医学的状態の治療のためのクロマチン修飾因子の標的化

 

幹細胞自己再生の速度の低下に関連する、または幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態の治療のための方法及び組成物が提供される。本発明の態様は、例えば、H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質の有効量を投与することによって、細胞中のH2A脱ユビキチン化酵素活性を阻害することを含む。幹細胞自己再生の速度の低下に関連する、または幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態の治療のための治療薬を同定するためのスクリーンも提供される。

 

 

本発明は、幹細胞自己再生の速度の減少に関連する医学的状態または幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態の治療におけるクロマチン修飾因子の使用に関する。
ダウン症候群(DS)は、ヒトにおける最も一般的な遺伝子異常であり、大半は染色体21の完全なまたは部分的な三染色体性の結果である。これは、心臓障害、運動機能、及び認知障害、固形腫瘍の発生率の低下、ならびにアルツハイマー病などの老化関連の事象の早期発症及びより高い発生率の両方を含める複数の病理学的状態の高リスクに関連する複雑な臨床症候群である(Antonarakis,S.E.,et al.Chromosome 21 and Down’s syndorome:from genomics to pathophysiology.Nat.Rev.Genet.5,725−738(2004)、Yang,Q.,et al.Mortality associated with Down’s syndrome in the USA from 1983 to 1997:a population−based study.Lancet 359,1019−1025(2002)、Satge,D.et al.A tumor profile in Down’s syndrome.Am.J.Med.Genet.78,207−216(1998)、Roth,G.et al.Premature aging in persons with Down’s syndrome:MR findings.AJNR Am J Neuroradiol 17,1283−1289(1996)、Carmeliet,G.,et al.Cellular ageing of Alzheimer’s disease and Down’s syndrome cells in culture.Mutat.Res.256,221−231(1991)、Zigman,W.B. et al.Alzheimer’s disease in Down’s syndrome:neurobiology and risk.Ment Retard Dev Disabil Res Rev 13,237−246(2007))。
米国特許出願公開第2012/0258975号明細書
ダウン症候群は、組織特異的幹細胞自己再生の速度における減少に関連し、及び/または組織特異的幹細胞自己再生の速度を増加させることによって治療される多くの医学的状態のうちの1つである。必要とされるのは、これらの状態の症状を緩和するためのより良い方法及び治療薬である。本開示はこれらの課題に対処する。
幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、かつ幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態の治療のための方法及び組成物が提供される。本方法の態様は、例えば、H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質の有効量を投与することにより、細胞中のH2A脱ユビキチン化酵素活性を阻害することを含む。
幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、かつ幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態の治療のための治療薬を同定するためのスクリーニングも提供される。
本発明は、添付の図面と併せて読み取られる場合は、以下の詳細な説明からさらに深く理解される。一般的な実践に従って、図面の種々の特徴は、スケールによらないことが強調される。一方、種々の特徴物の寸法は、明確にするために任意に拡大または縮小されている。図面内に含まれるものは以下の図である。
Ts65Dnマウスは、不完全な造血幹細胞(HSC)を有し、マウスDSモデルの概要図を示す。Ts65Dn及びTs1Cjeは、双方ともに、ヒト染色体21に相同なマウス染色体16の領域を三染色体性で含有する。Ts65Dnマウスは、三染色体性の132個の遺伝子を有し、一方Ts1Cjeマウスはこれらの1つのサブセットのみを有する。 DSマウスモデルからの骨髄のフローサイトメトリー分析を示す。細胞は生KLS上にゲートされる。青色の囲み線は、HSCに対して非常に富化されている、KLS CD150+ CD48- 細胞(上段)またはKLS CD34- Flt3- 細胞(下段)の発生頻度を示す。各遺伝子型からの代表的な分析を示す。これらの結果は、少なくとも4回繰り返され、同様な結果であった。 休止状態の幹細胞に対して非常に富化されたCD34- CD150+ CD48- KLS細胞のパーセンテージを、このグラフで示す。結果は、各群当たりFACSによって分析された少なくとも4匹のマウスの平均値である。Ts65Dnマウスは、これらの細胞の数において有意な減少を示す(p<0.005)。 Methocult中で増殖させた単一のCD34- CD150+ CD48- KLS細胞からのコロニー形成アッセイを示す。コロニーの数を1週間後に集計した。数は、平板培養された細胞の数に対する陽性細胞のパーセンテージとして示している。実験は少なくとも3回繰り返された(p<0.005)。 DSマウスモデルからの骨髄の限界希釈解析法。このグラフは、異なるマウスにおける推定された幹細胞発生頻度を視覚的に示す(データは、ELDAソフトウェア、Walter−Eliza Hall bioinformaticsを用いて作成された)。Ts65DnマウスはHSCの減少した発生頻度を有するが、Ts1Cjeマウスは有さないことに留意されたい。右側の、上部パネルは、HSCの推定発生頻度を示し、一方、下部パネルは、差のペアワイズ検定についての計算されたp値(**p<0.01)を示す。2つの独立した実験を、遺伝子型当たり合計15匹のマウスで行った。 骨髄細胞の二次移植を示す。一時移植動物に由来する500万個の骨髄細胞を、二次レシピエント内に移植した。生着を毎月、末梢血液分析によって評価した。グラフは、移植後3ヶ月目のCD45.2+ ドナー細胞のパーセンテージを示す(p=0.0447)。実験は、異なるドナーマウスを用いて2回繰り返した。 USP16を標的化するshRNAのTs65Dn造血幹細胞に及ぼす効果を示し、定量的リアルタイムPCRを用いて、野生型(黒)及びTs65Dn(灰色)のCD34- CD150+ CD48- KLS細胞におけるUsp16のmRNAの発現レベルを測定した。2つの独立したプローブは同様な結果を示している。 Lys119上のH2Aのユビキチン化型に対するモノクローナル抗体を用いる免疫蛍光法は、野生型(上段)CD34- CD150+ CD48- KLS細胞と比較して、Ts65Dn細胞(下段)中の陽性細胞増殖巣の数における減少を示している。矢印は、1つの代表的な画像における細胞増殖巣を示す。右側には、細胞当たりの観察されたユビキチンH2A細胞増殖巣の数を示す(100個の細胞が、2つの別々の実験で分析された)。 定量的リアルタイムPCRを用いて、2つの独立したヘアピンを用いるレンチウイルス感染によって達成されるノックダウンのレベルを確認した。USP16の発現は、野生型細胞のものと同様なTs65Dn細胞中のレベルを達成するように減少する。 2つの独立したshRNAによるUsp16のノックダウンは、Ts65Dn HSCのインビトロコロニー形成の欠陥を部分的に救済する。対照またはUSP16を標的化する2つの独立したshRNAで形質導入された単一のCD34- CD150+ CD48- KLS Ts65Dn細胞のコロニー形成能力を、Methocult中で平板培養後1週間目に評価した。両USP16 shRNAは、Ts65Dn細胞のコロニーを形成する能力を増強するが、対照shRNAは増強しないことに留意されたい。実験は、3回繰り返され、同様な結果であった。 shRNAによるUSP16のノックダウンは、幹細胞及び前駆細胞の生着能力を部分的に回復する。ドナーKLS細胞の2つの異なる用量を、骨髄移植実験において使用した。左側パネルは、shC(黒線)またはshUSP16ヘアピン(灰色線)で形質導入されたTs65Dn KLSの生着を示す。右側パネルは、それぞれの形質導入集団の計算された幹細胞の頻度を示す(p=0.004、ELDAソフトウェア、Walter−Eliza Hall bioinformaticsを用いて計算)。これらの実験は、群当たり合計14匹のマウスで2回行い、同様な結果であった。 骨髄細胞の二次移植。移植動物由来の500万個の骨髄細胞を、二次レシピエントに移植した。生着を毎月評価した。グラフは、移植後2ヶ月目のCD45.2+ ドナー細胞のパーセンテージを示す(p=0.0015)。実験は、数匹のドナーマウスを用いて2回繰り返された。 Ts65Dnマウスは、不完全な神経前駆細胞を示すが、Ts65Dn/Usp16het マウスは示さない。SVZに由来するLin- 細胞の系列希釈分析法。ELDA分析は、左側パネルにおいて継代1(P1)について、右側パネルにおいて継代4(P4)について示している。表は、指示された条件において推定されたNsp−IC発生頻度を示し、これはTs65Dnマウスでは顕著に減少するが、Ts65Dn/USP16het マウスでは減少しない。 連続継代後のNsp−IC発生頻度における変化。Ts65Dn由来のニューロスフェアは、Ts65Dn/Usp16het ニューロスフェアと比べて4継代後に発生頻度における有意な減少を示す(p=0.0294)。 Sox2のmRNAレベルの減少が、P1及びP4で採取されたTs65DnニューロスフェアのqPCR分析によって観察され、これはTs65Dn/USP16het 細胞において救済される。 SVZから単離されたLin- 細胞の限界希釈分析法であり、CD133+ EGFR+ (左)またはCD15+ EGFR+ (右)に分類されたものである。表は、指示された分類群についての推定発生頻度を示す。Ts65Dnマウスは、Nsp−ICの発生頻度を減少した。 ニューロスフェア形成能を、二次スフェア形成によってアッセイした。Ts65Dnマウスは、野生型またはTs65Dn/USP16het マウスと比べてニューロスフェアの継代を維持するための有意に低い能力を有した(*** p<0.001)。それぞれの実験は、遺伝子型当たり最小で3匹のマウスで行われた。 Ts65Dnマウスにおける乳腺変化は、Usp16のレベルに依存する。定量的リアルタイムPCRを用いて、CD49highCD24med 細胞中のUsp16 mRNAのレベルを野生型(黒)及びTs65Dn(灰色)において測定した。 Ts65Dnマウスは、乳腺Lin- 細胞の数において顕著な減少を有したが、Ts1Cjeマウスは示さなかった。この分析は、各群について少なくとも5匹の動物を含む(p=0.0118)。 サイトケラチンについての免疫蛍光染色を示す。野生型、Ts65Dn及びTs1Cjeの乳腺を、基底細胞サイトケラチンCK14(赤)及び管腔細胞サイトケラチンCK8(緑)に対する抗体で染色した。 野生型、Ts65Dn及びTs1Cjeマウスから単離された1000個のMRU細胞のインビトロ増殖を示す。Ts65Dn細胞は、その野生型対応物と比較して有意に少ないコロニーを形成するが、Ts1Cjeは形成しない(wt/Ts65Dnについてのp値=0.0001)ことに留意されたい。この結果は、5回以上にわたって繰り返され、同様な結果を有した。 乳腺を再構築する細胞の発生頻度を示す。インビボで乳腺管を発生させることができる野生型、Ts65Dn及びTs65Dn/Usp16het の乳腺上皮細胞の発生頻度を決定するために、限界希釈移植実験を行った。再構築細胞の顕著な減少はTs65Dnマウスにおいてのみ存在することに留意されたい。発生頻度は、L−calcプログラム、Stem Cell Technologyを用いて決定した(*** p<0.001;**p<0.01)。3つの独立した実験を行い、そのうちの2つはTs65Dn/Usp16het について行った。 shRNAレンチウイルス感染によるUSP16のダウンレギュレーションは、Ts65Dnの乳腺細胞によって示されるインビボ欠損を部分的に救済する(p=0.03)。shC及びshUSP16感染Ts65Dn乳腺上皮細胞がインビボで乳管を発生させる能力を決定するために、限界希釈移植実験を行った。3つの独立した実験を行った。右側に、GFP−shCまたはGFP−shUSP16レンチウイルスで形質導入されたTs65Dnの乳腺上皮細胞によって形成された乳腺突出物の面積定量化が示されている(p=0.007)。 増殖及び老化は、Ts65Dn線維芽細胞中のUSP16によって制御される。継代中のMEFにおけるp16Ink4a 及びp19Arf mRNAの発現を示す。発現レベルにおける変化をP7まで示している。 野生型及びTs65DN MEF中のP4におけるSA−βガラクトシダーゼ染色を示す。代表的な写真を示している。陽性細胞のパーセンテージを右側に示す。実験は、遺伝子型当たり3つの異なるMEF系で繰り返された(p=0.001)。 MEFクロマチンサンプルのH2AUb抗体による沈殿時の6つのInk4遺伝子座上のChIP分析を示す。分析は、遺伝子型当たり2つの異なるMEF培養物で少なくとも2回行った。値は、投入クロマチンの量について正規化した。対照として、アクチンBレベルを試験した。 Ts65Dn細胞によるInk4a/ArfのUsp16正規化発現のダウンレギュレーションを示す。感染MEF中の継代6までのp16Ink4a 及びp19Arf の発現レベルを示す。レンチウイルスダウンレギュレーション時のUsp16のレベルも示す。 野生型、Ts65Dn、Ts65Dn/USP16het 、及びUSP16het マウスに由来するTTFの増殖を示す。細胞を継代2で播種し、トリパンブルー排除法によって、隔日に計数した。Ts65Dn TTFはインビトロで増殖することができないが、一方Ts65Dn/USP16het TTFは増殖することができる。少なくとも3つの異なる系統を各条件について用いた。 野生型、Ts65Dn、Ts65Dn/USP16het 、ならびにUSP16het マウスに由来するTTF培養物中、またはp16/p19を標的化するヘアピンで感染させた野生型ならびにTs65Dn TTF中のSA−βガラクトシダーゼ陽性細胞を示す。細胞はP3で分析した。野生型に比べてTs65Dn TTFにおいて陽性細胞の増加が存在するが、一方表現型はTs65/USP16het TTFにおいて回復することに留意されたい。(*** p<0.001;**p<0.01)。 p16の発現を、免疫蛍光法によって陽性とテストされた細胞のパーセンテージとして示す。p16及びp19に対するショートヘアピンで同時形質導入された野生型及びTs 65DnのTTFは、想定通りに陰性である(**p<0.01;* p<0.05)。 p16/p19を標的化するヘアピン種で感染させたTs65DnのTTFの増殖。野生型のTTFもまた、p16/p19のダウンレギュレーション時により多く増殖する。この実験は、3回繰り返され、同様な結果を有した。 ヒトDS線維芽細胞は、USP16のレベルに依存する増殖不全を示す。3つの野生型及び4つのDSヒト線維芽細胞(培養において10継代未満)の増殖分析は、インビトロで増殖するためのDS細胞の急激な不能性を示す(**p<0.01)。 SA−βガラクトシダーゼ及びp16の発現を、染色された細胞のパーセンテージとして示す。全てのドットは、異なる個体から単離された線維芽細胞を表す。DS細胞は、老化マーカーのSA−βガラクトシダーゼ及びp16のより高い発現を呈する。 SA−βガラクトシダーゼ及びp16の発現を、染色された細胞のパーセンテージとして示す。全てのドットは、異なる個体から単離された線維芽細胞を表す。DS細胞は、老化マーカーのSA−βガラクトシダーゼ及びp16のより高い発現を呈する。 レンチウイルス感染によるUSP16の過発現は、2つの異なる野生型線維芽細胞系の増殖に影響を及ぼす(時間点当たり3回の繰り返しで、実験を2回繰り返した)。 DS線維芽細胞中のUSP16のダウンレギュレーションは、増殖を促進する(時間点当たり3回の繰り返しで、実験を2回繰り返した)。 USP16の過発現は、ヒト成人SVZ細胞に由来のニューロスフェアの形成を低減する。右側パネルは、第1及び第2継代におけるスフェアの数を定量化する。p=0.0001。全ての実験は、少なくとも2回繰り返した。Luc、ルシフェラーゼを示す。 DSマウスモデルの骨髄生着を示す。致死的照射C57Bl6マウス(CD45.1)に、野生型またはTs65Dnマウス(H2K対立遺伝子についてマッチングさせた)5×105 個のCD45.2骨髄細胞を移植し、これと一緒に3×105 個のCD45.1細胞(遺伝子型当たり5匹のマウス)を移植した。キメラ性のパーセンテージを、指示した時間点bで評価した。骨髄移植後4ヶ月目の末梢血液分析は、500,000個のドナー細胞のみで、Ts65Dnマウスにおけるマルチネージ生着を示した。 Ts65Dnドナー骨髄のより低い用量は、造血幹細胞系統を再構成することに失敗した。代表的なFACSプロットを示す。マウスは、各造血細胞系統(B細胞(B220+ )、T細胞(CD3+ )及び骨髄系細胞(Gr1+ Mac1+ )に対して、末梢血液の少なくとも1%がドナーに由来するとき、生着について陽性であるとみなされた。 Ts65Dnドナー骨髄のより低い用量は、造血幹細胞系統を再構成することに失敗した。代表的なFACSプロットを示す。マウスは、各造血細胞系統(B細胞(B220+ )、T細胞(CD3+ )及び骨髄系細胞(Gr1+ Mac1+ )に対して、末梢血液の少なくとも1%がドナーに由来するとき、生着について陽性であるとみなされた。 Ts65Dnドナー骨髄のより低い用量は、造血幹細胞系統を再構成することに失敗した。代表的なFACSプロットを示す。マウスは、各造血細胞系統(B細胞(B220+ )、T細胞(CD3+ )及び骨髄系細胞(Gr1+ Mac1+ )に対して、末梢血液の少なくとも1%がドナーに由来するとき、生着について陽性であるとみなされた。 Ts65Dnドナー骨髄のより低い用量は、造血幹細胞系統を再構成することに失敗した。代表的なFACSプロットを示す。マウスは、各造血細胞系統(B細胞(B220+ )、T細胞(CD3+ )及び骨髄系細胞(Gr1+ Mac1+ )に対して、末梢血液の少なくとも1%がドナーに由来するとき、生着について陽性であるとみなされた。 失敗したTs65Dn骨髄細胞は、二次レシピエントを再構成することができない。致死的照射C57Bl6マウスにおける移植された一次レシピエントからの骨髄の移植後3ヶ月目の末梢血液の多系統分析を示す。Ts65Dn細胞は、二次レシピエントにおいて増殖することができない。代表的なFACSプロットを示す。 Ts65Dnマウス中のHSCは、H2Aユビキチン化のより低いレベルを有する。Lys119上のH2Aのユビキチン化型に対するモノクローナル抗体を用いる免疫蛍光法は、野生型と比べてTs65Dn細胞に由来するMEF中の陽性細胞増殖巣の数における減少を示す。左側に、遺伝子型の総合的な結果を示す。右側では、各ドットは異なる細胞を表し、各カラムは異なるマウスを表す。毎群100個の細胞を分析し、実験は2回繰り返した。 全H2AUb+染色の半定量化は、野生型のMEFと比べてTs65Dnで減少する。 MEFからのクロマチン抽出物のウェスタンブロット分析を示す。H2AUbレベルは、Ts65Dnで減少する(定量化は、ImageJソフトウェアを用いて行った)。H2Aのウェスタンブロットは、抽出物の等しい負荷を確認するために用いられた。 USP16のダウンレギュレーションは、一次及び二次移植におけるTs65DnのKLSの生着を改善する。骨髄移植後4ヶ月目の末梢血液分析は、shUSP16ヘアピンで感染させたTs65 KLSからのマルチネージ生着を示した。代表的なFACSプロットを示す。 二次レシピエント中、移植後2ヶ月目に、shCTs65Dnの骨髄細胞は、生着に失敗するが、一方shUSP16 Ts65Dn細胞は多系統再構成を示す。代表的なFACSプロットを示す。 SVZ単一細胞懸濁液の分類スキーム。代表的FACSプロットを、SVZ調製物に由来する可視Lin- 細胞について示す。上側はCD15及びEGFRの異なるLin- 細胞中の発現を示す。下側は、CD133(Prom1)及びEGFRの発現を示す。二重陽性細胞を分類し、ニューロスフェア形成能をテストするために使用した。 DSマウスモデルにおける乳腺中の欠損を示す。定量的リアルタイムPCRを用いて、CD49highCD24med細胞中の異なるHoxのmRNA発現レベルを野生型(白)及びTs65Dn(黒)において測定した。Hox1、Hox3及びHox5は、Ts65Dn細胞中でより高く発現される。 乳腺細胞の単一細胞懸濁液を、FACSによって分析し、生Lineage−細胞(Ter119- 、CD45- 、CD31- )上にゲートした(第1列)。第2列は、CD49f及びCD24について染色されたLin−細胞を示す。Ts65Dnマウスにおいては、基底細胞及び管腔細胞(示したゲート)の減少を伴い、全FACSプロファイルにおける動揺を観察したが、Ts1Cjeマウスでは観察されなかった。これらの実験は、各群について少なくとも5回繰り返した。 乳腺細胞の単一細胞懸濁液を、FACSによって分析し、生Lineage−細胞(Ter119- 、CD45- 、CD31- )上にゲートした(第1列)。第2列は、CD49f及びCD24について染色されたLin−細胞を示す。Ts65Dnマウスにおいては、基底細胞及び管腔細胞(示したゲート)の減少を伴い、全FACSプロファイルにおける動揺を観察したが、Ts1Cjeマウスでは観察されなかった。これらの実験は、各群について少なくとも5回繰り返した。 乳腺細胞の単一細胞懸濁液を、FACSによって分析し、生Lineage−細胞(Ter119- 、CD45- 、CD31- )上にゲートした(第1列)。第2列は、CD49f及びCD24について染色されたLin−細胞を示す。Ts65Dnマウスにおいては、基底細胞及び管腔細胞(示したゲート)の減少を伴い、全FACSプロファイルにおける動揺を観察したが、Ts1Cjeマウスでは観察されなかった。これらの実験は、各群について少なくとも5回繰り返した。 乳腺細胞の単一細胞懸濁液を、FACSによって分析し、生Lineage−細胞(Ter119- 、CD45- 、CD31- )上にゲートした(第1列)。第2列は、CD49f及びCD24について染色されたLin−細胞を示す。Ts65Dnマウスにおいては、基底細胞及び管腔細胞(示したゲート)の減少を伴い、全FACSプロファイルにおける動揺を観察したが、Ts1Cjeマウスでは観察されなかった。これらの実験は、各群について少なくとも5回繰り返した。 乳腺を、基底細胞サイトケラチンCK14(赤)及び管腔サイトケラチンCK8(緑)に対する抗体で染色した。Ts65Dnマウスの乳腺上皮中の両方のサイトケラチンで同時染色した細胞中で顕著な増加が存在することに留意されたい。 Ts65Dnの乳腺における管腔及び基底細胞マーカーの同時染色についての富化を定量化するピアソンの相関分析(Lumosityソフトウェア)を示す。 Ts65Dnの線維芽細胞中のSA−βgal及びp16の発現は、USP16及びCDKN2aのレベルによって影響を受ける。TTF中のSA−βgal染色の代表的な写真。右側では、グラフは異なる条件におけるSA−βgal+ 細胞のパーセンテージを示す。各ドットは、異なるマウスに由来するTTF培養物を表す。最後の2つのカラムは、p16/p19に対するヘアピンで感染させた、WT及びTs65Dnの線維芽細胞を指す。 ウェスタンブロット分析は、p16のノックダウンを立証する。βアクチンは、負荷対照として働く。 p16免疫染色(左側)及び陽性細胞のパーセンテージの定量化(右側パネル)の代表的な写真である。各ドットは、異なるマウスに由来するTTF培養物を表す。ヘアピンは、p16発現を有効に除去する。 ヒト線維芽細胞培養物に関し、ヒト線維芽細胞中のSA−βgal染色の代表的な写真である。右側で、グラフは異なる条件におけるSA−βgal+ 細胞のパーセンテージを示す。各ドットは、異なる個体に由来する培養物を表す。 定量的リアルタイムPCRを用いて、Bmi1を過発現する(左)またはヒトUsp16を標的化するヘアピンを発現する構築物によるレンチウイルス感染後のUSP16 mRNAの発現を測定した。 Bmi1の過発現は、DSキャリアに由来する線維芽細胞の増殖を有意に増加させる。野生型線維芽細胞に及ぼす効果は有意ではない。右側では、Bmi1 mRNAの発現のレベルが、定量的リアルタイムPCRによって定量化された。実験は2回繰り返され、同様な結果を有した。 フリーラジカル捕捉剤のN−アセチルシステイン(Nac)による処置の効果を示す。N−アセチルシステイン(Nac)は、飲料水中に投与される10ug/mlのN−アセチルシステインでの母親の経口処置後のダウン症候群の胎児の胎生期生存を改善する。 治療は生後2ヶ月間継続され、乳房上皮細胞の増殖能力において有意な効果を示した。
幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、かつ幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的病態の治療のための方法及び組成物が提供される。本方法の態様は、例えば、H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質の有効量を投与することにより、細胞中のH2A脱ユビキチン化酵素活性を阻害することを含む。幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、かつ幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態の治療のための治療薬を同定するためのスクリーニングも提供される。本発明のこれらの目的ならびに他の目的、利点、及び特徴は、以下により完全に記述される組成物及び方法の詳細を読み取る際に当業者には明らかになるであろう。
本発明の方法及び組成物が記述される前に、本発明は記述される特定の方法または組成物に限定されるものではなく、然る故に、当然のことながら変化してもよいことを理解するべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記述する目的のものに過ぎず、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるために、限定することを意図するものではないことも理解するべきである。
値の範囲が提供される場合、文脈上明らかに別のものを指さない限り、その範囲の上限値と下限値の間の下限値の単位の10分の1までの間にある値も具体的に開示されることが理解される。任意の表示された値もしくは表示された範囲の間にある値から任意の他の表示された値もしくはその表示された範囲の間にある値までのそれぞれのより小さな範囲は、本発明の範囲内に包含される。これらのより小さな範囲の上限値及び下限値は、この範囲内に独立して含まれてもよくまたは含まれていなくてもよく、限界値のいずれかがより小さい範囲に含まれる、いずれも含まれない、または両方が含まれる各範囲もまた、表示された範囲内で任意の具体的に排除された限界値を対象に、本発明の範囲内に包含される。表示された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、これらのいずれかまたは両方を排除する範囲も本発明内に含まれる。
異なる旨を特記しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同様な意味を有する。本明細書に記載されるものと同様なまたは等価な任意の方法及び材料が本発明の実践または試験において使用され得るが、いくつかの可能性がありかつ好ましい方法及び材料がここで記載される。本明細書に記述される全ての刊行物は、関連する刊行物が引用される方法及び/または材料を開示しかつ記載するために、参照により組み込まれる。本開示は、矛盾が存在しない範囲まで、組み込まれた刊行物の任意の開示に取って代わることが理解される。
本開示を読み取る際に当業者に明らかになるように、本明細書に記載されかつ例示される個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離されまたはこれらの特徴と組み合わせることができる別個の構成要素及び特徴を有する。任意の記載された方法は、記載された事項の順番で、または論理的に可能である任意の他の順番で実行することができる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段の意味を明らかに示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意されねばならない。したがって、例えば、「細胞」の言及は、複数のこうした細胞を含み、「ペプチド」の言及は1つ以上のペプチド及びその等価物、例えば当業者に既知のポリペプチド等を含む。
本明細書で考察される刊行物は、単に本出願の出願日よりもそれらの開示が先行するために提供されている。本明細書におけるいずれの刊行物も、本発明が以前の発明のためにこうした刊行物に先立つ権利を有さないとの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行日付は、実際の刊行日付と異なる場合があり、個々に確認される必要がある場合がある。
幹細胞自己再生の速度の減少に関連するまたは幹細胞自己再生の速度の増加に反応する、すなわち、幹細胞自己再生の速度の増加によって治療される医学的状態の治療のための方法及び組成物が提供される。幹細胞自己再生の速度の減少に関連するまたは幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態(すなわち、「主題の医学的状態」)とは、疾患、障害または他の病態を明らかにしている組織が体細胞中で欠如している(例えば、組織をもたらす組織特異的幹細胞が、増殖または分化において欠陥を有した)、あるいは追加の体細胞が病態を処置することができる(例えば、損傷を被った組織において、例えば、組織特異的幹細胞を有する組織が休止状態になった状態で、例えば成体組織において)疾患、障害、または他の医学的状態を意味する。幹細胞自己再生の速度の減少に関連するまたは幹細胞自己再生の速度の増加に反応する状態の例は、神経発達障害、例えばダウン症候群、脆弱X症候群、自閉症;脳損傷、例えば、化学療法または放射線療法誘導脳損傷、外傷性脳損傷;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS;老化関連障害、例えば、リウマチ性関節炎;筋委縮、例えば、癌、AIDS、うっ血性心不全、COPD(慢性障害肺疾患)、及び腎不全などの疾患または障害に関連する筋委縮;骨髄欠乏症;膵臓細胞、例えばβ膵島細胞の再生を必要とする疾患、例えば、糖尿病;肝臓再生を必要とする疾患、例えば、肝硬変;皮膚再生を必要とする病態、例えば重度熱傷等を含む。
「治療」、「治療する」等とは、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを一般的に意味する。この効果は、疾患またはその症状を完全にもしくは部分的に予防するという点から予防的であってもよく、ならびに/または疾患及び/もしくはこの疾患に寄与し得る有害作用についての部分的または完全な治癒という点から治療的であってもよい。本明細書で使用される「治療」は、哺乳動物における任意の治療を包含し、(a)疾患の素因があり得るが、疾患を有すると未だ診断されていない対象において疾患が発症することを防止すること、(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発生を阻止すること、または(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患を消退させることを含む。治療薬は、疾患または損傷の発症前に、発症中にまたは発症後に投与されてもよい。治療が患者の望ましくない臨床症状を安定化しまたは低減させる、進行中の疾患の治療には、特に関心がある。こうした治療は、冒された組織における機能の完全な喪失に先立って行われることが望ましい。主題治療法は、疾患の症状段階中に施されることが望ましく、場合によっては、疾患の症状段階後に施される。用語「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」は本明細書で互換的に用いられ、診断、治療、または治療法が望ましい任意の哺乳動物、特にヒトを指す。
本発明の態様の説明において、主題組成物が先ず初めに説明され、続いてそれらの使用のための方法が説明される。
組成物
本発明のいくつかの態様では、ヒストン脱ユビキチン化酵素の拮抗物質を含む組成物が提供される。脱ユビキチン化酵素または「デユビキチナーゼ」とは、共有結合されたユビキチンをタンパク質から除去する酵素を意味する。ヒストン脱ユビキチン化酵素とは、ヒストン、例えばH2Aヒストン、H2Bヒストンから共有結合されたユビキチンを除去する酵素を意味する。「H2A脱ユビキチン化酵素」または「H2Aデユビキチナーゼ」とは、ヒストンH2Aから共有結合されたユビキチンを除去する酵素を意味する。H2A脱ユビキチン化酵素の非限定的な例は、2A−DUB/MYSM1、USP3、USP7、Ubp−M/USP16、USP21、USP22、BAP1、及びBRCC36(BRCA−1含有複合体)を含む。「H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質」とは、細胞中で1つ以上のH2A脱ユビキチン化酵素の活性を減少させ、抑制し、阻害し、拮抗する等の任意の作用物質を意味する。
いくつかの実施形態では、主題組成物は、H2A脱ユビキチン化酵素の拮抗物質を含む。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化酵素は、2A−DUB/MYSM1、USP3、USP7、Ubp−M/USP16、USP21、USP22、BAP1、及びBRCA−1含有複合体(BRCC36)からなる群から選択される。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化酵素は2A−DUB/MYSM1である。「2A−DUB/MYSM1」とは、酵素MYSM1 Myb様、SWIRM及びMPNドメイン1を意味し、その配列はGenBank受入番号NM_001085487.2において見出され得る。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化酵素はUSP3である。「USP3」とは、ユビキチン特異的ペプチダーゼ3を意味し、その配列はGenBank受入番号NM_006537.3及びNM_001256702.1において見出され得る。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化酵素はUSP7である。「USP7」とは、ユビキチン特異的ペプチダーゼ7を意味し、その配列はGenBank受入番号NM_003470.2、NM_001286457.1、及びNM_001286458.1において見出され得る。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化酵素はUbp−M/USP16である。「USP16」とは、ユビキチン特異的ペプチダーゼ16を意味し、その配列はGenBank受入番号NM_006447.2(変異体1)、NM_001001992.1(変異体2)、及びNM_001032410.1(変異体3)において見出され得る。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化酵素はUSP21である。「USP21」とは、ユビキチン特異的ペプチダーゼ21を意味し、その配列はGenBank受入番号NM_012475.4及びNM_001014443.2において見出され得る。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化酵素はUSP22である。「USP22」とは、ユビキチン特異的ペプチダーゼ22を意味し、その配列はGenBank受入番号NM_015276.1において見出され得る。特定の実施形態では、H2A脱ユビキチン化拮抗物質はBAP1を阻害する。BAP1とは、BRCA1関連タンパク質−1を意味し、その配列は、GenBank受入番号NM_004656.3において見出され得る。
本明細書の実施例において実証されるように、H2A脱ユビキチン化酵素、例えばH2A脱ユビキチン化酵素USP16は、幹細胞増殖を調節し、造血幹細胞コンパートメント、神経幹細胞コンパートメント、及び乳腺を含む多くの組織において機能する。したがって、例えばUSP16の拮抗物質を提供することによって、幹細胞または前駆細胞中でH2A脱ユビキチン化酵素活性を阻害することは、神経幹細胞及び前駆細胞の増殖を促進することになり、これが新しいニューロンの生成を増加させ、神経発達障害及び神経変性疾患を有する個体における神経系機能を改善することになり、造血幹細胞及び前駆細胞の増殖を促進することになり、これが造血幹細胞の生成を増加させかつ免疫系機能を改善することになり、さらに乳腺上皮細胞の増殖を促進し、かつ乳腺上皮細胞の成長を促進することになる。
幹細胞及び前駆細胞中で、H2A脱ユビキチン化酵素、例えばUSP16を拮抗する任意の作用物質(例えば、当該技術分野で既知のもの、本明細書で記載されるもの、または本明細書で記載されるスクリーニング法を用いて同定されたもの)が、主題組成物中で使用されてもよい。主題作用物質は、例えば、細胞中の脱ユビキチン化酵素の相対量を減少させることによって、ヒストン上の脱ユビキチン化の活性部位をブロックすることによって、細胞の細胞質への脱ユビキチン化酵素の局在化を促進することによって、H2Aヒストンの脱ユビキチン化を促進することによってなどで作用することができる。例えば、主題作用物質は、例えば、細胞中のUSP16タンパク質の相対量を低減することによって、USP16の活性を低減することができる(例えば、主題作用物質は、USP16に特異的である核酸阻害物質、すなわち、これはUSP16特異的核酸阻害物質であってもよく、例えば、アンチセンスRNA、アンタゴmir RNA、shRNA、siRNA、CRISPRi等である)。「特異的」、「特異的結合」、「特異的に結合する」等とは、結合作用物質、例えば、核酸、ポリペプチド、抗体等の、細胞中の他の分子または部分と比べての標的分子に直接優先的に結合するための能力を意味する。特定の実施形態では、結合作用物質とそれが特異的に結合する標的との間の親和性は、それらが結合複合体中で互いに特異的に結合するとき、10-6M未満、10-7M未満、10-8未満、10-9M未満、10-10 M未満、10-11 M未満、10-12 M未満、10-13 M未満、10-14 M未満、または10-15 M未満のKD(解離定数)によって特徴付けられる。
主題組成物中のH2A脱ユビキチン化酵素の拮抗物質としての使用に好適な作用物質は、低分子化合物、例えば天然起源のまたは合成の低分子化合物を含む。対象となる天然起源のまたは合成の低分子化合物は、有機分子、例えば、50ダルトンを超え、約2,500ダルトン未満の分子量を有する小さい有機化合物などの多くの化学物質種を含む。候補作用物質は、タンパク質との構造的相互作用のための官能基、特に水素結合を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、好ましくはこの化学官能基のうちの少なくとも2つを含む。候補作用物質は、周期性炭素もしくは複素環構造及び/または上記官能基のうちの1つ以上で置換された芳香族もしくはポリ芳香族構造を含んでもよい。候補作用物質はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、これらの誘導体、構造類似体または組み合わせを含む生体分子の間で見出される。本発明に好適な薬剤の例は、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”,Goodman and Gilman,McGraw−Hill,New York,N.Y.,(1996),Ninth editionに記載されているものである。毒素、及び生物ならびに化学戦剤も含まれ、例えば、Somani,S.M.(Ed.),“Chemical Warfare Agents,”Academic Press,New York,1992)を参照されたい。低分子化合物は、細胞が培養されている媒質、例えばDMSOまたは他の溶媒中の溶液などに直接提供することができる。
主題組成物中のH2A脱ユビキチン化酵素の拮抗物質としての使用に好適な作用物質はまた、核酸、例えばsiRNA、shRNAもしくはアンチセンス分子をコード化する核酸、またはポリペプチドをコード化する核酸を含む。核酸を標的細胞に移動させるために有用な多くのベクターが利用可能である。ベクターはエピソーム的に、例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、例えばサイトメガロウイルス、アデノウイルス等のウイルス由来ベクターとして維持されてもよく、またはこれらは、例えば、MMLV、HIV−1、ALV等のレトロウイルス由来ベクター相同的組換えもしくはランダム組込みを通して標的細胞ゲノムに組み込まれてもよい。
ベクターは、主題の細胞に直接提供されてもよい。言い換えると、ベクターが細胞によって取り込まれるように、細胞を対象となる核酸を含むベクターと接触させる。電気穿孔法、塩化カルシウムトランスフェクション、及びリポフェクチンなどの細胞を核酸ベクターと接触させるための方法は、当該技術分野において周知である。
あるいは、対象となる核酸は、主題細胞にウイルスを介して提供されてもよい。言い換えると、細胞を、対象となる核酸を含むウイルス粒子と接触させる。レトロウイルス、例えばレンチウイルスは、本発明の方法に特に好適である。通常使用されるレトロウイルスベクターは、「欠損性」であり、すなわち、増殖性感染に必要とされるウイルスタンパク質を生成することができない。むしろ、ベクターの複製は、パッケージング細胞株中の増殖を必要とする。対象となる核酸を含むウイルス粒子を作成するために、核酸を含むレトロウイルス核酸が、パッケージング細胞株によってウイルスキャプシドにパッケージ化される。異なるパッケージング細胞株は、キャプシドに組み込まれるための異なるエンベロープタンパク質を提供し、このエンベロープタンパク質は、細胞に対するウイルス粒子の特異性を決定する。エンベロープタンパク質は、少なくとも3つのタイプ、同種指向性(ecotropic)、両種指向性(amphotropic)及び異種指向性(xenotropic)のものである。同種指向性エンベロープタンパク質でパッケージ化されたレトロウイルス、例えばMMLVは、大部分のネズミ及びラット細胞型に感染することができ、BOSC23などの同種指向性パッケージング細胞株を用いて生成される(Pear et al.(1993)P.N.A.S.90:8392−8396)。両種指向性エンベロープタンパク質を有しているレトロウイルス、例えば4070A(Danos et al.、上記参照)は、ヒト、イヌ及びマウスを含む大部分の哺乳動物の細胞株に感染することができ、PA12(Miller et al.(1985)Mol.Cell.Biol.5:431−437)、PA317(Miller et al.(1986)Mol.Cell.Biol.6:2895−2902)、GRIP(Danos et al.(1988)PNAS 85:6460−6464)などの両種指向性パッケージング細胞株を用いて生成される。異種指向性エンベロープタンパク質でパッケージ化されたレトロウイルス、例えばAKR envは、ネズミ細胞を除く大部分の哺乳動物細胞に感染することができる。適切なパッケージング細胞株は、主題のCD33+ 分化体細胞がパッケージ化されたウイルス粒子によって標的化されることを確実にするために用いることができる。主題核酸を含むレトロウイルスベクターをパッケージング細胞株に導入する方法及びパッケージング株によって作成されたウイルス粒子を回収する方法は、当該技術分野において周知である。
対象となる核酸を主題の細胞に提供するために使用されるベクターは、典型的には、発現を導くための、すなわち、対象となる核酸の転写活性を導くための、好適なプロモータを含むであろう。言い換えると、対象となる核酸は、プロモータと動作可能に結合されることになる。これは、広範に作用するプロモータ、例えば、CMV−b−アクチンプロモータ、または特定の細胞集団中で活性であるプロモータもしくはテトラサイクリンなどの薬物の存在に応答するプロモータなどの誘導可能なプロモータを含むことができる。転写活性化とは、転写が、少なくとも約10倍まで、少なくとも約100倍まで、より一般には少なくとも約1000倍まで、標的細胞中の基底レベルよりも上に増加することになることを意図する。加えて、主題核酸を細胞に提供するために使用されるベクターは、例えば、Cre/Loxなどの組換え酵素システムを使用して後に除去されるべき遺伝子、または例えば、ヘルペスウイルスTK、bcl−xsなどの選択的毒性を可能にする遺伝子を含むことによる、それらを破壊された状態で発現する細胞を含むことができる。
主題組成物中でH2A脱ユビキチン化酵素の拮抗物質としての使用に好適な作用物質は、ポリペプチドも含む。こうしたポリペプチドは、任意選択的に、生成物の溶解度を増加させるポリペプチドドメインに融合されてもよい。このドメインは、定義されたプロテアーゼ開裂部位、例えば、TEVプロテアーゼによって開裂されるTEV配列を通してポリペプチドに結合することができる。リンカーもまた、1つ以上の柔軟な配列、例えば1〜10個のグリシン残基を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質の開裂は、生成物の溶解度を維持する緩衝液中で、例えば、0.5〜2Mの尿素の存在下で、溶解度を増加させるポリペプチド及び/またはポリヌクレオチドの存在下でなどで行われる。対象となるドメインは、エンドソーム溶解性ドメイン、例えばインフルエンザHAドメイン、及び生成で補助する他のポリペプチド、例えばIF2ドメイン、GSTドメイン、GRPEドメイン等を含む。
ポリペプチド剤が細胞内でデユビキチナーゼ活性を阻害するためのものである場合、ポリペプチドは、ポリペプチド浸透性ドメインに融合された対象となるポリペプチド配列を含んでもよい。多くの浸透性ドメインが当該技術分野において既知であり、ペプチド、ペプチド疑似体、及び非ペプチドキャリアを含める、本発明の非組込みポリペプチドにおいて使用されてもよい。例えば、浸透性ペプチドは、ペネトラチンと呼ばれるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)転写因子アンテナペディア(Antennapaedia)の3次αへリックスから誘導され得る。別の例として、浸透性ペプチドは、HIV−1 tat塩基性領域アミノ酸配列を含み、これは例えば、天然起源のtatタンパク質のアミノ酸49〜57を含むことができる。他の浸透性ドメインは、ポリ−アルギニンモチーフ、例えば、HIV−1 revタンパク質のアミノ酸34〜56、ノナ−アルギニン、オクタ−アルギニン等を含む(例えば、Futaki et al.(2003)Curr Protein Pept Sci.2003 Apr;4(2):87−96、及びWender et al.(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2000 Nov.21;97(24):13003−8、公開された米国特許出願公開第20030220334号、同第20030083256号、同第20030032593号、ならびに同第20030022831号(転座ペプチド及びペプトイドの教示に関して参照により本明細書に具体的に組み込まれる)を参照されたい)。ノナ−アルギニン(R9)配列は、特性評価されているより有効なPTDの1つである(Wender et al.2000、Uemura et al.2002)。
ポリペプチド作用物質が細胞外でデユビキチナーゼ活性を阻害するためのものである場合、ポリペプチドは、改善された安定性のために処方され得る。例えば、ペプチドは、ペグ化されてもよく、ここではポリエチレンオキシ基は血流中の寿命の増加を提供する。ポリペプチドは、付加された機能性を提供するために、例えば、インビボ安定性を増加させるために、別のポリペプチドに融合されてもよい。一般に、こうした融合パートナーは、安定な血漿タンパク質であり、これらは、例えば、融合物として存在するとき、ポリペプチドのインビボ血漿半減期を延長させることができ、特にこうした安定な血漿タンパク質は、免疫グロブリン不変ドメインである。安定な血漿タンパク質が通常、多量体形態、例えば免疫グロブリンまたはリポタンパク質で見られ、その中で、同一のまたは異なるポリペプチド鎖は通常、ジスルフィド及び/または非共有結合され、組み立てられたマルチチェインポリペプチドを形成するほとんどの場合に、ポリペプチドを含有する本明細書の融合物が生成され、安定な血漿タンパク質前駆体と実質的に同様な構造を有する多量体として使用されることになる。これらの多量体は、これらが構成するポリペプチド作用物質に関して均質となるか、またはこれらは複数のポリペプチド作用物質を含有してもよい。
安定な血漿タンパク質は、典型的には、それらの未変性環境において循環中で延長された半減期、すなわち約20時間を超える半減期を呈するタンパク質である。好適な安定血漿タンパク質の例は、免疫グロブリン、アルブミン、リポタンパク質、アポリポタンパク質及びトランスフェリンである。ポリペプチド作用物質は、典型的には、ポリペプチドに対して延長された半減期を付与することができる、血漿タンパク質またはその断片のN末端において、血漿タンパク質、例えばIgGに融合される。ポリペプチドの血漿半減期に関する約100%を超える増加が良好である。通常、ポリペプチドは、免疫グロブリンの可変領域(複数可)の代わりに免疫グロブリンの不変領域のC末端からN末端に融合されるが、N末端融合物もまた用途を見出すことができる。典型的には、こうした融合物は、免疫グロブリン重鎖の不変領域の少なくとも機能的に活性なヒンジ、CH2及びCH3ドメインを保持し、この重鎖は、通常、IgGクラス内のタンパク質の1つまたは組み合わせで、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE及びIgDを含むことができる。融合物は、不変領域のFc部分のC末端に、または重鎖のCH1もしくは軽鎖の対応する領域へのN末端の近くにも作られる。これは、通常、適切なDNA配列を構築し、これを組換え細胞培養物中で発現させることによって達成される。あるいは、ポリペプチドが、既知の方法に従って合成されてもよい。
