及びキナゾリニルが挙げられる。
『ヘテロアラルキル』は、アルキル及びヘテロアリールの一部で、本明細書では、任意置換ヘテロアリール基で置換された任意置換アルキル基を指す。
『部分的に不飽和』は、少なくとも1つの二重又は三重結合を含む基を指す。『部分的に不飽和』な環系は、さらに、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するものの、本明細書で定義したような芳香族基(例えば、アリール又はヘテロアリール基)を含むことは意図しない。同様に、『飽和』は、二重及び三重結合を含まない、即ち、全てが単結合の基を指す。
本明細書で定義したような、二価の架橋基であるアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリール基は、さらに、接尾辞−eneを用いて、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、及びヘテロアリーレンとも呼ばれる。
本明細書では、『任意置換』という用語は、置換又は非置換であることを指す。
本明細書で定義したようなアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリール基は、任意置換される(例えば、『置換』又は『非置換』アルキル、『置換』又は『非置換』アルケニル、『置換』又は『非置換』アルキニル、『置換』又は『非置換』カルボシクリル、『置換』又は『非置換』ヘテロシクリル、『置換』又は『非置換』アリール又は『置換』又は『非置換』ヘテロアリール基)。一般的に、『置換』という用語は、『任意』という用語が先頭に付くか否かによらず、ある基(例えば、炭素又は窒素原子)に存在する少なくとも1つの水素が、許容される置換基(例えば、置換により安定化合物(例えば、転移、環化、脱離、又は他の反応などにより自発的に変化しない化合物)をもたらす置換基)で置換されていることを意味する。特記のない限り、『置換』された基はその基の1つ以上の置換可能位置に置換基を有し、ある構造の2箇所以上が置換される場合、置換基は各位置で同じ又は異なる。『置換』という用語は、安定化合物の形成をもたらす、本明細書に記載の任意の置換基を含む、許容される全有機化合物置換基による置換を含むことを意図している。本発明は、安定化合物をもたらすためのこうした組み合わせのうち任意のもの及びその全てを包含する。本発明では、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の結合価を満たす水素置換基及び/又は本明細書で記載したような任意の適切な置換基を有してもよく、安定部分の形成をもたらす。
炭素原子置換基の例としては、限定されるものではないが、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−ON(Rbb、−N(Rbb、−N(Rbb、−N(ORcc)Rbb、−SH、−SRaa、−SSRcc、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−C(ORcc、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−OC(=NRbb)N(Rbb、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−Si(Raa、−OSi(Raa−C(=S)N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、−P(Rcc、−P(Rcc、−OP(Rcc、−OP(Rcc、−B(Raa、−B(ORcc、−BRaa(ORcc)、C1−10アルキル、C1−10ペルハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、及び5−14員ヘテロアリール(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換されており、又は
炭素原子上の2つのジェミナルな水素が=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbb、又は=NORccといった基で置換されており、
aaは、それぞれ独立して、C1−10アルキル、C1−10ペルハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、及び5−14員ヘテロアリールから選択され、又は、2つのRaa基は、共に合わさって、1つの3−14員ヘテロシクリル又は5−14員ヘテロアリール環(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換されている)を形成しており、
bbは、それぞれ独立して、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)N(Rcc、−P(=O)(NRcc、C1−10アルキル、C1−10ペルハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、及び5−14員ヘテロアリールから選択され、又は、2つのRbb基は、共に合わさって、1つの3−14員ヘテロシクリル又は5−14員ヘテロアリール環(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換されている)を形成しており、
ccは、それぞれ独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10ペルハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、及び5−14員ヘテロアリールから選択され、又は、2つのRcc基は、共に合わさって、1つの3−14員ヘテロシクリル又は5−14員ヘテロアリール環(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換されている)を形成しており、
ddは、それぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORee、−ON(Rff、−N(Rff、−N(Rff、−N(ORee)Rff、−SH、−SRee、−SSRee、−C(=O)Ree、−COH、−COee、−OC(=O)Ree、−OCOee、−C(=O)N(Rff、−OC(=O)N(Rff、−NRffC(=O)Ree、−NRffCOee、−NRffC(=O)N(Rff、−C(=NRff)ORee、−OC(=NRff)Ree、−OC(=NRff)ORee、−C(=NRff)N(Rff、−OC(=NRff)N(Rff、−NRffC(=NRff)N(Rff、−NRffSOee、−SON(Rff、−SOee、−SOORee、−OSOee、−S(=O)Ree、−Si(Ree、−OSi(Ree、−C(=S)N(Rff、−C(=O)SRee、−C(=S)SRee、−SC(=S)SRee、−P(=O)ee、−P(=O)(Ree、−OP(=O)(Ree、−OP(=O)(ORee、C1−6アルキル、C1−6ペルハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−10員ヘテロシクリル、C6−10アリール、5−10員ヘテロアリール(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRgg基で置換されている)から選択され、又は、2つのジェミナルなRdd置換基は、共に合わさって、=O若しくは=Sを形成していてもよく、
eeは、それぞれ独立して、C1−6アルキル、C1−6ペルハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10カルボシクリル、C6−10アリール、3−10員ヘテロシクリル、及び3−10員ヘテロアリール(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRgg基で置換されている)から選択され、
ffは、それぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6ペルハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−10員ヘテロシクリル、C6−10アリール及び5−10員ヘテロアリールから選択され、又は、2つのRff基は、共に合わさって、1つの3−14員ヘテロシクリル又は5−14員ヘテロアリール環(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRgg基で置換されている)を形成しており、並びに、
ggは、それぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−OC1−6アルキル、−ON(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)、−NH(C1−6アルキル)、−NH(C1−6アルキル)、−NH、−N(OC1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−N(OH)(C1−6アルキル)、−NH(OH)、−SH、−SC1−6アルキル、−SS(C1−6アルキル)、−C(=O)(C1−6アルキル)、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−OC(=O)(C1−6アルキル)、−OCO(C1−6アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)N(C1−6アルキル)、−OC(=O)NH(C1−6アルキル)、−NHC(=O)(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)C(=O)(C1−6アルキル)、−NHCO(C1−6アルキル)、−NHC(=O)N(C1−6アルキル)、−NHC(=O)NH(C1−6アルキル)、−NHC(=O)NH、−C(=NH)O(C1−6アルキル)、−OC(=NH)(C1−6アルキル)、−OC(=NH)OC1−6アルキル、−C(=NH)N(C1−6アルキル)、−C(=NH)NH(C1−6アルキル)、−C(=NH)NH、−OC(=NH)N(C1−6アルキル)、−OC(NH)NH(C1−6アルキル)、−OC(NH)NH、−NHC(NH)N(C1−6アルキル)、−NHC(=NH)NH、−NHSO(C1−6アルキル)、−SON(C1−6アルキル)、−SONH(C1−6アルキル)、−SONH、−SO1−6アルキル、−SOOC1−6アルキル、−OSO1−6アルキル、−SOC1−6アルキル、−Si(C1−6アルキル)、−OSi(C1−6アルキル)−C(=S)N(C1−6アルキル)、C(=S)NH(C1−6アルキル)、C(=S)NH、−C(=O)S(C1−6アルキル)、−C(=S)SC1−6アルキル、−SC(=S)SC1−6アルキル、−P(=O)(C1−6アルキル)、−P(=O)(C1−6アルキル)、−OP(=O)(C1−6アルキル)、−OP(=O)(OC1−6アルキル)、C1−6アルキル、C1−6ペルハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10カルボシクリル、C6−10アリール、3−10員ヘテロシクリル、5−10員ヘテロアリールでり、又は2つのジェミナルなRgg置換基は、共に合わさって、=O又は=Sを形成していてもよい(但し、Xは対イオン))が挙げられる。
『対イオン』という用語は、アニオン性又はカチオン性の対イオンを指す。『アニオン性対イオン』は、電気的中性を保つためにカチオン性原子又は基と結び付けられる負に帯電した原子又は基である。アニオン性対イオンの例としては、ハロゲン化物アニオン(例えば、F、Cl、Br、及びI)、NO、ClO、OH、HPO、HSO、スルホン酸アニオン(例えば、メタンスルホナート(methansulfonate)、トリフルオロメタンスルホナート、p−トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、10−カンファースルホナート、ナフタレン−2−スルホナート、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホナート、エタン−1−スルホン酸−2−スルホナート等)、及びカルボン酸アニオン(例えば、アセタート、エタノアート、プロパノアート、ベンゾアート、グリセラート、ラクタート、タルトラート、グリコラート等)が挙げられる。『カチオン性対イオン』は、電気的中性を保つためにアニオン性原子又は基と結び付けられる正に帯電した原子又は基である。カチオン性対イオンの例としては、無機カチオン(例えば、金属カチオン(例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、及び遷移金属カチオン))及び有機カチオン(例えば、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、及びピリジニウムカチオン)が挙げられる。対イオンは、一価、二価、三価、四価、五価、又は六価であってもよい。
『ハロ』又は『ハロゲン』は、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、又はヨウ素(ヨード、−I)を指す。
『アシル』は、本明細書では、−C(=O)Raa、−CHO、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−C(=S)N(Rbb、−C(=O)SRaa、又は−C(=S)SRaa(但し、Raa及びRbbは本明細書で定義したとおり)からなる群より選択される部分を指す。
窒素原子は、結合価が許す限り、置換され又は置換されないことが可能であり、一級、二級、三級、及び四級窒素原子を含む。窒素原子置換基の例としては、限定されるものではないが、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)N(Rcc、−P(=O)(NRcc、C1−10アルキル、C1−10ペルハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、及び5−14員ヘテロアリール、又は窒素原子に結合する2つのRcc基が共に合わさって1つの3−14員ヘテロシクリル又は5−14員ヘテロアリール環を形成しているもの(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換されており、Raa、Rbb、Rcc、及びRddは本明細書で定義したとおりである)が挙げられる。
ある実施形態では、窒素原子に存在する置換基は窒素保護基(アミノ保護基とも呼ばれる)である。窒素保護基としては、限定されるものではないが、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1−10アルキル(例えば、アラルキル、ヘテロアラルキル)、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3−14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、及び5−14員ヘテロアリール基(但し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、及びヘテロアリールは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換されており、Raa、Rbb、Rcc及びRddは本明細書で定義したとおりである)などがあげられる。窒素保護基は、本技術分野で周知であり、『Protecting Groups in Organic Synthesis』(T.W.Greene、P.G.M.Wuts著、第3版、John Wiley&Sons、1999年刊)に詳細に記載されているものを含む。当該刊行物の内容を参照により本明細書で援用する。
例えば、アミド基(例えば、−C(=O)Raa)などの窒素保護基としては、限定されるものではないが、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキシアミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトフェニルアセトアミド(o−nitophenylacetamide)、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシアシルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンナミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド、及びo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドが挙げられる。
カルバマート基(例えば、−C(=O)ORaa)などの窒素保護基としては、限定されるものではないが、メチルカルバマート、エチルカルバマート(ethyl carbamante)、9−フルオレニルメチルカルバマート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバマート、9−(2,7−ジブロモ)フルオレンイルメチルカルバマート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバマート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバマート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバマート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバマート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバマート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバマート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバマート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバマート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバマート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバマート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバマート(t−Bumeoc)、2−(2’−及び4’−ピリジル)エチルカルバマート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキシアミド)エチルカルバマート、t−ブチルカルバマート(BOC)、1−アダマンチルカルバマート(Adoc)、ビニルカルバマート(Voc)、アリルカルバマート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバマート(Ipaoc)、シンナミルカルバマート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバマート(Noc)、8−キノリルカルバマート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバマート、アルキルジチオカルバマート、ベンジルカルバマート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバマート(Moz)、p−ニトベンジルカルバマート(p−nitobenzyl carbamate)、p−ブロモベンジルカルバマート、p−クロロベンジルカルバマート、2,4−ジクロロベンジルカルバマート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバマート(Msz)、9−アントリルメチルカルバマート、ジフェニルメチルカルバマート、2−メチルチオエチルカルバマート、2−メチルスルホニルエチルカルバマート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバマート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバマート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバマート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバマート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバマート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバマート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバマート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバマート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバマート、5−ベンゾイソオキサゾリルメチルカルバマート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバマート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバマート、3,5−ジメトキシベンジルカルバマート、o−ニトロベンジルカルバマート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバマート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバマート、t−アミルカルバマート、S−ベンジルチオカルバマート、p−シアノベンジルカルバマート、シクロブチルカルバマート、シクロヘキシルカルバマート、シクロペンチルカルバマート、シクロプロピルメチルカルバマート、p−デシルオキシベンジルカルバマート、2,2−ジメトキシアシルビニルカルバマート、o−(N,N−ジメチルカルボキシアミド)ベンジルカルバマート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキシアミド)プロピルカルバマート、1,1−ジメチルプロピニルカルバマート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバマート、2−フラニルメチルカルバマート、2−ヨードエチルカルバマート、イソボルニルカルバマート、イソブチルカルバマート、イソニコチニルカルバマート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバマート、1−メチルシクロブチルカルバマート、1−メチルシクロヘキシルカルバマート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバマート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバマート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバマート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバマート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバマート、フェニルカルバマート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバマート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバマート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバマート、及び2,4,6−トリメチルベンジルカルバマートが挙げられる。
スルホンアミド基(例えば、−S(=O)aa)などの窒素保護基としては、限定されるものではないが、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DnmBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、及びフェナシルスルホンアミドが挙げられる。
他の窒素保護基としては、限定されるものではないが、フェノチアジニル−(10)−アシル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N’−フェニルアミノチオアシル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン(pyroolin)−3−イル)アミン、四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ペンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボリン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタアシルクロミウム−又はタングステン)アシル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホロアミデート、ジベンジルホスホロアミダート、ジフェニルホスホロアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、及び3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)が挙げられる。
ある実施形態では、酸素原子に存在する置換基は酸素保護基(ヒドロキシル保護基とも呼ばれる)である。酸素保護基としては、限定されるものではないが、−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa3、−P(Rcc、−P(Rcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、及び−P(=O)(NRbb(但し、Raa、Rbb、及びRccは本明細書で定義したとおり)が挙げられる。酸素保護基は、本技術分野で周知であり、『Protecting Groups in Organic Synthesis』(T.W.Greene、P.G.M.Wuts著、第3版、John Wiley&Sons、1999年刊)に詳細に記載されているものを含む。当該刊行物の内容を参照により本明細書で援用する。
酸素保護基の例としては、限定されるものではないが、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアヤコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4′−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4′,4″−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4′,4″−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4′,4″−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4′,4″−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1′−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジスルフラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルマート、ベンゾイルホルマート、アセタート、クロロアセタート、ジクロロアセタート、トリクロロアセタート、トリフルオロアセタート、メトキシアセタート、トリフェニルメトキシアセタート、フェノキシアセタート、p−クロロフェノキシアセタート、3−フェニルプロピオナート、4−オキソペンタノアート(レブリナート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノアート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロアート(pivaloate)、アダマントアート(adamantoate)、クロトナート、4−メトキシクロトナート、ベンゾアート、p−フェニルベンゾアート、2,4,6−トリメチルベンゾアート(メシトアート)、アルキルメチルカルボナート、9−フルオレニルメチルカルボナート(Fmoc)、アルキルエチルカルボナート、アルキル2,2,2−トリクロロエチルカルボナート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカルボナート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカルボナート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカルボナート(Peoc)、アルキルイソブチルカルボナート、アルキルビニルカルボナートアルキルアリルカルボナート、アルキルp−ニトロフェニルカルボナート、アルキルベンジルカルボナート、アルキルp−メトキシベンジルカルボナート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカルボナート、アルキルo−ニトロベンジルカルボナート、アルキルp−ニトロベンジルカルボナート、アルキルS−ベンジルチオカルボナート、4−エトキシ−1−ナフチル(napththyl)カルボナート、メチルジチオカルボナート、2−ヨードベンゾアート、4−アジドブチラート、4−ニトロ−4−メチルペンタノアート、o−(ジブロモメチル)ベンゾアート、2−ホルミルベンゼンスルホナート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチラート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾアート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセタート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセタート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセタート、クロロジフェニルアセタート、イソブチラート、モノスクシノアート、(E)−2−メチル−2−ブテノアート、o−(メトキシアシル)ベンゾアート、α−ナフトアート、ニトラート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミダート、アルキルN−フェニルカルバマート、ボラート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェナート、スルファート、メタンスルホナート(メシラート)、ベンジルスルホナート、及びトシラート(Ts)が挙げられる。
ある実施形態では、硫黄原子に存在する置換基は硫黄保護基(チオール保護基とも呼ばれる)である。硫黄保護基としては、限定されるものではないが、−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa3、−P(Rcc、−P(Rcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、及び−P(=O)(NRbb(但し、Raa、Rbb、及びRccは本明細書で定義したとおり)が挙げられる。硫黄保護基は、本技術分野で周知であり、『Protecting Groups in Organic Synthesis』(T.W.Greene、P.G.M.Wuts著、第3版、John Wiley&Sons、1999年刊)に詳細に記載されているものを含む。当該刊行物の内容を参照により本明細書で援用する。
『電子求引基』という用語は、ある化合物の原子(イオンや同位体の形態のものを含む)又は基であって、当該化合物の隣接する原子及び/又は基から電子密度を減少させるものを指す。隣接する原子及び/又は化学基は、電子求引基に直接結合していてもよいし、1つ以上の原子及び/又は基を介して電子求引基に結合していてもよい。電子求引基は、隣接する原子及び/又は基の電子密度を、共役、超共役、及び/又は、誘導を介して、減少させ得る。電子求引基は、電気陰性原子、不飽和結合、及び/又は形式正電荷の1つ以上を含み得る。電子求引基の例は、本技術分野で周知であり、例えば、『Advanced Organic Chemistry』(J.March著、第4版、John Wiley&Sons、ニューヨーク、1992年刊)に記載されているものが挙げられる。例えば、電子求引基は、限定されるものではないが、ハロゲン、部分的又は完全にハロゲン化された脂肪族、部分的又は完全にハロゲン化されたカルボシクリル、−N(Rhh、−CN、−NO、−C(=NRhh)Rhh、−C(=NRhh)ORhh、−C(=NRhh)N(Rhh、−C(=O)Rhh、−C(=O)ORhh、−C(=O)N(Rhh、−S(=O)Rhh、−S(=O)ORhh、−S(=O)N(Rhh、−S(=O)hh、−S(=O)ORhh、−S(=O)N(Rhh、−OS(=O)Rhh、−OS(=O)ORhh、−OS(=O)N(Rhh、−OS(=O)hh、−OS(=O)ORhh、及び−OS(=O)N(Rhh(但し、Rhhは、それぞれ独立して、本明細書で記載したようなRaa、置換若しくは非置換脂肪族、置換若しくは非置換ヘテロ脂肪族、置換若しくは非置換カルボシクリル、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである)を含む。電子求引基の例としては、1つ以上の置換基で置換されたアリール及び1つ以上の置換基で置換されたヘテロアリールであって、1つ以上の置換基の少なくとも1つが、ハロゲン、部分的又は完全にハロゲン化された脂肪族、部分的又は完全にハロゲン化されたカルボシクリル、−N(Rhh、−CN、−NO、−C(=NRhh)Rhh、−C(=NRhh)ORhh、−C(=NRhh)N(Rhh、−C(=O)Rhh、−C(=O)ORhh、−C(=O)N(Rhh、−S(=O)Rhh、−S(=O)ORhh、−S(=O)N(Rhh、−S(=O)hh、−S(=O)ORhh、−S(=O)N(Rhh、−OS(=O)Rhh、−OS(=O)ORhh、−OS(=O)N(Rhh、−OS(=O)hh、−OS(=O)ORhh、又は−OS(=O)N(Rhh(但し、Rhhは、それぞれ独立して、本明細書で記載したようなRaaである)であるものが挙げられる。
本明細書では、『脱離基』という用語は、有機合成化学の分野で通常使われる意味で用い、求核剤で置換される能力を有する原子又は基を指す。適切な脱離基の例としては、限定されるものではないが、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI(ヨウ素)など)、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキル−カルボニルオキシ(例えば、アセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ、ピクシル、及びハロホルマートが挙げられる。ある場合、脱離基は、トルエンスルホナート(トシラート、−OTs)、メタンスルホナート(メシラート、−OMs)、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ(ブロシラート、−OBs)、又はトリフルオロメタンスルホナート(トリフラート、−OTf)などのスルホン酸エステルである。ある場合、脱離基はp−ブロモベンゼンスルホニルオキシなどのブロシラートである。ある場合、脱離基は2−ニトロベンゼンスルホニルオキシなどのノシレートである。ある実施形態では、脱離基はスルホナート含有基である。ある実施形態では、脱離基はトシラート基である。脱離基は、また、ホスフィンオキシド(例えば、光延反応中に形成されるもの)、又はエポキシド若しくは環式スルファートなどの内部脱離基であってもよい。脱離基の非限定的な例としては、水、アンモニア、アルコール、エーテル部分、チオエーテル部分、亜鉛ハリド、マグネシウム部分、ジアゾニウム塩、及び銅部分が挙げられる。
以上やその他の例示的置換基を、発明を実施するための形態、図面、実施例、及び請求項でより詳細に記載する。本発明は、いかなる形でも上述の置換基の例示的リストに限定されることを意図するものではない。
(その他の定義)
明細書全体で使われる一般的な用語について以下に定義する。
本明細書では、『薬学的に許容される』という用語は、正常な医療判断の範囲で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などを招かずにヒトや下等動物の組織に接触させて使用することに適しており、合理的なリスク・ベネフィット比と釣り合っていることを意味する。
本明細書では、『薬学的に許容される塩』という用語は、正常な医療判断の範囲で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などを招かずにヒトや下等動物の組織に接触させて使用することに適しており、合理的なリスク・ベネフィット比と釣り合っている塩を指す。薬学的に許容される塩は本技術分野で周知である。例えば、Berge等は、薬学的に許容される塩について、J. Pharmaceutical Sciences、1977年刊、66巻、1−19頁で詳細に述べている。当該刊行物の内容を参照により本明細書で援用する。ある化合物の薬学的に許容される塩は、適切な無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものを含む。薬学的に許容される無毒酸添加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸などの無機酸、若しくは、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸などの有機酸により形成された、又は、イオン交換などの本技術分野で周知の他の方法を用いて形成されたアミノ基の塩が挙げられる。薬学的に許容される塩としては他に、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコへプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシオン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導された塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。さらに、薬学的に許容される塩は、適宜、ハリド、ヒドロキシド、カルボキシラート、スルファート、ホスファート、ニトラート、低級アルキルスルホナート、及びアリールスルホナート等の対イオンを用いて形成された無毒アンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンのカチオンを含む。
『溶媒和物』という用語は、溶媒と、通常は加溶媒分解反応により、結び付けられている化合物の形態を指す。この物理的結び付きは水素結合を含み得る。従来の溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテル等が挙げられる。本明細書で記載した化合物は、例えば、結晶形態に製造してもよく、溶媒和させてもよい。適切な溶媒は、薬学的に許容される溶媒和物を含み、さらに、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方を含む。場合によっては、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子内に取り込まれている場合、溶媒和物は単離可能であるだろう。『溶媒和物』は溶液相溶媒和物と単離可能溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物としては、水和物、エタノレート、及びメタノレートが挙げられる。
『水和物』という用語は、水と結び付けられている化合物を指す。通常、ある化合物の水和物の中に含まれる水分子の数は、水和物中の化合物分子の数に対して一定割合となる。そのため、化合物の水和物は、例えば、一般式R・xHO(但し、Rは化合物であり、xは0より大きい数である)と表すことができる。ある一つの化合物が一種より多くの水和物を形成することもあり、こうした水和物としては、例えば、一水和物(xは1)、低級水和物(xは0より大きく1より小さい数、例えば、半水和物(R・0.5HO))及び多水和物(xは1より大きい数、例えば、二水和物(R・2HO)及び六水和物(R・6HO)))が挙げられる。
『互変異性体』という用語は、特定化合物構造の相互変換可能な型であり、水素原子及び電子の転移が異なる化合物を指す。そこで、2つの構造がπ電子及び原子(通常H)の移動を介して平衡であり得る。例えば、酸又は塩基処理で相互に急速に変換されるので、エノールとケトンは互変異性体である。互変異性体の別の例としては、同様に、酸又は塩基処理により形成されるフェニルニトロメタンのアシ及びニトロ型が挙げられる。互変異性型は、問題の化合物の至適な化学反応性及び生物活性の実現に関与し得る。
分子式は同一であるものの原子結合の性質若しくは順番又は原子の空間配置が異なる化合物は『異性体』と呼ばれることも理解の必要があるだろう。原子の空間配置が異なる異性体は『立体異性体』と呼ばれる。
立体異性体のうち、互いに鏡像ではないものは『ジアステレオマー』と呼ばれ、互いに重ねあわせることができない鏡像であるものは『エナンチオマー』と呼ばれる。ある化合物が不斉中心を持つ場合、例えば、4種の異なる基に結合している場合、1組みのエナンチオマーが考えられる。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置により特徴づけることが可能であり、カーン・プレログのR及びS順位則により記述され、又は、当該分子による偏光面の回転させ方により右旋性若しくは左旋性(即ち、それぞれ(+)又は(−)異性体)と表される。キラル化合物は、個別のエナンチオマー又はその混合物として存在し得る。エナンチオマーを当量含む混合物は『ラセミ混合物』と呼ばれる。
『多形物』という用語は、特定の結晶充填配置にある化合物の結晶形態(又はその塩、水和物、又は溶媒和物)を指す。全ての多形物は同一成分の医薬組成物を有する。異なる結晶形態は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学的及び電気的特性、安定性、並びに溶解度を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、及び他の要因により、一種の結晶形態が優勢になることもある。化合物の様々な多形物を、異なる条件下での結晶化により製造できる。
『プロドラッグ』という用語は、開裂可能基を有し、加溶媒分解により又は生理的条件下において、生体内で薬学的な活性を備える本明細書に記載の化合物になる、本明細書に記載の化合物の誘導体を含む化合物を指す。こうした例としては、限定されるものではないが、コリンエステル誘導体などやN−アルキルモルホリンエステルなどが挙げられる。化合物の他の誘導体は、酸又は酸誘導体の形態で活性を有するものの、酸感受性形態では、しばしば、哺乳動物において優れた溶解性、組織適合性、又は遅延放出を示す(Bundgard,H.著『Design of Prodrugs』7−9、21−24頁(Elsevier、アムステルダム、1985年刊)を参照)。プロドラッグは、当業者にとって周知の酸誘導体、例えば、元の酸と適切なアルコールとの反応により製造されるエステル、元の酸化合物と置換又は非置換アミンとの反応により製造されるアミド、又は酸無水物、又は混合無水物などを含む。具体的なプロドラッグとしては、化合物にぶら下がる酸性基に由来する単純脂肪族又は芳香族エステル、アミド、及び無水物がある。ある場合、(アシルオキシ)アルキルエステル又は((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル等の二重エステル型プロドラッグを製造することが望ましい。本明細書に記載の化合物のC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール、C−C12置換アリール、及びC−C12アリールアルキルエステルが好ましいものとして挙げられる。
『粒子』という用語は、単一元素、無機物、有機物、又はこれらの混合物で有り得る、ある物質からなる小さな物体、断片、又は一部のことを指す。粒子の例としては、ポリマー性粒子、一重エマルション粒子、二重エマルション粒子、コアセルベート、リポソーム、マイクロ粒子、ナノ粒子、巨視的粒子、ペレット、結晶、凝集体、複合体、破砕、粉砕、又は他の手段で分裂させたマトリックス、及び架橋タンパク質又は多糖粒子が挙げられ、これらの粒子は、それぞれ、粒子の特徴寸法又は『限界寸法』を粒子の最小横断寸法としたとき、約1mmより小さく、少なくとも1nmの平均特徴寸法を有する。粒子は単一の物質又は複数の物質から構成されていてもよい。ある実施形態では、粒子はウィルス粒子ではない。別の実施形態では、粒子はリポソームではない。ある実施形態では、粒子はミセルではない。ある実施形態では、粒子は実質的に完全に固体である。ある実施形態では、粒子はナノ粒子である。ある実施形態では、粒子はマイクロ粒子である。
『ナノ粒子』という用語は、粒子の特徴寸法を粒子の最小横断寸法としたとき、約1マイクロメートルより小さく、少なくとも1ナノメートルの特徴寸法を有する粒子を指す。結晶ナノ粒子は『ナノ結晶』と呼ばれる。
『マイクロ粒子』という用語は、粒子の特徴寸法を粒子の最小横断寸法としたとき、約1ミリメートルより小さく、少なくとも1マイクロメートルの特徴寸法を有する粒子を指す。
本明細書では、『担体粒子』という用語は、吸引可能乾燥粉末又は乾燥粉末吸引器薬剤製品で用いられる薬学的に許容される不活性物質又はその組み合わせからなる粒子を意味する。担体粒子は、本技術分野で周知の賦形剤から作られたものを含み、糖アルコール、ソルビトール、マンニトール及びキシリトールなどのポリオール、単糖及びラクトース(例えば、無水ラクトース若しくはα−ラクトース一水和物)等の二糖を含む結晶糖、乳酸ナトリウム等の有機塩及び尿素などの他の有機化合物、塩化ナトリウム及び炭酸カルシウム等の無機塩、例えば、デンプン及びその誘導体などの多糖、並びに例えばシクロデキストリン及びデキストリンなどのオリゴ糖から選択される1つ以上からなるものを含む。一態様では、好ましい担体粒子は、ラクトースから作られたものであり、より好ましくは、α−ラクトース一水和物から作られたものである。DPI薬剤製品では、担体粒子は、粘液浸透性の式(I)の化合物を含む本発明に係る粒子などの、医薬剤からなる粒子に結び付けられる。ある態様では、DPI薬剤製品は、低い粘膜接着性を有するナノ粒子である本発明に係る粒子と薬学的に許容される担体粒子とからなる。
『ナノ構造』という用語は、約1000nmより小さい、例えば、約400nmより小さい、約300nmより小さい、約200nmより小さい、約100nmより小さい、又は約50nmより小さい寸法を有する少なくとも1つの領域又は特徴寸法を有する構造を指す。通常、領域又は特徴寸法は構造の最小軸に沿ったものであろう。こうした構造の例としては、ナノワイア、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ結晶、ナノテトラポッド、トリポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐テトラポッド(例えば、無機デンドリマー)など挙げられる。ナノ構造は、実質的に材料特性が均質であってもよいし、また、ある実施形態では、均質でなくても(例えば、ヘテロ構造であっても)よい。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶質であったり、実質的に、単結晶質、多結晶質、非結晶質又はこれらの組み合わせであってもよい。一態様では、ナノ構造の3次元の寸法はそれぞれ、約1000nmより小さい、例えば、約400nmより小さい、約300nmより小さい、約200nmより小さい、約100nmより小さい、又は約50nmより小さい寸法を有する。ナノ構造は1つ以上の表面配位子(例えば、界面活性剤)を備えていてもよい。
『結晶質』又は『実質的に結晶質』という用語は、ナノ構造について用いられる場合、ナノ構造が、通常、構造の1つ以上の次元に沿って長距離秩序を示すことを指す。当業者であれば理解できるように、『長距離秩序』という用語は、単一の結晶の秩序がその結晶の境界を超えて広がらないことから、特定のナノ構造の絶対的サイズに依存するだろう。ある場合、『長距離秩序』は、ナノ構造の寸法の少なくとも大部分にわたる実質的な秩序を意味する。ある場合、ナノ構造は、オキシド又は他の被膜を備えていてもよく、また、コアと少なくとも1つのシェルとから構成されていてもよい。この場合、オキシド、(1つ又は複数の)シェル、又は他の被膜は、上述の秩序を示す必要はない(例えば、非結晶質、多結晶質、又はその他でもよい)ことが理解できるだろう。この場合、『結晶質』、『実質的に結晶質』、『実質的に単結晶質』、又は『単結晶質』という表現は、(被膜層又はシェルを除く)ナノ構造の中心コアを指す。『結晶質』又は『実質的に結晶質』という用語は、本明細書では、構造が実質的に長距離秩序(例えば、ナノ構造又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%にわたる秩序)を示す限り、様々な欠損(defect)、積層欠陥、原子置換などを備える構造を包含することも意図する。さらに、コアとナノ構造の外側との間の、又は、コアと隣接するシェルとの間の、又は、シェルと隣接する第2のシェルとの間の界面は、非結晶領域を含んでもよく、さらに、非結晶質であってもよいことも理解できるだろう。このことは、ナノ構造が、本明細書で定義したように結晶質又は実質的に結晶質であることを妨げるものではない。『単結晶質』という用語は、ナノ構造について用いられる場合、ナノ構造が、実質的に結晶質であり、実質的に単一の結晶からなることを示す。コアと1つ以上のシェルを含むナノ構造ヘテロ構造について用いられる場合、『単結晶質』は、コアが実質的に結晶質であり、実質的に単一の結晶からなることを示す。ナノ構造について用いられるのではない場合、『単結晶質』という用語は、実質的に同じ大きさと配向性を持つ実質的に単一の晶子から構成されている材料を示す。
『ナノ結晶』は実質的に単結晶質なナノ構造である。そのため、ナノ結晶は、約1000nmより小さい、例えば、約400nmより小さい、約300nmより小さい、約200nmより小さい、約100nmより小さい、又は約50nmより小さい寸法を有する少なくとも1つの領域又は特徴寸法を有する。通常、領域又は特徴寸法は構造の最小軸に沿ったものであろう。こうした構造の例としては、ナノワイア、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノワイア、ナノテトラポッド、ナノトリポッド、ナノバイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、ナノリボンなど挙げられる。ナノ構造は、実質的に材料特性が均質であってもよいし、また、ある実施形態では、均質でなくても(例えば、ヘテロ構造であっても)よい。任意に、ナノ結晶は1つ以上の表面配位子(例えば、界面活性剤)を備えていてもよい。ナノ結晶は、任意に、構造中で実質的に単一な結晶(『単一結晶ナノ構造』又は『単結晶質ナノ構造』)である。本発明で用いるナノ構造は本質的に任意の便利な材料又は材料から製造することが可能であり、好ましくは、ナノ構造は、無機材料、例えば、無機導体又は半導体材料から製造される。導体又は半導体ナノ構造は、しばしば、一次元量子閉じ込めを示し、例えば、電子はしばしば構造の一次元のみに沿って移動し得る。ナノ結晶は、実質的に材料特性が均質であってもよいし、また、ある実施形態では、均質でなくても(例えば、ヘテロ構造であっても)よい。『ナノ結晶』という用語は、様々な欠損、積層欠陥、原子置換を含む実質的に単結晶質なナノ構造を、これらの欠損、欠陥、又は置換を有しない実質的に単結晶質なナノ構造に加えて、包含することを意図する。コアと1つ以上のシェルを含むナノ結晶ヘテロ構造の場合、ナノ結晶のコアは、通常、実質的に単結晶質であるものの、シェルはそうである必要はない。ナノ結晶は本質的に任意の便利な材料又は材料から製造することが可能である。
『多結晶質』という用語は、異なるサイズと配向性を持つ複数の晶子から構成されている材料を指す。ナノ構造について用いられる場合、『多結晶質』という用語は単結晶質ではない結晶質ナノ構造を指す。
『生体適合性』材料は、患者に挿入又は注入されたときに通常有害応答を誘導しない材料を指す。有害応答としては、患者の免疫系による、例えば、T細胞性応答を介した、重い炎症、及び/又は、材料への急性拒絶応答が挙げられる。理解されるように、『生体適合性』は相対的な用語であり、若干の免疫応答は患者の生体組織と生体適合性の高い材料でも生じ得る。しかし、本明細書では、『生体適合性』は、免疫系の少なくとも一部による材料への急性拒絶応答を指し、即ち、患者での生体適合性を欠く(即ち、非生体適合性)材料は、免疫系による材料への拒絶応答が十分に制御できぬほど重篤であったり、また、しばしば、非生体適合性材料が患者に導入される前の状態程度に患者を戻すためには患者から材料を取り除かなければならない程度であったりするほどの免疫応答を患者に引き起こす。材料の生体適合性を決定するためのある試験では、材料をインビトロで細胞(例えば、線維芽細胞又は上皮細胞)に接触させ、中程度の濃度、例えば、約50マイクログラム/10細胞の濃度で、顕著な細胞死を招かないのであれば、その材料は生体適合性であるとみなす。ある実施形態では、貪食されたり、その他、細胞により取り込まれたりしても、死亡する細胞が約20%未満であれば、顕著な細胞死とみなさない。いくつかの実施形態では、インビトロで材料を細胞に接触させると約20%未満の細胞死を招き、インビボに材料を投与すると望まぬ炎症や他の有害応答を誘導しない場合、材料は生体適合性であるとみなす。ある実施形態では、生体適合性材料は生分解性である。生体適合性材料の非限定的な例としては、生体適合性ポリマー(生体適合性コポリマーを含む)が挙げられる。
『生分解性』材料は、体内や細胞に導入された場合などの生理環境内で、化学的及び/又は生物学的に(例えば、加水分解又は酵素活性により)分解する能力を有する材料を指す。例えば、こうした材料として、(例えば、患者内の)水に曝すと自発的に加水分解するもの、及び/又は、(例えば、約37℃の温度の)熱に曝すと分解し得るものを挙げることができる。材料の分解は、用いられた材料に依存して、様々な速度で生じ得る。例えば、材料の半減期(材料の50%が小成分に分解する時間)は、日、週、月、又は年といった単位で示され得る。生分解性材料は、例えば、酵素活性や細胞機構により、例えば、リゾチームへの曝露を介して、生物学的に分解されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、生分解性材料は、細胞への顕著な毒性効果なしで(例えば、小成分をインビトロで細胞に添加した場合、死亡する細胞が約20%未満であり)細胞が再利用又は処分できる小成分に分解されるものであってもよい。生分解性材料の非限定的な例としては、生分解性ポリマー(生分解性コポリマーを含む)が挙げられる。生分解性ポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレングリコール)トリブロックコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ラクチド)(又はポリ(乳酸))、ポリ(グリコリド)(又はポリ(グリコール酸))、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(無水物)、ポリ(エステル)、ポリ(トリメチレンカルボナート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ベータアミノエステル)、及びこれらのコポリマー(例えば、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA))が挙げられる。
本明細書では、『医薬組成物』及び『製剤』という用語は、互換的に用いられる。
本明細書では、『医薬剤』及び『薬剤』という用語は、互換的に用いられる。
投与が検討されている『患者』として、限定されるものではないが、ヒト(即ち、任意の年齢群(例えば、小児患者(例えば、乳児、子供、思春期)、成人患者(例えば、青年、中年、老年))の男性又は女性)、及び/又は、ヒト以外の動物、例えば、哺乳類(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/又はイヌ等の商業用哺乳類)、及び鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ及び/又はシチメンチョウ等の商業用鳥類)が挙げられる。ある実施形態では、動物は哺乳類である。動物は任意の成長段階のオス又はメスであってもよい。動物は遺伝子組み換え動物又は遺伝子操作動物であってもよい。ある実施形態では、患者はヒト以外の動物である。ある実施形態では、動物は魚類である。
本明細書では、『対象組織』という用語は、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の送達目標である、血管及び/又はリンパ管をはじめとする対象の任意の生物組織(細胞群、身体部位、又は器官など)又はその一部を指す。対象組織は、病的又は非健康組織であってもよく、これらの組織は治療が必要とされるものであってもよい。対象組織は、病的又は非健康になる危険性が通常よりも高い正常又は健康組織であってもよく、これらの危険性は予防が必要とされるものであってもよい。
本明細書では、『投与(する)』、『投与する(こと)』、又は『投与』という用語は、移植、吸収、摂取、注射、吸引、又は、その他、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物を患者内又は上に導入することを指す。
本明細書では、『治療』、『治療(する)』、『治療する(こと)』という用語は、細菌感染症などの本明細書に記載の『病状』(例えば、病気、障害、若しくは疾患、又は、これらの兆候若しくは症状)について、その開始を打ち消し、軽減し、遅延し、又は、その進行を抑制することを指す。いくつかの実施形態では、治療は1つ以上の兆候又は症状が進展又は観察された後に施され得る。別の実施形態では、治療は病気又は疾患の兆候又は症状がない状態で施され得る。例えば、症状の開始に先立ち(例えば、症状の経歴及び/又は病原菌への曝露に照らし合わせて)疑わしい対象に治療を施してもよい。例えば、再発を遅延又は予防するため、症状がなくなった後も、治療を継続してもよい。
本明細書では、『疾患』、『障害』、及び『病気』という用語は、互換的に用いられる。
本明細書に記載の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)の『有効量』は、所望の生物学的応答、即ち、疾患の治療をもたらすために十分な量を指す。当業者であれば理解できるように、本明細書に記載の医薬剤の有効量は、所望の生物学的評価項目、医薬剤の薬物動態、治療される疾患、投与法、及び患者の年齢と健康状態などの要因に依存して、異なり得る。有効量は治療処置及び予防処置を包含する。例えば、細菌感染症を治療する際、有効量の医薬剤は、細菌の成長を抑制し、及び/又は、細菌を殺し得る。
本明細書に記載の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)の『治療有効量』は、疾患の治療に治療上の有益性をもたらすために、又は、疾患に関連する1つ以上の症状を遅延若しくは最小化するために十分な量を指す。医薬剤の治療有効量は、単独で又は他の治療薬と共に使用する際の、疾患の治療に治療上の有益性をもたらす治療薬の量を意味する。『治療有効量』という用語は、総合的な治療効果を改善し、疾患の症状若しくは原因を減少又は回避し、及び/又は、他の治療薬の効能を増強する量を包含し得る。
本明細書に記載の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)の『予防有効量』は、疾患若しくは該疾患に関連する1つ以上の症状を予防するために、又は、その再発を予防するために十分な量を指す。医薬剤の予防有効量は、単独で又は他の薬と共に使用する際の、疾患の予防に予防上の有益性をもたらす治療薬の量を意味する。『予防有効量』という用語は、総合的な予防効果を改善し、他の予防薬の効能を増強する量を包含し得る。
『生体サンプル』という用語は、組織サンプル(組織切片や組織の針生検など)、細胞サンプル(例えば、細胞学的塗抹標本(Pap又は血液塗抹標本など)又は顕微解剖により得られた細胞のサンプル)、全体標本(酵母菌又は細菌のサンプル)、又は、細胞を溶解しその成分を遠心若しくは他の手段で分離することで得られた細胞分画、断片、若しくは細胞小器官を含む任意のサンプルを指す。生体サンプルの他の例としては、血液、血清、尿、精液、痰、糞便、脳脊髄液、間質液、粘液、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科生検又は針生検で得られたもの)、乳頭吸引液、乳、膣液、唾液、ぬぐい液(口腔拭い液など)、又は最初の生体サンプルに由来する生体分子を含む任意の材料が挙げられる。
『タンパク質』又は『ペプチド』は、ペプチド結合により互いに接続されているアミノ酸残基からなるポリマーを含む。当該用語は、本明細書では、任意の大きさ、構造、又は機能を有するタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。通常、タンパク質は少なくとも3アミノ酸長だろう。タンパク質は、個々のタンパク質又は一群のタンパク質を指し得る。本技術分野で周知の非天然アミノ酸(即ち、自然には生じないもののポリペプチド鎖に取り込むことのできる化合物)及び/又はアミノ酸類似体を代わりに用いてもよいものの、タンパク質は天然アミノ酸のみを含んでもよい。また、タンパク質中のアミノ酸の1つ以上が、例えば、炭水化物基、水酸基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、結合(共役)若しくは機能付与のためのリンカー又は他の修飾などの化学物質の付加により、修飾されていてもよい。タンパク質は、また、一分子であってもよいし、多分子複合体であってもよい。タンパク質は天然由来のタンパク質又はペプチドの断片であってもよい。タンパク質は、天然由来型、組み換え型、合成型、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
本出願では、様々な交付済み特許、公開された特許出願、学術論文、及び他の刊行物を参照しているが、これらの内容を参照により本明細書で援用する。
本発明に係る1つ以上の実施形態の詳細を以下で記載する。発明を実施するための形態、図面、実施例、及び請求項から、本発明の他の特徴、課題、及び利点は明らかとなるだろう。
本発明の非限定的実施形態を図面を参照しながら例示的に示す。図面は模式的であり縮尺通りに描かれているわけではない。図面では、例示した部品のうち同一又はほぼ同一のものは通常一つの数字で示す。分かりやすさのため、部品全てをラベルすることはせず、また、当業者が発明を理解するために例示する必要がない場合、本発明の実施形態の部品の一部を図示しないこともある。
コアと被膜を有する粘液浸透粒子(MPP)の模式図を示す。 MPPと従来粒子を吸引投与した後の患者の気道の粘液層におけるこれら粒子の模式図を示す。MPPはグリコカリックスまで外粘液層を容易に浸透し、従来粒子(CP)は粘液の外層に固定化される。患者の自然クリアランス機構により外層がクリアランスされると医薬組成物も除去されるところ、MPPはクリアランスが比較的遅いグリコカリックスに保持されるため、気道表面に長く留まることとなる。 粉砕前後の結晶化合物状の化合物I−A−1の偏光顕微鏡及びSEMによる画像を示す。 希釈した頸腟部粘液中の化合物I−A−1の移動性を示す物質移行データを示す。 嚢胞性線維症(CF)患者由来の粘液中で37℃でインキュベートした後に化合物I−A−1がメロペネムに変換されることを示す。 ポリラクチド(PLA)100DL7Aを用いたナノ沈殿により得られた化合物I−A−1の粒子の典型的薬剤放出プロファイルを示す。薬剤放出データは、0.5%TWEEN80の存在下PBS(pH7.4)中37℃でインキュベートして得た。 実施例3に従って製造される粘液浸透粒子(MPP)として処方したメロペネム又は化合物I−A−1(メロペネムプロドラッグ)の溶液から気管内(IT)服用させた後のギニアピッグの肺中でのメロペネムの薬物動態を示すプロット。エラーバーは平均からの標準誤差を示す(各時点でn=3匹)。
本発明は、式(I)並びに、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、及び同位体標識誘導体からなる新規化合物を提供する。本発明に係る化合物はβ−ラクタム系抗生物質の誘導体である。ある実施形態では、これらβ−ラクタム系抗生物質はカルバペネム(例えば、下記の、メロペネム(1)、ドリペネム(2)、エルタペネム(3)、及びイミペネム(4))である。これら誘導体は、通常、元のβ−ラクタム系抗生物質より低い水溶性及び/又は親水性を有し、また、生体内で変換され得、これにより、元のβ−ラクタム系抗生物質が得られる。元のβ−ラクタム系抗生物質と比べて、誘導体は、従来の医薬組成物として患者に投与される際、改善された生体利用効率(例えば、経口生体利用効率)を示し得る。さらに、誘導体は、患者の気道への吸引投与のために適している粘液浸透粒子(mucus−penetrating particles;MPP)及び/又は粘液浸透結晶(mucus−penetrating crystals;MPC)に、より容易に加工できる。元のβ−ラクタム系抗生物質への誘導体の上述の優位性は、誘導体の低い水溶性及び/又は親水性によるのかもしれない。
本発明の一態様では、β−ラクタム系抗生物質(メロペネム等)の持続時間は、水溶性が低く、対象組織(例えば、肺)に局所送達された後も体に急速には吸収されない本発明に係る式(I)の化合物により改善される。本発明のさらなる実施形態では、粘液のクリアランスを減らすため、本発明に係る式(I)の化合物は粘液に結合しない粘液浸透粒子として製剤化され、一旦肺に(例えば、溶液又はより大きな担体粒子を用いる吸引可能乾燥粉末製剤として)送達されると、本発明に係る化合物からなる粘液浸透粒子は溶解して当該化合物の分子となり、その後、急速に開裂して元のβ−ラクタム系抗生物質、例えば、メロペネムになる。
本発明は、さらに、本発明に係る化合物を含む医薬組成物及びキットを提供する。本発明に係る、化合物、医薬組成物、及びキットの使用法及び製造法も本発明により提供される。
ドリペネム(2)
エルタペネム(3)

