低分子量絹組成物および絹組成物の安定化

 

本開示は、特定の特性および/または性質を有するある特定の絹フィブロイン組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、低分子量組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、活性な(例えば、生物学的な)作用物質または構成成分を含む絹フィブロイン組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、活性な(例えば、生物学的な)作用物質または構成成分を含む低分子量絹フィブロイン組成物を提供する。一部の実施形態では、活性作用物質は、例えば、ある時間にわたって、かつ/またはある特定の条件もしくは事象に対して、絹組成物中で安定化される。一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物中に存在する構成成分は、分析および/または特徴付けに供され得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物中に存在する構成成分は、組成物から回収され得る。

 

 

政府支援
本発明は、DARPAによって授与された認可番号SB112−005およびNIHによって授与された認可番号P41 EB002520の下での政府支援によって行われた。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
背景
活性作用物質および/または生体試料の安定化およびその後の回収は、多くの用途の極めて重要なフィーチャであり、理由は、活性作用物質および/または生体試料が、周囲条件、例えば、温度、湿度、および/または光の変化に対して通常不安定で感受性であるためである。活性作用物質または生体試料が所与の反応にとって有用であると同定されていても、その適用は、プロセス条件下での長期安定性の欠如によって妨害されることが多い。
活性作用物質(例えば、酵素、ワクチンを含めた治療用タンパク質、および/または生体試料(例えば、血液および/または血液構成成分))を安定化する様々な方法が利用および研究されており、これらとしては、コールドチェーン貯蔵、凍結乾燥、共有結合性固定化、およびセルロースベース技術がある。しかし、すべてのこれらの方法は、極度のエネルギー必要量、または活性作用物質および/もしくは生体試料の芳しくない回収率などの欠点を持つ。これらの欠点は、オンデマンドまたはポイントオブケア用途における選択肢をさらに制限する。したがって、処置、診断、検出、および/または分析のために、活性作用物質および/または生体試料(例えば、周囲条件における)を安定化し、安定化された試料から十分な量で様々な分析物を回収することを可能にすることができる改善された技術および/もしくは生成物、または新しい材料の必要性が存在する。
概要
本開示は、新規かつ/または予想外の構造的および/または機能的特性および/または性質を有するある特定の絹フィブロイン組成物を提供する。本開示は、このような組成物を作製および/または使用する方法、ならびにこれらで構成され、またはこれらから構成される物品を提供する。一部の実施形態では、提供される組成物は、活性な(例えば、生物学的な)作用物質または構成成分を含む。一部の実施形態では、活性作用物質または構成成分は、例えば、絹フィブロインならびに/または特定の構造的および/もしくは機能的特性および/もしくは性質の項目を欠くその他は同等の条件と比較して、組成物中で安定化されている。
とりわけ、本明細書に記載の様々な態様の実施形態は、低分子量絹フィブロインベース絹材料が、いくつかの用途に適したユニークな材料性質をもたらすという発見に端を発する。以下で詳細に記載するように、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、慣例的な絹フィブロインベース材料と比較して明らかに異なる、または改善されたある特定の材料特性をもたらす。したがって、一態様では、ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団を含む低分子量絹フィブロイン組成物であって、集団中の絹フィブロイン断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中の絹フィブロイン断片の総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とする、低分子量絹フィブロイン組成物が本明細書に提供されている。
別の言い方をすれば、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団であって、集団中の絹フィブロイン断片の総モル数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中の絹フィブロイン断片の総モル数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とする、絹フィブロイン断片の集団を含み得る。
低分子量絹フィブロイン組成物は、様々な形態で存在し得る。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、水溶液である。本発明者らは、とりわけ、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン溶液とともに組み込まれた、または混合された作用物質(例えば、それだけに限らないが、タンパク質、核酸、例えば、DNA、RNA、および/もしくはこれらの修飾体など、治療剤、ワクチン)、または試料(例えば、生体試料)は、広範囲の温度下である時間にわたって安定化され得ることを意外にも発見した。一部の実施形態では、低分子絹フィブロイン溶液とともに組み込まれた、または混合された作用物質または試料は、例えば、周囲条件(例えば、室温)および/または高温条件(例えば、60℃)を含めた様々な条件のいずれかの下で、ある時間、例えば、少なくとも24時間またはそれ超にわたって安定化され得る。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、固体状態形態、例えば、絹フィブロイン物品であり得る。絹フィブロイン物品の例として、それだけに限らないが、フィルム、シート、ゲルまたはヒドロゲル、メッシュ、マット、不織マット、布地、スキャフォールド、チューブ、スラブまたはブロック、繊維、粒子、粉末、3次元構築物、インプラント、発泡体またはスポンジ、針、凍結乾燥物品、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン物品は、生体吸収性のインプラント、組織スキャフォールド、縫合糸、補強材料、医療用デバイス、コーティング、構成材料、創傷包帯材、組織シーラント、布地、織物製品、およびこれらの任意の組合せであり得る。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、さらなる処理のために低分子量絹フィブロイン溶液中に容易に再構成される。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン物品は、水溶液中で少なくとも5%またはそれ超の溶解性を有し得る。すなわち、低分子量絹フィブロイン物品の総重量または体積の少なくとも5%またはそれ超が水溶液中に溶解または再構成し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン物品は、水溶液中で例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ超を含めた5%超またはそれ超の溶解性を有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン物品は、室温で可溶性であり得、または再構成され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン物品は、室温で脱イオン水などの水中で可溶性であり得、または再構成され得る。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、オンデマンド用途で使用され得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子絹フィブロイン物品は、参照絹フィブロイン組成物(例えば、慣例的な絹フィブロインベース材料)と比べて、水溶液中で増強された溶解性を有し得る。一部の実施形態では、水溶液中の低分子絹フィブロイン物品の溶解性は、参照絹フィブロイン組成物の溶解性と比較して、少なくとも約5%またはそれ超増強され得る。例えば、水溶液中の低分子絹フィブロイン物品の溶解性は、参照絹フィブロイン組成物の溶解性と比較して、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ超を含めた5%超またはそれ超増強され得る。一部の実施形態では、水溶液中の低分子絹フィブロイン物品の溶解性は、参照絹フィブロイン組成物の溶解性と比較して、少なくとも約1.1倍またはそれ超増強され得る。例えば、水溶液中の低分子絹フィブロイン物品の溶解性は、参照絹フィブロイン組成物の溶解性と比較して、例えば、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、またはそれ超を含めた1.1倍超またはそれ超増強され得る。一部の実施形態では、水溶液は、水であり得る。一部の実施形態では、水溶液は、緩衝液、例えば、それだけに限らないが、リン酸緩衝液であり得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子絹フィブロイン物品は、その中に少なくとも1種の作用物質または試料(例えば、生体試料)をその作用物質または試料の安定化および後続のこれらの回収のために封入するのに使用することができる。一部の実施形態では、作用物質または試料の部分的な、または元の装填量は、水溶液中の低分子絹フィブロイン物品の一部分またはアリコートを溶解させることによって、低分子絹フィブロイン物品の少なくとも一部分またはアリコートから回収され得る。一部の実施形態では、低分子絹フィブロイン物品の一部分またはアリコートは、室温で水溶液(例えば、それだけに限らないが、脱イオン水などの水または緩衝液)中に溶解され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子絹フィブロイン物品中に封入された活性作用物質または試料(例えば、生体試料)は、水溶液中で少なくとも5%またはそれ超の回収率を有し得る。すなわち、活性作用物質または試料の元の装填量の少なくとも5%またはそれ超が、溶液または液体形態で低分子絹フィブロイン物品から回収され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子絹フィブロイン物品中に封入された活性作用物質または試料(例えば、生体試料)は、水溶液中で例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ超を含めた5%超またはそれ超の回収率を有し得る。
一部の実施形態では、低分子絹フィブロイン物品は、参照絹フィブロイン組成物中に封入された作用物質または試料の回収率と比べて、その中に封入された作用物質または試料の回収率を増強することができる。一部の実施形態では、低分子絹フィブロイン物品中に封入された作用物質または試料の回収率は、参照絹フィブロイン組成物中に封入された作用物質または試料の回収率と比較して、少なくとも約5%またはそれ超増強され得る。例えば、低分子絹フィブロイン物品中に封入された作用物質または試料の回収率は、参照絹フィブロイン組成物中に封入された作用物質または試料の回収率と比較して、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ超を含めた5%超またはそれ超増強され得る。一部の実施形態では、低分子絹フィブロイン物品中に封入された作用物質または試料の回収率は、参照絹フィブロイン組成物中に封入された作用物質または試料の回収率と比較して、少なくとも約1.1倍またはそれ超増強され得る。例えば、低分子絹フィブロイン物品中に封入された作用物質または試料の回収率は、参照絹フィブロイン組成物中に封入された作用物質または試料の回収率と比較して、例えば、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、またはそれ超を含めた1.1倍超またはそれ超増強され得る。一部の実施形態では、水溶液は、緩衝液、例えば、それだけに限らないが、リン酸緩衝液であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン物品を再構成するのに緩衝液(例えば、それだけに限らないが、リン酸緩衝液)を使用すると、非緩衝液(例えば、水)を使用することと比較して、低分子量絹フィブロイン物品中に組み込まれた活性作用物質または試料の回収率を改善することができる。
本明細書に記載の異なる態様の様々な実施形態では、参照絹フィブロイン組成物は、大気沸点で約60分またはそれ未満、例えば、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、10分未満、またはそれ未満にわたって絹繭を精練する(degumming)ことによって生成される組成物または混合物であり得る。一実施形態では、参照絹フィブロイン組成物は、大気沸点で炭酸ナトリウム水溶液中で約60分またはそれ未満、例えば、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、10分未満、またはそれ未満にわたって絹繭を精練することによって生成される組成物または混合物であり得る。
本明細書に提供される別の態様は、絹フィブロイン物品を含む保存安定性(shelf-stable)組成物であって、絹フィブロイン物品は、本明細書に記載の低分子絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態を含む、保存安定性組成物に関する。一部の実施形態では、保存安定性組成物は、絹フィブロイン物品の材料性質が少なくとも1カ月またはそれ超安定なままであるという点で保存安定性である。一部の実施形態では、保存安定性組成物は、粉末を含めた粒子の形態で存在する低分子量絹フィブロイン組成物を含み得る。
一般に、本開示は、ある特定の絹フィブロイン組成物が、活性(例えば、生物学的)かつ/または不安定な実体の組込みに特に有用であるという認識を包含する。一部の実施形態では、生体試料またはその構成成分などの活性かつ/または不安定な作用物質を含む絹組成物が提供される。一部の実施形態では、提供される絹組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物を含む)は、活性かつ/または不安定な作用物質を安定化させる(例えば、生体試料またはその構成成分を安定化させる)。
粉末を含めた低分子量絹フィブロイン粒子は、任意の当技術分野で認識されている方法によって生成され得るが、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン粒子は、低分子量絹フィブロイン溶液を凍結乾燥に供し、それによって凍結乾燥低分子量絹フィブロイン材料または粒子を形成するステップを含むプロセスによって生成され得る。一部の実施形態では、凍結乾燥低分子量絹フィブロイン材料または粒子は、より小さい粒子にさらに低減することができる。一実施形態では、凍結乾燥低分子量絹フィブロイン材料または粒子は、より小さい粒子または粉末を生成するためにさらに粉砕することができる。したがって、本明細書に提供される別の態様は、低分子量絹フィブロイン粉末を含む保存安定性試薬である。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン粉末は、凍結乾燥粉末であり得る。保存安定性試薬は、キットの一部として、あるいは容器、例えば、バイアル、シリンジ、もしくは試料収集容器、例えば、血液収集容器、またはマルチウェルプレート内に提供され得る。
本明細書に記載の様々な実施形態は、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態、および安定化されることが望まれる作用物質を含む貯蔵に安定した組成物であって、作用物質は、低分子量絹フィブロイン組成物に付随しており、またはその中に組み込まれている、貯蔵に安定した組成物を提供する。一部の実施形態では、安定化されることが望まれる作用物質は、活性作用物質であり得る。例えば、一部の実施形態では、タンパク質、ペプチド、核酸分子、および/または修飾核酸分子を、低分子量絹フィブロイン組成物中で安定化させることができる。一部の実施形態では、安定化されることが望まれる作用物質は、治療剤であり得る。一部の実施形態では、安定化されることが望まれる作用物質は、疾患または障害の診断マーカーであり得る。一部の実施形態では、安定化されることが望まれる作用物質は、試料中に存在する1種または複数の構成成分についてアッセイされる試料であり得る。一部の実施形態では、試料は、生体試料であり得る。
本明細書に提供されるさらに別の態様は、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態、および基材を含む絹フィブロイン物品に関する。低分子量絹フィブロイン組成物は、基材中に分散させることができ、基材上に沈着させることができ、またはこれらの組合せであり得る。
本明細書に提供される別の態様は、絹フィブロイン溶液を形成する方法であって、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態を液体中に溶解させるステップを含み、絹フィブロイン溶液は、均質溶液である、方法である。一実施形態では、液体は、水、例えば、それだけに限らないが、脱イオン水である。本明細書において、用語「均質溶液」は一般に、溶液全体にわたって一様な外観または組成を有する溶液を指す。例えば、均質絹フィブロイン溶液中の絹フィブロイン断片または粒子のサイズは一般に、小さすぎて例えば、肉眼で見ることができず、または検出することができない。別の言い方をすれば、均質絹フィブロイン溶液は、絹フィブロイン凝集体(例えば、不溶性の絹フィブロイン断片、絹フィブロイン粒子、および/またはクラスター)を実質的に含まない。絹フィブロイン凝集体の例として、それだけに限らないが、全長絹フィブロイン分子、より大きい絹フィブロイン断片、より小さい絹フィブロイン断片のアセンブリーまたは凝集によって形成される絹フィブロイン粒子またはクラスター、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。
本明細書に提供される別の態様は、本明細書に記載の絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態中で、ある特定の条件下である時間にわたって作用物質を安定化させる方法に関する。一部の実施形態では、作用物質は、周囲条件下で安定化され得る。
本明細書に提供されるさらなる態様は、少なくとも1種の活性作用物質を回収する方法であって、(a)本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態、本明細書に記載の保存安定性組成物の1つまたは複数の実施形態、または本明細書に記載の貯蔵に安定した記載の組成物の1つまたは複数の実施形態を準備するステップであって、少なくとも1種の活性作用物質が組成物中で安定化される、ステップと、(b)水中に組成物の少なくとも一部分を溶解させ、それによって絹フィブロインおよび検出可能または測定可能な量の少なくとも1種の活性作用物質を含む試料溶液を形成するステップとを含む、方法である。
本明細書に提供されるさらに別の態様は、絹フィブロイン組成物の少なくとも1つの性質をモジュレートする方法であって、絹フィブロイン組成物中で、200kDaを超える分子量を有する組成物中の絹フィブロイン断片と指定範囲内の分子量を有する組成物中の絹フィブロイン断片の重量比を変化させるステップを含み、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間である、方法である。
本明細書に提供されるなお別の態様は、絹フィブロイン粒子のサイズを調節する方法であって、2つのステップ、すなわち、(a)絹フィブロイン溶液中で、200kDaを超える分子量を有する溶液中の絹フィブロイン断片と指定範囲内の分子量を有する溶液中の絹フィブロイン断片の重量比を変化させるステップであって、指定範囲が、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間である、ステップと、(b)絹フィブロイン溶液から絹フィブロイン粒子を形成するステップとを含む、方法である。
絹フィブロインは、ベータシート二次構造をとり得るアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を有するポリペプチドの一例である。例えば、絹フィブロイン構造は一般に、配列の1つまたは複数の部分が、交互するグリシンおよびアラニン、またはアラニン単独によって一般に特徴付けられる、アミノ酸の配列を含む。理論に束縛されることを望むわけではないが、このような構成は、フィブロイン分子がベータシート高次構造にセルフアセンブルすることを可能にする。したがって、さらに別の態様では、交互するグリシンおよびアラニン、またはアラニン単独によって特徴付けられるアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を有し、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間の範囲のある範囲の分子量を有するポリペプチド断片の集団を含む組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、組成物は、集団中のポリペプチド断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中のポリペプチド断片の総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とする。
別の態様では、本明細書に記載の組成物および/または方法中の絹フィブロインは、ベータシート構造を含み、またはアミノ酸配列に基づいてこのような構造を形成する傾向を有する他の非絹ポリペプチドと置き換えることができ、またはそれと組み合わせて使用することができる。したがって、本明細書に提供されるものには、ベータシート形成ポリペプチド断片の集団を含むポリペプチド組成物も含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載のベータシート形成ポリペプチド断片の集団は、集団中のベータシート形成ポリペプチド断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中のベータシート形成ポリペプチド断片の総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とするある範囲の分子量を有することができる。
本明細書において、用語「ベータシート形成ポリペプチド」は、ベータシート二次構造をとるアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を有するポリペプチドを指す。一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、ベータシート構造、またはアミノ酸配列に基づいてこのような構造を形成する傾向を有することに基づいて選択され得る。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、両親媒性の性格を有し得る(すなわち、親水性および疎水性の両方の性質および/または部分を有する)。両親媒性ポリペプチドは、単一の源(例えば、天然に存在するタンパク質)から得ることができ、ポリペプチド内に疎水性モジュールまたはストレッチおよび親水性モジュールまたはストレッチの両方を含有することができ、その結果、単一のポリペプチド自体が天然に両親媒性である。一部の実施形態では、疎水性モジュールまたはストレッチおよび親水性モジュールまたはストレッチを一緒に融合し、またはカップリングさせて両親媒性実体を形成することができる。このような「融合」または「キメラ」ポリペプチドは、組換え技法、化学的カップリング、または両方を使用して生成され得る。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、以下のリストから選択されるポリペプチドのアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を含み得る:フィブロイン、アクチン、コラーゲン、カテニン、クローディン、コイリン、エラスチン、エラウニン、エクステンシン、フィブリリン、ラミン、ラミニン、ケラチン、チューブリン(tublin)、ウイルス構造タンパク質、ゼインタンパク質(種子貯蔵タンパク質)、およびこれらの任意の組合せ。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、天然源由来の再生(例えば、精製)タンパク質、異種系で産生された組換えタンパク質、合成の、もしくは化学的に生成されたペプチド、またはこれらの組合せを含み得る。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、天然または野生型対応物と比較して、1つまたは複数の配列バリエーションの有無にかかわらず、上記に提供したリストのいずれか1つに対応するポリペプチドのアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を含み得る。例えば、一部の実施形態では、このようなバリアントは、野生型配列と比較して少なくとも85%の全体的な配列同一性、例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の全体的な配列同一性を示し得る。
本特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含有する。カラー図面を有する本特許または特許出願公開の写しは、必要な料金を支払って要求すれば当局(the Office)から提供されよう。
図1は、10、20、30または60分間精練した絹の溶解試験のためのプロセスフローダイヤグラムを示す。凍結乾燥条件および可溶化比も示している。
図2は、4つの分子量バンド(200kDa超、200〜116.3kDa、116.3〜66.3kDaおよび66.3〜36.5kDa)の割合を計算するために使用した方法を示す。このゲルについて、溶液中に7.5μgのタンパク質を、Mark12(商標)未着色標準品(範囲31〜200kDa、Invitrogen)を使用して、NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)3〜8%トリスアセテートゲル(Invitrogen)での還元条件下で実行した。図2Aは、10、20、30、60分間精練するか、または60分間オートクレーブ処理した絹についてのSDS−PAGE分析の代表的な画像を示す。図2Bは、電気泳動ゲルについて実施した代表的なデンシオメトリック画像分析を示す。生のピクセル強度を、分子量の関数としてプロットしている。各分子量バンドの割合は、特定の分子量バンドの合計強度をすべての分子量バンドの合計強度で除することによって計算することができる。
図3Aは、4℃で保存した絹発泡体から作製された絹フィブロイン溶液についてのSDS−PAGEゲルの画像である。 図3Bは、図3Aのゲルデータからの、一次乾燥を施された絹フィブロインの分子量分布を示す。 図3Cは、図3Aのゲルデータからの、一次および二次乾燥を施された絹フィブロインの分子量分布を示す。
図4Aは、22℃で保存した絹発泡体から作製された絹フィブロイン溶液についてのSDS−PAGEゲルの画像である。 図4Bは、図4Aのゲルデータからの、一次乾燥を施された絹フィブロインの分子量分布を示す。 図4Cは、図4Aのゲルデータからの、一次および二次乾燥を施された絹フィブロインの分子量分布を示す。
図5Aは、37℃で保存した絹発泡体から作製された絹フィブロイン溶液についてのSDS−PAGEゲルの画像である。 図5Bは、図5Aのゲルデータからの、一次乾燥を施された絹フィブロインの分子量分布を示す。 図5Cは、図5Aのゲルデータからの、一次および二次乾燥を施された絹フィブロインの分子量分布を示す。
図6は、絹発泡体溶解度対ローディングを示す。様々な繭煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)で作製された絹フィブロイン溶液を、図1に示したプロセスフローダイヤグラムにしたがって、精製したままの溶液(A、B)およびオートクレーブ処理した溶液(C、D)を使用して凍結乾燥した。20mgか、40mgかまたは80mgの粉砕した粉末を脱イオン水に加えて1mLの最終体積にした。次いでこの混合物を1000rpmで遠心分離にかけて不溶性タンパク質をペレット化し、上清を除去し、フィルムを重量/体積(w/v%)濃度測定用にキャストした。図6Aおよび図6Cは、様々な煮沸時間および質量ローディングについてw/v%を示す。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(それぞれ2、4および8%)を示す。図6Bおよび図6Dは、凍結乾燥のために使用した対応する溶液の分子量を示す。ここでは、溶液中に7.5μgのタンパク質を、HiMark(商標)事前染色タンパク質標準品(範囲30〜460kDa、Invitrogen)を使用して、NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)3〜8%トリスアセテートゲル(Invitrogen)での還元条件下で実行した。 図6は、絹発泡体溶解度対ローディングを示す。様々な繭煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)で作製された絹フィブロイン溶液を、図1に示したプロセスフローダイヤグラムにしたがって、精製したままの溶液(A、B)およびオートクレーブ処理した溶液(C、D)を使用して凍結乾燥した。20mgか、40mgかまたは80mgの粉砕した粉末を脱イオン水に加えて1mLの最終体積にした。次いでこの混合物を1000rpmで遠心分離にかけて不溶性タンパク質をペレット化し、上清を除去し、フィルムを重量/体積(w/v%)濃度測定用にキャストした。図6Eは、異なるフォーマットでの図6Aおよび図6Cにおけるデータを提示しており、これは再構成された絹フィブロイン溶液の濃度(mg/mL)および溶解度の割合を示す。
図7は、非晶質シートからβシートへの変換を確認するFTIRスペクトルを示す。回収された精製したままのもの(左側)またはオートクレーブ処理したもの(右側)から作製されたフィルムを、90%メタノールで1時間処理する前後に測定した。様々な繭煮沸時間(10〜60MB、上から下へ)により形成されたフィルムを、4セットすべてのグラフにわたって、すべて異なる質量ローディング(20、40、80mg)を含めて示す。
図8は、6カ月の乾式保存後、一次乾燥サイクルだけを使用して形成させた、絹発泡体についての溶解度を示す。様々な繭煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)で作製された絹フィブロイン溶液を、一次乾燥(だけ)のプロトコールを使用して凍結乾燥した。凍結乾燥サイクルが完了し、表示した温度(4℃、22℃、37℃)で6カ月保存した後、次いで各発泡体の15mgの粉砕した粉末を985μLの脱イオン水に再可溶化させた。(A)溶解損失が無視できると仮定して、各再構成溶液からの7.5μgタンパク質ローディングを、HiMark(商標)事前染色タンパク質標準品(範囲30〜460kDa、Invitrogen)を使用して、NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)3〜8%トリスアセテートゲル(Invitrogen)での還元条件下で実行した。次いで、この混合物を1000rpmで遠心分離にかけ、不溶性タンパク質をペレット化し(B)、上清を除去し、フィルムをw/v%濃度測定用にキャストした(C)。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(1.5%)を示す。
図9は、6カ月の乾式保存後に一次乾燥サイクルと二次乾燥サイクルの両方を使用して形成させた絹発泡体についての溶解度を示す。様々な繭煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)で作製された絹フィブロイン溶液を、一次+二次乾燥プロトコールを使用して凍結乾燥した。凍結乾燥サイクルが完了し、表示した温度(4℃、22℃、37℃)で6カ月保存した後、次いで各発泡体の15mgの粉砕した粉末を985μLの脱イオン水に再可溶化させた。(A)溶解損失が無視できると仮定して、各再構成溶液からの7.5μgタンパク質ローディングを、HiMark(商標)事前染色タンパク質標準品(範囲30〜460kDa、Invitrogen)を使用して、NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)3〜8%トリスアセテートゲル(Invitrogen)での還元条件下で実行した。次いで、この混合物を1000rpmで遠心分離にかけ、不溶性タンパク質をペレット化し(B)、上清を除去し、フィルムをw/v%濃度測定用にキャストした(C)。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(1.5%)を示す。
図10は、(A)厚肉フィルムおよび(B)薄肉フィルムについて、模擬的な老化条件における絹フィルム溶解度を示す。様々な煮沸時間のフィルム(オートクレーブ処理した溶液から形成させた60MBフィルムも)を、0日目と比較して、40mgの試料を超純水に溶解する前に、4℃、22℃および37℃で6カ月保持した。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(4%)を示す。
図11は、溶液およびフィルム設計をもとにした絹の回収率の調整を示す。表1に示すELISAキットを使用して、40mgの重量の絹フィルムを1mL(最終体積)のPBSに溶解し、フィルムからの試料回収率を、凍結血漿アリコートをもとにして最大理論ローディング値に対して正規化した。異なる煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)を使用して形成させた絹溶液を血漿かまたは血液と混合し、フィルムをいずれか2つの厚さ(厚肉vs.薄肉)にキャストした。線は、2元配置ANOVA試験の中からのα=0.05レベルの有意性での群の間の有意差を示す。図11Aおよび図11Bは、(A)絹−血漿フィルムおよび(B)絹−血液フィルムからのフィブリノゲン回収率を示す。図11Cおよび図11Dは、(C)絹−血漿フィルムおよび(D)絹−血液フィルムからのC反応性タンパク質(CRP)回収率を示す。
図12は、(A)精製したままの絹フィブロイン溶液、および(B)オートクレーブ処理した絹フィブロイン溶液からのbFGF回収率を示す。PBSの添加は、煮沸時間、濃度または精製したまま対オートクレーブ処理に関係なく、bFGFを改善した。PBSの添加によって溶液を7.2の最終PHに緩衝化させた。bFGFは、4%溶液より1%溶液において安定であった。60MB絹溶液は、精製したままの条件とオートクレーブ処理した条件の両方について、最高のbFGFの回収率を有していた。点線は、対照条件としてのPBS単独の場合を示す。精製したままの絹、37℃での改善されたbFGF回収率は、ゲル化した10MB群が全体としてより劣るbFGF回収率を有している点で、図13Aの吸光度データと関連付けることができる。
図13Aおよび図13Bは、それぞれ37℃で1週間保存した、精製したままの絹フィブロイン溶液およびオートクレーブ処理した絹フィブロイン溶液についてのゲル化結果を示す。図13Aの星印はゲル化を示しており、これは、1%および4%10MB溶液だけがゲル化していることを示している。図13Bでは、60MB群からのシグナルは、試料における白みがかった着色の結果であり、吸光度の読み取りにおいてゲル化についての誤陽性をもたらすが、これらの試料はゲル化しなかった。図13は、オートクレーブ処理した試料のどれも1週間後、ゲル化しておらず、60MB群のどれも1週間後、ゲル化していなかったことを示す。
図14Aは、それぞれ4℃、22℃および37℃で2週間にわたる、精製したままの絹フィブロイン溶液についてのゲル化状態を示す。星印はゲル化を示す。星印はついていないがベースラインを上回って上昇している試料は、まだプレゲル化状の溶液である。10MB群からの試料は、より長い煮沸時間での試料より、急速にゲル化する傾向がある。4%濃度での群は、1%の群より、急速にゲル化する傾向がある。PBS含有群は、未緩衝化試料よりゲル化が遅い。 図14Bは、それぞれ4℃、22℃および37℃で2週間にわたってオートクレーブ処理した絹フィブロイン溶液についてのゲル化状態を示す。星印はゲル化を示す。60MB群からのシグナルは、試料における白みがかった着色の結果であり、吸光度の読み取りにおいてゲル化についての誤陽性をもたらすが、これらの試料はゲル化しなかった。10MB群からの試料は、より長い煮沸時間での試料より、急速にゲル化する傾向がある。4%濃度での群は、1%の群より、急速にゲル化する傾向がある。PBS含有群は、未緩衝化試料よりゲル化が遅い。
図15は、厚肉および薄肉の絹フィルムの調製を示す概略図である。様々な繭煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)により作製された絹フィブロイン溶液を並行して精製し、それぞれを4%wt/vの濃度に希釈し、1.5mLを、厚肉フィルム(3×2.5cm直径のキャスティング表面)かまたは薄肉フィルム(3×表面上に7.5cm直径のキャスティング)としてキャストした。1.5mLの体積を、ピペット先端を使用してできるだけ広く拡げて、薄肉フィルムを作製した。
図16は、完全溶解のための絹フィルムの最適化を示す棒グラフである。様々な繭煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)で作製した絹フィブロイン溶液を、厚肉フィルム(2.5cm直径キャスティング表面)かまたは薄肉フィルム(7.5cm直径キャスティング表面)としてキャストした。終夜空気乾燥させた後、次いで各フィルムの40mgクーポンを1mLの脱イオン水に再可溶化させ、得られた溶液のwt%を測定した。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(4%)を示す。
図17は、完全溶解のための絹発泡体の最適化を示す棒グラフである。様々な繭煮沸時間(10〜60分間煮沸、MB)で作製した絹フィブロイン溶液を、一次乾燥プロトコールまたは一次+二次乾燥プロトコールを使用して凍結乾燥した。凍結乾燥サイクルが完了した後、次いで各発泡体の15mgの粉砕した粉末を1mLの脱イオン水に再可溶化させ、得られた溶液のwt%を測定した。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(1.5%)を示す。
図18は、模擬的な老化条件での厚肉絹フィルム溶解度を示す棒グラフである。40mgの試料を超純水(UPW)に溶解する前に、図16(0日目)からのデータと比較して、変動させた煮沸時間のフィルム(オートクレーブ処理した溶液から形成させた60MBフィルムも)を、4℃、22℃および37℃で6カ月保持した。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(4%)を示す。
図19は、模擬的な老化条件での薄肉絹フィルム溶解度を示す棒グラフである。40mgの試料をUPW水に溶解する前に、図2(0日目)からのデータと比較して、変動させた煮沸時間の薄肉フィルム(オートクレーブ処理した溶液から形成させた60MBフィルムも)を、4℃、22℃および37℃で6カ月間保持した。点線は、完全理論溶解度をもとにした可能な最大w/v%濃度(4%)を示す。
図20は、本明細書で説明する一実施形態にしたがったフィルム調製およびフィルム溶解を示す一組の写真である。
図21は、血液安定化絹フィルムから回収されたELISAによる、バイオマーカーの測定を示す一組のデータグラフである。30MBフィブロインから作製された絹溶液を、全血と混合した後、フィルムに成形し、その後「薄肉」の試料で空気乾燥した。10mgまたは40mgの重量のクーポンを1mLのPBS(それぞれ1%および4%w/vローディング)に溶解し、濃度変換は理論ローディング量(1mL血液:絹比中に50μL)をもとにした。アッセイ標準曲線を右側に示した。ブランク(ロードしていない)絹フィルムも、陰性アッセイ対照として使用した。
図22は、血液および血漿安定化絹フィルムから回収したLuminexTMによる種々のバイオマーカーの測定値を示す一組のデータグラフである。20mgの重量の絹フィルムクーポンを1mLのPBSに溶解し、25μLアリコートを、3つの別個のCVDバイオマーカーキットを使用して、Luminex200TM機器で実行した。試料(測定される血漿クーポンおよび血液クーポン)を、1:200および1:2000希釈した後にとり、1:2,000希釈した後の凍結したドナーに適合させた(donor-matched)血漿アリコートと比較した。内部標準によって絶対的定量化が提供され、血漿および血液クーポンの理論ローディング量を計算するのに必要な変換は、上記計算をもとにした。ブランク(ロードしていない)絹フィルムも可溶化し、陰性アッセイ対照として使用した。すべての試料を3連で実行し、平均±SDを示した。*は、ドナー2&3(p<0.05レベルで)と比較した場合に検出された有意差を示す。バーは、凍結血漿アリコートをもとにして計算されたローディング値と適合させたクーポン回収率とが一致していることを示す。
図23は、LuminexおよびELISAアッセイフォーマットで決定された血漿濃度を比較する一組の棒グラフである。絶対的検出レベルを比較するために、凍結血漿アリコートをLuminex200システムおよびMillipore EMD CVD1パネルを用いて1:200×希釈(表5を参照されたい)で実行し、R&D Systems製のELISAキット(表2を参照されたい)を用いて1:10×希釈で実行した。CRPアッセイには対数軸(左側)を使用し、PAI−1アッセイには線形軸(右側)を使用していることに留意されたい。