ポリペプチドの生物学的活性、分泌または結合特性を最適化するために、融合物がつくられる部位が選択され得る。最適部位は、ルーチン的な実験によって決定されるであろう。
いくつかの実施形態では、ハイブリッド免疫グロブリンは、単量体、またはヘテロ−もしくはホモ−多量体として、特に二量体または四量体として組み立てられる。一般に、これらの組み立てられた免疫グロブリンは、既知のユニット構造を有するであろう。基本的な4本の鎖の構造ユニットは、その中でIgG、IgD、及びIgEが存在する形態である。4本鎖ユニットは、より高い分子量の免疫グロブリン中で繰り返される(IgMは、一般的に、ジスルフィド結合によって一緒に保持される基本的な4本鎖ユニットの五量体として存在する)。IgA免疫グロブリンは、場合によりIgG免疫グロブリンも、血清中では多量体型で存在することができる。多量体の場合、各々の4本鎖ユニットは、同一であっても異なっていてもよい。
主題方法において使用するためのポリペプチド作用物質は、原核細胞によって生成された真核細胞から生成することができ、これはアンフォールディング、例えば、熱変性、DTT還元等によってさらに処理されてもよく、当該技術分野において既知の方法を用いてさらにリフォールディングされてもよい。
一次配列を変更しない対象となる修飾は、ポリペプチドの化学的誘導体化、例えば、アシル化、アセチル化、カルボキシル化、アミド化等を含む。グリコシル化の修飾物、例えば、ポリペプチドのグリコシル化パターンをその合成及び処理中に修飾することによって、またはさらなる処理ステップ中に修飾すること(例えば、哺乳動物グリコシル化または脱グリコシル化酵素などのグリコシル化に影響を及ぼす酵素にポリペプチドを曝すことによって)によって作成されたものも含まれる。リン酸化アミノ酸残基、例えばホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニンも包含される。
タンパク質分解による崩壊に対するポリペプチドの抵抗性を改善するために、または溶解特性を最適化するように、あるいはそれらを治療薬としてより適切なものにするように、通常の分子生物学的技術及び合成化学を用いて修飾されたポリペプチドも本発明に含まれる。こうしたポリペプチドの類似体として、天然起源のLアミノ酸以外の残基を含むもの、例えば、Dアミノ酸または非天然起源の合成アミノ酸を含む。Dアミノ酸は、アミノ酸残基の一部または全てに対して置換されてもよい。
主題ポリペプチドは、当該技術分野において既知の通常の方法を用いる、インビトロ合成によって調製することができる。種々の市販の合成装置が利用可能であり、例えば、Applied Biosystems,Inc.、Beckman等による自動化シンセサイザである。シンセサイザを使用することによって、天然起源のアミノ酸は、非天然アミノ酸で置換され得る。特定の配列及び調製の方法は、便宜性、経済性、必要とされる純度等によって決定されるであろう。
所望の場合、合成中または発現中に、他の分子への結合または表面への結合を可能にする種々の基が、ペプチドに導入されてもよい。したがって、システインは、金属イオン錯体への結合のためのチオエーテル、ヒスチジンを、アミドまたはエステルを形成するためのカルボキシル基を、アミドを形成するためのアミノ基などを生成するために使用することができる。
ポリペプチドはまた、組換え体合成の従来の方法に従って単離されかつ精製され得る。細胞溶解物が発現宿主から調製することができ、この細胞溶解物は、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィー、または他の精製技術を用いて精製される。大抵の場合、使用される組成物は、生成物の調製及びその精製の方法に関連する汚染物質に関して、少なくとも20重量%の所望の生成物、より一般的には少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%の生成物を含み、治療的目的では、通常少なくとも約99.5重量%の生成物を含む。通常、パーセンテージは、総タンパク質に基づく。
主題組成物中のH2A脱ユビキチン化酵素の拮抗物質として好適なポリペプチドの別の例は、抗体である。用語「抗体」または「抗体部分」は、エピトープに嵌合しかつエピトープを認識する特異的な形状を備える任意のポリペプチド鎖含有分子構造を含むことが意図され、ここでは1つ以上の非共有結合相互作用が、分子構造とエピトープとの間の複合体を安定化する。所定の構造とその特異的エピトープとの特異的または選択的嵌合は、時には「鍵と鍵穴」嵌合とも呼ばれる。典型的な抗体分子は免疫グロブリンであり、全ての供給源、例えば、ヒト、齧歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、他の哺乳動物、ニワトリ、他の鳥類などからの全てのタイプの免疫グロブリン、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD等が「抗体」であるとみなされる。用語「抗体」は、本明細書では広い意味で用いられ、具体的には、完全抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片(これらが所望の生物学的活性を呈する限り)を包含する。抗体は、典型的には、細胞が培養されている培地中に提供される。
作用物質は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む多種多様な供給源から得ることができる。例えば、ランダム化されたオリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含める、生体分子を含む広範囲の有機化合物のランダム及び直接的合成のために多くの手段が利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であり、または容易に生成される。さらに、天然でまたは合成的に生成されたライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段を通して容易に修飾され、コンビナトリアルライブラリーを生成するよう使用されてもよい。既知の薬理学的作用物質は、構造類似体を生成するために、例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等の直接的またはランダムな化学修飾を受けてもよい。
H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質である作用物質は、当該技術分野における多くの従来の方法のいずれかによって容易に検証され得る。例えば、細胞中のInk4a/Arf遺伝子座におけるH2AK119ユビキチンマークの量を測定することができ、作用物質での処置後のユビキチンマークにおける増加は、この作用物質がUSP16拮抗薬であることを示す。別の例として、細胞中のInk4a RNAまたはタンパク質の量が評価されることができ、ここでは、作用物質による処置後のInk4a RNA/タンパク質の量における減少が、この作用物質がUSP16拮抗物質であることを示す。第3番目の例として、細胞、例えばダウン症候群線維芽細胞、例えばTs65Dnマウスからの線維芽細胞の増殖速度が決定されてもよく、ここでは、作用物質による処置後の増殖における増加が、この作用物質がH2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質であることを示す。
医薬品中の封入のために、主題作用物質は、好適な市販供給源から得られてもよい。一般的な提案として、一用量当たりの非経口投与される主題作用物質の全薬学上有効量は、用量反応曲線によって測定され得る範囲内にあるであろう。
治療的投与に使用される主題作用物質の調製物は無菌でなければならない。無菌性は、無菌濾過膜(例えば、0.2μmの膜)を通しての濾過によって容易に達成される。治療組成物は、一般に、無菌の取り出し部を有する容器、例えば、皮下注射針によって突き通すことができる栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルの中に入れられる。主題作用物質に基づく治療薬は、単位投与または多回投与用容器、例えば密閉されたアンプルまたはバイアル中に、水溶液としてまたは再構成用の凍結乾燥製剤として保存されてもよい。凍結乾燥製剤の例として、10mLのバイアルが5mlの無菌濾過された1%(w/v)の化合物の水溶液で充填され、得られた混合物が凍結乾燥される。注入溶液は、凍結乾燥された化合物を、注射用静菌水を用いて再構成することによって調製される。
薬学的組成物は、所望される製剤に応じて、薬学的に許容し得る、非毒性の担体または希釈剤を含むことができ、これらは動物またはヒトへの投与用の薬学的組成物を製剤化するために一般的に用いられるビヒクルとして定義される。希釈剤は、組み合わせの生物学的活性に影響を及ぼすことがないように選択される。こうした希釈剤の例は、蒸留水、緩衝化水、生理食塩水、PBS、リンゲル溶液、デキストロース溶液、及びハンク溶液である。加えて、薬学的組成物または製剤は、他の担体、アジュヴァント、または非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤、賦形剤等を含むことができる。組成物はまた、pH調節剤ならびに緩衝化剤、毒性調節剤、湿潤剤及び洗浄剤などの生理学的条件に近づくための追加の物質を含むことができる。
組成物はまた、例えば抗酸化剤などの種々の安定剤のいずれかを含むことができる。薬学的組成物がポリペプチドを含有する場合、ポリペプチドは、ポリペプチドのインビボ安定性を増強させる、ないしは別の方法でその薬理特性を増強させる(例えば、ポリペプチドの半減期を増加させる、その毒性を低下させる、溶解度または取り込みを増強させる)種々の周知の化合物で錯体化され得る。こうした修飾または錯化剤は、硫酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩を含む。組成物の核酸またはポリペプチドはまた、これらのインビボ属性を増強させる分子と錯体化され得る。こうした分子は、例えば、炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン)、及び脂質を含む。
主題作用物質は、種々の製剤に組み込まれることができる。より具体的には、本発明の主題作用物質は、薬学上許容し得る担体または希釈剤との組み合わせによって、薬学的組成物に製剤化され得る。
薬学的調製物は、薬学上許容し得るビヒクル中に存在する1つ以上の標的化された主題作用物質を含む組成物である。「薬学上許容し得るビヒクル」とは、連邦政府もしくは州政府の監督機関によって承認されたまたは米国薬局方もしくはヒトなどの哺乳動物のために他の一般的に認められた薬局方に列挙されたビヒクルであり得る。用語「ビヒクル」とは、哺乳動物への投与のために本発明の化合物がそれと共に製剤化される、希釈剤、アジュヴァント、賦形剤、または担体を指す。こうした薬学的ビヒクルは、脂質、例えばリポソーム(例えば、リポソームデンドリマー);石油、動物、植物または合成起源のもの(例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等)、生理食塩水を含む水及び油などの液体;アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等であり得る。加えて、補助剤、安定剤、増粘剤、滑沢剤及び着色剤が使用されてもよい。薬学的組成物は、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及びエアロゾル剤などの固体、半固体、液体またはガス状形態で調製物に製剤化され得る。然る故に、主題作用物質の投与は、経口、口腔内、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内等の投与を含む種々の方法で達成され得る。活性作用物質は、投与後全身的なものであってもよく、または局所投与、壁内投与の使用によって、もしくは移植部位にて活性用量を保持するように作用する移植片の使用によって局所的なものであってもよい。活性作用物質は、即時作用のために製剤化されてもよく、またはこれは持続性放出用に製剤化されてもよい。
いくつかの病態について、特に中枢神経系病態について、血液脳関門(BBB)を横断するように作用物質を製剤化することが必要な場合がある。血液脳関門(BBB)を通過する薬剤送達のための1つの戦略は、マンニトールもしくはロイコトリエン類などの浸透圧手段によるか、またはブラジキニンなどの血管作用物質の使用による生化学的な手段のいずれかによる、BBBの破壊を伴う。脳腫瘍に対する特異的作用物質を標的とするためにBBB開口を使用することの可能性もまた選択案である。本組成物が血管内注射されるとき、BBB破壊剤が、本発明の治療的組成物と同時に投与され得る。BBBを突き抜けるための他の戦略は、カベオリン−1仲介トランスサイトーシス、グルコースならびにアミノ酸担体などの担体仲介輸送体、インスリンもしくはトランスフェリンに関する受容体仲介トランスサイトーシス、及びp−糖タンパク質などの能動的汲み出し輸送体を含む内因性輸送系の使用を伴う場合がある。能動的輸送部分はまた、血管の内皮壁を横断する輸送を容易にするために、本発明において使用するための治療化合物と複合体とを形成させてもよい。あるいは、BBBの後方の治療薬の薬剤送達は、局所送達による、例えば髄内送達による(例えば、オンマヤレザバーを通して(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,222,982号及び同第5,385,582号を参照));ボーラス注射による(例えば、例えば注射器によって、硝子体内または頭蓋内など);連続輸注による(例えば、対流を用いて、例えばカニューレ挿入による(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0254842号を参照))、またはその上に作用物質が可逆的に固定されている装置を移植することによる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0081064号及び同第2009/0196903号を参照)ものであってもよい。
種々のタイプの投与に好適な製剤に関するさらなるガイダンスは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)で見出すことができる。薬剤送達のための方法の簡単な再考については、Langer,Science 249:1527−1533(1990)を参照されたい。
本薬学的組成物は、予防的及び/または治療的な処置のために投与することができる。活性成分の毒性及び治療有効性は、例えば、LD50(個体数の50%に対する致死量)及びED50(個体数の50%における治療的に有効な用量)を決定することを含む、細胞培養物及び/または実験動物における標準的薬剤手順に従って決定することができる。毒性と治療的有効性との間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す治療法が好ましい。
細胞培養及び/または動物試験から得られるデータは、ヒトに対する用量の範囲を処方することにおいて使用することができる。活性成分の用量は、典型的には、低い毒性を伴うED50を含む循環濃度の範囲内で線を引く。用量は、使用される投与形態及び利用される投与の経路に応じて、この範囲内で変化することができる。
薬学的組成物を製剤化するために使用される構成成分は、高純度であることが好ましく、潜在的に有害な汚染物質を実質的に含まない(例えば、少なくともNational Food(NF)グレード、一般には少なくとも分析グレード、より典型的には少なくとも医薬品グレード)。さらには、インビボ使用を意図する組成物は、通常無菌である。使用前に所定の化合物が合成されねばならない限り、得られた生成物は、典型的には、合成または精製プロセス中に存在し得る任意の潜在的有毒物質、特に任意のエンドトキシンを実質的に含まないものである。ペアレンタル投与のための組成物はまた、無菌であり、実質的に等張であり、GMP条件下で製造される。
特定の患者に投与される治療用組成物の有効量は、種々の因子に依存することになり、そのいくつかは患者間で異なるであろう。能力を有する臨床医は、疾患状態の進行を停止させまたは逆転させるために、患者に投与するための治療薬の有効量を適宜決定することができるであろう。
LD50動物データ、及び作用物質についての使用可能な他の情報を利用して、臨床医は、投与の経路に応じて、個体に関する最大安全用量を決定することができる。例えば、静脈内投与用量は、治療組成物が投与されているより多くの体液があるという条件で、髄腔内投与用量を超え得る。同様に、身体から迅速に除去される組成物は、治療薬濃度を維持するために、より高い用量で、または反復して投与されてもよい。通常の技能を利用して、能力がある臨床医であれば、ルーチンの臨床試験の過程において特定の治療薬の用量を最適化することができるであろう。
投与される作用物質の有効量または有効用量の計算は、当業者の技術の範囲内であり、当業者にとっては日常的であろう。言うまでもなく、投与される最終量は、投与の経路に、及び治療される障害または病態の性質に応じる。
方法
主題方法の実践において、主題のH2A脱ユビキチン化酵素の拮抗物質を、幹細胞または前駆細胞と接触させる。用語「幹細胞」は、自己再生しかつ分化細胞型を産生するための両方の能力を有する哺乳動物細胞を指すように、本明細書で使用される(Morrison et al.(1997)Cell 88:287−298を参照)。細胞個体発生に関して、形容詞「分化した」、または「分化する」は相対的用語である。「分化細胞」は、比較される細胞よりもダウンの発達経路をさらに進行させた細胞である。したがって、多能性幹細胞(以下に記載)は、さらなる制限細胞(例えば、エピブラスト幹細胞(以下に記載)、中胚葉幹細胞、間葉系幹細胞等)に分化することができ、これは、今度はさらに制限される細胞(例えば、心筋前駆細胞、神経前駆細胞等)に分化することができ、これが最終段階の細胞(すなわち、最終分化細胞、例えば、ニューロン、骨格筋細胞、心筋細胞、脂肪細胞、骨芽細胞等)に分化することができ、これらはある組織型において特徴的な役割を果たし、さらに増殖するための能力を有してもまたは有さずともよい。異なるタイプの幹細胞は、特異的マーカー(例えば、タンパク質、RNA等)の存在及び特異的マーカーの不在の両方によって特徴付けられ得る。幹細胞はまた、インビトロ及びインビボの両方の機能的アッセイによって、具体的には、特定のタイプの分化した子孫をもたらすための幹細胞の能力に関するアッセイによって同定され得る。
幹細胞が対称的に分裂する場合、両方の得られた娘細胞は等価である。例えば、幹細胞は、自己再生する対称的な分裂を行うことができ、その中で得られた娘細胞は、母細胞のものと当量の分化能力を有する幹細胞である。しかしながら、両方の得られた娘細胞が母細胞に対して代わりに分化され得るために、対称的分裂が必ずしも自己再生分裂というわけではない。幹細胞が非対称的に分裂する場合、得られた娘細胞は、互いに異なる。例えば、幹細胞が自己再生非対称的分裂を受ける場合、今度は、得られた娘細胞の一方が母細胞と同様な分化能力の量を有する幹細胞であるが、他方の娘細胞は、母細胞に対して分化されている(例えば、より系統的に制限された前駆細胞、最終分化細胞等)。幹細胞は、直接的に分化されてもよく(すなわち、分裂なしに)、またはこの代わりに、非対称的もしくは対称的細胞分裂を通して分化細胞型を生成してもよい。
本開示における対象となる幹細胞(すなわち、細胞集団)は、多能性幹細胞(PSC、すなわち、PSC集団)を含む。用語「多能性幹細胞」または「PSC」は、自己再生することができかつ生物の全ての細胞型を生成することができる(すなわち、多能性)幹細胞を意味するように本明細書で使用される。したがって、PSCは、生物の全ての胚葉(内胚葉、中胚葉、及び外胚葉)の細胞を生じることができる。多能性幹細胞は、2つの状態で存在し、すなわち(i)マウス胚幹細胞(ESC、以下により詳細に記載)によって集約される「ナイーブ型」状態、及び(ii)発達的により進化したマウスのエピブラスト幹細胞(EpiSC、以下により詳細に記載)によって集約される「プライム型」状態で存在する。ナイーブ型状態では、PSCゲノムは、異常な開状態の立体配座を有し、最小限の制限的エピジェネティックマークを有する。これとは対照的に、プライム型状態における細胞は、胚の細胞型に向かう分化を支援する活性化されたエピジェネティック可動部分を有する。したがって、ナイーブ型からプライム型多能性への移行は、細胞分化における中心的事象を表す。ナイーブ型及びプライム型状態に関するより詳細な説明は、例えば、Nichols and Smith,Cell Stem Cell.2009 Jun 5;4(6):487−92:Naive and primed pluripotent statesを参照されたい。
本開示における対象となる幹細胞はまた、組織特異的幹細胞、例えば、エピブラスト幹細胞、中胚葉幹細胞、間葉幹細胞、神経幹細胞を含む。用語「組織特異的幹細胞」は、自己再生することができるが、制限された能力を有する細胞を意味するように本明細書で使用され、すなわち、これは人の手によるいくつかの操作なくしては体内の全ての細胞型を誘起することができない。組織特異的幹細胞は、それらが由来する組織の細胞を生じることができる。例えば、神経幹細胞は、ニューロン、乏突起膠細胞、及び星状膠細胞を生じることができる。組織特異的幹細胞は、その後さらに制限される細胞(例えば、心筋前駆細胞、神経前駆細胞等)に分化することができ、これは最終段階の細胞(すなわち、最終分化細胞、例えば、ニューロン、骨格筋細胞、心筋細胞、脂肪細胞、骨芽細胞等)に分化することができる。
本開示における対象となる細胞はまた、前駆細胞を含む。用語「前駆細胞」は、典型的に広範な自己再生能力を有さず(すなわち、自己再生分裂の数が限定される)、多くの場合限定された数の分化細胞型(例えば、これらが由来する組織で見出される細胞の特異的なサブセット)だけを生成し得る、あるタイプの幹細胞を指すように本明細書で使用される。したがって、前駆細胞は、それを生じる組織特異的幹細胞に対して分化されるが、さらに分化される細胞(例えば、最終分化細胞)も生じることができる。本発明の目的のために、前駆細胞は、対象となる系統に向かうことが約束された細胞(例えば、心筋前駆細胞、神経前駆細胞等)であるが、成熟細胞(例えば、心筋細胞、ニューロン等)までまだ分化されていないものである。
主題方法において接触された幹細胞または前駆細胞は、任意の哺乳動物種、例えば、ネズミ科、齧歯類、イヌ科、ネコ科、ウシ科、ヒツジ科、霊長類、ヒト等からのものであり得る。インビトロ試験については、細胞は、確立された細胞株からのものであってもよく、またはこれらは一次細胞であってもよく、「一次細胞」、「一次細胞株」及び「一次培養物」は、対象に由来し、限定された数の継代(すなわち、培養物の分裂)にわたってインビトロで増殖させる細胞及び細胞培養物を指すように本明細書で互換的に使用される。例えば、一次培養物は、0回、1回、2回、4回、5回、10回、または15回継代させ得るが、クライシスステージまで突き進むのには十分な時点にはない培養物である。典型的には、本発明の一次細胞株は、インビトロで10継代よりも少ない継代で維持される。
細胞が一次細胞である場合、これらは、任意の従来の方法によって、個体から採取され得る。例えば、細胞、例えば血液細胞、例えば造血幹細胞または造血前駆細胞は、アフェレーシス、白血球吸着除去療法、密度勾配分離、骨髄生検、胎児肝臓生検、臍帯血等によって採取され得る。別の例として、固形組織からの細胞、例えば神経幹細胞または前駆細胞は、生検によって、例えば、幹細胞ニッチから、例えば脳室下帯から採取され得る。適切な溶液が、採取細胞の分散または懸濁のために使用されてもよい。こうした溶液は、一般的には、バランス塩溶液、例えば、通常、低濃度(一般的に5〜25mM)における許容し得る緩衝液と共に、ウシ胎児血清及び/または他の因子、例えばB27で補充された、正常生理食塩水、PBS、ハンクのバランス塩溶液、イスコフ(Iscoves)等であるだろう。簡便な緩衝液は、HEPES、リン酸塩緩衝液、乳酸塩緩衝液等を含む。細胞は、すぐに使用されてもよく、またはこれらは、解凍され、再利用可能な状態で、長期間にわたって凍結保存されてもよい。こうした場合、細胞は10%のDMSO、50%の血清、40%の緩衝化媒質、またはこうした凍結温度で細胞を保存するために当該技術分野において一般的に使用されるような他のこうした溶液中で凍結され、凍結培養細胞に関して当該技術分野において一般的に既知の方法で解凍される。
インビトロにおける細胞の主題組成物との接触は、任意の培地中で細胞の生存を促進する任意の培養条件の下で生じることができる。例えば、細胞は、血清(例えば、ウシ胎児血清、熱不活性化ヤギ血清(約5〜10%)等)、または増殖を支援する合成試薬(例えば、B27、抗生物質(例えば、ペニシリン及びストレプトマイシン)で補充された、イスコフ改変DMEMまたはRPMI 1640などの簡便である任意の適切な栄養培地中に懸濁させることができる。培養物は、細胞が応答する増殖因子を含有してもよい。本明細書で定義される増殖因子は、膜貫通受容体に及ぼす特異的作用を通して、培養物中または無処置組織中のいずれかで、細胞の生存、増殖及び/または分化を促進することができる分子である。増殖因子は、ポリペプチド及び非ポリペプチド因子を含む。ニューロンの培養における特定の用途を見出す培地及び試薬の例は、以下の実施例の部分において見出すことができる。