イミペネム(4)
また、本発明によれば、粘液を浸透する粒子、その医薬組成物、キット、並びに当該粒子及びその医薬組成物の使用法及び製造法が提供される。医薬組成物、キット、方法は、低水溶性を有する医薬剤の粒子などの粒子の表面被膜を修飾することを含んでもよい。こうした医薬組成物、キット、方法は、本発明に係る化合物を含む粒子を患者の粘液バリアを超えて効率的に移送することを成し遂げるために使用できる。
ある実施形態では、本発明に係る化合物、粒子、医薬組成物、キット、方法は、肺疾患(例えば、気道感染症など)の治療及び/又は予防のためなど、気道への適用に役立つ。
本発明に係る粒子(例えば、ナノ粒子及びマイクロ粒子)は本発明に係る化合物を提供する。本発明に係る粒子は、また、粘液への粒子の接着性を減らすため及び/又は粘液を超えた粒子の浸透を促進するため粒子の表面を改質する表面改変剤も含む。
本発明は、また、本発明に係る粒子を含む医薬組成物も含む。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、上部気道(例えば、鼻、鼻孔、副鼻腔、及び喉又は咽頭など)、呼吸気道(例えば、発声器又は喉頭、気管、気管支、及び細気管支)、及び肺(例えば、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、及び肺胞など)などの患者の気道に吸引により投与できる。吸引可能な医薬組成物は、静脈内、筋肉内、又は経口投与される医薬組成物よりも優れている。第1に、患者は、静脈内又は筋肉内投与の間、入院せねばならないことがある。第2に、静脈又は筋肉注射は侵襲的であると多数に考えられている。第3に、静脈内、筋肉内、又は経口治療を受けている患者は、しばしば、全身的薬剤曝露に関連する有害作用を経験する。一方、吸引可能な医薬組成物は在宅治療で投与できるので、静脈内又は筋肉内治療に伴う余分な入院コストが不要となる。さらに、吸引可能な医薬組成物は全身的薬剤曝露を最小化するので、これにより有害応答が高頻度に減少する。
吸引により薬剤を気道に送達することは困難である。可溶性薬剤は、体循環に急速に吸収され、肺の対象組織からなくなり、不溶性薬剤は、急速にクリアランスされる粘液層に通常捕捉されるため、急速にクリアランスされる。そのため、現在肺疾患の治療に用いられている従来の吸引可能な医薬組成物は、効能を達成し持続するために、高服用量及び/又は高頻度でしばしば投与される。こうした高頻度及び/又は高服用量は患者コンプライアンスを大いに悪化させ、局所的有害作用の危険性を高める。
本発明に係る医薬組成物は、TOBI(登録商標)、CAYSTON(登録商標)、TIP(登録商標)、及びARIKACE(登録商標)などの市販中又後期臨床段階の既存の吸引可能な医薬組成物よりも優れている。これらの吸引可能な医薬組成物は溶液であり、薬剤は急速に体循環に吸収され、且つ、これらの医薬組成物は粘液を浸透する薬剤のナノ粒子を含まない。一方、本発明に係る医薬組成物は、粘液への接着及び/又は急速な粘液クリアランスを回避又は最小化するため、気道組織の粘液層をより容易に浸透可能な本発明の不溶性化合物からなる粒子を含む。そのため、本発明に係る医薬組成物はより効率的に抗生物質を粘膜上皮に送達でき、気道などの粘液含有組織中に長時間保持され得る。その結果、本発明に係る医薬組成物は、同程度又は優れた結果を得るために現在市販されている医薬組成物よりも低服用量及び/又は低頻度で投与することができる。さらに、医薬組成物を比較的に少なく及び/又はまれに服用することは、副作用の頻度や重篤性を減らし、毒性プロファイルをより望ましいものとし、及び/又は、患者コンプライアンスを改善することに繋がる。
(化合物)
カルバペネム系薬剤(例えば、メロペネム(1)、ドリペネム(2)、エルタペネム(3)、及びイミペネム(4)など)などのβ−ラクタム系抗生物質は、様々な感染症の治療に役立つ。これらは、(グラム陽性、グラム陰性、及び嫌気性の細菌を含む)広い範囲の細菌感染症の治療に特に有効である。吸収を高め、これにより経口生体利用効率を高めるためにβ−ラクタム系抗生物質のプロドラッグも開発されている。米国特許第6410525号明細書や米国特許出願第2004/0176350号明細書を参照のこと。これらの内容を参照により本願明細書に援用する。プロドラッグの経口生体利用効率が改善したことにより利益を受けた臨床的に確立された薬剤の例としては、セフジトレン ピボキシル、ピバンピシリン、バカンピシリン、及びピブメシリナムが挙げられる。
一態様では、本発明はβ−ラクタム系抗生物質の誘導体を提供する。誘導体は元のβ−ラクタム系化合物よりも高い経口生体利用効率を示し得る。誘導体は、また、元のβ−ラクタム系抗生物質よりも低い水溶性及び/又は高い疎水性を示し得る。元の化合物と比べて、低い水溶性及び/又は高い疎水性を有する誘導体は、粘液浸透粒子、結晶、又は医薬組成物により容易に加工できる。誘導体は、そのまま又はそれを含有する粘液浸透粒子若しくは医薬組成物の形態で患者に投与された時又は投与された後、生体内で変換され元のβ−ラクタム系化合物を提供する。
ある実施形態では、本発明は、以下の式(I)の化合物
(I)
並びに、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、及び同位体標識誘導体(但し、
は単結合又はなしであり、
は単結合又は二重結合であり、
は、置換若しくは非置換脂肪族、置換若しくは非置換ヘテロ脂肪族、置換若しくは非置換カルボシクリル、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
は、−C(=O)−N(Me)、−CH−NH−S(=O)−NH
、=NH、又は
であり、
は、置換若しくは非置換脂肪族、置換しくは非置換カルボシクリル、置換しくは非置換アリール、又は置換しくは非置換ヘテロアリールであり、
は水素又はメチルであり、且つ
が非置換C脂肪族である場合、Rは非置換C−C12脂肪族、置換脂肪族、置換若しくは非置換カルボシクリル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである)を提供する。
別の実施形態では、本発明は、以下の式(I)の化合物
(I)
並びに、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、及び同位体標識誘導体(但し、
は単結合又はなしであり、
は単結合又は二重結合であり、
は、置換若しくは非置換脂肪族、置換若しくは非置換ヘテロ脂肪族、置換若しくは非置換カルボシクリル、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
は、−C(=O)−N(Me)、−CH−NH−S(=O)−NH
、=NH、又は
であり、
は、置換若しくは非置換脂肪族、置換しくは非置換カルボシクリル、置換しくは非置換アリール、又は置換しくは非置換ヘテロアリールであり、
は水素又はメチルであり、且つ
が非置換C1−4脂肪族である場合、Rは非置換C−C12脂肪族、置換脂肪族、置換若しくは非置換カルボシクリル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである)を提供する。
ある実施形態では、本発明は式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を提供する。
ある実施形態では、
は単結合である。
ある実施形態では、
はない。
ある実施形態では、
は単結合である。
ある実施形態では、
は二重結合である。
式(I)の化合物は置換基Rを含む。ある実施形態では、Rは置換脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換脂肪族である。脂肪族基は分岐でも非分岐でもよい。脂肪族基は、飽和又は不飽和であってもよく、結合価が許容する限り任意の数の二重結合及び/又は三重結合を含んでもよい。ある実施形態では、Rは置換C1−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換C1−3脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換C1−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換C5−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは直鎖C1−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは置換C1−6脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換C1−6脂肪族である。ある実施形態では、Rは置換アルキルである。ある実施形態では、Rは非置換アルキルである。ある実施形態では、RはC1−12アルキルである。ある実施形態では、Rは直鎖C1−12アルキルである。ある実施形態では、RはC1−6アルキルである。ある実施形態では、Rは直鎖C1−6アルキルである。ある実施形態では、Rはメチルである。ある実施形態では、Rは置換メチルである。ある実施形態では、Rは−CHFである。ある実施形態では、Rは−CHFである。ある実施形態では、Rは−CFである。ある実施形態では、RはBnである。ある実施形態では、Rはエチルである。ある実施形態では、Rは置換エチルである。ある実施形態では、Rは−(CHPhである。ある実施形態では、Rはプロピルである。ある実施形態では、Rはブチルである。ある実施形態では、Rはペンチルである。ある実施形態では、Rはヘキシルである。ある実施形態では、Rはヘプチルである。ある実施形態では、Rはオクチルである。ある実施形態では、Rはノニルである。ある実施形態では、Rはデシルである。ある実施形態では、Rはウンデシルである。ある実施形態では、Rはドデシルである。ある実施形態では、Rは置換アルケニルである。ある実施形態では、Rは非置換アルケニルである。ある実施形態では、Rはビニルである。ある実施形態では、Rは置換アルキニルである。ある実施形態では、Rは非置換アルキニルである。ある実施形態では、Rはエチニルである。
ある実施形態では、Rは置換カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは非置換カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは単環式カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換3−7員単環式カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロプロピルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロブチルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロペンチルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロヘキシルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロヘプチルである。ある実施形態では、Rは縮合、架橋、又はスピロ二環式カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換6−14員二環式カルボシクリルである。
ある実施形態では、Rは置換アリールである。ある実施形態では、Rは非置換アリールである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換6−14員アリールである。ある実施形態では、Rは非置換フェニルである。ある実施形態では、Rは置換フェニルである。ある実施形態では、Rはモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはオルトモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはメタモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはパラモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはジ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはトリ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはテトラ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはペンタ置換フェニルである。ある実施形態では、Rは、ハロゲン、置換又は非置換アシル、置換又は非置換脂肪族、置換又は非置換ヘテロ脂肪族、置換又は非置換カルボシクリル、置換又は非置換ヘテロシクリル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択される1から5個の置換基で置換されているフェニルである。ある実施形態では、Rは、ハロゲン、置換又は非置換C1−12脂肪族、並びに、酸素、硫黄、及び窒素からなる群より独立して選択される1−4個のヘテロ原子を含む置換又は非置換C1−12ヘテロ脂肪族からなる群より独立して選択される1から5個の置換基で置換されているフェニルである。ある実施形態では、Rは非置換ナフチルである。ある実施形態では、Rは置換ナフチルである。
ある実施形態では、Rは置換又は非置換ヘテロアリールである。ある実施形態では、Rは単環式、二環式(例えば、縮合二環式)又は三環式ヘテロアリールである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換の単環式5−7員ヘテロアリール(但し、ヘテロアリール環の1、2、又は3個の原子は、独立して、窒素、酸素、又は硫黄である)である。ある実施形態では、Rは置換又は非置換の二環式10−14員ヘテロアリール(但し、ヘテロアリール環の1、2、3、4、又は5個の原子は、独立して、窒素、酸素、又は硫黄である)である。
メロペネム(1)、ドリペネム(2)、エルタペネム(3)、及びイミペネム(4)は、β−ラクタム系抗生物質のアミノ部分に隣接するα炭素原子上に置換基(即ち、それぞれ、−C(=O)−N(Me)、−CH−NH−S(=O)−NH
、=NH)を有する。式(I)の化合物はまた置換基Rを含む。ある実施形態では、Rは−C(=O)−N(Me)という式である。ある実施形態では、Rは−CH−NH−S(=O)−NHという式である。ある実施形態では、R
である。ある実施形態では、R
である。ある実施形態では、Rは=NHという式である。ある実施形態では、R
である。メロペネム(1)、ドリペネム(2)、エルタペネム(3)、及びイミペネム(4)は、それぞれ、−C(=O)−N(Me)、−CH−NH−S(=O)−NH
、=NH)を有する。
式(I)の化合物は置換基Rを含む。ある実施形態では、Rは置換脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換脂肪族である。脂肪族基は分岐でも非分岐でもよい。脂肪族基は、飽和又は不飽和であってもよく、結合価が許容する限り任意の数の二重結合及び/又は三重結合を含んでもよい。ある実施形態では、Rは置換C1−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換C1−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは直鎖C1−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは置換C1−6脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換C1−6脂肪族である。ある実施形態では、Rは非置換C6−12脂肪族である。ある実施形態では、Rは置換アルキルである。ある実施形態では、Rは非置換アルキルである。ある実施形態では、RはC1−12アルキルである。ある実施形態では、Rは直鎖C1−12アルキルである。ある実施形態では、RはC1−6アルキルである。ある実施形態では、Rは直鎖C1−6アルキルである。ある実施形態では、Rはメチルである。ある実施形態では、Rは置換メチルである。ある実施形態では、Rは−CHFである。ある実施形態では、Rは−CHFである。ある実施形態では、Rは−CFである。ある実施形態では、RはBnである。ある実施形態では、Rはエチルである。ある実施形態では、Rは置換エチルである。ある実施形態では、Rは−(CHPhである。ある実施形態では、Rはプロピルである。ある実施形態では、Rはブチルである。ある実施形態では、Rはペンチルである。ある実施形態では、Rはヘキシルである。ある実施形態では、Rはヘプチルである。ある実施形態では、Rはオクチルである。ある実施形態では、Rはノニルである。ある実施形態では、Rはデシルである。ある実施形態では、Rはウンデシルである。ある実施形態では、Rはドデシルである。ある実施形態では、Rは置換アルケニルである。ある実施形態では、Rは非置換アルケニルである。ある実施形態では、Rはビニルである。ある実施形態では、Rは置換アルキニルである。ある実施形態では、Rは非置換アルキニルである。ある実施形態では、Rはエチニルである。
ある実施形態では、Rは置換カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは非置換カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは単環式カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換3−7員単環式カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロプロピルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロブチルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロペンチルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロヘキシルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換シクロヘプチルである。ある実施形態では、Rは縮合、架橋、又はスピロ二環式カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換6−14員二環式カルボシクリルである。
ある実施形態では、Rは置換アリールである。ある実施形態では、Rは非置換アリールである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換6−14員アリールである。ある実施形態では、Rは非置換フェニルである。ある実施形態では、Rは置換フェニルである。ある実施形態では、Rはモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはオルトモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはメタモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはパラモノ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはジ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはトリ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはテトラ置換フェニルである。ある実施形態では、Rはペンタ置換フェニルである。ある実施形態では、Rは、ハロゲン、置換又は非置換アシル、置換又は非置換脂肪族、置換又は非置換ヘテロ脂肪族、置換又は非置換カルボシクリル、置換又は非置換ヘテロシクリル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択される1から5個の置換基で置換されているフェニルである。ある実施形態では、Rは、ハロゲン、置換又は非置換C1−12脂肪族、並びに、酸素、硫黄、及び窒素からなる群より独立して選択される1−4個のヘテロ原子を含む置換又は非置換C1−12ヘテロ脂肪族からなる群より独立して選択される1から5個の置換基で置換されているフェニルである。ある実施形態では、Rは非置換ナフチルである。ある実施形態では、Rは置換ナフチルである。
ある実施形態では、Rは置換又は非置換ヘテロアリールである。ある実施形態では、Rは単環式、二環式(例えば、縮合二環式)又は三環式ヘテロアリールである。ある実施形態では、Rは置換又は非置換の単環式5−7員ヘテロアリール(但し、ヘテロアリール環の1、2、又は3個の原子は、独立して、窒素、酸素、又は硫黄である)である。ある実施形態では、Rは置換又は非置換の二環式10−14員ヘテロアリール(但し、ヘテロアリール環の1、2、3、4、又は5個の原子は、独立して、窒素、酸素、又は硫黄である)である。
ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、置換6−14員アリールである。ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、非置換6−14員アリールである。ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、置換フェニルである。ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、非置換フェニルである。ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、置換C1−6アルキルである。ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、非置換C1−6アルキルである。ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、置換、3−7員、単環式カルボシクリルである。ある実施形態では、R及びRは、それぞれ、非置換、3−7員、単環式カルボシクリルである。ある実施形態では、Rは非置換、3−7員、単環式カルボシクリルであり、且つ、Rは非置換C1−6アルキルである。ある実施形態では、Rは非置換、3−7員、単環式カルボシクリルであり、且つ、Rは非置換C1−6アルキルである。
ある実施形態では、Rは水素である。ある実施形態では、Rはメチルである。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−A)
(I−A)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−A−1)
(I−A−1)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−B)
(I−B)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−B−1)
(I−B−1)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−C)
(I−C)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−C−1)
(I−C−1)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−D)
(I−D)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−D−1)
(I−D−1)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−E)
(I−E)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
ある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(I−E−1)
(I−E−1)
のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である。
本発明に係る化合物は結晶質であってもよい。ある実施形態では、本発明に係る化合物は単結晶質である。ある実施形態では、本発明に係る化合物は多結晶質である。
本発明に係る化合物は、また、比較的低い水溶性(即ち、任意に1つ以上の緩衝剤を含む水への溶解性)を有し得る。ある実施形態では、本発明に係る化合物の水溶性は、元のβ−ラクタム系化合物又はその薬学的に許容される塩のものより低い。例えば、本発明に係る化合物は、25℃で、約3mg/mL以下、約1mg/mL未満、約0.3mg/mL未満、約0.1mg/mL未満、約0.03mg/mL未満、約0.01mg/mL未満、約1μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0.01μg/mL未満、約1ng/mL未満、約0.1ng/mL未満、又は約0.01ng/mL未満の水溶性を有し得る。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、25℃で、少なくとも約1pg/mL、少なくとも約10pg/mL、少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも約0.01mg/mL、少なくとも約0.03mg/mL、少なくとも約0.1mg/mL、少なくとも約0.3mg/mL、少なくとも約1.0mg/mL、又は少なくとも約3mg/mLの水溶性を有し得る。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約10pg/mLで約1mg/mL未満の水溶性)も可能である。他の範囲も可能である。本発明に係る化合物は、pH範囲(例えば、pH7前後又はpH1からpH14)の任意の点で以上の又はその他の水溶性の範囲を有し得る。
本発明に係る化合物は、粘液浸透医薬組成物(例えば、粒子又は結晶)への加工に適したものであり得る。ある実施形態では、本発明に係る化合物は粉砕(例えば、ナノ粉砕)に適している。ある実施形態では、本発明に係る化合物は沈殿(例えば、マイクロ沈殿、ナノ沈殿、結晶化、又は制御結晶化)に適している。ある実施形態では、本発明に係る化合物は乳化に適している。ある実施形態では、本発明に係る化合物は凍結乾燥に適している。
本発明に係る化合物のこうした適合性は、本化合物の比較的に低い水溶性によるのかもしれない。
元のβ−ラクタム系化合物の誘導体としての本発明に係る化合物は、変換(例えば、加水分解)されて、元のβ−ラクタム系化合物となる。ある実施形態では、本発明に係る化合物は、加水分解して、式(II)
(II)
並びに、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、及び同位体標識誘導体(但し、
及び、Rは本明細書に記載の通りであり、
B1は、−C(=O)−N(Me)、−CH−NH−S(=O)−NH
、又は=NHである)である。
本発明に係る化合物の変換は、インビトロ、エクスビトロ、又はインビボで生じ得る。本発明に係る化合物の変換は、0から100℃の任意の点(例えば、37℃前後又は20から40℃)、且つ、任意のpH(例えば、pH7前後又はpH1からpH14)で生じ得る。ある実施形態では、本発明に係る化合物の変換は生理的条件下で生じる。本発明に係る化合物は、例えば、酵素活性又は細胞機構により、生物学的に変換され得る。本発明に係る化合物は、また、例えば、酵素活性又は細胞機構によらずに、化学的に変換され得る。本発明に係る化合物の半減期(本発明に係る化合物の50%が、式(II)の化合物及び/又は他の化合物に変換される時間)は、分、時間(例えば、約1時間、約2時間、約6時間、及び約12時間)、日(例えば、約1日、約2日、約3日、及び約5日)、及び週といった単位で有り得る。本発明に係る化合物は、変換された結果、元のβ−ラクタム系化合物に加えて、他の化合物を生じ得る。ある実施形態では、こうした他の化合物は、細胞への顕著な毒性効果なしで(即ち、当該他の化合物を細胞に接触させた場合、死亡する細胞が約20%未満で)細胞が再利用又は処分できる化合物である。
(本発明に係る化合物の製造法)
別態様では、本出願は本発明に係る化合物の製造法を提供する。本発明に係る化合物は、あるβ−ラクタム系抗生物質(例えば、メロペネム(1)、ドリペネム(2)、及びエルタペネム(3))の誘導体である。元のβ−ラクタム系抗生物質と比較すると、本発明に係る化合物は、疎水性がより高く、及び/又は、水溶性がより低いものであり得る。本発明に係る化合物は、元のβ−ラクタム系抗生物質の極性部分、特に、特定のpH範囲で正又は負の電荷を帯びるようプロトン化又は脱プロトン化され得る基(例えば、アミノ及びカルボキシル基)、をより極性の低い基(例えば、カルバマートやエステル)に変換することで合成可能である。また、極性の低い基は、生体内で当該極性部分に変換(例えば、加水分解)される能力を有することが望ましい。ある実施形態では、本発明に係る化合物の製造法は、式(i−A)の化合物、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を、式(i−B)の化合物と反応させて、式(i−C)の化合物、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を得ること、
(i−A)
(i−B)
(i−C)
式(i−C)の化合物、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を、塩基及び式(i−D)の化合物と反応させて、式(I)の化合物、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を得ることを備える。
(i−D)
(但し、R、R、R、及びRは本明細書に記載の通りであり、Rは電子求引基であり、Rは脱離基である)
式(i−A)の化合物、又は、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体は、アミノ基と、1つ(Rが−C(=O)−N(Me)又は−CH−NH−S(=O)−NHの場合)又は2つ(R
の場合)のカルボキシル基を含む。カルボキシル基と比べて、式(i−A)の化合物のアミノ基は、求核性が高く、カルボキシル基を未反応のままにしながら、エステル(例えば、式(i−B)の化合物などのカルボナート、又は、その塩、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体など)などの求電子剤と反応して、置換反応中間体(i−C)、又は、その塩、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を形成し得る。ある実施形態では、本発明に係る方法は、式(i−A)の化合物、又は、その塩、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を、実質的に化学量論的な量の式(i−B)の化合物と反応させることを含む。
本発明に係る化合物の本発明に係る製造法では塩基を用いる。ある実施形態では、塩基は無機塩基である。ある実施形態では、無機塩基はアンモニアである。ある実施形態では、無機塩基は炭酸アンモニウムである。ある実施形態では、無機塩基は水酸化アンモニウムである。ある実施形態では、無機塩基はリン酸三アルカリ金属である。ある実施形態では、無機塩基はLiPO、NaPO、KPO、RbPO、又はCsPOである。ある実施形態では、無機塩基はリン酸二アルカリ金属である。ある実施形態では、無機塩基はLiHPO、NaHPO、KHPO、RbHPO、又はCsHPOである。ある実施形態では、無機塩基はリン酸一アルカリ金属である。ある実施形態では、無機塩基はLiHPO、NaHPO、KHPO、RbHPO、又はCsHPOである。ある実施形態では、無機塩基はアルカリ金属炭酸塩である。ある実施形態では、無機塩基はLiCO、NaCO、KCO、RbCO、又はCsCOである。ある実施形態では、無機塩基は二炭酸アルカリ金属である。ある実施形態では、無機塩基はLiHCO、NaHCO、KHCO、RbHCO、又はCsHCOである。ある実施形態では、無機塩基はアルカリ金属水酸化物である。ある実施形態では、無機塩基はLiOH、NaOH、KOH、RbOH、又はCsOHである。ある実施形態では、無機塩基はアルカリ土類金属炭酸塩である。ある実施形態では、無機塩基はBeCO、MgCO、CaCO、SrCO、又はBaCOである。ある実施形態では、無機塩基は二炭酸アルカリ土類金属である。ある実施形態では、無機塩基はBe(HCO、Mg(HCO、Ca(HCO、Sr(HCO、又はBa(HCOである。ある実施形態では、無機塩基は水酸アルカリ土類金属である。ある実施形態では、無機塩基はBe(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、又はBa(OH)である。ある実施形態では、塩基は有機塩基である。ある実施形態では、有機塩基は脂肪族アミンである。ある実施形態では、有機塩基は芳香族アミンである。ある実施形態では、有機塩基は一級アミンである。ある実施形態では、有機塩基は二級アミンである。ある実施形態では、有機塩基は三級アミンである。ある実施形態では、有機塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。ある実施形態では、有機塩基は置換ピリジンである。ある実施形態では、有機塩基は2,6−ルチジン又は4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である。ある実施形態では、有機塩基は非置換ピリジンである。
式(i−B)の化合物はRとして電子求引基を含む。本明細書に記載の及び本分野で周知の全ての電子求引基が、本発明の範囲内にあるものと考えられる。ある実施形態では、Rは1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり、少なくとも1つの置換基は、ハロゲン、部分的又は完全にハロゲン化された脂肪族、シクロプロピル、部分的又は完全にハロゲン化されたカルボシクリル、−N(RD1、−CN、−NO、−C(=NRD1)RD1、−C(=NRD1)ORD1、−C(=NRD1)N(RD1、−C(=O)RD1、−C(=O)ORD1、−C(=O)N(RD1、−S(=O)RD1、−S(=O)ORD1、−S(=O)N(RD1、−S(=O)D1、−S(=O)ORD1、−S(=O)N(RD1、−OS(=O)RD1、−OS(=O)ORD1、−OS(=O)N(RD1、−OS(=O)D1、−OS(=O)ORD1、又は−OS(=O)N(RD1(但し、RD1は、それぞれ独立して、置換又は非置換脂肪族、置換又は非置換ヘテロ脂肪族、置換又は非置換カルボシクリル、置換又は非置換ヘテロシクリル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換ヘテロアリールである)である。ある実施形態では、Rは、1つ以上の置換基で置換されているフェニル(但し、少なくとも1つの置換基が−NO)である。ある実施形態では、Rは、以下の式
(nは1又は2)である。ある実施形態では、Rは、以下の式
又は、
である。ある実施形態では、Rは1つ以上の置換基で置換されているフェニル(但し、少なくとも1つの置換基が−CN)である。ある実施形態では、Rは、以下の式
(nは1、2、又は3)である。ある実施形態では、Rは、以下の式
又は、
である。
式(i−D)の化合物はRとして脱離基を含む。本明細書に記載の及び本分野で周知の全ての脱離基が、本発明の範囲内にあるものと考えられる。ある実施形態では、Rはハロゲンである。ある実施形態では、RはFである。ある実施形態では、RはClである。ある実施形態では、RはBrである。ある実施形態では、RはI(ヨウ素)である。ある実施形態では、Rは−OS(=O)E1である。ある実施形態では、wは1である。ある実施形態では、wは2である。ある実施形態では、Rは−OMsである。ある実施形態では、Rは−OTfである。ある実施形態では、Rは−OTsである。ある実施形態では、Rは−OBsである。ある実施形態では、Rは2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ。ある実施形態では、Rは−ORE1である。ある実施形態では、Rは−OMeである。ある実施形態では、Rは−OCFである。ある実施形態では、Rは−OPhである。ある実施形態では、Rは−OC(=O)RE1である。ある実施形態では、Rは−OC(=O)Meである。ある実施形態では、Rは−OC(=O)CFである。ある実施形態では、Rは−OC(=O)Phである。ある実施形態では、Rは−OC(=O)Clである。ある実施形態では、Rは−OC(=O)ORE1である。ある実施形態では、Rは−OC(=O)OMeである。ある実施形態では、Rは−OC(=O)O(t−Bu)である。ある実施形態では、RE1は置換脂肪族である。ある実施形態では、RE1は非置換脂肪族である。ある実施形態では、RE1は置換アルキルである。ある実施形態では、RE1は非置換アルキルである。ある実施形態では、RE1はC1−6アルキルである。ある実施形態では、RE1はメチルである。ある実施形態では、RE1はエチルである。ある実施形態では、RE1はプロピルである。ある実施形態では、RE1はブチルである。ある実施形態では、RE1は置換アルケニルである。ある実施形態では、RE1は非置換アルケニルである。ある実施形態では、RE1はビニルである。ある実施形態では、RE1は置換アルキニルである。ある実施形態では、RE1は非置換アルキニルである。ある実施形態では、RE1はエチニルである。ある実施形態では、RE1は置換ヘテロ脂肪族である。ある実施形態では、RE1は非置換ヘテロ脂肪族である。ある実施形態では、RE1は置換カルボシクリルである。ある実施形態では、RE1は非置換カルボシクリルである。ある実施形態では、RE1は置換ヘテロシクリルである。ある実施形態では、RE1は非置換ヘテロシクリルである。ある実施形態では、RE1は置換アリールである。ある実施形態では、RE1は非置換アリールである。ある実施形態では、RE1は置換フェニルである。ある実施形態では、RE1は非置換フェニルである。ある実施形態では、RE1は置換ヘテロアリールである。ある実施形態では、RE1は非置換ヘテロアリールである。ある実施形態では、RE1は置換ピリジルである。ある実施形態では、RE1は非置換ピリジルである。
本発明に係る化合物の製造法の工程は任意の適切な条件下で行われ得る。適切な条件は、本発明に係る化合物又はそこへ到るまでの中間体を本発明に係る方法を用いて形成できる物理的及び化学的パラメータの組み合わせである。適切な条件は、有機溶媒(例えば、例えば、アセトン、アセトニトリル(ACN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン、テトラヒドロフラン(THF)、又はその混合物)、無機溶媒(例えば、水))、又はこれらの混合物などの適切な溶媒を含んでもよい。ある実施形態では、適切な溶媒はDMFである。
適切な条件は、また、本発明に係る化合物の製造法の1つ以上の工程が行われる適切な温度を含んでもよい。ある実施形態では、適切な温度は、少なくとも約0℃、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、又は少なくとも約100℃である。ある実施形態では、適切な温度は、約100℃未満、約80℃未満、約60℃未満、約40℃未満、約25℃未満、約20℃未満、又は約0℃未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約0℃で約40℃未満の適切な温度)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、適切な温度は約20℃である。適切な温度は、本化合物の製造法の1つ以上の工程の間、様々な温度で有り得る。
適切な条件は、また、本発明に係る方法の1つ以上の工程が行われる適切な圧力を含んでもよい。ある実施形態では、適切な圧力は約1気圧である。適切な圧力は、また、1気圧より高くても低くてもよい。
適切な条件は、また、本発明に係る化合物の製造法の1つ以上の工程が行われる適切な雰囲気を含んでもよい。ある実施形態では、適切な雰囲気は空気である。ある実施形態では、適切な雰囲気は不活性雰囲気である。ある実施形態では、適切な雰囲気は窒素又はアルゴン雰囲気である。
適切な条件は、また、本発明に係る化合物の製造法の1つ以上の工程が続く適切な持続時間を含んでもよい。ある実施形態では、適切な持続時間は分、時間、又は日といった単位である。
適切な条件は、また、マイクロ波の照射及び/又は撹拌を含んでもよい。本発明に係る化合物の製造法の工程から生じる1つ以上の中間体(例えば、式(i−C)の化合物、又は、その塩、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体など)は単離及び/又は精製でき、単離及び/又は精製された中間体を本方法の次の工程で反応させることができる。単離及び/又は精製された中間体は、実質的に純粋であってもよく、中間体や副生成物が生じる工程で用いられた試薬や溶媒などの1つ以上の他の成分を含んでもよい。1つ以上の中間体は、また、単離及び/又は精製されることなく次の工程で反応させてもよい。
(医薬組成物、キット、及び使用)
本発明は、式(I)の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体などの本発明に係る化合物、及び、任意に、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明は、また、粘液浸透性であり得、医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)を含み得る、本発明に係る複数の粒子を含む医薬組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物は、医薬剤を患者の気道に送達すること、並びに、患者の気道疾患を治療及び/又は予防することに役立ち得る。
別の実施形態では、本発明は、さらに、式(I)の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を含む、吸引可能な乾燥粉末の形態の製剤であって、当該化合物が薬学的に許容される担体粒子及び任意に1つ以上の追加の薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化されている製剤を提供する。ある実施形態では、式(I)の化合物は、低い粘膜接着性を有する複数のナノ粒子として製剤化されている。
図2に示すように、患者の気道の外層は、ムチンターンオーバーにより急速にクリアランスされ得る分泌ムチン310から構成されており、アレルゲン、病原菌、及びゴミ(薬剤粒子を含む)を捕捉し気道の水層305から排除することを主な役割としている。内層(厚さ500nmまで)は、上皮315(グリコカリックス)に繋がれているムチンにより形成されており、下層組織を摩擦ストレスから守り、比較的遅くクリアランスされる。理論に束縛されることを望むものではないが、従来粒子(CP、非MPP)は外粘液層に捕捉され、気道の表面から容易にクリアランスされると考えられる。そのため、従来粒子は、当該粒子に含有される薬剤が気道の他の部分に(例えば、拡散又は他の機構により)輸送され得る前にクリアランスされ得る。一方、本発明に係る粒子(例えば、MPP)は、分泌ムチンへの接着を回避し得、このため、周辺粘液層をを浸透し、クリアランスの遅いグリコカリックスに到達し得、これにより、粒子の滞留時間を延長し、薬剤放出を維持する(図2)。このことは、本発明に係る粒子は、外側の粘液に捕捉されるCPよりもずっと効率的に、薬剤を、気道の下層組織に送達できることを示唆している。
本発明は、また、気道の対象組織の表面での本発明に係る粒子及び/又は該粒子中に含まれる医薬剤の被覆均一性を増加させる方法を提供する。本明細書に記載されている被膜を持たない従来の製剤では粘液中に固定されるため均等に広がらないところ、本発明に係る医薬組成物は気道表面の広範な領域にわたる粒子及び/又は医薬剤の均等な被覆をもたらすことができる。そのため、本発明に係る医薬組成物はより均一な被覆により効能を増強できる。同様に、このことは、濃度の高低に関わらず、粘液浸透性を増強し得る。本発明は、粘液浸透性で、患者の気道の粘液及び/又は対象組織への医薬剤の送達に関連する問題を解決できる、粒子及び当該粒子を含む医薬組成物を提供する。本粒子は、粘液への接着を回避でき、及び/又は、気道表面にわたってより均等に広がり得、これにより、気道クリアランス機構を回避し、粘液中での滞留時間を延長するので、気道の粘液への医薬剤の送達や粘液中の病原性微生物により引き起こされる気道疾患の治療及び/又は予防に役立ち得る。例えば、本粒子は、粘液中で、粒子濃度が低い場所(例えば、気道から新たに生成された粘液)などの他の領域にまで、例えば、粒子のブラウン運動及び任意に濃度勾配により駆動され、容易に拡散し得る。さらに、この移動性粒子は、効率的に粘液を浸透し、粘液の下にある気道の対象組織に到達し得、これにより、対象組織への医薬剤の送達並びに対象組織中の病原性微生物により引き起こされる気道疾患の治療及び/又は予防に役立ち得る。
いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子はコア−シェル型配置を有する。コアは、比較的水溶性の低い固体医薬剤又はその塩、ポリマー性担体、脂質、及び/又はタンパク質などの任意の適切な材料を含んでもよい。コアは、また、ゲル又は液体を含んでいてもよい。コアは、粘液中の粒子の移動性を促進する表面改変剤を含む被膜又はシェルにより覆われていてもよい。以下により詳細に説明するように、表面改変剤は、ポリマー骨格にペンダント水酸基を持つポリマー(例えば、合成又は天然ポリマーなど)を含んでいてもよい。ポリマーの分子量及び/又は加水分解の程度は、増加した粘液通過量など粒子に特定の輸送特性を付与するように選択できる。ある実施形態では、表面改変剤は(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)の配置を有するトリブロックコポリマーを含んでもよい。各ブロックの分子量は、粘液通過量の増加など粒子に特定の輸送特性を付与するように選択できる。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子の少なくとも1つはコアと該コアを囲む被膜を含む。コアと該コア上の被膜を含む粒子を『被覆粒子』と呼ぶ。ある実施形態では、本発明に係る粒子の少なくとも1つは、コアを含むものの該コア上に被膜を含まない。コアを含むものの該コア上に被膜を含まない粒子を『非被覆粒子』と呼ぶ。