図24は、異なる温度に曝露させた後30日目での血液および血漿安定化絹フィルムからの、LuminexTMで判定した種々のバイオマーカーの回収率パーセントを示す一組の棒グラフである。20mgの重量の絹フィルムクーポンを1mLのPBSに溶解し、25μLアリコートを、N=3のドナーについて、Luminex200TM機器で実行した。同じ条件で保存した液体血漿アリコートを、同様にして分析した。内部標準によって絶対的定量化が提供され、血漿および血液クーポン理論ローディング量を計算するのに必要な変換は、以前の計算をもとにした(4月の報告)。3ドナーの回収率%の値を平均し、±SDを示した。回収率%を、分析物レベルを0日目の血漿レベルで除したもの×100%と定義した。バーは群間の有意差(p<0.05レベルで)を示す。点線は、−20℃保存、30日目の値を示す。$は100%から逸脱したクーポンレベルを示す。*は、Luminexシステムから20〜30%の範囲の%CV値を示す。
図25は、異なる温度に曝露させた後4カ月での血液および血漿安定化絹フィルムからの、LuminexTMで判定した種々のバイオマーカーの回収率パーセントを示す一組の棒グラフである。20mgの重量の絹フィルムクーポンを1mLのPBSに溶解し、25μLアリコートをN=3のドナーについてLuminex200TM機器で実行した。すべての条件は30日目の場合と同じである。同じ条件で保存した液体血漿アリコートを、同様にして分析した。内部標準によって絶対的定量化が提供された。3ドナーの回収率%の値を平均し、±SDを示した。回収率%を、分析物レベルを0日目の血漿レベルで除したもの×100%と定義した。バーは群間の有意差(p<0.05レベルで)を示す。点線は、−20℃保存、30日目の値を示す。$は100%から逸脱したクーポンレベルを示す。*は、Luminexシステムから20〜30%の範囲の%CV値を示す。
図26は、凍結乾燥絹溶液の形態および可溶化を示す一組の写真である。(上部)TE緩衝液(EDTA)を含むか含まないで、6%〜1%の濃度で20MB絹フィブロインから形成された絹溶液に、一次および二次乾燥を使用して凍結乾燥を施した。溶液は、それらの1.5mLの保存円錐形に適合した形状プロファイルをもたらした。(下部)凍結乾燥された溶液に水を加え、渦巻き混合させた後、絹を再可溶化させ、小さな残留発泡体断片が後に残った。その質量は絹ローディングの質量に依存した。
図27は、RiboGreenTMアッセイで測定した、様々な濃度での凍結乾燥絹溶液からのmRNA回収率を示す棒グラフである。2%〜0.05%の濃度範囲ならびに非絹ロード群(0%)で20MB絹フィブロインから形成させた絹溶液を、一次および二次乾燥を使用して凍結乾燥させ、超純水に再可溶化し、次いでRiboGreen試薬と混合し蛍光分析にかけた。回収した試料をmRNAの凍結したストック溶液(−80℃)と比較した。2連のアッセイの読み取りを、すべての試料について実施した。絶対的定量化を、リボソームRNA(製造業者から供給されたもの)で作製した標準曲線に対して実施した。データはN=3の試料の平均±標準偏差(st dev)を表す。
図28は、RiboGreenTMアッセイで測定した、様々な濃度のRNAse阻害剤含有凍結乾燥絹溶液からのmRNA回収率を示す棒グラフである。2%〜0.05%の濃度範囲ならびに非絹ロード群(0%)で20MB絹フィブロインから形成させた絹溶液を、SUPERase・InTM RNase阻害剤と混合し、一次および二次乾燥を使用して凍結乾燥し、超純水に再可溶化し、次いでRiboGreen試薬と混合し蛍光分析にかけた。回収した試料をmRNAの凍結ストック溶液(−80℃)と比較した。2連のアッセイ読み取りを、すべての試料について実施した。絶対的定量化を、リボソームRNA(製造業者から供給されたもの)で作製した標準曲線に対して実施した。データはN=3の試料の平均±標準偏差を表す。
図29は、StemfectTMトランスフェクションキットで凍結し回収したmRNAを使用した線維芽細胞トランスフェクションを示す一組の蛍光画像である。図28のために使用した絹溶液を、StemfectTMトランスフェクションキットの試薬とも混合した。トランスフェクション試薬を、凍結したストック(−80℃)かまたは回収したmRNAと一緒にし、12hr処理のために細胞に加え、次いでGFPフィルターでの蛍光画像化にかけた。白い矢印は陽性GFP発現を示す。
図30は、本明細書で説明するような診断のための絹タンパク質ベースの安定化の実施形態のまとめを提示する。
ある特定の定義
別段に述べられていない限り、または文脈から暗黙でない限り、以下の用語および語句は、以下に提供される意味を含む。別段に明示的に述べられていない限り、または文脈から明らかでない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が、それが属する技術分野で得られた意味を除外しない。定義は、特定の実施形態を説明するのに役立つように提供されており、特許請求に係る発明を限定するように意図されていない。理由は、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるためである。さらに、文脈によって別段に要求されていない限り、単数形の用語は、複数のものを含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
1つの(a):単数形の用語「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈により別段に明らかに示されていない限り複数形の指示対象を含む。同様に、単語「または」は、文脈により別段に明らかに示されていない限り、「および」を含むように意図されている。
約:操作例におけるもの、または別段に示されている場合以外で、本明細書で使用される成分または反応条件の量を表すすべての数値は、すべての場合において、用語「約」によって修飾されているものと理解されるべきである。用語「約」は、百分率に関連して使用される場合、参照されている値の±5%を意味し得る。例えば、約100は、95〜105を意味する。
周囲の:本明細書において、「周囲」条件は、能動冷却、加熱などを伴わない周辺条件である。典型的には、この用語は室温を指し、室温は一般に、一般的な室内温度を記述し、20〜25℃(68〜77°F)の間であることが多い。一部の実施形態では、周囲温度は、0℃から60℃の間、0℃から50℃の間、または0℃から40℃の間である。一部の実施形態では、周囲温度は、冷蔵庫温度(例えば、0℃から15℃の間(両端を含む))である。一部の実施形態では、周囲温度は、室温、例えば、20℃から35℃の間であり、これは、地理的条件によって変化し得る。例えば、温暖気候地域、例えば、アフリカにおける室温は、冷涼気候地域、例えば、米国または英国におけるものより一般に温かくなり得る。一部の実施形態では、貯蔵温度は、少なくとも約37℃または37℃超であり得る。
抗原:本明細書において、用語「抗原」は、抗体などの選択的結合剤によって結合され得、さらに、その抗原のエピトープに結合することができる抗体の産生を誘発するのに動物において使用され得る分子または分子の一部分を指す。抗原は、1つまたは複数のエピトープを有し得る。用語「抗原」は、抗体、またはMHC分子によって提示される場合、T細胞受容体(TCR)によって結合され得る分子も指すことができる。用語「抗原」は、本明細書において、T細胞エピトープも包含する。抗原はさらに、免疫系によって認識され得、かつ/または体液性免疫応答および/もしくは細胞性免疫応答を誘導することができ、Bならびに/またはTリンパ球の活性化をもたらす。しかしこれは、少なくともある特定の場合では、抗原がTh細胞エピトープを含有し、またはこれに連結されており、アジュバントで与えられることを必要とし得る。抗原は、1つまたは複数のエピトープ(BおよびTエピトープ)を有し得る。上記に参照した特異反応は、抗原が好ましくは、対応する抗体またはTCRと、典型的には高度に選択的な様式で反応し、他の抗原によって誘起され得る多数の他の抗体またはTCRと反応しないことを示すことを意味する。抗原は、本明細書において、いくつかの個々の抗原の混合物でもあり得る。
生物活性:用語「生物活性」は、活性作用物質を参照して本明細書で使用する場合、一般に、生物学的標的と相互作用し、かつ/または生物学的標的に対して効果を生じさせる、活性作用物質の能力を指す。例えば、生物活性として、限定することなく、生物学的標的における刺激性、阻害性、制御性、毒性、または致死性応答の誘発を挙げることができる。生物学的標的は、分子または細胞であり得る。例えば、生物活性は、酵素の効果/活性をモジュレートし、受容体をブロックし、受容体を刺激し、1つもしくは複数の遺伝子の発現レベルをモジュレートし、細胞増殖をモジュレートし、細胞分裂をモジュレートし、細胞モルフォロジーをモジュレートする、またはこれらの任意の組合せを行う、活性作用物質の能力を指すことができる。一部の場合では、生物活性は、細胞内に毒性効果を生じさせる、化合物の能力を指すことができる。例示的な細胞応答としては、それだけに限らないが、溶解、アポトーシス、増殖阻害、および増殖促進;細胞による目的のタンパク質または他の分子の産生、分泌、および表面発現;受容体活性化を含めた膜表面分子活性化;膜貫通イオン輸送;転写制御;細胞の生存能の変化;細胞モルフォロジーの変化;細胞の細胞内構成成分の存在または発現の変化;遺伝子発現または転写物の変化;細胞内で産生される酵素の活性の変化;ならびにリガンドおよび/または受容体の存在または発現(例えば、タンパク質発現および/または結合活性)の変化がある。様々な細胞応答をアッセイするための方法、例えば、細胞の内因性タンパク質の存在もしくは発現の変化を判定するためのウエスタンブロット、または活性作用物質に応答した細胞モルフォロジーを監視するための顕微鏡観察、または核酸の変化を検出および定量化するためのFISHおよび/もしくはqPCRが、当業者に周知である。生物活性は、一部の実施形態では、例えば、細胞応答をアッセイすることによって判定され得る。
抗体への言及において、用語「生物活性」は、それだけに限らないが、例えば、ヒト対象に投与される場合、エピトープもしくは抗原結合親和性、抗体のin vivoおよび/もしくはin vitro安定性、抗体の免疫原性、ならびに/またはin vivoもしくはin vitroで標的分子の生物活性を中和もしくはアンタゴナイズする能力を含む。上述の性質または特性は、当技術分野で認識されている技法を使用して観察および測定することができ、この技法としては、それだけに限らないが、シンチレーション近接アッセイ、ELISA、ORIGENイムノアッセイ(IGEN)、蛍光消光、蛍光ELISA、競合ELISA、それだけに限らないが、BIAcoreバイオセンサーを使用するSPR分析を含めたSPR分析、in vitroおよびin vivo中和アッセイ(例えば、国際公開第WO2006/062685号を参照)、受容体結合、ならびにヒト、霊長類、または必要に応じて任意の他の源を含めた様々な源に由来する組織切片を用いた免疫素組織化学検査がある。免疫原への言及において、「生物活性」は、免疫原性を含み、その定義は、後に詳細に論じられている。ウイルスへの言及において、「生物活性」は、感染力を含み、その定義は、後に詳細に論じられている。造影剤、例えば、色素への言及において、「生物活性」は、対象に投与される場合、対象の体内の構造または流体のコントラストを増強する、造影剤の能力を指す。造影剤の生物活性には、それだけに限らないが、生物環境と相互作用し、かつ/またはある特定の条件下で別の分子の応答に影響するその能力も含まれる。
コールドチェーン:語句「コールドチェーン」は、温度調節されたサプライチェーンを指す。切れ目のないコールドチェーンは、所与の温度範囲を維持する連続した一連の貯蔵および流通活動である。これは、製品、例えば、化学物質、生物製剤、および医薬品などの有効期間を延長および保証するのを助けるのに使用される。コールドチェーンは、食物および医薬産業、ならびにまたいくつかの化学物質出荷において一般的である。医薬産業におけるコールドチェーンの典型的な温度範囲は、2〜8℃である。一部の場合では、具体的な温度(および温度での時間)トレランスは、貯蔵および/または出荷されている実際の製品に依存する。
構成成分:本明細書において、語句の試料の「構成成分」は、検出または分析され得る試料中に存在する物理的、化学的、または生物学的な実体(例えば、それだけに限らないが、タンパク質、ペプチド、核酸、細胞、増殖因子、および/または治療剤)を指す。
含む(comprises):本明細書に記載のものと同様のまたは等価な方法および材料を、本開示の実行または試験で使用することができるが、適当な方法および材料が以下に記載されている。用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。略語「例えば(e.g.)」は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、非限定例を示すのに本明細書で使用される。したがって、略語「例えば(e.g.)」は、用語「例えば(for example)」と同義である。
含む(comprising):本明細書において、用語「含む(comprising)」または「含む(comprises)」は、一実施形態に有用である組成物、方法、およびこれらのそれぞれの構成成分(複数可)を参照して使用され、しかもなお、有用であるか否かにかかわらず不特定の要素を含めることを受け入れる。
減少する(decrease):用語「減少する(decrease)」、「低減された」、「低減」、「減少(decrease)」または「阻害する」はすべて、一般に、統計的に有意な量による減少(decrease)を意味するように本明細書で使用される。しかし、疑念を避けるために、「低減された」、「低減」、あるいは「減少する」、あるいは「阻害する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の減少、例えば、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、または最大で100%の減少およびそれを含む減少(例えば、参照試料と比較して非存在レベル)、あるいは参照レベルと比較して10〜100%の間の任意の減少を意味する。
本質的に:本明細書で互換的に使用されるように、用語「本質的に」および「実質的に」は、少なくとも約60%、もしくは好ましくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、もしくは少なくとも約99%、またはそれ超、あるいは70%から100%の間の任意の整数の比率を意味する。一部の実施形態では、用語「本質的に」は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくはそれ超、または90%から100%の間の任意の整数の比率を意味する。一部の実施形態では、用語「本質的に」は、100%を含み得る。
フィブロイン:本明細書において、用語「フィブロイン」は、カイコ絹フィブロインおよび昆虫またはクモの絹タンパク質を含む(Lucasら、Adv. Protein Chem、13巻:107〜242頁(1958年))。任意のタイプの絹フィブロインを、本発明の態様によって使用することができる。多種多様な種によって産生される多くの異なるタイプの絹が存在し、この種としては、限定することなく:Antheraea mylitta;Antheraea pernyi;Antheraea yamamai;Galleria mellonella;Bombyx mori;Bombyx mandarina;Galleria mellonella;Nephila clavipes;Nephila senegalensis;Gasteracantha mammosa;Argiope aurantia;Araneus diadematus;Latrodectus geometricus;Araneus bicentenarius;Tetragnatha versicolor;Araneus ventricosus;Dolomedes tenebrosus;Euagrus chisoseus;Plectreurys tristis;Argiope trifasciata;およびNephila madagascariensisがある。一部の実施形態では、フィブロインは、溶解したカイコ絹またはクモ絹を含有する溶液から得られる。カイコ絹タンパク質は、例えば、Bombyx moriから得られ、クモ絹は、Nephila clavipesから得られる。他の絹としては、トランスジェニック絹、遺伝子操作された絹(組換え絹)、例えば、細菌、酵母、哺乳動物細胞、トランスジェニック動物、またはトランスジェニック植物に由来する絹など、およびこれらのバリアントがある。例えば、WO97/08315および米国特許第5,245,012号を参照。これらの両方の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。一部の実施形態では、絹フィブロインは、他の源、例えば、クモ、他のカイコ、ミツバチ、合成絹様ペプチド、これらのバイオ工学処理バリアントなどに由来し得る。一部の実施形態では、絹フィブロインは、カイコまたはトランスジェニックカイコの腺から抽出され得る。例えば、WO2007/098951を参照。その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。異なる種の絹産生生物、および異なるタイプの絹は、異なるアミノ酸組成を有するが、様々なフィブロインタンパク質は、ある特定の構造的フィーチャを共有する。絹フィブロイン構造における一般的な傾向は、交互するグリシンおよびアラニン、またはアラニン単独によって特徴付けられるアミノ酸の配列である。このような構成は、フィブロイン分子がベータシート高次構造にセルフアセンブルすることを可能にする。これらの「Alaリッチ」および「Glyリッチ」疎水性ブロックは、嵩高い側基を有するアミノ酸のセグメント(例えば、親水性スペーサー)によって典型的には分離される。一部の実施形態では、フィブロインの疎水性ブロックのコア反復配列は、以下のアミノ酸配列および/または式によって表すことができる:(GAGAGS)5-15(配列番号1);(GX)5-15(X=V,I,A)(配列番号2);GAAS(配列番号3);(S1-2A11-13)(配列番号4);GX1-4 GGX(配列番号5);GGGX(X=A,S,Y,R,D V,W,R,D)(配列番号6);(S1-2A1-4)1-2(配列番号7);GLGGLG(配列番号8);GXGGXG(X=L,I,V,P)(配列番号9);GPX(X=L,Y,I);(GP(GGX)1-4 Y)n(X=Y,V,S,A)(配列番号10);GRGGAn(配列番号11);GGXn(X=A,T,V,S);GAG(A)6-7GGA(配列番号12);およびGGX GX GXX(X=Q,Y,L,A,S,R)(配列番号13)。一部の実施形態では、フィブロインペプチドは、ペプチド内に複数の疎水性ブロック、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20個の疎水性ブロックを含有し得る。一部の実施形態では、フィブロインペプチドは、4〜17個の間の疎水性ブロックを含有し得る。本発明の一部の実施形態では、フィブロインペプチドは、長さが約4〜50アミノ酸である少なくとも1つの親水性スペーサー配列(「親水性ブロック」)を含む。親水性スペーサー配列の非限定例としては、TGSSGFGPYVNGGYSG(配列番号14);YEYAWSSE(配列番号15);SDFGTGS(配列番号16);RRAGYDR(配列番号17);EVIVIDDR(配列番号18);TTIIEDLDITIDGADGPI(配列番号19)およびTISEELTI(配列番号20)がある。ある特定の実施形態では、フィブロインペプチドは、上記に列挙した代表的なスペーサー配列の任意の1つの誘導体である親水性スペーサー配列を含有し得る。このような誘導体は、親水性スペーサー配列の任意の1つと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。一部の実施形態では、本発明に適したフィブロインペプチドは、スペーサーをまったく含有しない。絹は一般に、繊維性タンパク質であり、高分子量の反復性の高いタンパク質を形成するのに一緒に連結されたモジュラーユニットによって特徴付けられる。これらのモジュラーユニットまたはドメインは、それぞれ特定のアミノ酸配列および化学的性質を有し、特定の機能をもたらすと考えられている。例えば、ポリ−アラニン(ポリA)およびポリ−アラニン−グリシン(ポリ−AG)などの配列モチーフは、ベータシート形成性である傾向があり;GXXモチーフは、31ヘリックス形成に寄与し;GXGモチーフは、剛性をもたらし;GPGXX(配列番号22)は、ベータらせん形成に寄与する。これらは、様々な絹構造中の異なる構成成分の例であり、この構成成分のポジショニングおよび配置は、絹ベース材料の最終材料性質につながっている(OmenettoおよびKaplan(2010年)、Science、329巻:528〜531頁に総説されている)。WO2011/130335(PCT/US2011/032195)も参照。これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
増大する:用語「増大した」、「増大する」、または「増強する」、または「活性化する」はすべて、一般に統計的に有意な量の増大を意味するように本明細書で使用され、いずれの疑念も避けるために、用語「増大した」、「増大する」、あるいは「増強する」、あるいは「活性化する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増大、例えば、参照レベルと比較して少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、または最大で100%の増大、およびこれを含めた増大、あるいは10〜100%の間の任意の増大、あるいは参照レベルと比較して少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍の増大、または2倍から10倍の間、もしくはそれ超の任意の増大を意味する。
阻害する:本明細書において、用語「阻害する」は、何かが起こることを防止すること、何かが起こる出現を遅延させること、および/または何かが起こる程度もしくは可能性を低減することを意味する。
維持する:本明細書において、用語「維持する(maintaining)」、「維持する(maintain)」、および「維持」は、組成物または活性作用物質に言及している場合、活性作用物質がある特定の条件に供されるとき、絹フィブロインマトリックス中の少なくとも1種の活性作用物質の生物活性を保ち、持続させ、または保持することを意味する。一部の実施形態では、絹フィブロインマトリックス中に分布した1種または複数の活性作用物質は、その元の生物活性の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%またはそれ超を含めた、その元の生物活性の少なくとも約30%を保持する。
ナノパターン:用語「ナノパターン」または「ナノパターン化された」は、本明細書において、絹フィブロインベースマトリックス、例えば、フィルムもしくは発泡体中にもたらされる小さいパターニング、またはこのような絹フィブロインベースマトリックスを含む組成物を指す。一般に、ナノメートルスケール(すなわち、10−9メートル)で適切に測定され得るサイズ、例えば、1ナノメートル〜数ミリメートル(両端を含む)の範囲のサイズの構造的フィーチャを有するパターニング。
核酸:本明細書において、用語「核酸」もしくは「オリゴヌクレオチド」、または本明細書での文法的な同義語は、一緒に共有結合的に連結された、その類似体または誘導体を含めた少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。例示的な核酸としては、それだけに限らないが、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、遺伝子、調節領域および終結領域を含む遺伝子、自己複製系、例えば、ウイルスまたはプラスミドDNA、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、プレmRNA、一本鎖および二本鎖のsiRNAおよび他のRNA干渉試薬(RNAi剤またはiRNA剤)、shRNA(ショートヘアピンRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、マイクロRNA(miRNA)、プレmiRNA、ならびに修飾RNA(例えば、ロックされた核酸)などがある。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。核酸は、DNA、RNA、またはハイブリッドであり得、この場合、核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの任意の組合せ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、およびグアニンの任意の組合せを含有する。核酸は、1つまたは複数の主鎖修飾、例えば、ホスホルアミド(Beaucageら、Tetrahedron、49巻(10号):1925頁(1993年)およびその中の参考文献;Letsinger、J. Org. Chem.、35巻:3800頁(1970年))、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O−メチルホスホラミダイト(O-methylphophoroamidite)連結(Eckstein、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach、Oxford University Pressを参照)、またはペプチド核酸連結(Egholm、J. Am. Chem. Soc.、114巻:1895頁(1992年);Meierら、Chem. Int. Ed. Engl.、31巻:1008頁(1992年);およびNielsen、Nature、365巻:566頁(1993年)を参照)を含み得る。これらの文献のすべての内容は、参照により本明細書に組み込まれている。核酸は、ヌクレオチドの核酸塩基および/または糖部分への修飾も含み得る。糖部分における例示的な糖修飾としては、2’−OHのハロゲン(例えば、フルオロ)、O−メチル(O-mehtyl)、O−メトキシエチル、NH、SH、およびS−メチルとの置き換えがある。
ポリエチレングリコール:「PEG」は、約20〜約2000000の連結モノマー、典型的には約50〜1000の連結モノマー、通常約100〜300を含有するエチレングリコールポリマーを意味する。ポリエチレングリコールとしては、様々な数の連結モノマーを含有するPEG、例えば、PEG20、PEG30、PEG40、PEG60、PEG80、PEG100、PEG115、PEG200、PEG 300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG5000、PEG6000、PEG8000、PEG11000、PEG12000、PEG2000000、およびこれらの任意の混合物がある。
防止する(prevent):本明細書において、用語「防止する(preventing)」は、プロセス(例えば、病因、疾患進行など)に対する作用物質の作用を指すのに使用される場合、作用物質(例えば、治療剤)がプロセスに関連した1つまたは複数の症状または特質を発症する前に投与されるとき、このようなプロセスの程度を低減すること、および/またはその開始を遅延させることを意味する。
レディトゥユーズ:「レディトゥユーズ製剤」にあるような語句「レディトゥユーズ」は、エンドユーザーが使用する前にさらなる処理(例えば、製造中のステップ)を必要としない組成物または製品を指す。一部の実施形態では、レディトゥユーズ製剤は、注射準備済み製剤(すなわち、注射可能医薬品)を含む。本発明との関連で、レディトゥユーズ製剤は、投与前に希釈されるように設計されたストック製剤などの濃縮された製剤を包含する。
参照:用語「参照」は、例えば、参照の組成物または条件のセットなどを指すのに本明細書で使用される。当業者は、文脈から、何が特定の局面における適切な「参照」であり得るかを理解するであろう。一般に、「参照」は、意味のある比較を許容するのに、目的の組成物または条件のセットと十分な類似性を共有する。多くの実施形態では、本明細書での「参照組成物」は、慣例的な絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物でない)である。
ショートヘアピンRNA:用語「shRNA」は、本明細書において、RNAiおよび/またはsiRNA種として機能するが、shRNA種は、安定性の増大のために二本鎖ヘアピン様構造である点で異なるショートヘアピンRNAを指す。用語「RNAi」は、本明細書において、干渉RNA、または遺伝子発現を阻害する核酸分子またはこれらの類似体、例えば、RNAベース分子であるRNA干渉分子を指す。RNAiは、選択的転写後遺伝子サイレンシングの手段を指す。RNAiは、特定のmRNAを破壊することができ、またはmRNAなどのRNAのプロセシングまたは翻訳を防止する。
短鎖干渉RNA:用語「短鎖干渉RNA」(siRNA)は、「低分子干渉RNA」とも本明細書で呼ばれ、例えば、RNAiによって標的遺伝子の発現を阻害するように機能する作用物質として定義される。siRNAは、化学合成され得、これは、in vitro転写によって生成され得、またはこれは、宿主細胞内で産生され得る。siRNA分子は、一方の鎖が不活化されるメッセージと同一である二本鎖RNAの切断によっても生成され得る。用語「siRNA」は、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する小さい阻害性RNAデュプレックスを指す。これらの分子は、長さが様々となり得(一般に18〜30塩基対)、アンチセンス鎖中にこれらの標的mRNAに対する様々な程度の相補性を含有し得る。すべてではないがいくつかのsiRNAは、センス60鎖および/またはアンチセンス鎖の5’または3’末端に対になっていない突出塩基を有する。用語「siRNA」は、2つの別個の鎖のデュプレックス、およびデュプレックス領域を含むヘアピン構造を形成し得る一本鎖を含む。
溶液:用語「溶液」は、1つの相から構成される均質な混合物を広く指す。典型的には、溶液は、1種または複数の溶媒中に溶解した1種または複数の溶質を含む。これは、混合物の性質(濃度、温度、および密度など)が、体積全体にわたって均一に分布され得ることを特徴とする。したがって、本願との関連で、「絹フィブロイン溶液」は、水などの溶媒中に溶解した可溶性形態での絹フィブロインタンパク質を指す。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、固体状態絹フィブロイン材料(すなわち、絹マトリックス)、例えば、絹フィルムおよび他のスキャフォールドなどから調製され得る。典型的には、固体状態絹フィブロイン材料は、水および緩衝液などの水溶液で再構成されて絹フィブロイン溶液になる。均質でない液体混合物、例えば、コロイド、懸濁液、エマルジョンは、溶液と見なされないことに留意されるべきである。ほんの一例だけを示すと、溶液中に懸濁された絹フィブロインミクロスフェアまたは粒子は、それ自体で絹フィブロイン溶液を構成しない。
安定化:本明細書において、可溶性絹フィブロインによってもたらされる作用物質の「安定化」は、作用物質が、分解、ミスフォールディング、変性、凝集、および/または不活化に対して感受性が低いように、作用物質の構造(例えば、高次構造)の完全性および対応する機能または活性を支持、促進、助長、および/または維持する絹フィブロインポリペプチドの任意の効果を指す。絹フィブロインマトリックスの安定化効果に対するより詳細な考察は、PCT/US12/34643(2012年4月23日出願)およびZhangら、(2012年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. U.S.A.、109巻(30号):11981〜6頁に提供されており、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の様々な態様の実施形態によれば、生体試料の1種または複数の構成成分の少なくとも1つの性質が、任意の時間にわたって低分子量絹フィブロイン組成物内で安定化され得る。本明細書において、用語「安定化させる(stabilize)」、「安定化させる(stabilizing)」、または「安定化」は、ある時間にわたって低分子量絹ベース材料中で部分的または完全に維持または保持されている生体試料の構成成分の少なくとも1つの性質(例えば、活性、完全性、および/または量)を指す。活性の安定化に関して、一部の実施形態では、生体試料中に元来存在する構成成分の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)が、ある時間にわたって少なくとも部分的または完全な活性を保持することができる。別の言い方をすれば、構成成分は、ある時間にわたってその元の活性の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)を保持することができる。完全性の安定化に関して、生体試料中に元来存在する構成成分の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)が、ある時間にわたって完全性を保持することができる。量の安定化に関して、生体試料中に元来存在する構成成分の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)が、構成成分が活性であるか、不活性であるか、またはインタクトであるか、インタクトでないかにかかわらず、ある時間にわたって保持され得る。本明細書において、用語「元来」または「元の」は、構成成分の元の存在または元の活性を参照して使用される場合、生体試料が対象から得られた直後に測定される、または代わりに、生体試料が絹ベース材料内に混合もしくは封入される直前もしくは直後に測定される構成成分のレベルを指す。一部の実施形態では、構成成分の元の存在または元の活性は、対照、例えば、非絹手法によって安定化された対照、例えば、凍結対照中の構成成分のレベルを指す。
統計的に有意な:用語「統計的に有意な」または「有意に」は、統計的有意性を指し、一般に、参照レベルから離れた少なくとも2標準偏差(2SD)を意味する。この用語は、差異があるという統計的証拠を指す。これは、帰無仮説が実際に真である場合に帰無仮説を棄却する決定をする確率として定義される。
対象:本明細書において、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、脊椎動物、例えば、霊長類、げっ歯類、家庭動物、または狩猟動物などである。霊長類としては、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、およびマカク、例えば、アカゲザルがある。げっ歯類としては、マウス、ラット、マーモット、フェレット、ウサギ、およびハムスターがある。家庭動物ならびに狩猟動物としては、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ(feline)種、例えば、飼いネコ(domestic cat)、イヌ(canine)種、例えば、イヌ(dog)、キツネ、オオカミ、トリ種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ならびに魚、例えば、マス、ナマズ、およびサケがある。患者または対象は、上記の任意のサブセット、例えば、1つまたは複数の群または種、例えば、ヒト、霊長類、またはげっ歯類などを除外する上記のすべて含む。ある特定の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。用語「患者」および「対象」は、本明細書で互換的に使用される。
感受性の:本明細書において、用語「感受性の」は、全体として一般的な集団において観察されるより、何か、例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がんなど)のリスクの増大および/または傾向(典型的には、遺伝性素因、環境要因、個人歴、またはこれらの組合せに基づいて)を有することを意味する。この用語は、ある状態について「感受性の」個体は、その状態と決して診断される場合がないことを考慮する。
チューブ:用語「チューブ」はここで、その中に管腔を有する細長いシャフトを指す。チューブは典型的には、細長い中空の円筒であり得るが、他の断面形状の中空シャフトであってもよい。
好適な実施形態を、本明細書に詳細に表し、記載してきたが、様々な改変、付加、置換などを、本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができ、したがってこれらは、以下に続く特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内であると見なされることが当業者に明らかとなるであろう。さらに、既に示されていない程度に、記載および例示した本明細書の様々な実施形態のいずれか1つが、本明細書に開示の他の実施形態のいずれかに示したフィーチャを組み込むようにさらに改変され得ることが当業者によって理解されるであろう。
本開示を、限定的であると解釈されるべきでない以下の実施例によってさらに例示する。実施例は、例示的であるだけであり、本明細書に記載の態様のいずれをも、いずれの様式においても限定するように意図されていない。以下の実施例は、本発明を決して限定しない。
ある特定の実施形態の詳細な説明
本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコール、および試薬などに限定されず、したがって、様々となり得ることが理解されるべきである。本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、特許請求の範囲によってもっぱら定義される本発明の範囲を限定するように意図されていない。
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、文脈により別段に明らかに示されていない限り、単数形は、複数形の参照を含み、逆の場合も同様である。操作例におけるもの、または別段に示されている場合以外で、本明細書で使用される成分または反応条件の量を表すすべての数値は、すべての場合において、用語「約」によって修飾されているものと理解されるべきである。
特定したすべての特許および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得るこのような刊行物に記載された方法論を記載および開示する目的のために、参照により本明細書に明白に組み込まれている。これらの刊行物は、もっぱら本願の出願日の前にこれらが開示されているために提供されている。この点において何も、本発明者らが、先行発明によって、または任意の他の理由のためにこのような開示に先行する権利を有さないことを承認するものとして解釈されるべきでない。これらの文書の内容に関する日付または表現に関するすべての陳述は、出願人に利用可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関するいずれの承認も構成しない。
別段に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。任意の公知の方法、デバイス、および材料を本発明の実行または試験で使用することができるが、この点における方法、デバイス、および材料が、本明細書に記載されている。
低分子量組成物
本明細書に提供される一態様は、低分子量絹フィブロイン組成物に関する。本発明の一態様によれば、低分子量絹フィブロイン組成物は、ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団であって、集団中の絹フィブロイン断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中の絹フィブロイン断片の総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とする、絹フィブロイン断片の集団を含む。
別の言い方をすれば、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団であって、集団中の絹フィブロイン断片の総モル数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中の絹フィブロイン断片の総モル数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とする、絹フィブロイン断片の集団を含む。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団であって、集団中の絹フィブロイン断片の総重量の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中の絹フィブロイン断片の総重量の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とする、絹フィブロイン断片の集団を含む。
本明細書において、語句「絹フィブロイン断片」は、絹フィブロインタンパク質またはそのバリアントに由来する断片に対応するアミノ酸配列を有するペプチド鎖またはポリペプチドを指す。本開示との関連で、絹フィブロイン断片は一般に、集団または組成物内の絹フィブロイン断片の1つまたは複数が、300kDa未満、250kDa未満、200kDa未満、175kDa未満、150kDa未満、120kDa未満、100kDa未満、90kDa未満、80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満、15kDa未満、12kDa未満、10kDa未満、9kDa未満、8kDa未満、7kDa未満、6kDa未満、5kDa未満、4kDa未満、3.5kDaなどであるように、天然に存在する全長絹フィブロイン対応物より小さい絹フィブロインペプチド鎖またはポリペプチドを指す。