主題方法の実践において、主題組成物は、細胞に1回以上、例えば、1回、2回、3回、または3回を超えて提供されてもよく、各接触事象後、細胞を主題作用物質と共にいくらかの時間にわたって、例えば16〜24時間、インキュベートさせて、その後培地が新鮮な培地と交換され、細胞がさらに培養される。
上記で考察されたように、主題の方法及び組成物は、幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態を治療することにおいて用途を見出す。これらのインビボ実施形態では、主題作用物質は、個体に直接投与される。例えば、ネズミ科、齧歯類、イヌ科、ウシ科、ヒツジ科、霊長類、ヒト等の任意の哺乳動物は、主題の医学的状態を治療するために主題作用物質で投与され得る。主題作用物質は、ポリペプチド、ペプチド、小型分子または核酸の対象への投与のための多くの周知の方法のいずれか、例えば、本明細書に記載されるものまたは当該技術分野で既知のものによって投与され得る。
インビボにおける細胞の主題組成物との接触は、任意の従来の経路を介する主題組成物の個体への投与によって達成することができる。例えば、主題組成物は、経口、口腔内、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内等で投与され得る。主題組成物は、局所的にまたは全身的に、例えば、脳室内で骨髄などに投与されてもよい。活性作用物質は、投与後全身的であってもよく、または局所投与、壁内投与の使用によって、もしくは移植部位にて活性用量を保持するよう作用するに移植片の使用によって局所的なものであってもよい。
主題方法の実践において、H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質の有効量が、典型的に提供される。生化学的に言うと、主題作用物質の「有効量」または「有効用量」は、H2A脱ユビキチン化酵素の脱ユビキチン化活性を、約20%以上まで、例えば30%以上まで、40%以上まで、50%以上まで、いくつかの例では60%以上まで、70%以上まで、80%以上まで、または90%以上まで、場合によっては約100%まで、すなわち、ごく僅かな量にまで、阻害し、拮抗し、減少させ、低下させ、または抑制する作用物質の量である。ヒストンユビキチン化の範囲を測定するための任意の従来の方法、例えば、当該技術分野で既知のものまたは本明細書で記載されるものが、有効量を決定するために使用されてもよい。
臨床的観点において、H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質の有効量、または有効用量は、通常、少なくとも約1週間、おそらくは約2週間、もしくはそれ以上、最長で約4週間、8週間、またはそれ以上の期間の適切な期間にわたって投与される場合、医学的状態に関連する症状、例えば、神経発達障害、神経変性疾患、または脳損傷を有する個体における認知障害;高齢の個体における細胞老化に関連する認知障害及び自己免疫状態;例えば、癌、AIDS、うっ血性心不全、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、または腎不全に関連する筋委縮;骨髄欠乏症に関連する免疫不全;膵臓細胞再生を必要とする膵臓疾患に関連するインスリン欠乏症、例えば糖尿病;肝不全に関連する黄疸、疲労、虚弱;重度熱傷後の創傷治癒等における改変の証拠を提供する。例えば、CNS、造血細胞コンパートメント、膵臓、肝臓、肺における改善された組織発達及び/または機能を測定するための方法は、当該技術分野において周知であり、そのいずれかを用いて、有効用量を決定し、個体が主題組成物の投与によって医学的状態に対して治療されることを決定することができる。当業者であれば、初期用量がこうした期間にわたって投与され、続いて、場合によっては低下した投与量で、維持用量が投与され得ることを理解するであろう。
例えば、有効用量は、通常、少なくとも約1週間、おそらくは約2週間、もしくはそれ以上、最長で約4週間、8週間、またはそれ以上の期間の適切な期間にわたって投与される場合、ダウン症候群などの神経発達障害、アルツハイマー病などの神経変性疾患、または脳損傷に関連する認知障害に冒されている患者において、認知機能低下を約20%以上まで、例えば30%以上まで、40%以上まで、50%以上まで、いくつかの例では60%以上まで、70%以上まで、80%以上まで、または90%以上まで、緩慢化するか、または停止させる、すなわち、認知能力を安定化させる用量である。いくつかの実施形態では、有効量または有効用量は、疾患状態の進行を緩慢化するまたは停止させることができるばかりでなく、状態の好転も誘起することができる。例えば、有効用量は、通常、少なくとも約1週間、おそらくは約2週間、もしくはそれ以上、最長で約4週間、8週間、またはそれ以上の期間の適切な期間にわたって投与される場合、例えば、ダウン症候群などの神経発達障害、アルツハイマー病などの神経変性疾患、または脳損傷に関連する認知障害を有する個体における認知を、例えば、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、いくつかの例では6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍以上まで改善するであろう。認知における改善は、例えば記憶における改善として観察することができる。記憶における改善は、当該技術分野において既知の簡便な方法を用いて、例えば、検索関連脳活性を評価することによって(Buchmann A,et al.(2008)Prion protein M129V polymorphism affects retrieval−related brain activity.Neuropsychologia.46(9):2389−402)、または例えば、馴染みがある対象及び馴染みがない対象を用いる反復プライミング後に機能核磁気共鳴断層装置(fMRI)による脳組織を画像撮影することによって(Soldan A,et al.(2008)Global familiarity of visual stimuli affects repetition−related neural plasticity but not repetition priming.Neuroimage.39(1):515−26、Soldan A,et al.(2008)Aging does not affect brain patterns of repetition effects associated with perceptual priming of novel objects.J Cogn Neurosci.20(10):1762−76)、容易に評価することができる。他の例は、認知能力、例えば、注意力及び集中力、複雑な作業及び概念を学習するための能力、記憶、情報処理能力、視覚空間機能、言語を発し、理解するための能力、問題を解き決定を行うための能力、及び遂行機能を実施するための能力を測定するための認知試験及びIQ試験などの試験を含み、例えば、記憶について、一般医向け認識脳評価(GPCOG)試験、記憶障害スクリーン、簡易精神状態検査(MMSE)、カリフォルニア言語学習試験、第2版、短文式、Delis−Kaplan実行機能検査等を含む。
いくつかの例では、細胞を、複数の作用物質に接触させてもよい。例えば、主題組成物は、インビトロで第2の作用物質と共に細胞に提供されてもよく、または主題組成物は、インビボで第2の作用物質と共に細胞に提供されてもよい。2つ以上の異なる主題作用物質が細胞に提供される、すなわち作用物質が混合される場合、これらの作用物質は、例えば、同時に送達される2つのポリペプチドとして、同時に送達される2つの核酸ベクターとして、2つのポリペプチドに対するコード配列を含む単一の核酸ベクターとして、同時に提供される2つの小型分子としてなど、同時に提供されてもよい。あるいは、これらは連続的に提供されてもよく、例えば、第1の主題作用物質が先ず初めに提供され、その後第2の主題作用物質が提供されるなどでもよく、またその逆も可能である。
いくつかの実施形態では、主題組成物は、第2の作用物質と共に提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、主題組成物は、細胞中で幹細胞自己再生を促進する作用物質と共に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、主題組成物は、例えば細胞中でヒストンユビキチン化を促進する作用物質、例えばヒストンユビキチン化酵素の拮抗物質と共に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、主題の医学的状態を治療することが当該技術分野において立証されている作用物質と共に提供されてもよい。例えば、多くの作用物質が、アルツハイマー病の認知症状(例えば、記憶喪失、錯乱、思考及び判断に関する問題)を治療することにおいていくらかの有効性を有することが示されていて、これらは、例えば、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリン)、メマンチン、及びビタミンEである。別の例として、多くの作用物質が、アルツハイマー病の行動及び精神に現れる症状を治療することにおいていくらかの有効性を有することが示されており、これらは、例えばシタロプラム(セレクサ)、フルオキセチン(プロザック)、パロキセイン(パキシル)、セルトラリン(ゾロフト)、トラゾドン(デジレル)、ロザゼパム(アチバン)、オキサゼパム(セラクス)、アリピプラゾール(エビリファイ)、クロザピン(クロザリル)、ハロペリドール(ハルドール)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)、リスペリドン(リスパダール)、及びジプラシドン(ジオドン)である。
いくつかの実施形態では、主題組成物は、抗酸化剤と共に提供されてもよい。「抗酸化剤」とは、フリーラジカルによって分子の酸化を阻害する分子を意味する。酸化とは、電子または水素を物質から酸化剤に移動させる化学反応を意味する。酸化反応は、フリーラジカル中間体を生成することができ、フリーラジカル中間体が今度は電子または水素を細胞分子、例えば、DNA、タンパク質、脂質等に移動させ、細胞損傷または細胞死を引き起こす。抗酸化剤は、フリーラジカル及びフリーラジカル中間体を除去することによって、これらの連鎖反応の開始を妨害し、これによって、それら自体が酸化されるようになる。言い換えると、抗酸化剤は、フリーラジカル捕捉剤である。故に、抗酸化剤は、多くの場合、チオール、アスコルビン酸、またはポリフェノールなどの還元剤である。抗酸化剤の例は、ベータ−カロテン、ルテイン、リコペン、ビリルビン、セレン、亜鉛、ビタミンA、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(α−トコフェロール)、尿酸、一酸化窒素、ニトロキシド、ピルベート、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、N−アセチルシステイン、ユビキノール(コエンザイムQ)、ナリンゲニン、メシル酸チリラザド、エブセレン、エダラボン、NXY−059を含む。
いくつかの実施形態では、主題組成物は、第2の作用物質の前に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、主題組成物は、第2の作用物質の後に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、主題組成物は、第2の作用物質と同時に提供されてもよい。特定のこのような実施形態では、主題組成物は、これらの追加の作用物質のうちの1つ以上を含む。
主題方法のいくつかの態様では、方法は、主題方法による治療の必要がある個体を特定するステップ、例えば、幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態を有する個体を診断するステップをさらに含み、この医学的状態は、例えば、神経発達障害、例えば、ダウン症候群、脆弱X症候群、自閉症;脳損傷、例えば、化学療法または放射線療法誘導脳損傷、外傷性脳損傷;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS;老化関連障害、例えば、リウマチ性関節炎;例えば、癌、AIDS、うっ血性心不全、COPD(慢性障害肺疾患)、または腎不全などの疾患または障害に関連する筋委縮;骨髄欠乏症;膵臓細胞、例えばβ膵島細胞の再生を必要とする疾患、例えば、糖尿病;肝臓再生を必要とする疾患、例えば、肝硬変;皮膚再生を必要とする病態、例えば重度熱傷等を含む。
こうした医学的状態に関連する症状を測定するための方法は、当該技術分野において周知であり、そのいずれかを用いて、主題方法による治療について個体を特定することができる。例えば、認知障害を測定することは、標準化学習作業またはIQ試験を行うことと、作業/試験の結果を、基準値、例えば、個体の生涯における初期にて行われた試験の結果、または健常な、すなわち、非罹患個体からの試験の結果と比べることとを含んでもよい。認知能力及び認知障害、例えば、注意力及び集中力、複雑な作業及び概念を学習するための能力、記憶、情報処理能力、視覚空間機能、言語を発し、理解するための能力、問題を解き決定を行うための能力、及び遂行機能を実施するための能力を測定するための認知試験及びIQ試験は、当該技術分野において周知である。
主題方法のいくつかの態様では、方法は、例えば、本明細書に記載される方法または当該技術分野において既知の方法を用いて、治療後に医学的状態に関連する症状を測定するステップと、主題組成物が投与される前と比較して治療後の症状における減少を検出するステップとをさらに含む。いくつかの例では、決定は、評価の結果を、より早い時期に、例えば、1週間前、2週間前、1ヶ月前、2ヶ月前、3ヶ月前、6ヶ月前、9ヶ月前、1年前、2年前、5年前、10年前、またはそれ以上前に同じ個体で行われた評価の結果と比べることによって行われる。他の例では、決定は、評価の結果を、基準の個体、例えば非罹患個体で行われた評価の結果と比べることによって行われる。
有用性
主題の方法及び組成物は、医学的治療における及び研究における多くの用途を見出す。例えば、主題の方法及び組成物は、幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態を有する個体のインビボでの治療において使用することができる。第2番目の例として、主題の方法及び組成物は、幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態のための新しい治療薬を同定するためのインビトロスクリーニングにおいて使用することができる。
「治療」、「治療する」等とは、一般的に、所望の薬理学的及び/または生理学的な効果を得ることを意味する。この効果は、疾患またはその症状を完全にもしくは部分的に予防するという点で予防的であってもよく、ならびに/または疾患及び/もしくはその疾患に寄与し得る有害作用に対する部分的もしくは完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書で使用する「治療」は、哺乳動物における疾患の任意の治療をカバーし、(a)疾患の素因があり得るが、疾患を有すると未だ診断されていない対象において疾患が発症することを防止すること、(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発生を阻止すること、または(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患を消退させることを含む。治療薬は、疾患または損傷の発症前に、発症中または発症後に投与されてもよい。治療が患者の望ましくない臨床症状を安定化させまたは低減させる、進行中の疾患の治療には、特に関心がある。こうした治療は、冒された組織における機能の完全な喪失に先立って行われることが望ましい。主題治療法は、疾患の症状段階中に施されることが望ましく、場合によっては、疾患の症状段階後に施される。用語「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」は本明細書で互換的に用いられ、診断、治療、または治療法が望ましい任意の哺乳動物、特にヒトを指す。
本明細書で使用される、幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態(すなわち、「主題の状態」)とは、一般的に、疾患、障害または他の病態を明らかにしている組織が体細胞中で欠如している(例えば、組織をもたらす組織特異的幹細胞が、増殖または分化において欠陥を有した)、あるいは追加の体細胞が病態を処置することができる(例えば、損傷を被った組織において、例えば、組織特異的幹細胞を有する組織が休止状態になった状態で、例えば成体組織において)疾患、障害、または他の医学的状態を意味する。これらは、例えば、神経発達障害、例えばダウン症候群、脆弱X症候群、自閉症;脳損傷、例えば、化学療法または放射線療法誘導脳損傷、外傷性脳損傷;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS;老化関連障害、例えば、リウマチ性関節炎;筋委縮、例えば、癌、AIDS、うっ血性心不全、COPD(慢性障害肺疾患)、及び腎不全などの疾患または障害に関連する筋委縮;骨髄欠乏症;膵臓細胞、例えばβ膵島細胞の再生を必要とする疾患、例えば、糖尿病;肝臓再生を必要とする疾患、例えば、肝硬変;皮膚再生を必要とする病態、例えば重度熱傷等を含む。
例えば、医学的状態は、神経発達障害、脳損傷、神経変性疾患、または一般的な老化であってもよい。こうした例では、認知機能の低下の症状を含む。「認知」とは、認知能力、例えば、注意力及び集中力、複雑な作業及び概念を学習するための能力、記憶(短期間及び/または長期間において、新しい情報を獲得し、保持し、及び取り出すこと)、情報処理能力(五感によって集められた情報に対処するための)、視覚空間機能(精神的イメージを使用し、図形をコピーし、対象物または形状を生成する視覚、奥行き知覚)、言語を発し、かつ理解するための能力、言語の流暢さ(換語)、問題を解く能力、決定を行うための能力、及び遂行機能(計画作成及び優先順位)を含む。認知は、情報を処理し、知識を適用し、及び選好を変更するための能力である。「認知可塑性」とは、学習するための能力、例えば、新生児または青少年(例えば、出生の時期から思春期前のおよそ10代のヒト)などの未分化である生物の学習する能力に類似する、複雑な作業及び概念を学習するための能力を意味する。「認知機能低下」とは、例えば、注意力及び集中力、複雑な作業及び概念を学習するための能力、記憶(短期及び/または長期において、新しい情報を獲得し、保持し、及び取り出すこと)、情報処理能力(五感によって集められた情報に対処するための)、視覚空間機能(精神的イメージを使用し、図形をコピーし、対象物または形状を生成する視覚、奥行き知覚)、言語を発し、かつ理解するための能力、言語の流暢さ(換語)、問題を解く能力、決定を行うための能力、及び遂行機能(計画作成及び優先順位)のうちの1つ以上における例えば機能低下によって立証されるような、認知能力における進行性の低下を意味する。「認知能力における障害」、「認知機能低下」、及び「認知機能障害」とは、健常な個体、例えば年齢を対応させた健常な個体に対する認知における障害を意味するか、または早い時点における、例えば、2週間前、1ヶ月前、2ヶ月前、3ヶ月前、6ヶ月前、1年前、2年前、5年前、または10年前もしくはそれ以上前の個体の能力と比較する認知における障害を意味する。
いくつかの例では、主題方法によるまたは主題組成物を用いる治療は、主題状態を有する個体の認知能力を安定化する。例えば、主題状態に冒されている個体における認知機能低下の進行は、開示された方法による治療後に停止される。言い換えると、(さらなる)認知機能障害は観察されない。いくつかの例では、本開示の方法による治療は、例えば、主題状態に関連する認知機能低下に冒されている個体における認知能力を改善することによって観察されるように、本開示の方法による治療は、認知機能障害を低減し、または好転させる。言い換えると、開示された方法による治療後に、認知機能低下に冒されている個体の認知能力は、開示された方法による治療の前よりも良好であり、すなわち、開示された方法は治療を改善する。いくつかの例では、本開示の方法による治療は、認知機能障害を阻害する。言い換えると、主題状態に関連する認知機能低下に冒されている個体の認知能力は、例えば、主題状態に関連する認知機能低下に冒されている個体における改善された認知能力によって立証されるように、開示された方法による治療後に、より早期の年齢において経験されたレベルまで回復する。
いくつかの実施形態において、方法は、認知機能の低下を有する、または認知機能低下を経験している個体を特定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、作用物質投与前及び作用物質投与後の記憶または認知機能を測定することをさらに含み、作用物質投与後の記憶または認知機能は、作用物質投与前の記憶または認知機能と比較すると改善される。認知機能を測定するための当該技術分野で既知のまたは本明細書に記載される任意の簡便な方法を用いて、主題方法による治療の必要がある個体を特定すること及び/または主題方法を用いる治療中/治療後の個体における認知機能の安定化または改善を測定することができる。これらは、例えば、個体に対して標準化学習作業またはIQ試験を行うことと、作業/試験の結果を基準値と比較することとを含む。いくつかの例では、基準値は、認知機能の低下を経験している(すなわち、陽性対照)または認知機能の低下を経験していない(すなわち、陰性対照)のいずれかの1つ以上の年齢を対応させた個体によって行われた作業/試験の結果であってもよい。いくつかの例では、基準値は、例えば、個体が認知機能低下に冒されているかを決定するために、早期の年齢で、例えば、1週間前、1ヶ月前、3ヶ月前、6ヶ月前、9ヶ月前など、同一の個体によって行われた作業/試験の結果であってもよい。
スクリーニング
本発明のいくつかの態様では、幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する状態を有する個体を治療するための、例えば本明細書に記載される治療法において使用するための能力について候補作用物質をスクリーニングすることが提供される。このために、USP16デユビキチナーゼ活性が肝細胞増殖及び機能を低下させることを本明細書で示した。したがって、USP16デユビキチナーゼ活性を低下させる候補作用物質のためのスクリーニングは、幹細胞増殖、より具体的には神経幹細胞増殖及び神経新生を促進する上で有用となる作用物質を特定するべきであり、このことが、転じて、幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する状態の症状を治療する。
例えば、生物学的に活性な作用物質についてのスクリーニングアッセイにおいて、USP16を発現する細胞を、対象となる候補作用物質と接触させて、候補作用物質の細胞に及ぼす効果が、1つ以上の出力パラメータを監視することによって評価される。パラメータは、細胞の定量化可能な構成成分であり、特に、望ましくはハイスループットシステムにおいて正確に測定され得る構成成分である。パラメータは、細胞表面決定因子、受容体、タンパク質もしくはその立体配座あるいは翻訳後修飾体、脂質、炭水化物、有機もしくは無機分子、核酸、例えばmRNA、DNA等、またはこうした細胞構成成分に由来する部分またはこれらの組み合わせを含む任意の細胞構成成分または細胞生成物であり得る。大部分のパラメータは、定量的読取りを提供するであろうが、いくつかの例では、半定量的または定性的結果が許容可能となる。読取りは、単一の決定値を含んでもよく、または平均値、中央値または分散値等を含んでもよい。特徴的には、パラメータ読取り値の範囲は、複数の同一のアッセイからの各パラメータについて得られることになる。ばらつきが予想され、テストパラメータの集合のそれぞれについての値の範囲が、単一の値を提供するために用いられる一般的な統計学的手法と共に標準統計学的手法を用いて得られるであろう。したがって、例えば、1つのこうした方法は、USP16を発現する細胞を候補作用物質に接触させることと、パラメータをUSP16は発現するが候補作用物質と接触させなかった細胞中のパラメータと比較することとを含むことができ、候補作用物質と接触させた細胞中のパラメータにおける差は、候補作用物質が幹細胞自己再生の速度の低下に関連し、幹細胞自己再生の速度の増加に反応する状態による症状を治療することを示す。
神経発達障害または神経変性疾患の治療のための治療薬として使用され得るものを同定するために候補作用物質をスクリーニングする場合に定量化され得るパラメータの一例は、USP16デユビキチナーゼ活性になる。USP16デユビキチナーゼ活性は、例えば、本明細書に記載されるような、または当該技術分野において既知であるような任意の簡便な方法によって測定され得る。例えば、USP16デユビキチナーゼ活性は、H2Aユビキチン化を評価することによって測定されてもよく、候補作用物質と接触させなかった細胞中のH2Aユビキチン化の量と比べてのH2Aユビキチン化の量における増加は、候補作用物質が神経発達障害または神経変性疾患を有する個体を治療することを示す。別の例として、USP16デユビキチナーゼ活性は、細胞中のInk4a/ArfRNAまたはタンパク質の量を測定することによって測定されてもよく、候補作用物質と接触させなかった細胞中のInk4a/ArfRNAまたはタンパク質の量と比べてのInk4a/ArfRNAまたはタンパク質の量における減少は、候補作用物質が神経発達障害または神経変性疾患を有する個体を治療することを示す。いくつかの例では、1つのパラメータが測定される。いくつかの例では、複数のパラメータが測定される。