粒子の非限定的実施例をこれから説明する。図1の例示的実施形態に示すように、粒子10は、コア16(粒子の形態であってもよい、ここではコアと呼ぶ)及びこのコアを囲む被膜20を含んでいる。いくつかの実施形態では、コアの大部分は、特定の有効効果及び/又は治療効果をもたらし得る1種以上の固体医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)から形成されている。コアは、例えば、医薬剤のナノ結晶(即ち、ナノ結晶粒子)であってもよい。ある実施形態では、コアはポリマー性担体を含み、ポリマー性担体は任意でコアにカプセル化された又は他の手段によりコアと結び付けられている1種以上の医薬剤を有する。ある実施形態では、コアは、脂質、タンパク質、ゲル、液体、及び/又は患者への送達に適したその他の材料をを含む。コアは、1種以上の表面改変剤を付けることのできる表面24を含む。いくつかの実施形態では、コア16は、内表面28と外表面32を含む被膜20により囲まれている。被膜は、少なくとも部分的には、ポリマー(例えば、ブロックコポリマー及び/又はペンダント水酸基を有するポリマー)などの1種以上の表面改変剤34から形成されていてもよい。表面改変剤34はコアの表面24に結び付けられてもよい。表面改変剤34は、例えば、コア粒子に共有結合し、コア粒子に非共有結合し、コアに吸収され、又はイオン性相互作用、疎水性及び/若しくは親水性相互作用、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、若しくは、その組み合わせを介してコアに結合すること等により、コア粒子に結び付けられてもよい。いくつかの実施形態では、表面改変剤又はその一部は、粘液バリア(例えば、粘液又は粘膜)を通過する又は粘液バリア内への粒子の輸送を促進するよう選択される。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、1種以上の表面改変剤34は被膜内で特定の配置で配向されている。表面改変剤が(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)の配置を有するトリブロックコポリマーなどのトリブロックコポリマーであるいくつかの実施形態では、疎水性ブロックはコアの表面に向けて配向され、親水性ブロックはコア表面から遠ざかって(例えば、粒子の外側に向けて)配向され得る。親水性ブロックは、以下でより詳細に説明するように、粘液バリアを通過する粒子の輸送を促進する性質を有し得る。
粒子10は、任意で、当該粒子に特異性を付与できる標的部分、タンパク質、核酸、及び生物活性剤など1種以上の成分40を含んでもよい。例えば、標的剤又は分子(例えば、タンパク質、核酸、核酸類似体、炭水化物、又は小分子)は、存在するなら、粒子を患者体内の特定部位に誘導する助けとなり得る。こうした部位は、例えば、組織、特定細胞型、又は細胞内の一部であってもよい。1種以上の成分40は、存在するなら、コア、被膜、又はその両方に結び付けられてもよく、例えば、コアの表面24、被膜の内層28、被膜の外層32、に結び付けられてもよいし、及び/又は被膜内に埋め込まれてもよい。1種以上の成分40は、共有結合若しくは吸収を介して結び付けられ、又は、イオン性相互作用、疎水性及び/若しくは親水性相互作用、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、若しくは、その組み合わせを介して結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ある成分は、当業者にとって周知の方法を用いて、(例えば、共有結合で)粒子の表面改変剤の1種以上に結合されてもよい。
図1に示した又は本明細書で記載したもの以外の成分や配置もある粒子及び医薬組成物に適しており、図1に示した成分の全てがいくつかの実施形態では必ずしも存在するわけではないことを理解されたい。
いくつかの実施形態では、患者に導入されると、粒子10は、粘液、細胞、組織、器官、粒子、体液(例えば、血液)、微生物、及びその一部又は組み合わせなどの患者内の1つ以上の成分と相互作用し得る。いくつかの実施形態では、粒子10の被膜は、患者由来の1種以上の材料との好ましい相互作用(例えば、輸送、結合、及び吸収)を可能とする特性を有する表面改変剤又は他の成分を含むように設計され得る。例えば、被膜は、患者内での特定の相互作用を促進又は抑制するための、特定の親水性、疎水性、表面電位、官能基、結合特異性、及び/又は密度を有する表面改変剤又は他の成分を含んでもよい。ある実施例では、粘液を通過する粒子の移動性を増強するため、1種以上の表面改変剤の親水性、疎水性、表面電位、官能基、結合特異性、及び/又は密度を、粒子と患者の粘液との間の物理的及び/又は化学的相互作用を減らすように選択する。他の実施例は以下で詳細に説明する。
いくつかの実施形態では、一旦粒子が患者内の粘液バリア(例えば、粘液又は粘膜)内に及び/又は粘液バリアを超えて成功裡に輸送されると、粒子と患者との間のさらなる相互作用が生じ得る。相互作用は、被膜及び/又はコアを介して生じ得、例えば、1種以上の患者の成分から粒子10への及び/又は粒子10から1種以上の患者の成分への材料(例えば、医薬剤、治療剤、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、及び栄養素)の交換を伴い得る。コアが医薬剤を含むいくつかの実施形態では、粒子に由来する医薬剤の変換、分解、放出、及び/又は輸送は患者での特定の有益効果及び/又は治療効果をもたらし得る。そこで、本発明に係る粒子は特定の病気の治療及び/又は予防に用いることができる。病気が病原性微生物により引き起こされたものである場合、粒子と微生物との間でも同種の相互作用が生じ得る。
本発明に係る粒子の使用についての実施例を、患者の粘液バリア(例えば、粘液又は粘膜)への投与での適格性に関し、以下に示す。ここで示す実施形態の多くは、こうした適格性及び粘液バリアを超えた材料の輸送に関する病気への有益性の提供に関し記載されているものの、本発明はこれらに限られるものではなく、本発明に係る、粒子、医薬組成物、及びキットは他の病気を治療及び/又は予防するために用いることもできることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、カプセル化又は他の処理を介してポリマー担体にそれぞれ結び付けられている、本発明に係る化合物と、任意に、少なくとも1つの追加の医薬剤とを含むMPPを含む。別の実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、ポリマー性担体を持たない又はポリマー性担体の使用が僅かなMPPを含む。ポリマー系MPPは、いくつかの実施形態では、1つ以上の内因的制約を有し得る。特に、薬剤送達への適用という観点からは、これらの制約として、以下の1つ以上を挙げることができる。A)低薬剤カプセル化効率及び低薬剤添加量:薬剤をポリマー性粒子にカプセル化することは、しばしば、非効率的であり、一般的に、製造中、使用した薬剤の総量の10%未満しか粒子にカプセル化できない。さらに、50%を超える薬剤添加量は滅多に実現しない。B)使用の利便性:薬剤添加ポリマー性粒子に基づく医薬組成物は、通常、典型的には、時期尚早な薬物放出を避けるため、乾燥粉末として保存する必要があり、そのため、使用時再構成又は洗練された投薬装置を必要とする。C)生体適合性:服用の繰り返しに伴うゆっくりと分解するポリマー性担体の蓄積とその長期的毒性が、ポリマー性薬剤担体に関する大きな懸念事項となっている。D)化学的及び物理的安定性:ポリマーの分解は、カプセル化された薬剤の安定性を脅かし得る。多くのカプセル化処理では、薬剤は液相から固相に遷移するが、この遷移は新たに生じる固相の物理的形態(即ち、非結晶質対結晶質対結晶性多形物)について十分に制御できない。このことは、物理的及び化学的安定性並びに放出速度をはじめとする医薬組成物の性能について様々な面で問題となる。E)製造の複雑性:薬剤添加ポリマー性MPPの製造、特に、拡張性は、複数の工程と多量の有毒有機溶媒を伴う可能性がある極めて複雑な処理である。そのため、医薬剤をポリマー性担体にカプセル化する必要性を回避又は最小化することにより、薬剤添加についてポリマー性MPPが有するいくつかの制約、使用の利便性、生体適合性、安定性、及び/又は、製造の複雑性を解決することが可能となる。本明細書に記載の方法及び組成物は、粘液浸透粒子技術の臨床上の発展を促進し得る。
しかし、他の実施形態では、医薬剤をカプセル化又は他の処理を介してポリマー担体に結び付けることも可能であることは理解されたい。そこで、本明細書の記載はこの点について限定されるものではない。例えば、ポリマー性担体を含むあるいくつかの粘液浸透粒子の上述の欠点にも関わらず、ある実施形態では、こうした粒子が好ましいこともある。例えば、放出制御目的で、及び/又は、粒子に製剤化することが困難なある医薬剤をカプセル化するために、ポリマー担体を用いることが好ましいこともある。そこで、本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ポリマー担体を含む粒子を記載する。
いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、粘液中での粒子輸送を助けるため、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)の使用を伴う。医薬組成物は、MPP又はMPCを作ること、例えば、特定のPVAの存在下での乳化処理を伴い得る。ある実施形態では、本医薬組成物及び本方法は、特定のPVAで非共有結合的に被覆することにより作成済み粒子からMPP又はMPCを作ることを伴う。いくつかの実施形態では、本医薬組成物及び本方法は、ポリマー性担体なしで又はポリマー性担体を僅かにしか使用せず特定のPVAの存在下でMPPを作ることを伴う。しかし、他の実施形態では、ポリマー性担体を用いることも可能であることは理解されたい。
PVAは水溶性で非イオン性の合成ポリマーである。その界面活性能ゆえに、PVAは食品業や製薬業でエマルションの安定化剤として、特に、乳化技術により多岐にわたる化合物をカプセル化を可能とするために広く用いられている。PVAは、アメリカ食品医薬品局(FDA)により『一般に安全であると認められる(generally recognized as safe)』(GRAS)とされており、耳、筋肉、眼球、硝子体、イオン導入、眼科、経口、局所、及び経皮用の薬剤製品及び/又は薬剤送達系に用いられてきている。
これまでのいくつかの研究では、PVAは多くの場合粘膜付着性ポリマーとして記載されていることから、粒子製剤化処理にPVAを組み込むと粘膜付着性の強い粒子ができることが示唆される。驚くべきことに、そして、PVAは粘膜付着性であるという説とは裏腹に、特定のPVA等級を用いる本発明に係る医薬組成物は、実際に粘液中での粒子輸送を助け、本発明に係るいくつかの用途において粘膜付着性ではない。特に、これまでは知られていなかったが、MPPはPVAの加水分解の程度及び/又は分子量を調整することで製造することができる。この発見はMPP製造に適用できる技術及び原料の幅を大きく広げるものである。
別の実施形態では、本発明に係る医薬組成物並びに本発明に係る粒子及び医薬組成物の製造法は、他のポリマーとPVAの併用を伴い、又は、PVAを全く伴わない。例えば、PEG及び/又はPLURONICS(登録商標)が、PVAに加えて又はその代わりに、本発明に係る医薬組成物並びに本発明に係る粒子及び医薬組成物の製造法に包含されてもよい。本願明細書に記載のものなどの他のポリマーも、また、使用できる。
(粒子のコア)
本発明に係る粒子はコアを含む。図1を参照して説明すると、粒子10はコア16を含んでもよい。本発明に係る粒子のコアは、有機材料、無機材料、ポリマー、脂質、タンパク質、又はその組み合わせなどの任意の適切な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、コアは固体である。固体は、結晶質、半結晶質、又は非結晶質の固体医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)又はその塩などの、結晶質、半結晶質、又は非結晶質固体などであってもよい。ある実施形態では、コアはゲル又は液体(例えば、水中油又は油中水エマルション)である。
1種以上の医薬剤がコアに存在してもよい。医薬剤は、任意の適切な量(例えば、コアの少なくとも約80重量%で約100重量%未満)でコアに存在してもよい。他の範囲も可能である。
医薬剤をポリマー性担体内にカプセル化することで形成された粒子は、典型的には、医薬剤の添加量が少ない(例えば、粒子のコアの約50重量%未満である)。一方、ある実施形態では、本発明に係る粒子のコア内の医薬剤の添加量は多い(例えば、コアの少なくとも約50重量%である)。薬剤添加量が多いことは、しばしば、望ましい効果を得るために必要な粒子の数を少なくできることを意味するため、薬剤送達に有利である。本明細書に記載したように、比較的多量のポリマー又は他の材料からコアを形成する別の実施形態では、コア中の医薬剤の添加量は少ない(例えば、コアの約50重量%未満である)。
コアは、様々な水溶性及び/又は塗膜液(固体材料が表面改変剤で被覆されている間の溶液)への様々な溶解性を有する固体材料を含んでもよい。例えば、固体材料は、少なくとも約10pg/mLで約1mg/mL以下の水溶性(又は塗膜液への溶解性)を有してもよい。他の範囲も可能である。固体材料は、pH範囲(例えば、pH1からpH14)の任意の点で以上の又はその他の水溶性の範囲を有し得る。
いくつかの実施形態では、コアは、米国薬局方協会の分類に基づく溶解性の範囲の1つに基づいて材料から形成される。例えば、とても溶けやすい(very soluble):>1,000mg/mL、溶けやすい(freely soluble):100−1,000mg/mL、溶ける(soluble):33−100mg/mL、少し溶ける(sparingly soluble):10−33mg/mL、僅かに溶ける(slightly soluble):1−10mg/mL、ほんの僅か溶ける(very slightly soluble):0.1−1mg/mL、ほとんど溶けない(practically insoluble):<0.1mg/mLなどの範囲である。
ある実施形態では、本発明に係る粒子のコアは疎水性である。ある実施形態では、コアは実質的に疎水性である。ある実施形態では、コアは親水性である。ある実施形態では、コアは実質的に親水性である。
材料(例えば、本発明に係る粒子のコアを形成するために用いられる材料)の疎水性及び親水性は、材料の平らな表面上での水滴の接触角を、例えば、接触角ゴニオメータ等の器具と材料の充填粉末を用いて、測定することで求めることができる。いくつかの実施形態では、コアを形成するために用いる材料は、少なくとも約20度、少なくとも約30度、少なくとも約40度、少なくとも約50度、少なくとも約60度、少なくとも約70度、少なくとも約80度、少なくとも約90度、少なくとも約100度、少なくとも約110度、少なくとも約120度、又は少なくとも約130度の接触角を有する。いくつかの実施形態では、コアを形成するために用いる材料は、約160度未満、約150度未満、約140度未満、約130度未満、約120度未満、約110度未満、約100度未満、約90度未満、約80度未満、又は約70度未満の接触角を有する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約30度で約120度未満の接触角)も可能である。他の範囲も可能である。
接触角の測定は、コアを形成するために用いる出発材料のペレットと水滴との間での静電接触角測定など様々な技術を用いて行うことができる。コアを形成するために用いる材料は微細粉末である。測定を行う表面を形成するため、粉末はInternational Crystal Labs社製の7mmペレットダイセットを使ってまとめられる。材料がダイに加えられた後、粉末をまとめてペレットにするため圧力が加えられる。ペレット圧縮又は高圧は用いない。ペレットは、その後、ペレットの上面と下面(それぞれ、水を掛ける面とその対向平行面として定義される)が他の表面に接触しないよう、試験中、持ち上げられる。これは、ペレットをダイセットのカラーから完全には除去しないことで行われる。そのため、ペレットは、その側面はカラーに触れるものの、上面と下面は接触しない。接触角測定のため、30秒超の定常的な接触角を持つ水滴が得られるまで、ペレットの表面に水を加える。水滴に加えるために用いるピペット又はシリンジの先端を水に浸したり接触させたりすることで、水を水滴に加える。安定した水滴が得られたら、写真を撮影し、標準的技法を用いて接触角を測定する。
いくつかの実施形態では、コアは、合成ポリマー及び/又は天然ポリマーなどの1種以上の有機材料を含む。合成ポリマーの例としては、非分解性ポリマー(例えば、ポリメタクリラート)、分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸及びポリグリコール酸)、及びそのコポリマーが挙げられる。天然ポリマーの例としては、ヒアルロン酸、キトサン、及びコラーゲンが挙げられる。コアの一部として適切なポリマーの他の例としては、本明細書に記載したような、粒子上の被膜を形成するために適切なポリマーが挙げられる。いくつかの場合、コアに存在する1種以上のポリマーは、1種以上の医薬剤をカプセル化又は吸収するために用いることができる。
ポリマーがコアに存在する場合、ポリマーはコア中に任意の適切な量で、例えば、約100重量%未満、約80重量%未満、約60重量%未満、約50重量%未満、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約1重量%未満で存在してもよい。いくつかの場合、ポリマーは、コア中に、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在してもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約1重量%で約20重量%未満の存在量)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、コアはポリマー性成分を実質的に含まない。
ある実施形態では、コアは、脂質及び/又はタンパク質を含む医薬剤を含む。
コアは任意の適切な形状及び/又はサイズを有していてもよい。例えば、コアは、実質的に、球形、非球形、長円形、ロッド状、ピラミッド形、キューブ様、ディスク状、ワイヤ様、又は不規則形であってもよい。コアは、例えば、約10μm未満、約3μm未満、約1μm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約30nm未満、又は約10nm未満の、最大又は最小横断寸法を有してもよい。いくつかの場合、コアは、例えば、少なくとも約10nm、少なくとも約30nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約3μmの、最大又は最小横断寸法を有してもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約30nmで約500nm未満の最大又は最小横断寸法)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の処理により形成されたコアのサイズは、ガウス分布している。特記のない限り、粒子サイズ又はコアサイズの測定は最小横断寸法を指す。
粒子のサイズ(例えば、最小又は最大横断寸法)を求める技術は本分野では周知である。適切な技術の例としては、動的光散乱法(DLS)、透過電子顕微鏡法、走査電子顕微鏡法、電気抵抗計数法、及びレーザー回析法が挙げられる。粒子のサイズを求める様々な方法が知られているなかで、本明細書に記載のサイズ(例えば、平均粒子サイズ及び厚さ)はDLSにより測定されたものを指す。
(粒子の被膜)
本発明に係る粒子は被膜を含んでもよい。被膜を含む本発明に係る粒子は、本発明に係る被覆粒子と呼称することもできる。被膜を含まない本発明に係る粒子は、本発明に係る非被覆粒子と呼称することもできる。図1に例示した実施形態で示すように、コア16は、1種以上の表面改変剤を含む被膜20により囲まれてもよい。いくつかの実施形態では、被膜は、コアの表面に配置される1種以上の表面改変剤又は他の分子から形成される。被膜及び表面改変剤の特定の化学組成及び/又は成分は、粘膜バリア通過量の増加など粒子に特定の機能を付与するように選択できる。
完全に囲むことも可能ではあるものの、コアを囲む被膜は必ずしもコアを完全に囲む必要はないことを理解されたい。例えば、被膜は、コアの表面積の少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、又は少なくとも約99%を囲んでもよい。いくつかの場合、被膜は実質的にコアを囲む。別の場合、被膜は完全にコアを囲む。別の実施形態では、被膜は、コアの表面積の約100%未満、約90%未満、約70%未満、又は約50%未満を囲む。上述の範囲を組み合わせること(例えば、コアの表面積の少なくとも約70%で約100%未満を囲むこと)も可能である。
被膜の材料は、いくつかの場合、コアの表面にわたって均等に分散させてもよいし、別の場合、不均等に分散させてもよい。例えば、被膜は、材料を含まない部分(例えば、孔)を含んでもよい。望むなら、被膜は、特定の分子及び成分の被膜中への又は被膜から外への浸透及び/又は輸送を許すように設計されていてもよいし、さらに、他の分子及び/又は成分の被膜中への又は被膜から外への浸透及び/又は輸送を防ぐものでもよい。ある分子が被膜内に及び/又は被膜を超えて浸透し及び/又は輸送される能力は、例えば、被膜を形成する表面改変剤の充填密度並びに被膜を形成する成分の化学的及び物理的特性に依存し得る。本明細書に記載したように、被膜は、一層の材料(例えば、単層)又は多層の材料を含んでもよい。単式又は複式の表面改変剤が存在し得る。
本発明に係る粒子の被膜は任意の適切な厚さを有し得る。例えば、被膜は、少なくとも約1nm、少なくとも約3nm、少なくとも約10nm、少なくとも約30nm、少なくとも約100nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約3μmの平均厚さを有してもよい。いくつかの場合、被膜の平均厚さは、約3μm未満、約1μm未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、約10nm未満、又は約3nm未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約1nmで約100nm未満の平均厚さ)も可能である。他の範囲も可能である。複数の被膜を有する粒子の場合、各被膜が本明細書に記載の厚さの1つを有していてもよい。
本発明に係る医薬組成物は、表面改変部分をコアの表面に共有結合的に結び付けることを必要とせずに、本発明に係る粒子を親水性表面改変部分で被覆することを可能とし得る。いくつかの実施形態では、疎水性表面を有するコアは、本明細書に記載のポリマーにより被覆され、それにより、コア自身の特性を実質的に改変することなく、複数の表面改変部分がコアの表面上に配置されることとなる。例えば、表面改変剤はコアの外表面に存在し(例えば、吸収され)ていてもよい。別の実施形態では、表面改変剤はコアに共有結合している。
表面改変剤がコアの表面に吸収される、ある実施形態では、表面改変剤は、溶液中の表面改変剤の他の分子と、任意に、他の成分(例えば、医薬組成物中のもの)と、平衡状態にあってもよい。いくつかの場合、吸収された表面改変剤は、本明細書に記載したような密度でコアの表面に存在してもよい。密度は、表面改変剤が溶液中の他の成分と平衡状態にあるときの平均密度であってもよい。
本発明に係る粒子の被膜及び/又は表面改変剤は、疎水性材料、親水性材料、及び/又は両親媒性材料などの任意の適切な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、被膜はポリマーを含む。ある実施形態では、ポリマーは合成ポリマー(即ち、天然には産生されないポリマー)である。別の実施形態では、ポリマーは天然ポリマー(例えば、タンパク質、多糖、又は天然ゴム)である。ある実施形態では、ポリマーは界面活性ポリマーである。ある実施形態では、ポリマーは非イオン性ポリマーである。ある実施形態では、ポリマーは線状合成非イオン性ポリマーである。ある実施形態では、ポリマーは非イオン性ブロックコポリマーである。ポリマーはコポリマーであってもよい。ある実施形態では、コポリマーの一方の繰り返し単位は比較的疎水性であり、コポリマーの他方の繰り返し単位は比較的親水性である。コポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、又はランダムコポリマーである。ポリマーは帯電していてもよいししていなくてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子の被膜は、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマーを含む。合成ポリマーの例としては、本明細書に記載のものが挙げられる。理論に束縛されることを望むものではないが、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマーを含む被膜を含む粒子は、少なくとも部分的には粒子表面に複数の水酸基が並んでいることを理由に、対照粒子と比べて低い粘膜接着性を有するのかもしれない。低い粘膜付着性を説明するメカニズムの一つとして、水酸基が、粒子の微環境を、例えば、粒子/粘液環境中で水と他の分子を秩序化することにより、変えることが考えられる。追加の又は代わりのメカニズムとして、水酸基が、ムチン繊維の接着領域を遮蔽し、これにより、粒子の接着が減少し、粒子の輸送が高速化されることが挙げられる。
さらに、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマーで被覆された粒子が粘液を浸透する能力は、少なくとも部分的には、ポリマーの加水分解の程度にも依存し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーの疎水性部分(例えば、加水分解されないポリマーの部分)は、(例えば、コアの表面が疎水性である場合)このポリマーがコアの表面に接着することを可能にし、これにより、コアとポリマーとの強い結び付きが可能となる。驚くべきことに、表面改変剤としてPVAを含むいくつかの実施形態では、加水分解の程度が高すぎると、(例えば、コアが疎水性である場合)PVAとコアとの間で十分な接着が得られず、これにより、こうしたポリマーで被覆された粒子は通常十分に低い粘膜接着性を示さないことが明らかとなった。いくつかの実施形態では、加水分解の程度が低すぎると、おそらく、粒子の微環境を変えるために及び/又はムチン繊維の接着領域を遮蔽するために利用可能な水酸基の量が少なくなるため、粒子の粘液通過量が増えない。
ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマーは、任意の適切な加水分解の程度を有していてもよい(そして、そのため、水酸基の量が異なってもよい)。加水分解の適正水準は、ポリマーの分子量、コアの医薬組成物、及びコアの疎水性などの追加の要因に依存し得る。いくつかの実施形態では、合成ポリマーは、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%が加水分解されている。いくつかの実施形態では、合成ポリマーは、約100%未満、約95%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、又は約60%未満が加水分解されている。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約80%から約95%未満が加水分解している合成ポリマー)も可能である。他の範囲も可能である。
本明細書に記載の合成ポリマー(例えば、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有するもの)の分子量は、コアの粘膜接着性を減らし、ポリマーがコアに十分に結び付くことが保証されるように、選択してもよい。ある実施形態では、合成ポリマーの分子量は、少なくとも約1kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約9kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約25kDa、少なくとも約30kDa、少なくとも約40kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約60kDa、少なくとも約70kDa、少なくとも約80kDa、少なくとも約90kDa、少なくとも約100kDa、少なくとも約110kDa、少なくとも約120kDa、少なくとも約130kDa、少なくとも約140kDa、少なくとも約150kDa、少なくとも約200kDa、少なくとも約500kDa、又は少なくとも約1000kDaである。いくつかの実施形態では、合成ポリマーの分子量は、約1000kDa未満、約500kDa未満、約200kDa未満、約150kDa未満、約130kDa未満、約120kDa未満、約100kDa未満、約85kDa未満、約70kDa未満、約65kDa未満、約60kDa未満、約50kDa未満、約40kDa未満、約30kDa未満、約20kDa未満、約15kDa未満、又は約10kDa未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約10kDaで約30kDa未満の分子量)も可能である。適切なポリマーを形成するため、上述の分子量の範囲は、また、上述の加水分解の範囲と組み合わせることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成ポリマーは、PVAである、又は、それを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成ポリマーは、部分的に加水分解されたPVAである、又は、それを含む。部分的に加水分解されたPVAは、2種の繰り返し単位、ビニルアルコール単位と残余のビニルアセタート単位とを含む。ビニルアルコール単位は比較的に親水性であり、ビニルアセタート単位は比較的に疎水性である。いくつかの場合、ビニルアルコール単位及びビニルアセタート単位の配列分布はブロック状である。例えば、単位がブロック状に分布している混合プロックコポリマー型の配置を有するポリマーを形成するために、一連のビニルアルコール単位の後に一連のビニルアセタート単位が続き、さらにビニルアルコール単位が続いてもよい。ある実施形態では、繰り返し単位は、コポリマー、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、又はランダムコポリマーを形成する。PVA以外のポリマーも、また、親水性単位と疎水性単位とからなる上述の配置を有し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成ポリマーの親水性単位は実質的に本発明に係る粒子の外表面に存在する。例えば、親水性単位は、被膜の外表面の大部分を形成してもよく、粒子に含まれる水溶液中での粒子の安定化を助け得る。疎水性単位は、例えば、コアへの被膜の接続を促進するために、被膜の内側及び/又はコアの表面に実質的に存在してもよい。
本明細書に記載の合成ポリマーの比較的に親水性な単位及び比較的に疎水性の単位のモル分率は、それぞれ、コアの粘膜接着性を減らすように、及び、ポリマーがコアに十分に結び付くことが保証されるように、選択してもよい。本明細書に記載したように、ポリマーの疎水性単位のモル分率は、ポリマーとコアとの十分な結び付きが生じるように選択してもよく、これにより、ポリマーがコアに接着し続ける可能性を高めることができる。合成ポリマーの比較的に疎水性の単位に対する比較的に親水性の単位のモル分率は、例えば、少なくとも0.5:1、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも50:1、又は少なくとも100:1であってもよい。いくつかの実施形態では、合成ポリマーの比較的に疎水性の単位に対する比較的に親水性の単位のモル分率は、例えば、100:1未満、50:1未満、30:1未満、20:1未満、10:1未満、5:1未満、3:1未満、2:1未満、又は1:1未満であってもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも1:1で50:1未満の比)も可能である。他の範囲も可能である。
PVAポリマーの分子量は、また、粒子に粘液浸透性を与えるポリマーの効率を上げるよう調整できる。様々な分子量と加水分解の程度を有するPVAポリマーの例を表1に示す。
表1:様々なポリ(ビニルアルコール)(PVA)の分子量(MW)と加水分解の程度
PVAの分子量と加水分解の程度の値はPVAの製造者により提供されたものである。
ある実施形態では、合成ポリマーは、以下の式
(但し、uは0−22730の間の整数(両端を含む)であり、vは0−11630の間の整数(両端を含む)である)で表される。
いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、比較的に親水性のブロックと比較的に疎水性のブロックとを有するブロックコポリマーを含む被膜を含む。いくつかの場合では、親水性ブロックは粒子の外表面に実質的に存在してもよい。例えば、親水性ブロックは、被膜の外表面の大部分を形成してもよく、粒子に含まれる水溶液中での粒子の安定化を助け得る。疎水性ブロックは、例えば、コアへの被膜の接続を促進するために、被膜の表面及び/又はコアの表面に実質的に存在してもよい。いくつかの実施形態では、被膜は、(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)の配置を有するトリブロックコポリマーを含む表面改変剤を含む。(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)の配置を有するジブロックコポリマーもまた可能である。被膜として、ブロックコポリマーと他の使用に適切なポリマーとの組み合わせもまた可能である。くし型、ブラシ型、星型コポリマーなどの非線状ブロック配置もまた可能である。いくつかの実施形態では、比較的に親水性のブロックは、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマー(例えば、PVA)を含む。
本明細書に記載のブロックコポリマーの親水性のブロック及び疎水性のブロックの分子量は、それぞれ、コアの粘膜接着性を減らすように、及び、ブロックコポリマーがコアに十分に結び付くことが保証されるように、選択してもよい。ブロックコポリマーの疎水性ブロックの分子量は、ブロックコポリマーとコアとの十分な結び付きが生じるように選択してもよく、これにより、ブロックコポリマーがコアに接着し続ける可能性を高めることができる。
ある実施形態では、ブロックコポリマーの(1つ以上の)比較的に疎水性のブロックの各ブロックの分子量又は合計の分子量は、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約1.8kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約60kDa、少なくとも約70kDa、少なくとも約80kDa、少なくとも約90kDa、少なくとも約100kDa、少なくとも約110kDa、少なくとも約120kDa、少なくとも約130kDa、少なくとも約140kDa、少なくとも約150kDa、少なくとも約200kDa、少なくとも約500kDa、又は少なくとも約1000kDaである。いくつかの実施形態では、(1つ以上の)比較的に疎水性のブロックの各ブロック又は合計の分子量は、約1000kDa未満、約500kDa未満、約200kDa未満、約150kDa未満、約140kDa未満、約130kDa未満、約120kDa未満、約110kDa未満、約100kDa未満、約90kDa未満、約80kDa未満、約50kDa未満、約20kDa未満、約15kDa未満、約13kDa未満、約12kDa未満、約10kDa未満、約8kDa未満、又は約6kDa未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約3kDaで約15kDa未満)も可能である。他の範囲も可能である。
いくつかの実施形態では、ブロックコポリマー(例えば、トリブロックコポリマー)の比較的に親水性のブロック(例えば、トリブロックコポリマーの2つの親水性ブロック)は、合計で、ブロックコポリマーの少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%を構成する。いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーの(1つ以上の)比較的に親水性のブロックは、合計で、ブロックコポリマーの約90重量%未満、約80重量%未満、約60重量%未満、約50重量%未満、又は約40重量%未満を構成する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約30重量%で約70重量%未満)も可能である。他の範囲も可能である。
いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーの(1つ以上の)比較的に親水性のブロックの各ブロックの分子量又は合計の分子量は、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約1.8kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約60kDa、少なくとも約70kDa、少なくとも約80kDa、少なくとも約90kDa、少なくとも約100kDa、少なくとも約110kDa、少なくとも約120kDa、少なくとも約130kDa、少なくとも約140kDa、少なくとも約150kDa、少なくとも約200kDa、少なくとも約500kDa、又は少なくとも約1000kDaである。いくつかの実施形態では、(1つ以上の)比較的に親水性のブロックの各ブロック又は合計の分子量は、約1000kDa未満、約500kDa未満、約200kDa未満、約150kDa未満、約140kDa未満、約130kDa未満、約120kDa未満、約110kDa未満、約100kDa未満、約90kDa未満、約80kDa未満、約50kDa未満、約20kDa未満、約15kDa未満、約13kDa未満、約12kDa未満、約10kDa未満、約8kDa未満、約6kDa未満、約5kDa未満、約3kDa未満、約2kDa未満、又は約1kDa未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約0.5kDaで約3kDa未満)も可能である。他の範囲も可能である。2つの親水性ブロックが1つの疎水性ブロックを挟む実施形態では、2つの親水性ブロックの分子量は実質的に同じであってもよいし異なっていてもよい。
ある実施形態では、表面改変剤のポリマーはポリエーテル部分を含む。ある実施形態では、当該ポリマーはポリアルキルエーテル部を含む。ある実施形態では、当該ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)末端を含む。ある実施形態では、当該ポリマーは中心部としてポリプロピレングリコールを含む。ある実施形態では、当該ポリマーは中心部としてポリブチレングリコールを含む。ある実施形態では、当該ポリマーは中心部としてポリペンチレングリコールを含む。ある実施形態では、当該ポリマーは中心部としてポリヘキシレングリコールを含む。ある実施形態では、当該ポリマーは本明細書に記載のポリマーの1つのトリブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、ジブロック又はトリブロックコポリマーは、そのブロックの1つ以上として(本明細書に記載したように、異なる加水分解の程度と異なる分子量で)、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマー(例えば、PVA)を含む。合成ポリマーブロックは、ブロックコポリマーの中心部又は末端部を形成し得る。
いくつかの実施形態では、当該ポリマーは、ポリアルキルエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロプレングリコール)と別のポリマー(例えば、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマー(例えば、PVA))からなるトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーはポリアルキルエーテルと別のポリアルキルエーテルからなるトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーはポリエチレングリコールと別のポリアルキルエーテルからなるトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーはポリプロピレングリコールと別のポリアルキルエーテルからなるトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーは少なくとも1つのポリアルキルエーテル単位を持つトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーは2つの異なるポリアルキルエーテルからなるトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーはポリエチレングリコール単位を含むトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーはポリプロピレングリコール単位を含むトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、当該ポリマーは2つのより親水性の単位により挟まれたより疎水性の単位からなるトリブロックコポリマーである。ある実施形態では、親水性単位同士は同種のポリマーである。いくつかの実施形態では、親水性単位は、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマー(例えば、PVA)を含む。ある実施形態では、当該ポリマーは2つのより親水性の単位に挟まれたポリプロプレングリコール単位を含む。ある実施形態では、当該ポリマーはより疎水性の単位を挟む2つのポリエチレングリコール単位を含む。ある実施形態では、当該ポリマーは2つのポリエチレングリコール単位に挟まれたポリプロプレングリコール単位を持つトリブロックコポリマーである。中心部を挟む2つのブロックの分子量は実質的に同じであってもよいし異なっていてもよい。
ある実施形態では、当該ポリマーは、以下の式
(但し、pは、それぞれ独立して、2−1140の間の整数(両端を含む)であり、qは2−1730の間の整数(両端を含む)である)である。ある実施形態では、pは、それぞれ独立して、10−170の間の整数(両端を含む)である。ある実施形態では、qは5−70の間の整数(両端を含む)である。ある実施形態では、pは、それぞれ独立して、少なくともqの2倍、3倍、又は4倍である。
ある実施形態では、表面改変剤は(ポリ(エチレングリコール))−(ポリ(ポリプロピレンオキシド))−(ポリ(ポリエチレングリコール))トリブロックコポリマー(PEG−PPO−PEGトリブロックコポリマー)を、それ単独で、又は、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマー(例えば、PVA)などの別のポリマーとの組み合わせで、含む。PEG−PPO−PEGトリブロックコポリマーのPEG及びPPOセグメントの分子量は、本明細書に記載したように、粒子の粘膜接着性を減らすように選択してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、PEG−PPO−PEGトリブロックコポリマーを含む被膜を有する本発明に係る粒子は、少なくとも部分的には本発明に係る粒子の表面上のPEGセグメントにより、対照粒子と比べて低い粘膜接着性を有するのかもしれない。PPOセグメントは(例えば、コアの表面が疎水性である場合)コアの表面に接着し得るので、これにより、コアとトリブロックコポリマーとの強い結び付きが可能となる。いくつかの実施形態では、PEG−PPO−PEGトリブロックコポリマーは、非共有結合性相互作用により、コアと結び付けられている。比較のため、対照粒子は、例えば、本発明に係る粒子と同程度のサイズのカルボキシラート修飾ポリスチレン粒子であってもよい。
ある実施形態では、表面改変剤はPLURONIC(登録商標)という商標のポロキサマーを含むポリマーを含む。本明細書に記載の実施形態に役立つかもしれないPLURONIC(登録商標)ポリマーとしては、限定されるものではないが、F127、F38、F108、F68、F77、F87、F88、F98、L101、L121、L31、L35、L43、L44、L61、L62、L64、L81、L92、N3、P103、P104、P105、P123、P65、P84、及びP85が挙げられる。特定のPLURONIC(登録商標)ポリマーの分子量の例を表2に示す。
表2:PLURONIC(登録商標)ポリマーの分子量