一部の実施形態では、「絹フィブロイン断片の集団を含む組成物」は、絹フィブロインポリペプチドのより短い断片に加えて、断片化されていない(すなわち、全長の)絹フィブロインポリペプチドを含む組成物を包含し得る。本明細書に記載の絹フィブロイン断片は、組換えタンパク質として生成することができ、または天然の絹フィブロインタンパク質もしくは絹繭に由来し、もしくはそれから単離(例えば、精製)することができる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、所望の範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片を生成するように選択された指定条件下で絹繭を精練することによって得ることができる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、大気沸点で、またはそれに近い(例えば、5%前後以内の)温度で、例えば、少なくとも70分、少なくとも80分、少なくとも90分、少なくとも100分、少なくとも110分、少なくとも約120分、またはそれ超を含めた少なくとも約60分またはそれ超にわたって絹繭を精練することによって得ることができる。本明細書において、用語「大気沸点」は、液体が大気圧下で沸騰する温度を指す。
一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、約90℃〜約110℃で、例えば、少なくとも70分またはそれ超を含めた少なくとも60分またはそれ超にわたって水溶液中で絹繭を精練することによって生成され得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、大気沸点未満で、より長い時間、例えば、60分超またはそれ超、例えば、70分超、80分超、90分超、100分超、110分超、120分超、130分超、140分超、150分超、またはそれ超にわたって絹繭を精練することによって得ることができる。
理論に束縛されることを望むわけではないが、絹フィブロイン断片は、約70℃の温度で、例えば、少なくとも70分、少なくとも80分、少なくとも90分、少なくとも100分、またはそれ超を含めた少なくとも60分またはそれ超にわたって絹繭を精練することによって生成され得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、指定条件下で絹繭を精練するステップと、結果として生じる絹フィブロイン溶液を高温および/または高圧にさらに曝すステップとを含むプロセスによって生成され得る。例えば、絹フィブロイン断片は、沸点前後で約10分間絹繭を精練するステップと、次いで結果として生じる絹フィブロイン溶液を高温および/または高圧(例えば、オートクレーブ処理)に供するステップとを含むプロセスによって生成され得る。
一実施形態では、低分子絹フィブロイン組成物の一例は、以下の通り生成され得る:絹フィブロイン調製物中に存在する全絹フィブロインの少なくとも50wt%が、例えば、SDSゲル電気泳動によって判定される場合に、分子量の低減を示す、すなわち全長絹フィブロインより小さい(例えば、絹フィブロイン断片)ことを特徴とする絹フィブロインポリペプチドの断片化を実現するのに十分な量で、絹フィブロイン調製物が処理される(例えば、加熱および/または煮沸される)。例示するために、例えば、出発材料として合計で1.0グラムの全長絹フィブロインを含有する絹フィブロイン調製物について、加熱および/または煮沸のステップ後に、絹フィブロインの少なくとも0.5グラムは、その時点で、出発材料(例えば、全長ポリペプチド)と比較して低減された形態(より小さい断片)にある。結果として、調製物内の絹フィブロインポリペプチドの平均分子量は、低分子量絹フィブロイン組成物が形成されると減少することになる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物中の絹フィブロイン断片は、セリシンを実質的に含まないことができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、絹タンパク質組成物の総重量の5wt%以下またはそれ未満のセリシンを含有し得る。例えば、絹フィブロイン断片は、絹タンパク質組成物の総重量の4wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、1wt%以下、0.5wt%以下のセリシンを含有し得る。
一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、修飾され得る。例えば、一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、官能基を含むように修飾され得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片は、例えば、それだけに限らないが、ペプチド、タンパク質、核酸分子、造影剤、治療剤、標的結合リガンド、細胞結合リガンド、両親媒性ペプチド、またはこれらの任意の組合せを含めた作用物質に共有結合的または非共有結合的に連結または融合され得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片のアミノ酸配列は、細胞結合リガンドおよび/または両親媒性ペプチドを含み得る。一実施形態では、絹フィブロイン断片のアミノ酸配列は、RGD配列を含み得る。
本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の実施形態では、集団中の絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の15%以下が、200kDaを超える分子量を有する。本明細書において、語句「200kDaを超える」は、200kDaより大きい絹フィブロイン断片の分子量を指す。一部の実施形態では、語句「200kDaを超える」は、約200kDaである絹フィブロイン断片の分子量を包含し得る。一部の実施形態では、200kDaを超える分子量を有する絹フィブロイン断片は、例えば、絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下を含めた、絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の10%以下の量で集団中に存在する。一実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、200kDaを超える分子量を有する絹フィブロイン断片を実質的に含まない。
本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物では、絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも50%が指定範囲内の分子量を有し、ここで指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間である。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の、例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ超を含めた50%超が、指定範囲内の分子量を有し得る。一実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間の分子量を実質的に有する絹フィブロイン断片の集団を有し得る。
集団中の絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも50%において存在する絹フィブロイン断片の分子量分布の指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間で変化し得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも約50%の分子量分布は、3.5kDaまたはそれ超であるが、120kDa未満の下限を有し得る。例えば、指定範囲の下限は、3.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、または115kDaであり得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも約50%の分子量分布の指定範囲は、10kDaまたはそれ超(120kDaを含み、最大で120kDa)の上限を有し得る。単なる例として、指定範囲の上限は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、または120kDaであり得る。指定範囲の例として、限定することなく、(i)約5〜120kDaの間;(ii)約10〜120kDaの間;(iii)約15〜120kDaの間;(iv)20〜120kDaの間;(v)20〜110kDaの間;(vi)約20〜100kDaの間;(vii)約20〜90kDaの間;(viii)約20〜80kDaの間;(ix)約30〜120kDaの間;(x)約30〜100kDaの間;(xi)約30〜90kDaの間;(xii)約30〜80kDaの間;(xiii)約40〜120kDaの間;(xiv)約40〜110kDaの間;(xv)約40〜100kDaの間;(xvi)約40〜90kDaの間、および(xvii)約40〜80kDaの間を挙げることができる。
上述した指定範囲を伴った分子量分布を有する絹フィブロイン断片は、連続的または不連続な分子量分布を呈し得る。本明細書において、用語「連続的な分子量分布」は、指定範囲の間で任意のサブ範囲を有する分子量の分布を指す。本明細書において、用語「不連続な分子量分布」は、指定範囲の間である特定のサブ範囲を有する分子量の分布を指す。単なる例として、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間の指定範囲を伴った不連続な分子量分布を有する絹フィブロイン断片は、絹フィブロイン断片の一部が、約3.5kDaから10kDaの間の分子量を有し、絹フィブロイン断片の少なくとも一部または残りが、約110kDaから約120kDaの間の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団を指すことができる。
したがって、一部の実施形態では、3.5kDaから120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間の特定の範囲内の分子量を有する集団中の絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも約50%またはそれ超は、特定の範囲内の分子量を有する集団中の絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも約50%が、以下のサブ範囲(i)〜(x)の1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)によって構成される絹フィブロイン断片の集団として特徴付けることができ、このサブ範囲は、(i)20kDa〜30kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(ii)30kDa〜40kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(iii)40kDa〜50kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(iv)50kDa〜60kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(v)60kDa〜70kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(vi)70kDa〜80kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(vii)80kDa〜90kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(viii)90kDa〜100kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(ix)100kDa〜110kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;および(x)110kDa〜120kDaの分子量分布を有する絹フィブロインを含む。
分子量サブ範囲(i)〜(x)を有する絹フィブロイン断片の量は、本明細書に記載の組成物中の絹フィブロイン断片のすべての総数(もしくは総モル数)または総重量の0%〜100%で変化し得、ただし、分子量サブ範囲(i)〜(x)を有する絹フィブロイン断片の合計重量は、組成物中の絹フィブロイン断片のすべての総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも50%またはそれ超を構成する。したがって、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、分子量サブ範囲(i)〜(x)を有する絹フィブロイン断片の任意の組合せを有するように構成することができる。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、本明細書に定義した1つの特定の分子量サブ範囲に対応する絹フィブロイン断片を有し得る。他の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、本明細書に定義した2つまたはそれ超の特定の分子量サブ範囲に対応する絹フィブロイン断片の混合物を有し得る。
一部の実施形態では、76kDaの分子量を有する絹フィブロイン断片と18kDaの分子量を有する絹フィブロイン断片の比は、5:1〜1.5:1でない。したがって、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団であって、集団中の絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中の絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲は、約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であり、ただし、76kDaの分子量を有する絹フィブロイン断片と18kDaの分子量を有する絹フィブロイン断片の比は、5:1〜1.5:1でないことを特徴とする、絹フィブロイン断片の集団を含み得る。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、120kDaから200kDaの間の分子量分布を有する絹フィブロイン断片の総数(もしくは総モル数)または総重量の35%以下をさらに含み得る。例えば、一部の実施形態では、120kDaから200kDaの間の分子量分布を有する絹フィブロインの総数(もしくは総モル数)または総重量の、例えば、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下を含めた35%未満が、本明細書に記載の組成物中に存在し得る。一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、120kDaから200kDaの間の分子量分布を有する絹フィブロイン断片を実質的に含まないことができる。
一部の実施形態では、組成物が120kDaから200kDaの間の分子量分布を有する絹フィブロイン断片を含む場合、これらの絹フィブロイン断片は、以下のサブ範囲(xi)〜(xviii)の1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8)によって構成され得、このサブ範囲は、(xi)120kDa〜130kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(xii)130kDa〜140kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(xiii)140kDa〜150kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(xiv)150kDa〜160kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(xv)160kDa〜170kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(xvi)170kDa〜180kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;(xvii)180kDa〜190kDaの分子量分布を有する絹フィブロイン;および(xviii)190kDa〜200kDaの分子量分布を有する絹フィブロインを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、参照絹フィブロイン組成物と比べて、本明細書に定義した特定のサブ範囲(i)〜(xviii)内の絹フィブロイン断片の少なくとも1種または複数に富んでいることができる。一部の実施形態では、参照絹フィブロイン組成物は、大気沸点で約60分間絹繭を精練することによって生成される組成物または混合物であり得る。一実施形態では、参照絹フィブロイン組成物は、大気沸点で、炭酸ナトリウム水溶液中で約60分間絹繭を精練することによって生成される組成物または混合物であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、参照絹フィブロイン組成物と比べて、本明細書に定義した特定のサブ範囲(i)〜(xviii)内の絹フィブロイン断片の少なくとも2種またはそれ超(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ超)に富んでいることができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片の少なくとも1種または複数は、参照絹フィブロイン組成物と比べて、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ超を含めた少なくとも約10%またはそれ超組成物中で富んでいることができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン断片の少なくとも1種または複数は、参照絹フィブロイン組成物と比べて、例えば、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、またはそれ超を含めた少なくとも約1.1倍またはそれ超組成物中で富んでいることができる。
本明細書に記載の様々な実施形態によれば、低分子量絹フィブロイン組成物は、いわゆる「加水分解絹」と異なる。加水分解絹は、一般に、絹タンパク質を加水分解または分解して、例えば、1kDa以下の分子量を有するより小さいペプチド鎖、および/または構成アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、およびセリンなどにすることによって生成される。したがって、用語「加水分解絹」は、本明細書において、2kDa未満、1kDa未満、500Da未満、またはそれ未満の分子量を有する絹ペプチド鎖またはアミノ酸を指す。別の言い方をすれば、加水分解絹は一般に、例えば、少なくとも5kDa、少なくとも10kDa、少なくとも15kDa、少なくとも20kDa、少なくとも25kDa、少なくとも30kDa、少なくとも40kDa、少なくとも50kDa、少なくとも60kDa、少なくとも70kDa、少なくとも80kDa、少なくとも90kDa、少なくとも100kDa、またはそれ超を含めた少なくとも3.5kDaまたはそれ超の分子量を有する絹フィブロインペプチド鎖を含まない。
本明細書に記載の絹フィブロイン断片の分子量は、例えば、それだけに限らないが、SDS−PAGEゲル、サイズ排除ゲルクロマトグラフィー、質量分析、またはこれらの任意の組合せを含めた当技術分野における任意の公知の方法によって判定することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物中の本明細書で言及した絹フィブロイン断片の分子量は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって判定することができる。単なる例として、各低分子量絹フィブロイン組成物について、適切な量(例えば、約7.5μg)の組成物または絹フィブロインタンパク質を溶液中で調製し、次いで3〜8%トリス−酢酸ゲル(例えば、Invitrogenから得られるNuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)3〜8%トリス−酢酸ゲル)などのゲル中に装填することができる。タンパク質スタンダードまたはラダーも、参照分子量をもたらすためにゲル中に装填される。タンパク質スタンダードの例として、それだけに限らないが、HiMark(商標)未染色タンパク質スタンダード(30〜460kDaの範囲、Invitrogen)およびMark12(商標)タンパク質スタンダード(30〜200kDaの範囲、Invitrogen)を挙げることができる。ゲルは、製造者の指示に従って還元条件下で実行され得る。例えば、一実施形態では、ゲルは、約200Vで約45分間実行され、次いでタンパク質バンドを可視化するために染色され得る。一部の実施形態では、ゲルは、例えば、Invitrogenから得られるコロイダルブルー染色キットで染色することができる。次いで低分子量絹フィブロイン組成物中に存在する絹フィブロイン断片の分子量分布を、任意の当技術分野で認識されている方法を使用して、例えば、ゲルの試料レーンの長さにそってタンパク質バンドのデンシトメトリー測定を行うことによって定量化することができる。一実施形態では、ImageJ(NIH、Bethesda、MD)を使用して、ゲル上のタンパク質バンドのデンシトメトリー測定を判定することができる。一実施形態では、ImageJソフトウェア内の「Gel Analyzer」ツールを使用して、デンシトメトリー分析を実施することができる。
限定することなく、分子量は、本明細書において、ピーク平均分子量(M)、数平均分子量(M)、または重量平均分子量(M)であり得る。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、少なくとも1種または複数の活性作用物質をさらに含み得、これらの例は以下に記載されている。活性作用物質は、当技術分野における任意の公知の方法によって本明細書に記載の組成物中に分散され得る。例えば、活性作用物質は、本明細書に記載の組成物中に均質または不均質に(例えば、活性作用物質の勾配を形成して)分散され得る。米国出願公開第US20070212730A1号を参照。その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物中に含まれる作用物質は、液体であっても固体形態であってもこのような組成物中に貯蔵し、かつ/またはそれから放出もしくは回収することができる。一部の実施形態では、含められた作用物質は、例えば、このような放出または回収の前、その最中、またはその後に分析することができる。
低分子量溶液
一部の実施形態では、本明細書に提供される低分子量絹フィブロイン組成物は、溶液(本明細書に記載するように安定化および/または分析される作用物質などの作用物質を任意選択で含む)であり得る。したがって、別の態様では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態を含む絹フィブロイン水溶液が本明細書に提供される。一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液は、水中で配合され得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液は、緩衝液中で配合され得る。緩衝液の例としては、それだけに限らないが、リン酸緩衝液がある。
絹フィブロインは、必要性、例えば、絹フィブロイン溶液の注射可能性に適した任意の濃度で溶液中に存在し得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液は、約0.1%wt/v〜約90%wt/v、0.1%wt/v〜約75%wt/v、または0.1%wt/v〜約50%wt/vの濃度で絹フィブロインを有し得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン水溶液は、約0.1%wt/v〜約10%wt/v、約0.1%wt/v〜約5%wt/v、約0.1%wt/v〜約2%wt/v、または約0.1%wt/v〜約1%wt/vの濃度で絹フィブロインを有し得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、約10%wt/v〜約50%wt/v、約20%wt/v〜約50%wt/v、約25%wt/v〜約50%wt/v、または約30%wt/v〜約50%wt/vの濃度で絹フィブロインを有し得る。
一部の実施形態では、絹水溶液は、例えば、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、またはそれ超を含めた少なくとも約3日またはそれ超にわたって特定の条件下で安定なままであり得る。特定の条件は、それだけに限らないが、温度、光、湿度、圧力、およびこれらの任意の組合せを含めた環境パラメーターの1つまたは複数によって特徴付けることができる。一部の実施形態では、絹水溶液は、約室温〜少なくとも約37℃またはそれ超で、例えば、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約2週間、またはそれ超を含めた少なくとも約3日またはそれ超にわたって安定なままであり得る。一部の実施形態では、絹水溶液は、例えば、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、またはそれ超を含めた少なくとも約3日またはそれ超にわたって、ある特定の条件に絹フィブロイン水溶液を曝露した際、ゲル化しない。一部の実施形態では、絹水溶液は、少なくとも室温またはそれ超の温度(例えば、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、またはそれ超)に、例えば、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、またはそれ超を含めた少なくとも約3日またはそれ超にわたって、絹フィブロイン水溶液を曝露した際、ゲル化しない。
一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン溶液は、本明細書に定義した参照絹フィブロイン溶液より遅くゲル化する。一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン溶液は、慣例的な絹フィブロイン溶液より遅くゲル化する。
本明細書において、用語「安定なままである」は、ある時間にわたって特定の条件に曝露した際、実質的に同じままである絹フィブロイン水溶液の材料性質を指す。材料性質の例として、それだけに限らないが、粘度、粒径、不透明度、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。一部の実施形態では、安定な絹水溶液は、ある時間にわたって特定の条件に曝露した際、粘度の実質的な変化がないことによって特徴付けることができる。一部の実施形態では、安定な絹水溶液は、本明細書に定義した均質溶液として特徴付けることができる。例えば、均質絹フィブロイン水溶液は、ある時間にわたって指定条件に曝露した際、絹フィブロイン凝集体(例えば、肉眼で見える不溶性の絹フィブロイン断片、絹フィブロイン粒子、および/またはクラスター)を実質的に含まない絹フィブロイン水溶液として特徴付けることができる。絹フィブロイン凝集体の例として、それだけに限らないが、全長絹フィブロイン分子、より大きい絹フィブロイン断片、より小さい絹フィブロイン断片のアセンブリーまたは凝集によって形成される絹フィブロイン粒子またはクラスター、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン凝集体は、それだけに限らないが、沈殿、ゲル化、および/またはクランピングを含めたプロセスによって形成される絹フィブロイン粒子またはクラスターを含み得る。一部の実施形態では、絹フィブロイン凝集体は、約1mmまたはそれ超のサイズを有する絹フィブロイン粒子またはクラスターであり得る。一実施形態では、絹フィブロイン粒子またはクラスターは、溶液中に存在する絹フィブロイン断片のアセンブリーまたは凝集によって形成され得る。
低分子量物品:
一部の実施形態では、本明細書に提供される低分子量絹フィブロイン組成物は、固体絹フィブロイン物品を形成することができる。このような固体絹フィブロイン物品の例として、それだけに限らないが、フィルム、シート、ゲルまたはヒドロゲル、メッシュ、マット、不織マット、布地、スキャフォールド、チューブ、ブロック、繊維、粒子、粉末、3次元構築物、インプラント、発泡体、針、凍結乾燥物品、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。様々な形態の固体絹フィブロイン物品を形成するための方法は、当技術分野で公知であり、いくつかの例示的な方法が、本明細書に以下で記載されている。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、少なくとも1カ月間保存安定性であり得る。用語「保存安定性」は、本明細書において、ある時間にわたって貯蔵した際、実質的に同じままである絹フィブロイン粒子の材料性質を指す。絹フィブロイン物品の材料性質として、それだけに限らないが、硬度、多孔度、溶解性、粒径、乾燥度、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、水中に再可溶化して絹フィブロイン凝集体を実質的に含まない絹フィブロイン溶液を形成し得る。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ超が、水中に再可溶化して絹フィブロイン凝集体を実質的に含まない絹フィブロイン溶液を形成し得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態を使用して製作される低分子量絹フィブロイン物品を溶解させるのに、加熱および/または塩添加を必要としない。したがって、一部の実施形態では、絹フィブロイン物品は、室温で水溶液中に再可溶化して絹フィブロイン溶液を形成し得る。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、室温で水(例えば、脱イオン水)中に完全に溶解することができ、ただし、溶解した絹フィブロインの濃度は、飽和未満である。一部の実施形態では、水溶液(例えば、水)中の低分子絹フィブロイン組成物の飽和点は、少なくとも30%w/v、少なくとも40%w/v、少なくとも50%w/v、少なくとも60%w/v、少なくとも70%w/v、少なくとも80%w/v、またはそれ超であり得る。
一部の実施形態では、水溶液(例えば、水)中の低分子量絹フィブロイン組成物の飽和点は、約30%w/v〜約80%w/v、約40%w/v〜約70%w/v、約50%w/v〜約60%w/vの範囲であり得る。したがって、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、例えば、少なくとも約20mg/mL、少なくとも約30mg/mL、少なくとも約40mg/mL、少なくとも約50mg/mL、少なくとも約60mg/mL、少なくとも約70mg/mL、少なくとも約80mg/mL、少なくとも約90mg/mL、少なくとも約100mg/mL、少なくとも約200mg/mL、少なくとも約400mg/mL、少なくとも約600mg/mL、少なくとも約800mg/mL、少なくとも約1000mg/mL、またはそれ超を含めた少なくとも約10mg/mLまたはそれ超の水溶性を有し得る。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、少なくとも0.01mg/s〜約100mg/s、または約0.1mg/s〜約90mg/s、または約1mg/s〜約80mg/sの溶解速度を有し得る。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、室温で、約0.01mg/s〜約100mg/s、または約0.1mg/s〜約90mg/s、または約1mg/s〜約80mg/sの速度で水溶液(例えば、脱イオン水などの水)中に溶解し得る。
一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、オンデマンドまたはポイントオブケア用途で使用され得る。例えば、ユーザー(例えば、対象または医療提供者)は、任意の場所(例えば、住居、僻村、および戦場)で絹フィブロイン物品を適用または自己投与することができる。診断について、一部の実施形態では、ユーザーは、絹フィブロイン物品を病院、診療所、または任意の分析施設に送ることができる。代替としてまたは追加的に、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品は、貯蔵された試料(例えば、貯蔵された血液試料)を作り出すのに使用することができ、この貯蔵された試料は、一部の実施形態では、少なくとも指定時間(例えば、数日、数週間、数カ月、数年など)にわたって安定であり得、かつ/または経時的に再試験またはサンプリングされ得る(例えば、後に得られる試料との比較などを可能にするために)。
理論に束縛されることを望むわけではないが、一部の実施形態では、絹フィブロイン物品の再可溶化性(すなわち、固体形態の低分子量絹フィブロイン組成物の溶液または液体形態中に溶解または再構成される能力)は、絹繭を精練するための時間の長さおよび/または温度によって判定され得る。例えば、一部の実施形態では、溶解可能な絹フィブロイン物品は、大気沸点で、またはそれに近い温度で、少なくとも60分またはそれ超、例えば、少なくとも90分またはそれ超にわたって絹繭を精練することによって得られる低分子量絹フィブロイン溶液から形成され得る。他の実施形態では、溶解可能な絹フィブロイン物品は、より低い温度、例えば、約60〜90℃で、少なくとも90分またはそれ超、例えば、少なくとも120分またはそれ超にわたって絹繭を精練することによって得られる低分子量絹フィブロイン溶液から形成され得る。
一部の実施形態では、固体形態の本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、高度に溶解可能である。したがって、一態様では、本発明は、低分子量絹フィブロイン断片を含む、高度に溶解可能な形態の固体絹フィブロイン組成物を提供する。以前に記載した慣例的な絹フィブロイン組成物と比較して、高度に溶解可能な形態の本明細書に記載の固体絹フィブロイン組成物は、これらの高い水溶性、高い溶解速度、および広範囲の作用物質(例えば、それだけに限らないが、生物剤)との生体適合性によって特徴付けられる。材料科学の観点から、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、液体−固体または固体−液体転移をより良好に調節する能力に部分的に起因して、より大きい取扱いの融通性、調整力、および容易さ、ならびに多様性をもたらす。これは、組成物が絹フィブロインのより小さい断片(すなわち、低分子量絹フィブロイン断片)から主に構成されている場合、絹フィブロインの溶解性を精密に調整することができるという知見に少なくとも部分的に基づく。この追加された融通性により、より高い分子量の絹フィブロインを含み、またはそれから構成される慣例的な絹材料で可能でない方法で絹ベース材料を利用することが可能になる。したがって、ユニークな材料性質の低分子量絹フィブロイン材料には、それだけに限らないが、水溶液中に容易に溶解され得る固体形態絹フィブロイン組成物;および中に組み込まれ、または付随される作用物質に望ましい安定化効果をもたらしながら、望まれないセルフアセンブリーまたはゲル化に耐える液体形態絹フィブロイン組成物(例えば、絹フィブロイン溶液)が含まれる。
したがって、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、水(例えば、純水もしくは脱イオン水)、または緩衝液などの特定の使用に適した任意の他の水ベース溶液中に容易かつ急速に再構成され得る十分に溶解可能な形態として挙動するように特に配合することができる。これらの実施形態では、本明細書に記載の固体形態での低分子量絹フィブロイン組成物は、水溶液中に容易に溶解可能であるので、中に組み込まれている1種または複数の作用物質は、可溶性形態の固体低分子量絹フィブロイン組成物から容易に回収され得る。例えば、生体試料などの生物剤は、固体形態での低分子量絹フィブロイン組成物に伴って「貯蔵する」ことができ、次いでこれは、水溶液中に放出されて作用物質の殆ど完全な回収を実現することができる。放出されると、このような作用物質は、分析用ツールなどの任意の適当な手段によって容易に分析(例えば、検出、測定、アッセイ、同定、単離など)され得る。代替としてまたは追加的に、一部の実施形態では、含められた作用物質(例えば、生物剤)は、絹フィブロイン組成物から放出されることなく分析され得る。
組成物の安定化
安定化されることが望まれる作用物質(例えば、活性作用物質および/または生体試料)の安定化および後続の回収は、多くの用途の極めて重要なフィーチャであり、理由は、活性作用物質および/または生体試料は通常、周辺条件、例えば、温度、湿度、および/または光の変化に対して不安定かつ感受性であるためである。いくつかの以前に記載された方法では、活性作用物質または生体試料が所与の反応にとって有用であると同定されていても、その適用は、プロセス条件下での長期安定性の欠如および/または低回収率によって妨害されることが多い。以下にさらに記載するように、本明細書に記載の本発明の様々な実施形態は、先行技術に存在したこれらの短所に対処する。
例えば、有害な温度プロファイルに対して安定化試料を保護することができる技術は、集中型の試験システムの範囲を包括的スケールに拡張することができる。この目的を達成するために、本発明者らは、とりわけ、ある特定の絹ベース材料は、活性作用物質(例えば、生体試料またはその構成成分、治療試薬および/または診断試薬など)を構造的および/または機能的フィーチャの劣化から保護することができることを発見した。用語「活性作用物質」は、生体試料(例えば、組織、もしくは例えば、血液などの流体の試料)またはその構成成分を、かつ/あるいは生物学的に活性な実体または化合物を、かつ/あるいは構造的または機能的に不安定な実体を指すのに本明細書で使用される。
一部の実施形態では、活性作用物質/生体試料の生物活性の安定化は、極めて重要である。他の実施形態では、活性または生物活性の安定化は、常に要求されるわけではない。例えば、生物活性の維持は、安定化された生体試料をアッセイおよび定量化するための要件でないことが多い。
いくつかの特定の実施形態では、本開示は、とりわけ、絹ベース材料が、ヒト全血およびRNAなどの血液構成成分を、長い継続時間にわたって、かつ有害な環境条件の状況において保護することができることを実証する。本開示は、例えば、全血および/またはドナーとマッチした血漿を、絹ベース材料、例えば、フィルム中で、キャスティングおよび空気乾燥によって安定化することができ、それぞれの血漿タンパク質を水との単純な混合プロトコールによって回収することができることを実証する。
本開示はまた、本明細書に記載するように、含められた作用物質を安定化させるのに使用するための低分子量絹組成物の様々な特定の有利なフィーチャを特に実証する。例えば、とりわけ、本開示は、低分子量絹組成物が、より高い分子量の絹組成物より緩やかにゲル化する傾向があることを実証する。とりわけ、このような遅延したゲル化特質は、一部の実施形態では、有効期間の延長に寄与し得る。さらに、本開示は、低分子量絹組成物は、オートクレーブ処理を用いても、試料損失を保護することを実証する。一部の実施形態では、本発明は、例えば、含められた作用物質を含むオートクレーブ処理された低分子量絹組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、オートクレーブ処理されたこのような組成物を含む低分子量絹組成物(例えば、固体形態低分子量絹組成物)を再構成するためのシステムであって、組成物は、含められた作用物質の高い回収率によって特徴付けられる、システムを提供する。ある特定の実施形態では、このような組成物および/またはシステムは、組成物の大規模製造および/または処理(例えば、出荷)に適切である。
本明細書に実証される絹フィブロイン組成物の安定化効果は、例えば、現場で得られる試料(例えば、血液試料)の維持、貯蔵、および/または輸送のためを含めた広い暗示を有する。したがって、多くの実施形態では、提供される技術は、試料(例えば、採血物)が限られた資源で得られる設定において、かつ/または下流分析がポイントオブケース(point-of-case)技術の範囲を超えている状況において特に有用である。
本開示は特に、絹ベース材料から回収された後、ある範囲のドナーに由来する血液分析物(または血液構成成分)の絶対存在量を測定するのに使用され得る臨床的に関連した分析用ツールの幅を実証する。本明細書に報告した研究は、本明細書に記載の様々な実施形態の組成物および方法を使用することによって、回収される分析物レベル(または回収される構成成分レベル)が、臨床精密検査の至適基準として現在使用されているフォーマットであるドナーとマッチした新鮮な、または凍結した血漿に対して実施される測定と一致することを実証する。一部の実施形態では、絹で安定化された分析物レベル(または絹で安定化された構成成分レベル)は、その凍結された対応物より高く、絹ベース材料がある特定の用途についての現在の至適基準をしのぎ得ることを示した。本発明者らは、凍結乾燥などの異なる技法を、同じ絹配合物の存在下で使用して生体試料、例えば、RNAを安定化させ、単純な水性再構成方法を使用して引き続いて回収することができることも実証した。回収されたRNAは、凍結対照と一致するレベルで利用可能であったと同時に、モデル細胞株をトランスフェクトすることができる。