スクリーニングに有用な細胞は、USP16を発現する任意の細胞を含む。いくつかの例では、細胞はUSP16を過発現し、例えば、細胞は野生型細胞で観察されるよりも多量のUSP16を発現する。例えば、細胞はUSP16について三染色体性であってもよく、例えば、細胞は染色体21において三染色体性またはそのUSP16含有断片を有する対象から急性的に培養されてもよい(すなわち、三染色体性21一次細胞)。細胞は、三染色体性21一次細胞に由来する細胞株であってもよい。細胞は、例えば、USP16タンパク質をコード化する核酸を含むベクターによる形質転換または感染によって、USP16ポリペプチドの細胞への直接的導入によって等、USP16を過発現するように操作されてもよい。いくつかの例では、USP16は、染色体外で発現される(例えば、ミニサークル、コスミド等から)。他の例では、USP16は、細胞のゲノムから発現される。例えば、細胞は、USP16の追加のコピーを異所性発現する、またはダウン症候群を有する個体(例えば、マウス、ラット、ヒト等)からのいずれかの例えば、神経幹細胞、造血幹細胞、乳腺幹細胞、間葉幹細胞、線維芽細胞等であってもよい。
スクリーニング用の対象となる候補作用物質は、多数の化学物質種を包含し、主として有機分子である既知及び未知の化合物を含み、これは、有機金属分子、無機分子、遺伝子配列等を含んでもよい。本発明の重要な態様は、毒性試験等を含む候補薬剤を評価することである。候補作用物質は、構造上の相互作用、特に水素結合のために必要な官能基を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含み、頻繁にはこれらの官能化学基のうちの少なくとも2つを含む。候補作用物質は、上記官能基のうちの1つ以上を有する、周期性炭素または複素環構造及び/または芳香族もしくはポリ芳香族構造を含むことが多い。候補作用物質は、ペプチド、ポリヌクレオチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、これらの誘導体、構造類似体または組み合わせを含む生体分子の中でも見出される。薬理活性薬剤、遺伝的活性分子等も含まれる。対象となる化合物は、化学療法剤、ホルモンまたはホルモン拮抗薬等を含む。本発明に好適な薬剤の例は、“The Pharmacological Basis of Therapeutics,”Goodman and Gilman,McGraw−Hill,New York,N.Y.,(1996),Ninth editionに記載されているものである。毒素、及び生物ならびに化学戦剤も含まれ、例えば、Somani,S.M.(Ed.),“Chemical Warfare Agents,”Academic Press,New York,1992)を参照されたい。
スクリーニング用の対象となる候補作用物質はまた、核酸、例えばsiRNA、shRNA、アンチセンス分子、CRISPRiもしくはmiRNAをコード化する核酸、またはポリペプチドをコード化する核酸を含む。核酸を標的細胞に移動させるために有用な多くのベクターが利用可能である。ベクターはエピソーム的に、例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、例えばサイトメガロウイルス、アデノウイルス等のウイルス由来ベクターとして維持されてもよく、またはこれらは、例えば、MMLV、HIV−1、ALV等のレトロウイルス由来ベクター相同的組換えもしくはランダム組込みを通して標的細胞ゲノムに組み込まれてもよい(例えば、MMLV、HIV−1、ALV等のレトロウイルス由来ベクター)。ベクターは、対象の細胞に直接提供されてもよい。言い換えると、ベクターが細胞によって取り込まれるように、細胞を対象となる核酸を含むベクターと接触させる。
電気穿孔法、塩化カルシウムトランスフェクション、及びリポフェクチンなどの細胞を核酸ベクターと接触させるための方法は、当該技術分野において周知である。あるいは、対象となる核酸は、対象の細胞にウイルスを介して提供されてもよい。言い換えると、細胞を、対象となる核酸を含むウイルス粒子と接触させる。レトロウイルス、例えばレンチウイルスは、本発明の方法に特に好適である。通常使用されるレトロウイルスベクターは、「欠損性」であり、すなわち、増殖性感染に必要とされるウイルスタンパク質を生成することができない。むしろ、ベクターの複製は、パッケージング細胞株中の増殖を必要とする。関心の核酸を含むウイルス粒子を作るために、核酸を含むレトロウイルス核酸が、パッケージング細胞株によってウイルスキャプシドにパッケージ化される。異なるパッケージング細胞株は、キャプシドに組み込まれるための異なるエンベロープタンパク質を提供し、このエンベロープタンパク質は、細胞に対するウイルス粒子の特異性を決定する。主題核酸を含むレトロウイルスベクターをパッケージング細胞株に導入する方法、パッケージング株によって作成されたウイルス粒子を回収する方法、及びパッケージ化ウイルス粒子を用いて細胞を感染させる方法は、当該技術分野において周知である。
対象となる核酸を主題細胞に提供するために使用されるベクターは、典型的には、発現を導くための、すなわち、関心の核酸の転写活性を導くための、好適なプロモータを含むであろう。これは、広範に作用するプロモータ、例えば、CMV−b−アクチンプロモータ、または特定の細胞群中で活性であるプロモータもしくはテトラサイクリンなどの薬物の存在に応答するプロモータなどの誘導可能なプロモータを含むことができる。転写活性化とは、転写が、少なくとも約10倍まで、少なくとも約100倍まで、より一般には少なくとも約1000倍まで、標的細胞中の基底レベルよりも上に増加することを意図する。加えて、主題核酸を細胞に提供するために使用されるベクターは、例えば、Cre/Loxなどの組換え酵素システムを使用して後に除去されるべき遺伝子、または例えば、ヘルペスウイルスTK、bcl−xsなどの選択的毒性を可能にする遺伝子を含むことによる、それらを破壊された状態で発現する細胞を含むことができる。
スクリーニング用の対象となる候補作用物質は、ポリペプチドも含む。こうしたポリペプチドは、任意選択的に、生成物の溶解度を増加させるポリペプチドドメインに融合されてもよい。このドメインは、定義されたプロテアーゼ開裂部位、例えば、TEVプロテアーゼによって開裂されるTEV配列を通してポリペプチドに結合することができる。リンカーもまた、1つ以上の柔軟な配列、例えば1〜10個のグリシン残基を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質の開裂は、生成物の溶解度を維持する緩衝液中で、例えば、0.5〜2Mの尿素の存在下で、溶解度を増加させるポリペプチド及び/またはポリヌクレオチドの存在下などで行われる。対象となるドメインは、エンドソーム溶解性ドメイン、例えばインフルエンザHAドメイン、及び生成で補助する他のポリペプチド、例えばIF2ドメイン、GSTドメイン、GRPEドメイン等を含む。
細胞への流入を促進するために、ポリペプチドは、ポリペプチド浸透性ドメインに融合された対象となるポリペプチド配列を含んでもよい。多くの浸透性ドメインが当該技術分野において既知であり、ペプチド、ペプチド疑似体、及び非ペプチドキャリアを含める、本発明の非組込みポリペプチドにおいて使用されてもよい。例えば、浸透性ペプチドは、ペネトラチンと呼ばれるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)転写因子アンテナペディア(Antennapaedia)の3次αへリックスから誘導され得る。別の例として、浸透性ペプチドは、HIV−1 tat塩基性領域アミノ酸配列を含み、これは例えば、天然起源のtatタンパク質のアミノ酸49〜57を含むことができる。他の浸透性ドメインは、ポリ−アルギニンモチーフ、例えば、HIV−1 revタンパク質のアミノ酸34〜56、ノナ−アルギニン、オクタ−アルギニン等を含む。(例えば、Futaki et al.(2003)Curr Protein Pept Sci.2003 Apr;4(2):87−96、及びWender et al.(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2000 Nov.21;97(24):13003−8、公開された米国特許出願公開第20030220334号、同第20030083256号、同第20030032593号、ならびに20030022831号(転座ペプチド及びペプトイドの教示に関する参照により本明細書に具体的に組み込まれる)を参照されたい)。ノナ−アルギニン(R9)配列は、特性評価されているより有効なPTDの1つである(Wender et al.2000、Uemura et al.2002)。
候補ポリペプチド作用物質は、原核細胞によって生成された真核細胞から生成することができ、これはアンフォールディング、例えば、熱変性、DTT還元等によってさらに処理されてもよく、当該技術分野において既知の方法を用いてさらにリフォールディングされてもよい。一次配列を変更しない対象となる修飾は、ポリペプチドの化学的誘導体化、例えば、アシル化、アセチル化、カルボキシル化、アミド化等を含む。グリコシル化の修飾物、例えば、ポリペプチドのグリコシル化パターンをその合成及び処理中に修飾することによって、またはさらなる処理ステップ中に修飾すること(例えば、哺乳動物グリコシル化または脱グリコシル化酵素などのグリコシル化に影響を及ぼす酵素にポリペプチドを曝すことによって)によって作成されたものも含まれる。リン酸化アミノ酸残基、例えばホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニンも包含される。タンパク質分解による崩壊に対するポリペプチドの抵抗性を改善するように、または溶解特性を最適化するように、あるいはそれらを治療薬としてより適切なものにするように、通常の分子生物学的技術及び合成化学を用いて修飾されたポリペプチドも本発明に含まれる。こうしたポリペプチドの類似体として、天然起源のLアミノ酸以外の残基を含むもの、例えば、Dアミノ酸または非天然起源の合成アミノ酸を含む。Dアミノ酸は、アミノ酸残基の一部または全てに対して置換されてもよい。
あるいは、候補ポリペプチド作用物質は、当該技術分野において既知の通常の方法を用いる、インビトロ合成によって調製することができる。種々の市販の合成装置が利用可能であり、例えば、Applied Biosystems,Inc.、Beckman等による自動化シンセサイザである。シンセサイザを使用することによって、天然起源のアミノ酸は、非天然アミノ酸で置換され得る。特定の配列及び調製の方法は、便宜性、経済性、必要とされる純度等によって決定されるであろう。あるいは、候補ポリペプチド作用物質は、組換え体合成の従来の方法に従って単離されかつ精製され得る。溶解物が発現宿主から調製することができ、この溶解物は、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィー、または他の精製技術を用いて精製される。大抵の場合、使用される組成物は、生成物の調製及びその精製の方法に関連する汚染物質に関して、少なくとも20重量%の所望の生成物、より一般的には少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%の生成物を含み、治療的目的では、通常少なくとも約99.5重量%の生成物を含む。通常、パーセンテージは、総タンパク質に基づく。
場合によっては、スクリーニングされる候補ポリペプチド作用物質は、抗体である。用語「抗体」または「抗体部分」は、エピトープに嵌合しかつエピトープを認識する特異的な形状を備える任意のポリペプチド鎖含有分子構造を含むことが意図され、ここでは1つ以上の非共有結合相互作用が、分子構造とエピトープとの間の複合体を安定化する。所定の構造とその特異的エピトープとの特異的または選択的嵌合は、時には「鍵と鍵穴」嵌合とも呼ばれる。典型的な抗体分子は免疫グロブリンであり、全ての供給源、例えば、ヒト、齧歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、他の哺乳動物、ニワトリ、他の鳥類などからの全てのタイプの免疫グロブリン、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD等が「抗体」であるとみなされる。本明細書において利用される抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかであり得る。抗体は、典型的には、細胞が培養されている培地中に提供される。
候補作用物質は、合成または天然化合物のライブラリーを含む多種多様な供給源から得ることができる。例えば、ランダム化されたオリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含める、生体分子を含む広範囲の有機化合物のランダム及び直接的合成のために多くの手段が利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であり、または容易に生成される。さらに、天然でまたは合成的に生成されたライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段を通して容易に修飾され、コンビナトリアルライブラリーを生成するように使用されてもよい。既知の薬理学的作用物質は、構造類似体を生成するために、例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等の直接的またはランダムな化学修飾を受けてもよい。
候補作用物質は、通常、この作用物質に接触させていない細胞と共に、この作用物質を少なくとも1つの、通常は複数の細胞試料に添加することによって、生物学的活性についてスクリーニングされる。作用物質に応答するパラメータにおける変化が測定され、結果は、基準培養物、例えば、その作用物質の存在及び非存在下で、他の作用物質で得られたものなどに対する比較によって評価される。
作用物質は、培養物中の細胞の培地に、溶液で、または容易に可溶可能な形態で都合よく添加される。作用物質は、断続的または連続的な流れとして、フロースルーシステム中で添加されてもよく、あるいは、化合物の丸剤を別の静的溶液に単独でまたは漸増的に添加する。フロースルーシステムでは、2つの流体が使用され、一方は生理学的中性溶液であり、他方は、添加された試験化合物を含む同一の溶液である。第1の流体が細胞上に流され、その後第2の流体が流される。単一溶液法では、試験化合物の丸剤が、細胞を包囲する培地の量に添加される。培養培地の成分の全体の濃度は、丸剤の添加によって、またはフロースルー法における2つの溶液間で著しく変化するべきではない。
種々の濃度に対する異なる応答を得るために、異なる作用物質濃度で、複数のアッセイが並行して行われてもよい。当該技術分野において既知であるように、作用物質の有効濃度の決定は、1:10の希釈、または他の対数スケールの希釈から生じた濃度の範囲を使用する。濃度は、必要な場合、第2の系列希釈で調整されてもよい。典型的には、これらの濃度のうちの1つは、陰性対照、すなわち、作用物質のゼロ濃度もしくは作用物質の検出のレベルより低い濃度または表現型における検出可能な変化をきたすことがない作用物質の濃度より低い濃度におけるものとして働く。いくつかの例では、陽性対照、例えば、USP16特異的shRNA、USP16特異的siRNA等が使用されてもよい。
選択されたパラメータを定量化するために種々の方法が利用され得る。例えば、H2Aユビキチン化は、例えば、Ink4a/Arf遺伝子座のクロマチン免疫沈降法(ChIP)によって測定することができる。Ink4a/Arf発現、すなわち、RNAまたはタンパク質レベルは、qRT−PCR、ウェスタンブロット、タンパク質アレイ等によって検出することができる。細胞増殖速度及び老化は、フローサイトメトリー、BrdU組込み、quitフラクション等によって測定することができる。こうした方法は、当業者には周知である。
以下の実施例は、例示のために提供されるものであり、限定するために提供されるものではない。
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように行い使用するかの完全な開示及び説明を提供するように提示されるものであり、本発明者がその発明としてみなすことの範囲を限定するように意図するものではなく、これらは以下の実験が実施される実験の全てまたは唯一のものであることを表すように意図するものでもない。用いられる数値(例えば、量、温度等)に関する正確性を保つための努力がなされているが、一部の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に指示しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または大気圧に近い圧力である。
分子及び細胞生化学における一般法は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,HaRBor Laboratory Press 2001)、Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons 1999)、Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley&Sons 1996)、Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagner et al.eds.,Academic Press 1999)、Viral Vectors(Kaplift&Loewy eds.,Academic Press 1995)、Immunology Methods Manual(I.Lefkovits ed.,Academic Press 1997)、及びCell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle&Griffiths,John Wiley&Sons 1998)などの標準教本などで見出すことができる。本開示中で言及される試薬、クローニングベクター、及び遺伝子操作用のキットは、BioRad、Stratagene、Invitrogen、Sigma−Aldrich、及びClonTechなどの市販ベンダーから入手可能である。
実施例1
材料及び方法
マウス。Ts65Dn、Ts1Cje、及び正倍数体同腹子マウスは、Jackson Laboratoriesから購入し、混合背景B6EiC3SnF1/Jにおいて維持した。マウスの遺伝子型を、既報(Reinholdt,L.G.et al.Molecular characterization of the translocation breakpoints in the Down‘s syndrome mouse model Ts65Dn.Mamm.Genome 22,685−691(2011)及びJacksonウェブサイト)の通りに、リアルタイムによってまたはPCRによって特定した。対照同腹子を野生型マウスとして用いた。これらのマウスは、それらのゲノム中のB6及びC3H対立遺伝子に対してヘテロ接合型である。USP16het マウス(FVB/N−Usp16Tg(Tyr)2414FOve/Mmjax)は、MMRRCから取得した。離乳年齢のNOD/SCID雌マウスは、Jackson Laboratoriesから購入した。マウスは、施設内動物実験委員会のガイドラインに従って、スタンフォード大学にて、SCORE施設において、またはSIMI動物施設において収容した。
骨髄及び末梢血液分析。骨髄細胞の単離及び分析を、既報(Akala,O.O.et al.Long−term haematopoietic reconstitution by Trp53−/−p16Ink4a−/−p19Arf−/− multipotent progenitors.Nature 453,228−232(2008))の通りに実施した。簡潔には、骨髄細胞を、2%の熱不活性化ウシ血清を含む無カルシウム及びマグネシウムHBSS中で、長骨及び股関節を乳鉢及び乳棒を用いて破砕することによって単離した。細胞を、25G針に数回通過させることによって取り出し、ACKで1分間処理し、40mmのナイロンメッシュで濾過した。分類前に、前駆細胞を、autoMACS pro Separatorを用いて、系統細胞枯渇キット(Miltenyi Biotec)と共に磁気単離を通して濃縮した。骨髄細胞の分析及び分類に使用された抗体は、系統マーカー(CD3、CD5、CD8、Gr−1、B220、ならびにTer119)、Sca−1、c−kit、CD150、CD48、CD135(Flt3)及びCD34であった。
末梢血液分析については、赤血球を低張緩衝液で細胞溶解し、有核細胞を、CD45.1、CD45.2、Ter119、Gr−1、Mac−1、CD3及びB220に対する抗体で染色した。
全ての抗体は直接接合されまたはビオチニル化され、e−Bioscience、BD Bioscience、またはBiolegendから購入した。細胞を、前方及び側方散乱プロファイルに基づいてゲートし、生/死の識別は、7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD)またはDAPIで得た。分析及び分類は、FACS Aria II(BD Bioscience)を用いて行った。
骨髄移植。レシピエントC57Bl CD45.1マウス(8〜12週齢)を、2種の放射線量を3時間離して送達して、致死的に照射した(1,140ラド)。骨髄単一細胞懸濁液を、Ts65Dn、Ts1Cje及び野生型マウス(8〜12週齢)の長骨及び股関節から得て、赤血球細胞溶解用のACKで1分間処理した。主組織適合抗原に対して適合するハプロタイプを有するドナー動物だけを用いた(H2Kb/b)。レシピエントマウスを、非照射のC57Bl/Ka−CD45.1マウスからの放射線防護用量の3×105 個の骨髄細胞と混合したドナーマウスからの全骨髄細胞の3つの異なる用量(5×105 細胞、1.5×105 細胞、0.5×105 細胞)の後眼窩静脈洞注射によって競合的に再構成した。各群について5匹のマウスを使用した。末梢血液の再構成に関して、マウスを毎月分析した。
二次移植については、生着したレシピエントから、一時移植後少なくとも4ヶ月目に5×106 個の骨髄細胞を採集し、致死的に照射したC57Bl CD45.1マウスに注入した。指示した時間点で、再構成を末梢血液中で測定した。
レンチウイルス感染Ts65Dnの骨髄細胞の移植については、8〜12週齢のTs65Dn H2Kb/bマウスからKLS細胞を単離し、分類した。分類されたKLSを、指示したレンチウイルス(MOI=200)と一緒に一晩インキュベートした。翌朝、KLSを洗浄し、非照射のC57Bl/Ka−CD45.1マウスからの放射線防護用量の3×105 個の骨髄細胞と混合し、致死的に照射されたマウスに注入した。これと並行して、レンチウイルスの組込みレベルが複数の試料間で同様であることを確かめるために、感染後48時間目に、感染細胞中のGFP発現のレベルをFACSによって確認した。
全ての移植実験について、ドナー細胞によって再配置されたとみなされるマウスは、リンパ系サブ集団(CD3+ ならびにB220+ )中及び骨髄系サブ集団(Gr−1+ 及びMac−1+ )中の両方で1%を超えるドナー由来の(CD45.2+ )細胞を有するマウスであった。限界希釈実験からの長期再構成細胞の発生頻度を、ELDAソフトウェアを用いて計算した(Hu,Y.et al.ELDA:extreme limiting dilution analysis for comparing depleted and enriched populations in stem cell and other assays.J.Immunol.Methods 347,70−78 (2009))。
造血幹細胞のインビトロコロニー形成。Methocult培養については、既報(Akala,O.O.et al.Long−term haematopoietic reconstitution by Trp53−/−p16Ink4a−/−p19Arf−/− multipotent progenitors.Nature 453,228−232(2008))の通りに、単一の野生型HSCを、100μlのMethocult GF M3434培地(StemCell Technologies)を備えるU底の96−ウェルプレートで二重分類した。陽性コロニーを培養の7日目にスコア化した。