他の範囲も可能ではあるものの、いくつかの実施形態では、PEG−PPO−PEGトリブロックコポリマーの疎水性ブロックは上述の分子量のうち1つ(例えば、少なくとも約3kDaで約15kDa未満)を有し、親水性ブロックは、合計で、上述の範囲のうちの1つのポリマーに対する重量パーセント(例えば、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、又は少なくとも約30重量%で約80重量%未満)を有する。上記項目に該当する特定のPLURONIC(登録商標)ポリマーとしては、例えば、F127、F108、P105、及びP103が挙げられる。ある実施形態では、上記項目に該当するPLURONIC(登録商標)ポリマーを含む本発明に係る粒子は、上記項目に該当しないPLURONIC(登録商標)ポリマーを含む粒子よりも粘液浸透性が高い。粒子に粘液浸透性を付与しない材料としては、また、ポリビニルピロリドン(PVP/KOLLIDON)、アルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(KOLLICOAT IR)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL)等のポリマー、TWEEN 20、TWEEN 80、SOLUTOL HS 15、TRITON X100、チロキサポール、及びCREMOPHOR RH 40等のオリゴマー、SPAN 20、SPAN 80、オクチルグルコシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等の小分子が挙げられる。
本明細書の記載の多くは(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)の配置を備える被膜(例えば、PEG−PPO−PEGトリブロックコポリマー)又はペンダント水酸基を有する合成ポリマーを含む被膜に関連しているかもしれないが、被膜はこれらの配置や材料に限られず、他の配置や材料も可能であることを理解されたい。
さらに、本明細書に記載の実施形態の多くは単一の被膜に関連するものの、他の実施形態では、粒子は1つより多い被膜(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の被膜)を含んでもよく、各被膜は、粘液浸透性材料から形成され又はそれらを含む必要はない。いくつかの実施形態では、中間被膜(即ち、コア表面と外被膜との間の被膜)は、コア表面への外被膜の接続を促進するポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、粒子の外被膜は粘液を通過する粒子の輸送を促進する材料を含むポリマーを含む。
本発明に係る粒子の被膜(例えば、内被膜、中間被膜、及び/又は、外被膜)は任意の適切なポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、被膜のポリマーは生体適合性及び/又は生分解性である。いくつかの実施形態では、被膜を構成するポリマーは、1種より多くのポリマー(例えば、少なくとも2種、3種、4種、5種、又はそれ以上の種類のポリマー)を含む。いくつかの実施形態では、被膜を構成するポリマーは、本明細書に記載のランダムコポリマー又はブロックコポリマー(例えば、ジブロック又はトリブロックコポリマー)である。
被膜を構成する適切なポリマーの非限定的な例としては、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバマート、ポリ尿素、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン(polyethyeneimines)、ポリイソシアナート、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリーラートを挙げることができる。特定のポリマーの非限定的な例としては、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレンビニルアセタートポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PEO−co−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PPO−co−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタン、ポリ−L−リシン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカルボナート、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)等のポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンテレフタラート)等のポリアルキレンテレフタラート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(ビニルアセタート)等のポリビニルエステル、ポリ(ビニルクロリド)(PVC)等のポリビニルハリド、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等の誘導体化セルロース、ポリ(メチル(メタ)アクリラート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリラート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリラート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリラート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリラート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリラート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリラート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリラート)、ポリ(メチルアクリラート)、ポリ(イソプロピルアクリラート)、ポリ(イソブチルアクリラート)、ポリ(オクタデシルアクリラート)等のアクリル酸のポリマー(本明細書にではまとめて『ポリアクリラート』と呼ぶ)、並びにそのコポリマー及び混合物、ポリジオキサノン及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリプロピレンフマラート)、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、及びトリメチレンカルボナートが挙げられる。
被膜を構成するポリマーの分子量は異なり得る。いくつかの実施形態では、被膜を構成するポリマーの分子量は、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約1.8kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約30kDa、少なくとも約40kDa、又は少なくとも約50kDaである。いくつかの実施形態では、被膜を構成するポリマーの分子量は、約50kDa未満、約40kDa未満、約30kDa未満、約20kDa未満、約12kDa未満、約10kDa未満、約8kDa未満、約6kDa未満、約5kDa未満、又は約4kDa未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約2kDaで約15kDa未満の分子量)も可能である。他の範囲も可能である。被膜を構成するポリマーの分子量は、光散乱法やゲル透過クロマトグラフィー法などの既知の技術を用いて求めることができる。他の方法も本技術分野で周知である。
ある実施形態では、(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)の配置を有するトリブロックコポリマーの疎水性ブロックの分子量は少なくとも2kDaであり、2つの親水性ブロックはトリブロックコポリマーの少なくとも約15重量%を構成する。
ある実施形態では、被膜を構成するポリマーは生体適合性である。ある実施形態では、被膜を構成するポリマーは生分解性である。生体適合性ポリマー及び生分解性ポリマーの全てが本発明の範囲にあるものと考えられる。ある実施形態では、ポリマーは所望の用途で許容可能な期間内に生体内で分解する。例えば、生体内治療で、ポリマーは、約6から約8の間のpHで約25から約37℃の間の温度の生理環境への曝露で、約5年、約1年、約6ヶ月、約3ヶ月、約1ヶ月、約2周間、約1周間、約3日、約1日、約6時間、又は約1時間未満の期間で分解する。いくつかの実施形態では、被膜を構成するポリマーは、所望の用途に応じて、約1時間から数週間の間の期間で分解する。
本発明に係る粒子及びその被膜は、それぞれ、ポリマーを含んでもよいものの、いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子はポリマーでも医薬剤でもない疎水性材料を含む。非ポリマー性疎水性材料の非限定的な例としては、例えば、金属、ワックス、及び有機材料(例えば、有機シラン及びペルフッ素化又はフッ素化有機材料)が挙げられる。
(粘膜接着性の低い粒子)
本発明に係る粒子は低い粘膜接着性を有し得る。粘液を通過する拡散性を増やす必要のある材料は、疎水性であったり、多数の水素結合供与体若しくは受容体を含んでいたり、及び/又は、高電荷であったりするかもしれない。いくつかの場合、当該材料は結晶質又は非結晶質固体材料を含んでもよい。当該材料は、コアとして役割を果たす場合、本明細書に記載の適切なポリマーにより被覆されてもよく、これにより、表面上に複数の表面改変部分を有する粒子が形成され、粘膜接着性が低くなることとなる。本発明に係る粒子は、低い粘膜接着性を有するので、増加した粘液通過量、粘液中で移動性、又は粘液浸透性(即ち、粘液浸透粒子)でも特徴づけることができ、即ち、粒子が陰性対照粒子よりも速く粘液を通過して輸送されることを意味する。陰性対照粒子は、粘膜接着性であることが知られている粒子、例えば、本明細書に記載の被膜で被覆されていない未修飾粒子又はコア(200nmカルボキシル化ポリスチレン粒子など)であってもよい。
本発明に係る粒子は、患者の粘液又は粘膜表面への送達(例えば、吸引送達)に適合されていてもよい。表面改変部分を有する本粒子は、例えば、粘膜接着性が低いため、患者の粘膜表面に送達されたり、患者の粘膜バリアを通過したり、並びに/又は、粘膜表面に長く留まったり及び/若しくは粘膜表面での粒子の均一な分布が増加したり、するかもしれない。
さらに、いくつかの実施形態では、粘膜接着性の低い本発明に係る粒子は、粘膜接着性がより高い粒子と比べて、患者の組織表面での粒子のより好適な分布を促進し及び/又は組織表面に長く存在する。例えば、消化管などの内腔の空間は粘液で覆われた表面により囲まれている。こうした空間に送達された粘膜接着性粒子は、通常、患者の自然クリアランス機構により、内腔の空間及び粘液で覆われた表面から除去される。粘膜接着性の低い本発明に係る粒子は、粘膜接着性粒子と比べて、比較的長時間の間、内腔の空間内に留まり得る。このように長く存在することは、本粒子のクリアランスを防止し又は減少させ得、及び/又は組織表面上での本粒子のより好適な分布を可能とし得る。こうした長く存在することは、また、内腔の空間を通過する粒子の輸送に影響を与え得、例えば、本粒子は粘液層内に広がったり、下層の上皮に到達したりするかもしれない。
ある実施形態では、被膜を構成するポリマーにより被覆されている本発明に係る粒子のコアは、患者の粘液又は粘膜バリアを通過し、粘膜表面に長く留まり及び/又は粘膜表面での粒子の均一な分布が増加したりするかもしれず、例えば、こうした物質は、本発明に係る陰性対照粒子と比べて、患者の体内から比較的ゆっくりと(例えば、少なくとも約2倍、約5倍、約10倍、又、さらには少なくとも約20倍の時間を掛けて)クリアランスされる。
粘液中での本発明に係る粒子の移動性は、例えば、当該粒子の相対速度及び/又は拡散度により、特徴づけることができる。ある実施形態では、本発明に係る粒子は、以下の式で定義される特定の相対速度
(式1)
(但し、<V平均>は軌道平均速度のアンサンブル平均であり、
<V平均>は各粒子の速度をその軌道上で平均したものであり、
サンプルは問題の粒子であり、
陰性対照は200nmカルボキシル化ポリスチレン粒子であり、
陽性対照は2−5kDaのPEGでPEG化した200nmポリスチレン粒子である)を有する。
相対速度は、様々な粒子追跡技術を用いて測定できる。例えば、CCDカメラを取り付けた蛍光顕微鏡を用いて、各種の粒子毎の各サンプル(サンプル、陰性対照、及び陽性対照)内で数カ所から、100倍の倍率、66.7ms(15フレーム/秒)の時間分解能で、15秒の動画を撮影することができる。サンプル、陰性対照、及び陽性対照は、追跡観察できる蛍光粒子であってもよい。また、代わりに、非蛍光粒子を、蛍光分子、蛍光タグ付き表面剤、又は蛍光タグ付きポリマーで被覆してもよい。高度画像処理ソフトウェア(例えば、IMAGE PRO又はMETAMORPH)を用いて、少なくとも3.335秒(50フレーム)のタイムスケールにわたって複数の粒子の個別の軌道を測定できる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、粘液中で、約0.3以上、約0.5以上、約0.7以上、約1.0以上、約1.5以上、又は約2.0以上の相対速度を有する。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、粘液中で、約10.0未満、約6.0未満、約2.0未満、約1.5未満、約1.0未満、又は約0.7未満の相対速度を有する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約0.5以上で約6.0未満の相対速度)も可能である。他の範囲も可能である。
ある実施形態では、本発明に係る粒子は、陰性対照粒子又は対応する粒子(例えば、未修飾である及び/又は本明細書に記載の被膜で被覆されていない粒子)より高い速度又は拡散度で、粘液又は粘膜バリアを超えて拡散する。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、対照粒子又は対応する粒子より少なくとも約10倍、約30倍、約100倍、約300倍、約1000倍、約3000倍、約10000倍だけ速い拡散速度で粘液又は粘膜バリアを通過する。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、陰性対照粒子又は対応する粒子より約10000倍、約3000倍、約1000倍、約300倍、約100倍、約30倍、又は約10倍だけ速い速度よりも低い拡散速度で粘液又は粘膜バリアを通過する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、陰性対照粒子又は対応する粒子よりも少なくとも約10倍高く且つ約1000倍高いよりも低い)も可能である。他の範囲も可能である。
上述の比較のため、対応する粒子は、本発明に係る粒子とほぼ同じサイズ、形状、及び/又は密度であってもよいものの、本粒子を粘液中で移動性にする粒子は有しない。いくつかの実施形態では、粒子(例えば、対応する粒子及び本発明に係る粒子)の幾何平均二乗変位及び拡散速度の測定は、約1秒、約3秒、又は約10秒のタイムスケールに基づいている。幾何平均二乗変位及び拡散速度を求める方法は本技術分野で周知である。本発明に係る粒子は、対応する粒子又は陰性対照粒子より少なくとも約10倍、約30倍、約100倍、約300倍、約1000倍、約3000倍、約10000倍だけ速い幾何平均二乗変位で粘液又は粘膜バリアを通過し得る。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、陰性対照粒子又は対応する粒子より約10000倍、約3000倍、約1000倍、約300倍、約100倍、約30倍、又は約10倍だけ速い速度よりも低い幾何平均二乗変位で粘液又は粘膜バリアを通過する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、陰性対照粒子又は対応する粒子よりも少なくとも約10倍高く且つ約1000倍高いよりも低い)も可能である。他の範囲も可能である。
いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、粒子が水に拡散できる程の速度又は拡散度に近い速度で粘膜バリアを超えて拡散する。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、当該粒子が同様の条件下で水に拡散する拡散度の約1/100未満、約1/300未満、約1/1000未満、約1/3000未満、約1/10000未満の速度又は拡散度で粘膜バリアを通過する。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、当該粒子が同様の条件下で水に拡散する拡散度の約1/10000以上、約1/3000以上、約1/1000以上、約1/300以上、又は約1/100以上の速度又は拡散度で粘膜バリアを通過する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、粒子が同様の条件下で水に拡散する拡散度の約1/3000以上且つ約1/300未満)も可能である。他の範囲も可能である。拡散度の測定は、約1秒、約0.5秒、約2秒、約5秒、又は約10秒のタイムスケールに基づいて行うことができる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子は、当該粒子が水に拡散する拡散度の約1/500未満の拡散度で、ヒト頸腟部粘液を通過する。いくつかの実施形態では、拡散度の測定は、約1秒、約0.5秒、約2秒、約5秒、又は約10秒のタイムスケールに基づいている。
ある実施形態では、本発明に係る粒子は、特定の絶対拡散度で、ヒト頸腟部粘液などの粘液を通過し移動する。例えば、本発明に係る粒子は、少なくとも約1×10−4μm/秒、約3×10−4μm/秒、約1×10−3μm/秒、約3×10−3μm/秒、約1×10−2μm/秒、約3×10−2μm/秒、約1×10−1μm/秒、約3×10−1μm/秒、約1μm/秒、又は約3μm/秒の拡散度で移動し得る。いくつかの実施形態では、約3μm/秒未満、約1μm/秒未満、約3×10−1μm/秒未満、約1×10−1μm/秒未満、約3×10−2μm/秒未満、約1×10−2μm/秒未満、約3×10−3μm/秒未満、約1×10−3μm/秒未満、約3×10−4μm/秒未満、又は約1×10−4μm/秒未満の拡散度で移動し得る。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約3×10−4μm/秒以上で約1×10−1μm/秒未満)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの場合、拡散度の測定は、約1秒、約0.5秒、約2秒、約5秒、又は約10秒のタイムスケールに基づいている。
本発明に係る粒子の移動度(例えば、相対速度及び拡散度)はヒト頸腟部粘液中で測定できるものの、移動度は他種の粘液中でも同様に測定できることは理解されたい。
ある実施形態では、本発明に係る粒子は表面改変部分をある密度で含む。表面改変部分は、例えば、本粒子を含有する溶剤に曝露される、表面改変剤の一部であり得る。ある実施例では、PVAの加水分解される単位/ブロックは、表面改変剤であるPVAの表面改変部分であり得る。別の実施例では、PEGセグメントは、表面改変剤であるPEG−PPO−PEGの表面改変部分であり得る。いくつかの実施形態では、表面改変部分及び/又は表面改変剤は、nm毎に少なくとも約0.001単位又は分子、少なくとも約0.003、少なくとも約0.01、少なくとも約0.03、少なくとも約0.1、少なくとも約0.2、少なくとも約0.3、少なくとも約1、少なくとも約3、少なくとも約10、少なくとも約30、nm毎に少なくとも約100単位又は分子、又はそれ以上の密度で存在する。いくつかの場合、表面改変部分及び/又は表面改変剤は、nm毎に約100単位又は分子未満、約30未満、約10未満、約3未満、約1未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満、約0.03未満、又はnm毎に約0.01単位又は分子未満の密度で存在する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、nm毎に少なくとも約0.01で約1単位又は分子未満の密度)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の密度の値は、表面改変剤が溶液中の他の成分と平衡状態にあるときの平均密度である。
表面改変部分の平均密度を測定する方法は当業者にとって周知だろう(例えば、Budijono等、Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects、2010年刊、360巻、105−110頁、Joshi等,Anal. Chim. Acta、1979年刊、104巻、153−160頁を参照)。例えば、本明細書に記載のように、表面改変部分の平均密度はHPLC定量及びDLS解析を用いて求めることができる。まず表面密度を求める必要がある粒子の懸濁液でDLSを用いてサイズを測る(少量を適切な濃度(例えば、約100μg/mL)に希釈し、z−平均直径を粒子サイズの代表値として測る)。その後、残りの懸濁液を2つのアリコートに分ける。HPLCを用いて、第1アリコートを分析し、コア材料の合計濃度と表面改変部分の合計濃度を求める。さらに、HPLCを用いて、第2アリコートを分析し、フリーな又は未結合の表面改変部分の濃度を求める。第2アリコートからフリーな又は未結合の表面改変部分のみを得るために、粒子と、畢竟それに結合している表面改変部分とを、超遠心分離法により除去する。表面改変部分の合計濃度から未結合の表面改変部分の濃度を引くことで、結合している表面改変部分の濃度を求めることができる。コア材料の合計濃度も第1アリコートから求められているので、コア材料と表面改変部分との間の質量比を求めることもできる。表面改変部分の分子量を用いて、コア材料の質量に対する表面改変部分の数を計算することができる。この数を表面密度測定値に換算するためには、コア材料の質量毎の表面積を計算する必要がある。粒子の体積をDLSで得た直径を持つ球体の体積で近似すれば、コア材料の質量毎の表面積を計算することが可能となる。このようにして、表面積毎の表面改変部分の数を求めることができる。
ある実施形態では、本発明に係る粒子は粒子のゼータ電位に影響を与える表面改変部分及び/又表面改変剤を含む。粒子のゼータ電位は、例えば、少なくとも約−100mV、少なくとも約−30mV、少なくとも約−10mV、少なくとも約−3mV、少なくとも約3mV、少なくとも約10mV、少なくとも約30mV、又は少なくとも約100mVで有り得る。粒子のゼータ電位は、また、約100mV未満、約30mV未満、約10mV未満、約3mV未満、約−3mV未満、約−10mV未満、約−30mV未満、又は約−100mV未満で有り得る。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約−30mVで約30mV未満のゼータ電位)も可能である。他の範囲も可能である。
本発明に係る粒子は適切な形状及び/又はサイズを有していてもよい。いくつかの実施形態では、本粒子はコアの形状と実質的に同じ形状を有する。いくつかの実施形態では、本粒子はナノ粒子である。いくつかの実施形態では、本粒子はマイクロ粒子である。また、いくつかの実施形態では、複数の粒子は平均サイズ(例えば、複数の粒子の平均最大横断寸法又は平均最小横断寸法)により特徴づけることができる。複数の粒子は、例えば、約10μm未満、約3μm未満、約1μm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約30nm未満、又は約10nm未満の平均サイズを有してもよい。いくつかの場合、複数の粒子は、例えば、少なくとも約10nm、少なくとも約30nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約3μmの平均サイズを有してもよい。ある実施形態では、複数の粒子は約400nm未満の平均サイズを有する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約30nmで約500nm未満の平均サイズ)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子のコアのサイズはガウス分布している。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子のサイズはガウス分布している。
(医薬剤)
本発明に係る粒子又は医薬組成物は少なくとも1種の医薬剤を含んでもよい。ある実施形態では、本明細書に記載の医薬剤は、薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、又は別の医薬剤のプロドラッグである。ある実施形態では、本医薬剤は、他の物質(例えば、溶媒、タンパク質、又は他の医薬剤)との共結晶である。本医薬剤は、粒子のコア及び/又は1つ以上の被膜に存在してもよい(例えば、コア及び/又は被膜全体に分散していてもよい)。いくつかの実施形態では、本医薬剤は粒子の表面上(例えば、1つ以上の被膜の外若しくは内表面上又はコアの表面上)に配置されていてもよい。本医薬剤は、周知技術(例えば、被覆、吸収、共有結合、及びカプセル化)を用いて、粒子内に配合され、及び/又は、粒子の一部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、本医薬剤はコアの形成中に存在する。別の実施形態では、医薬剤はコアの形成中に存在しない。ある実施形態では、医薬剤はコアの被覆中に存在する。
いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子又は医薬組成物に含まれる医薬剤は、対象となる粘膜組織での治療効果及び/又は予防効果を有する。粘膜組織の非限定的な例としては、呼吸組織(例えば、鼻、咽頭、気管、及び気管支の膜)、口腔組織(例えば、頬及び食道の膜並びに扁桃腺表面)、眼組織、胃腸組織(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸)、鼻組織、及び生殖器組織(例えば、膣、子宮頸部、及び尿道の膜)が挙げられる。好ましい実施形態では、対象組織は呼吸系(例えば、鼻、咽頭、気管、及び気管支の膜)である。
任意の適切な種数の医薬剤が、本発明に係る粒子又は医薬組成物中に存在してもよい。例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、又はそれ以上の医薬剤が、本発明に係る粒子又は医薬組成物中に存在してもよい。ある実施形態では、10種未満の医薬剤が本発明に係る粒子又は医薬組成物中に存在する。
ある実施形態では、本発明に係る粒子又は医薬組成物中の医薬剤は本発明に係る化合物である。ある実施形態では、医薬剤は粘膜接着性であることが知られているものである(例えば、Khanvilkar等、Adv. Drug Delivery Rev.、2001年刊、48巻、173−193頁、Bhat等、J. Pharm. Sci.、1996年刊、85巻、624−30頁)。医薬剤の非限定的な例としては、造影及び診断剤(放射線不透過剤、標識抗体、標識核酸プローブ、色素(例えば、有色又は蛍光色素)、補助剤(例えば、放射線増感剤、トランスフェクション増強剤、走化性剤、並びに化学誘引物質、細胞接着及び/又は細胞移動を調節するペプチド、細胞浸透化剤、ワクチン増強剤、並びに、多剤耐性抑制剤及び/又は排出ポンプ抑制剤)が挙げられる。
本発明に係る粒子又は医薬組成物中の医薬剤は、治療剤、診断剤、造影剤、検出可能な標識を有する剤、核酸、核酸類似体、小分子、ペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、脂質、ワクチン、ウィルスベクター、ウィルス、又は界面活性剤であってもよい。ある実施形態では、医薬剤は抗生物質剤である。ある実施形態では、抗生物質剤は、抗細菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤、又は抗寄生虫剤である。ある実施形態では、抗生物質剤はラクタム系抗生物質剤である。ある実施形態では、抗生物質剤はβ−ラクタム系抗生物質剤である。ある実施形態では、β−ラクタム系抗生物質剤はカルバペネムである。ある実施形態では、カルバペネムはメロペネムである。ある実施形態では、カルバペネムはビアペネムである。ある実施形態では、カルバペネムはエルタペネムである。ある実施形態では、カルバペネムはドリペネムである。ある実施形態では、カルバペネムはイミペネムである。ある実施形態では、カルバペネムはパニペネムである。ある実施形態では、β−ラクタム系抗生物質剤は、ペニシリン(即ち、ペナム、例えば、アミノペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン(例えば、ピバンピシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、タランピシリン)、エピシリン)、カルボキシペニシリン(例えば、カルベニシリン(例えば、カリンダシリン)、チカルシリン、テモシリン)、ウレイドペニシリン(例えば、アゾシリン、ピペラシリン、メズロシリン)、メシリナム(例えば、ピブメシリナム、スルベニシリン、ベンジルペニシリン、クロメトシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、プロカインベンジルペニシリン、アジドシリン、ペナメシリン、フェノキシメチルペニシリン、プロピシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、フェネチシリン、クロキサシリン(例えば、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、オキサシリン、メチシリン、ナフシリン、ペネム(例えば、ファロペネム)、セフェム(例えば、セファゾリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファゼドン、セファザフル、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフミノクス、セフォニシド、セフォラニド、セフォチアム、セフプロジル、セフブペラゾン、セフロキシム、セフゾナム、セファマイシン(例えば、セフォキシチン、セフォテタン、セフメタゾール)、カルバセフェム(例えば、ロラカルベフ)、セフィキシム、セフトリアキソン、抗緑膿菌(例えば、セフタジジム、セフォペラゾン)、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェタメト、セフメノキシム、セフォジジム、セフォタキシム、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフスロジン、セフテラム、セフチブテン、セフチオレン、セフチゾキシム、オキサセフェム(例えば、フロモキセフ、ラタモキセフ)、セフェピム、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、セフトビプロール、セフタロリン・フォサミル、セフチオフル、セフキノム、セフォベシン、モノバクタム(例えば、アズトレオナム、チゲモナム、カルモナム、ノカルジシンA)、又はこれらの組み合わせである。ある実施形態では、医薬剤は抗炎症剤である。ある実施形態では、医薬剤は鎮痛剤である。ある実施形態では、医薬剤は抗増殖剤(例えば、抗癌剤)である。本発明に係る粒子又は医薬組成物中の医薬剤の非限定的な例としては、ベネタミンペニシリン、シノキサシン、塩酸シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリム、ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン、フェニンジオン、アモキサピン、塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸トラゾドン、マレイン酸トリミプラミン、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミド、ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアム、バルプロ酸、アンホテリシン、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、硝酸スルコナゾール、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、ウンデセン酸、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、アムロジピン、ベニジピン、ダロジピン、塩酸ジルチアゼム、ジアゾキシド、フェロジピン、酢酸グアナベンズ、イスラジピン、ミノキシジル、塩酸ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、塩酸フェノキシベンズアミン、塩酸プラゾシン、レセルピン、塩酸テラゾシン、アモジアキン、クロロキン、塩酸クロルプログアニル、塩酸ハロファントリン、塩酸メフロキン、塩酸ログアニル、ピリメタミン、硫酸キニーネ、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルギド、マレイン酸ピゾチフェン、コハク酸スマトリプタン、アトロピン、塩酸ベンズヘキソール、ビペリデン、塩酸エトプロパジン、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾラート、塩酸オキシフェンシクリミン、トロピカミド、アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブスルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン、塩酸プロカルバジン、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、フロ酸ジロキサニド、ジニトルミド、フルゾリドン(furzolidone)、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、チニダゾール、カルビマゾール、プロピルチオウラシル、アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルナニゾン(flunanisone)、フルニトラゼパム、フルオプラマジン、デカン酸フルペンチキソール、デカン酸フルフェナジン、フルラゼパム、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メタカロン、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ペントバルビタール、ペルフェナジンピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾピクロン、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドC、メジゴキシン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、酢酸コルチゾン、デスオキシ、デキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルコルトロン、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アセタゾラミド、アミロライド、ベンドロフルアザイド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フルセミド、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレン、メシル酸ブロモクリプチン、マレイン酸リスリド、ビサコジル、シメチジン、シサプリド、塩酸ジフェノキシレート、ドンペリドン、ファモチジン、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、塩酸オンダンセトロン、塩酸ラニチジン、スルファサラジン、アクリバスチン、アステミゾール、シンナリジン、シクリジン、塩酸シプロシヘプタジエン(cyproheptadie)、ジメンヒドリナート、塩酸フルナリジン、ロラタジン、塩酸メクリジン、オキサトミド、テルフェナジン、ベザフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、プロブコール、硝酸アミル、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトール、ベータカロチン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、コデイン、デキストロプロピオキシフェン(dextropropyoxyphene)、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ペンタゾシン、クエン酸クロミフェン、ダナゾール、エチニルエストラジオール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、共役エストロゲン、プロゲステロン、スタノゾロール、スチベストロール、テストステロン、チボロン、アンフェタミン、デキサンフェタミン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、マジンドール、パゾパニブ、ソラフェニブ、ラパチニブ、フルオシノロンアセトニド、セマキサニブ、アキシチニブ、チボザニブ、セジラニブ、リニファニブ、レゴラフェニブ、テラチニブ、バタラニブ、MGCD−265、OSI−930、KRN−633、ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト、アロキシピリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、ベノリラート、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン・カルシウム(fenoprofen calcim)、フルルビプロフェン、フロセミド、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、エタボン酸ロテプレドノール、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニル、ピロキシカム、スリンダク、アルベンダゾール、ヒドロキシナフトエ酸ベフェニウム、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、エンボン酸オキサンテル、プラジカンテル、エンボン酸ピランテル、チアベンダゾール、塩酸アミオダロン、ジソピラミド、酢酸フレカイニド、そして、硫酸キニジンが挙げられる。ある実施形態では、医薬剤は、コルチコステロイド(例えば、エタボン酸ロテプレドノール、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、チキソコルトール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロン、ハルシノニド、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン、アクロメタゾン(aclometasone)、プレドニカルバート、クロベタゾン、クロベタゾール、フルプレドニデン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、アルドステロン、デオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、ハロベタゾール、ジフロラゾン、デソキシメタゾン、フルチカゾン、フルランドレノリド、アルクロメタゾン、ジフルコルトロン、フルニソリド、またはベクロメタゾン)である。ある実施形態では、医薬剤は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。ある実施形態では、医薬剤はサリチル酸塩(例えば、アスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルニサル、又はサルサラート)である。ある実施形態では、医薬剤はプロピオン酸誘導体(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デキスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及びロキソプロフェン)である。ある実施形態では、医薬剤は酢酸誘導