様々な形態の絹ベース材料が、広く変動する温度プロファイルに対して、かつ出荷中に遭遇する機械的な摂動に対して生体試料を保護することができる。絹ベース材料は、水中(例えば、純水または試料相互作用に適した緩衝液中)での再構成による十分に可溶化したシステムとして挙動し、いくつかの臨床的に関連した分析用ツールによって分析される封入された構成成分またはバイオマーカーが十分に回収されるように特に配合することができる。本開示の前には、これらのユニークな特質、すなわち、i)試料調達の容易さ、ii)素晴らしい熱/機械的安定性プロファイル、iii)再構成/回収の単純性を組み合わせる技術は、当技術分野において存在しない。しかし、本明細書で実証するように、本開示は、とりわけ、i)試料調達の容易さ、ii)素晴らしい熱/機械的安定性プロファイル、iii)再構成/回収の単純性をもたらす組成物および方法を提供する。
絹フィブロインは、酵素/熱/UV劣化に対して高度に耐性であるので、封入された生体試料は、母集団全体の時系列データセットを収集し、または個別化された薬を増強するために、冷蔵/凍結の必要なく、集中型の施設において長期貯蔵(すなわち、継続時間において数カ月〜数年)用にバンキングすることができると考えられる。
したがって、一態様では、本開示は、絹溶液(例えば、望ましい溶解性を有する絹ベース材料を生成するように調整された)、ならびに生体試料、例えば、全血および血液構成成分を封入および安定化するためのこれらの溶液から作製される絹ベース材料の使用を提供する。この絹精製および封入スキームにより、封入された血液構成成分(例えば、細胞、および/または核酸、例えば、循環DNAもしくはRNAなど)を十分に再構成する能力がもたらされる。一実施形態では、指プリック体積と等価な採血物を、例えば、本明細書の実施例セクションに記載したように、絹溶液と混合することができ、その後、安定化された血液構成成分を含有する少なくとも部分的に乾燥された絹ベース材料を容易に調達することができる。
本明細書に記載の絹封入/安定化プラットホームは、基本的なものである。例えば、液体絹フィブロイン組成物は、組成物中の生体試料の日常的な液体アッセイに直ちに適用可能となり得、新鮮な全血または凍結試料に使用される同じ検証および品質管理(QC)手順に供することができる。溶液組成物は、少なくとも部分的に乾燥させ、または成形して絹フィブロイン物品にすることができる。乾燥組成物または物品中の絹フィブロインは、再可溶化し、それによって生体試料またはその構成成分を検出するための日常的な液体アッセイに適用可能である溶液をもたらすことができる。
反対に、DBS分析物は、保護されるために乾燥後に紙基材との何らかのレベルの化学的相互作用を必要とするので、マトリックス中の部分的な試料保持および/または分析物の損傷が、標準的なDBS回収手順を使用すると予期される。ひいてはこれは、抽出間の損失および不均一性を監視するために、DBS精密検査に対してユニークな検証プロトコールおよびQC測定基準を課す。第2に、紙基材にわたるかつ紙基材の厚さを通じた両方でのスポットの不均一性(ユーザー間のばらつきおよびヘマトクリット試料−試料ばらつきからの)に起因して、試料体積を定義し、次いでそれに応じて紙ベースDBS試料をアリコートすることが困難になり得る。これは、年齢が広く変化し、かつ異常ヘマトクリットレベル(腎臓機能障害、腫瘍患者など)を被っている患者集団で特に問題となる。反対に、本明細書に記載の絹ベース材料(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物)は、必要に応じて完全に回収することができ(例えば、50μLの体積全体などの体積全体が再構成され得る)、またはアリコートは、絹/血液複合体が均質に混合および乾燥されるので、重量によって容易に調製され得る。
したがって、本明細書に記載の様々な態様の実施形態は、絹ベース材料であって、それと混合された、またはそれに封入された生体試料の少なくとも1種の構成成分の安定化のための、後の時間に構成成分の検出を可能にする、絹ベース材料、ならびにこの絹ベース材料を作製する方法および使用する方法にも関する。
一態様では、絹フィブロイン(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物)および生体試料/活性作用物質を含む絹ベース材料であって、生体試料の少なくとも1種の構成成分の少なくとも1つの性質が、ある時間にわたって安定化され、かつ/または生体試料/活性作用物質の少なくとも1種の構成成分が、その時間後に検出可能である、絹ベース材料が本明細書に提供される。
絹ベース材料中で安定化される少なくとも1種の活性作用物質(例えば、生体試料もしくは構成成分)の性質は、物理的もしくは構造的性質、化学的性質、および/または生物学的性質であり得る。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの性質は、活性もしくは生物活性、構造的完全性、構造的高次構造、および/または作用物質の量を含み得る。異なる用途(例えば、診断目的対治療目的)に応じて、絹フィブロインおよび/または絹ベース材料を、生体試料の少なくとも1種の構成成分の1つまたは複数の性質を安定化するように処理することができる。
一部の実施形態では、生体試料の構成成分の活性または生物活性を安定化させることは、常に要求されるわけではない。例えば、診断的適用について、検出される構成成分の活性は、生体試料中で安定化された構成成分の完全性および/または量ほど重要でない場合がある。これらの実施形態では、検出される構成成分は、構成成分がインタクトなままであり、かつ/または構成成分の量が維持される限り不活性であり得る。本明細書で互換的に使用されるように、用語「活性」および「生物活性」は、構成成分の1つまたは複数の構造的および/または機能的特性、例えば、生物学的標的と相互作用し、かつ/または生物学的標的に対して効果を生じさせるその能力などを指す。例えば、生物活性として、限定することなく、生物学的標的における刺激性、阻害性、制御性、毒性、または致死性の応答の誘発を挙げることができる。生物学的標的は、分子または細胞であり得る。例えば、生物活性は、細胞もしくは酵素の効果/活性をモジュレートし、受容体をブロックし、受容体を刺激し、1つまたは複数の遺伝子の発現レベルをモジュレートし、細胞増殖をモジュレートし、細胞分裂をモジュレートし、細胞モルフォロジーをモジュレートし、細胞に感染し、もしくはトランスフェクトし、またはこれらの任意の組合せを行う構成成分(例えば、タンパク質または核酸分子)の能力を指すことができる。一部の場合では、生物活性は、細胞内に毒性効果を生じさせる構成成分の能力を指すことができる。
一部の実施形態では、生体試料の構成成分の活性をさらに安定化させることが望ましい場合がある。単なる例として、生体試料中に存在するタンパク質は、活性または不活性状態にあり得る。この実施形態では、絹ベース材料は、自己の活性型または天然型において生体試料中に存在するタンパク質、例えば、リン酸化タンパク質または糖化タンパク質を安定化させることができる。この実施形態は、構成成分の活性が疾患または障害の診断において役割を果たす場合、有用であり得る。
本明細書に記載の様々な態様の実施形態によれば、生体試料の1種または複数の構成成分の少なくとも1つの性質を、任意の時間にわたって絹ベース材料内で安定化させることができる。本明細書において、用語「安定化させる(stabilize)」、「安定化させる(stabilizing)」、または「安定化」は、ある時間にわたって絹ベース材料中で部分的または完全に維持または保持されている生体試料の構成成分の少なくとも1つの性質(例えば、活性、完全性、および/または量)を指す。活性の安定化に関して、一部の実施形態では、生体試料中に元来存在する構成成分の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)が、ある時間にわたって少なくとも部分的または完全な活性を保持することができる。別の言い方をすれば、構成成分は、その元の活性の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)をある時間にわたって保持することができる。完全性の安定化に関して、生体試料中に元来存在する構成成分の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)が、ある時間にわたって完全性を保持することができる。量の安定化に関して、生体試料中に元来存在する構成成分の少なくとも約30%またはそれ超(少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または最大100%を含む)が、構成成分が活性であるか、不活性であるか、またはインタクトであるか、インタクトでないかにかかわらず、ある時間にわたって保持され得る。本明細書において、用語「元来」または「元の」は、構成成分の元の存在または元の活性を参照して使用される場合、生体試料が対象から得られた直後に測定される、または代わりに、生体試料が絹ベース材料内に混合もしくは封入される直前もしくは直後に測定される構成成分のレベルを指す。一部の実施形態では、構成成分の元の存在または元の活性は、対照、例えば、非絹手法によって安定化された対照、例えば、凍結された対照中の構成成分のレベルを指す。
1種または複数の活性作用物質/生体試料/これらの構成成分の少なくとも1つの性質が、ある時間にわたって、例えば、構成成分が検出のために抽出または回収されるまで、絹ベース材料内で安定化され得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの性質は、少なくとも約3時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、またはそれ超にわたって安定化され得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの性質は、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、またはそれ超にわたって安定化され得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの性質は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約6年、またはそれ超にわたって安定化され得る。
以下でさらに論じるように、本明細書に記載の絹ベース材料は、任意の形態で存在し得る。例えば、絹ベース材料は、溶液、フィルム、繊維、粒子、ゲル、ヒドロゲル、発泡体、スポンジ、マット、メッシュ、布地、粉末、コーティング層、これらの凍結乾燥形態、またはこれらの任意の組合せの形態にあり得る。一部の実施形態では、絹ベース材料は、薄膜であり得る。一部の実施形態では、絹ベース材料は、凍結乾燥され得る。
生体試料の1種または複数の構成成分を、絹ベース材料からそれ/これらを単離することなく検出することができるが、測定可能または検出可能なレベルの構成成分(複数可)を、後続の処理、分析および/または特徴付けのために絹ベース材料から代わりに抽出または回収することができる。本明細書において、用語「測定可能または検出可能なレベル」は、検出の下限を指し、これは一般に、特定の構成成分のために選択される検出および/または特徴付けの方法またはアッセイの検出感度に依存する。例えば、検出される構成成分が核酸分子(例えば、RNAまたはDNA)であり、増幅ベース検出法(例えば、それだけに限らないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))が構成成分を検出するのに選択される場合、核酸分子の約0.0001%(例えば、1コピーのRNA分子)を増幅および検出のために絹ベース材料から抽出または回収することができる。
一部の実施形態では、絹ベース材料は、測定可能または検出可能なレベルの構成成分(複数可)が、後続の処理、分析、および/または特徴付けのためにアクセス可能または利用可能になり得るように溶解可能であり得る。本明細書において、用語「溶解可能な」は一般に、流体中の絹ベース材料の溶解性、溶解、または分解を指す。溶解可能な絹ベース材料は、ある時間にわたって流体中で部分的または完全に溶解または分解し得る。例えば、絹ベース材料の例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または最大100%を含めた絹ベース材料の少なくとも約5%またはそれ超が、数秒、数分、数時間〜数日の範囲の時間にわたって流体(例えば、水性流体)中で溶解または分解し得る。一部の実施形態では、絹ベース材料は、少なくとも約10秒、少なくとも約20秒、少なくとも約30秒、少なくとも約40秒、少なくとも約50秒、少なくとも約60秒、またはそれ超以内に流体(例えば、水性流体)中で部分的または完全に(例えば、絹ベース材料の少なくとも約5%またはそれ超)溶解または分解し得る。一部の実施形態では、絹ベース材料は、少なくとも約1分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、またはそれ超以内に流体(例えば、水性流体)中で部分的または完全に(例えば、絹ベース材料の少なくとも約5%またはそれ超)溶解または分解し得る。別の言い方をすれば、溶解可能な絹ベース材料は、少なくとも1種の活性作用物質/試料/その中に存在する構成成分を回収または抽出するのに十分な自己の部分を流体(例えば、水性流体)中で溶解または分解し得る絹ベース材料である。
絹ベース材料の溶解度または溶解性は、いくつかの要因に依存し得、この要因としては、例えば、それだけに限らないが、絹ベース材料の組成(例えば、生体試料と絹フィブロインの比)、絹フィブロインで混合または封入される生体試料のタイプ(例えば、それだけに限らないが、尿、血液、および/もしくは耳垢)、ならびに/または生体試料および/もしくはその少なくとも1種もしくは複数の構成成分の安定化を助けるのに使用される緩衝液/賦形剤のタイプ、絹精製法(例えば、煮沸時間などの精練条件)、本明細書に記載の絹ベース材料を形成するための方法、滅菌方法、ならびにこれらの任意の組合せがある。
一部の実施形態では、絹ベース材料の溶解度または溶解性は、絹の分子量/鎖長によって調節され得る。一般に、より低い分子量/鎖長の絹フィブロインを含む絹ベース材料は、より高い分子量/鎖長の絹フィブロインを含むものより水性溶媒中で高い溶解性を有し得る。一実施形態では、絹フィブロインの分子量/鎖長は、精練条件によって調節され得る。例えば、絹繭を、例えば、約1分〜約3時間、約5分〜約2時間、約10分〜約1.5時間、または約15分〜約1時間の範囲の所定時間にわたって塩溶液(例えば、NaCO)中で煮沸することができる。一部の実施形態では、絹繭を、少なくとも約1分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、またはそれ超にわたって塩溶液(例えば、NaCO)中で煮沸することができる。理論に束縛されることを望むわけではないが、煮沸時間がより長いと、より低い分子量/鎖長の絹フィブロインを生じ得る。分子量、粘度、拡散性、および分解挙動を含めた絹材料性質に対する精練の効果の詳細については、例えば、Pritchard EMら、「Effect of Silk Protein Processing on Drug Delivery from Silk Films」、Macromol Biosci.、2013年1月24日電子出版を参照。安定化される生体試料およびこれらの構成成分(複数可)のタイプに応じて、最適精練時間を、例えば、実施例に記載されているように、絹ベース材料の所望の溶解性、およびしたがって構成成分の回収率について決定することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の絹ベース安定化組成物は、低分子量絹組成物である。
実際に、本発明者らは、様々な形態の低分子量絹フィブロイン組成物が、その中に付随し、または組み込まれる作用物質(例えば、生体試料)を保護および/または安定化するのに特に有利な性質を提供することを発見した。例えば、本明細書に記載の低分子量絹組成物は、変動する温度プロファイルなどの広く変動する環境要因に対して、かつ/または例えば、輸送、貯蔵、および/または取扱い中に遭遇する機械的な摂動に対して、生体試料を保護する「分子安定剤」として作用することができる。また、本発明者らは、本明細書に開示の低分子量絹フィブロインを含む組成物は、水中で完全に再構成され得ることを発見した。対照的に、高分子量絹フィブロインは、同様の条件下で水中で十分に再構成されない。高分子量形態は、同様の条件下で水中で再構成される場合、凝集体を形成する。
これまで、これらのユニークな特質、すなわち、i)試料調達の容易さ、ii)素晴らしい熱/機械的安定性プロファイル、iii)再構成/回収の単純性および収率を組み合わせる技術は、当技術分野において記載されていない。しかし、本明細書で実証するように、本開示は、i)試料調達の容易さ、ii)素晴らしい熱/機械的安定性プロファイル、iii)再構成/回収の単純性および収率をもたらす組成物および方法を提供する。理論に束縛されることを望むわけではないが、絹フィブロインは、酵素/熱/UV劣化に対して高度に耐性であり、絹フィブロイン組成物中の封入された作用物質(例えば、活性作用物質および/または生体試料)は、冷蔵/凍結の必要なく、集中型の施設において長期貯蔵(すなわち、継続時間において数カ月〜数年)用にバンキングすることができ、作用物質が使用および/または分析される状態であるときいつでも、後に容易に回収され得ると考えられる。したがって、本明細書に提供される絹フィブロイン組成物、特に低分子量絹フィブロイン組成物は、母集団全体の時系列データセットの収集または個別化された薬の増強を可能にすることができる。
本発明者らは特に、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態中に生体試料を組み込むと、ある特定の条件下である時間にわたって、生体試料中に存在する検出可能部分を安定化させることができ、これはひいては、慣例的な絹フィブロインベース材料からの検出可能部分の回収率と比較して、例えば、構成成分の後続の分析および/または特徴付けのための、その後の検出可能部分のより高い回収率を可能にし得ることを発見した。
一部の実施形態では、本開示は、試料の封入、安定化、および後続の回収のための、本明細書に開示の低分子量絹フィブロイン組成物(例えば、望ましい性質、例えば、溶解性の増強(慣例的な絹フィブロインベース材料と比べた)、添加剤の回収率の増強(慣例的な絹フィブロインベース材料と比べた)などを伴った様々な可溶性形態または固体形態の低分子量絹フィブロインベース材料、例えば、溶液、フィルム、粒子もしくは粉末、スキャフォールド、メッシュ、および/または繊維などを生成するように調整された)の使用を提供する。一部の実施形態では、試料は、生体試料である。
本明細書に記載の絹フィブロイン組成物中の活性作用物質/生体試料に対する絹フィブロインの量は、いくつかの要因について調整することができ、この要因としては、例えば、それだけに限らないが、生体試料の体積および/またはタイプ、絹フィブロイン濃度、結果として生じる絹ベース材料の溶解性、安定化および/または検出される標的構成成分の存在量、生体試料中に存在する構成成分の回収効率、特定の構成成分について選択される検出/特徴付け方法の検出感度がある。
一部の実施形態では、絹フィブロインと活性作用物質/試料/構成成分の比(例えば、質量比、体積比、またはモル比)は、約1:10000〜約10000:1または約1:1000〜約1000:1の範囲内である。一部の実施形態では、比(例えば、質量比、体積比、またはモル比)は、約1:1〜約1000:1である。一部の実施形態では、比は、約1:1000〜約1000:1、約1:500〜約500:1、約1:250〜約250:1、約1:125〜約125:1、約1:100〜約100:1、約1:50〜約50:1、約1:25〜約25:1、約1:10〜約10:1、約1:5〜約5:1、約1:3〜約3:1、または約1:1である。単なる例として、一部の実施形態では、絹フィブロインと血液試料の体積比は、約1:1〜約1000:1、または約1:1〜約100:1、または約1:1〜約50:1、または約1:1〜約25:1の範囲内にあり得る。
絹フィブロインマトリックスと活性作用物質/試料/構成成分の比は、いくつかの要因によって変化し得、この要因としては、活性作用物質の選択、貯蔵の条件および継続時間、絹フィブロインマトリックスの濃度、ならびに絹マトリックスの形態がある。当業者は、例えば、規定された条件下で、例えば、0℃超の温度で、所定の量の時間にわたって本明細書に記載の様々な比で保持される活性作用物質の生物活性を測定することによって、絹フィブロインマトリックスと活性作用物質の適切な比を判定することができる。本明細書に記載の様々な活性作用物質、例えば、酵素、ワクチン、タンパク質、抗体、および核酸の生物活性を測定するための方法は、当技術分野で周知である。例として、絹フィブロイン中の所与の活性作用物質の安定性または生物活性は、時間と温度の組合せに基づいて判定され得る。例えば、安定化試験を6カ月にわたって行うことができる。活性アッセイは、例えば、2週間後、4週間後、次いで毎月行うことができる。試料は、各時点についてN=3をもたらすように調製され得る。評価される温度貯蔵条件の範囲として、4℃(冷蔵)、25℃(室温)、37℃(体温)、45℃、および/または50℃(一切を含む)がある。代替としてまたは追加的に、活性は、1回、2回、3回、またはそれ超の凍結解凍サイクル後にアッセイすることができる。これらの変数は、活性作用物質(複数可)の長期安定性のための最適な配合を十分に特徴付けるように網羅的に組み合わせることができる。一部の実施形態では、絹関連活性作用物質安定性の結果は、例えば、凍結乾燥活性作用物質調製物の製造に推奨される貯蔵条件(例えば、4℃)の安定性を改善する目的で、同じ貯蔵条件を用いた凍結乾燥活性作用物質調製物と比較され得る。
本明細書に記載の安定化絹フィブロイン組成物は、任意の量の絹フィブロインを有することができ、ただしその量は、ある時間にわたって生体試料の少なくとも1種の構成成分の少なくとも1つの性質を安定化し、その時間後に活性作用物質/試料/構成成分の検出を可能にするのに十分である。一部の実施形態では、組成物中の絹フィブロインの量は、例えば、本明細書に記載の作用物質/試料/構成成分のタイプおよび/もしくは体積サイズ、絹ベース材料の形態(例えば、フィルム対発泡体)、形成される任意の絹ベース材料の製作方法(例えば、空気乾燥対凍結乾燥)、ならびに/または最初の絹フィブロイン組成物を形成するのに使用される絹フィブロイン濃度によって変化する。
ほんの数例を与えると、絹ベース安定化材料は、約0.25%〜約50%(w/v)の絹フィブロイン、または約0.5%〜約30%(w/v)、または約0.5%〜約15%(w/v)、または約0.5%〜約10%(w/v)を含む作用物質含有絹溶液から調製され得る。一部の実施形態では、絹ベース材料は、生体試料を含む絹溶液であり得る。例えば、一実施形態では、絹ベースフィルムは、約1%〜約15%(w/v)の絹フィブロインおよび活性作用物質または生体試料/構成成分を含む絹溶液から調製され得る。別の実施形態では、絹ベース発泡体は、約0.1%〜約5%(w/v)の絹フィブロインおよび活性作用物質/生体試料/構成成分を含む絹溶液から調製され得る。
一部の実施形態では、絹ベース材料は、生体試料を含む絹溶液から形成される固体状態絹ベース材料であり得る。
一部の実施形態では、作用物質/試料/構成成分は、本明細書に記載の時間にわたって、ある範囲の貯蔵温度にわたって絹組成物(例えば、低分子量ベース組成物)中に安定化され得、分析のための生体試料の少なくとも1種の構成成分の回収および/または検出を可能にし得る。生体試料に要求される典型的な零度未満の貯蔵温度(例えば、−80℃のフリーザー中または液体窒素中)と異なり、本明細書に記載の絹ベース材料は、0℃超またはそれ超の貯蔵温度で生体試料がその中で安定化されるのを可能にし得る。一部の実施形態では、貯蔵温度は、約0℃〜約周囲温度の範囲であり得る。一部の実施形態では、貯蔵温度は、少なくとも約40℃、または40℃超であり得る。一部の実施形態では、貯蔵温度は、少なくとも約45℃、または45℃超であり得る。
一部の実施形態では、作用物質/試料/構成成分は、本明細書に記載の時間にわたって、光曝露下で本明細書に記載の絹フィブロイン組成物中に安定化され得、分析のための生体試料の少なくとも1種の構成成分の回収および/または検出を可能にし得る。例えば、一部の実施形態では、組成物中に存在する作用物質/試料/構成成分は、光、例えば、異なる波長の、かつ/または異なる源からの光に曝露され得る。一部の実施形態では、絹ベース材料中に存在する作用物質/試料/構成成分は、UVまたは赤外線照射に曝露され得る。一部の実施形態では、絹ベース材料中に存在する作用物質/試料/構成成分は、可視光下に曝露され得る。
一部の実施形態では、生体試料は、本明細書に記載の時間にわたって、ある範囲の相対湿度にわたって、提供される絹フィブロイン組成物中に安定化され得、分析のための生体試料の少なくとも1種の構成成分の回収および/または検出を可能にし得る。一部の実施形態では、相対湿度は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、またはそれ超であり得る。
用語「相対湿度」は、本明細書において、空気と水蒸気の混合物中の水蒸気の量の測定値である。これは一般に、空気−水混合物中の水蒸気の分圧として定義され、これらの条件下での飽和蒸気圧の百分率として与えられる。
一部の実施形態では、記載した安定化絹フィブロイン組成物は、例えば、貯蔵中の残留水分を減少させるために凍結乾燥され得る。一部の実施形態では、残留水分は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%減少する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、任意の空気圧下で維持することができ、または任意の空気圧に曝すことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約大気圧またはそれ超、例えば、約1気圧、約2気圧、約3気圧、約4気圧、約5気圧、約6気圧、約7気圧、約8気圧、約9気圧、または約10気圧下で維持することができ、またはその気圧に曝すことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、真空下で維持することができ、または真空に曝すことができる。
一部の実施形態では、必ずしもではないが、絹フィブロイン組成物(例えば、絹ベース溶液)が零度未満の温度で貯蔵される場合、作用物質/試料/構成成分は、少なくとも1回または複数の凍結解凍サイクル(例えば、凍結された絹ベース溶液から解凍された凍結絹ベース溶液)の後に組成物中に安定化され得、分析のための生体試料の少なくとも1種の構成成分の回収および/または検出を可能にし得る。用語「凍結解凍サイクル」は、一連の交互する凍結および解凍を記述するのに本明細書で使用され、一連の交互する凍結(固体)状態および流体状態も包含する。例えば、1回の凍結解凍サイクルは、凍結(固体)状態と流体状態との間の状態の変化を伴う。凍結と解凍との間、または凍結状態と流体状態との間の時間間隔は、任意の時間、例えば、数時間、数日、数週間、または数カ月であり得る。例えば、絹ベース溶液が凍結された、または凍結状態になった後、これは、これが再び使用するために解凍される必要があるまで、零度未満の温度で、例えば、約−20℃から−80℃の間で凍結状態で連続して貯蔵され得る。組成物の凍結は、例えば、液体窒素中で急速に、または例えば、凍結温度中で、例えば、約−20℃から−80℃の間で徐々に実施され得る。凍結組成物の解凍は、0℃超の任意の温度で急速に、例えば、室温で、または例えば、氷上で徐々に実施され得る。典型的には、非絹フィブロインマトリックス中の生体試料の構成成分、例えば、タンパク質および/または核酸は、1回または複数の凍結解凍サイクルにわたってその活性または完全性を失い得る。本明細書に記載するように、絹フィブロインマトリックス中に生体試料を分布させると、その少なくとも1種の構成成分の安定性を増大させ、したがって、1回または複数の凍結解凍サイクル中にその活性または完全性を保持することができる。
一実施形態では、作用物質/試料/構成成分は、上述した2つまたはそれ超の条件下で、本明細書に記載の時間にわたって、提供される絹フィブロイン組成物中に安定化され得、分析のための作用物質/試料/構成成分の少なくとも1種の構成成分の回収および/または検出を可能にし得る。
本明細書に提供される別の態様は、活性作用物質の生物活性を維持し、または安定化させる方法および組成物に関する。本方法は、組成物を維持するステップを含み、組成物は、絹フィブロインマトリックス、およびその中に分布、混合、または包埋された少なくとも1種の活性作用物質を含み、少なくとも1種の活性作用物質は、組成物がある時間にわたって活性作用物質の生物活性を阻害または低減する指定条件に供されているとき、その元の生物活性の少なくとも約30%を保持し、または安定化させる。このような条件として、それだけに限らないが、状態変化サイクル、温度、空気圧、湿度、および光曝露を挙げることができる。
用語「状態変化サイクル」は、本明細書において、それだけに限らないが、固体状態から流体状態、または流体状態から固体状態を含めた材料状態の変化を指す。流体状態として、それだけに限らないが、液体、気体、スラリー、流動性を有するペースト、プラズマ、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。固体状態は、流動性を有さない状態を指し、これは、半固体、例えば、ゲルも包含し得る。本明細書に記載の組成物は、別の状態に変化する前に、任意の時間、例えば、数秒、数分、数時間、数週間、数カ月、または数年にわたってある特定の状態で維持され得る。状態変化サイクルは、本明細書に記載の環境条件の少なくとも1つの変化、例えば、温度変化、周囲空気圧、光条件、湿度の変化、またはこれらの任意の組合せから生じ得る。
一実施形態では、状態変化サイクルは、凍結解凍サイクルを指す。このような実施形態では、本明細書に記載の組成物は、貯蔵または輸送されるとき、少なくとも1回の凍結解凍サイクル、少なくとも2回の凍結解凍サイクル、少なくとも3回の凍結解凍サイクル、少なくとも4回の凍結解凍サイクル、少なくとも5回の凍結解凍サイクル、少なくとも6回の凍結解凍サイクル、少なくとも7回の凍結解凍サイクル、少なくとも8回の凍結解凍サイクル、少なくとも9回の凍結解凍サイクル、少なくとも10回の凍結解凍サイクル、またはそれ超に供され得る。用語「凍結解凍サイクル」は、一連の交互する凍結および解凍を記述するのに本明細書で使用され、一連の交互する凍結(固体)状態および流体状態も包含する。例えば、1回の凍結解凍サイクルは、凍結(固体)状態と流体状態との間の状態の変化を伴う。凍結と解凍との間、または凍結状態と流体状態との間の時間間隔は、任意の時間、例えば、数時間、数日、数週間、または数カ月であり得る。例えば、活性作用物質組成物が凍結された、または凍結状態になった後、これは、これが再び使用するために解凍される必要があるまで、零度未満の温度で、例えば、約−20℃から−80℃の間で凍結状態で連続して貯蔵され得る。組成物の凍結は、例えば、液体窒素中で急速に、または例えば、凍結温度中で、例えば、約−20℃から−80℃の間で徐々に実施され得る。凍結組成物の解凍は、0℃超の任意の温度で急速に、例えば、室温で、または例えば、氷上で徐々に実施され得る。典型的には、非絹フィブロインマトリックス中の活性作用物質は、1回または複数の凍結解凍サイクルにわたってその生物活性を失い得る。本明細書に記載するように、絹フィブロインマトリックス中に活性作用物質を分布させると、活性作用物質の安定性を増大させ、したがって、1回または複数の凍結解凍サイクル中にその生物活性を保持することができる。
本明細書に記載の様々な態様の実施形態は、安定化された活性作用物質をもたらし、ここで活性作用物質の安定化は、本明細書に開示の絹フィブロイン組成物中に活性作用物質を分布させ、混合し、または包埋することによって実現される。絹フィブロインは、絹フィブロイン溶液、または固体状態絹フィブロインマトリックス、例えば、絹フィブロイン物品であり得る。この手法は、活性作用物質が貯蔵および/または輸送されるコールドチェーンおよび/または環境条件にかかわらず、活性作用物質が生物活性を保持することをもたらす。例示的な環境条件としては、それだけに限らないが、温度、空気圧、湿度、および光曝露がある。例えば、コールドチェーンは、医薬産業における活性作用物質を安定化させるための標準的な習慣であり、コールドチェーンを維持すると、活性作用物質が、使用の時間まで製造者が推奨する温度範囲(例えば、2℃〜8℃、または零度未満の温度)に従って輸送および貯蔵されるのが保証される。
一部の実施形態では、活性作用物質を含む絹フィブロイン組成物は、インプラント、またはインプラント可能薬物送達デバイスの形態にある。このような組成物中の活性作用物質は、ある時間にわたって、その元の生物活性の少なくとも30%(少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、もしくはそれ超を含む)、またはそれ超を保持し得る。一部の実施形態では、インプラント可能薬物デバイスの形態にある絹フィブロイン組成物中の活性作用物質は、インプラントした後、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約36時間、少なくとも約48時間、少なくとも3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、もしくは少なくとも1年後、またはそれ超にわたって、その元の生物活性の少なくとも約30%、またはそれ超を保持し得る。
一部の実施形態では、注射用絹フィブロイン組成物中に被包された1種または複数の活性作用物質は、活性作用物質のデポー(例えば、ワクチンデポー)として対象に投与することができ(例えば、皮下注射などの注射によって)、その結果、活性作用物質(例えば、ワクチン)は、長期間にわたって、例えば、数時間、数日、数週間、または数カ月の期間にわたってデポーから連続的または断続的に放出され得る。一部の実施形態では、活性作用物質(例えば、ワクチン)は、被包された活性作用物質の少なくとも約1%(少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ超を含む)が、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、またはそれ超の期間にわたって放出される速度で放出され得る。一部の実施形態では、活性作用物質(例えば、ワクチン)は、被包された活性作用物質の少なくとも約10%(少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ超を含む)が、5日の期間、1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、またはそれ超の期間にわたって放出される速度で放出され得る。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物中の活性作用物質は、約4℃、約25℃、約37℃、約45℃、またはそれ超で、少なくとも最大6カ月にわたって、その元の生物活性の少なくとも約30%、例えば、元の生物活性の例えば、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ超の活性を保持する。一部の実施形態では、活性作用物質は、約37℃またはそれ超の温度で、少なくとも6カ月にわたって元の生物活性の少なくとも約8%を保持する。
本明細書に記載の特定の態様は、貯蔵に安定した組成物であって、絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物)、およびその中に分布、混合、または包埋された活性作用物質を含み、活性作用物質は、組成物が少なくとも1回の状態変化サイクルに供され、かつ/または本明細書に指定した1つまたは複数の条件下である時間にわたって維持される場合、その元の生物活性の少なくとも約30%(例えば、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%など)を保持する、組成物である。一部の実施形態では、活性作用物質は、組成物中の絹フィブロイン断片に共有結合的または非共有結合的に融合または連結され得る。一実施形態では、状態変化サイクルは、凍結解凍サイクルである。一実施形態では、活性作用物質を維持するための時間は、少なくとも約24時間である。一部の実施形態では、指定条件は、活性作用物質が貯蔵および/または輸送される環境条件であり得る。環境条件の非限定例は、温度、空気圧、湿度、および光曝露がある。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、免疫原性であり得る。一部のそのような実施形態では、活性作用物質は、免疫原である。一部の実施形態では、活性作用物質は、ワクチンである。
一部の態様では、本明細書に記載するように、本発明は、生体試料または活性作用物質を安定化させる方法を提供する。一般に、本方法は、生体試料または活性作用物質を本明細書に開示の絹フィブロイン組成物と接触させ、組み合わせ、または混合し、それによって、絹フィブロインおよび生体試料または活性作用物質を含む混合物を準備するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、混合物から絹ベース材料(例えば、絹フィブロイン物品)を形成するステップをさらに含む。したがって、一部の実施形態では、生体試料または活性作用物質を安定化させるための方法は、生体試料または活性作用物質を含む低分子量絹フィブロイン組成物を準備するステップと、組成物から絹ベース物品を形成するステップとを含む。一部の実施形態では、活性作用物質/試料/構成成分を含む絹フィブロイン組成物が固体状態にあるとき、これは、絹フィブロイン中にベータシート二次構造の形成を誘導するためにさらに処理され得る。
一部の実施形態では、提供される方法は、生体試料または活性作用物質を絹フィブロイン組成物と接触させるステップを含み、組成物は、粉末の形態にある。これの一部のさらなる実施形態では、本方法は、組成物から溶液を形成するステップをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、生体試料または活性作用物質を絹フィブロイン組成物と接触させるステップを含み、組成物は、溶液の形態にある。
一部の実施形態では、生体試料または活性作用物質を含む溶液組成物は、成形されて絹フィブロイン物品にされ得る。結果として生じる物品は、水溶液(例えば、水、緩衝液、またはこれらの組合せ)中に可溶性であり得る。
本明細書に記載の組成物内の生体試料に対する絹フィブロインの量は、いくつかの要因について調整することができ、この要因として、例えば、それだけに限らないが、生体試料の体積および/またはタイプ、絹フィブロイン濃度、結果として生じる絹ベース材料の溶解性、安定化および/または検出される標的構成成分の存在量、生体試料中に存在する構成成分の回収効率、特定の構成成分について選択される検出/特徴付け方法の検出感度がある。例えば、既に記載したように、一部の実施形態では、絹フィブロインと生体試料の比(例えば、質量比、体積比、またはモル比)は、約1:10000〜約10000:1または約1:1000〜約1000:1の範囲であり得る。一部の実施形態では、絹フィブロインと生体試料の比(例えば、質量比、体積比、またはモル比)は、約1:1〜約1000:1である。単なる例として、一部の実施形態では、絹フィブロインと血液試料の体積比は、約1:1〜約1000:1、または約1:1〜約100:1、または約1:1〜約50:1、または約1:1〜約25:1の範囲であり得る。
活性作用物質/構成成分
絹組成物(例えば、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物)は、様々な活性かつ/または不安定な作用物質のいずれも含み/組み込み得る。
本明細書に記載の絹フィブロイン組成物から貯蔵、安定化、分析、および/または回収され得る生体試料の非限定例としては、それだけに限らないが、例えば、全血試料、血漿試料、および血清試料を含めた血液試料などの体液試料;尿試料;脳脊髄液試料、唾液試料、ならびにこれらの任意の組合せがある。一部の実施形態では、このような試料は、医療目的または臨床目的のために患者から収集され得る。一部の実施形態では、このような試料は、法医学的目的のために収集され得る。
一部の実施形態では、例えば、作用物質の組込み、安定化、および回収との関連で、本明細書に記載の提供される絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹組成物)のユニークな性質は、様々な封入された血液構成成分(例えば、細胞、循環因子、例えば、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、抗体、および他のタンパク質など、DNAまたはRNAなどの核酸など)の十分な再構成を可能にする。例えば、指プリック体積と等価な採血物を、絹フィブロイン溶液と混合して少なくとも部分的に乾燥された絹ベース材料を形成することができ、その後、安定化された血液構成成分を含有する少なくとも部分的に乾燥された絹ベース材料を容易に調達することができ、これは、使用および/または分析される状態になるまで貯蔵することができる。
血液試料に加えて、例えば、それだけに限らないが、尿、血液、糞便、耳垢、核酸(例えば、DNA/RNA、修飾核酸)、抗体、全細胞、治療剤を含めた、診断目的で使用される他の生体試料も、性能の必要性および試料の利用可能性に応じて、同様の様式で絹フィブロインと結び付けることができる。生体試料を含む提供される絹フィブロイン組成物は、ある時間にわたって生体試料の1種または複数の構成成分を安定化させることができ、それにより、生体試料またはその構成成分の後続の分析および/または特徴付けが可能になる。したがって、本明細書に記載の様々な態様の実施形態は、絹フィブロインベース組成物であって、それと混合された、またはそれに封入された生体試料の少なくとも1種の構成成分の安定化のための、後の時間に構成成分の検出を可能にする、絹フィブロインベース組成物、ならびにこの絹フィブロインベース組成物を作製する方法および使用する方法にも関する。
本明細書に記載の様々な実施形態によれば、低分子絹フィブロイン内に混合または封入される生体試料は、その少なくとも1種の構成成分について安定化され、かつ/または構成成分の存在について評価されることが意図されている任意の流体または検体(処理済みまたは未処理の)を含む。生体試料は、液体、超臨界流体、溶液、懸濁液、気体、ゲル、スラリー、固体、およびこれらの組合せであり得る。
一部の実施形態では、生体試料は、水性流体を含み得る。本明細書において、用語「水性流体」は、任意の流動性を有する水含有材料を指す。