ニューロスフェアアッセイ。野生型、Ts65Dn、Ts65Dn/USP16het 及びUSP16het マウスをCO2 により殺処分し、断頭し、脳をすぐに取り出した。脳室下帯を微小切除し、さらなる処理のために氷冷PBS中に保存した。組織を、TryPLE express(Invitrogen)及びDNアーゼI(250単位/ml)を用いて、37℃で10分間消化し、続いて滅菌ピペットを用いてトリチュレートした。消化された組織を、カルシウム、マグネシウムを含まない氷冷PBS中で洗浄し、40umのフィルターを通して濾過し、ニューロスフェア増殖培地中(すなわち、2%のB27−A(Invitrogen)、1%のN2(Invitrogen)、マウス組換えEGF(20ng/ml)ならびにbFGF(20ng/ml)(Shenandoag Biotechnology)及び2ug/mlのヘパリン(Sigma)で補充されたNeurobasal−A(Invitrogen)及びDMEM F/12(1:1))中に再懸濁した。系統細胞を、マウスCD45、CD31、CD34、及びTer119マイクロビーズ(miltenyi)を用いて枯渇させ、陰性フラクションを採集した。FACS分析については、細胞を、抗CD15−FITC(MMA;BD)、抗プロミニン1−APC(ebiosciences)及びPE−Cy7−ストレプトアビジンと複合体を形成するビオチニル化EGF(2μg/ml;Invitrogen)で染色した。
限界希釈分析については、ダウンの細胞をウェル当たり1つの細胞にする限界希釈で、細胞を96ウェル中に直接播種した。各播種用量を24ウェルで行い、ニューロスフェアを有するウェルの数を10日後に計数した。連続継代については、各継代からのニューロスフェアを採集し、48ウェルの皿でウェル当たり100個の細胞として、または上記記載と同様な限界希釈様式のいずれかで再播種した。
マウス乳腺分析。野生型、Ts65Dn、またはTs1Cjeマウスのいずれかから乳腺を切除し、既報(Stingl,J.et al.Purification and unique properties of mammary epithelial stem cells.Nature 439,993−997(2006))の通りに分析した。簡潔には、乳腺をコラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ中で消化し、続いて、トリプシン、及びDNアーゼ/ディスパーゼでACK細胞溶解した。その後、細胞を以下の抗体で染色した(CD45、CD31、Ter119、CD49f及びCD24(Biolegend))。
全ての実験について、全ての抗体は直接接合されまたはビオチニル化され、e−Bioscience、BD Bioscience、またはBiolegendから購入した。細胞を、前方及び側方散乱プロファイルに基づいてゲートし、生/死の識別は、7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD)またはDAPIで得た。分析及び分類は、FACS Aria II(BD Bioscience)を用いて行った。
インビトロ乳腺コロニー形成アッセイ。96−ウェルの超低接着表面プレート(BD)を、ウェル当たり60μlの増殖因子低下マトリゲル(BD)と混合した照射L−WNT3aのフィーダー層で調製した。WT、Ts65Dn、またはTs1Cjeマウスからの1000個の分類したMRUを、既報(Dalerba,P.et al.Single−cell dissection of transcriptional heterogeneity in human colon tumors.Nat.Biotechnol.29,1120-1127(2011)、Zeng,Y.A.et al.Wnt proteins are self−renewal factors for mammary stem cells and promote their long−term expansion in culture.Cell Stem Cell 6,568-577(2010))の通りに液体培地中に播種した。10%のFBS及び2.5%の増殖因子低下マトリゲルを、補充物として添加した。
乳腺移植片。系統- (CD45+ CD31+ Ter119+ )細胞集団を、染色培地中で12週齢のマウスから単離し、既報(Stingl,J.et al.Purification and unique properties of mammary epithelial stem cells.Nature 439,993-997(2006))の通りに、生後21〜28日のレシピエントNOD/SCIDマウスの除去した脂肪パッドに注入する前に、移植片当たり10μlの無菌PBS+30%のマトリゲル中に再懸濁させた。分析前に、全ての移植片を、少なくとも6週間、しかし10週間以下にわたって増殖させた。Usp16系統のノックダウンについては、細胞をDMEM/F12+10%FBS中で、対照レンチウイルスまたはUsp16に対するshRNAのいずれかで一晩感染させた。その後、細胞を洗浄し、移植用に無菌PBS+30%マトリゲル中に再懸濁した。
乳腺移植片突出部面積計算については、NIH ImageJソフトウェアを用いた。簡潔には、GFP陽性乳腺管を、管周辺の形状を描くことによってフリーハンドで測定した。測定は、全ての試料に対して、同じ倍率で「盲検」様式で行った。陽性の突出部のみを測定で用いた。
乳腺組織の免疫蛍光法。12週齢のマウスを殺処分し、乳腺を外科的に取り出した。乳腺をホルマリン中で一晩固定し、その後70%のエタノール中に移した。次いで、これらをパラフィンに包埋し、組織学検査用に切片化した。染色については、スライドをキシレン中で脱パラフィン化し、段階的なアルコールで処理した。抗原の回収は、マイクロ波中で20分間加熱することによって、トリス−EDTA緩衝液中で行った。一次抗体CK14(Covance)及びCK8を一晩適用した。二次抗体は、抗−ラットDyLight 488及び抗−ウサギDyLight 594(両者ともJackson Labsから入手)であった。次いで、Prolong Anti−fade試薬(Invitrogen)を用いて切片を設置した。NIKON倒立顕微鏡で画像を取得した。
ウェスタンブロット及びクロマチン免疫沈降法。ウェスタンブロット分析については、クロマチン抽出物を、亜細胞タンパク質フラクションキット(Thermo Sceintific)を用いて調製した。H2AK119抗体(ウサギ)は、Cell Signalingから購入し、H2A抗体は購入した。クロマチン免疫沈降法は、H2AK119についてのポリクローナル抗体(Cell Signaling)を用いて、基本的に既報(Negishi,M. et al.A novel zinc finger protein Zfp277 mediates transcriptional repression of the Ink4a/arf locus through polycomb repressive complex 1.PLoS ONE 5,e12373(2010))の通りに行った。
レンチウイルス調製物。ダウンレギュレーションのために使用されたレンチウイルスベクターは、ベクターpSicoR−GFRであった(Ventura,A.et al.Cre−lox−regulated conditional RNA interferense from transgenes.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101,10380-10385(2004))。我々は以下のヘアピンをクローンした:shC(TTCTCCGAACGTGTCACGT)shUSP16#1(CGAGTGCTGTATTCCTTATAT)、shUSP16#2(TTCTCTGGAAATACACCTATG)、shp16(CATCAAGACATCGTGCGATAT)、shp19(GCCATCTAAACGGTTCAGTTT)、ヒトshUSP16()。Cherry及びBmi1を発現するレンチウイルス構築物(pEIZ−HIV−mCherry−Bmi1)(Shimono,Y.et al.Downregulation of miRNA−200c links breast cancer stem cells with normal stem cells.Cell 138,592-603(2009))は、Y.Shimano博士から幸いにも提供していただいた。USP16過発現ベクターは、pCDH−MSCV−GFPベクター(SBI)中でUSP16クローン(ATCC)をサブクローニングすることによって得た。
ウイルスを、第2世代レンチウイルスシステムを用いて293T細胞内で産生した。上澄みを48時間及び72時間にて採集し、超遠心分離を通して濃縮した(Tiscornia,G.et al.Production and purification of lentiviral vectors. Nat Protoc 1,241−245(2006))。ウイルス力価を、濃縮ウイルスの段階希釈物で感染させた293T細胞のFACS分析によって計算した。
マウス胚線維芽細胞(MEF)及び末端尾部先端維芽細胞(TTF)。マウス胚線維芽細胞(MEF)を、Ts65Dnの母体から得られたE14.5胚から生成した。遺伝子型をリアルタイムPCRで確認した。細胞を、ほぼ集密になったときに1:4分割比で継代させた。マウス一次尾部線維芽細胞(TTF)を培養するために、野生型(n=4)、Ts65Dn(n=3)、Ts65Dn/Usp16het (n=3)、及びUsp16het (n=1)の8週齢マウスの尾部先端から皮膚を剥離し、ナイフで切り刻み、トリプシン中で短時間消化した。得られた切片を20%のFBSを含むDMEM中で3週間にわたってインキュベートした。次いで、誘導された線維芽細胞を新しいプレートに継代させ、P2とみなした。ヒト線維芽細胞(WT:CRL−2088、CRL−2076、DS:CCL−54、CRL−7090、CRL−7031)を、ATCCで購入した。
線維芽細胞増殖、SA−βGal及びp16染色。5×103 個の線維芽細胞を、24−ウェルプレートに播種し、生細胞をトリパンブルー排除によって示した時間点で計数した。
老化細胞のSA−βGal染色については、老化検出キット(Abcam、ab65351)を、製造業者のプロトコルに従って用いた。
p16染色については、線維芽細胞を0.2%のトリトン−PBSで透過性にし、3%のBSA−PBS中でブロックし、マウス抗−ヒトp16(JC8、Santa Cruz Biotechnology、CA)またはウサギ抗−マウスp16で染色した。特異的二次抗体(Alexa Fluor 488 抗−マウス及びAlexa Fluor 647抗−ウサギ)を1:1000で用いた。
SA−βGal及びp16染色を、顕微鏡によって10倍で検出し、陽性細胞を、ウェル当たり3つの異なる視野で評価した。3回の技術的反復実験を行った。
感染細胞による実験では、細胞をGFPまたはCherry発現に基づいて分類し、構築物の発現をリアルタイムPCRによって確認した。
RNA発現分析。リアルタイム分析については、細胞をトリゾール(Invitrogen)中で採集し、RNAを製造業者のプロトコルに従って抽出した。Superscript III First Strand Synthesis(Invitrogen)を使用して、cDNAを得た。
リアルタイム反応を、Taqmanプローブ(Applied Biosystem)を用いて、製造業者の指示に従って組み立てた。発現データをハウスキーピング遺伝子ActB及びGAPDHの発現によって正規化した。本試験で使用されたプローブは、USP16(Mm_00470393、Mm_00470406)、p16Ink(Mm_01257348、Mm_00494449)、p19Arf(Mm_00486943)、ActB(Mm_00607939)、GAPDH(Mm_99999915)、Hoxa1(Mm00439359_m1)、Hoxa3(Mm01326402_m1)、Hoxa5(Mm01326402_m1)であった。
MEF及びHSC中のヒストンの免疫蛍光法。細胞を48時間培養し(MEFについて)、またはスライドガラス上で直接サイトスピン処理した(HSCについて)。細胞をPFA(2%)中で10分間固定し、PBS−トリトン(0.1%)中で洗浄した。細胞を、PBS中、ロバ血清(10%)で、室温にて1時間ブロックし、その後一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。二次抗体と共にインキュベーションを行い、DAPI染色を室温にて45分間行った。あるいは、抗体染色をZenonキット(Invitrogen)で、製造業者の指示に従って行った。その後試料を設置し、画像撮影した。
画像撮影は、Hamamatsu Orca−ERカメラまたはZeiss共焦点システムLSM 710(Zeiss)を装備したZeiss Observer Z1蛍光顕微鏡(Zeiss)を用いて行った。データ取得及び焦点測定を、Improvision Volocityソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて行った。
本試験で使用した一次抗体は、抗ユビキチル−ヒストンH2A D27C4(Cell Signaling)であった。二次抗体はAlexa 488及び594であった。
結果
Ts65Dnマウスは、欠損造血幹細胞を有するが、Ts1Cjeマウスは有さない。
既報は、(Hsa21のほぼ完全な、自由に分離するコピーを含有する)Ts65Dn、Ts1Cje及びTc1マウスが、大球性貧血を示し、Ts1Cjeマウス以外は、高年齢において巨核球の数の増加及び骨髄外造血作用を示すことを認めている(Kirsammer,G.et al.Highly penetrant myeloproliferative disease in the Ts65Dn mouse model of Down’s syndrome.Blood 111,767-775(2008)、Carmichael,C.l.et al.Hematopoietic defects in the Ts1Cje mouse model of Down’s syndrome.Blood 113,1929-1937(2009)、Alford,K.A.et al.Perturbed hematopoiesis in the Tc1 mouse model of Down’s syndrome.Blood 115,2928-2937(2010))。しかしながら、造血幹細胞(HSC)は、成体Ts65DnまたはTs1Cjeマウスにおいては完全に特性評価されなかった。
Ts65Dnマウスモデルにおいて造血幹細胞欠損を評価するために、我々は、Ts65Dnの骨髄単核細胞による移植を行った。先の観察(Lorenzo,l.P.E.et al.Defective hematopoietic stem cell and lymphoid progenitor development in the Ts65Dn mouse model of Down’s syndrome:potential role of oxidative stress.Antioxid.Redox Signal.15,2083−2094(2011))と一致して、我々は、5×105 個のCD45.2+ Ts65Dn細胞の移植が、野生型の骨髄細胞の移植と比べて、レシピエントマウスにおけるより低い造血キメラ性をもたらすことを見出した(図7a)。
Ts65Dn骨髄細胞の損なわれた移植細胞定着能力の原因である三染色体遺伝子を解明するために、野生型、Ts65Dn及びTs1Cje骨髄の免疫表現型の組成物をプロファイリングした。正常なマウスにおいてHSCを富化するCD150+ CD48- KLS細胞のフラクション(Kiel,M.J.,et al.SLAM family receptors distinguish hematopoietic stem and progenitor cells and reveal endothelial niches for stem cells.Cell 121,1109−1121(2005))は、Ts65Dnマウスにおいて3倍を超えるまで減少した。これとは対照的に、CD150+ CD48- KLS細胞の発生頻度は、Ts1Cjeマウスにおいて正常であった(図1b)。このことは、造血幹細胞自己再生能力の低下がTs65Dnマウスにおいて特異的であることを示唆した。幹細胞富化集団(CD34及びFlt3)を単離するための異なる表面マーカーを用いるさらなる分析(Chao,M.P.et al.Establishment of a normal hematopoietic and leukemia stem cell hierarchy.Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.73,439−449(2008))もまた、Ts65Dnの骨髄中にHSC欠損があるが、Ts1Cjeマウスにおいてはないこと示唆した(図1b)。注目すべきことに、CD34- CD150+ CD48- KLSフラクションは、静止状態の幹細胞について富化されることが知られていて(Wilson,A.et al.Dormant and self−renewing hematopoietic stem cells and their niches.Ann.N.Y.Acad.Sci.1106,64−75(2007)、Wilson,A.et al.Hematopoietic stem cells reversibly switch from dormancy to self−renewal during homeostasis and repair.Cell 135,1118−1129(2008))、これは、Ts65Dnマウスにおいて著しく低下する(図1c)。
Ts65Dn及びTs1CjeのHSC細胞のインビトロでのコロニー形成能力を評価するために、単一のCD34- CD150+ CD48- KLS細胞を、単一のHSCの増殖をロバストに支援する条件を用いて、Methocult中で平板培養した(Park,I.−K.et al.Bmi−1 is required for maintenance of adult self−renewing haematopoietic stem cells.Nature 423,302−305(2003)、Morrison,S.J.,et al.The long−term repopulating subset of hematopoietic stem cells is deterministic and isolatable by phenotype.Immunity 1,661-673(1994)、Akala,O.O.et al.Long−term haematopoietic reconstitution by Trp53−/−p16Ink4a−/−p19Arf−/− multipotent progenitors.Nature 453,228-232(2008))。播種後1週間でコロニーを生成する能力は、Ts65DnマウスからのHSCにおいて著しく低下し、Ts1Cjeマウスからのものは低下しなかった(図1d)。
DS中のHSCの特性を、決定的に評価するために、我々は、野生型、Ts65Dn及びTs1Cje細胞による段階的希釈骨髄移植を行った。野生型及びTs1Cjeの骨髄細胞は、HSCで計算された発生頻度と同様な程度に致死的に照射されたレシピエントマウスの骨髄を再構成した(それぞれ、1/80,338及び1/103,553、p=0.668)。逆に、Ts65Dnの幹細胞の発生頻度において三倍の低下が存在した(1/307,431、p=0.0294)(図1e及び図7b)。さらに、Ts65Dn骨髄細胞の多系統生着は、3ヶ月後の二次移植においては観察されず(図1f及び図8)、Ts65Dnの造血幹細胞の自己再生能力における重度の欠陥をさらに確認した。したがって、Ts65Dnマウスは、HSCの自己再生、再構成能力及びインビトロコロニー形成において欠損を有するが、Ts1Cjeマウスは有さない。
Usp16のダウンレギュレーションは、Ts65DnマウスにおけるHSCの自己再生不全を緩和する。Usp16は、既報の脱ユビキチン化酵素であり、Ts65Dnマウス中で特徴的に三重化されるが、Ts1Cjeマウス中では三重化されないことが当該技術分野において既知である遺伝子のうちの1つである。この遺伝子は、ヒストンH2A上のポリコーム複合体PRC1によるユビキチン修飾の消去を含む、クロマチン再構築に関与することが示されている(Joo,H.−Y.et al.Regulation of cell cycle progression and gene expression by H2A deubiquitination.Nature 449,1068−1072(2007))。Bmi1を含むPRC1が、複数の組織において幹細胞の自己再生に必須であることが示されているために(Molofsky,A.V.et al.Bmi−1 dependence distinguishes neural stem cell self−renewal from progenitor proliferation.Nature 425,962−967(2003)、Park,I.−K.et al.Bmi−1 is required for maintenance of adult self−renewing haematopoietic stem cells.Nature 423,302−305(2003)、Liu,S.et al.Hedgehog signaling and Bmi−1 regulate self−renewal of normal and malignant human mammary stem cells.Cancer Res.66,6063−6071(2006)、Pietersen,A.M.et al.Bmi1 regulates stem cells and proliferation and differentiation of committed cells in mammary epithelium.Curr.Biol.18,1094−1099(2008)、van der Lugt,N.M.et al.Posterior transformation,neurological abnormalities,and severe hematopoietic defects in mice with a targeted deletion of the bmi−1 proto−oncogene.Genes Dev.8,757−769(1994))、我々は、PRC1媒介H2Aユビキチン化の既知の修飾因子であるUsp16の過剰コピーがTs65Dnマウスにおける幹細胞の自己再生能力を害するのではないかと考えた。
Ts65Dnマウスの造血幹細胞におけるUsp16の機能を理解するために、我々は、先ず初めに、Usp16 mRNAが、野生型HSCと比べてTs65DnのHSCにおいて1.5倍高く発現されることを確認した(図2a)。次に、H2AK119ユビキチン化のレベルを測定した。免疫蛍光試験は、Ts65DnのCD34- CD150+ CD48- KLS細胞中のユビキチン化クロマチン増殖細胞巣の数における2倍の減少を示した(図2b)。免疫蛍光及びウェスタンブロット分析の両方ともに、MEF細胞中のH2AK119ユビキチンのレベルにおける減少を立証した(図9)。
Usp16の上昇値が、Ts65DnのHSCの異常性に寄与するかどうかを決定するために、我々は、GFP及びUSP16に対して向けられるshRNA(shUSP16#1及びshUSP16#2)もしくはスクランブルshRNA(shC)をコード化する2つのレンチウイルス構築物を作成した。これらのUsp16ヘアピンは、Usp16の発現を完全には除去せず、これを40〜50%まで低減し(図2c)、野生型マウスにおいて観察されるものと同様なUSP16の最終発現レベルをもたらす。shUSP16レンチウイルスに感染させた単一のCD34- CD150+ CD48- KLS Ts65Dnの骨髄細胞のおよそ40%が、Methocult中においてインビトロで増殖することができたが、一方、shC感染細胞のわずか20%のみがコロニーを形成した(図2d)(p値<0.04)。
インビボでのUsp16の効果を評価するために、Ts65Dn KLS細胞を、shUSP16またはshCレンチウイルスベクターに感染させて、次いでレシピエントの致死的に照射されたC57Bl6マウスに注入した。shUsp16感染細胞は、レシピエントマウスにおいて有意に生着されたが、shC細胞は生着されなかった(図2e及び図10a)。対照レンチウイルスで処理されたTs65Dnの骨髄細胞とは異なり、shUsp16レンチウイルスで形質導入された細胞もまた、累代移植の際に多能性分化を引き起こすことができた(図2f及び図10b)。これらの結果は、Ts65Dn HSCの自己再生不全は、Usp16単独のダウンレギュレーションによって実質的に救済され得ることを立証している。
USP16は、Ts65Dnの神経前駆細胞の増殖不全において役割を果たす。Usp16は、H2AK119ユビキチンマークの除去によって、ポリコーム活性に影響を及ぼし得るために、我々は、Ts65DnマウスにおけるUsp16の過剰コピーが、造血幹細胞においてのみならず、脳を含む他の組織においても役割を有すると仮定した。実際、PRC1は、神経前駆細胞の維持に対して特に重要であることが知られている(Molofsky,A.V.et al.Bmi−1 dependence distinguishes neural stem cell self−renewal from progenitor proliferation.Nature 425,962−967(2003)、Molofsky,A.V.et al.Bmi−1 dependence distinguishes neural stem cell self−renewal from progenitor proliferation.Nature 425,962-967(2003)、Cao,G.et al.Bmi−1 absence causes premature brain degeneration.PLoS ONE 7,e32015(2012))。