体(例えば、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、及びナブメトン)である。ある実施形態では、医薬剤はエノール酸(オキシカム)誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、及びイソキシカム)である。ある実施形態では、医薬剤はフェナム酸誘導体(フェナマート)(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、及びトルフェナム酸)である。ある実施形態では、医薬剤は選択的cox−2阻害剤(コキシブ)(例えば、ウクライナ、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、及びフィロコキシブ)である。ある実施形態では、医薬剤はスルホナニリド(例えば、ニメスリド)である。ある実施形態では、医薬剤はリコフェロンである。ある実施形態では、医薬剤は、内因性血管形成阻害剤(例えば、VEGFR−1(例えば、パゾパニブ(VOTRIENT(登録商標))、セジラニブ(RECENTIN(登録商標))、チボザニブ(AV−951)、アキシチニブ(INLYTA(登録商標))、セマキサニブ)、HER2(ラパチニブ(タイケルブ(登録商標)、TYVERB(登録商標))、リニファニブ(ABT−869)、MGCD−265、及びKRN−633)、VEGFR−2(例えば、レゴラフェニブ(BAY73−4506)、テラチニブ(BAY57−9352)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、MGCD−265、OSI−930、及びKRN−633)、NRP−1、アンジオポエチン2、TSP−1、TSP−2、アンジオスタチン、エンドスタチン、バソスタチン、カルレティキュリン、血小板因子4、TIMP、CDAI、Meth−1、Meth−2、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、CXCL10、IL−4、IL−12、IL−18、プロトロンビン(クリングルドメイン−2)、アンチトロンビンIIIフラグメント、プロラクチン、VEGI、SPARC、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)))、およびレスチン)である。ある実施形態では、医薬剤は、外因性血管形成阻害剤(例えば、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミド、TNP−470、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFR拮抗剤、血管新生抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来血管新生阻害因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、アンジオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデン酸塩、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチン、αβ阻害剤、リノミド、及びタスキニモド)である。ある実施形態では、医薬剤はプロスタグランジン類似体である。ある実施形態では、医薬剤は、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、又はビマトプロストである。ある実施形態では、医薬剤はベータ遮断剤である。ある実施形態では、医薬剤は非選択的ベータ遮断剤(例えば、アルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、及びトチュウの樹皮)である。ある実施形態では、医薬剤はb選択的遮断剤(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メトプロロール、及びネビボロール)である。ある実施形態では、医薬剤はb選択的遮断剤((例えば、ブトキサミン、及びICI−118、551)である。ある実施形態では、医薬剤はb選択的阻害剤(例えば、SR59230A)である。ある実施形態では、医薬剤はアルボニックアンヒドラーゼ(arbonic anhydrase)阻害剤である。ある実施形態では、医薬剤は、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、ドルゾラミド及びチモロール、又はメタゾラミドである。ある実施形態では、医薬剤は炭酸脱水酵素阻害薬である。
本明細書に記載の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)は、ポリマー、脂質、タンパク質、又はその組み合わせ中にカプセル化されてもよい。
(医薬組成物)
一態様では、本発明は、本発明に係る化合物を含む医薬組成物を提供する。別態様では、本発明は、本発明に係る複数の粒子を含む医薬組成物を提供する。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物は医薬組成物である。本医薬組成物は、また、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。本医薬組成物は、さらに、本明細書に記載の1種以上の追加の医薬剤を含んでもよい。ある実施形態では、本医薬組成物は、本明細書に記載の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)を、患者の粘液又は粘膜表面を通過して又はそこへ、送達するために役立つ。本医薬組成物は、例えば、粘膜接着性が低いため、患者の粘膜表面に送達されたり、患者の粘膜バリア(例えば、粘膜)を通過したり、並びに/又は、粘膜表面に長く留まったり及び/若しくは粘膜表面での粒子の均一な分布が増加したり、するかもしれない。ある実施形態では、本医薬組成物は患者での医薬剤の生体利用効率を増加させるために役立つ。ある実施形態では、本医薬組成物は患者での医薬剤の濃度を増加させるために役立つ。ある実施形態では、本医薬組成物は患者での医薬剤の暴露量を増加させるために役立つ。さらに、本医薬組成物は、患者の病気(例えば、気道疾患)を治療及び/又は予防するのに役立ち得る。
ある実施形態では、本明細書に記載の患者はヒトである。いくつかの実施形態では、患者は嚢胞性線維症及び肺感染症のヒトである。ある実施形態では、患者は動物である。動物は、どちらの性別でもよいし、任意の成長段階でよい。ある実施形態では、患者は魚類である。ある実施形態では、患者は哺乳類である。ある実施形態では、患者は、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、又はヤギ等の飼育動物(domesticated animal)である。ある実施形態では、患者はイヌ又はネコ等の愛玩動物である。ある実施形態では、患者は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、又はヤギ等の家畜である。ある実施形態では、患者は動物園の動物である。別の実施形態では患者は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)、イヌ、ブタ、又はヒトを除く霊長類などの研究用動物である。ある実施形態では、動物は遺伝子操作動物である。ある実施形態では、動物は遺伝子組み換え動物である。ある実施形態では、患者は免疫低下状態である。例えば、患者は、HIV感染、後天性免疫不全症候群(AIDS)、癌(例えば、固形腫瘍又は白血病)、骨髄障害、又は遺伝性免疫不全などの病気の結果、免疫系機能が低下しているものでもよい。いくつかの実施形態では、患者は、投薬、例えば、免疫抑制治療若しくは化学療法、骨髄移植、幹細胞移植、又は放射線照射などの結果、免疫低下状態である。いくつかの実施形態では、低下した免疫系機能は好中球の減少を含む。
ある実施形態では、気道疾患は気道感染症である。ある実施形態では、気道感染症は上部気道感染症である。ある実施形態では、上部気道感染症は扁桃腺炎である。ある実施形態では、上部気道感染症は咽頭炎である。ある実施形態では、上部気道感染症は喉頭炎である。ある実施形態では、上部気道感染症は副鼻腔炎である。ある実施形態では、上部気道感染症は中耳炎である。ある実施形態では、上部気道感染症はインフルエンザである。ある実施形態では、上部気道感染症は鳥インフルエンザである。ある実施形態では、上部気道感染症は風邪である。ある実施形態では、気道感染症は下部気道感染症である。ある実施形態では、下部気道感染症は気管支炎である。ある実施形態では、気管支炎は急性気管支炎である。ある実施形態では、気管支炎は慢性気管支炎である。ある実施形態では、下部気道感染症は肺炎(例えば、院内肺炎、重症市中肺炎)である。ある実施形態では、下部気道感染症は結核である。ある実施形態では、下部気道感染症はインフルエンザである。ある実施形態では、下部気道感染症は鳥インフルエンザである。気道感染症は、細菌、ウィルス、真菌、原虫、及び寄生虫などの病原性微生物により引き起こされ得る。ある実施形態では、気道感染症はシュードモナス種により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はシュードモナス・アエルギノーサにより引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はマイコバクテリウム種(例えば、マイコバクテリウム・チューバキュロウセス)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はストレプトコッカス種(例えば、ストレプトコッカス・ニューモニエ)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はヘモフィルス種(例えば、ヘモフィルス・インフルエンザ)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はクラミドフィラ種(例えば、クラミドフィラ・ニューモニエ)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はマイコプラズマ種(例えば、マイコプラズマ・ニューモニエ)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はスタフィロコッカス種(スタフィロコッカス・アウレウス)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はモラクセラ種(例えば、モラクセラ・カタラリス)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はレジオネラ種(例えば、レジオネラ・ニューモフィラ)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はグラム陰性桿菌により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症はボルデテラ種(例えば、ボルデテラ・パータシス)により引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症は、ライノウィルス、コロナウイルス、アデノウィルス、メタ肺炎ウィルス、パラインフルエンザウイルス、又は呼吸器合胞体ウィルスにより引き起こされる。ある実施形態では、気道感染症は、インフルエンザウィルス(例えば、インフルエンザウィルスA(例えば、H1N1、H2N2、H3N2、又はH5N1)、インフルエンザウィルスB、又はインフルエンザウィルスC)により引き起こされる。ある実施形態では、気道疾患は嚢胞性線維症である。ある実施形態では、気道疾患は喘息である。ある実施形態では、気道疾患は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。ある実施形態では、気道疾患は肺気腫である。ある実施形態では、気道疾患は肺水腫である。ある実施形態では、気道疾患は肺癌(例えば、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌)である。ある実施形態では、気道疾患は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。ある実施形態では、気道疾患は塵肺である。ある実施形態では、気道疾患は間質性肺炎(ILD)(例えば、サルコイドーシス及び突発性肺線維症)である。ある実施形態では、気道疾患は肺塞栓(PE)である。ある実施形態では、気道疾患は肺高血圧である。ある実施形態では、気道疾患は胸水である。ある実施形態では、気道疾患は気胸である。ある実施形態では、気道疾患は中皮腫である。ある実施形態では、気道疾患は肥満低換気症候群である。ある実施形態では、気道疾患は神経筋呼吸器疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー症、及び重症筋無力症)である。
本発明に係る医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤又は担体を含んでもよい。薬学的に許容される賦形剤又は薬学的に許容される担体は、任意の適切な種類の補助的な、非毒性、不活性固体、半固体、又は液体の、充填剤、希釈剤、カプセル化材料、又は製剤を含んでもよい。薬学的に許容される担体として働く材料のいくつかの例としては、糖類(ラクトース、グルコース、及びスクロースなど)、デンプン(トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなど)、セルロース及びその誘導体(ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及びセルロースアセタートなど)、粉末トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、賦形剤(ココアバター及び座薬用ワックスなど)、油類(ピーナツ油、綿実油など)、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油、グリコール(プロピレングリコールなど)、エステル(エチルオレアート及びエチルラウラートなど)、寒天、洗剤(TWEEN80など)、緩衝剤(水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなど)、アルギニン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンガー溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、無毒性滑剤(ナトリウムラウリルスルファート硫酸塩及びマグネシウムステアリン酸塩など)、着色剤、離型剤、被覆剤、甘味剤、調味剤、及び芳香剤、保存料、酸化防止剤、毒性調節剤、粘度調節剤、及び懸濁安定剤が挙げられる。本発明に係る医薬組成物は、凍結乾燥されたものでもよく、また、その他の適切な乾燥技術(例えば、噴霧乾燥)を受けたものでもよい。当業者であれば理解できるように、賦形剤は、投与の手段、送達される医薬剤、及び医薬剤の送達の時間経過に基づいて選ぶことができる。
本発明に係る医薬組成物は、本技術分野で周知の手段により患者に投与できる。こうした手段としては、限定されるものではないが、吸引、経口、舌下、経鼻、皮内、皮下、筋肉内、経直腸、経膣、静脈内、動脈内、嚢内、腹腔内、硝子体内、眼周囲、(粉末、クリーム、軟膏、又は点滴などによる)局所、及び頬内の投与が挙げられる。当業者であれば理解できるように、投与の手段及び所望の生物学的硬化を得るために効果的な服用量は、投与される医薬剤、対象器官、投与される製造物、投与の時間経過、治療される病気、及び使用目的により決定され得る。
本発明に係る医薬組成物は患者への吸引投与に適していてもよい。ある実施形態では、本医薬組成物は吸引器(inhaler)である。ある実施形態では、本医薬組成物は噴霧器(aerosol)である。ある実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を含む本発明に係る粒子を担体粒子と結び付ける工程であって、結果として生じる、結び付けられた、少なくとも1種の医薬剤を含む本発明に係る粒子のサイズが、医薬剤の実質的に全てが投与された際に気道に吸引されることを可能とする程度である、工程を提供する。例えば、結び付けられた粒子のサイズは、約20ミクロン未満、例えば、約1から約10ミクロンの範囲、例えば、約1から約5ミクロンの範囲、である。結び付けられた粒子のサイズは他の範囲も可能である。粒子のサイズは、従来の方法により、例えば、粉砕、沈殿、又は微粒子化により小さくすることができる。吸引器又は噴霧器は、例えば、吸引器又は噴霧器の合計重量に対する医薬剤の重量が、0.005−90w/w%の間、0.005−50w/w%の間、0.005−10w/w%の間、約0.005−5w/w%の間、又は0.01−1.0w/w%の間であってもよい。他の範囲も可能である。
吸引器又は噴霧器は推進剤(propellant)を含んでもよい。推進剤は、推進剤よりも高い極性及び/又は沸点を有する極性補助剤を含んでもよい。ある実施形態では、極性補助剤は推進剤の安定性を向上させる。極性補助剤は、エタノール、イソプロパノール、及びプロピレングリコールなどの、脂肪族(例えば、C2−6)アルコール及び脂肪族ポリオールを含む。吸引器又は噴霧器中での極性補助剤の含量が高い(例えば、5w/w%を超える)と、医薬剤を溶かしてしまう傾向があるかもしれない。ある実施形態では、吸引器又は噴霧器は極性補助剤を少量だけ(例えば、0.05−3.0w/w%の範囲で、例えば、約1w/w%又は約0.1w/w%)含む。ある実施形態では、吸引器又は噴霧器は実質的に極性補助剤を含まないものでもよい。推進剤は、また、揮発性補助剤を含んでもよい。揮発性補助剤の例としては、飽和炭化水素(例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、及びイソペンタン)及びアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル)が挙げられる。ある実施形態では、推進剤中の揮発性補助剤の含量は約50w/w%未満である。ある実施形態では、吸引器又は噴霧器は1種より多くの推進剤を含む。ある実施形態では、吸引器又は噴霧器は成層圏オゾンの分解を誘発し得る成分を含まない。いくつかの実施形態では、医薬剤は、CClF、CCl、及びCFCClなどの1種以上のクロロフルオロカーボンを含む推進剤を含まない。
吸引器又は噴霧器は、さらに、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、吸引投与の際に薬学的に許容されるものであってもよい。界面活性剤の例としては、L−αホスファチジルコリン(PC)、1,2−ジパルミトイルホスファチジコリン(dipalmitoylphosphatidycholine)(DPPC)、オレイン酸、ソルビタントリオレアート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレンエーテル、ステアリルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、オキシエチレン及びオキシプロピレンのブロックコポリマー、合成レシチン、ジエチレングリコールジオレアート、テトラヒドロフルフリルオレアート、エチルオレアート、イソプロピルミリスタート、グリセリルモノオレアート、グリセリルモノステアラート、グリセリルモノリシノレアート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール400、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、オリーブ油、グリセリルモノラウラート、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ種子油が挙げられる。ある実施形態では、吸引器又は噴霧器は、さらに、1種より多くの界面活性剤を含んでもよい。
本発明に係る医薬組成物は、また、医薬組成物が鼻又は口腔粘液層の全域に送達されるような経鼻又は経口スプレーであってもよい。別の実施例では、本医薬組成物は、経口投与用の、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、又はシロップであってもよい。さらに、本医薬組成物は、注射(静脈内、筋肉内、又は皮下注射)、点滴用輸液製剤、又は座薬として、非経口投与されてもよい。眼粘膜を経由して適用する場合、本医薬組成物は点眼薬又は眼軟膏であってもよい。
本発明に係る医薬組成物は、適切な容器内で、例えば、音波処理により、本発明に係る化合物又は粒子を選んだ推進剤及び/又は共推進剤中に分散させることにより製造できる。本化合物又は粒子は、共推進剤中に懸濁され、適切な容器に充填されてもよい。その後、容器の弁が所定の位置に刻印され、推進剤は従来の方法で弁を通して圧送注入により導入される。こうして、本化合物又は粒子は、液化推進剤中に懸濁又は溶解され、定量弁付きの容器に封入され、そして、作動装置に組み込まれてもよい。こうした定量吸入器は本技術分野で周知である。定量弁は、10から500μL、ある実施形態では、25から150μLを量り取ることができる。ある実施形態では、(依然として乾燥粉末である)本化合物又は粒子用の乾燥粉末吸引器(例えば、SPINHALER)を用いて分散を行ってもよい。いくつかの実施形態では、ナノスフィアを水性液体中に懸濁し、霧化して微細な水滴とし、気道にエアロゾルとして散布する。
化合物又は粒子の分解に繋がり得る剪断への薬剤の曝露を最小化できるので、音波ネブライザーを使ってもよい。通常、水性エアロゾルは、本化合物又は粒子と従来の薬学的に許容される賦形剤(例えば、担体及び安定剤)の水性懸濁液を製剤化することで作られる。担体及び安定剤は、個別の医薬組成物の要件ごとに異なるものの、典型的には、非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN、PLURONIC(登録商標)、又はポリエチレングリコール)、無害タンパク質(例えば、血清アルブミン)、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、アミノ酸(例えば、グリシン)、緩衝剤、塩、糖類、又は糖アルコールを含む。エアロゾルは、一般的に、等張液から製造される。
経口投与用の液体服用形態としては、薬学的に許容される、エマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルが挙げられる。活性原料に加えて、液体服用形態は、本技術分野で一般に用いられている不活性希釈剤(例えば、水又は他の溶媒)、可溶化剤、乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボナート、エチルアセタート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びジメチルホルムアミド)、油類(例えば、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物を含んでもよい。不活性希釈剤に加えて、経口医薬組成物は、また、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、甘味剤、調味剤、及び、芳香剤などの補助剤を含むこともできる。
注射用製剤、例えば、殺菌済みで注射可能な水性又は油性の懸濁液は、適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて、周知技術に従い、製剤化することができる。殺菌済みの注射可能な製剤は、また、無毒で非経口投与で許容される希釈剤又は溶媒の無機で注射可能な溶液、懸濁液、又はエマルション、例えば、1,3−ブタンジオール溶液であってもよい。採用してもよい許容されるビークル及び溶媒としては、水、リンガー溶液、U.S.P.、及び等張食塩水が挙げられる。さらに、従来、溶媒又は懸濁媒体として、殺菌済み固定油が採用されている。このため、合成モノ又はジグリセリドを含む、任意のブランドの固定油を採用することもできる。さらに、注射用製剤ではオレイン酸などの脂肪酸も用いられている。ある実施形態では、本化合物又は粒子は、1%(w/v)のナトリウムカルボキシメチルセルロース及び0.1%(w/v)のTWEEN80を含む分散液中に懸濁される。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによって濾過したり、使用前に殺菌済みの水又は他の殺菌済みの注射用媒体中に溶解又は分散させることが可能な殺菌済み固体医薬組成物の形態の殺菌剤を組み込んだりすることにより、殺菌されてもよい。
経直腸又は膣投与用の医薬組成物は、本化合物又は粒子を、ココアバター、ポリエチレングリコール、又は座薬用ワックスなどの、外気温(ambient temperature)では固体で、体温では液体であり、そのため、直腸又は膣腔で溶け、本化合物又は粒子を放出する適切な非刺激性賦形剤又は担体と、混合することにより製造可能な座薬で有り得る。
経口投与用の固体服用形態としては、カプセル、錠剤、ピル、粉末、及び顆粒が挙げられる。こうした固体服用形態では、本化合物又は粒子は、クエン酸ナトリウム又は第二リン酸カルシウムなどの少なくとも1種の不活性で薬学的に許容される賦形剤、並びに/又は、a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤又は増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセリンなどの保湿剤、d)寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの緩溶剤(solution retarding agent)、f)四級アンモニウム化合物などの吸収加速剤、g)セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリンなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘度などの吸収剤、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑剤、及びこれらの混合物を混合されている。カプセル、錠剤、及びピルの場合、服用形態は、また、緩衝剤を含んでもよい。
高分子量ポリエチレングリコールやその他のものに加えて賦形剤としてラクトース又は乳糖を用いることで、中の充填剤が柔らかく外のゼラチンが硬いカプセルとして、同種の固体医薬組成物を採用することもできる。
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体服用形態は、腸溶性被膜及び医薬製剤分野で周知の他の被膜などの被膜及びシェルを用いて製造できる。これらは、任意に、乳白剤を含んでもよく、また、活性原料を、腸管の特定部位のみに又はそこに優先的に、任意に、遅延的に、放出する医薬組成物からなるものであってもよい。用いることのできる埋込医薬組成物の例としては、ポリマー性物質及びワックスが挙げられる。
高分子量ポリエチレングリコールやその他のものに加えて賦形剤としてラクトース又は乳糖を用いることで、中の充填剤が柔らかく外のゼラチンが硬いカプセルとして、同種の固体医薬組成物を採用することもできる。
本発明に係る医薬組成物の局所又は経皮投与のための服用形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸引物(inhalant)、又はパッチが挙げられる。本化合物又は粒子は、必要なのであれば、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体及び任意の必要な保存料又は緩衝剤と混合される。眼科用製剤、点耳薬、及び点眼薬も、また、本発明の範囲内にあるものと考えられる。
軟膏、ペースト、クリーム、及びゲルは、本発明に係る化合物又は粒子に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物などの賦形剤を含んでもよい。
粉末及びスプレーは、本発明に係る化合物又は粒子に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの混合物などの賦形剤を含んでもよい。スプレーは、追加で、クロロフルオロヒドロカーボンなどの慣用されている推進剤を含んでもよい。
経皮パッチは、化合物の体内への送達を制御できるという追加の利点を有する。こうした服用形態は、本化合物又は粒子を適切な媒体中に溶解又は分散さえることで作ることができる。本化合物又は粒子の皮膚への浸潤を増やすために吸収促進剤を用いることもできる。速度制御膜を設けること又は本化合物若しくは粒子をポリマーマトリックス若しくはゲル中に分散させることにより、速度を制御することができる。
本発明に係る化合物は本医薬組成物中に有効量配合されてもよい。また、医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)を含む本発明に係る粒子も本医薬組成物中に、有効量配合されてもよい。ある実施形態では、有効量は治療有効量である。ある実施形態では、有効量は予防有効量である。ある実施形態では、有効量は、本明細書に記載の気道疾患の治療及び/又は予防に役立つ。本医薬組成物中での本化合物又は粒子の有効量は、単独で又は本明細書に記載の1種以上の医薬剤と組み合わせて、気道疾患の治療及び/又は予防に役立つものであってもよい。ある実施形態では、有効量は、細菌、ウィルス、真菌、又は原虫の酵素の活性を阻害するのに役立つ。ある実施形態では、有効量は、細菌、ウィルス、真菌、又は原虫を殺し、又は、細菌、ウィルス、真菌、又は原虫の増殖を阻害するのに役立つ。ある化合物の有効量は、(投与法に依存して、)1日又は数日の間の1回以上の服用で、約0.001mg/kgから約1000mg/kgの範囲で異なり得る。ある実施形態では、服用毎の有効量は、約0.001mg/kgから約1000mg/kg、約0.01mg/kgから約750mg/kg、約0.1mg/kgから約500mg/kg、約1.0mg/kgから約250mg/kg、及び約10.0mg/kgから約150mg/kgの範囲で異なる。患者に投与される任意の医薬剤の濃度及び/又は量は、当業者であれば容易に求めることができるであろう。局部組織濃度、粒子からの拡散速度、及び治療製剤の投与前後の血流量を測定するために、周知の方法を用いることが可能である。
本発明に係る医薬組成物は任意の適切な浸透圧(osmolarity)を有してもよい。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、少なくとも約0mOsm/L、少なくとも約25mOsm/L、少なくとも約50mOsm/L、少なくとも約100mOsm/L、少なくとも約200mOsm/L、又は少なくとも約310mOsm/Lの浸透圧を有する。ある実施形態では、本医薬組成物は、約310mOsm/L未満、約200mOsm/L未満、約100mOsm/L未満、約50mOsm/L未満、約25mOsm/L未満、又は約5mOsm/L未満の浸透圧を有する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約0mOsm/Lで約50mOsm/L未満の浸透圧)も可能である。他の範囲も可能である。本医薬組成物の浸透圧は、例えば、本医薬組成物の溶媒中に存在する塩の濃度などを変動させることにより、変えることができる。
本発明に係る医薬組成物は、本発明に係る化合物などの、本明細書に記載の1種以上の医薬剤を含んでもよい。ある実施形態では、本医薬組成物は、粒子のコア及び/又は被膜中に1種以上の医薬剤を含む本発明に係る複数の粒子を含む。いくつかの実施形態では、本医薬組成物中に存在する1種以上の表面改変剤(例えば、PLURONIC(登録商標)F127)のそれぞれの重量に対する1種以上の医薬剤のそれぞれの重量の比は、約1:100以上、約1:30以上、約1:10以上、約1:3以上、約1:1以上、約3:1以上、約10:1以上、約30:1以上、又は約100:1以上である。いくつかの実施形態では、本医薬組成物中の1種以上の表面改変剤のそれぞれの重量に対する1種以上の医薬剤のそれぞれの重量の比は、約100:1未満、約30:1未満、約10:1未満、約3:1未満、約1:1未満、約1:3未満、約1:10未満、約1:30未満、又は約1:100未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約1:1以上で約10:1未満の比)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、比は、約1:1、約2:1、又は約10:1である。いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、本明細書に記載の形成処理及び/又は希釈処理の間、1種以上の表面改変剤のそれぞれの重量に対する1種以上の医薬剤のそれぞれの重量の比について、上述の範囲を取る。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、本医薬組成物が患者に投与される又は生体サンプルに接触させられる直前に、1種以上の表面改変剤のそれぞれの重量に対する1種以上の医薬剤のそれぞれの重量の比について、上述の範囲を取る。医薬剤は、任意の適切な量で、例えば、医薬組成物の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、又は少なくとも約30重量%で、本発明に係る医薬組成物中に、存在してもよい。いくつかの場合、医薬剤は、任意の適切な量で、例えば、医薬組成物の約30重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約1重量%未満で、本発明に係る医薬組成物中に、存在してもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約0.1重量%で約10重量%未満の存在量)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、医薬剤は医薬組成物の約0.1−2重量%である。ある実施形態では、医薬剤は医薬組成物の約2−20重量%である。ある実施形態では、医薬剤は、約0.2重量%、約1重量%、約2重量%、約5重量%、又は約10重量%である。
本発明に係る医薬組成物は、また、キレート剤を含んでもよい。ある実施形態では、本医薬組成物は、粒子のコア及び/又は被膜中にキレート剤を含む本発明に係る複数の粒子を含む。本明細書に記載の全てのキレート剤は、本発明の範囲内にあるものと考えられる。ある実施形態では、キレート剤はEDTAである。ある実施形態では、キレート剤はEDTAの塩である。ある実施形態では、キレート剤はEDTA二ナトリウムである。キレート剤は本発明に係る医薬組成物中に適切な濃度で存在してもよい。ある実施形態では、キレート剤の濃度は、本医薬組成物の約0.0003重量%以上、約0.001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1以上、又は約3重量%以上である。ある実施形態では、キレート剤の濃度は、本医薬組成物の約3重量%未満、約1重量%未満、約0.3重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.03重量%未満、約0.01重量%未満、約0.003重量%未満、約0.001重量%未満、又は約0.0003重量%未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約0.01重量%以上で約0.3重量%未満のキレート剤の濃度)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、キレート剤の濃度は、本医薬組成物の約0.001−0.1重量%、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.05重量%、又は約0.1重量%である。いくつかの実施形態では、キレート剤は、本明細書に記載の形成処理及び/又は希釈処理の間、上述の範囲の1つ以上で、医薬組成物中に存在してもよい。ある実施形態では、キレート剤は、本医薬組成物が患者に投与される又は生体サンプルに接触させられる直前に、上述の範囲の1つ以上で、医薬組成物中に存在してもよい。
本発明に係る医薬組成物は、本医薬組成物を所望の浸透圧に調節するための等張化剤を含んでもよい。ある実施形態では、本医薬組成物は、粒子のコア及び/又は被膜中に等張化剤を含む本発明に係る複数の粒子を含む。ある実施形態では、所望の浸透圧は血液と等張で相性が良い。ある実施形態では、所望の浸透圧は低張である。ある実施形態では、所望の浸透圧は高張である。本明細書に記載の全ての等張化剤は、本発明の範囲内にあるものと考えられる。ある実施形態では、等張化剤はグリセリンである。ある実施形態では、等張化剤は塩化ナトリウムである。ある実施形態では、1種以上の等張化剤を組み合わせて用いてもよい。等張化剤は本発明に係る医薬組成物中に適切な濃度で存在してもよい。ある実施形態では、等張化剤の濃度は、本医薬組成物の約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上、約10重量%以上、又は約30重量%以上である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は、本医薬組成物の約30重量%未満、約10重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満、約0.3重量%未満、約0.1重量%未満、約0.03重量%未満、約0.01重量%未満、又は約0.003重量%未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約0.01重量%以上で約0.3重量%未満の等張化剤の濃度)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、等張化剤の濃度は、本医薬組成物の約0.1−1%、約0.5−3%、約0.25重量%、約0.45重量%、0.9重量%、約1.2重量%、約2.4重量%、又は約5重量%である。いくつかの実施形態では、等張化剤は、本明細書に記載の形成処理及び/又は希釈処理の間、上述の範囲の1つ以上で、医薬組成物中に存在してもよい。ある実施形態では、等張化剤は、本医薬組成物が患者に投与される又は生体サンプルに接触させられる直前に、医薬組成物中に存在してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、少なくとも約0mOsm/L、少なくとも約5mOsm/L、少なくとも約25mOsm/L、少なくとも約50mOsm/L、少なくとも約100mOsm/L、少なくとも約200mOsm/L、少なくとも約310mOsm/L、又は少なくとも約450mOsm/Lの浸透圧を有してもよい。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、約450mOsm/L未満、約310mOsm/L未満、約200mOsm/L未満、約100mOsm/L未満、約50mOsm/L未満、約25mOsm/L未満、又は約5mOsm/L未満の浸透圧を有してもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約0mOsm/Lで約50mOsm/L未満の浸透圧)も可能である。他の範囲も可能である。