一部の実施形態では、生体試料は、対象、例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象から得ることができる。対象から得られる例示的な生体試料として、それだけに限らないが、生体細胞、組織、血液(全血、血漿、臍帯血、および血清を含む)、泌乳産物(lactation product)(例えば、乳)、羊膜液、痰、唾液、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引液、汗、粘液、液化糞、滑液、リンパ液、涙、気管吸引液、ならびにこれらの画分を挙げることができる。一部の実施形態では、生体試料は、対象に由来する組織検体(例えば、生検)のホモジネートを含み得る。一実施形態では、生体試料は、固形臓器またはその断片から得られる固体試料のホモジナイゼーションから得られる懸濁液を含み得る。生体試料は、生体試料タイプによって様々となり得る当技術分野で公知の任意の手段によって対象から得ることができる。単なる例として、血液試料は、例えば、指プリック、微細針、静脈採血、または血液試料を収集するための任意の公知の方法によって対象から得ることができる。
一部の実施形態では、生体試料は、生細胞または死細胞(原核生物、および哺乳動物を含めた真核生物)、ウイルス、細菌、真菌、酵母、原生動物、微生物、ならびに寄生虫からなる群から選択される生体細胞を含み得る。生体細胞は、正常細胞、または疾患細胞、例えば、がん細胞であり得る。哺乳動物細胞としては、限定することなく、霊長類、ヒト、ならびに限定することなく、マウス、ハムスター、ウサギ、イヌ(dog)、ネコ(cat)、トリ、家庭動物、例えば、ウマ、ウシ、マウス、ヒツジ、イヌ(canine)、およびネコ(feline)などを含めた目的の任意の動物に由来する細胞がある。一部の実施形態では、細胞は、ヒト対象に由来し得る。他の実施形態では、細胞は、飼いならされた動物、例えば、イヌまたはネコに由来する。例示的な哺乳動物細胞としては、それだけに限らないが、幹細胞、がん細胞、前駆細胞、免疫細胞、血液細胞、胎児細胞、およびこれらの任意の組合せがある。細胞は、限定することなく多種多様な組織型、例えば、造血、神経、間葉、皮膚、粘膜、間質、筋肉、脾臓、細網内皮、上皮、内皮、肝臓、腎臓、胃腸、肺、心血管、T細胞、および胎児などに由来し得る。限定することなく、造血、神経、間質、筋肉、心血管、肝臓、肺、および胃腸の幹細胞を含めた、幹細胞、胚性幹(ES)細胞、ES由来細胞、人工多能性幹細胞、および幹細胞前駆細胞も含まれる。酵母細胞も、本明細書に記載の一部の実施形態において細胞として使用され得る。一部の実施形態では、細胞は、ex vivo、または培養細胞、例えば、in vitroであり得る。例えば、ex vivo細胞について、細胞は、対象から得ることができ、この場合、対象は、健康であり、かつ/または疾患を罹患している。
一部の実施形態では、生体試料は、動物の部分、例えば、それだけに限らないが、1つまたは複数の臓器(皮膚を含む)、筋肉、くちばし、鉤爪、羽毛、翼、および/または尾に由来する組織を含み得る。
一部の実施形態では、生体試料は、供給源、例えば、それだけに限らないが、研究室、動物群体、犯罪現場、細胞バンクもしくは受託機関、血液バンク、組織バンク、生物検体受託機関、診断検査施設、臨床現場、および/またはこれらの任意の組合せに由来する流体または検体を含み得る。
一部の実施形態では、生体試料は、生物培養からの流体(例えば、培養培地)および/または細胞を含み得る。生物培養から得られる流体(例えば、培養培地)および/または細胞の例には、例えば、原核生物(例えば、細菌)、および真核生物(例えば、動物細胞、植物細胞、酵母、真菌)を含め、かつこれらの画分を含めた単細胞または多細胞生物の培養または発酵から得られるものが含まれる。
一部の実施形態では、生体試料は、少なくとも1種の構成成分、または構成成分の混合物を含む。例えば、後続の検出および/または特徴付けのために安定化され得る構成成分の例として、それだけに限らないが、ペプチド、タンパク質、抗体、酵素、抗原、アミノ酸、核酸(例えば、DNA、RNA、siRNA、miRNA、非コードRNA、または対象において内因的に見出され得るRNAの任意のバリアント)、ヌクレオチド、代謝産物、脂質、糖、糖タンパク質、ペプチドグリカン、微生物、細胞、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。本明細書に記載の組成物および/または方法を使用して、例えば、少なくとも2種の構成成分、少なくとも3種の構成成分、少なくとも4種の構成成分、少なくとも5種の構成成分、またはそれ超を含めた少なくとも1種の構成成分を、ある時間にわたって安定化させることができ、その時間後に検出することもできる。一部の実施形態では、絹ベース材料は、生体試料(例えば、血液試料中の血漿または血清タンパク質)中の少なくとも1種または複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ超)のタンパク質を安定化させることができ、このタンパク質は、後の時間に検出することができる。一部の実施形態では、絹ベース材料は、血液試料中の少なくとも1種または複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ超)の無細胞または循環DNAまたはRNAを安定化させることができる。一部の実施形態では、絹ベース材料は、生体試料中に存在する少なくとも1種または複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ超)の診断用バイオマーカーを安定化させることができる。
一部の実施形態では、絹ベース材料は、RNAの活性および/または完全性を安定化させることができ、本明細書に記載の絹フィブロイン組成物および方法は、それだけに限らないが、DNA、RNA、および修飾DNAまたはRNAを含めた任意の核酸を安定化させるのに使用され得ることが企図されている。いくつかの例示的な核酸としては、ペプチドプラスミドDNA、ゲノムDNA、mRNA、siRNA、プレmiRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、shRNA、活性化RNA、デコイオリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、オリゴヌクレオチド、および/または治療目的で対象に投与され得る任意の核酸がある。
一部の実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロイン組成物の1つまたは複数の実施形態中に生体試料を組み込んだ際、生体試料の少なくとも1種の構成成分(例えば、少なくとも1種の検出可能な実体)の状態を安定化させることが望ましい場合がある。単なる例として、生体試料中に存在するタンパク質は、活性または不活性状態にあり得る。一部の実施形態では、生体試料のタンパク質の活性または天然の状態、例えば、リン酸化タンパク質、または糖化タンパク質が、絹フィブロイン材料中で安定化または維持され得る。これらの実施形態は、例えば、構成成分の活性または状態が疾患または障害の診断において役割を果たす場合、有用であり得る。例えば、翻訳後修飾のある特定の状態またはレベルは、疾患状態と相関し、その結果、診断において役立つ。一部の実施形態では、翻訳後修飾としては、それだけに限らないが、リン酸化、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化またはプレニル化、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化、グリピエーション、グリコシルホスファチジルイノシトール(glycosylphosphotidylinositol)アンカー形成、リポイル化、フラビン部分の付着、ヘムCの付着、ホスホパンテテイニル化、レチニリデンシッフ塩基形成、ジフタミド形成、エタノールアミンホスホグリセロール付着、ヒプシン形成、アシル化、アセチル化、ホルミル化、アルキル化、メチル化、アミド結合形成、C末端におけるアミド化、アミノ酸付加、アルギニル化、ポリグルタミル化、ポリグリシル化、ブチリル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、ポリシアリル化、マロニル化、ヒドロキシル化、ヨード化、ヌクレオチド付加、酸化、リン酸エステルまたはホスホラミデート形成、リン酸化、アデニリル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、S−グルタチオニル化、S−ニトロシル化、スクシニル化、硫酸化、セレノイル化、糖化、ビオチン化、ペグ化、ISG化、SUMO化、ユビキチン化、Nedd化、Pup化、シトルリン化、アミド分解、エリミニレーション(eliminylation)、カルバミル化、ジスルフィド架橋、タンパク質分解的切断、およびプロリンのラセミ化がある。
一般に、絹フィブロイン物品中に生体試料または作用物質を組み込むために、生体試料または活性作用物質を、絹フィブロイン物品を生産するのに使用される絹フィブロイン溶液中に含めることができる。代替としてまたは追加的に、予め形成された絹フィブロイン物品を、生体試料または活性作用物質を含む溶液に添加し、生体試料(もしくはその構成成分)または活性作用物質を絹フィブロイン物品中/上に吸収させることができる。
一部の実施形態では、生体試料/作用物質は、絹ベース材料中に均質的または非均質的に(例えば、勾配中に)分布され得る。一部の実施形態では、生体試料は、絹ベース材料中の絹フィブロインによって被包または封入され得る。一部の実施形態では、生体試料は、絹ベース材料中の絹フィブロインと混合またはブレンドされ得る。
絹ベース材料を形成した後、例えば、絹フィブロイン中のベータシート二次構造の形成を誘導するために、材料を処置することができる。絹フィブロイン中のベータシート二次構造の形成を誘導する方法は、本明細書の他の場所に記載されている。
本明細書に記載の様々な態様の実施形態によれば、生体試料を含む絹フィブロイン組成物は、生体試料の少なくとも1種の構成成分を安定化させることができ、それにより、後の時間における構成成分の検出および/または分析が可能になる。一部の実施形態では、生体試料を含むこれらの絹ベース材料は、ヒトの健康の診断評価用に試料品質を維持/保持するために生体試料を現在貯蔵し、取り扱う典型的な方法である、冷蔵または凍結の必要なく貯蔵および/または輸送することができる。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の絹ベース材料および方法は、診断的適用に有用であり得る。例えば、絹ベース材料および方法は、貯蔵および/または輸送中に生体試料の品質を維持および/もしくは保持するために、または連続的な低温貯蔵をサポートする最低限のインフラが存在しないいくつかの発展途上国もしくは遠隔現場条件において使用することができ、その結果、生体試料の少なくとも1種の構成成分が診断的適用のためにアッセイされ得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の絹ベース材料および方法は、先に述べた以下の条件の少なくとも1つまたは任意の組合せ、すなわち:(a)貯蔵および/または輸送中の0℃超の温度(例えば、少なくとも約室温またはそれ超);(b)貯蔵および/または輸送中の光曝露(例えば、UV、赤外線、および/または可視光);ならびに(c)貯蔵および/または輸送中の少なくとも約10%またはそれ超の相対湿度の下で生体試料の品質を維持ならびに/または保持するのに使用され得る。
したがって、本明細書に提供されるさらに別の態様は、本明細書に記載の絹ベース材料を使用するための方法に関する。本方法は、(a)活性作用物質/試料/構成成分を含む絹フィブロイン(例えば、低分子量絹フィブロイン)組成物の1つまたは複数の実施形態を準備するステップと、(b)水中に組成物の少なくとも一部分を溶解させ、それによって絹フィブロインおよび検出可能な量の少なくとも1種の活性作用物質を含む試料溶液を形成するステップとを含む。
一部の実施形態では、疾患または障害を診断する必要のある対象または患者は、生体試料を提供し、その生体試料を絹フィブロイン組成物と接触させることができ、次いでそれは、分析のために診断試験所に送られる。一部の実施形態では、生体試料は、臨床現場で熟練した開業医が対象から収集することができ、次いでそこで生体試料を絹フィブロイン(例えば、低分子量絹フィブロイン)と接触させ、分析のために診断試験所に送ることができる。
一部の実施形態では、生体試料の少なくとも1種の構成成分を、生体試料から構成成分を単離することなく検出および/または分析することができるが、代替の実施形態では、構成成分は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、検出および/または分析の前に絹フィブロイン組成物の少なくとも一部分から抽出または回収することができる。本明細書に記載の絹ベース材料の一部の実施形態によれば、組成物は、水溶液(例えば、水、緩衝液、またはこれらの組合せ)中で可溶性であり得る。血液が濾紙上に吸収され、その後回収することが困難であるセルロースベース技術、例えば、乾燥血液スポットと異なり、本明細書に記載の絹フィブロイン組成物の少なくとも一部分は、水溶液(例えば、水、緩衝液、またはこれらの組合せ)中に可溶化し得る。このとき、最終的な絹/生体試料溶液は、追加の精製をすることなく、日常的な液体アッセイ、例えば、実施例に記載したELISAおよびLuminex(商標)アッセイに適用できるものとなり得る。したがって、一部の実施形態では、本方法は、生体試料の前記少なくとも1種の構成成分を少なくとも1種の分析に供する前に、絹フィブロイン組成物の少なくとも一部分を水溶液(例えば、水、緩衝液、またはこれらの組合せ)に接触させるステップをさらに含み得る。
様々なタイプの分析を、例えば、標的構成成分の性格に応じて、生体試料の標的構成成分に対して実施することができる。分析の非限定例として、それだけに限らないが、遺伝子型判定、核酸配列決定、発現解析(例えば、タンパク質レベル、または転写レベル)、結合親和性、酵素活性、トランスフェクション効率、細胞計数、細胞同定、細胞生存能、免疫原性、感染力、代謝産物プロファイリング、およびこれらの任意の組合せを挙げることができる。一部の実施形態では、生体試料の少なくとも1種の構成成分を、少なくとも1種の遺伝子型判定もしくは核酸配列決定分析、発現解析(例えば、タンパク質レベルおよび/もしくは転写レベル)、代謝産物プロファイリング、またはこれらの任意の組合せに供することができる。これらの分析を実施するための様々な方法として、それだけに限らないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイム定量的PCR、マイクロアレイ、ウエスタンブロット、免疫組織化学的分析、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、質量分析法、核酸配列決定、フローサイトメトリー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴(NMR)分光法、またはこれらの任意の組合せを挙げることができる。核酸配列決定の技法は、当技術分野で公知であり、核酸または遺伝子発現測定を判定するために構成成分をアッセイするのに使用することができ、例えば、それだけに限らないが、DNA配列決定、RNA配列決定、デノボ配列決定、超並列シグネチャー配列決定(MPSS)などの次世代配列決定、ポロニー配列決定、ピロシーケンシング、Illumina(Solexa)配列決定、SOLiD配列決定、イオン半導体配列決定、DNAナノボール配列決定、Heliscope単一分子配列決定、単一分子リアルタイム(SMRT)配列決定、ナノ孔DNA配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、質量分析法を用いた配列決定、マイクロ流体サンガー配列決定、顕微鏡観察ベース配列決定技法、RNAポリメラーゼ(RNAP)配列決定、またはこれらの任意の組合せがある。
一部の実施形態では、少なくとも1種の分析は、読み取り機器またはシステムとインターフェースをとることができるフォーマットで実施され得る。一部の実施形態では、少なくとも1種の分析は、システム上で実施され得る。
一部の実施形態では、分析の前、または生体試料を含む組成物を水溶液と接触させる前に、組成物をより小さい部分に低減またはアリコートすることができ、例えば、これらのいくつかを、後の分析のためにセーブすることができ、かつ/または異なる標的構成成分(例えば、タンパク質、核酸、および/または代謝産物)について分析することができる。より小さい部分へのアリコーティングは、重量または体積によるものであり得る。
絹フィブロイン組成物からの少なくとも1種の作用物質の回収率は一般に、作用物質が被包されている絹フィブロイン組成物の溶解性、絹フィブロイン組成物中に存在しているときの作用物質の安定性、および/または後続の分析のために作用物質含有絹フィブロイン溶液を処理する容易さに部分的に依存する。本明細書に述べたように、本発明者らは、200kDaを超える分子量を有する絹フィブロイン断片のより大きい部分が存在する他の絹組成物(例えば、30分未満にわたって絹繭を精練することによって得られる絹溶液から生成される絹組成物)と異なり、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、絹フィブロイン溶液を形成するのにいずれの添加剤(例えば、塩)または加熱も用いることなく、周囲温度で水中に容易に溶解または再可溶化することを意外にも発見した。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロイン粒子(粉末を含む)およびフィルムは、脱イオン水中で、室温で容易に溶解または再可溶化し得る。したがって、一部の実施形態では、結果として生じる絹フィブロイン溶液は、他の方法では通常必要とされるいずれの後続の透析も用いることなく、使用される状態にあり得る。一部の実施形態では、本発明者らは、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物から再構成される絹フィブロイン溶液が、後続の分析のために流体工学ベース分析機内に直接注入され得ることを示した。さらに、結果として生じる絹フィブロイン溶液は、本明細書に記載の他の低分子量絹フィブロイン組成物を再形成するのに使用することもできる。
再可溶化性および結果として生じる絹溶液から物品を再形成する能力というそのユニークなフィーチャに加えて、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、絹フィブロイン組成物の非存在下での作用物質の安定性と比較した場合、例えば、国際出願第PCT/US12/34643号ならびに米国仮出願第61/792,161号および同第61/830,950号に記載されているように、長期間にわたって試料中の少なくとも1種または複数の作用物質を安定化させることもできる。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物は、作用物質または試料が、将来の使用および/または分析用に回収され、または取り戻されるために、ある時間にわたって安定化されることが望まれる任意の用途に適している。単なる例として、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン物品の1つまたは複数の実施形態、例えば、低分子絹フィブロインフィルムまたは粉末中に被包された作用物質または試料は、それが使用および/または分析される状態になるまで、ある時間にわたって冷蔵することなく室温で貯蔵され得る。これらの実施形態では、作用物質または試料を含む低分子量絹フィブロイン物品の少なくとも一部分を、室温で水中に溶解させて使用可能な形態で作用物質または試料を回収することができる一方、試料の残りを、後の使用および/または他の分析のためにセーブすることができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物中に被包された少なくとも望ましい、または検出可能な量の作用物質または試料を、使用可能な形態で回収することができる。本明細書において、用語「使用可能な形態」は、特定の用途に適用できる作用物質または試料の一形態を指す。例えば、作用物質または試料は、アッセイ分析のために溶液中に回収することができる。一部の実施形態では、用語「使用可能な形態」は、例えば、任意の当技術分野で認識されている精製法によって溶液から単離される作用物質または試料を包含し得る。低分子量絹フィブロイン組成物は、作用物質を安定化させることができ、容易に溶解可能であり得るので、非絹フィブロイン組成物からの作用物質または試料の回収と比較した場合、より小さいアリコートの低分子量絹フィブロイン組成物が一般に、望ましい、または検出可能な量の作用物質または試料をもたらすのに十分であり得る。別の言い方をすれば、同じ装填量の作用物質または試料を含有するアリコートで、本明細書に記載の低分子絹フィブロイン組成物からの作用物質または試料の回収率は、非絹フィブロイン組成物からの回収率と比較して、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ超を含めた少なくとも約10%またはそれ超増大し得る。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量組成物)中の作用物質または試料の元の装填量の少なくとも約50%またはそれ超が回収され得る。一部の実施形態では、低分子絹フィブロイン組成物中の作用物質または試料の元の装填量の、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ超を含めた50%超が回収され得る。一部の実施形態では、作用物質または試料は、室温で水(例えば、脱イオン水)中にこれらを被包している低分子量絹フィブロイン物品を溶解させることによって回収され得る。一部の実施形態では、作用物質または試料を含む溶解した絹フィブロイン物品は、さらなる処理、例えば、作用物質の分析、および/または絹フィブロイン溶液からの作用物質の精製に供することができる。
本明細書に記載の低分子量絹フィブロイン組成物の操作および/または取扱いの容易さに起因して、本明細書に記載の組成物は、戦場設定で、診療所設定で、救急輸送中に、かつ/または家庭での使用に適用され得る。単なる例として、例えば、家庭または遠隔現場範囲から実験室施設への輸送用に血液試料を安定化させるために、家庭ユーザーまたは軍人は、保存安定性低分子量絹フィブロイン粉末を再構成して絹フィブロイン溶液を作製することができ、次いでそれとともに血液試料を一緒に混合することができる。次いで、血液試料の構成成分が絹フィブロインの存在下で安定化されている試料溶液混合物を実験室施設に送ることができる。一部の実施形態では、血液試料を含む絹フィブロイン溶液は、空気乾燥させて、物品、例えば、フィルムを形成することができ、この中で血液試料中の構成成分は、周囲温度でより長い時間、例えば、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、またはそれ超にわたって安定化され得る。本明細書に記載の低分子絹フィブロイン組成物および/または方法を使用して試料中の1種または複数の望ましい構成成分の活性および/またはレベルを保全すると、疾患もしくは障害の新しいバイオマーカーの発見に役立つことができ、診断検査の感度を増大させることができ、かつ/またはより正確な診断検査読み取りをもたらすことができる。
絹フィブロインを使用して生体試料を安定化させるための組成物および方法は、本発明者らの、2013年3月15日に出願された米国仮出願第61/792,161号、および2013年6月4日に出願された同第61/830,950号に記載されており、これらの両方の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
例示的な組成物フォーマット
これらに限定されないが、本明細書に記載のような絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物、および/または生体試料もしくは安定化のための活性作用物質を含む絹フィブロイン組成物)は、任意の形態、形状またはサイズでよい。例えば、組成物は、溶液、繊維、フィルム、シート、繊維、マット、不織マット、メッシュ、布地、スポンジ、発泡体、ゲル、ヒドロゲル、チューブ、粒子(例えば、ナノもしくはマイクロ粒子、ゲル様粒子)、粉末、スキャフォールド、3次元構築物、基材上のコーティング層、または任意のこれらの組合せでよい。
異なるフォーマットの絹をベースとする材料を生成する方法は、例えば、これらに限定されないが、乾燥、溶液キャスティング、塩浸出、凍結乾燥、ガス形成、エレクトロスピニング、ゲル化(例えば、電気的ゲル化)、剪断応力、超音波処理、pH低減、水アニーリング、水蒸気アニーリング、アルコール浸漬、繊維のドローイング、コーティング、吹き付け、微小化、または任意のこれらの組合せを含めて当技術分野において公知である。いくつかの特定の実施形態では、絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量組成物および/または安定化組成物)は、任意選択で活性作用物質/試料/構成成分と共に、絹フィブロインの溶液を乾燥させることを伴う方法によって生成される。一部の実施形態では、乾燥は、凍結乾燥または空気乾燥を含む。
一部の実施形態では、例えば、絹をベースとする材料中に残存する水分含有量によって、一部の実施形態では、絹をベースとする材料(例えば、固体状態の)は、少なくとも約10重量%またはそれ超の絹フィブロインを含むことができる。例えば、絹をベースとする材料(例えば、固体状態の)は、重量で少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%またはそれ超の絹フィブロインを含むことができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のような絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物および/または安定化絹組成物)は、粒子の形態である。例えば、絹フィブロイン物品は、絹ナノ球体または絹マイクロ球体の形態でよい。本明細書において使用する場合、「粒子」という用語は、球体;ロッド;シェル;プリズム;および粉末を含む。一部の実施形態では、これらの粒子は、ネットワークまたは凝集体の部分でよい。これらに限定されないが、粒子は、ナノメートル(nm)からミリメートル(mm)の任意のサイズを有することができる。一部の実施形態では、粒子は、約0.01μm〜約1000μm、約0.05μm〜約500μm、約0.1μm〜約250μm、約0.25μm〜約200μm、または約0.5μm〜約100μmの範囲のサイズを有することができる。本明細書において使用する場合、「ナノ粒子」という用語は、約0.1nm〜約1000nmの粒径を有する粒子を指す。マイクロスケールからナノスケールの絹フィブロイン粒子のある特定の実施形態および関連する技術はまた、「SYNTHESIS OF SILK FIBROIN MICRO- AND SUBMICRON SPHERES USING A CO-FLOW METHOD」という名称の本明細書と同時に出願した米国仮出願に提供されている。
粒子は通常、示した「サイズ」の周りの粒径分布を示すと当業者は理解する。特に明記しない限り、「粒径」という用語は、本明細書において使用する場合、粒子のサイズ分布のモード、すなわち、サイズ分布において最も頻繁に出現する値を指す。動的光散乱(例えば、光子相関分光法、レーザー回折、小角レーザー光散乱(LALLS)、および中角レーザー光散乱(MALLS)、光遮断方法(例えば、コールター分析方法)、または他の技術(例えば、レオロジー、および光学もしくは電子顕微鏡観察)によるなど、粒径を測定するための方法は、当業者には公知である。
一部の実施形態では、粒子は、実質的に球状でよい。「実質的に球状」とは、粒子断面の最も長い垂直軸と最も短い垂直軸の長さの比が、約1.5と等しい、もしくはこれ未満であることを意味する。実質的に球状であることは、対称中心線を必要としない。さらに、粒子は、粒子の全体的なサイズと比較したときスケールが小さい表面模様付け、例えば、ラインまたは切れ込みまたは隆起を有することができ、かつまだ実質的に球状である。一部の実施形態では、粒子の最も長い軸および最も短い軸の間の長さの比は、約1.5と等しい、もしくはこれ未満、約1.45と等しい、もしくはこれ未満、約1.4と等しい、もしくはこれ未満、約1.35と等しい、もしくはこれ未満、約1.30と等しい、もしくはこれ未満、約1.25と等しい、もしくはこれ未満、約1.20と等しい、もしくはこれ未満、約1.15と等しい、もしくはこれ未満、約1.1と等しい、もしくはこれ未満である。理論に束縛されるものではないが、表面接触は、実質的に球状である粒子において最小化され、これによって貯蔵時の粒子の望ましくない集塊は最小化する。多くの結晶またはフレークは、大きな表面接触面積を可能とし得る平らな表面を有し、そこでは集塊はイオン性または非イオン性相互作用によって起こり得る。球体は、非常により小さな面積に亘る接触を可能とする。
一部の実施形態では、粒子は、実質的に同じ粒径を有する。相対的に大きな粒子および小さな粒子の両方が存在する広いサイズ分布を有する粒子は、より小さな粒子がより大きな粒子の間のギャップ中に充填され、それによって新たな接触表面を生じさせることを可能とする。広いサイズ分布は、集塊を結合するための多くの接触機会を生じさせることによってより大きな球体をもたらすことができる。本明細書に記載されている粒子は狭いサイズ分布内であり、それによって接触集塊の機会を最小化する。「狭いサイズ分布」とは、5と等しい、もしくはこれ未満の、小さな球状粒子の90パーセンタイルの体積径と、10パーセンタイルの体積径の比を有する粒径分布であることを意味する。一部の実施形態では、小さな球状粒子の10パーセンタイルの体積径に対する90パーセンタイルの体積径は、4.5と等しい、もしくはこれ未満、4と等しい、もしくはこれ未満、3.5と等しい、もしくはこれ未満、3と等しい、もしくはこれ未満、2.5と等しい、もしくはこれ未満、2と等しい、もしくはこれ未満、1.5と等しい、もしくはこれ未満、1.45と等しい、もしくはこれ未満、1.40と等しい、もしくはこれ未満、1.35と等しい、もしくはこれ未満、1.3と等しい、もしくはこれ未満、1.25と等しい、もしくはこれ未満、1.20と等しい、もしくはこれ未満、1.15と等しい、もしくはこれ未満、または1.1と等しい、もしくはこれ未満である。
幾何標準偏差(GSD)をまた使用して、狭いサイズ分布を示すことができる。GSD計算は、15.9%および84.1%の百分率未満の累積での有効なカットオフ直径(ECD)の決定が関与した。GSDは、84.17%未満のECDと15.9%未満のECDの比の平方根と等しい。GSDは、GSD<2.5であるとき狭いサイズ分布を有する。一部の実施形態では、GSDは、2未満、1.75未満、または1.5未満である。一実施形態では、GSDは、1.8未満である。
理論に束縛されるものではないが、粒径は、最終生成物の微視的性質および巨視的性質を大いに決定することができる。粒径は、これらに限定されないが、使用されるセラミックボールのサイズ、各ボールミルカップ中に入れた絹の量、機械の回転速度(RPM)、およびボールミル粉砕の期間を含めたいくつかのプロセスパラメーターによって決まる。粉末の粒径は、例えば、数学モデル化および/または相関性を決定する実験法による、これらのプロセスパラメーターのいくつかに基づいて予想することができる。例えば、これは所与の容量の絹フィブロインを、変化するボールミルスピードおよび期間についてミル粉砕することによって行うことができる。各実験からの代表的な試料上で走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行って、粒径を決定することができる。さらなる試験を各試料上で行って、このように得られた構築物の色、分子量、溶液中の粘度、および水中の溶解性に対するプロセスパラメーターの効果を決定することができる。
絹粒子(例えば、ナノ粒子およびマイクロ粒子)を生成する様々な方法は、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、絹粒子は、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている国際出願第第WO2011/041395号に記載されているようなポリビニルアルコール(PVA)相分離方法によって生成することができる。絹フィブロイン粒子を生成するための他の方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第US2010/0028451号およびPCT特許出願公開第WO2008/118133号(絹マイクロ球体またはナノ球体を作製するためのテンプレートとして脂質を使用)、ならびにWenkら、J Control Release、2008年;132巻:26〜34頁(絹マイクロ球体またはナノ球体を生成するために吹き付け方法を使用)に記載されている。
これらに限定されないが、絹フィブロインおよび添加物または活性作用物質/試料と共に製剤化することができる少なくとも6タイプの粒子、すなわち、(1)絹フィブロインによって形成されるコアを含む粒子であって、コアに添加物/作用物質/試料が吸収/吸着し、または粒子コア上のコーティングを形成する粒子、;(2)絹フィブロインの1つまたは複数の層でコーティングされた、添加物/作用物質/試料によって形成されたコアを含む粒子、;(3)絹フィブロインおよび添加物/作用物質/試料の全体的に均一な混合物を含む粒子;(4)絹フィブロインのコア上のコーティングを伴う、絹フィブロインおよび添加物/作用物質/試料の混合物を含むコアを含む粒子;(5)生体試料もしくは絹フィブロイン、または生体試料および絹フィブロインの任意の組合せを含む1つのさらなる層でコーティングされた絹フィブロインまたは生体試料以外の材料のコアを含む粒子;ならびに(6)(1)〜(5)の粒子のいずれかを含み、絹フィブロインまたは生体試料以外の材料、例えば、ポリマーの1つまたは複数の層をさらに含む粒子が存在する。絹フィブロイン粒子(例えば、マイクロ球体、ナノ球体、またはゲル様粒子)およびこれらを調製する方法は、例えば、それらの全ての内容が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第8,187,616号;および米国特許出願公開第US2008/0085272号、同第US2010/0028451号、同第US2012/0052124号、同第US2012/0070427号、同第US2012/0187591号に記載されている。これらに限定されないが、生体試料は、フィルムの絹フィブロインマトリックス中に分布し、フィルムの表面上に存在し、フィルムによってコーティングされ、または任意のこれらの組合せでよい。
一部の実施形態では、絹粒子は、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている2012年10月26日に出願された米国特許仮出願第61/719,146号に記載されているような凍結乾燥方法を使用して生成することができる。具体的には、絹発泡体は、絹溶液を凍結乾燥することによって生成することができる。次いで、発泡体を粒子に縮小させることができる。例えば、絹溶液は、液体担体が複数の固体結晶または粒子に変換される温度に冷却することができ、複数の固体結晶または粒子の少なくともいくらかを除去し、多孔質絹材料(例えば、絹発泡体)が残る。冷却後、液体担体は、昇華、蒸発、および/または凍結乾燥によって少なくとも部分的に除去することができる。一部の実施形態では、液体担体は、減圧下で除去することができる。形成後、絹フィブロイン発泡体をグラインディング、切断、クラッシング、または任意のこれらの組合せに供して、絹粒子を形成することができる。例えば、絹フィブロイン発泡体は、通常のブレンダー中でブレンドし、またはボールミル中でミル粉砕して、所望のサイズの絹粒子を形成することができる。したがって、一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物は、凍結乾燥した粉末の形態である。
一部の実施形態では、提供される絹フィブロイン組成物(例えば、物品)は、ゲルまたはヒドロゲルの形態でよい。「ヒドロゲル」という用語は、本明細書において、溶解を伴わずにその構造内にかなりの部分の水または他の液体を保持する能力を示す、絹をベースとする材料を意味するために使用される。絹フィブロインゲルおよびヒドロゲルを調製するための例示的な方法には、これらに限定されないが、超音波処理、ボルテックス、pH滴定、電界への曝露、溶媒浸漬、水アニーリング、水蒸気アニーリングなどが含まれる。絹フィブロインゲルおよびヒドロゲルを調製するための例示的な方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているPCT公開第WO2005/012606号、同第WO2008/150861号、同第WO2010/036992号、および同第WO2011/005381号に記載されている。電界への曝露によって形成されるゲルはまた、本明細書においてe−ゲルと称される。e−ゲルを形成する方法は、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第US2011/0171239号に記載されている。これらに限定されないが、添加物/作用物質/試料は、ゲルまたはヒドロゲルの絹フィブロインマトリックス中に分布し、ゲルまたはヒドロゲルまたはスポンジの表面上に吸収され、ゲルまたはヒドロゲルの細孔中に存在し、あるいは任意のこれらの組合せでよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている絹フィブロイン組成物(例えば、物品)は、スポンジまたは発泡体の形態でよい。一部の実施形態では、発泡体またはスポンジは、パターン形成された発泡体またはスポンジ、例えば、ナノパターン形成された発泡体またはスポンジである。絹発泡体およびスポンジを調製するための例示的な方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているPCT出願公開第WO2004/000915号、同第WO2004/000255号、および同第WO2005/012606号に記載されている。これらに限定されないが、添加物/活性物質/試料は、発泡体またはスポンジの絹フィブロインマトリックス中に分布し、発泡体またはスポンジの表面上に吸収され、発泡体またはスポンジの細孔中に存在し、あるいは任意のこれらの組合せでよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載のような絹フィブロイン組成物(例えば、物品)は、繊維の形態である。本明細書において使用する場合、「繊維」という用語は、その長さと垂直のその断面に亘って長さと幅の高い比を有する相対的に柔軟な物質単位を意味する。絹フィブロイン繊維を調製する方法は、当技術分野で周知である。繊維は、絹溶液をエレクトロスピニングすること、絹溶液をドローイングすることなどによって調製することができる。エレクトロスピニングされた絹材料、例えば、繊維、およびこれらを調製する方法は、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているWO2011/008842に記載されている。ミクロンサイズの絹繊維(例えば、サイズが10〜600μm)およびこれらを調製する方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているMandalら、PNAS、2012年、doi、:10.1073/pnas.1119474109;2012年4月6日に出願された米国特許仮出願第61/621,209号;および2013年4月5日に出願されたPCT出願第PCT/US13/35389号に記載されている。
一部の実施形態では、本明細書に記載のような絹フィブロイン組成物(例えば、物品)は、フィルム、例えば、絹フィルムの形態でよい。本明細書において使用する場合、「フィルム」という用語は、実質的に平らな構造を指し、実質的に平らな構造から形成される構造をまた包含することができる。例えば、「フィルム」という用語は、管状構造、または実質的に平らなフィルムを所望の形態に操作(例えば、巻取り、および/もしくは折畳み)することによって形成することができる任意の構造を包含することができる。「フィルム」という用語は一般的な意味で使用し、ウェブ、シート、ラミネートなどを含むことに留意すべきである。一部の実施形態では、フィルムは、パターン化されたフィルム、例えば、ナノパターン化されたフィルムである。絹フィブロインフィルムを調製するための例示的な方法は、例えば、それらの両方の内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているPCT出願公開第WO2004/000915号および同第WO2005/012606号に記載されている。添加物および/または作用物質/試料が含まれる一部の実施形態では、これはフィルム中に分布し、フィルムの表面上に存在し、フィルムによってコーティングされ、または任意のこれらの組合せでよい。
フィルムは、任意の所望の厚さを有することができる。例えば、フィルム厚さは、約1nm〜約10mmの範囲でよい。一部の実施形態では、フィルムは、約1nm〜約1000nmまたは約1μm〜約1000μmの範囲の厚さを有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のような絹フィブロイン組成物は、コーティング層の形態でよい。一部の実施形態では、このようなコーティング層は、基材表面上でよい。これらに限定されないが、絹フィブロインコーティング層は、1つまたは複数の層を含むことができる。さらに、2つまたはそれ超の層が存在する場合、各層は、絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン)を含む単一の層、または複数の層でよく、少なくとも1つまたは複数の層は、低分子絹フィブロイン断片を含む。一部の実施形態では、コーティング層は、超薄コーティング層である。一部の実施形態では、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物は、基材の一部分を形成することができる。