Usp16三染色体性もまた、Ts65Dnマウスの神経前駆細胞において役割を果たすかどうかを理解するために、成体の神経細胞新生の主要部位のうちの1つである脳室下帯(SVZ)に由来する、野生型及びTs65Dnマウスの神経前駆細胞のインビトロ増殖をテストした。8週齢のマウスの脳からSVZを微小切除し、CD24- CD31- CD45- CD119- (Lin- )細胞をフローサイトメトリーによって濃縮させた。これらの細胞を、ニューロスフェアを形成するための及びインビトロで連続的に継代するためのそれらの能力についてテストした。Ts65Dnマウスの神経前駆細胞中の欠損の存在を示唆する他の報告(Moldrich,R.X.et al.Down’s syndrome gene dosage imbalance on cerebellum development.Prog.Neurobiol.82,87−94(2007)、Lorenzi,H.A.et al.Hippocampal hypocellularity in the Ts65Dn mouse originates early in development.Brain Res.1104,153−159(2006))と一致して、Ts65Dn細胞によって形成されたクローン形成性ニューロスフェア開始細胞(Nsp−Ic)の発生頻度は、野生型細胞によるものと比べて半減した(図3a)。この発生頻度は、野生型細胞においては第4継代までに2倍から4倍まで増加したが、一方Ts65Dn Lin- 細胞は、この時期までにニューロスフェアを形成するそれらの能力を完全に喪失した(図3a〜b)。神経前駆細胞の増殖におけるUSP16の過剰コピーの役割を明らかにするために、Ts65Dnマウスを、正常なUsp16対立遺伝子のうちの1つを突然変異させた(Usp16het )マウスと繁殖させた。子孫は、Usp16の正常な二倍体遺伝子量を有したが、Ts65Dnの親系統において存在する他の遺伝子の3つのコピーを保持する(Ts65Dn/Usp16het マウス)。Ts65Dn/Usp16het の神経前駆細胞中のUsp16の過剰対立遺伝子の喪失は、Lin- 細胞がニューロスフェアを形成するための及び継代されるための能力を回復した(図3a〜b)。Sox2(神経前駆細胞マーカーとして知られる)(Ellis,P.et al.SOX2,a persistent marker for multipotential neural stem cells derived from embryonic stem cells,the embryo or the adult.Dev.Neurosci.26,148−165(2004))の発現もテストし、これは、野生型Lin- 神経細胞の4連続継代後に、2倍まで増加した(図3e及び図10c)。これとは対照的に、4継代において、Lin- Ts65Dn神経細胞によるSox2の検出可能な発現は存在しなかった。Ts65Dn/Usp16het 細胞は、4継代において野生型細胞に匹敵するレベルのSox2を発現する(図3c)。
神経前駆細胞の増殖特性をさらに検討するために、CD133+ EGFR+ Lin- (Fischer,J.et al.Prospective isolation of adult neural stem cells from the mouse subependymal zone.Nat Protoc 6,1981−1989(2011)、Pastrana,E. et al.Simultaneous prospective purification of adult subventricular zone neural stem cells and their progeny.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.106,6387−6392(2009))及びCD15+ EGFR+ Lin- (Capela,A.et al.LeX/ssea−1 is expressed by adult mouse CNS stem cells,identifying them as nonependymal.Neuron 35,865−875(2002))細胞を分析し、SVZから単離した(図11)。CD133+ EGFR+ Lin- 細胞またはCD15+ EGFR+ Lin- 細胞のいずれかのスフェアの限界希釈分析は、野生型マウスと比べてまたはTs65Dn/Usp16het マウスと比べて、Ts65DnマウスにおけるNsp−Icの発生頻度における著しい減少を明らかにした(図3d)。さらに、二次スフェア形成アッセイは、神経前駆細胞がスフェアを形成するためのTs65Dnの能力における著しい減少を示したが、Ts65Dn/Usp16het では示さなかった(図3e)。まとめると、これらのデータは、Ts65Dnマウスは、神経前駆細胞の増殖における欠損を有し、これは、Usp16の過剰対立遺伝子を簡単に排除することによって、少なくとも部分的に救済され得ることを示している。
USP16は、Ts65Dnマウスの乳腺中の上皮細胞増殖の制御において役割を果たす。PRC1は、乳腺において重要な役割を果たし、Bmi1の損失は、重篤な上皮細胞増殖不全をもたらす(Pietersen,A.M.et al.Bmi1 regulates stem cells and proliferation and differentiation of committed cells in mammary epithelium.Curr.Biol.18,1094−1099(2008))。したがって、我々は、Ts65DnマウスにおけるUsp16の過剰コピーが乳腺上皮細胞の増殖に影響を及ぼすかどうかを求めた。予想通りに、Usp16 mRNA発現は、Ts65Dn CD49f+ CD24med Lin- 細胞(これは、乳腺再構築単位またはMRUが富化されている)(Stingl,J.et al.Purification and unique properties of mammary epithelial stem cells.Nature 439,993−997(2006)、Shackleton,M.et al.Generation of a functional mammary gland from a single stem cell.Nature 439,84−88(2006))において、野生型と比べて、およそ1.5倍増加した(図4a)。さらに、通常ポリコーム複合体PRC1によって抑制される、いくつかのHox遺伝子が、Ts65Dn細胞中で高く発現された(図12a)。脳組織の免疫表現型分析は、Ts65Dnの乳腺管組織化における変更を示したが、Ts1Cjeマウスでは示さなかった(図12b)。特に、CD31- CD45- TER119- (Lin- )細胞の全体の数の顕著な減少が存在した(図4b)。さらには、Ts65Dnマウスにおけるサイトケラチン染色は、野生型と比べて、Ts65Dnマウスが、管腔細胞サイトケラチンCK8及び基底細胞サイトケラチンCK14を同時発現する細胞の増加した数を有するが、Ts1Cjeマウスは有さないことを示した。(図4c及び図12c〜d)。
次に、CD49f+ CD24med Lin- 細胞(移植能力を強化された集団)(Stingl,J.et al.Purification and unique properties of mammary epithelial stem cells.Nature 439,993−997(2006)、Shackleton,M.et al.Generation of a functional mammary gland from a single stem cell.Nature 439,84−88(2006))を、3D培養条件においてインビトロで増殖するためのそれらの能力についてテストした。Ts65Dn培養物は、コロニーの数の減少を示したが、Ts1Cje培養物は示さなかった(図4d)。Ts65Dnの乳腺上皮細胞の特性をさらに評価するために、Lin- 細胞を用いる乳腺移植アッセイを行った。乳腺突出部を形成することができるTs65Dn Lin- 細胞の発生頻度における著しい減少が存在した(図4e)。注目すべきことに、Usp16の2つのコピーのみを発現するLin- Ts65Dn/Usp16het 細胞の乳腺を形成するための能力は、野生型のものに匹敵した。
Ts65Dnの乳腺上皮細胞におけるUsp16の過剰コピーの役割をさらに評価するために、Ts65Dn Lin- 細胞中のUsp16のレンチウイルスによるダウンレギュレーションを行った(図4f)。shUSP16感染Lin- Ts65Dn細胞中のMRUの計算された発生頻度において2倍の増加が存在し、派生した突出部は、対照shRNAで感染させた細胞と比べて大きかった(図4f)。しかしながら、Ts65Dn/Usp16het 乳腺上皮細胞の二次移植においては、乳腺を発生させることができず、このことは、Ts65Dnマウスにおけるこれらの細胞の増殖に影響を及ぼす他の遺伝子が存在し得ることを示唆している。
Ts65Dn細胞中のUsp16によるInk4a/Arfの調節。HSC、神経前駆細胞、乳腺上皮細胞及び線維芽細胞中で特性が十分に明かされているPRC1標的遺伝子座のうちの1つがCDKN2aであり、これは、2つの別個の腫瘍抑制因子、p16Ink4a 及びp19Arf をコード化する。p16Ink4a 及びp19Arf の発現は、通常、齧歯類及びヒト組織の両方で、年齢と共に増加する(Liu,Y.et al.Expression of p16(INK4a)in peripheral blood T−cells is a biomarker of human aging.Aging Cell 8,439−448(2009)、Krishnamurthy,J.et al.Ink4a/Arf expression is a biomarker of aging.J.Clin.Invest.114,1299−1307(2004)、Janzen,V.et al.Stem−sell ageing modified by the cyclin−dependent kinase inhibitor p16INK4a.Nature 443,421−426(2006))。Ts65Dnマウスに由来するMEFで、我々は、連続継代中(4継代から7継代まで)に、野生型MEFと比べて両遺伝子のRNA発現のレベルにおけるより速い増加を観察した(図5a)。また、Ts65Dn MEF中のSA−βGal陽性細胞についての明確な富化が、それらの野生型対応物と比べて存在し、このことは、加速された老化のプロセスを示唆している(図5b)。Ts65Dn MEFにおいて観察されたH2AK119ユビキチン化のレベルの低下と一致して(図8c)、クロマチン免疫沈降(ChIP)分析は、Ts65Dn MEF中のInk4a/Arf遺伝子座のH2AK119ユビキチンにおける減少を立証している(Negishi,M.et al.A novel zinc finger protein Zfp277 mediates transcriptional repression of the Ink4a/arf locus through polycomb repressive complex 1.PLoS ONE 5,e12373(2010))(図5c)。最後に、Ts65Dn MEF培養物中の2つの異なるヘアピンを用いるUsp16のレンチウイルスによるダウンレギュレーションは、p16Ink4a 及びp19Arf のより低いレベルを回復し、このことは、Usp16が、老化プロセスに寄与していることを示唆している(図5d)。
次に、野生型、Ts65Dn、及びTs65Dn/Usp16het マウス細胞からの成体末端尾部線維芽細胞(TTF)もまた検討した。Ts65Dnの線維芽細胞は、SA−βGal染色によってかつp16発現によって示されるように、顕著な増殖障害(図5e)及び高レベルの老化を示した(図5f〜g及び図13)。しかしながら、Usp16の単一の正常な対立遺伝子の喪失は、これらの細胞の増殖欠損及び早期老化を著しく救済した(図5e〜g)。Bmi1の枯渇は、Ts65Dnの線維芽細胞においてみられるものと非常に類似する増殖欠損をもたらす。Bmi1-- MEFにおいては、これは、Cdkn2aのPRC1媒介抑制の喪失にある程度起因する(Jacobs,J.J.et al.The oncogene and Polycomb−group gene bmi−1 regulates cell proliferation and senescence through the ink4a locus.Nature 397,164−168(1999))。Bmi1の突然変異と同様に、Ts65Dnの線維芽細胞の老化及び増殖欠損は、Cdkn2aを標的とするshRNAによって救済された(図5f〜h及び図13b〜c)。
ヒトのダウン症候群におけるUSP16の潜在的な役割。4人のヒトダウン症候群患者から単離された線維芽細胞を、USP16がそれらの増殖を制限し得るかを確認するためにテストした。既報(Carmeliet,G.et al.Cellular ageing of Alzheimer’s disease and Down’s syndrome cells in culture.Mutat. Res.256,221−231(1991)、Contestabile,A.et al.Widespread impairment of cell proliferation in the neonate Ts65Dn mouse,a model for Down’s syndrome.Cell Prolif.42,171−181(2009)、Kimura,M.et al.Proliferation dynamics in cultured skin fibroblasts from Down’s syndrome subjects.Free Radic.Biol.Med.39,374−380(2005))と一致して、DSの線維芽細胞の増殖は、野生型と比べて阻害された(図6a)。これは、SA−βGal及びp16Ink4a の発現によって測定されるように、老化の増加に関連付けられた(図6b〜c及び図14)。USP16の過発現が増殖欠損に寄与し得るかどうかを決定するために、我々は、正常な線維芽細胞において機能獲得実験を行い、ダウン症候群の線維芽細胞において機能喪失実験を行った。USP16による正常包皮線維芽細胞の形質導入は、正常な野生型線維芽細胞の増殖を示した(図6d及び図14b)。逆に、USP16のshRNA媒介ダウンレギュレーションまたはBMI1の過発現は、DS線維芽細胞の増殖能力の増加をもたらした(図14b〜c)。興味深いことに、ヒト神経前駆細胞の2つの異なる培養物(1つが小児患者からのもので、もう1つが成人患者からのもの)中のUSP16の過発現は、それらのインビトロ増殖能力及びニューロスフェアの形成を低下させた(図6f)。これらの実験は、USP16の第3のコピーがダウン症候群を有する患者に関連する病理において役割を有することを示唆している。
考察
我々のデータは、ダウン症候群のTs65Dnマウスモデルに関連する病理の一部が、組織ホメオスタシスにおける広範な欠損及び体幹細胞ならびに前駆細胞における自己再生の欠損に起因することを示している。DSについての2つの異なるマウスモデル(Ts65Dn及びTs1Cje)間でのHSCコンパートメントの比較は、制限された数の遺伝子がこの欠損において重要な役割を果たし得ることを示している。HSC及び神経前駆細胞の自己再生における変更、ならびにTs65Dnマウス中の乳腺上皮細胞及び線維芽細胞の増殖不全は、Usp16の三染色体性、ポリコーム抑制複合体1(PRC1)活性の陰性修飾因子に一部は関わっている(Joo,H.−Y.et al.Regulation of cell cycle progression and gene expresshion by H2A deubiquitination.Nature 449,1068−1072(2007))。PRC1は、複数の体幹細胞の老化及び自己再生を調節することが知られている。この考えを裏付けるように、Ts65DnマウスにおけるUsp16の傍生理学的レベルへのダウンレギュレーションは、HSC、神経前駆細胞、乳腺上皮細胞及び線維芽細胞の増殖能力を回復する。
明確に、他の遺伝子もまた、ダウン症候群で見られる脳顔面頭蓋異常及び先天性心臓欠陥などの多数の形質で役割を果たす(Arron,J.R.et al.NFAT dysregulation by increased dosage of DSCR1 and DYRK1A on chromosome 21.Nature 441,595−600(2006))。さらに、Usp16の喪失が、乳腺MRUが連続的に移植される能力において救済することを我々は裏付けできていないが、これは、他の遺伝子(複数可)もまた、Ts65Dn幹細胞コンパートメントの自己再生欠損に寄与することができたことを示唆している。しかしながら、Usp16三染色体性がこれらのマウスの体細胞において重要な役割を果たしていることを示しつつ、HSC及び神経前駆細胞の救済は重要である。最終的に、ヒトダウン症候群の線維芽細胞中のUSP16の阻害が増殖を増加させるという観察は、この遺伝子がまた、ダウン症候群を有する患者における組織ホメオスタシス欠損において役割を果たすことを示している。
ダウン症候群は、小児白血病の発現率増大及び成人固形腫瘍の発現率低下と関連付けられている(Yang,Q.et al.Mortality associated with Down’s syndrome in the USA from 1983 to 1997:a population−based study.Lancet 359,1019−1025(2002)、Satge D.et al.A tumor profile in Down’s syndrome.Am.J.Med.Genet.78,207−216(1998))。ファンコニ貧血などの骨髄不全を引き起こす他の症候群は、白血病に罹患しやすい。ダウン症候群患者におけるリンパ性白血病は、CDKN2aの突然変異に頻繁に関与する(Novara,F.et al.Different molecular mechanisms causing 9p21 deletions in acute lymphoblastic leukemia of childhood.Hum.Genet.126,511−520(2009))。Cdkn2aは、Usp16の三染色体性によって生じる増殖不全において役割を果たすと思われるために、CDKN2Aの突然変異は、DS HSCに強力な選択有利性を供与することができる。
幹細胞のPRC1調節は、H2Aのユビキチン化を介してのCdkn2a遺伝子座の阻害によって一部には影響を受ける(Molofsky,A.V.et al.Bmi−1 dependence distinguishes neural stem cell self−renewal from progenitor proliferation.Nature 425,962−967(2003)、Jacobs,J.J.et al.The oncogene and Polycomb−group gene bmi−1 regulates cell proliferation and senescence through the ink4a locus.Nature 397,164−168(1999)、Bruggeman,S.W.M.et al.Ink4a and Arf differentially affect cell proliferation and neural stem cell self−renewal in Bmi1−deficient mice.Genes Dev.19,1438−1443(2005))。我々は、Usp16の三染色体性が、ヒストンH2Aユビキチン化の減少ならびにp16Ink4a 及びp19Arf の高レベルをもたらすことを見出している。したがって、Usp16は、PRC1とは反対の生化学的及び機能的作用を有する。実際、Ts65Dnマウスの発育不全は、PRC1成分のBmi1に対するマウス変異体のハイポモルフに似ている。これは、HSC、乳腺発達、神経前駆細胞中の欠損、及び線維芽細胞の早期老化を含む(Park,I.−K.et al.Bmi−1 is required for maintenance of adult self−renewing haematopoietic stem cells.Nature 423,302−305(2003)、Pietersen,A.M.et al.Bmi1 regulates stem cells and proliferation and differentiation of committed cells in mammary epithelium.Curr.Biol.18,1094−1099(2008)、Molofsky,A.V.,et al.Bmi−1 promotes neural stem cell self−renewal and neural development but not mouse growth and survival by repressing the p16Ink4a and p19Arf senescence pathways.Genes Dev.19,1432−1437(2005))。Cdkn2aの突然変異は、部分的に、しかしながら不完全に、Bmi1変異体マウスで見られる体細胞不全を矯正する(Jacobs,J.J.et al.The oncogene and Polycomb−group gene bmi−1 regulates cell proliferation and senescence through the ink4a locus.Nature 397,164−168(1999)、Bruggeman,S.W.M.et al.Ink4a and Arf differentially affect cell proliferation and neural stem cell self−renewal in Bmi1−deficient mice.Genes Dev.19,1438−1443(2005)、Jacobs,J.J.et al.The oncogene and Polycomb−group gene bmi−1 regulates cell proliferation and senescence through the ink4a locus.Nature 397,164−168(1999)、Bruggeman,S.W.M.et al.Ink4a and Arf differentially affect cell proliferation and neural stem cell self−renewal in Bmi1−deficient mice.Genes Dev.19,1438−1443(2005))。同様に、p16Ink4a のダウンレギュレーション、またはBMI1の過発現は、USP16に関して三染色体性のネズミ及びヒト線維芽細胞中の増殖不全を部分的に救済する。これらの結果は、Usp16の三染色体が、H2Aユビキチンの除去の増加に起因するTs65Dnマウスにおいてみられる細胞性不全症に寄与することを示している。
我々のデータは、複数の組織における自己再生の調節の新しい主軸を裏付けている。我々は、Usp16の正常な発現が正常な組織ホメオスタシスにとって重要であり、このバランスの動揺が異常な組織ホメオスタシスに寄与することを示した。我々の研究は、ヒトにおける最も一般的な遺伝子異常のうちの1つであるダウン症候群を理解するために幅広い影響をもたらすと考える。さらに、Usp16の役割及びその作用のメカニズムに関する研究は、この症候群に関連する幹細胞病理を緩和する治療的手段の開発に導く可能性があり得る。
前述の内容は、本発明の原理を単に例示するものである。当業者であれば、本明細書に明示的に記載されずまたは示されていないが、種々の構成を考案し、本発明の原理を具体化することが可能であり、これらは本発明の精神及び範囲内に含まれることを理解されるであろう。さらに、本明細書に列挙された全ての実施例及び条件付き言語は、読者が本発明の原理及び本技術を促進するために本発明者によって寄与される概念を理解する上で補助するよう意図するものである。さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態ならびに具体的実施例を示す全ての記述は、それらの構造的及び機能的等価物の両方を包含することを意図している。加えて、こうした等価物は、現在既知の等価物及び将来開発される等価物、すなわち、構造とは無関係に、同一の機能を遂行する任意の開発される要素の両方を含む。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示されかつ記載された例示の実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
政府の権利
本発明は、合衆国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって裁定された契約番号CA100225の下、ならびに国防省(Department of Defense)によって裁定された契約番号W81XWH−13−1−0281の下、政府の支援によりなされたものである。政府は本発明において特定の権利を有する。
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)項に従って、本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/788,795号の出願日に対する優先権を主張するものである。