本発明に係る複数の粒子を含む本発明に係る医薬組成物のイオン強度が当該複数の粒子の多分散性に影響を与え得ると本技術分野では理解される。イオン強度は、複数の粒子のコロイド安定性に影響を与え得る。例えば、本医薬組成物の比較的高いイオン強度は、複数の粒子を凝集させ得、それにより、本医薬組成物を不安定化し得る。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は微粒子間反発力により安定化される。例えば、複数の粒子は電気的又は静電的に帯電していてもよい。2つの帯電粒子は互いに反発し得、衝突と集合が防がれる。微粒子間反発力が弱まったり引力になった場合、複数の粒子は集合し始め得る。例えば、本医薬組成物のイオン強度がある水準に増加すると、複数の粒子の電荷(例えば、負電荷)が本医薬組成物中に存在する反対の電荷のイオン(例えば、溶液中のNaイオン)により中性化され得る。その結果、複数の粒子は、互いに衝突し結合して、よりサイズの大きい集合物(例えば、クラスター又は凝集粒子)を形成し得る。また、こうして形成された粒子の集合物は、サイズが異なり得、これにより、本医薬組成物の多分散性も増加し得る。例えば、同程度のサイズの粒子を含む本発明に係る医薬組成物は、本医薬組成物のイオン強度がある水準を超えて増加すると、(例えば、集合により)様々なサイズを有する粒子を含む医薬組成物になり得る。集合の過程で、集合物は、サイズが大きくなり、容器の底に沈殿し得るので、本医薬組成物はコロイド不安定である。いったん医薬組成物中の複数の粒子が集合物を形成すると、集合物を個別の粒子に分解することは通常困難である。
本発明に係る特定の医薬組成物は、予測できない特性、とりわけ、本医薬組成物中にある濃度で1種以上の等張化剤(例えば、NaCl等の塩)が存在することで、本医薬組成物中に存在する粒子の集合の程度が実際に減少し若しくは維持され、及び/又は、集合が顕著には増加しないという特性を示す。ある実施形態では、本医薬組成物の多分散性は、1種以上のイオン性等張化剤を本医薬組成物中に添加する際に、減少し、比較的一定であり、又は相当量でも変化しない。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物の多分散性は、増加したイオン強度の下でも、及び/又は、本医薬組成物の増加したイオン強度が比較的一定に保たれ又は増加したときでも(例えば、本明細書に記載の形成及び/又は希釈処理の間)、比較的一定である。ある実施形態では、イオン強度が少なくとも50%だけ増加すると、多分散性は、約300%未満、約100%未満、約30%未満、約10%未満、約3%未満、又は約1%未満だけ増加する。ある実施形態では、イオン強度が少なくとも50%だけ増加すると、多分散性は、約1%以上、約3%以上、約10%以上、約30%以上、又は約100%以上だけ増加する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、30%未満で3%以上の多分散性の増加)も可能である。他の範囲も可能である。
本発明に係る医薬組成物のイオン強度は、1種以上のイオン性等張化剤(例えば、NaCl等の塩)を本医薬組成物に添加するなどの様々な手段により、制御(例えば、増加、減少、又は維持)することができる。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物のイオン強度は、約0.0003M以上、約0.001M以上、約0.003M以上、約0.01M以上、約0.03M以上、約0.1M以上、約0.3M以上、約1M以上、約3M以上、又は約10M以上である。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物のイオン強度は、約10M未満、約3M未満、約1M未満、約0.3M未満、約0.1M未満、約0.03M未満、約0.01M未満、約0.003M未満、約0.001M未満、又は約0.0003M未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約0.01M以上で約1M未満のイオン強度)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物のイオン強度は、約0.1M、約0.15M、又は約0.3Mである。
ある実施形態では、本医薬組成物の多分散性は、1種以上のイオン性等張化剤を本医薬組成物中に添加する際に、変化しない。ある実施形態では、多分散性は、1種以上のイオン性等張化剤を本医薬組成物中に添加する際に、顕著には増加しない。ある実施形態では、多分散性は、1種以上のイオン性等張化剤を本医薬組成物中に添加する際に、本明細書に記載の水準に増加する。
本発明に係る複数の粒子を含む本発明に係る医薬組成物の多分散性は、多分散性指数(PDI)に基づいて測定できる。ある実施形態では、本医薬組成物のPDIは、約1未満、約0.8未満、約0.6未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.15未満、約0.1未満、約0.05未満、約0.01未満、又は約0.005未満である。ある実施形態では、本医薬組成物のPDIは、約0.005以上、約0.01以上、約0.05以上、約0.1以上、約0.15以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.6以上、約0.8以上、又は約1以上である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約0.1以上で約0.5未満のPDI)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、本医薬組成物のPDIは、約0.1、約0.15、又は約0.2である。ある実施形態では、本医薬組成物は、分散性が高く、集合物を形成しない傾向がある。粒子が集合物を形成する場合であっても、医薬組成物を激しく撹拌する必要なく、集合物は容易に個々の粒子に分解し得る。
本発明に係る医薬組成物は、本医薬組成物を患者に投与する時若しくは前に、又は、生体サンプルと接触させる時若しくは前に、殺菌済みであってもよい。殺菌済み医薬組成物は、細菌、微生物、真菌、ウィルス、胞子、酵母菌、カビ、及び一般的に感染症と関連する他のものなどの病原性微生物を実質的に含まない。本発明に係る医薬組成物は、患者に投与される時若しくは前に、又は、生体サンプルと接触させる時若しくは前に、無菌処理及び/又は殺菌処理に掛けられてもよい。無菌処理は、通常、医薬組成物又はその成分を急速加熱することを伴う。無菌処理は、通常、高価な機材(クリーンルーム、細菌保持フィルター、乾燥又は蒸気加熱)と面倒な操作を伴う。他の殺菌法の例としては、放射線殺菌(例えば、ガンマ線、電子線、又はX線照射)、加熱殺菌、ろ過殺菌、及びエチレンオキシド殺菌が挙げられる。他の殺菌法とは異なり、放射線殺菌は、透過性が高く、効果がすぐに現れ、場合によっては、温度、圧力、真空、又は湿度を制御する必要がないという利点を有する。ある実施形態では、本医薬組成物を殺菌するために用いられる放射線はガンマ線である。ガンマ線は、本医薬組成物中又は上の微生物のほとんど又は実質的に全てを殺すのに十分な量で適用してもよい。本医薬組成物の温度及び放射率は、ガンマ線照射期間の全体で、比較的一定であってもよい。ガンマ線照射は任意の温度で(例えば、外温度で、約40℃で、又は約30℃から約50℃の間で)行ってもよい。ある実施形態では、ガンマ線照射は約40℃で行われる。
いくつかの実施形態では、殺菌処理は、本発明に係る複数の粒子を含み本発明に係る医薬組成物について、殺菌処理が、(1)粒子の粒子サイズを顕著に変えず、(2)活性原料(本発明に係る化合物など)の完全な状態を顕著に損なわず、(3)殺菌処理の間又は後に薬学的に許容できない濃度の不純物を生成しないように、行われる。ある実施形態では、殺菌処理の間又は後に生成される不純物は活性原料の分解物である。ある実施形態では、殺菌処理は、それぞれ独立して分解前の活性原料の約10重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.8重量%未満、約0.6重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.03重量%未満、約0.01重量%未満、約0.003重量%未満、又は約0.001重量%未満で存在する1種以上の分解物が医薬組成物中に存在することに繋がる。ある実施形態では、殺菌処理は、それぞれ独立して分解前の活性原料の約0.001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上、又は約10重量%以上で存在する1種以上の分解物が医薬組成物中に存在することに繋がる。上述の範囲を組み合わせること(例えば、1種以上の分解物のそれぞれが独立して分解前の活性原料の約1重量%未満且つ約0.01重量%以上で存在する)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、本発明に係る医薬組成物中には、1種以上の分解物が比較的に少なくなることを助けるために、1種以上の添加物が含まれる。ある実施形態では、添加物はグリセリンである。
殺菌処理でガンマ線照射を用いる場合、ガンマ線の累積量は異なってもよい。ある実施形態では、ガンマ線の累積量は、約0.1kGray以上、約0.3kGray以上、約1kGray以上、約3kGray以上、約10kGray以上、約30kGray以上、約100kGray以上、又は約300kGray以上である。ある実施形態では、ガンマ線の累積量は、約0.1kGray未満、約0.3kGray未満、約1kGray未満、約3kGray未満、約10kGray未満、約30kGray未満、約100kGray未満、又は約300kGray未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約1kGray以上で約30kGray未満のガンマ線の累積量)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、所望の累積放射線量を得るために放射線を複数回照射する。
医薬剤を含む本発明に係る粒子及び医薬組成物は、患者の気道の対象組織への医薬剤の送達を改善又は増加し得る。医薬剤の送達は、医薬剤の暴露量、持続時間、濃度、及び生体利用率など、様々に特徴づけることができる。患者の気道の対象組織中での医薬剤の暴露量は、投与後の時間に対する気道の対象組織中での医薬剤の濃度の曲線下面積(AUC)として定義できる。いくつかの実施形態では、医薬剤の暴露量は、粒子に粘液浸透性を付与する粒子の被膜のおかげで、この被覆粒子と同程度の平均サイズを有し、当該被膜を有しない医薬剤を含む対照粒子と比べて、増加する。ある実施形態では、対照粒子は本発明に係る粒子のコアである。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子及び/又は医薬組成物は、医薬剤の暴露量を、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約100%、少なくとも約3倍、少なくとも約10倍、少なくとも約30倍、少なくとも約100倍、少なくとも約300倍、又は少なくとも約1000倍だけ、増加させる。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子及び/又は医薬組成物は、医薬剤の暴露量を、約1000倍未満、約300倍未満、約100倍未満、約30倍未満、約10倍未満、約3倍未満、約100%未満、約30%未満、又は約10%未満だけ、増加させる。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約10%で約10倍未満の増加)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、本発明に係る粒子のコア上の被膜は、当該被膜を有しないコアとして投与したときの医薬剤の暴露量と比べて、医薬組成物として投与されたときの医薬剤の暴露量を本明細書に記載の量だけ増加させるのに十分な量で存在する。
一般的に、暴露量の増加は、気道の対照組織で測定した本発明に係る粒子又は医薬組成物のAUCと対照粒子又は医薬組成物のAUCとの差を取り、対照粒子又は医薬組成物の暴露量で割ることにより計算できる。
医薬剤の暴露量は、適切な動物モデル(例えば、ニュージーランド白ウサギモデル)で測定できる。気道又は気道液の適切な対象組織中の医薬剤、及び、適切なら、その代謝産物の濃度は、投与後の時間の関数として測定できる。
また、医薬剤が本発明に係る粒子及び/又は組成物を用いて(例えば、患者への吸引投与により)送達される場合、患者の気道の対象組織中の医薬剤の濃度は増加し得る。いくつかの実施形態では、医薬剤の濃度は、粒子に粘液浸透性を付与する粒子の被膜のおかげで、この被覆粒子と同程度の平均サイズを有し、当該被膜を有しない医薬剤を含む対照粒子と比べて、増加する。ある実施形態では、対照粒子は本発明に係る粒子のコアである。ある実施形態では、気道の対象組織中の医薬剤の濃度を測定した後に、一服の粒子及び/又は医薬組成物が投与される。比較のため、投与された一服の本発明に係る粒子及び/又は医薬組成物に含まれる医薬剤の量は、投与された一服の対象粒子及び/又は医薬組成物に含まれる医薬剤の量と同程度又は実質的に同等でもよい。ある実施形態では、組織中の医薬剤の濃度は、本発明に係る粒子及び/若しくは医薬組成物又は対象粒子及び/若しくは医薬組成物の一服を投与した後の特定の時間(『服用後時間』)で測定される。ある実施形態では、濃度を測定する時間は、服用後、約1分、約10分、約1時間、約2時間、約3時間、約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、又は約49時間である。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子及び/又は医薬組成物は、気道の対象組織中の医薬剤の濃度を、約10%少なくとも、約30%少なくとも、約100%少なくとも、約300%少なくとも、約10倍少なくとも、約30倍少なくとも、約100倍少なくとも、約1000倍少なくとも、約10倍少なくとも、約10倍少なくとも、又は約10倍少なくともだけ増加させる。いくつかの実施形態では、本発明に係る粒子及び/又は医薬組成物は、気道の対象組織中の医薬剤の濃度を、約10倍未満、約10倍未満、約10倍未満、1000倍、約100倍未満、約10倍未満、約300%未満、約100%未満、約30%未満、又は約10%未満だけ増加させる。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約10%以上で約100%未満の増加)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、本発明に係る粒子のコア上の被膜は、当該被膜を有しないコアとして投与したときの医薬剤の濃度と比べて、医薬組成物として投与されたときの医薬剤の暴露量を本明細書に記載の量だけ増加させるのに十分な量で存在する。ある実施形態では、医薬剤を含む本発明に係る粒子又は医薬組成物の被膜は、本発明に係る粒子又は医薬組成物の投与後、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、又は少なくとも24時間後に、気道の対象組織中の医薬剤の濃度を増加させるのに十分な量で存在する。ある実施形態では、医薬剤を含む本発明に係る粒子又は医薬組成物の被膜は、本発明に係る粒子又は医薬組成物の投与後、24時間未満、12時間未満、6時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、30分未満、又は10分未満が経過した後に、気道の対象組織中の医薬剤の濃度を増加させるのに十分な量で存在する。上述の範囲を組み合わせること(例えば、医薬剤の濃度が投与後少なくとも10分で2時間未満経過した後に増加する)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、医薬剤を含む本発明に係る粒子又は医薬組成物の被膜は、本発明に係る粒子又は医薬組成物の投与後、約30分後に、気道の対象組織中の医薬剤の濃度を増加させるのに十分な量で存在する。
気道の対象組織中の医薬剤、及び、適切なら、その代謝産物の濃度は、適切な動物モデルを用いて生体内で時間の関数として測定できる。医薬剤の濃度を求める方法の一つは、気道を解剖して対象組織を単離することを伴う。その後、対象組織中の医薬剤の濃度はHPLC又はLC/MS解析により求めることができる。
キット(例えば、医薬パック)も本発明に包含される。本発明に係るキットは、本発明に係る化合物、粒子、又は医薬組成物と容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/又はディスペンサーパッケージ、又は他の適切な容器)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、さらに、本発明に係る化合物、粒子、又は医薬組成物の希釈又は懸濁のための医薬賦形剤を含む第2の容器を含む。いくつかの実施形態では、第1の容器及び第2の容器に設けられている本発明に係る化合物、粒子、又は医薬組成物は、合わせて、1つの単位服用形態を形成する。キットは、患者の病気(例えば、気道疾患)を治療及び/又は予防するのに役立ち得る。キットは、また、少なくとも1種の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)を患者に送達するのに有用であり得る。ある実施形態では、キットは患者での医薬剤の生体利用効率を増加させるために役立つ。ある実施形態では、キットは患者での医薬剤の濃度を増加させるために役立つ。ある実施形態では、キットは患者での医薬剤の暴露量を増加させるために役立つ。ある実施形態では、キットは、さらに、本発明に係る化合物、粒子、又は医薬組成物を投与するための指示書を含む。ある実施形態では、キット及び指示書は患者の病気(例えば、気道疾患)を治療及び/又は予防するためのものである。キットは本明細書に記載の1種以上の追加の医薬剤を含んでもよい。
(粒子及びその医薬組成物の製造法)
一態様では、本発明は、本発明に係る粒子の製造法を提供する。同種の粒子の製造法が2013年11月28日に公開された米国特許出願明細書公開第2013/0316006号明細書に記載されている。その内容を参照により本明細書で援用する。
粒子のコアは任意の適切な方法により形成されてもよい。適切な方法としては、例えば、トップダウン技術、即ち、比較的大きな粒子のサイズを減少させてより小さい粒子とすることに基づく技術(例えば、粉砕又はホモゲナイゼーション)、又は、ボトムアップ技術、即ち、粒子をより小さな粒子又は個々の分子から成長させることに基づく技術(例えば、沈殿又は液体内噴霧凍結)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、粒子のコアは被膜により被覆されてもよい。例えば、第1工程でコアが提供又は形成されてもよく、その後、第2工程でコアが被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、コア粒子は実質的に同時に(例えば、単一の工程で)形成及び被覆される。
いくつかの実施形態では、粒子は、製剤化処理、粉砕処理、及び/又は希釈処理の使用を伴う方法により形成される。ある実施形態では、粒子の形成法は、粉砕処理を含み、任意で、製剤化処理及び/又は希釈処理を伴う。コア材料、1種以上の表面改変剤、及び他の成分(本明細書に記載の、溶媒、等張化剤、キレート剤、塩、及び/又は緩衝材(例えば、クエン酸ナトリウムとクエン酸からなる緩衝材など)を含む懸濁液を形成するために、製剤化処理を用いてもよい。製剤化処理は製剤化容器を用いて行うことができる。コア材料及び他の成分は製剤化容器に同時に又は別々に添加してもよい。コア材料及び/又は1種以上の他の成分の混合物は、これらの懸濁を促進し懸濁液を形成するために、容器中で、撹拌及び/若しくは振盪、又は他の方法で分散されてもよい。また、懸濁処理を促進するために、コア材料、他の成分、及び/又は混合物の温度及び/又は圧力を個別に増加又は減少させてもよい。いくつかの実施形態では、コア材料及び他の成分は、不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)下にあり及び/又は遮光されている製剤化容器中で、本明細書に記載の処理を受ける。製剤化容器から得られた懸濁液は、次に、粉砕処理に掛けられてもよく、粉砕処理に続いて希釈処理を行ってもよい。
固体材料を含むコアを伴ういくつかの実施形態では、固体材料のサイズを減らしてマイクロメートルからナノメートルのサイズ範囲の粒子を形成するために、粉砕処理を行ってもよい。粉砕処理はミル又は他の適切な装置を用いて行うことができる。ジェット粉砕、凍結粉砕、ボール粉砕、媒体粉砕、音波処理、及びホモゲナイゼーションなどの乾燥及び湿潤粉砕処理が周知であり、本発明に係る方法に用いることができる。例えば、湿潤粉砕処理中、コアを形成するための固体材料(『コア材料』)の懸濁液は、形成するコアのサイズを減らすための賦形剤を用いて又は用いずに、分散される。乾燥粉砕は、形成するコアのサイズを減らすための賦形剤を用いて又は用いずに、コア材料を粉砕媒体と混合する処理である。凍結粉砕処理では、賦形剤を用いて又は用いずに、コア材料の懸濁液を冷たい温度で粉砕媒体と混合する。ある実施形態では、表面改変剤を用いる場合、被覆粒子を含む懸濁液は粉砕処理により得られる。ある実施形態では、表面改変剤を用いない場合、非被覆粒子を含む懸濁液は粉砕処理により得られる。
粉砕処理により得られた本発明に係る(被覆又は非被覆)粒子の懸濁液は、さらに、希釈処理により処理されてもよい。表面改変剤及び/又は他の成分を用いて又は用いずに、粉砕処理中に形成された粒子の懸濁液を希釈することにより対象服用濃度を得るために、希釈処理を用いてもよい。ある実施形態では、第1の表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が第2の表面改変剤を伴う希釈処理により処理される場合、第2の表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が希釈処理により得られる。ある実施形態では、表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が表面改変剤を伴わない又は同じ表面改変剤を伴う希釈処理により処理される場合、当該表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が希釈処理により得られる。ある実施形態では、非被覆粒子の懸濁液が表面改変剤を伴う希釈処理により処理される場合、当該表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が希釈処理により得られる。希釈処理は製品容器又は他の適切な装置を用いて行うことができる。ある実施形態では、粒子の懸濁液は、製品容器中で、希釈される、即ち、希釈剤と混合され又は他の方法で希釈剤で処理される。希釈剤は、本明細書に記載の、溶媒、表面改変剤、等張化剤、キレート剤、塩、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。懸濁液及び希釈剤は製品容器に同時に又は別々に添加してもよい。ある実施形態では、懸濁液が粉砕媒体を伴う粉砕処理により得られる場合、粉砕媒体は、懸濁液が製品容器に添加される前に懸濁液から分離されてもよい。懸濁液、希釈剤、又は懸濁液と希釈剤の混合物は、本発明に係る粒子及び/又は医薬組成物を形成するために、撹拌及び/若しくは振盪、又は他の方法で分散されてもよい。また、被覆粒子を形成するために、懸濁液、希釈剤、又は混合物の温度及び/又は圧力を個別に増加又は減少させてもよい。いくつかの実施形態では、懸濁液及び希釈剤は、不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)下にあり及び/又は遮光されている製品容器中で処理される。
いくつかの実施形態では、コア及び/又は被覆粒子は、1種以上の表面改変剤の存在下で固体材料(例えば、医薬剤)を粉砕することにより製造してもよい。液体である溶液中での凝集又は集合を伴わず粒子の懸濁液を安定化するために、固体材料の小粒子は、いくつかの実施形態では安定剤として機能し得る1種以上の表面改変剤の存在を必要とし得る。こうしたいくつかの実施形態では、安定剤が表面改変剤として機能してもよく、こうして、本発明に係る被覆粒子が形成される。
本明細書に記載したように、コア及び/又は被覆粒子の形成法は、粒子に粘液浸透性を付与する被膜をコア上に形成すること及び粉砕することの両方に適した表面改変剤を選ぶことを伴う。例えば、以下でより詳細に説明するように、あるPLURONICS(登録商標)ポリマーの存在下でピレンを粉砕により製造されたピレンの粒子は、約200−500nmの平均サイズを有し、確立しているPEG化ポリマー性粘液浸透性粒子(MPP)と同じ速度で生理学的粘液サンプルを浸透する能力を持つことが示されている。興味深いことに、試験したPLURONICS(登録商標)ポリマーの一部のみが、粒子に粘液浸透性を付与する被膜の形成及び粉砕の両方に適していた。
湿潤粉砕処理では、粉砕は、少なくとも1種の表面改変剤、研磨媒体、粉砕される個体(例えば、個体医薬剤)、及び溶媒を含む分散液(例えば、水性分散液)中で行ってもよい。本明細書に記載の溶媒は単一の溶媒又は異なる溶媒の混合物を含む。任意の適切な量の表面改変剤が溶媒内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、表面改変剤は、溶媒の少なくとも約0.001%(重量%又は重量/体積%(w:v))、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約30%、又は少なくとも約60%の量で、溶媒中に存在してもよい。いくつかの場合、表面改変剤は約100%の量で溶媒中に存在してもよい(例えば、表面改変剤が溶媒である場合)。別の実施形態では、表面改変剤は、溶媒の約100%未満、約60%未満、約30%未満、約10%未満、約3%未満、又は約1%未満の量で溶媒中に存在してもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、溶媒の約3%未満で少なくとも約1%の量)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、表面改変剤は、溶媒の約0.01−2%、約0.2−20%、約0.1%、約0.4%、約1%、約2%、約5%、又は約10%の量で溶媒中に存在する。
選んだ特定の範囲は、粒子表面上での表面改変剤の被膜の安定性、粒子上の表面改変剤の被膜の平均厚さ、粒子上の表面改変剤の配向、粒子上の表面改変剤の密度、医薬剤に対する表面改変剤の比、医薬剤の濃度、形成される粒子のサイズ、分散性、及び多分散性、並びに形成される粒子の形態学などの粒子が粘液を浸透する能力に影響し得る因子に影響を与える。
医薬剤は溶媒中に任意の適切な量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、医薬剤は、溶媒の少なくとも約0.001%(重量%又は重量/体積%(w:v))、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約30%、又は少なくとも約60%の量で存在してもよい。
いくつかの場合、医薬剤は、溶媒の約100%未満、約60%未満、約30%未満、約10%未満、約3%未満、又は約1%未満の量で溶媒中に存在してもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、溶媒の約30%未満で少なくとも約1%の量)も可能である。
また、溶媒中での医薬剤に対する表面改変剤の比は変動してもよい。いくつかの実施形態では、医薬剤に対する表面改変剤の比は、少なくとも約0.001:1(重量比、モル比、又はw:v)、少なくとも約0.01:1、少なくとも約0.01:1、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約30:1、少なくとも約100:1、又は少なくとも約1000:1であるいくつかの実施形態では、医薬剤に対する表面改変剤の比は、1000:1未満(重量比、モル比、又はw:v)、約100:1未満、約30:1未満、約10:1未満、約5:1未満、約3:1未満、約2:1未満、約1:1未満、又は約0.1:1未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約5:1で約30:1未満の比)も可能である。他の範囲も可能である。
安定剤として働き得る本明細書に記載の表面改変剤は、例えば、ポリマー又は界面活性剤であってもよい。ポリマーの例としては、ポリ(ビニルアルコール)及びPLURONICS(登録商標)などの本発明に係る粒子の被膜での使用に適しているものが挙げられる。界面活性剤の例としては、L−αホスファチジルコリン(PC)、1,2−ジパルミトイルホスファチジコリン(dipalmitoylphosphatidycholine)(DPPC)、オレイン酸、ソルビタントリオレアート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレンエーテル、ステアリルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、オキシエチレン及びオキシプロピレンのブロックコポリマー、合成レシチン、ジエチレングリコールジオレアート、テトラヒドロフルフリルオレアート、エチルオレアート、イソプロピルミリスタート、グリセリルモノオレアート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノリシノレアート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、オリーブ油、グリセリルモノラウラート、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ種子油が挙げられる。
粉砕のために用いられる安定剤は、粒子に粘液浸透性を付与する被膜である本発明に係る粒子の被膜を形成するものであってもよい。また、安定剤は、粒子が形成された後、1種以上の表面改変剤と置換されてもよい。例えば、粉砕処理中に第1の安定剤/表面改変剤を用いてもよく、これらは本発明に係る粒子の第1の被膜を形成し得、その後、粒子の第2の被膜を形成するために、第1の安定化剤/表面改変剤の全部又は一部は第2の安定剤/表面改変剤と置換されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の安定剤/表面改変剤は、第1の安定剤/表面改変剤よりも高い粘液浸透性を粒子に付与するものであってもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面改変剤を含む複数の被膜を含む粒子が本発明に係る方法により形成される。
任意の適切な研磨媒体を粉砕のために用いることができる。いくつかの実施形態では、セラミック性及び/若しくはポリマー性材料並びに/又は金属を用いることができる。適切な材料の例としては、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化イットリウム、ガラス、アルミナ、アルファアルミナ、酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリラート)、チタン、及び鋼が挙げられる。研磨媒体は任意の適切なサイズを有していてもよい。例えば、研磨媒体は、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、又は少なくとも約5mmの平均直径を有していてもよい。いくつかの場合、研磨媒体は、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.8未満、約0.5mm未満、又は約0.2mm未満の平均直径を有していてもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約0.5mmで約1mm未満の平均直径)も可能である。他の範囲も可能である。
溶媒を粉砕のために用いることができる。粉砕に適した溶媒の選択は、粉砕される固体材料(例えば、個体医薬剤)、安定剤/表面改変剤の種類(例えば、粒子に粘液浸透性を付与するもの)、及び研磨材料などの要因に依存し得る。粉砕に適した溶媒は、固体材料又は研磨剤料を実質的に溶解させないものの、安定剤/表面改変剤を適切な程度まで溶解させる溶媒の一つであってもよい。粉砕に適した溶媒の例としては、1つ以上の医薬賦形剤、ポリマー、医薬剤、塩、保存剤、調粘剤、等張化調整剤、矯味剤、酸化防止剤、及びpH調整剤などの他の成分を任意に含んでもよい、水、水溶液、緩衝液、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、及びブタノール)、及びその混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、粉砕に適した溶媒は有機溶媒である。
本明細書に記載の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)は、水性溶解度又は被覆溶液中での溶解度について本明細書に記載の1種以上の範囲の溶解度などの、粉砕に適した溶媒中での適切な溶解度を有してもよい。材料を粉砕するために本明細書に記載の粉砕処理は材料(例えば、医薬剤)が個体であることを通常必要とするので、溶媒(例えば、水又は被覆溶液)中での溶解度が比較的低い医薬剤が好ましいこともある。いくつかの場合、粉砕される材料が粉砕で用いられる溶媒(例えば、水又は被覆溶液)中での溶解性が比較的高い場合、粉砕される材料の溶媒中への顕著な又は完全な溶解が生じるため、粉砕を行うことができない。ある実施形態では、固体材料(例えば、固体医薬剤)の溶媒中への比較的高い溶解性は、25℃で、少なくとも約1mg/mL、少なくとも約3mg/mL、又は少なくとも約10mg/mLである。ある実施形態では、物質(例えば、医薬剤)の溶媒中への比較的低い溶解性は、25℃で、約1mg/mL未満、約0.3mg/mL未満、約0.1mg/mL未満、約0.03mg/mL未満、約0.01mg/mL未満、約0.003mg/mL未満、又は約0.001mg/mL未満である。固体材料は、pH範囲(例えば、pH1からpH14)の任意の点で以上の又はその他の溶解度の範囲を有し得る。粉砕処理で用いられる溶媒中で比較的高い溶解度を有する医薬剤は、医薬剤のプロドラッグを形成するために、修飾されてもよい。プロドラッグは比較的低い溶解度を有し得るので、粉砕処理に適し得る。プロドラッグを含む粒子又は医薬剤を患者に投与した時又は後、プロドラッグは、変換され、医薬剤を形成(言い換えれば、『放出』)し得る。
別の実施形態では、コア及び/又は被覆粒子は、本技術分野で周知の乳化処理又は技術(乳化)により形成されてもよい。例えば、2013年11月28日に公開された米国特許出願公開第2013/0316006号明細書を参照。
コア及び/又は被覆粒子は、また、沈殿処理又は技術(沈殿)により形成されてもよい。沈殿技術(例えば、マイクロ沈殿、ナノ沈殿、結晶化、及び制御結晶化)は、第1の溶媒と、第1の溶媒中で比較的高い溶解性を有する、コアを形成するための材料(例えば、医薬剤)とを含む第1の溶液を形成することを伴い得る。材料の溶解性が比較的低く、材料を含む複数の粒子が形成される逆溶媒である第2溶媒を含む第2溶液に第1の溶液は添加されてもよい。ある実施形態では、第2の溶媒は第1の溶媒と混和可能である。いくつかの実施形態では、1種以上の表面改変剤及び/又は界面活性剤は第1及び/又は第2の溶媒中に存在してもよい。本発明に係る被膜粒子を形成するため、被膜はコアの沈殿処理中に形成されてもよい(例えば、粒子の被膜は沈殿が行われるのと実質的に同時に形成されてもよい)。
別の実施形態では、本発明に係る粒子のコアが、まず、沈殿技術を用いて形成され、次に、コアを表面改変剤で被覆して本発明に係る被覆粒子が形成される。
いくつかの実施形態では、医薬剤を用いて又は用いずに本発明に係る粒子からなるポリマー性コアを形成するために、沈殿技術を用いてもよい。一般的に、沈殿技術は、医薬剤の存在又は不在下で、第1の溶媒中でコアを形成するためのポリマーを溶解して溶液を形成することを伴う。その後、この溶液は、1種以上の賦形剤の存在又は不在下で、逆溶媒であり第1の溶媒と混和可能な第2の溶媒に添加され、粒子のコアが形成される。いくつかの実施形態では、沈殿は、比較的低い水溶性を有する1種以上の医薬剤を含むポリマー性コアを製造するのに役立つ。
本明細書に記載の沈殿は第1の溶媒の使用を伴う。第1の溶媒の例としては、有機溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、及びテトラヒドロフラン)及び無機溶媒が挙げられる。
本明細書に記載の沈殿は第2の溶媒の使用も伴う。ある実施形態では、沈殿に適した第2の溶媒は逆溶媒である。沈殿に適した第2の溶媒の例としては、粉砕に用いられ得る本明細書に記載の溶媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、沈殿に適した第2溶媒は、医薬賦形剤、ポリマー、及び医薬剤などの1種以上の他の成分を任意に含む、水、水溶液(例えば、緩衝液)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール)、又はその混合物である。
本明細書に記載の乳化及び沈殿のための表面改変剤は、粉砕に用いることができる本明細書に記載の表面改変剤を含む、ポリマー又は界面活性剤であってもよい。