基材の例には、これらに限定されないが、ディップスティック、セルロースベース製品、マイクロタイタープレート、検体容器(例えば、これらに限定されないが、採血容器)、医療デバイス、インプラント、および任意のこれらの組合せを含むことができる。絹フィブロインを含むコーティング層を形成する方法は、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許出願第11/997,193号に記載されている。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている絹フィブロイン組成物(例えば、物品)は、円柱状マトリックス、例えば、絹チューブの形態でよい。絹チューブは、当技術分野において公知の任意の方法を使用して作製することができる。例えば、チューブは、成形、ディッピング、エレクトロスピニング、ゲルスピニングなどを使用して作製することができる。ゲルスピニングは、Lovettら、Biomaterials、2008年、29巻(35号):4650〜4657頁に記載されており、ゲルスピニングされた絹チューブの構築は、2009年4月8日に出願されたPCT出願第PCT/US2009/039870号に記載されている(これらの両方の内容は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている)。ディップコーティング方法を使用した絹チューブの構築は、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている2008年8月11日に出願されたPCT出願第PCT/US2008/072742号に記載されている。フィルムスピニング方法を使用した絹フィブロインチューブの構築は、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている2013年3月11日に出願されたPCT出願第PCT/US2013/030206号;2012年3月20日に出願された米国特許仮出願第61/613,185号;およびPCT出願公開第WO2013126799号に記載されている。理論に束縛されるものではないが、絹チューブの内径および外径は、ディップコーティング技術よりもフィルムスピニングまたはゲルスピニングを使用してより容易に調節することができると考えられる。
一部の実施形態では、提供される絹をベースとする材料は、その中に内腔または腔を含むマトリックスの形態である。いくつかのこのような実施形態では、添加物および/または活性作用物質/試料の少なくとも一部は、絹フィブロインネットワーク中に分布している。一部の実施形態では、これは内腔または腔中に存在することができる。一部の実施形態では、絹フィブロインは、その中に内腔または腔を含むマトリックスの形態であり、少なくとも部分的量の添加物/作用物質/試料は内腔または腔中に存在し、少なくとも部分的量は、絹フィブロインネットワーク自体中に分布している。一部の実施形態では、マトリックスが内腔または腔を含むとき、添加物または作用物質/の少なくとも5%、(例えば、 少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%)は、内腔または腔中に存在することができる。一部の実施形態では、全量は、内腔/腔中に存在する。一部の実施形態では、の少なくとも5%、(例えば、 少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%)は、マトリックスの絹フィブロインネットワーク(例えば、絹をベースとする材料の非内腔部分)中に存在することができる。
一部の実施形態では、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物(例えば、物品)は、多孔質(例えば、多孔質マトリックスまたはスキャフォールド)でよい。例えば、多孔質スキャフォールドは、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ超の多孔性を有することができる。本明細書において使用する場合、「多孔性」という用語は、材料中の空隙空間の尺度であり、百分率0〜100%(または0〜1)としての、総容量に亘る空隙の容量の分率である。例えば、標準化された技術、例えば、水銀圧入測孔法および気体吸着、例えば、窒素吸着を使用した多孔性の決定は、当業者には周知である。本明細書において使用する場合、「多孔性」という用語は、材料中の空隙空間の尺度であり、百分率0〜100%(または0〜1)としての、総容量に亘る空隙の容量の分率である。例えば、標準化された技術、例えば、水銀圧入測孔法および気体吸着、例えば、窒素吸着を使用した多孔性の決定は当業者には周知である。
多孔質スキャフォールドは、任意の孔径を有することができる。本明細書において使用する場合、「孔径」という用語は、細孔の断面の直径または有効直径を指す。「孔径」という用語はまた、複数の細孔の測定に基づいた細孔の断面の平均直径または平均有効直径を指すことができる。円形ではない断面の有効直径は、非円形断面の断面積と同じ断面積を有する円形断面の直径と等しい。
一部の実施形態では、絹をベースとする材料の細孔は、約50nm〜約1000nm、約250nm〜約500nm、約500nm〜約250nm、約1nm〜約200nm、約10nm〜約150nm、または約50nm〜約100nmの範囲のサイズ分布を有することができる。一部の実施形態では、絹をベースとする材料は、水和されたとき膨潤性でよい。次いで、細孔のサイズは、絹をベースとする材料中の水分含有量によって変化することができる。一部の実施形態では、細孔は、流体、例えば、水または空気で充填することができる。
絹フィブロインをベースとするスキャフォールド中に細孔を形成する方法は当技術分野において公知であり、これらに限定されないが、ポロゲン浸出方法、凍結乾燥方法、および/またはガス形成方法を含む。絹をベースとする材料中に細孔を形成する例示的な方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第US2010/0279112号および同第US2010/0279112号;米国特許第7,842,780号;およびWO2004062697に記載されている。
理論に束縛されるものではないが、多孔質スキャフォールドの多孔性、構造、および機械的性質は、異なるスピニング後プロセス、例えば、蒸気アニーリング、熱処置、アルコール処置、空気乾燥、凍結乾燥などによって調節することができる。さらに、マトリックス中にカプセル化された分子の任意の望ましい放出速度、プロファイルまたは動態は、処理パラメーター、例えば、マトリックス厚さ、絹分子量、マトリックス中の絹の濃度、ベータシート高次構造、絹IIベータシート結晶化度、または多孔性および孔径を変化させることによって調節することができる。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロインスキャフォールドは、望ましい期間(例えば、1カ月またはそれ超)に亘るスキャフォールドの分解を許容する一方で、インプラント部位における十分な機械的強度/安定性を実現することができる。理論に束縛されるものではないが、一部の実施形態では、絹をベースとする材料の多孔性は、所望の溶解速度について調節することができる。例えば、絹をベースとする材料のより高い多孔性は一般に、水溶液が絹をベースとする材料中により速く浸透することを可能とし、このように溶解のプロセスを加速することができる。当業者は、したがって、これらに限定されないが、所望の溶解速度;絹をベースとする材料中に存在する構成成分の分子の大きさおよび/もしくは拡散係数、ならびに/または絹をベースとする材料中の絹フィブロインの濃度、量、ならびに/または絹をベースとする材料の所望の物理的もしくは機械的性質などのいくつかの要因に基づいて多孔性を調整することができる。
添加物/作用物質/試料を絹フィブロインマトリックス中に組み込むために、これを、絹をベースとする材料を生成するために使用される絹フィブロイン溶液中に含むことができる。代わりに、またはさらに、予め形成された絹をベースとする材料を添加物/作用物質/試料を含む溶液に加え、添加物/作用物質/試料を、絹をベースとする材料中に/上に吸収させることができる。
一部の実施形態では、添加物/作用物質/試料は、絹をベースとする材料中に均質的または非均質的(例えば、勾配で)に分布させることができる。一部の実施形態では、添加物/作用物質/試料は、絹をベースとする材料中の絹フィブロインによってカプセル化または捕捉することができる。一部の実施形態では、添加物/作用物質/試料は、絹をベースとする材料中の絹フィブロインと混合またはブレンドすることができる。
一部の実施形態では、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物は、骨伝導性である。骨伝導性は一般に、材料のインプラント処置の直後に確立されるフィブリンクロットによるスキャフォールドの表面への骨原性細胞の移動を促進する材料の能力として定義される。材料の多孔性は、この材料の骨伝導性に影響を与える。
一部の実施形態では、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物は、骨誘導性である。骨誘導性は一般に、骨性(骨)組織の構成成分である非分化幹細胞または骨前駆細胞(骨芽細胞)を誘導し、骨芽細胞に分化する能力として定義される。骨誘導性の最も単純な試験は、通常骨を形成しない組織の場所、例えば、筋肉における骨の形成(異所性骨成長)を誘導する能力である。本明細書に記載されている製造品は、増殖因子、例えば、rhBMP−2(組換えヒト骨形態形成タンパク質−2)をこれらに加えることによって骨誘導性に作製することができると一般に理解される。ミネラル化および増殖因子の添加は、材料の骨誘導性に影響を与えることができる。
一部の実施形態では、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物は骨原性であり、in vivoでのインプラント処置の後に新たな骨形成を示す。骨形成は、骨芽細胞を使用した新たな骨材料を固着させるプロセスである。骨芽細胞は、類骨を生成して、主にI型コラーゲンからなる類骨マトリックスを形成させることによって骨を構築する。骨組織は、類骨マトリックスおよびミネラル(大部分はリン酸カルシウムを伴う)を含み、これはカルシウムヒドロキシアパタイトと称される化学的配置を形成する。骨芽細胞は典型的には、骨組織を形成させる類骨マトリックスのミネラル化の原因である。理論に束縛されるものではないが、材料の骨伝導性および骨誘導性は、骨形成に対して影響を有する。材料は、in vivoでのインプラント処置の6カ月以内に新たな骨形成を示すことができる。一部の実施形態では、材料は、in vivoでのインプラント処置の8週間以内に新たな骨形成を示す。
一部の実施形態では、本明細書において開示されている絹フィブロイン物品は、従来の無菌化プロセス、例えば、放射線をベースとする無菌化(すなわち、ガンマ線)、化学作用をベースとする無菌化(酸化エチレン)、オートクレーブ処理、または他の適当な手順を使用して無菌化することができる。一部の実施形態では、無菌化プロセスは、約52℃〜約55℃の間の温度にて8時間またはそれ未満の時間、酸化エチレンを伴ってもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載されている絹フィブロイン物品はまた、無菌的に処理することができる。本明細書に記載されている無菌の絹フィブロイン物品は、出荷のための適当な無菌化耐湿性パッケージ中にパッケージ化することができる。一部の実施形態では、活性作用物質を含有する絹フィブロイン組成物は、活性作用物質を有意に害する、または分解する無菌化に供さない。一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物は、活性作用物質を無菌化の害から保護する。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている絹フィブロイン物品は、インプラントまたはインプラント可能な薬物送達デバイスの形態である。
一部の実施形態では、提供される絹フィブロイン組成物は、注射用組成物の形態である。本明細書において使用する場合、「注射用組成物」という用語は一般に、低侵襲手技を伴って組織中に送達または投与することができる組成物を指す。「低侵襲手技」という用語は、皮膚を通して、または体腔もしくは身体構造上の開口を通して対象の体に進入することによって行われるが、可能な限り最も小さな損傷(例えば、小さな切開、注射)を伴う手技を指す。一部の実施形態では、注射用組成物は、注射によって組織中に投与または送達することができる。一部の実施形態では、注射用組成物は、皮膚上の小さな切開、それに続く、針、カニューレ、および/またはチュービング、例えば、カテーテルの挿入によって組織中に送達することができる。これらに限定するものではないが、注射用組成物は、手術、例えば、インプラント処置によって組織中に投与または配置することができる。いくつかの例示的な注射用組成物には、これらに限定されないが、溶液、ヒドロゲル、ゲル様粒子、および/またはマイクロ球体が含まれる。
明白にするために、「注射用製剤」および「注射用剤」におけるような「注射用」という用語は、針または任意の他の適切な手段を通過する溶液の十分な流れが存在し、かつこのような流れが使用者によって適度に容易に生じるような、注射による投与に適した溶液(例えば、製剤)の物理的性質を指す。シリンジは、対象に注射薬を送達するために一般に用いられる。一部の実施形態では、注射用製剤は、予め充填されたシリンジとして提供することができる。一部の実施形態では、注射用製剤は、使用準備済の製剤として提供することができる。一部の実施形態では、注射用製剤は、キットとして提供することができる。
一部の実施形態では、提供される組成物、例えば、注射用組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。例えば、一部の実施形態では、注射に適した組成物は、無菌水溶液または分散液を含む。担体は、例えば、水、細胞培養培地、緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、適切なこれらの混合物を含有する溶媒または分散媒質でよい。一部の実施形態では、医薬担体は、緩衝化溶液(例えば、PBS)でよい。
代わりにまたはさらに、抗微生物保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝液を含めた、注射用組成物の安定性、無菌性、および等張性を増強する様々な添加物を加えることができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましくてもよい。注射用組成物はまた、所望の調製によって、補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化または粘度増強添加物、保存剤、顔色などを含有することができる。
提供される液体組成物(例えば、注射用組成物)の粘度は、分子量の部分範囲(i)〜(xviii)を有する絹フィブロイン断片の重量パーセントを調節することによってモジュレートすることができる。一部の実施形態では、組成物の粘度は、薬学的に許容される増粘剤を使用して選択したレベルでさらに維持することができる。一実施形態では、メチルセルロースは容易におよび経済的に利用可能であり、扱うことが容易であるため、メチルセルロースを使用することができる。他の適切な増粘剤には、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが含まれる。濃厚剤の好ましい濃度は、選択した作用物質、および注射のための所望の粘度によって決まり得る。重要なポイントは、例えば、注射用組成物の一部の実施形態中へのこのような増粘剤の添加によって選択した粘度を達成する量を使用することである。
一部の実施形態では、提供される絹フィブロイン組成物は、噴霧可能な組成物の形態である。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている提供される絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹組成物)は、エーロゲルまたはエーロゲル様材料の形態でよい。例えば、絹フィブロインを含むエーロゲルまたはエーロゲル様材料を形成する方法は、その全内容が参照により本明細書中に組み込まれている「PEPTIDE-BASED NANOFIBRILLAR MATERIALS」という名称の、2013年11月8日に出願された米国特許仮出願第US61/902,145号に記載されている。
理論に束縛されるものではないが、絹をベースとする材料(本明細書に記載のような活性作用物質または生体試料を含有するものを含めた)の性質(例えば、これに限定されないが、溶解性)は、絹をベースとする材料中の絹フィブロイン断片の分子量を変化させることによって変化させることができる。一部の実施形態では、異なる分子量の絹フィブロインを、繭を精練するための異なる期間を使用して生成して、精練されたフィブロインを提供することができる。したがって、低分子量絹フィブロイン組成物を生成する一部の実施形態では、繭を、約1分〜2時間、約5分〜約2時間、約10分〜約60分、約60分〜4時間、約60分〜3時間、約60分〜2時間、約60分〜90分、または約4時間もしくはそれ超の期間煮沸する(例えば、塩溶液、例えば、NaCO中)。一部の実施形態では、繭は、約10分間、約20分間、約30分間、約45分間、約60分間、約90分間、約100分間またはそれ超、煮沸することができる(例えば、塩溶液、例えば、NaCO中)。精練時間を調節することによって、絹をベースとする材料(例えば、水溶液中)の溶解性は、低分子量絹フィブロイン組成物中に存在する作用物質の抽出または回収のために最適化することができる。理論に束縛されるものではないが、より長い煮沸時間では一般に、より低い分子量(MW)/鎖長の絹フィブロインが生じ、このようにより低いMWの絹フィブロインから生成された絹をベースとする材料は一般に、より高いMWの絹フィブロインから生成されるものより可溶(例えば、水溶液中)であり得る。
一部の実施形態では、溶解可能な絹をベースとする材料は、絹溶液から生成することができ、繭は、より低いMWの絹フィブロインを生じさせるのに十分な期間、例えば、少なくとも約30分間、少なくとも約60分間、または少なくとも約90分間もしくはそれ超、煮沸または精練されている。一部の実施形態では、溶解可能な絹をベースとする材料は、絹溶液から生成された凍結乾燥した絹をベースとする材料であり、繭は、少なくとも約30分間、少なくとも約60分間、または少なくとも約90分間もしくはそれ超、煮沸または精練されている。一部の実施形態では、溶解可能な絹をベースとする材料は、絹溶液から生成された絹をベースとするフィルムであり、繭は、少なくとも約30分間、少なくとも約60分間、または少なくとも約90分間もしくはそれ超、煮沸または精練されている。絹をベースとする材料は、例えば、エレクトロスピニング、ゲル化または当技術分野において公知の他の急速凝固技術によって生成された、本明細書に記載のような任意の他の形態でよい。
本明細書に記載されている絹をベースとする材料の溶解性を変化させる他の方法をまた、単独でまたは精練時間の調節と組み合わせて用いることができる。例えば、絹をベースとする材料の溶解性は、例えば、強制空気、湿度の減少(周囲湿度より低い)、および/または温度の上昇などによる、絹をベースとする材料の乾燥の速度を加速する手段によって改善することができる。加えてまたは代わりに、絹をベースとする材料の溶解性は、絹をベースとする材料を凍結乾燥条件に曝露させ、かつ/または絹フィブロインにおける結晶化度を誘導することができる条件に曝露させる時間を減少させることによって改善することができる。一部の実施形態では、絹をベースとする材料の溶解性は、例えば、酵素消化、濾過、クロマトグラフィーなどを介した精製の間に、絹の高分子量画分(例えば、重鎖および/または長い疎水性配列)を選択的に除去することによって改善させることができる。一部の実施形態では、絹をベースとする材料の溶解性は、例えば、オートクレーブ処理および除菌濾過を含めた無菌化の手段によって改善することができ、これは分子量を減少させ、かつ/または不溶性微粒子を除去し続ける役目を果たすことができる。
様々な実施形態では、本明細書に記載のような絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物中および/または安定化組成物中)の少なくとも一部分は、異なる使用、例えば、生物医学的用途、および/または異なる所望の機械的もしくは化学的性質のために修飾することができる。当業者は、例えば、絹フィブロインの側基、絹フィブロインの所望の反応性および/または絹フィブロイン上の所望の電荷密度によって、絹フィブロインを修飾する適当な方法を選択することができる。
例えば、組織工学または薬物送達目的のためにin vivoでインプラントされたとき、絹フィブロイン組成物中に分布した活性作用物質の安定性を維持するために、絹フィブロインの少なくとも一部分は遺伝子修飾することができ、これによって、絹のさらなる修飾、例えば、繊維性タンパク質ドメインおよびミネラル化ドメインを含む融合ポリペプチドが含まれることが実現され、これを使用して有機−無機複合体を形成することができる。例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているWO2006/076711を参照されたい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、例えば、ジアゾニウムまたはカルボジイミドカップリング反応、アビジン−ビオチン相互作用、または遺伝子修飾などによって化学修飾することができ、絹タンパク質の物理的性質および官能性が変化する。化学修飾された絹フィブロインおよびこれらの調製の方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているPCT出願公開第WO2011/011347号および同第WO2010/057142号;ならびに米国特許出願第12/192,588号に記載されている。
一実施形態では、絹フィブロインの修飾は、アミノ酸側鎖化学作用、例えば、共有結合による化学修飾、または電荷−電荷相互作用による修飾を使用することができる。例示的な化学修飾方法には、これらに限定されないが、カルボジイミドカップリング反応(例えば、米国特許出願第US2007/0212730号を参照されたい)、ジアゾニウムカップリング反応(例えば、米国特許出願第US2009/0232963号を参照されたい)、アビジン−ビオチン相互作用(例えば、国際出願第WO2011/011347号を参照されたい)、およびPEGポリマーの化学的活性または活性化誘導体によるペグ化(例えば、国際出願第WO2010/057142号を参照されたい)が含まれる。絹フィブロインはまた、絹タンパク質の官能性を変化させる遺伝子修飾によって修飾することができる(例えば、国際出願第WO2011/006133号を参照されたい)。例えば、絹フィブロインは、遺伝子修飾することができ、これによって、絹のさらなる修飾、例えば、繊維性タンパク質ドメインおよびミネラル化ドメインを含む融合ポリペプチドが含まれることを実現することができ、これを使用して有機−無機複合体を形成することができる。WO2006/076711を参照されたい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、タンパク質、例えば、治療用タンパク質と融合するように遺伝子修飾することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物中の絹フィブロインの少なくとも一部分は、正に帯電している/負に帯電している分子によって誘導体化または修飾することができる。一部の実施形態では、絹フィブロインは、正に帯電している/負に帯電しているペプチドまたはポリペプチド、例えば、ポリ−リシンおよびポリ−グルタミン酸で修飾することができる。組成物中の単一の全ての絹フィブロイン分子が、正に帯電している/負に帯電している分子で修飾されることは、可能である一方で、必要とされない。荷電分子で絹フィブロインを誘導体化または修飾する方法は、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているPCT出願公開第WO2011109691A2号に記載されている。
修飾された絹フィブロインと修飾されていない絹フィブロインの比を調整して、低分子量絹フィブロイン組成物またはそこから形成した物品の1種または複数の所望の性質を最適化することができる。したがって、一部の実施形態では、組成物中の修飾された絹フィブロインと修飾されていない絹フィブロインの比は、約1000:1(w/w)〜約1:1000(w/w)、約500:1(w/w)〜約1:500(w/w)、約250:1(w/w)〜約1:250(w/w)、約200:1(w/w)〜約1:200(w/w)、約25:1(w/w)〜約1:25(w/w)、約20:1(w/w)〜約1:20(w/w)、約10:1(w/w)〜約1:10(w/w)、または約5:1(w/w)〜約1:5(w/w)の範囲でよい。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、 少なくとも1000:1、少なくとも900:1、少なくとも800:1、少なくとも700:1、少なくとも600:1、少なくとも500:1、少なくとも400:1、少なくとも300:1、少なくとも200:1、少なくとも100:1、少なくとも90:1、少なくとも80:1、少なくとも70:1、少なくとも60:1、少なくとも50:1、少なくとも40:1、少なくとも30:1、少なくとも20:1、少なくとも10:1、少なくとも7:1、少なくとも5:1、少なくとも3:1、少なくとも1:1、少なくとも1:3、少なくとも1:5、少なくとも1:7、少なくとも1:10、少なくとも1:20、少なくとも1:30、少なくとも1:40、少なくとも1:50、少なくとも1:60、少なくとも1:70、少なくとも1:80、少なくとも1:90、少なくとも1:100、少なくとも1:200、少なくとも1:300、少なくとも1:400、少なくとも1:500、少なくとも600、少なくとも1:700、少なくとも1:800、少なくとも1:900、または少なくとも1:100の修飾された絹フィブロインと修飾されていない絹フィブロインのモル比を含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、多くとも1000:1、多くとも900:1、多くとも800:1、多くとも700:1、多くとも600:1、多くとも500:1、多くとも400:1、多くとも300:1、多くとも200:1、100:1、多くとも90:1、多くとも80:1、多くとも70:1、多くとも60:1、多くとも50:1、多くとも40:1、多くとも30:1、多くとも20:1、多くとも10:1、多くとも7:1、多くとも5:1、多くとも3:1、多くとも1:1、多くとも1:3、多くとも1:5、多くとも1:7、多くとも1:10、多くとも1:20、多くとも1:30、多くとも1:40、多くとも1:50、多くとも1:60、多くとも1:70、多くとも1:80、多くとも1:90、多くとも1:100、多くとも1:200、多くとも1:300、多くとも1:400、多くとも1:500、多くとも1:600、多くとも1:700、多くとも1:800、多くとも1:900、または多くとも1:1000の修飾された絹フィブロインと修飾されていない絹フィブロインのモル比を含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、約1000:1〜約1:1000、約900:1〜約1:900、約800:1〜約1:800、約700:1〜約1:700、約600:1〜約1:600、約500:1〜約1:500、約400:1〜約1:400、約300:1〜約1:300、約200:1〜約1:200、約100:1〜約1:100、約90:1〜約1:90、約80:1〜約1:80、約70:1〜約1:70、約60:1〜約1:60、約50:1〜約1:50、約40:1〜約1:40、約30:1〜約1:30、約20:1〜約1:20、約10:1〜約1:10、約7:1〜約1:7、約5:1〜約1:5、約3:1〜約1:3、または約1:1の修飾された絹フィブロインと修飾されていない絹フィブロインのモル比を含む。
一部の実施形態では、絹フィブロインは、その天然セリシン含量が実質的に枯渇している(例えば、最終の抽出された絹において5%(w/w)またはそれ未満の残留するセリシン)。代わりに、より高い濃度の残留するセリシンが、抽出に続いて絹上に残ることができ、または抽出ステップを省略することができる。一部の実施形態では、セリシンが枯渇した絹フィブロインは、例えば、約1%(w/w)の残留するセリシン、約2%(w/w)の残留するセリシン、約3%(w/w)の残留するセリシン、約4%(w/w)、または約5%(w/w)の残留するセリシンを有する。一部の実施形態では、セリシンが枯渇した絹フィブロインは、例えば、多くとも1%(w/w)の残留するセリシン、多くとも2%(w/w)の残留するセリシン、多くとも3%(w/w)の残留するセリシン、多くとも4%(w/w)、または多くとも5%(w/w)の残留するセリシンを有する。いくつかの他の実施形態では、セリシンが枯渇した絹フィブロインは、例えば、約1%(w/w)〜約2%(w/w)の残留するセリシン、約1%(w/w)〜約3%(w/w)の残留するセリシン、約1%(w/w)〜約4%(w/w)、または約1%(w/w)〜約5%(w/w)の残留するセリシンを有する。一部の実施形態では、絹フィブロインは、その天然セリシン含量が完全に非含有である。本明細書において使用する場合、「完全に非含有」という用語(すなわち、「からなる」用語法)は、使用されている機器またはプロセスの検出範囲内で、物質を検出することができず、またはその存在を確認することができないことを意味する。一部の実施形態では、絹フィブロインは、その天然セリシン含量が本質的に非含有である。本明細書において使用する場合、「本質的に非含有」(または「から本質的になる」)という用語は、極微量のみの物質を検出することができ、検出未満である量で存在し、または存在しないことを意味する。
理論に束縛されるものではないが、提供される絹フィブロイン組成物の性質は、絹セリシンの調節された部分的除去、またはセリシンによるソース絹の慎重な高濃度化によって修飾することができる。これは、絹精練プロセスのための条件、例えば、時間、温度、濃度などを変化させることによって達成することができる。
精練された絹は、当業者には公知の任意の従来の方法によって調製することができる。例えば、B.mori繭は、所定の時間に亘って水溶液中で煮沸される。一般に、より長い精練時間は、低分子絹フィブロインを生じさせる。一部の実施形態では、絹の繭は、少なくとも60分間、少なくとも70分間、少なくとも80分間、少なくとも90分間、少なくとも100分間、少なくとも110分間、少なくとも120分間、またはそれ超煮沸され、低分子量絹フィブロイン断片が生じる。さらにまたは代わりに、一部の実施形態では、絹の繭は、温度を上げた状態で加熱または煮沸することができる。例えば、一部の実施形態では、絹の繭は、約101.0℃、約101.5℃、約102.0℃、約102.5℃、約103.0℃、約103.5℃、約104.0℃、約104.5℃、約105.0℃、約105.5℃、約106.0℃、約106.5℃、約107.0℃、約107.5℃、約108.0℃、約108.5℃、約109.0℃、約109.5℃、約110.0℃、約110.5℃、約111.0℃、約111.5℃、約112.0℃、約112.5℃、約113.0℃、113.5℃、約114.0℃、約114.5℃、約115.0℃、約115.5℃、約116.0℃、約116.5℃、約117.0℃、約117.5℃、約118.0℃、約118.5℃、約119.0℃、約119.5℃、約120.0℃またはそれ超で加熱または煮沸することができる。一部の実施形態では、このような高温は、加熱プロセス(例えば、煮沸プロセス)の少なくとも一部分を加圧下で行うことによって達成することができる。例えば、本明細書に記載されている絹フィブロイン断片を生成することができる適切な圧力は典型的には、約10〜40psi、例えば、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約15psi、約16psi、約17psi、約18psi、約19psi、約20psi、約21psi、約22psi、約23psi、約24psi、約25psi、約26psi、約27psi、約28psi、約29psi、約30psi、約31psi、約32psi、約33psi、約34psi、約35psi、約36psi、約37psi、約38psi、約39psiまたは約40psiの間である。
一実施形態では、絹の繭を精練するプロセスにおいて使用される水溶液は、約0.02MのNaCOである。繭を、例えば、水ですすいで、セリシンタンパク質を抽出する。精練された絹を乾燥し、絹粉末を調製するために使用することができる。代わりに、抽出された絹は塩水溶液に溶解することができる。この目的に有用な塩は、臭化リチウム、チオシアン酸リチウム、硝酸カルシウム、または絹を可溶化することができる他の化学物質を含む。一部の実施形態では、抽出された絹は、約8M〜12MのLiBr溶液に溶解することができる。塩は、例えば、透析を使用して結果的に除去される。
必要に応じて、溶液は次いで、例えば、吸湿性ポリマー、例えば、PEG、ポリエチレンオキシド、アミロースまたはセリシンに対する透析を使用して濃縮することができる。一部の実施形態では、PEGは、8,000〜10,000g/molの分子量のものであり、約10%〜約50%(w/v)の濃度を有する。slide−a−lyzer透析カセット(Pierce、MW CO3500)を使用することができる。しかし、任意の透析システムを使用することができる。約10%〜約30%の間の絹水溶液の最終濃度をもたらすのに十分な期間透析を行うことができる。殆どの場合、2〜12時間の透析で十分であり得る。例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている国際特許出願公開第WO2005/012606号を参照されたい。
濃縮された絹溶液を生じさせる別の方法は、(例えば、蒸発または凍結乾燥によって)希薄絹溶液を乾燥させることを含む。希薄溶液を部分的に乾燥させ、容量を低減させ、それによって絹濃度を増加させることができる。希薄溶液を完全に乾燥させ、次いで、乾燥させた絹フィブロインを希薄絹溶液の容量と比較してより小さな容量の溶媒に溶解させることができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、適切な時点において、任意選択で濾過および/または遠心分離することができる。例えば、一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、加熱または煮沸ステップに続いて、任意選択で濾過および/または遠心分離することができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、透析ステップに続いて、任意選択で濾過および/または遠心分離することができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、濃度を調整するステップに続いて、任意選択で濾過および/または遠心分離することができる。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、再構成のステップに続いて、任意選択で濾過および/または遠心分離することができる。このような実施形態のいずれかにおいて、濾過および/または遠心分離ステップ(複数可)を行って、不溶性材料を除去することができる。このような実施形態のいずれかにおいて、濾過および/または遠心分離ステップ(複数可)を行って、ある特定の分子量(複数可)の絹フィブロイン断片を選択的に高濃度化することができる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、有機溶媒を使用して生成することができる。このような方法は、例えば、全てのそれらの内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているLi, M.ら、J. Appl. Poly Sci.、2001年、79巻、2192〜2199頁;Min, S.ら、Sen’I Gakkaishi、1997年、54巻、85〜92頁;Nazarov, R.ら、Biomacromolecules、2004年、5巻、718〜26頁に記載されている。絹溶液を生成するために使用することができる例示的な有機溶媒には、これに限定されないが、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)が含まれる。例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている国際出願第WO2004/000915号を参照されたい。一部の実施形態では、絹溶液は、有機溶媒が完全に非含有または本質的に非含有である。一部の実施形態では、絹溶液は、水以外の溶媒が実質的に非含有である。
本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物は、組成物の総容量/重量に対して任意の量/比の絹フィブロインを含むことができる。理論に束縛されるものではないが、絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物および/または安定化組成物)自体を作製するために使用される溶液中の絹フィブロインの量自体を変化させて、絹フィブロイン組成物の性質を変化させることができる。一般に、任意の量の絹フィブロインは、絹フィブロイン組成物を作製するために使用される溶液中に存在することができる。例えば、溶液中の絹フィブロインの量は、約0.1%(w/v)〜約90%(w/v)でよい。一部の実施形態では、溶液中の絹フィブロインの量は、約1%(w/v)〜約75%(w/v)、約1%(w/v)〜約70%(w/v)、約1%(w/v)〜約65%(w/v)、約1%(w/v)〜約60%(w/v)、約1%(w/v)〜約55%(w/v)、約1%(w/v)〜約50%(w/v)、約1%(w/v)〜約35%(w/v)、約1%(w/v)〜約30%(w/v)、約1%(w/v)〜約25%(w/v)、約1%(w/v)〜約20%(w/v)、約1%(w/v)〜約15%(w/v)、約1%(w/v)〜約10%(w/v)、約5%(w/v)〜約25%(w/v)、約5%(w/v)〜約20%(w/v)、約5%(w/v)〜約15%(w/v)でよい。一部の実施形態では、溶液中の絹フィブロインは、約25%(w/v)である。一部の実施形態では、溶液中の絹フィブロインは、約0.5(w/v)〜約30%(w/v)、約4%(w/v)〜約16%(w/v)、約4%(w/v)〜約14%(w/v)、約4%(w/v)〜約12%(w/v)、約4%(w/v)〜約0%(w/v)、約6%(w/v)〜約8%(w/v)である。絹溶液中の絹の正確な量は、公知の量の絹溶液を乾燥させ、残留物の質量を測定し、溶液濃度を計算することによって決定することができる。
提供される組成物または物品(例えば、低分子量絹組成物および/または安定化組成物)中の絹フィブロインの量は、約1%(w/v)〜約90%(w/v)でよい。一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物中の絹フィブロインの量は、約0.1%(w/v)〜約75%(w/v)、約1%(w/v)〜約70%(w/v)、約1%(w/v)〜約65%(w/v)、約1%(w/v)〜約60%(w/v)、約1%(w/v)〜約55%(w/v)、約1%(w/v)〜約50%(w/v)、約1%(w/v)〜約45%(w/v)、約1%(w/v)〜約40%(w/v)、約1%(w/v)〜約35%(w/v)、約1%(w/v)〜約30%(w/v)、約1%(w/v)〜約25%(w/v)、約1%(w/v)〜約20%(w/v)、約1%(w/v)〜約15%(w/v)、約1%(w/v)〜約10%(w/v)、約5%(w/v)〜約25%(w/v)、約5%(w/v)〜約20%(w/v)、約5%(w/v)〜約15%(w/v)でよい。一部の実施形態では、低分子量絹フィブロイン組成物中の絹フィブロインは、約25%(w/v)である。一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物中の絹は、約0.5(w/v)〜約30%(w/v)、約2%(w/v)〜約8%(w/v)、約2%(w/v)〜約7%(w/v)、約2%(w/v)〜約6%(w/v)、約2%(w/v)〜約5%(w/v)、約3%(w/v)〜約4%(w/v)である。
一部の実施形態では、溶液は、約0.25%〜約50%(w/v)または約0.5%〜約15%(w/v)、または約0.5%〜約10%(w/v)の絹フィブロイン濃度を有する。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、約10%〜約40%または15%〜約35%(w/v)の絹フィブロイン濃度を有する。一実施形態では、絹フィブロイン溶液は、約20%〜約30%(w/v)の絹フィブロイン濃度を有する。一実施形態では、絹フィブロイン溶液は、約30%(w/v)の絹フィブロイン濃度を有する。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、約0.1%〜約30%(w/v)、約0.5%〜約15%(w/v)、約1%〜約8%(w/v)、または約1.5%〜約5%(w/v)の絹フィブロイン濃度を有する。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、約5%〜約30%(w/v)、約10%〜約25%(w/v)、または約15〜約20%(w/v)の絹フィブロイン濃度を有する。一部の実施形態では、絹溶液は、約0.5%〜10%(w/v)の絹フィブロイン濃度を有する。