  1. 幹細胞自己再生の速度の低下に関連する、または幹細胞自己再生の速度の増加に反応する医学的状態の治療方法であって、
    H2A脱ユビキチン化酵素拮抗物質の有効量を個体に投与することを含むことを特徴とする方法。

  2. 作用物質が核酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

  3. 前記H2A脱ユビキチン化酵素はUSP16であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

  4. 作用物質が、前記細胞中のUSP16タンパク質の量を低減することを特徴とする請求項3に記載の方法。

  5. 前記作用物質はUSP16特異的核酸阻害物質であることを特徴とする請求項4に記載の方法。

  6. 抗酸化剤を投与することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。

  7. 前記状態は、神経発達障害、外傷性脳損傷、神経変性疾患、老化関連障害、筋委縮に関連する状態、膵臓細胞の再生を必要とする疾患、肝臓再生を必要とする疾患、または皮膚再生を必要とする状態であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

  8. 前記状態は、神経発達障害、外傷性脳損傷、または神経変性疾患であり、前記治療は認知機能における改善を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。

  9. 認知機能における前記改善は、記憶における改善を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。

  10. 作用物質の投与前と前記作用物質の投与後とに、記憶を測定することをさらに含み、前記作用物質の投与後の記憶は、前記作用物質の投与前の記憶に対して改善されることを特徴とする請求項9に記載の方法。

  11. 前記神経発達障害は、ダウン症候群、脆弱X症候群、または自閉症であることを特徴とする請求項7に記載の方法。

  12. 前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、またはALSであることを特徴とする請求項7に記載の方法。

  13. 前記アルツハイマー病が、ダウン症候群に関連付けられることを特徴とする請求項12に記載の方法。

  14. 前記アルツハイマー病が、外傷性脳損傷に関連付けられることを特徴とする請求項12に記載の方法。

  15. 幹細胞自己再生の速度の低下に関連する、または幹細胞自己再生の速度の増加に反応する状態を有する個体を治療する能力について候補作用物質をスクリーニングするための方法であって、
    USP16を発現する細胞を候補作用物質と接触させることと、
    USP16デユビキチナーゼ活性を測定することと
    を含み、
    候補作用物質と接触させていない細胞中のものと比べての前記細胞中のUSP16デユビキチナーゼ活性における低減は、前記候補作用物質が前記状態を治療することを示すことを特徴とする方法。

  16. USP16デユビキチナーゼ活性が、H2Aユビキチン化を評価することによって測定され、
    候補作用物質と接触させていない細胞中のH2Aユビキチン化の量と比べてのH2Aユビキチン化の量における増加は、前記候補作用物質が前記個体を治療することを示すことを特徴とする請求項15に記載の方法。

  17. H2Aユビキチン化が、p16Ink4a 遺伝子座におけるH2AK119ユビキチンマークを検出することによって測定されることを特徴とする請求項16に記載の方法。

  18. USP16デユビキチナーゼ活性が、前記細胞中のp16Ink4a 及び/またはp19Arf のRNAもしくはタンパク質の量を測定することによって測定され、
    候補作用物質と接触させていない細胞中のp16Ink4a 及び/またはp19Arf もしくはタンパク質の前記量と比べての前記細胞中のp16Ink4a 及び/またはp19Arf のRNAもしくはタンパク質の量における減少は、前記候補作用物質が前記個体を治療することを示すことを特徴とする請求項15に記載の方法。

 

 

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