乳化又は沈殿により本発明に係る粒子のコアの全部又は一部を形成するために適したポリマーの例としては、本明細書に記載のポリマー(コポリマーを含む)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)から主に構成される粒子を形成するために、沈殿技術を用いることができる。ある実施形態では、沈殿技術により形成された本発明に係る粒子は、ナノ結晶質の医薬剤から主に構成される。一般的に、こうした沈殿技術は、被覆又は非被覆粒子を形成するために、コアを形成するための医薬剤を第1の溶媒に溶解させ、その後、この溶液を、1種以上の賦形剤の存在又は不在下で、逆溶媒であり、医薬剤の溶解性が比較的低い第2の溶媒に添加することを伴う。いくつかの実施形態では、この技術は、水溶液中に僅かに溶ける(1−10mg/mL)、ほんの僅か溶ける(0.1−1mg/mL)、又はほとんど溶けない(<0.1mg/mL)医薬剤(例えば、比較的低い溶解度を有する剤)の粒子を製造するのに役立ち得る。
本明細書に記載の医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)は、水性溶解度又は被覆溶液中での溶解度について本明細書に記載の1種以上の範囲の溶解度などの、沈殿に適した第1及び第2の溶剤中での適切な溶解度を有してもよい。第1の溶媒(例えば、有機溶媒)中で比較的高い溶解度を有する医薬剤が好ましいこともある。ある実施形態では、医薬剤は第1の溶媒に実質的に又は完全に溶解する。第2の溶媒(例えば、水又は被覆溶液)中で比較的低い溶解度を有する医薬剤が好ましいこともある。ある実施形態では、第1及び第2の溶媒の混合物中での医薬剤の溶解度は、第1の溶媒中での医薬剤の溶解度よりも低い。比較的高い溶解度及び比較的低い溶解度については本明細書に記載されている。第2の溶媒中で比較的高い溶解度を有する医薬剤は、医薬剤のプロドラッグを形成するために、修飾されてもよい。プロドラッグは、第1の溶媒中では比較的高い溶解度を有しつつ、第2の溶媒中では比較的低い溶解度を有し得るので、沈殿に適し得る。プロドラッグを含む粒子又は医薬剤を患者に投与した時又は後、プロドラッグは、変換され、医薬剤を形成(言い換えれば、『放出』)し得る。例えば、図6は化合物I−A−1を含む本発明に係る粒子の一般的な薬剤放出プロファイルを示す。
医薬剤の塩又は錯体から主に構成される粒子を形成するために、塩又は錯体の形成による沈殿を用いることもできる。ある実施形態では、この特定の沈殿技術により形成された粒子は、ナノ結晶質の医薬剤から主に構成される。一般的に、塩又は錯体の形成により沈殿は、1種以上の賦形剤の存在又は不在下で、コアを形成するための医薬剤を溶媒中に溶解させ、その後、医薬剤との塩又は錯体を形成する対イオン又は錯化剤を添加し、コアを形成することを伴う。本明細書に記載の全ての対イオンが本発明の範囲にあるものと考えられる。この技術は、第2の溶媒中で比較的低い溶解度を有する医薬剤を含む粒子を製造するのに役立ち得る。ある実施形態では、医薬剤は第2の溶媒中で比較的高い溶解度を有し、この医薬剤の塩又は錯体は第2の溶媒中で比較的低い溶解度を有する。比較的高い溶解度及び比較的低い溶解度については本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、1種以上の荷電又はイオン化可能基を有する医薬剤は対イオン(例えば、カチオン又はアニオン)と相互作用し塩又は錯体を形成する。
様々な異なる酸を、塩又は錯体の形成を伴う沈殿処理で用いることができる。沈殿に適した酸の例としては、デカン酸、ヘキサン酸、ムチン酸、オクタン酸が挙げられる。別の実施形態では、適切な酸として、酢酸、アジピン酸、L−アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、カプリン酸(デカン酸)、炭酸、クエン酸、フマル酸、ガラクタル酸、D−グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、塩酸、DL−乳酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、パルミチン酸、リン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、(+)−L−酒石酸、又はチオシアン酸を挙げることができる。別の実施形態では、適切な酸として、アルギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、(+)−ショウノウ酸、カプリル酸(オクタン酸)、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ、ゲンチシン酸、グルタル酸、2−オキソ−、イソ酪酸、ラクトビオン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パモ酸(エンボン酸)、プロピオン酸、(−)−L−ピログルタミン酸、又はp−トルエンスルホン酸などを挙げることができる。さらに別の実施形態では、適切な酸としては、酢酸、2,2−ジクロロ安息香酸、4−アセトアミド−、(+)−カンファー−10−スルホン酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、桂皮酸、ギ酸、臭化水素酸、DL−マンデル酸、硝酸、サリチル酸、サリチル酸、4−アミノ−、およびウンデシレン酸(ウンデカ−10−エン酸を挙げることができる。2種以上の酸の混合物を用いることもできる。
様々な異なる塩基を、塩又は錯体の形成を伴う沈殿処理で用いることもできる。沈殿に適した塩基の例としては、アンモニア、L−アルギニン、水酸化カルシウム、コリン、グルカミン、N−メチル、リシン、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムが挙げられる。別の実施形態では、適切な塩基として、ベネタミン、ベンザチン、ベタイン、デアノール、ジエチルアミン、エタノール、2−(ジエチルアミノ)−、ヒドラバミン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−、又はトロメタミンを挙げることができる。別の実施形態では、適切な塩基として、ジエタノールアミン(2,2’−イミノビス(エタノール))、エタノールアミン(2−アミノエタノール)、エチレンジアミン、1H−イミダゾール、ピペラジン、トリエタノールアミン(2,2’、2’’−ニトリロトリス(エタノール))、及び水酸化亜鉛を挙げることができる。2種以上の塩基の混合物を用いることもできる。
塩又は錯体の形成を伴う沈殿に適した溶媒の例としては、粉砕に用いることができる本明細書に記載の溶媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、塩又は錯体の形成を伴う沈殿に適した第1及び第2の溶媒は、医薬賦形剤、ポリマー、及び医薬剤などの1種以上の他の成分を任意に含む、水、水溶液(例えば、緩衝液)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール)、又はその混合物である。
沈殿に適した第1及び第2の溶媒は、本明細書に記載の1種以上の表面改変剤を含んでもよく、そして、1種以上の表面改変剤を含む被膜がコアの周辺に形成され、溶液から沈殿した本発明に係る被覆粒子が得られ得る。1種以上の表面改変剤は、第1及び第2の溶媒中に、少なくとも約0.001%(w/v)、少なくとも約0.003%(w/v)、少なくとも約0.01%(w/v)、少なくとも約0.03%(w/v)、少なくとも約0.1%(w/v)、少なくとも約0.3%(w/v)、少なくとも約1%(w/v)、又は少なくとも約3%(w/v)の濃度などの任意の適切な濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、1種以上の表面改変剤は、第1及び第2の溶媒中に、約3%(w/v)未満、約1%(w/v)未満、約0.3%(w/v)未満、約0.1%(w/v)未満、約0.05%(w/v)未満、約0.01%(w/v)未満、又は約0.003%(w/v)未満の濃度などの任意の適切な濃度で存在してもよい。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約0.01%(w/v)で約1%(w/v)未満の濃度)も可能である。他の範囲も可能である。ある実施形態では、1種以上の表面改変剤は、第1の溶媒中には存在するものの、第2の溶媒中には存在しない。ある実施形態では、1種以上の表面改変剤は、第2の溶媒中には存在するものの、第1の溶媒中には存在しない。ある実施形態では、1種以上の表面改変剤は第1及び第2の溶媒の両方に存在する。
コア及び/又は被覆粒子を形成法の別の例としては、本技術分野で周知の凍結乾燥処理又は技術が挙げられる。例えば、米国特許出願第61/738949号明細書を参照。
コア粒子を形成する他の方法も可能である。例えば、コア及び/又は被覆粒子を形成する追加の技術としては、コアセルベーション相分離、溶融分散、界面堆積、インサイチュ重合、巨大分子の自己組織化(例えば、ポリエレクトロライト複合体又はポリエレクトロライト−界面活性剤の複合体の形成)、噴霧乾燥及び噴霧凝固、電気噴霧、気中懸濁被覆、パンと噴霧器による被覆、凍結乾燥、空気乾燥、真空乾燥、流動床乾燥、沈殿(例えば、ナノ沈殿、マイクロ沈殿)、臨界流体抽出、並びにリソグラフィ手(例えば、ソフトリソグラフィ、ステップアンドフラッシュインプリントリソグラフィ、干渉リソグラフィ、フォトリソグラフィ)が挙げられる。本明細書に記載の方法を組み合わせることも可能である。いくつかの実施形態では、医薬剤のコアが、まず、沈殿により形成され、次に、粉砕処理によりコアのサイズが減らされ、任意で、粉砕処理により被膜がコア上に形成される。
医薬剤を含む粒子のコアの形成後、コアは、任意で、コアに結び付けられ及び/又はコアに被覆され得る(第2の)表面改変剤を含む溶液に曝されてもよい。医薬剤が既に第1の表面改変剤の被膜を含んでいる実施形態では、第1の表面改変剤の全部又は一部が第2の表面改変剤と置換されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の表面改変剤は、第1の表面改変剤よりも高い粘液浸透性を粒子に付与する。いくつかの実施形態では、複数の表面改変剤を含む被膜を(例えば、単層又は複層)有する粒子が形成される。いくつかの実施形態では、複数の被膜を有する粒子(例えば、各被膜が任意で異なる表面改変剤を含む)が形成されてもよい。いくつかの実施形態では、被膜は表面改変剤からなる単層の形態である。他の構成もまた可能である。
本明細書に記載の任意の方法では、表面改変剤を含む被膜は、コアを表面改変剤中で、少なくとも約1分、少なくとも約3分、少なくとも10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約60分、又はそれ以上の期間、インキュベートすることで、本発明に係る粒子のコア上に形成されてもよい。いくつかの場合、インキュベーションは、約10時間未満、約3時間未満、又は約60分未満の期間、行われる。上述の範囲を組み合わせること(例えば、60分未満で少なくとも約1分のインキュベーション期間)も可能である。
(治療、使用、及び投与の方法)
化合物、医薬組成物、及びキットに加えて、本発明は、また、医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)の患者への送達法を提供する。ある実施形態では、医薬剤は患者の気道に送達される。ある実施形態では、医薬剤は患者の気道の対象組織に送達される。
医薬剤は、そのままで、本発明に係る複数の粒子として、又は本発明に係る医薬組成物として、患者に送達されてもよい。ある実施形態では、医薬剤は患者の気道に吸引送達される。
本明細書に記載したように、本発明以前は、気道疾患を治療及び/又は予防するために医薬剤を患者に送達することは困難であった。従来の送達法(例えば、経口、静脈内、及び筋肉内)は、非効率的で、侵襲的で、及び/又は不便である。吸引投与は困難であった。ネブライザーなどにより溶液として服用されると、医薬剤は通常体循環に吸収されるため、対象組織である肺での局所的曝露は限られたものとなる。さらに、肺に送達された従来法により製剤化さた医薬剤は、気道内の迅速にクリアランスされる粘膜バリア(例えば、粘液)のため、クリアランスされてしまいもする。従来の医薬組成物中の医薬剤はしばしば粘液に接着する。いったん粘液に固定されると、医薬剤はしばしば気道から鼻水や痰の形態の粘液により迅速に除去される。そこで、従来の医薬組成物で有効量の医薬剤を患者に吸引送達するためには、多くの服用量及び/又は頻繁な服用が用いられ得る。しかし、多くの服用量の医薬剤は、局所的及び全身的副作用の危険性が増加させる。さらに、頻繁な投与は、患者にとって不便であり、しばしば、コンプライアンスの悪化を招くため、望ましくない。そこで、本発明に係る粒子及び医薬組成物などの適切な医薬組成物を用いて医薬剤の粘液浸透性を改善することは利点となる。
ある実施形態では、本発明に係る医薬剤の送達法は、医薬剤を含む本発明に係る粒子及び/又は医薬組成物を患者に吸引投与することを伴う。本発明に係る医薬剤を含む粒子又は医薬組成物は粘液浸透性であってもよい。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、本発明に係る式(I)の化合物を含む粒子は、気道の粘液への接着を回避し、迅速に粘液を浸透(例えば、それを超えて拡散)し、気道内での医薬剤の留置又は持続時間を延ばし、及び/又は、気道内での医薬剤の局所的濃度を増加させる能力を有し得る。そのため、粒子及び/又は医薬組成物は、気道の対象組織(例えば、肺、気管、又は気管支)の体液(例えば、血液又は血漿)中に溶解し得、そこへ医薬剤を放出し得る。こうして、医薬剤は気道の対象組織に送達される。一方、市販されてきた又は後期臨床段階にある吸引医薬組成物(例えば、TOBI(登録商標)、CAYSTON(登録商標)、TIP(登録商標)、及びARIKACE(登録商標))は、粘液浸透性粒子及び医薬組成物に特有の性質から得られる便益を有しない。
ある実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を含むコアと、コアを囲む表面改変剤からなる被膜とを含む複数の粒子を備える医薬組成物を局所的に投与する工程であって、表面改変剤は、コアの外表面上に、nm毎に少なくとも0.01の密度で存在し、任意に、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、工程を備える、患者の気道中での式(I)の化合物の持続時間を増加させる方法を提供する。ある実施形態では、粒子はナノ粒子である。別の実施形態では、粒子はナノ結晶である。ある実施形態では、組成物はネブライザーで局所的に投与される吸引溶液である。別の実施形態では、組成物は乾燥粉末吸引器で局所的に投与される吸引可能な乾燥粉末である。
別の実施形態では、本発明は、式(I−A−1)の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を含むコアと、コアを囲む表面改変剤からなる被膜とを含む複数の粒子を備える医薬組成物を局所的に投与する工程であって、表面改変剤は、コアの外表面上に、nm毎に少なくとも0.01の密度で存在し、任意に、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、工程を備える、患者の気道中での式(I−A−1)の化合物の持続時間を増加させる方法を提供する。ある実施形態では、粒子はナノ粒子である。別の実施形態では、粒子はナノ結晶である。ある実施形態では、組成物はネブライザーで局所的に投与される吸引溶液である。別の実施形態では、組成物は乾燥粉末吸引器で局所的に投与される吸引可能な乾燥粉末である。
別態様では、本発明は気道疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。ある実施形態では、本発明に係る方法により治療及び/又は予防される呼吸器疾患は、本明細書に記載の気道疾患である。本技術分野で周知の他の気道疾患も本発明の範囲内にあるものと考えられる。本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物は、様々な手段で、例えば、任意の許容される形態(例えば、錠剤、液体、カプセル、及び粉末など)により経口的に、任意の許容される形態(例えば、パッチ、点滴、クリーム、ゲル、噴霧化、涙点プラグ、薬剤溶出性コンタクト、イオン導入、及び軟膏)により局所的に、任意の許容される形態(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、非経口、及び硬膜外)により注射で、埋込又は貯蔵容器の使用(例えば、皮下ポンプ、髄腔内、座薬、生分解性送達系、非生分解性送達系、及び他の埋込、拡張、又は除法装置又は製剤)により、患者に投与されてもよい。好ましくは、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物は患者に吸引投与される。吸引投与の主要な便益としては、非侵襲的特性を持つこと、全身的暴露量を減少させ局所的に作用すること、患者にとって比較的に安心であること、及び投与が簡単であることを挙げることができる。患者のコンプライアンスは、患者がピルを取るのを忘れやすいこと、注射を物理的に投与することが困難であること、及び副作用が不快であることなど広範な要因に起因する問題である。他の問題点としては、医薬剤の迅速なクリアランス及び全身的曝露が挙げられる。吸引投与は上述の問題点の全てを解決し得る。
本発明の別態様は、患者の気道の組織での医薬剤の暴露量を増加させる方法に関する。
本発明の別態様は、患者の気道の組織での医薬剤の濃度を増加させる方法に関する。
ある実施形態では、本発明に係る方法は、患者に本発明に係る化合物、粒子、及び/又は、医薬組成物を投与することを含む。ある実施形態では、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の投与は、本明細書に記載の投与である。ある実施形態では、投与は吸引投与である。ある実施形態では、有効量の本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物が投与される。ある実施形態では、本発明に係る粒子は医薬剤を含む。ある実施形態では、本発明に係る医薬組成物は医薬剤を含む。
ある実施形態では、本発明に係る粒子及び医薬組成物は本明細書に記載の通りである。ある実施形態では、患者、医薬剤、有効量、暴露量、及び濃度は、本明細書に記載の通りである。
本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物は、様々な服用形態で患者に投与されてもよい。例えば、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物は、単回単位服用量で1回投与されてもよいし、単回単位服用量で複数回投与されてもよい。単位服用量は、所定量の医薬剤を含む本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の離散量である。いくつかの実施形態では、粘液浸透性被膜を有する本発明に係る粒子を用いる場合、こうした被膜を有しない粒子と比べて、より少ない回数の服用(例えば、1/2、1/3、又は1/4回の服用)が必要となる。
治療又は予防有効量を得るために必要とされる本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の正確な量は、例えば、種、年齢、及び患者の一般的な状態、副作用又は障害の重症度、特定化合物の同定、及び投与法などに応じて、患者毎に異なるだろう。本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物は、連続する服用の間に期間をもって繰り返し投与することにより、投与されてもよい。気道疾患が治療及び/又は予防されるのに十分な長さの期間の間、気道を治療又は予防有効量の医薬剤に曝すことを可能にし得るので、繰り返し投与は有利であり得る。ある実施形態では、連続する服用の間の期間は、約1時間未満、約2時間未満、約6時間未満、約12時間未満、約36時間未満、又は約48時間未満である。ある実施形態では、連続する服用の間の期間は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約36時間、又は少なくとも約48時間である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、約2時間以上で約12時間未満の連続する服用の間の期間)も可能である。他の範囲も可能である。
本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の患者への送達は、投与後の延長期間の間、患者の気道の対象組織で、医薬剤(例えば、本発明に係る化合物)を有効水準にすることをもたらし得る。医薬剤の有効水準は、気道の対象組織の所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。当業者であれば理解できるように、本明細書に記載の医薬剤の有効水準は、所望の生物学的評価項目、医薬剤の薬物動態、治療される気道疾患、投与法、及び患者の年齢と健康状態などの要因に依存して、異なり得る。ある実施形態では、医薬剤の有効水準は、単独で又は他の治療薬と共に使用する際の、気道疾患の治療に治療上の有益性をもたらす医薬剤の量である。医薬剤の有効水準は、総合的な治療効果を改善し、気道疾患の症状若しくは原因を減少若しくは回避し、及び/又は、他の治療薬の効能を増強する水準を包含し得る。
いくつかの実施形態では、有効医薬剤水準は、投与後の対象組織での医薬剤の最大濃度(Cmax)により、少なくとも部分的に、測ることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬剤を含む化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の気道の対象組織への送達は、同程度の服用量の市販の化合物、粒子、及び医薬組成物と比べて、投与後の気道の対象組織でのより高いCmaxをもたらし得る。ある実施形態では、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の投与により得られるCmaxは、市販の化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の投与により得られるCmaxよりも、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約100%、少なくとも約300%、少なくとも約1000%、又は少なくとも約3000%だけ高い。ある実施形態では、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の投与により得られるCmaxは、市販の化合物、粒子、及び/又は医薬組成物の投与により得られるCmaxよりも、約3000%未満、約1000%未満、約300%未満、約100%未満、約30%未満、約10%未満、又は約3%未満だけ高い。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約30%で約300%未満のCmaxの増加)も可能である。他の範囲も可能である。
いくつかの実施形態では、有効医薬剤水準は、本技術分野で周知のように、医薬剤の最小有効濃度、例えば、IC50又はIC90により、少なくとも部分的に、測ることができる。
有効医薬剤水準(Cmax、IC50、又はIC90)が、投与後の延長期間の間、気道の対象組織中に存在するある実施形態では、投与後の延長期間は数時間から数日の範囲であってもよい。ある実施形態では、投与後の延長期間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、又は少なくとも1周間である。ある実施形態では、投与後の延長期間は、1周間未満、5日未満、3日未満、2日未満、1日未満、12時間未満、6時間未満、2時間未満、1時間未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、少なくとも約4時間で約1周間未満の延長期間)も可能である。他の範囲も可能である。
ある実施形態では、本発明に係る化合物、粒子、及び/又は医薬組成物は、所望の治療又は予防効果を得るよう、有効量の医薬剤を患者の気道に送達するのに十分な服用水準で存在してもよい。ある実施形態では、気道の対象組織に送達される医薬剤の有効量は、組織重量の少なくとも約10−3ng/g、少なくとも約10−2ng/g、少なくとも約10−1ng/g、少なくとも約1ng/g、少なくとも約10ng/g、少なくとも約10ng/g、少なくとも約10ng/g、又は少なくとも約10ng/gである。
ある実施形態では、気道の対象組織に送達される医薬剤の有効量は、組織重量の約10ng/g未満、約10ng/g未満、約10ng/g未満、約10ng/g未満、約1ng/g未満、約10−1ng/g未満、約10−2ng/g未満、又は約10−3ng/g未満である。上述の範囲を組み合わせること(例えば、組織重量の少なくとも約10−2ng/gで約10ng/g未満の医薬剤の有効量)も可能である他の範囲も可能である。
本明細書に記載の服用範囲は、提供された化合物、粒子、及び/又は医薬組成物を大人に投与するための手引を与えることは理解されるだろう。例えば、子供又は思春期の者に投与される量は、医療従事者又は当業者により求めることができ、成人に投与されるよりも低かったり同じであったりしてもよい。
本発明のある特定の実施形態を例示することを意図し、その範囲に請求項に規定されるように限定されることを意図するわけではない以下の実施例を考えることで、本発明の上述及び他の態様を、さらに理解できるだろう。
(実施例)
本明細書に記載の発明のより完全な理解のため、以下に実施例を示す。本明細書に記載の合成及び生体の実施例は、本明細書で得られる化合物、医薬組成物、及び方法を例示するために設けられているのであり、いかなる意味でもその範囲に限定することを意図するものではない。
(実施例1:化合物の製造)
本明細書で得られる化合物は、以下の一般的な方法及び工程を用いて、容易に利用可能な出発材料から製造できる。例えば、以下のスキーム1を参照。通常の又は好ましい処理条件(即ち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶剤、圧力など)が記載されている場合、特記のない限り他の処理条件を用いることもできる。最適反応条件は、用いられる特定の反応物又は溶媒に応じて変わり得るものの、こうした条件は、当業者であれば、ルーチンの最適化手順により求めることができる。
さらに、当業者には明らかなように、特定の官能基を進行中の望ましくない反応から守るためには、従来の保護基が必要であるかもしれない。特定官能基向けの適切な保護基及び保護及び脱保護の適切な条件の選択は本技術分野で周知である。例えば、数々の保護基並びにその導入及び除去法が、Greene等の『Protecting Groupsin Organic Synthesis』(第2版、Wiley、ニューヨーク、1991年刊)及びその中で引用されている文献に記載されている。
本発明に係る化合物、例えば、化合物I−A−1を製造するための一般的な処理を、本発明のさらなる実施形態として提供し、スキーム1に例示する。
スキーム1 本発明に係る化合物の合成法の例
(クロロメチルベンゾアート(5)の製造)
安息香酸ナトリウム(4.8g、33.3mmol)、重炭酸ナトリウム(8.4g、100.0mmol)及び硫酸テトラブチルアンモニウム(1.1g、3.3mmol)を水(70mL)中に溶解させた。ジクロロメタン(70mL)を添加し、その後、クロロスルホン酸クロロメチル(4.2mL、40.3mmol)を添加した。こうしてできた混合物(二相溶液)を3時間激しく撹拌した。相を分離させた。有機相を、水(2×50mL)で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を、シリカの小さなプラグ(5g)でろ過し、30℃の減圧下で蒸発させ、無色液体状の化合物5(5.2g,92%)を得た。化合物5の分析データは文献で報告されていたものと同じであった(例えば、Baudy等、J.Med.Chem.、2009年間、52巻、771頁)。
(安息香酸ヨードメチル(6)の製造)
化合物6は文献の手順(Maury等、Org.Lett.、2010年刊、12巻、3590頁)の変法により製造した。安息香酸クロロメチル(2.7g、15.9mmol)をアセトン(20mL)中に溶解させた。ヨウ化ナトリウム(7.1g、47.6mmol)を添加し、その後、こうしてできた混合物を45℃で3時間撹拌し、アセトン(100mL)で希釈し、遮光下でろ過し、30℃の減圧下で蒸発させた。残滓をジエチルエーテル(100mL)中に溶解させ、水性重炭酸ナトリウム及び水性チオ硫酸ナトリウムで洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、30℃の遮光減圧下で乾燥させ、黄色油状の化合物6(3.3g、79%)を得た。化合物5の分析データはMaury等、Org.Lett.、2010年刊、12巻、3590頁で報告されていたものと同じであった。化合物6は直ぐに次の工程で使用した。
((ベンゾイルオキシ)メチル−4−ニトロフェニルカルボナート(7)の製造)
ヨードメチル−4−ニトロフェニルカルボナート(0.97g、3.0mmol)をトルエン(20mL)中に溶解させた。安息香酸(0.55g、4.5mmol)及び酸化銀(1.24g、5.36mmol)を添加した。こうしてできた混合物を、80℃で2時間加熱し、より多くのトルエンを用いて、シリカパッドでろ過した。揮発成分を減圧下で蒸発させ、黄色油状の化合物7(0.89g、93%)を得た。これを精製することなく次の反応で用いた。
((4R、5S、6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−1−[[ベンジルオキシメトキシ]カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ベンジルオキシメチルエステル(I−A−1)の製造)
メロペネム三水和物(化合物1、1.27g、2.90mmol)をジメチルホルムアミド(20mL)中に溶解させた。(ベンゾイルオキシ)メチル−4−ニトロフェニルカルボナート(化合物7、0.92g、2.90mmol)をジメチルホルムアミド(2mL)の溶液として添加した。こうしてできた混合物を1時間撹拌した。無水炭酸ナトリウム(0.62g、5.80mmol)及び安息香酸ヨードメチル(化合物6、1.52g、5.80mmol)を添加した。反応懸濁物を1時間撹拌した。酢酸エチル(200mL)を添加した。こうしてできた混合物を、水(50mL)、水性飽和重炭酸ナトリウム(3×50mL)で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。揮発成分を減圧下で蒸発させた。こうしてできた残滓をジクロロメタン(100mL)中に溶解させ、減圧下で蒸発させた。こうしてできた厚い油を最小量のジクロロメタン(約5mL)中に溶解させ、ジエチルエーテル(200mL)中に注ぎ、沈殿させて製品を得た。沈殿した半固体を、ろ過し、酢酸エチル及びアセトンの混合物(4:1、20mL)中に溶解させた。こうしてできた溶液を、追加の溶媒混合物(酢酸エチル及びアセトン(4:1))を必要なだけ用いて、シリカパッド(10g)でろ過した。完全溶出をTLCにより評価した(R0.7、同じ溶媒系)。揮発成分を減圧下で蒸発させた、黄色固体(1.45g)を得た。これを、分取HPLC(ZORBAX C18、50mm×250mm)を50:50から10:90のHO(0.1%のギ酸を含む)/ACN(0.1%のギ酸を含む)勾配で、10分間、118mL/分の流速で走らせ精製した。適切な分画を飽和NaHCO溶液(5mL)で中和し、揮発成分を減圧下で蒸発させた。曇った懸濁液ができ、これをDCMで抽出した。相を分離させた。有機層を無水MgSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させ乾燥させた。こうしてできた残滓を真空乾燥し、白色固体状の化合物I−A−1(280mg、14%)を得た。HNMR(CDCl):δ8.04(4H,m),7.55(2H,m),7.42(4H,m),6.12(1H,d),6.08(1H,d),6.02(1H,d),5.89(1H,d),4.70(1H,m),4.21(1H,m),4.16(1H,m),4.09(1H,m),3.62(1H,m),3.42(1H,m),3.36(1H,m),3.18(1H,m),3.08(3H,s),3.02(3H,s),2.96(3H,s),2.81(3H,s),2.67(1H,m),1.88(1H,m),1.28(3H,d),1.12(3H,d)ppm。13CNMR(CDCl):,δ172.95,172.87,170.86,170.65,165.69,165.63,165.24,159.65,159.59,152.65,152.13,150.98,150.64,133.92,133.86,130.33,130.30,130.23,129.27,129.25,129.13,128.75,128.73,128.71,125.11,125.04,81.04,80.42,80.32,80.30,66.15,66.12,60.23,60.16,56.57,56.47,56.28,55.90,54.82,54.46,44.35,40.95,40.25,37.25,37.10,36.40,36.22,35.93,35.32,22.00,21.96,17.29ppm。LC−MS:m/z(M)計算値695.7、検定値696.2。化合物I−A−1はMeOH/HO(2:1、5mg/mL、合計濃度)又は酢酸エチル/メチルt−ブチルエーテル(1:1、40mg/mL、合計濃度)から結晶化し、本発明に係る医薬組成物に適した結晶が得られた。
(実施例2:化合物I−A−1のメロペネムへの変換)
化合物I−A−1をホモゲナイズしたCFスパッタム(CFS)中に20μg/mLの濃度で懸濁し(99.5:0.5のCFS/DMSO、1.2mL、合計堆積)、37℃でインキュベートした。インキュベート0、0.5、1、2、及び4時間後に取ったアリコート(0.2mL)を生体解析処理前に−80℃で保存した。一連の有機溶媒抽出の後、こうしてできたフリーメロペネムをタンデム質量分析法により定量した(図5)。
(実施例3:化合物I−A−1の粉砕)
以下では、化合物I−A−1を含むコアを用いてMPPを形成する非限定的な例を記載する。化合物I−A−1の粗結晶を、化合物I−A−1の平均粒子サイズが動的光散乱法(DLS)により測定して500nm未満に減るまで、粉砕媒体の存在下でPLURONICS(登録商標)F127を含む水性分散液中でナノ粉砕した。(1)粒子サイズを数百ナノメートルまで減らすことを助け、(2)生成されたナノ粒子の表面を、粒子と粘液性分との相互作用を最小化し粘液接着を防ぐ粘液不活性被膜に、物理的に(即ち、非共有結合的に)被覆する、安定剤として、PLURONICS(登録商標)F127を用いた。この工程で物理的に安定した粒子のナノ懸濁液が製造された(図3)。ある実験では、ナノ懸濁液中の粒子は、DLSで測定して、260nmのZ−平均粒子直径及び0.109の多分散性指数を有していた。
(実施例4:暗視野顕微鏡で測定した粘液中での化合物I−A−1の移動性)
新鮮な未希釈のヒト頸腟部粘液(CVM)を、実施例3に記載のものなどの本発明に係る粒子と接触させた。CVM中の化合物I−A−1の移動性を、ナノサイズの蛍光又は非蛍光物質の可視化を可能とするCYTOVIVA(登録商標)高解像度照明系を用いて、暗視野顕微鏡により解析した。ある実験では、0.5μLのナノ懸濁液を、顕微鏡スライド上の20μLウェルに予め配置しておいた20μLの未希釈CVMに添加した。CCDカメラを用いて、各サンプル内でランダムに選んだ領域から、100倍の倍率の下、66.5msの時間分解能(即ち、15フレーム/秒)で15秒の動画を撮影した。動画での粒子の移動性を、独立した観察者によるシングルブラインド実験で、移動性の高い順に0から3の尺度で判定した。判定基準は、0−0.5は移動しない、0.51−1.5は僅かに移動する、1.51−2.5はやや移動する、2.51−3.0はとても移動するというものである。粒子の平均移動度は、6回の独立した観察から計算して、3.0であった。
(実施例5:バルク輸送により測定した粘液中での化合物I−A−1の移動性)
実施例3に記載のものなどの本発明に係る粒子が粘液を浸透する能力を、粘液サンプルへの粒子の質量輸送を介して測定した。この方法では、新鮮な未希釈のヒト頸腟部粘液(CVM)を、キャピラリーチューブ内に集め、キャピラリーチューブの一端を粘土で封じた。キャピラリーチューブの開放端を、化合物I−A−1の濃度が0.5%(w/v)である粒子の水性懸濁液20μL中に浸した。所定の時間の後、通常は、18時間後、キャピラリーチューブを引き上げ、キャピラリーチューブの外側を拭き取って綺麗にした。粘液サンプルを含むキャピラリーチューブを超遠心分離管に配置した。抽出媒体を超遠心分離管に添加し、超遠心分離管を混ぜながら1時間の間インキュベートすることで、キャピラリーチューブから粘液を除去し、粘液から化合物I−A−1を抽出した。超遠心分離管を遠心して、ムチン及び他の非溶解性成分を除去した。抽出したサンプル中の化合物I−A−1の量を、HPLC(図4、陰性対照は表面にカルボン酸基を有する非被覆200nmポリスチレン(PS)スフィア)、陽性対照はPLURONICS(登録商標)F127で被覆された同PSスフィア)を用いて定量した。結果は、実施例4で記載したような、暗視野顕微鏡により得られた結果とよく整合し、粘液浸透性粒子(MPP)と従来粒子(CP)との間の輸送量の明確な違いを示した。
(実施例6:ナノ沈殿による化合物I−A−1を含むMPPの製造)
以下では、PLURONICS(登録商標)F127の存在下でナノ沈殿処理により化合物I−A−1を含むMPPを製造する方法の非限定的な例を記載する。生分解性の薬学的に関連するポリマーの一種であるポリラクチド(PLA)をナノ沈殿により粒子のコアを形成するための材料として用いた。PLURONICS(登録商標)F127は、ナノ懸濁液安定剤及び製造されたコアの周りに被膜を形成する表面改変剤として、働いた。
化合物I−A−1及びPLAの両方を溶かすことのできる水溶性有機溶媒(例えば、アセトン)中に化合物I−A−1及びPLAを溶かした溶液を、PLURONICS(登録商標)F127の水溶液に混ぜながら添加し、化合物I−A−1及びPLAの両方を含むナノ粒子の微細沈殿を形成した。この処理では、PLURONICS(登録商標)は、(1)固化する際にコアを形成する沈殿有機相の周りに安定化被膜を形成する界面活性剤として働き、(2)生成されたナノ粒子の表面を、粘液中での粒子の迅速な通過をもたらすだろう性粘液不活性被膜で、物理的に(即ち、非共有結合的に)被覆した。
典型的なナノ沈殿処理では、まず、10−20mg/mLの化合物I−A−1及び5mg/mLのPLA(ポリラクチド等級100DL7A、SURMODICS社から購入)を含むアセトン溶液(約1ML)を0.5mL/分の速度で撹拌しながらPLURONICS(登録商標)F127の水溶液(約40mL、5重量%)中に添加した。こうしてできたナノ懸濁液を、室温で一晩平衡化し、揮発成分を蒸発させ、カプセル化されていない化合物I−A−1を晶出させた。ナノ懸濁液を1ミクロンガラス繊維フィルターでろ過し、カプセル化されていない化合物I−A−1の凝集物及び/又は結晶を除去した。濾過物を遠心しナノ粒子を沈殿させた。得られた沈殿物を上澄みから分離し、0.5重量%のPLURONICS(登録商標)F127を含む水溶液に再懸濁して洗った。この沈殿及び再懸濁工程を、カプセル化されていない化合物I−A−1の除去を確実にするため、繰り返した。最終製品を凍結乾燥して保存した。
(実施例7:化合物8−19の製造)
本発明に係る化合物、例えば、化合物12−19を製造するための一般的な処理を、本発明のさらなる実施形態として提供し、スキーム2に例示する。
スキーム2