一部の実施形態における用途によって、提供される組成物中の絹フィブロインにおいて高次構造変化を誘導して、絹フィブロイン組成物/物品の溶解性を調節することができる。一部の実施形態では、高次構造変化によって、絹フィブロインを少なくとも部分的に不溶性に誘導することができる。理論に束縛されるものではないが、誘導された高次構造変化は、絹フィブロインの結晶化度、例えば、絹IIベータシート結晶化度を変化させる。高次構造変化は、これらに限定されないが、アルコール浸漬(例えば、エタノール、メタノール)、水アニーリング、剪断応力、超音波(例えば、超音波処理による)、pH低減(例えば、pH滴定および/または電界への曝露)および任意のこれらの組合せを含めた当技術分野において公知の任意の方法によって誘導することができる。例えば、高次構造変化は、これらに限定されないが、調節されたゆっくりした乾燥(Luら、Biomacromolecules、2009年、10巻、1032頁);水アニーリング(Jinら、15Adv. Funct. Mats.、2005年、15巻、1241頁;Huら、Biomacromolecules、2011年、12巻、1686頁);ストレッチング(DemuraおよびAsakura、Biotech & Bioengin.、1989年、33巻、598頁);圧縮;メタノール(Hofmannら、J Control Release.、2006年、111巻、219頁)、エタノール(Miyairiら、J. Fermen. Tech.、1978年、56巻、303頁)、グルタルアルデヒド(Acharyaら、Biotechnol J.、2008年、3巻、226頁)、および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Bayraktarら、Eur J Pharm Biopharm.、2005年、60巻、373頁)を含めた溶媒浸漬;pH調整、例えば、pH滴定および/または電界への曝露(例えば、米国特許出願第US2011/0171239号を参照されたい);熱処置;剪断応力(例えば、国際出願第WO2011/005381号を参照されたい)、超音波、例えば、超音波処理(例えば、米国特許出願公開第US2010/0178304号および国際出願第WO2008/150861号を参照されたい);ならびに任意のこれらの組合せを含めた1つまたは複数の方法によって誘導することができる。上に列挙した参照文献の全ての内容は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている。
一部の実施形態では、材料は、アニーリングによって処置することができる。本明細書において使用する場合、アニーリングのプロセスは、絹フィブロインにおいてベータシート二次構造の形成を誘導することが関与する。これは、絹フィブロインの非共有結合性相互作用の増加によるものであり得る。このような非共有結合性相互作用は、分子内相互作用、分子間相互作用、または両方を含むことができる。典型的には、非共有結合性相互作用は水素結合によって媒介され、これはベータシート形成の増加をもたらす。ベータシート二次構造のある特定の臨界レベルに達することによって、絹フィブロインは、例えば、水性環境中で不溶性となる。この現象は一般に結晶化度と称され、このような絹フィブロインの状態は、絹IIと称される。このように、絹フィブロインが結晶化し、したがって不溶性であるように、「アニーリング」は、ベータシートが優勢の(絹II)高次構造への絹フィブロインの高次構造の変化が関与する。理論に束縛されるものではないが、この高次構造変化は、水素結合および/または疎水的相互作用が媒介する、より高いベータシート含量への絹フィブロインの構造的シフトによるものであると考えられる。
一部の実施形態では、絹フィブロインの高次構造は、水アニーリングによって変化させることができる。水アニーリングのためにいくつかの異なる方法が存在する。水アニーリングの1つの方法は、凝固してはいるが可溶性の絹フィブロインの形態を水蒸気で処置することが関与する。理論に束縛されるものではないが、水分子は可塑剤として作用し、これはフィブロイン分子の鎖移動度が水素結合の形成を促進することを可能とし、ベータシート二次構造の増加がもたらされると考えられる。このプロセスはまた、本明細書において「水蒸気アニーリング」と称される。
理論に束縛されるものではないが、物理的温度調節された水蒸気アニーリング(TCWVA)は、絹生体適合材料の分子構造の精巧な調節を得る単純および有効な方法を実現すると考えられる。4℃での条件を使用した低いベータシート含量(αヘリックスが優勢の絹I構造)から、100℃での約60%結晶化度のより高いベータシート含量(βシートが優勢の絹II構造)まで、絹材料は結晶化度の調節によって調製することができる。この物理的アプローチは、絹材料の製作の間の結晶化を支配すると従前報告された一連の構造をカバーするが、それにもかかわらず、再現性の厳格な管理を伴うアプローチであるより単純な環境に優しい化学を実現する。水または水蒸気アニーリングは、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている2004年4月12日に出願されたPCT出願第PCT/US2004/011199号、および2005年6月13日に出願された同第PCT/US2005/020844号;ならびにJinら、Adv.Funct.Mats.、2005年、15巻:1241頁およびHuら、Biomacromolecules、2011年、12巻(5号):1686〜1696頁に記載されている。
アニーリングの別の方法は、絹材料/マトリックス中の絹フィブロインからの遅い調節された水の蒸発による。遅い調節された乾燥は、例えば、Luら、Acta. Biomater.、2010年、6巻(4号):1380〜1387頁に記載されている。
アニーリングステップは、水蒸気環境内で、例えば、水蒸気で充填されたチャンバー中で異なる期間行うことができる。理論に束縛されるものではないが、アニーリングの長さは、絹をベースとする材料内の絹フィブロイン中で得られるベータシート結晶化度の量を生じさせる。したがって、典型的なアニーリング期間は、数秒から数日の範囲でよい。一部の実施形態では、アニーリングは、数秒から数時間の期間である。例えば、アニーリング時間は、数秒(例えば、約5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、または60秒)から約2時間、6時間、12時間、24時間、36時間、または48時間の範囲でよい。
アニーリングプロセスにおいて使用される水蒸気の温度は、得られるベータシート結晶化度の量をもたらす。HUら、Biomacromolecules、12巻:1686〜1696頁を参照されたい。したがって、アニーリングは、任意の所望の温度で行うことができる。例えば、アニーリングは、約4℃〜約120℃の水蒸気温度で行うことができる。絹をベースとする材料内の絹フィブロインにおいて必要とされる量のベータシート結晶化度を得るための最適な水蒸気は、等式(I)に基づいて計算することができる。
C=a(1−exp(−kT))(I)
式中、Cは、ベータシート結晶化度であり、aは、62.59であり、kは、0.028であり、Tは、アニーリング温度である。Huら、Biomacromolecules、12巻:1686〜1696頁を参照されたい。
理論に束縛されるものではないが、アニーリングが行われる圧力はまた、ベータシート結晶化度の程度または量に影響することができる。一部の実施形態では、接触は、真空環境において行うことができる。
アニーリングが行われる相対湿度はまた、ベータシート結晶化度の程度または量に影響することができる。絹をベースとする材料が水または水蒸気と接触する相対湿度は、約5%〜100%の範囲でよい。例えば、相対湿度は、約5%〜約95%、約10%〜約90%、または約15%〜約85%でよい。一部の実施形態では、相対湿度は、90%またはそれ超である。
絹フィブロインをアニーリングするための別の有用な方法は、絹をベースとする材料を、有機溶媒、例えば、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピル、アセトンなどの使用による脱水に供することである。このような溶媒は、絹フィブロインを脱水する効果を有し、これは絹フィブロイン分子の「パッキング」を促進して、ベータシート構造を形成する。一部の実施形態では、絹をベースとする材料は、アルコール、例えば、メタノール、エタノールなどで処置することができる。アルコール濃度は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%でよい。一部の実施形態では、アルコール濃度は、約90%である。
このように、一部の実施形態では、絹フィブロインの高次構造における変化は、アルコール、例えば、メタノール、エタノールなどへの浸漬によって誘導されることができる。アルコール濃度は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%でよい。一部の実施形態では、アルコール濃度は、100%である。高次構造の変化が溶媒への浸漬による場合、絹組成物は例えば、溶媒/水の勾配で洗浄し、浸漬のために使用される残留溶媒の一部を除去することができる。洗浄は、1回、例えば、1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ超の回数繰り返すことができる。
代わりに、絹フィブロインの高次構造における変化は、剪断応力によって誘導し得る。剪断応力は、例えば、絹組成物を針に通すことによって加えることができる。高次構造変化を誘導する他の方法は、電界をかけること、圧力をかけること、または塩濃度を変化させることを含む。
高次構造変化を誘導するための処置時間は、所望の絹II(ベータシート結晶化度)含量を実現するのに任意の期間でよい。一部の実施形態では、処置時間は、約1時間〜約12時間、約1時間〜約6時間、約1時間〜約5時間、約1時間〜約4時間、または約1時間〜約3時間の範囲でよい。一部の実施形態では、焼結時間は、約2時間〜約4時間または2.5時間〜約3.5時間の範囲でよい。
高次構造変化の誘導が溶媒浸漬によるものであるとき、処置時間は、数分から数時間の範囲でよい。例えば、溶媒への浸漬は、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも3時間、少なくとも約6時間、少なくとも約18時間、少なくとも約12時間、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日、少なくとも約11日、少なくとも約12日、少なくとも約13日、または少なくとも約14日の期間でよい。一部の実施形態では、溶媒への浸漬は、約12時間〜約7日、約1日〜約6日、約2〜約5日、または約3〜約4日の期間でよい。
高次構造変化を誘導する処置の後、絹フィブロインは、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%ではあるが、100%(すなわち、全ての絹は、絹IIベータシート高次構造中に存在する)ではない絹IIベータシート結晶化度含量を含むことができる。一部の実施形態では、絹をベースとする材料中の絹フィブロインは、少なくとも10%、例えば、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、70%、85%、90%、95%またはそれ超ではあるが、100%ではない(すなわち、全ての絹フィブロインが、ベータシート高次構造にあるとは限らない)ベータシート結晶化度を含む。一部の実施形態では、絹は、完全に絹IIベータシート高次構造で存在し、すなわち、100%の絹IIベータシート結晶化度である。
用いるアニーリング方法にかかわらず、アニーリングプロセスの最終結果は、しばしば、アニーリングされた絹フィブロインが、不溶性となるように、高度の結晶化度を有することになる。一部の実施形態では、「高度の結晶化度」とは、約20%〜約70%、例えば、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%および約75%のベータシート含量を指す。
一部の実施形態では、アニーリングプロセスは、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%ではあるが、100%(すなわち、全ての絹は、絹IIベータシート高次構造中に存在する)ではない絹IIベータシート結晶化度含量を含む絹をベースとする材料を実現することができる。一部の実施形態では、絹をベースとする材料は、100%の絹IIベータシート結晶化度を有することができる。
一部の実施形態では、提供される絹フィブロイン組成物中の絹フィブロインは、βターンおよびβストランド領域を実質的に含むタンパク質構造を有する。理論に束縛されるものではないが、絹βシート含量は、組成物のゲル機能およびin vivoでの長寿命に影響することができる。非βシート含量を含む組成物(例えば、e−ゲル)をまた利用することができることを理解すべきである。これらの実施形態の態様では、提供される組成物中の絹フィブロインは、例えば、約5%のβターンおよびβストランド領域、約10%のβターンおよびβストランド領域、約20%のβターンおよびβストランド領域、約30%のβターンおよびβストランド領域、約40%のβターンおよびβストランド領域、約50%のβターンおよびβストランド領域、約60%のβターンおよびβストランド領域、約70%のβターンおよびβストランド領域、約80%のβターンおよびβストランド領域、約90%のβターンおよびβストランド領域、または約100%のβターンおよびβストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの実施形態の他の態様では、低分子量絹フィブロイン組成物中の絹フィブロインは、例えば、少なくとも10%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも20%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも30%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも40%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも50%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも60%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも70%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも80%のβターンおよびβストランド領域、少なくとも90%のβターンおよびβストランド領域、または少なくとも95%のβターンおよびβストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの実施形態のさらに他の態様では、低分子量絹フィブロイン組成物中の絹フィブロインは、例えば、約10%〜約30%のβターンおよびβストランド領域、約20%〜約40%のβターンおよびβストランド領域、約30%〜約50%のβターンおよびβストランド領域、約40%〜約60%のβターンおよびβストランド領域、約50%〜約70%のβターンおよびβストランド領域、約60%〜約80%のβターンおよびβストランド領域、約70%〜約90%のβターンおよびβストランド領域、約80%〜約100%のβターンおよびβストランド領域、約10%〜約40%のβターンおよびβストランド領域、約30%〜約60%のβターンおよびβストランド領域、約50%〜約80%のβターンおよびβストランド領域、約70%〜約100%のβターンおよびβストランド領域、約40%〜約80%のβターンおよびβストランド領域、約50%〜約90%のβターンおよびβストランド領域、約60%〜約100%のβターンおよびβストランド領域、または約50%〜約100%のβターンおよびβストランド領域を含むタンパク質構造を有する。一部の実施形態では、10%未満〜約55%の絹βシート含量を、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物において使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書において提供する絹フィブロイン組成物中の絹フィブロインは、αヘリックスおよびランダムコイル領域が実質的に非含有であるタンパク質構造を有する。これらの実施形態の態様では、絹フィブロインは、例えば、約5%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約20%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約25%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約30%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約35%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約40%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約45%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、または約50%のαヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの実施形態の他の態様では、絹フィブロインは、例えば、多くとも5%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも10%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも15%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも20%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも25%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも30%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも35%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも40%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、多くとも45%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、または多くとも50%のαヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの実施形態のさらに他の態様では、絹フィブロインは、例えば、約5%〜約10%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約15%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約20%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約25%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約30%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約40%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約50%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約20%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約30%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約25%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約30%のαヘリックスおよびランダムコイル領域、または約15%〜約35%のαヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている絹フィブロイン物品または製造品の少なくとも1つの性質をモジュレートするための方法を提供する。一般に、方法は、絹フィブロイン物品または製造品における低分子量絹中の様々な絹フィブロイン断片の重量比を変化させることを含む。一部の実施形態では、方法は、約3.5kDa〜約120kDaの間の第1の指定範囲内の分子量を有する絹フィブロイン断片と、約3.5kDa〜約120kDaの間の第2の指定範囲内の分子量を有する絹フィブロイン断片の重量比を変化させることを含み、第1および第2の指定範囲は重複しない。一部の実施形態では、方法は、200kDaを超える分子量を有する絹フィブロイン断片と、約3.5kDa〜約120kDaの間の指定範囲内の分子量を有する絹フィブロイン断片の重量比を変化させることを含む。
これらに制限されないが、本明細書に記載されている方法を使用してモジュレートすることができる性質は、物品中に存在する作用物質の放出速度、物品中に存在する作用物質の放出動態、再溶解性、分解、機械的性質、光学性質、多孔性、孔径、粘度、生体適合性、生体吸収性、物品の実効電荷、粒径、および任意のこれらの組合せからなる群から選択されることができる。
別の態様では、本開示は、絹粒子のサイズを調節する方法を提供する。方法は一般に、溶液中の低分子量絹の様々な絹フィブロイン断片の重量比を変化させて、溶液から絹粒子を形成することを含む。一部の実施形態では、方法は、約3.5kDa〜約120kDaの間の第1の指定範囲内の分子量を有する絹フィブロイン断片と、約3.5kDa〜約120kDaの間の第2の指定範囲内の分子量を有する絹フィブロイン断片の重量比を変化させることを含み、第1および第2の指定範囲は重複しない。一部の実施形態では、方法は、200kDaを超える分子量を有する絹フィブロイン断片と、約3.5kDa〜約120kDaの間の指定範囲内の分子量を有する絹フィブロイン断片の重量比を変化させることを含む。絹粒子を調製する方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている国際出願第WO2011/041395号;国際特許出願公開第WO2008/118133号;米国特許出願公開第US2010/0028451号;2012年10月26日に出願された米国特許仮出願第61/719,146号;およびWenkら、J Control Release、2008年;132巻:26〜34頁に記載されている。
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、低分子量絹フィブロインのアミノ酸配列が、完全長の絹フィブロインポリペプチドの100%未満を集合的に表すように、低分子量絹フィブロイン断片は、完全長の絹フィブロインポリペプチドの1つまたは複数の部分に由来することができる。例えば、1つまたは複数の組換え技術によって産生された絹フィブロインポリペプチドを使用して、本明細書に記載されている任意の態様の一部の実施形態を行うことができる。このような組換え絹フィブロインポリペプチドは、完全長のカウンターパートの断片(複数可)を含有することができる。一部の実施形態では、完全長のカウンターパートの断片(複数可)に対応する絹フィブロインポリペプチドは、導入遺伝子を担持するトランスジェニック生物から生成することができ、このような断片が生じる。
本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、低分子量絹フィブロイン断片は、絹フィブロインの天然(例えば、野性型)配列に対して1つまたは複数の変異および/または修飾を含むことができる。絹フィブロイン断片におけるこのような変異および/または修飾は、自発的に起こり、または設計することによって導入することができる。例えば、一部の実施形態では、絹フィブロイン断片におけるこのような変異および/または修飾は、組換え技術、化学修飾などを使用して導入することができる。
絹フィブロインは、ベータシート二次構造を採用することができるアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を有するポリペプチドの一例である。例えば、絹フィブロイン構造は一般に、アミノ酸の配列を含み、配列の1つまたは複数の部分は一般に、交互のグリシンおよびアラニン、またはアラニン単独によって特徴付けられる。理論に束縛されるものではないが、このような配置は、フィブロイン分子がベータシート高次構造に自己構成することを可能とする。したがって、さらに別の態様では、本明細書において提供されるのは、交互のグリシンおよびアラニン、またはアラニン単独によって特徴付けられるアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を有し、かつ約3.5kDa〜約120kDaまたは約5kDa〜約125kDaの範囲のある範囲の分子量を有する、ポリペプチド断片の集団を含む組成物である。一部の実施形態では、組成物は、集団中のポリペプチド断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中のポリペプチド断片の総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲が、約3.5kDa〜約120kDa、または約5kDa〜約125kDaであることによって特徴付けられる。
別の態様では、本明細書に記載されている組成物および/または方法における絹フィブロインは、ベータシート構造を含み、またはアミノ酸配列に基づいてこのような構造を形成する性向を有する他の非絹ポリペプチドで置き換えることができ、あるいはこのような他の非絹ポリペプチドと組み合わせて使用することができる。このように、本明細書において提供されるのはまた、ベータシート形成ポリペプチド断片の集団を含むポリペプチド組成物を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されているベータシート形成ポリペプチド断片の集団は、ある範囲の分子量を有することができ、集団中のベータシート形成ポリペプチド断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、集団中のベータシート形成ポリペプチド断片の総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、指定範囲が、約3.5kDa〜約120kDaまたは約5kDa〜約125kDaであることによって特徴付けられる。
本明細書において使用する場合、「ベータシート形成ポリペプチド」という用語は、ベータシート二次構造を採用するアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を有するポリペプチドを指す。一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、ベータシート構造またはアミノ酸配列に基づいてこのような構造を形成する性向を有することに基づいて選択することができる。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、両親媒性本質を有することができる(すなわち、親水性および疎水性部分の両方を有する)。両親媒性ポリペプチドは、単一の源(例えば、天然タンパク質)から得ることができ、単一のポリペプチド自体が天然で両親媒性であるように、ポリペプチド内で疎水性モジュールまたはストレッチ、および親水性モジュールまたはストレッチの両方を含有する。一部の実施形態では、疎水性モジュールまたはストレッチ、および親水性モジュールまたはストレッチは、一緒に融合またはカップリングして、両親媒性実体を形成することができる。このような「融合」または「キメラ」ポリペプチドは、組換え技術、化学カップリング、または両方を使用して生成することができる。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、下記のリスト、すなわち、フィブロイン、アクチン、コラーゲン、カテニン、キトサン、クローディン、コイリン、エラスチン、エラウニン、エクステンシン、フィブリリン、ラミン、ラミニン、ケラチン、チューブリン、ウイルス構造タンパク質、ゼインタンパク質(種子貯蔵タンパク質)および任意のこれらの組合せから選択されるポリペプチドのアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を含むことができる。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、自然源からの再生(例えば、精製)されたタンパク質、異種系において生成された組換えタンパク質、合成もしくは化学的に生成されたペプチド、またはこれらの組合せを含むことができる。
一部の実施形態では、ベータシート形成ポリペプチドは、天然または野性型カウンターパートと比較して1つまたは複数の配列バリエーションを伴い、または伴わずに、上に提供するリストのいずれか1つに対応するポリペプチドのアミノ酸配列の1つまたは複数の部分を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、このようなバリアントは、野性型配列と比較して、少なくとも85%の全体的な配列同一性、例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の全体的な配列同一性を示し得る。
ある特定の例示的な調製方法
理論に束縛されるものではないが、最終の望ましい形状への処理の前の熱または高圧による処置は、絹フィブロインを含む物品を形成することに関連するいくつかの問題を低減させ、または限定することができる。これによって、かなりの気泡、縮み、および変形を伴わずに一貫した幾可学的形状の物品を製造する能力を実現する。これは試験およびインプラント処置のための再現性のある一貫した試料をもたらす。さらに、物品は機械加工することができ、生物学的幾可学的形状の正確な複製、例えば、所望の構築物へと絹ブランクを機械加工するコンピュータ数値調節(CNC)ミルを可能とする。最終の所望の形状への絹フィブロイン物品の処理の前の熱または高圧での処置を含む方法は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている2013年4月5日に出願された米国特許仮出願第61/808,768号、2012年10月26日に出願された同第61/719,146号、2013年4月8日に出願された同第61/809,535号、および2013年9月24日に出願された同第61/881,653号に記載されている。
したがって、一態様では、本開示は、絹フィブロイン物品を調製する方法を提供する。一般に、方法は、高温および/または高圧下で絹フィブロイン組成物(例えば、低分子量絹フィブロイン組成物)をインキュベートすることを含む。組成物中の絹フィブロインは、少なくとも部分的に不溶性状態でよい。インキュベーション後、組成物は、所望の最終の形状に処理することができる。これらに限定されないが、製造品を調製するための絹フィブロイン組成物は、溶液、スラリー、懸濁液、コロイド、混合物、分散物、ペーストなどの形態でよい。
本明細書において使用する場合、「不溶性状態」という用語は、絹フィブロインに関して使用されたとき、実質的にアモルファスの主にベータシート高次構造の形成または状態を指す。「不溶性状態に形成される」という用語は、絹ポリマーへの絹モノマーの重合を反映することを意図しない。むしろ、水不溶性状態への可溶性絹フィブロインの変換を反映することを意図する。本明細書において使用する場合、絹フィブロインは、遠心分離によってペレット化されることができる場合、あるいは37℃もしくはそれ未満にて水に浸漬し、または水ですすぐことによって溶解することができない場合、「不溶性状態」である。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物は、有機溶媒を含むことができる。一実施形態では、有機溶媒は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)でよい。いくつかの他の実施形態では、絹フィブロイン組成物は、有機溶媒が非含有または本質的に非含有であり、すなわち、水以外の溶媒が非含有である。理論に束縛されるものではないが、絹フィブロイン組成物中の有機溶媒は、組成物のより一様な乾燥を実現し、最終の絹フィブロイン製造品におけるより均一な機械的および構造的性質をもたらす。さらに、有機溶媒を使用することはまた、最終の形状への処理のためのより良好な機械的および構造的性質を実現する。
一部の実施形態では、方法は、(i)絹フィブロイン組成物を提供するステップであって、絹フィブロインは、少なくとも部分的に不溶性状態である、ステップと、(ii)組成物を高温および/または高圧下でインキュベートするステップと、(iii)ステップ(ii)を任意選択で繰り返すステップと、(iv)組成物を所望の形状に処理するステップとを含む。本明細書において使用する場合、「インキュベートする」という用語は、組成物を高温および/または圧力に供することを意味する。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物は、モールド中にある。本明細書において使用する場合、「モールド」という用語は、絹フィブロイン組成物を整形、保持または支持することができる任意のモールド、容器または基材を包含することを意図する。このように、その最も単純な形態のモールドは、支持表面を単純に含むことができる。モールドは任意の所望の形状のものでよく、ポリマー(ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、金属(ステンレス鋼、チタン、コバルトクロムなど)、セラミクス(アルミナ、ジルコニアなど)、ガラスセラミック、およびガラス(ホウケイ酸ガラスなど)を含めた任意の適切な材料から製作することができる。一部の実施形態では、モールドは、単純な幾可学的形状のスキャフォールドを提供することができ、これは最終の所望の形状に処理することができ、すなわち、モールドを使用してブランクを提供することができ、これは最終の形状に処理することができる。
したがって、一部の実施形態では、方法は、(i)絹フィブロイン組成物を含むモールドを提供するステップであって、組成物中の絹フィブロインは、少なくとも部分的に不溶性状態である、ステップと、(ii)温度を上げた状態でまたは加圧下で組成物をインキュベートするステップと、(iii)ステップ(ii)を1回または複数回任意選択で繰り返すステップと、(iv)組成物を所望の形状に処理するステップとを含む。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物を含むモールドを提供するステップは、絹フィブロインを含む溶液をモールドに移し、絹フィブロインにおいて高次構造の変化を誘導することを含む。
本明細書において使用する場合、「高温」という用語は、室温より高い温度を意味する。一般に、高温は、約25℃超の温度である。例えば、高温は、約30℃もしくはそれ超、約35℃もしくはそれ超、約40℃もしくはそれ超、約45℃もしくはそれ超、約50℃もしくはそれ超、約55℃もしくはそれ超、約60℃もしくはそれ超、約65℃もしくはそれ超、約70℃もしくはそれ超、約75℃もしくはそれ超、約80℃もしくはそれ超、約85℃もしくはそれ超、約90℃もしくはそれ超、約95℃もしくはそれ超、約100℃もしくはそれ超、約105℃もしくはそれ超、約110℃もしくはそれ超、約115℃もしくはそれ超、約120℃もしくはそれ超、約125℃もしくはそれ超、約130℃もしくはそれ超、約135℃もしくはそれ超、約140℃もしくはそれ超、約145℃もしくはそれ超、または約150℃もしくはそれ超の温度でよい。一部の実施形態では、高温は、少なくとも約121℃である。
本明細書において使用する場合、「高圧」という用語は、約0.05バール、約0.1バール、約0.15バール、約0.2バール、約0.25バール、約0.3バール、約0.35バール、約0.4バール、約0.45バール、約0.5バール、約0.55バール、約0.6バール、約0.65バール、約0.7バール、約0.75バールまたはそれ超の圧力を意味する。例えば、高圧は、約1バール、1.25バール、1.5バール、1.75バール、2バール、2.25バール、2.5バール、2.75バール、3バール、3.25バール、3.5バール、3.75バール、4バール、4.25バール、4.5バール、4.75バール、5バール、5.25バール、5.5バール、5.75バール、6バール、7.25バール、7.5バール、7.75バール、8バール、8.25バール、8.5バール、8.75バール、9バール、9.25バール、9.5バール、9.75バール、10バール、またはそれ超でよい。一部の実施形態では、高圧は、約1バールまたはそれ超である。一部の実施形態では、前記インキュベーションは、真空下である。
一部の実施形態では、前記インキュベーションは、水蒸気の存在下である。
これらに限定されないが、インキュベーションは、任意の所望の期間でよい。例えば、インキュベーションは、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約8分、約10分またはそれ超の期間でよい。一部の実施形態では、インキュベーションは、約10分〜約5時間、約15分〜約2.5時間、約20分〜約2時間、約25分〜約1.5時間の期間でよい。一部の実施形態では、前記インキュベーションは、約25分間である。
製造した物品のいくつかの性質(例えば、強度、分子量、分解プロファイル、膨潤性、密度、色など)は、インキュベーションステップを繰り返すことによって調節することができる。したがって、一部の実施形態では、インキュベーションステップは、1回、例えば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれ超の回数繰り返すことができる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物は、インキュベーションステップを繰り返す前に、任意選択で乾燥させることができる。これらに限定されないが、乾燥は、任意の所望の期間でよい。例えば、乾燥は、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分またはそれ超の期間でよい。一部の実施形態では、インキュベーションは、約5分〜約5時間、約10分〜約2.5時間、約15分〜約2時間、約20分〜約1.5時間の期間でよい。一部の実施形態では、前記乾燥は、約15分間である。さらに、前記乾燥は、室温または高温においてでよい。例えば、このような乾燥は、約4℃〜約100℃、約10℃〜約95℃、約15℃〜約90℃、約20℃〜約85℃、約25℃〜約80℃、約30℃〜約75℃、約35℃〜約60℃、または約45℃〜約65℃の温度でよい。
一部の実施形態では、前記インキュベーションは、オートクレーブ処理を含む。「オートクレーブ処理」とは、水蒸気(例えば、飽和蒸気)の存在下または非存在下での超大気圧での熱処置を意味する。この開示の目的のために、オートクレーブ処理という用語は、十分な圧力にて十分な期間、組成物温度を上昇させるプロセスを表す。一般に、オートクレーブ処理は、下記のパラメーター、すなわち、加圧下での15分またはそれ超の期間の120℃またはそれ超への加熱によって特徴付けられる標準化された熱的加熱手順に関する。オートクレーブ処理のための温度は、120〜150℃、より好ましくは120〜140℃の範囲でよく、圧力は、1〜20バール、より好ましくは1〜10バール、さらにより好ましくは1〜5バールの範囲でよい。必要とされる時間は、15〜120分、より好ましくは15〜60分の範囲でよい。一部の実施形態では、オートクレーブ処理は、1回、例えば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれ超の回数繰り返すことができる。
理論に束縛されるものではないが、オートクレーブ処理の間に蒸気、高熱、および/または圧力は、水を試料中に押し進めると考えられ、ここでは水は可塑剤として作用し、鎖の移動を可能とする。乾燥サイクルの間、移動性鎖は圧縮され、より密でより強い材料が生じる。時間および熱によって、タンパク質鎖は分解し得る。これは、いくつかの鎖のもつれを回避することによってより緊密なパッキングを可能とすることができる。このように、オートクレーブ処理プロセスのパラメーター、例えば、遅いまたは急速な通気、温度、圧力、および期間における変化は、生成される材料の機械的、物理的、または構造的性質に影響を与えることができる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物は、インキュベーションの後ではあるが、所望の形状または幾可学的形状への処理前に任意選択で乾燥させることができる。これらに限定されないが、所望の形状への処理の前の乾燥は、任意の所望の期間でよい。例えば、乾燥は、約数分から数日の期間でよい。一部の実施形態では、乾燥は、約少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、または少なくとも14日の期間でよい。一部の実施形態では、最終の形状への処理の前の前記乾燥は、約少なくとも7日である。さらに、前記乾燥は、室温または高温においてでよい。例えば、このような乾燥は、約4℃〜約100℃、約10℃〜約95℃、約15℃〜約90℃、約20℃〜約85℃、約25℃〜約80℃、約30℃〜約75℃、約35℃〜約60℃、または約45℃〜約65℃の温度でよい。一部の実施形態では、乾燥は、約60℃の温度である。
絹フィブロイン組成物を任意選択で乾燥させた後、組成物は、最終の所望の形状に処理することができる。本明細書において使用する場合、「処理すること」という用語は、所望の形状への処理に関して、製造した物品の最終の形状を実現するために使用される任意の方法またはプロセスを含むと理解すべきである。これらに限定されないが、このような処理には、これらに限定されないが、機械的および化学的手段を含むことができる。例えば、処理は、機械加工、旋削(旋盤)、転造、ネジ転造、ドリル加工、ミル粉砕、サンダー仕上げ、パンチング、ダイ打抜き、ブランキング、ブローチ削り、押出し、化学エッチング、および任意のこれらの組合せからなる群から選択されることができる。本明細書において使用する場合、「機械加工」という用語は、これらに限定されないが、CNC機械加工、切断、ミル粉砕、旋削、ドリル加工、形削り、平削り、ブローチ削り、のこ引き、バニシング、グラインディングなどを含めた全てのタイプの機械加工操作を含むと理解すべきである。処理方法の1つまたは複数は組み合わせて使用され、より複雑で入り組んだ幾可学的形状を得ることができる。「機械加工可能」という用語は、機械加工に容易に供することができる材料を意味する。