表3:化合物I−A−1及び12−19のR及びRの説明

((アルキルオキシ)メチル−4−ニトロフェニル及び(アリールオキシ)メチル−4−ニトロフェニルカルボナート(8)の製造)
ヨードメチル−4−ニトロフェニルカルボナート(1当量)及び(アルキルオキシ)メチル−4−ニトロフェニル又は(アリールオキシ)メチル−4−ニトロフェニルカルボナート8(1当量)を溶媒中に溶解させた。固体AgO(1当量)を単一部分で加え、室温で撹拌し反応させた。スラリーをCELITEでろ過し、溶媒を蒸発させた。こうしてできた製造残滓を次の反応で直に用いた。
(メロペネムのカルバマート誘導体(9)の製造)
メロペネム三水和物(1当量)及び式8の適切な活性化カルボナートを無水DMF中に溶解させ、室温で撹拌した。反応溶液を次の反応で直に用いた。
(安息香酸ヨードメチル誘導体及びヨードメチルアルキルカルボキシラート誘導体(10)の製造)
化合物10を、適切なカルボン酸を用いて、Harada,N等、Synth.Comm.、1994年刊、24巻、767頁に報告されている通りに製造した。
(メロペネムプロドラッグ(11)の製造)
適切な10のヨードメチル誘導体(2当量)及び固体NaCO(2当量)をメロペネムカルバマート9の溶液に添加し、室温で撹拌した。溶液を水で撹拌し、その後、酢酸エチルで3回抽出した。まとめた抽出物をMgSOで乾燥させ、ろ過し、その後、溶媒を蒸発させた。製品残滓を、まず、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、次に、準分取HPLCで精製した。化合物12−19の解析データは以下の通りである。
(化合物12:(4R,5S,6S)−(ブチリルオキシ)メチル3−(((3S,5S)−1−(((ベンゾイルオキシ)メトキシ)カルボニル)−5−(ジメチルカルバモイル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
白色固体、m/z:662(M+1)。回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ0.92(dd,J=7.5,7.5Hz,3H);1.21(dd,J=2.0,7.5Hz,3H);1.29(d,J=6.5Hz,3H);1.60(m,2H);1.85−1.93(m,1H);2.31(dd,J=7.0,7.0Hz,2H);2.61−2.78(m,2H);2.82(s,1.5H);2.97(s,1.5H);3.04(s,1.5H);3.09(s,1.5H);3.17−3.20(m,1H);3.32−3.45(m,2H);3.58−3.66(m,1H),4.05−4.24(m,3H);4.68−4.75(m,1H);5.81(dd,J=1.0,6.0Hz,1H);5.87−5.91(m,2.5H);6.02(d,J=6.5Hz,0.5H);7.43(dd,J=7.5,7.5Hz,2H);7.57(dd,J=7.5,7.5Hz,1H);8.01−8.07(m,2H)。
13C−NMR(CDCl):δ13.48;17.00;17.02;17.97;21.70;21.74;26.90;34.97;35.62;35.68;35.92;36.10;36.81;36.96;39.94;40.62;44.02;49.37;54.23;54.56;55.59;55.96;56.18;56.27;59.87;59.94;65.89;65.92;72.74;79.39;80.11;80.72;124.89;124.92;128.44;128.95;128.97;129.93;130.01;133.62;149.94;150.26;151.82;152.34;159.21;159.27;165.33;165.38;170.32;170.53;172.03;172.47;172.55。
(化合物13:(4R,5S,6S)−(ベンゾイルオキシ)メチル3−(((3S,5S)−1−(((ブチリルオキシ)メトキシ)カルボニル)−5−(ジメチルカルボマイル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
白色固体、回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ0.92(dd,J=7.0,7.0Hz,3H),1.22(dd,J=7.0,9.0Hz,3H);1.30(dd,J=6.0,6.0Hz,3H);1.58−1.66(m,2H);1.86−1.94(m,1H);2.27−2.35(m,2H);2.58−2.86(m,2H);2.92(s,1.5H);2.95(s,1.5H);3.03(s,1.5H);3.07(s,1.5H);3.17(m,1H);3.32−3.42(m,2H);3.58−3.67(m,1H);3.99−4.13(m,1H);4.15−4.24(m,2H);4.69(ddd,J=8.0,8.0,25.5Hz,1H);5.60−5.66(m,1.5H);5.77(d,J=6.0Hz,0.5H);6.11(ddd,J=2.0,6.0,14.0Hz,2H);7.40−7.45(m,2H);7.53−7.58(m,1H);8.03−8.06(m,2H)。
13C−NMR(CDCl):δ13.47;13.50;17.00;17.92;17.99;21.69;21.76;35.08;35.67;35.74;35.76;35.96;36.09;36.80;36.96;39.97;40.79;44.06;44.12;54.09;54.51;55.60;55.89;56.17;56.26;59.86;59.91;65.84;65.88;80.01;79.37;80.02;80.21;124.79;124.95;128.41;128.83;130.03;133.57;150.23;150.60;151.89;152.37;159.27;159.34;164.93;170.32;170.49;172.45;172.52;172.54;172.55。
(化合物14:(4R,5S,6S)−(ベンゾイルオキシ)メチル3−(((3S,5S)−1−((((シクロブタンカルボニル)オキシ)メトキシ)カルボニル)−5−(ジメチルカルバモイル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
白色固体、m/z:674(M+1)。回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ1.19−1.23(m,3H);1.30(dd,J=6.5,6.5Hz,3H);1.83−1.99(m,3H);2.14−2.32(m,4H);2.64−2.70(m,1H);2.92(s,1.5H);2.95(s,1.5H);3.04(s,1.5H);3.07(s,1.5H);3.11−3.22(m,2H);3.32−3.43(m,2H);3.59−3.67(m,1H);3.99−4.12(m,1H);4.15−4.25(m,2H);4.69(ddd,J=8.5,8.5,23.0Hz,1H);5.61−5.66(m,1.5H);5.76(d,J=5.5Hz,0.5H);6.11(ddd,J=2.0,5.5,19.0Hz,2H),7.40−7.45(m,2H);7.58(m,1H);8.02−8.07(m,2H)。
13C−NMR(CDCl):δ17.00;18.23;18.24;21.67;21.73;24.87;24.92;24.95;25.01;35.09;35.69;35.98;36.11;36.83;36.97;37.58;37.63;39.99;40.78;44.07;44.13;54.07;54.48;55.58;55.90;56.18;56.26;59.85;59.91;65.85;65.89;76.73;76.99;77.25;79.49;80.01;80.39;124.78;124.92;128.41;128.83;130.02;133.56;150.28;150.62;151.88;152.39;159.27;159.33;164.94;170.38;170.53;172.56;172.59;174.26;174.29。
(化合物15:(4R,5S,6S)−(ブチリルオキシ)メチル3−(((3S,5S)−1−((((シクロブタンカルボニル)オキシ)メトキシ)カルボニル)−5−(ジメチルカルバモイル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
白色固体、m/z:640(M+1)。回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ0.93(dd,J=7.0,7.0Hz,3H),1.24(dd,J=7.5,7.5Hz,3H);1.32(dd,J=6.0,6.0Hz,3H);1.61−1.68(m,2H);1.84−2.00(m,3H);2.15−2.31(m,4H);2.34(dd,J=6.5,6.5Hz,3H);2.65−2.71(m,1H);2.93(s,1.5H);2.96(s,1.5H);3.05(s,1.5H);3.09(s,1.5H);3.13−3.23(m,2H);3.33−3.42(m,2H);3.58−3.67(m,1H);4.07(ddd,J=7.0,11.0;42.5Hz,1H);4.17−4.25(m,2H);4.7(ddd,J=8.0,8.0;23.0Hz,1H);5.62−5.67(m,1.5H);5.77(d,J=6.0Hz,0.5H);5.83(d,J=9.0Hz,1H);5.90(d,J=5.5Hz,1H)。
13C−NMR(CDCl):δ13.46;17.03;17.98;18.25;18.28;21.73;21.78;24.90;24.94;24.97;25.04;35.08;35.69;35.98;36.11;36.84;36.99;37.61;37.66;40.01;40.77;44.06;44.11;54.15;54.54;55.57;55.88;56.20;56.26;59.88;59.94;65.90;65.97;79.40;79.41;79.50;80.39;124.96;125.05;149.95;150.23;151.90;152.40;159.22;159.27;170.36;170.50;172.06;172.49;174.28;174.30。
(化合物16:(4R,5S,6S)−((4−フルオロベンゾイル)オキシ)メチル3−(((3S,5S)−5−(ジメチルカルバモイル)−1−((((4−フルオロベンゾイル)オキシ)メトキシ)カルボニル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
白色固体、m/z:732(M+1)。回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ1.21(dd,J=3.0,6.6Hz,3H);1.29(dd,J=3.0,6.6Hz,3H);1.85−1.93(m,1H);2.64−2.71(m,1.5H);2.78−2.83(m,0.5H);2.81(s,1.5H);2.97(s,1.5H);3.03(s,1.5H);3.08(s,1.5H);3.17−3.21(m,2H);3.32−3.45(m,2H);3.58−3.67(m,1H);4.03−4.25(m,2H);4.71(ddd,J=8.5,8.5,21.5Hz,1H);5.87−5.91(m,1.5H);5.90(d,J=5.5Hz,0.5H);6.06(d,J=5.5Hz,1H);6.11(d,J=5.5Hz,1H);7.06−7.14(m,4H);8.02−8.10(m,4H)。
13C−NMR(CDCl):δ17.01;21.72;21.78;26.91;35.01;35.62;35.91;36.11;36.79;36.95;39.96;40.68;44.05;49.37;54.18;54.56;55.64;55.99;56.18;56.23;59.89;59.96;55.99;65.82;65.90;72.77;80.01;80.09;80.75;115.55;115.59;115.67;115.73;115.77;124.87;124.91;125.10;125.13;125.21;125.23;125.26;125.28;132.55;132.64;132.67;132.71;132.74;150.19;150.47;151.83;152.32;159.24;159.29;163.95;164.35;164.44;165.07;167.10;170.29;170.33;170.44;172.55;172.60;172.63。
(化合物17:(4R,5S,6S)−((4−クロロベンゾイル)オキシ)メチル3−(((3S,5S)−1−((((4−クロロベンゾイル)オキシ)メトキシ)カルボニル)−5−(ジメチルカルバモイル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
白色固体、m/z:764(M)。回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ1.20(dd,J=6.5,6.5Hz,3H);1.27(dd,J=6.5,6.5Hz,3H);1.83−1.92(m,1H);2.64−2.71(m,2H);2.81(s,1.5H);2.96(s,1.5H);3.02(s,1.5H);3.08(s,1.5H);3.16−3.19(m,1H);3.32−3.44(m,2H);3.58−3.66(m,1H);4.03−4.24(m,3H);4.71(ddd,J=7.5,7.5,22.0Hz,1H);5.86−5.89(m,1.5H);5.98(d,J=5.5Hz,0.5H);6.04(d,J=5.5Hz,1H);6.11(d,J=5.5Hz,1H);7.37−7.41(m,4H);7.95−7.98(m,4H)。
13C−NMR(CDCl):δ16.99;21.65;21.72;34.95;35.55;35.90;36.09;36.76;36.93;39.86;40.60;44.01;54.18;54.56;55.65;55.99;56.13;56.20;59.89;59.94;65.73;65.78;80.01;80.03;80.13;80.79;124.7;124.77;127.27;127.36;127.43;128.76;128.79;131.28;131.36;131.39;140.03;140.08;140.10;150.31;150.61;151.77;152.25;159.18;159.24;164.07;164.46;164.54;170.27;170.43;172.62;172.68。
(化合物18:(4R,5S,6S)−((3−フルオロベンゾイル)オキシ)メチル3−(((3S,5S)−5−(ジメチルカルバモイル)−1−((((3−フルオロベンゾイル)オキシ)メトキシ)カルボニル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
白色固体、m/z:732(M+1)。回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ1.21(dd,J=7.0Hz,3H);1.28(dd,J=2.0,6.0Hz,3H);1.28−1.95(m,1H);2.65−2.71(m,1H);2.84(s,1.5H);2.97(s,1.5H);3.04(s,1.5H);3.10(s,1.5H);3.18(ddd,J=2.0,7.0,7.0Hz,1H);3.33−3.46(m,2H);3.60−3.68(m,1H);4.04−4.24(m,3H);4.72(ddd,J=8.0,8.0,21.5Hz,1H);5.86−5.89(m,2H);6.01(d,J=5.5Hz,1H);6.07(d,J=5.5Hz,1H);6.12(d,J=5.5Hz,1H);7.23−7.29(m,2H);7.38−7.44(m,2H);7.69−7.73(m,2H);7.82−7.86(m,2H)。
13C−NMR(CDCl):δ17.02;21.68;21.74;35.01;35.60;35.94;36.11;36.12;36.79;36.95;39.93;40.67;44.07;54.18;54.56;55.69;56.01;56.16;56.26;59.89;59.95;65.81;65.85;80.12;80.26;80.90;116.65;116.73;116.76;116.83;116.89;116.91;116.92;116.95;120.58;120.61;120.75;120.78;124.70;124.77;125.70;125.72;125.76;125.80;125.82;130.10;130.14;130.16;130.20;130.95;131.01;131.08;131.13;131.18;150.43;150.75;151.75;152.24;159.19;159.25;161.41;161.44;163.38;163.40;163.82;163.85;164.20;164.29;164.30;164.31;170.28;170.31;170.44;172.56;172.62;172.65。
(化合物19:(4R,5S,6S)−((3−クロロベンゾイル)オキシ)メチル3−(((3S,5S)−1−((((3−クロロベンゾイル)オキシ)メトキシ)カルボニル)−5−(ジメチルカルバモイル)ピロリジン−3−イル)チオ)−6−((R)−1−ヒドロキシエチル)−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシラート)
淡黄色固体、m/z:764(M)。回転異性体の混合物のスペクトルデータ。H−NMR(CDCl):δ1.11(dd,J=7.0,7.0Hz,3H);1.18(dd,J=2.0,6.0Hz,3H);1.75−1.84(m,1H);2.44−2.65(m,2H);2.75(s,1.5H);2.87(s,1.5H);2.94(s,1.5H);2.99(s,1.5H);3.08(ddd,J=2.5,8.0,8.0Hz,1H);3.23−3.36(m,2H);3.50−3.56(m,1H);3.95−4.14(m,3H);4.62(ddd,J=8.0,8.0,23.0Hz,1H);5.76−5.79(m,1.5H);5.91(d,J=6.0Hz,0.5H);5.98(d,J=6.0Hz,1H);6.00(d,J=5.0Hz,1H);7.22−7.29(m,2H);7.41−7.45(m,2H);7.80−7.84(m,2H);7.88−7.91(m,2H)。
13C−NMR(CDCl):δ17.02;21.69;21.77;35.00;35.60;35.96;36.11;36.80;36.95;39.92;40.67;44.07;54.19;54.57;55.69;56.01;56.16;56.24;59.88;59.93;65.82;65.86;80.09;80.28;80.89;124.69;124.75;128.07;128.1;128.17;129.78;129.81;129.86;129.94;129.97;130.59;130.71;130.77;133.57;133.60;134.52;134.57;150.44;150.74;151.72;152.22;159.17;159.24;163.76;164.15;164.23;170.24;170.41;172.48;172.56。
(実施例8:ギニアピッグへのI−A−1の服用後のメロペネムの薬物動態データ)
肺でのメロペネムの濃度を評価するためギニアピッグを選んだ。ヒトの狙った対象である誘導気道への暴露量を最大にするため、気管内(IT)ルートを選んだ。β−ラクタム系抗生物質に緊密に関連し、比較対象として唯一認められた吸引抗生物質であるアズトレオナムを持ちて服用量の選択肢を計算した。アズトレオナムのヒトでの服用量は75mgを1日3回(225mg/日)、又は3.75mg/kgを毎日(ヒトの体重を60kgと仮定した場合)であり、これを425グラムのギニアピッグの体重で調整するとメロペネムの服用量は1.6mgとなる。分子量の差を考慮して0.55倍すると、化合物I−A−1(メロペネムプロドラッグ)の服用量は動物毎に2.9mgとなった。メロペネムの溶液8.0mg/mL(元化合物なし)又はITマイクロスプレーを用いて実施例3に従ってMPPとして製剤化されている化合物I−A−1の懸濁液14.5mg/mL(メロペネム8.0mg/mLと等価)を単回服用で動物に与えた。服用体積は動物ごとに0.2mLであった。メロペネムとプロドラッグの生体解析のために、指定の時間(0.083、0.25、0.5、1、3、6、9、及び12時間)で、肺を除去し、急速冷凍し、ホモゲナイズした。各時間点の各群毎に3匹を試験した。薬剤濃度をタンデム質量分析法により求めた。
図7は、本発明に係る化合物I−A−1及びメロペネムのIT服用後の薬物動態プロファイル、並びに、メロペネムプロドラッグ且つMPPである化合物I−A−1の投与後のメロペネム水準を示す。
ギニアピッグでの研究の結果は、実施例3に記載のように表面改変剤で被覆された複数の粒子として製剤化された化合物I−A−1のMPPの投与後に生じた肺でのメロペネムの水準が、時間をおって維持され、フリーメロペネムの溶液由来のメロペネムと比べて、ギニアピッグ肺では長い持続時間を有していたことを示している。
(等価範囲)
請求項で、『a』、『an』、及び『the』などの冠詞は、反対の記載があったり又は文脈から明らかでない限り、1つ又は1つより多いことを意味し得る。あるグループの1つ以上の要素の間に『or』が含まれる請求項又は明細書の記載は、グループの要素の1つ、1つより多く、又は全てが、ある製品又は工程に、存在し、用いられ、又はその他関連している場合、反対の記載があったり又は文脈から明らかでない限り、充足されるものとみなされる。本発明は、あるグループのちょうど1つの要素が、ある製品又は工程に、存在し、用いられ、又はその他関連している実施形態を包含する。本発明は、あるグループの要素の1つより多く又は全てが、ある製品又は工程に、存在し、用いられ、又はその他関連している実施形態を包含する。
さらに、本発明は、1つ以上の限定事項、要素、節、及び記述用語を、列記の請求項の1つ以上から別の請求項に導入して得られる、全ての変形例と順列組み合わせを包含する。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項を、同じ請求項に従属している別の請求項にある1つ以上の限定事項を含むように修正することができる。例えば、マーカッシュ形式で、要素が列記されている場合、要素からなる各サブグループも開示され、グループから任意の要素を除くことができる。通常、本発明又は本発明の態様が、特定の要素及び/又は特徴を含むものとして参照される場合、本発明又は本発明の態様のある実施形態は、その要素及び/又は特徴からなる又はそれらから実質的になるものであることを理解されたい。簡略化のために、上述の実施形態は本願明細書では厳密には正確に記載されていない。『comprising』及び『containinng』という用語は、開放的であることを意図しており、追加の要素又は工程を含むことを許容することは注目に値する。範囲を記載する場合、その両端も含まれる。さらに、特記のない限り又は文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲で示された数値は、文脈が明確に別のことを示しているのでないかぎり、範囲の下限の単位の十分の一まで、記載された範囲内に含まれる任意の特定の値又は副範囲を本発明の異なる実施形態として取り得る。
本出願では、様々な交付済み特許、公開された特許出願、学術論文、及び他の刊行物を参照しているが、これらの内容を参照により本明細書で援用する。援用した引用文献と本明細書とが矛盾した場合、本明細書が優先される。さらに、先行技術に包含される本発明の特定の実施形態は、請求項の1つ以上から明示的に排除してもよい。こうした実施形態は当業者にとって周知であると考えられるので、本明細書中で排除することを明白に記載していなくても、これらの実施形態を排除してよい。本発明に係る特定の実施形態を、どんな理由でも、先行技術との関連があろうとなかろうと、任意の請求項から排除できる。
当業者であれば、ルーチンに過ぎない実験を用いて、本明細書に記載の個別の実施形態の様々な等価物を理解し又は求めることができるだろう。本明細書に記載の実施形態の範囲は、上述の記載に限定されることを意図するわけではなく、むしろ請求項に記載された通りである。当業者であれば、請求項に定義されているような本発明の精髄又は範囲を離れることなく、この記載に種々の変更や修正を行うことができることを理解するだろう。
(関連出願)
本出願は、合衆国法典第35編第119条(e)に基づき、2013年3月15日に出願された、発明の名称を『メロペネム誘導体及びその使用』とする、米国仮出願第61/789335号の優先権の利益を主張する。当該仮出願の内容を参照により本明細書で援用する。
(政府資金援助)
本発明は、アメリカ国立衛生研究所に属する国立心肺血液研究所による助成金第1R43HL106899−01号に基づく政府援助によりなされた。合衆国政府は本発明に関して一定の権利を有する。



  1. 以下の式(I)、
    (I) で示される化合物、又はその薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体であって、
    は単結合又はなしであり、
    は単結合又は二重結合であり、
    は、置換若しくは非置換脂肪族、置換しくは非置換カルボシクリル、置換しくは非置換アリール、又は置換しくは非置換ヘテロアリールであり、
    は、−C(=O)−N(Me)、−CH−NH−S(=O)−NH
    、=NH、又は
    であり、
    は、置換若しくは非置換脂肪族、置換しくは非置換カルボシクリル、置換しくは非置換アリール、又は置換しくは非置換ヘテロアリールであり、
    は水素又はメチルであり、且つ
    が非置換C脂肪族である場合、Rは非置換C−C12脂肪族、置換脂肪族、置換若しくは非置換カルボシクリル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである)。

  2. は置換又は非置換の6−14員アリールである、請求項1に記載の化合物。

  3. は置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。

  4. は非置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。

  5. は置換又は非置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。

  6. は置換C1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。

  7. は非置換C1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。

  8. は置換3−7員単環式カルボシクリルである、請求項1に記載の化合物。

  9. は非置換3−7員単環式カルボシクリルである、請求項1に記載の化合物。

  10. は置換又は非置換の6−14員アリールである、請求項1に記載の化合物。

  11. は置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。

  12. は非置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。

  13. は置換又は非置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。

  14. は置換C1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。

  15. は非置換C1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。

  16. は置換3−7員単環式カルボシクリルである、請求項1に記載の化合物。

  17. は非置換3−7員単環式カルボシクリルである、請求項1に記載の化合物。

  18. 前記化合物は以下の式(I−A)
    (I−A)
    のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である、請求項1に記載の化合物。

  19. 以下の式(I−A−1)、
    (I−A−1)
    の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体。

  20. 前記化合物は以下の式(I−B)
    (I−B)
    のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である、請求項1に記載の化合物。

  21. 前記化合物は以下の式(I−C)
    (I−C)
    のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である、請求項1に記載の化合物。

  22. 前記化合物は以下の式(I−D)
    (I−D)
    のもの、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体である、請求項1に記載の化合物。

  23. 請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体、及び、任意に、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。

  24. 請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を含むコアと、
    前記コアを囲む表面改変剤からなる被膜であって、前記表面改変剤は(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)の構成を有するトリブロックコポリマーであり、前記表面改変剤は前記コアの外表面上にnm毎に少なくとも0.01の密度で存在する、皮膜と、
    任意で、薬学的に許容される賦形剤と、
    を含む複数の粒子を含む医薬組成物。

  25. 請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を含むコアと、
    前記コアを囲む表面改変剤からなる被膜であって、前記表面改変剤は少なくとも約1kDa且つ約1000kDa以下の分子量を有し、少なくとも約30%且つ約95%未満が加水分解されている、ポリマー骨格上にペンダント水酸基を有する合成ポリマーであり、前記表面改変剤は前記コアの外表面上にnm毎に少なくとも0.01の密度で存在する、被膜と、
    任意で、薬学的に許容される賦形剤と、
    を含む複数の粒子を含む医薬組成物。

  26. 前記コアの平均サイズが約50nmから約1μmの範囲にある、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  27. 被覆された前記粒子の平均サイズが約50nmから約1μmの範囲にある、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  28. 被覆された前記複数の粒子の平均最小横断寸法が約50nmから約1μmの範囲にある、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  29. 前記コア及び/又は被覆された前記粒子の多分散性指数は約0.2未満、約0.15未満、約0.1未満、又は約0.05未満である、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  30. 前記化合物、又は、その薬学的に許容される塩は、前記コアの少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%を構成する、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  31. 前記化合物、又は、その薬学的に許容される塩の水溶性は、25℃で、1mg/mL未満、0.1mg/mL未満、又は0.01mg/mL未満である、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  32. 前記表面改変剤は、前記医薬組成物の約0.05重量%から約5重量%の間の量で前記医薬組成物中に存在する、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  33. 前記表面改変剤は前記コアに共有結合的に結合している、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  34. 前記表面改変剤は前記コアに非共有結合的に吸収されている、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  35. 前記表面改変剤は、nm毎に少なくとも約0.01、少なくとも約0.03、少なくとも約0.1、少なくとも約0.3、少なくとも約1、少なくとも約3、少なくとも約10、又は少なくとも約30の密度で、前記コアの外表面上に存在する、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  36. 前記ポリマーは前記トリブロックコポリマーの骨格上にペンダント水酸基を含む、請求項25に記載の医薬組成物。

  37. 前記トリブロックコポリマーの少なくとも1つの親水性ブロックはポリ(エチレングリコール)を含む、請求項24に記載の医薬組成物。

  38. 前記トリブロックコポリマーの疎水性ブロックはポリ(プロピレンオキシド)である、請求項24に記載の医薬組成物。

  39. 前記トリブロックコポリマーはポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレングリコール)である、請求項24に記載の医薬組成物。

  40. 前記ポリマーは、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、少なくとも約90%が加水分解されている、請求項25に記載の医薬組成物。

  41. 前記ポリマーは、約95%未満、約90%未満、又は約80%未満が加水分解されている、請求項25に記載の医薬組成物。

  42. 前記トリブロックコポリマーの2つの前記親水性ブロックが、前記トリブロックコポリマーの少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、及び/又は、前記トリブロックコポリマーの約80重量%未満を構成する、請求項24に記載の医薬組成物。

  43. 前記トリブロックコポリマーの各ブロックの分子量は、独立して、少なくとも約1.8kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約2.5kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、又は少なくとも約5kDaである、請求項24に記載の医薬組成物。

  44. 前記トリブロックコポリマーの前記疎水性ブロックの分子量は、少なくとも約2kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、若しくは少なくとも約6kDa、及び/又は、約20kDa未満、約10kDa未満、若しくは約8kDa未満である、請求項24に記載の医薬組成物。

  45. 前記トリブロックコポリマーの分子量は、少なくとも約2kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約50kDa、少なくとも約80kDa、少なくとも約100kDa、又は少なくとも約120kDaである、請求項24に記載の医薬組成物。

  46. 前記トリブロックコポリマーの分子量は、約200kDa未満、約180kDa未満、約150kDa未満、約130kDa未満、約100kDa未満、約80kDa未満、約50kDa未満、又は約30kDa未満である、請求項24に記載の医薬組成物。

  47. 前記疎水性ブロックの分子量は少なくとも約2kDaであり、2つの前記親水性ブロックは前記トリブロックコポリマーの少なくとも約15重量%を構成する、請求項24に記載の医薬組成物。

  48. 前記トリブロックコポリマーはポロキサマーである、請求項24に記載の医薬組成物。

  49. 前記トリブロックコポリマーはPLURONICS(登録商標)F127である、請求項24に記載の医薬組成物。

  50. 前記化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体は、ポリマー、脂質、タンパク質、又はこれらの組み合わせ中にカプセル化されている、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  51. 抗真菌剤、抗原虫剤、抗細菌剤、抗ウィルス剤、抗炎症剤、抗増殖剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される医薬剤をさらに含む、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  52. 前記医薬組成物は患者への吸引投与に適している、請求項24又は25に記載の医薬組成物。

  53. 前記医薬組成物は気道疾患を治療するためのものである、請求項52に記載の医薬組成物。

  54. 前記患者はヒトである、請求項52に記載の医薬組成物。

  55. 前記気道疾患は気道感染症である、請求項53に記載の医薬組成物。

  56. 前記気道感染症は気管支炎又は肺炎である、請求項55に記載の医薬組成物。

  57. 前記気道感染症はシュードモナス種により引き起こされる、請求項55に記載の医薬組成物。

  58. 前記気道感染症はシュードモナス・アエルギノーサにより引き起こされる、請求項55に記載の医薬組成物。

  59. 前記気道疾患は嚢胞性線維症である、請求項53に記載の医薬組成物。

  60. 前記被膜なしのコアとして投与した時の前記化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体の暴露量と比べて、前記医薬組成物として投与された時に、前記化合物又はその薬学的に許容される塩の暴露量を少なくとも10%だけ増加させるのに十分な量で、前記コア上の前記被膜は存在する、請求項53に記載の医薬組成物。

  61. 前記被膜なしのコアとして投与した時の前記患者中の前記化合物の濃度と比べて、前記医薬組成物として投与された時に、前記患者中の前記化合物の濃度を少なくとも10%だけ増加させるのに十分な量で、前記コア上の前記被膜は存在する、請求項53に記載の医薬組成物。

  62. 請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、又は、請求項26から61のいずれか1項に記載の医薬組成物と、
    前記化合物、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識誘導体、又は前記医薬組成物を投与するため指示書と、
    を含むキット。

  63. 治療を必要とする患者の気道疾患を治療する方法であって、
    治療有効量の、請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物、若しくは薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体、又は請求項23から61のいずれか1項に記載の医薬組成物を、前記患者に吸引投与する工程、
    を含む方法。

  64. 前記吸引投与工程は、独立して、前記化合物、又は、薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体を、前記患者の体重1kg毎に、少なくとも約0.003mg、少なくとも約0.01mg、少なくとも約0.03mg、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約1mg、少なくとも約3mg、少なくとも約10mg、又は少なくとも約30mg含む服用を1回以上投与する工程を含む、請求項63に記載の方法。

  65. 前記吸引投与工程は、連続した服用の間に、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約36時間、又は少なくとも約48時間の期間をあけて、2回以上の服用を投与する、請求項63又は64に記載の方法。

  66. 投与後少なくとも12時間の間、前記患者において、前記化合物又はその活性代謝産物の有効水準を維持する工程をさらに含む、請求項63に記載の方法。

  67. 前記患者はヒトである、請求項63に記載の方法。

  68. 前記気道疾患は気道感染症である、請求項63に記載の方法。

  69. 前記気道感染症は気管支炎又は肺炎である、請求項68に記載の方法。

  70. 前記気道感染症はシュードモナス種により引き起こされる、請求項68に記載の方法。

  71. 前記気道感染症はシュードモナス・アエルギノーサにより引き起こされる、請求項68に記載の方法。

  72. 前記気道疾患は嚢胞性線維症である、請求項63に記載の方法。

  73. 前記被膜なしのコアとして投与した時の前記化合物、又は、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、若しくは同位体標識誘導体の暴露量と比べて、前記医薬組成物として投与された時に、前記化合物又はその薬学的に許容される塩の暴露量を少なくとも10%だけ増加させるのに十分な量で、前記コア上の前記被膜は存在する、請求項63に記載の方法。

  74. 前記被膜なしのコアとして投与した時の前記患者中の前記化合物の濃度と比べて、前記医薬組成物として投与された時に、前記患者中の前記化合物の濃度を少なくとも10%だけ増加させるのに十分な量で、前記コア上の前記被膜は存在する、請求項63に記載の方法。

  75. 式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の製造法であって、
    式(i−A)の化合物又はその塩を、式(i−B)の化合物と反応させ、式(i−C)又はその塩の化合物を得る工程と、

    前記式(i−C)の化合物又はその塩を、塩基及び式(i−D)の化合物と反応させて、前記式(I)の化合物、その薬学的に許容される、塩、溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、互変異性体、立体異性体、又は同位体標識誘導体を得る工程と、

    (但し、Rは電子求引基であり、Rは脱離基である)を含む製造法。

  76. は、
    であり、
    nは1又は2である、請求項75に記載の製造法。

  77. は、Cl、Br、I、又は−OS(=O)E1であり、
    wは1又は2であり、
    E1は、置換又は非置換脂肪族、置換又は非置換カルボシクリル、置換又は非置換ヘテロシクリル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換ヘテロアリールである、請求項75に記載の製造法。

 

 

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