所望の形状に処理した後、製造した物品は、さらに後処理することができる。例えば、製造した物品は、温度を上げた状態でまたは加圧下でインキュベートすることができる。物品の後処理を使用して、製造した物品のいくつかの性質(例えば、強度、分子量、分解プロファイル、膨潤性、密度、色など)を調節することができる。一部の実施形態では、後処理は、その最終の形状で物品を1回、例えば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれ超の回数オートクレーブすることを含む。
本明細書の上において考察されているように、絹フィブロイン組成物は、インキュベーションステップの後に任意選択で乾燥させることができる。したがって、一部の実施形態では、方法は、(i)絹フィブロイン組成物を含むモールドを提供するステップであって、組成物中の絹フィブロインは、少なくとも部分的に不溶性状態である、ステップと、(ii)組成物を、温度を上げた状態でまたは加圧下でインキュベートするステップと、(iii)組成物を乾燥させるステップと、(iv)ステップ(ii)および(iii)を1回または複数回、任意選択で繰り返すステップと、(iv)組成物を所望の形状に処理するステップとを含む。
本開示はまた、本明細書において開示されている方法によって調製される絹フィブロイン物品を提供する。これらに限定されないが、物品は、医療用途、例えば、医療デバイスのために使用することができ、または物品は、非医療用途のためでもよい。本明細書において使用する場合、医療デバイスという用語は、哺乳動物の外部または内部処置に関連して使用されるものを含めた全てのタイプの医療デバイスを包含することを意図する。哺乳動物の外部処置において使用される医療デバイスには、これらに限定されないが、創傷被覆材、熱傷用包帯材または他の皮膚のカバリング、および手術用糸が含まれる。哺乳動物の内部処置において使用される医療デバイスには、これらに限定されないが、血管移植片、ステント、カテーテル、バルブ、人工関節、人工臓器、手術用糸などが含まれる。
例示的な医療デバイスには、これらに限定されないが、整形外科インプラント、顔面インプラント、鼻のインプラント(例えば、鼻の再構築のため)、縫合糸アンカー、歯のインプラント、Swansonプロテーゼ、および任意のこれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、製造品は、連続的な1相縫合糸アンカーである。
本明細書において使用する場合、「整形外科インプラント」という用語は、その範囲内で、これらの構造における疼痛の軽減を含めた、筋骨格系、特に、関節および骨の機能の保存および修復のための、脊椎動物、特に、哺乳動物、例えば、ヒトの体中にインプラントされることを意図する任意のデバイスを含む。例示的な整形外科インプラントには、これらに限定されないが、整形外科用スクリュー、整形外科用プレート、整形外科用ロッド、整形外科用チューリップ、または任意のこれらの組合せが含まれる。
一部の実施形態では、製造品は、タッピングスクリュー、例えば、セルフタッピングスクリューでよい。
一部の実施形態では、製造品は、縫合糸アンカーでよい。縫合糸アンカーは、アンカー、アイレット、および縫合糸からなる。アンカーを、スクリュー機序または締まりばめであり得る骨に挿入し、アイレットは、縫合糸が通過する、アンカーにおける穴またはループである。
一部の実施形態では、製造品は、歯のインプラントでよい。本明細書において使用する場合、「歯のインプラント」という用語は、その範囲内で、歯の修復手順において、脊椎動物、特に、哺乳動物、例えば、ヒトの口腔中にインプラントすることを意図する任意のデバイスを含む。歯のインプラントはまた、歯のプロテーゼデバイスとして示すことができる。一般に、歯のインプラントは、1つまたはいくつかのインプラントパーツからなる。例えば、歯のインプラントは通常、二次的インプラントパーツ、例えば、支台歯および/または歯の修復、例えば、クラウン、ブリッジまたは義歯にカップリングした歯フィクスチャーを含む。しかし、インプラント処置を意図した任意のデバイス、例えば、歯フィクスチャーは、たとえ他のパーツがそこに接続していても、単独でインプラントと称することができる。歯のインプラントは、現在好ましい実施形態である。
一部の実施形態では、歯のインプラントは、クラウンおよびスクリューインプラントからなる。インプラントは、クラウンの安定化のためのスクリュー機序を使用して骨中に挿入される。
一部の実施形態では、製造品は、骨スクリューおよび/または骨プレートでよい。骨スクリューは、関連する装置、例えば、骨プレートの挿入および安定化のために使用されるネジ山部分およびヘッドからなる。
一部の実施形態では、製造品は、Swansonプロテーゼでよい。Swanson指関節インプラントは、関節リウマチ、変形性関節症または外傷性関節炎によって不能となった手および手首の機能を回復することを助ける可撓性の髄内固定一体型のインプラントである。これはシリコーンエラストマーからなり、その主な機能は、適正な関節腔、ならびに良好な横安定性および最小の屈曲−伸展性の制限との整合性を維持することを助けることである。これらのインプラントは、圧縮負荷の大部分が骨に分布しているため、最小の負荷を担持する。
一部の実施形態では、製造品は、鼻の再構築のために使用することができる。機能を維持する一方で審美的に注意を引かない鼻を生じさせるために、鼻の再構築を行う。構造的移植片は、側壁に強剛性を実現し、側部の崩壊に抵抗し、鼻の輪郭および突起を確立することが必要とされることが多い。現在の材料は、アロプラスト、例えば、シリコーンおよび多孔質高密度ポリエチレンを含み、また同種移植片、例えば、allodermまたは肋軟骨を有する。
本明細書において開示されている方法によって、種々の異なる形状に製造される絹の能力によって、絹が本出願のために使用されることを可能とする。例えば、絹は、ロッドに押し出され、次いで、旋削(旋盤)されて変形を除去し、所望のサイズを得ることができる。さらに、構築物はインサイチュで成形され、鼻の自然の幾可学的形状に従うことができる。
一部の実施形態では、製造品は、耳形成術のために使用することができる。耳形成術は、典型的には先天性の形成不全、外傷、がんのアブレーション、および立ち耳に起因する部分的または完全な耳の欠損を再構築するプロセスである。耳は胸郭からの軟骨を使用することによって再構築することができ、または人工の耳を生じさせることができる。肋軟骨は刻まれ、微細なステンレス鋼ワイヤーを使用して一緒に結ばれ、非常に詳細に亘るフレームワークが生じる。
本明細書において開示されている方法によって、絹がインサイチュで押し出され、ドローイングされ、極めて細いワイヤーネットワークに成形されることが可能となり、これを使用して、新たな耳のフレームワークを生じさせることができる。さらに、入り組んだ幾可学的形状を生じさせることができる多数のプロセスによって、患者の特定の必要性に基づいて絹を製造することができる。
上記で考察した特定の医療デバイスおよびインプラントに加えて、本明細書において開示されている方法は、顔面インプラント(皮膚充填剤、頬インプラント、眼窩)、目の形成術、唇にボリュームを出す手術、生殖器形成手術(陰茎インプラント、腟形成術、性転換)、殿部増強、および他の軟部組織「形成術」のために使用することができる。
非医療用途は、ダイス、画びょう、弾丸、子供のおもちゃ(例えば、構造ブロック、レゴ、チェッカーなど)、および生分解性プラスチック代替物の製造を含む。
添加物
一部の実施形態では、本明細書に記載されている絹フィブロイン組成物は、少なくとも1種の添加物を含むことができる(例えば、本明細書において考察されているような活性作用物質/試料/構成成分の代用として、もしくはこれらに加えて、または一部の実施形態では、活性作用物質/試料/構成成分は、この用語が本明細書において使用されているように「添加物」であり得る)。本明細書に記載されている様々な態様の一部の実施形態では、絹組成物は、1種または複数(例えば、1種、2種、3種、4種、5種もしくはそれ超)の添加物をさらに含むことができる。理論に束縛されるものではないが、添加物は、1つまたは複数の望ましい性質、例えば、強度、可撓性、処理および取扱いの容易さ、生体適合性、生体吸収性、表面形態、放出速度ならびに/または組成物中に存在する1種もしくは複数の活性作用物質の動態などを実現することができる。添加物は、絹フィブロインと共有結合的または非共有結合的に連結することができ、絹組成物内に均質または不均質に統合することができる。
例えば、絹材料は、1種または複数(例えば、1種、2種、3種、4種、5種もしくはそれ超)の添加物を含むフィブロイン溶液から調製することができる。
これらに限定されないが、添加物は、小さな有機または無機分子;サッカリド;オリゴサッカリド;ポリサッカリド;ポリマー;タンパク質;ペプチド;ペプチド類似体および誘導体;ペプチド模倣物;核酸;核酸類似体などから選択することができる。いくつかの実施形態では、添加物は、免疫原;抗原;生体学的材料、例えば、細菌、植物、真菌、または動物細胞から作製した抽出物;動物組織;天然または合成組成物;ならびに任意のこれらの組合せであり、あるいはこれらを含む。さらに、添加物は、任意の物理的形態でよい。例えば、添加物は、粒子、繊維、フィルム、ゲル、メッシュ、マット、不織マット、粉末、液体、または任意のこれらの組合せの形態でよい。一部の実施形態では、添加物は、粒子である。
一実施形態では、前記少なくとも1種の添加物は、組成物、および/もしくはその中に含まれる活性作用物質/試料/構成成分の1つまたは複数の態様を安定化し、かつ/または絹フィブロインの溶解性を増加させるために使用することができる安定剤である。生体試料中に存在する少なくともRNAまたはタンパク質の安定化のために加えることができる安定剤の一例には、それぞれ、ヌクレアーゼ阻害剤(例えば、RNアーゼ阻害剤)またはプロテイナーゼ阻害剤が含まれる。
安定剤のさらなる例には、これらに限定されないが、アミノ酸、例えば、グルタミン酸ナトリウム、アルギニン、リシン、およびシステイン;モノサッカリド、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、およびマンノース;ジサッカリド、例えば、スクロース、マルトース、およびラクトース;糖アルコール、例えば、ソルビトールおよびマンニトール;ポリサッカリド、例えば、オリゴサッカリド、デンプン、セルロース、およびその誘導体;ヒト血清アルブミンおよびウシ血清アルブミン;ゼラチン、およびゼラチン誘導体、例えば、水分解されたゼラチン;抗酸化剤としてアスコルビン酸;イオン(例えば、カチオンまたはアニオン安定剤);界面活性剤;ならびに任意のこれらの組合せを含むことができる。これらの材料は、公開資料、例えば、Neiによって記述された「Toketsu-Kanso To Hogo Busshitsu(Lyophilization And Protective Materials)」、1〜176頁、1972年、東京大学出版会(東京大学の出版会)、日本によって公表;およびOtaらによって記述された「Shinku Gijutsu Koza (8):Sinku Kanso (Lecture on Vacuum Technology(8):Vacuum Drying)」、176〜182頁、1964年に日刊工業新聞社、日本によって公表、に記載されている。
一部の実施形態では、添加物は、生体適合性ポリマーである。例示的な生体適合性ポリマーには、これらに限定されないが、ポリ−乳酸(PLA)、ポリ−グリコール酸(PGA)、ポリ−ラクチド−co−グリコリド(PLGA)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチン、ポリアスパラギン酸、アルギネート、キトサン、キチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリヒドロキシアルカノエート、デキストラン、およびポリ無水物、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、トリブロックコポリマー、ポリリシン、アルギネート、ポリアスパラギン酸、任意のその誘導体および任意のこれらの組合せが含まれる。本開示による使用を受け入れられる他の例示的な生体適合性ポリマーには、例えば、それらの全ての内容が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,302,848号;同第6,395,734号;同第6,127,143号;同第5,263,992号;同第6,379,690号;同第5,015,476号;同第4,806,355号;同第6,372,244号;同第6,310,188号;同第5,093,489号;同第US387,413号;同第6,325,810号;同第6,337,198号;同第US6,267,776号;同第5,576,881号;同第6,245,537号;同第5,902,800号;および同第5,270,419号に記載されているものが含まれる。
一実施形態では、添加物は、絹ベースの可撓性および/または溶解性に影響を与えることができるグリセロールである。絹をベースとする材料、例えば、グリセロールを含む絹フィルムは、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているWO2010/042798に記載されている。
他の添加物の例には、これらに限定されないが、細胞付着メディエーター、例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、または細胞の付着に影響を与えることが公知である公知のインテグリン結合ドメイン、例えば、「RGD」インテグリン結合配列を含有するペプチド、もしくはそのバリエーション(Schaffner P & Dard、2003年、Cell Mol Life Sci. Jan;60巻(1号):119〜32頁;Hersel U.ら、2003年、Biomaterials. Nov;24巻(24号):4385〜415頁);生物活性のあるリガンド;および細胞内部成長または組織内部成長の特定の変種を増強または排除する物質が含まれる。増殖または分化を増強させる付加的な作用物質の他の例には、これらに限定されないが、骨誘導性物質、例えば、骨形態形成タンパク質(BMP);サイトカイン、増殖因子、例えば、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF−IおよびII)TGF−β1などが含まれる。
組成物中の添加物の総量は、総絹組成物の約0.01重量%〜約99重量%、約0.01重量%〜約70重量%、約5重量%〜約60重量%、約10重量%〜約50重量%、約15重量%〜約45重量%、または約20重量%〜約40重量%でよい。一部の実施形態では、組成物中の絹フィブロインと添加物の比は、約1000:1(w/w)〜約1:1000(w/w)、約500:1(w/w)〜約1:500(w/w)、約250:1(w/w)〜約1:250(w/w)、約200:1(w/w)〜約1:200(w/w)、約25:1(w/w)〜約1:25(w/w)、約20:1(w/w)〜約1:20(w/w)、約10:1(w/w)〜約1:10(w/w)、または約5:1(w/w)〜約1:5(w/w)の範囲でよい。
いくつかの実施形態では、絹をベースとする材料中の添加物の総量は、絹をベースとする材料中の総絹フィブロインの約0.1重量%〜約70重量%、約5重量%〜約60重量%、約10重量%〜約50重量%、約15重量%〜約45重量%、または約20重量%〜約40重量%でよい。当業者は、例えば、本明細書に記載されている様々な比での添加物の添加によって影響される構成成分または絹をベースとする材料の性質を測定することによって、絹フィブロインと添加物の適当な比を決定することができる。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、 少なくとも1000:1, 少なくとも900:1, 少なくとも800:1, 少なくとも700:1, 少なくとも600:1, 少なくとも500:1, 少なくとも400:1, 少なくとも300:1, 少なくとも200:1, 少なくとも100:1, 少なくとも90:1, 少なくとも80:1, 少なくとも70:1, 少なくとも60:1, 少なくとも50:1, 少なくとも40:1, 少なくとも30:1, 少なくとも20:1, 少なくとも10:1, 少なくとも7:1, 少なくとも5:1, 少なくとも3:1, 少なくとも1:1, 少なくとも1:3, 少なくとも1:5, 少なくとも1:7, 少なくとも1:10, 少なくとも1:20, 少なくとも1:30, 少なくとも1:40, 少なくとも1:50, 少なくとも1:60, 少なくとも1:70, 少なくとも1:80, 少なくとも1:90, 少なくとも1:100, 少なくとも1:200, 少なくとも1:300, 少なくとも1:400, 少なくとも1:500, 少なくとも600, 少なくとも1:700, 少なくとも1:800, 少なくとも1:900, or 少なくとも1:100の絹フィブロインと添加物のモル比を含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、多くとも1000:1、多くとも900:1、多くとも800:1、多くとも700:1、多くとも600:1、多くとも500:1、多くとも400:1、多くとも300:1、多くとも200:1、100:1、多くとも90:1、多くとも80:1、多くとも70:1、多くとも60:1、多くとも50:1、多くとも40:1、多くとも30:1、多くとも20:1、多くとも10:1、多くとも7:1、多くとも5:1、多くとも3:1、多くとも1:1、多くとも1:3、多くとも1:5、多くとも1:7、多くとも1:10、多くとも1:20、多くとも1:30、多くとも1:40、多くとも1:50、多くとも1:60、多くとも1:70、多くとも1:80、多くとも1:90、多くとも1:100、多くとも1:200、多くとも1:300、多くとも1:400、多くとも1:500、多くとも1:600、多くとも1:700、多くとも1:800、多くとも1:900、or 多くとも1:1000の絹フィブロインと添加物のモル比を含む。
一部の実施形態では、組成物は、例えば、約1000:1〜約1:1000、約900:1〜約1:900、約800:1〜約1:800、約700:1〜約1:700、約600:1〜約1:600、約500:1〜約1:500、約400:1〜約1:400、約300:1〜約1:300、約200:1〜約1:200、約100:1〜約1:100、約90:1〜約1:90、約80:1〜約1:80、約70:1〜約1:70、約60:1〜約1:60、約50:1〜約1:50、約40:1〜約1:40、約30:1〜約1:30、約20:1〜約1:20、約10:1〜約1:10、約7:1〜約1:7、約5:1〜約1:5、約3:1〜約1:3、または約1:1の絹フィブロインと添加物のモル比を含む。
一部の実施形態では、添加物は、生物学的活性作用物質である。「生物学的活性作用物質」という用語は、本明細書において使用する場合、in vivoで少なくとも1つの生物学的効果を発揮する任意の分子を指す。例えば、生物学的活性作用物質は、対象において病態または状態を処置または予防するための治療剤でよい。生物学的活性作用物質には、これらに限定されないが、有機分子、無機材料、タンパク質、ペプチド、核酸(例えば、遺伝子、遺伝子断片、遺伝子制御配列、およびアンチセンス分子)、核タンパク質、ポリサッカリド、糖タンパク質、ならびにリポタンパク質が含まれる。本明細書に記載されている組成物中に組み込むことができる生物活性化合物のクラスには、これらに限定されないが、抗がん剤、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、酵素阻害剤、抗ヒスタミン剤、抗痙攣薬、ホルモン、筋弛緩剤、鎮痙剤、眼病剤、プロスタグランジン、抗うつ剤、抗精神病物質、栄養因子、骨誘導性タンパク質、増殖因子、およびワクチンが含まれる。
一部の実施形態では、添加物は、治療剤である。本明細書において使用する場合、「治療剤」という用語は、診断、治療、予防医学、または獣医学の目的のために生物に投与される分子、分子の群、複合体または物質を意味する。本明細書において使用する場合、「治療剤」という用語は、「薬物」または「ワクチン」を含む。この用語は、臨床および獣医学スクリーニング、予防、予防法、治癒、健康推進、検出、イメージング、診断、治療、手術、モニタリング、化粧品、人工装具、科学捜査などにおいて有用な調製物を含めて、外部的および内部的に投与された局所性、局部性および全身性のヒトおよび動物の医薬、処置、療法、栄養補助食品、薬用化粧品、生物学的製剤、デバイス、診断用薬および避妊薬を含む。この用語はまた、細胞受容体、膜受容体、ホルモン受容体、治療受容体、病原微生物、ウイルス、あるいは植物、動物および/もしくはヒトを含む、またはこれらと接触することができる選択した標的を認識することができる選択した分子または選択した核酸配列を含む、アグリシューティカル、職場、軍隊、産業および環境的な治療または療法に関して使用することができる。この用語はまた、例えば、DNAナノプレックス、siRNA、マイクロRNA、shRNA、アプタマー、リボザイム、デコイ核酸、アンチセンス核酸、RNAアクチベーターなどを含めて、核酸、および治療効果を生じさせる核酸を含む化合物、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、核酸類似体(例えば、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、ゼノ核酸(XNA))、またはこれらの混合物もしくは組合せを特に含むことができる。一般に、任意の治療剤は、本明細書に記載されている組成物に含まれることができる。
「治療剤」という用語はまた、これが適用される生物系において局所性または全身性の生体学的効果、生理学的効果、または治療効果を実現することができる作用物質を含む。例えば、治療剤は、他の機能の中で、感染症または炎症を抑制し、細胞増殖および組織再生を増強し、腫瘍増殖を抑制し、鎮痛剤として作用し、抗細胞付着を促進し、骨成長を増強するように作用することができる。他の適切な治療剤は、抗ウイルス剤、ホルモン、抗体、または治療用タンパク質を含むことができる。他の治療剤は、投与するときに生物活性がないが、対象への投与によって、代謝またはいくつかの他の機序によって生物学的活性作用物質に変換される作用物質であるプロドラッグを含む。さらに、絹をベースとする薬物送達組成物は、1種の治療剤、または2種もしくはそれ超の治療剤の組合せを含有することができる。
治療剤は、化合物、および化合物の混合物、例えば、小さな有機または無機分子;サッカリン;オリゴサッカリド;ポリサッカリド;生体高分子、例えば、ペプチド、タンパク質、およびペプチド類似体および誘導体;ペプチド模倣物;抗体およびその抗原結合断片;核酸;核酸類似体および誘導体;生物活性材料、例えば、細菌、植物、真菌、または動物細胞から作製された抽出物;動物組織;天然または合成組成物;ならびに任意のこれらの組合せを含めた多種多様の異なる化合物を含むことができる。一部の実施形態では、治療剤は、小分子である。
本明細書において使用する場合、「小分子」という用語は、「天然物様」である化合物を指すことができるが、「小分子」という用語は、「天然物様」化合物に限定されない。むしろ、小分子は典型的には、いくつかの炭素−炭素結合を含有し、5000ダルトン(5kDa)未満、好ましくは3kDa未満、またより好ましくは2kDa未満、最も好ましくは1kDa未満の分子量を有することによって特徴付けられる。いくつかの場合において、小分子が700ダルトンと等しい、もしくはこれ未満の分子量を有することが好ましい。
例示的な治療剤には、これらに限定されないが、これらの全ての完全な内容が参照により本明細書中に組み込まれている、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第13版、T.R. Harrisonら編、McGraw-Hill N.Y.、NY;Physicians’ Desk Reference、第50版、1997年、Oradell New Jersey, Medical Economics Co.;Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Goodman and Gilman、1990年;United States Pharmacopeia、The National Formulary、USP XII NF XVII、1990年において見出されるものが含まれる。
治療剤は、本明細書において開示されたカテゴリーおよび具体例を含む。カテゴリーは具体例によって限定されることを意図しない。当業者は、カテゴリーの範囲内に入り、かつ本開示によって有用である多数の他の化合物をまた認識する。例には、放射線増感剤、ステロイド、キサンチン、ベータ−2−アゴニスト気管支拡張剤、抗炎症剤、鎮痛剤、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、ベータ遮断薬、中枢作用性アルファ−アゴニスト、アルファ−1−アンタゴニスト、抗コリン剤/鎮痙剤、バソプレシン類似体、抗不整脈剤、抗パーキンソン病剤、抗狭心症剤/降圧剤、抗血液凝固剤、抗血小板剤、鎮静剤、抗不安剤(ansiolytic agent)、ペプチド性剤、バイオポリマー剤、抗新生物剤、緩下剤、止瀉剤、抗微生物剤、抗真菌剤、ワクチン、タンパク質、または核酸が含まれる。さらなる態様では、医薬活性作用物質は、クマリン、アルブミン、ステロイド、例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン、および薬学的に許容されるヒドロコルチゾン誘導体;キサンチン、例えば、テオフィリンおよびドキソフィリン(doxophylline);ベータ−2−アゴニスト気管支拡張剤、例えば、サルブタモール、フェノテロール(fenterol)、クレンブテロール、バンブテロール、サルメテロール、フェノテロール;抗喘息抗炎症剤、抗関節炎抗炎症剤、および非ステロイド性抗炎症剤を含めた抗炎症剤でよく、これらの例には、これらに限定されないが、スルフィド、メサラミン、ブデソニド、salazopyrin、ジクロフェナク、薬学的に許容されるジクロフェナク塩、ニメスリド、ナプロキセン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンおよびピロキシカム;鎮痛剤、例えば、サリチレート;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニフェジピン、アムロジピン、およびニカルジピン;アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えば、カプトプリル、ベナゼプリル塩酸塩、ホシノプリルナトリウム、トランドラプリル、ラミプリル、リシノプリル、エナラプリル、キナプリル塩酸塩、およびモエキシプリル塩酸塩;ベータ遮断薬(すなわち、ベータアドレナリン作動性遮断剤)、例えば、ソタロール塩酸塩、チモロールマレイン酸塩、エスモロール塩酸塩、カルテオロール、プロパノロール塩酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ペンブトロール硫酸塩、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、アセブトロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール、およびビソプロロールフマル酸塩;中枢作用性アルファ−2−アゴニスト、例えば、クロニジン;アルファ−1−アンタゴニスト、例えば、ドキサゾシンおよびプラゾシン;抗コリン剤/鎮痙剤、例えば、ジサイクロミン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、グリコピロレート、臭化クリジニウム、フラボキサート、およびオキシブチニン;バソプレシン類似体、例えば、バソプレシンおよびデスモプレシン;抗不整脈剤、例えば、キニジン、リドカイン、トカイニド塩酸塩、メキシレチン塩酸塩、ジゴキシン、塩酸ベラパミル、プロパフェノン塩酸塩、フレカイニド酢酸塩、プロカインアミド塩酸塩、モリシジン塩酸塩、およびリン酸ジソピラミド;抗パーキンソン病剤、例えば、ドパミン、L−ドーパ/カルビドパ、セレギリン、ジヒドロエルゴクリプチン、ペルゴリド、リスリド、アポモルヒネ、およびブロモクリプチン;抗狭心症剤および降圧剤、例えば、一硝酸イソソルビド、硝酸イソソルビド、プロプラノロール、アテノロールおよびベラパミル;抗血液凝固剤および抗血小板剤、例えば、Coumadin、ワルファリン、アセチルサリチル酸、およびチクロピジン;鎮静剤、例えば、ベンゾジアゼピン(benzodiazapines)およびバルビツレート;抗不安剤、例えば、ロラゼパム、ブロマゼパム、およびジアゼパム;ペプチド性およびバイオポリマー剤、例えば、カルシトニン、ロイプロリドおよび他のLHRHアゴニスト、ヒルジン、シクロスポリン、インスリン、ソマトスタチン、プロチレリン、インターフェロン、デスモプレシン、ソマトトロピン、チモペンチン、ピドチモド、エリスロポエチン、インターロイキン、メラトニン、顆粒球/マクロファージ−CSF、およびヘパリン;抗新生物剤、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、シクロホスファミド、メソトレキセート、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シスプラチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリンカルシウム、タモキシフェン、フルタミド、アスパラギナーゼ、アルトレタミン、ミトタン、およびプロカルバジン塩酸塩;緩下剤、例えば、センナ濃縮物、カサンスラノール、ビサコジル、およびピコスルファートナトリウム;止瀉剤、例えば、ジフェノキシン塩酸塩、塩酸ロペラミド、フラゾリドン、ジフェノキシレート塩酸塩(hdyrochloride)、および微生物;ワクチン、例えば、細菌ワクチンおよびウイルス性ワクチン;抗微生物剤、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、およびマクロライド、抗真菌剤、例えば、イミダゾールおよびトリアゾール誘導体;ならびに核酸、例えば、生体タンパク質をコードするDNA配列、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。
抗がん剤には、アルキル化剤、白金剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、アロマターゼ阻害剤、チミジル酸シンターゼ阻害剤、DNAアンタゴニスト、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ポンプ阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、リボヌクレオシドレダクターゼ阻害剤、TNFアルファアゴニスト/アンタゴニスト、エンドセリンA受容体アンタゴニスト、レチノイン酸受容体アゴニスト、免疫調節剤、ホルモン剤および抗ホルモン剤、光力学的物質、ならびにチロシンキナーゼ阻害剤が含まれる。
抗生物質には、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、アミカシン、ネオマイシン)、バシトラシン、カルバペネム(corbapenems)(例えば、イミペネム/シラスタチン(cislastatin))、セファロスポリン、コリスチン、メテナミン、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、ペニシリン(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン(natcillin)、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、ピペラシリン、メズロシリン、アズロシリン)、ポリミキシンB、キノロン、およびバンコマイシン;および細菌発育阻止剤、例えば、クロラムフェニコール、クリンダニアン(clindanyan)、マクロライド(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、リンコマイシン(lincomyan)、ニトロフラントイン、スルホンアミド、テトラサイクリン(例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、デメクロサイクリン(demeclocyline))、およびトリメトプリムが含まれる。また含まれるのは、メトロニダゾール、フルオロキノロン、およびリファンピン(ritampin)である。
酵素阻害剤は、酵素反応を阻害する物質である。酵素阻害剤の例には、塩化エドロホニウム、N−メチルフィゾスチグミン、ネオスチグミン臭化物、硫酸フィゾスチグミン、タクリン、タクリン、1−ヒドロキシマレエート、ヨードツベルシジン、p−ブロモテトラミゾール(bromotetramiisole)、10−(アルファ−ジエチルアミノプロピオニル)−フェノチアジン塩酸塩、カルミダゾリウムクロリド、ヘミコリニウム−3,3,5−ジニトロカテコール、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤I、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤II、3−フェニルプロパルギルアミン、N°−モノメチル−Lアルギニンアセテート、カルビドパ、3−ヒドロキシベンジルヒドラジン、ヒドララジン、クロルジリン、デプレニル、ヒドロキシルアミン、イプロニアジドホスフェート、6−MeO−テトラヒドロ−9H−ピリド−インドール、ニアラミド、パルギリン、キナクリン、セミカルバジド、トラニルシプロミン、N,N−ジエチルアミノエチル−2,2−ジフェニルバレレート塩酸塩、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(methylxanthne)、パパベリン、インドメタシン(indomethacind)、2−シクロオクチル−2−ヒドロキシエチルアミン塩酸塩、2,3−ジクロロ−a−メチルベンジルアミン(DCMB)、8,9−ジクロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン塩酸塩、p−アミノグルテチミド、p−アミノグルテチミドタルトレート、3−ヨードチロシン、アルファ−メチルチロシン、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、6−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾールスルホンアミド、およびアロプリノールが含まれる。
抗ヒスタミン剤には、数ある中でも、ピリラミン、クロルフェニラミン、およびテトラヒドロゾリン(tetrahydrazoline)が含まれる。
抗炎症剤には、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アスピリン、フェニルブタゾン、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、ピロキシカム、およびフェナム酸)、アセトアミノフェン、フェナセチン、金塩、クロロキン、D−ペニシラミン、メソトレキセート、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、およびスルフィンピラゾンが含まれる。
筋弛緩剤には、メフェネシン、メトカルバモール(methocarbomal)、シクロベンザプリン塩酸塩、トリヘキシフェニジル(trihexylphenidyl)塩酸塩、レボドパ/カルビドパ、およびビペリデンが含まれる。
鎮痙剤には、アトロピン、スコポラミン、オキシフェノニウム、およびパパベリンが含まれる。
鎮痛剤には、アスピリン、フェニルブタゾン(phenybutazone)、インドメタシン(idomethacin)、スリンダク、トルメチック(tolmetic)、イブプロフェン、ピロキシカム、フェナム酸、アセトアミノフェン、フェナセチン、硫酸モルヒネ、硫酸コデイン、メペリジン、ナロルフィン、オピオイド(例えば、硫酸コデイン、フェンタニルクエン酸塩、酒石酸水素ヒドロコドン、ロペラミド、硫酸モルヒネ、ノスカピン、ノルコデイン、ノルモルヒネ、テバイン、ノルビナルトルフィミン、ブプレノルフィン、クロマルトレキサミン、フナルトレキサミン(funaltrexamione)、ナルブフィン、ナロルフィン、ナロキソン、ナロキソナジン、ナルトレキソン、およびナルトリンドール)、プロカイン、リドカイン(lidocain)、テトラカインおよびジブカインが含まれる。
眼病剤には、フルオレセインナトリウム、ローズベンガル、メタコリン、アドレナリン、コカイン、アトロピン、アルファ−キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、ベタキソロール(betaxalol)、ピロカルピン、チモロール、チモロール塩、およびこれらの組合せが含まれる。
プロスタグランジンは当技術分野で認識されており、種々の生物学的効果を有する1クラスの天然の化学的に関連する長鎖ヒドロキシ脂肪酸である。
抗うつ剤は、うつを予防または軽減することができる物質である。抗うつ剤の例には、イミプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、アモキサピン、ドキセピン、マプロチリン、トラニルシプロミン、フェネルジン、およびイソカルボキサジド(isocarboxazide)が含まれる。
栄養因子は、その継続する存在が細胞の生存能または長寿命を改善させる因子である。栄養因子には、これらに限定されないが、血小板由来増殖因子(PDGP)、好中球活性化タンパク質、単球走化性タンパク質、マクロファージ炎症性タンパク質、血小板因子、血小板塩基タンパク質、および黒色腫成長刺激活性;上皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子(アルファ)、線維芽細胞増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、グリア由来成長神経栄養因子、繊毛様神経栄養因子、神経増殖因子、骨成長/軟骨誘導因子(アルファおよびベータ)、骨形成タンパク質、インターロイキン(例えば、インターロイキン1からインターロイキン10を含めた、インターロイキン阻害剤またはインターロイキン受容体)、インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ、ベータおよびガンマ)、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を含めた造血因子;腫瘍壊死因子、およびベータ−1、ベータ−2、ベータ−3を含めたトランスフォーミング増殖因子(ベータ)、インヒビン、ならびにアクチビンが含まれる。
ホルモンには、エストロゲン(例えば、エストラジオール、エストロン、エストリオール、ジエチルスチルベストロール(diethylstibestrol)、キネストロール、クロロトリアニセン、エチニルエストラジオール、メストラノール)、抗エストロゲン剤(例えば、クロミフェン、タモキシフェン)、プロゲスチン(例えば、メドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、ヒドロキシプロゲステロン、ノルゲストレル)、抗黄体ホルモン(ミフェプリストン)、アンドロゲン(例えば、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、ダナゾール、テストラクトン)、抗アンドロゲン剤(例えば、酢酸シプロテロン、フルタミド)、甲状腺ホルモン(例えば、トリヨードチロニン(triiodothyronne)、チロキシン、プロピルチオウラシル、メチマゾール、およびヨージキソド(iodixode))、ならびに下垂体ホルモン(例えば、コルチコトロピン、ソマトトロピン(sumutotropin)、オキシトシン、およびバソプレシン)が含まれる。ホルモンは、ホルモン補充療法において、および/または受胎調節の目的のために一般に用いられる。ステロイドホルモン、例えば、プレドニゾンはまた、免疫抑制剤および抗炎症薬として使用される。
一部の実施形態では、添加物は、天然組織の組織形成、および/または治癒および再成長、ならびに任意のこれらの組合せを刺激する作用物質である。新規な組織の形成を増加させ、かつ/または注射の部位における天然組織の治癒または再成長を刺激する作用物質は、これらに限定されないが、線維芽細胞増殖因子(FGF)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、結合組織活性化ペプチド(CTAP)、骨形態形成タンパク質を含めた骨原性因子、ヘパリン、アンジオテンシンII(A−II)およびその断片、インスリン様増殖因子、腫瘍壊死因子、インターロイキン、コロニー刺激因子、エリスロポエチン、神経増殖因子、インターフェロン、このような増殖因子の生物活性のある類似体、断片、および誘導体、ならびに任意のこれらの組合せを含むことができる。
一部の実施形態では、絹組成物は、軟部組織増強のための少なくとも1種のさらなる材料、例えば、これらに限定されないが、ポリ(メタクリル酸メチル)マイクロ球体、ヒドロキシルアパタイト、ポリ(L−乳酸)、コラーゲン、エラスチン、およびグリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、市販の皮膚充填剤製品、例えば、BOTOX(登録商標)(Allerganから)、DYSPORT(登録商標)、COSMODERM(登録商標)、EVOLENCE(登録商標)、RADIESSE(登録商標)、RESTYLANE(登録商標)、JUVEDERM(登録商標)(Allerganから)、SCULPTRA(登録商標)、PERLANE(登録商標)、およびCAPTIQUE(登録商標)、ならびに任意のこれらの組合せを含めた皮膚充填剤材料をさらに含むことができる。
一部の実施形態では、添加物は、創傷治癒剤である。本明細書において使用する場合、「創傷治癒剤」は、創傷治癒プロセスを活発に促進する化合物または組成物である。例示的な創傷治癒剤には、これらに限定されないが、デクスパンテノール;増殖因子;酵素、ホルモン;ポビドンヨード;脂肪酸;抗炎症剤;抗生物質;抗微生物剤;消毒剤;サイトカイン;トロンビン;鎮痛剤(angalgesics);オピオイド;アミノキシル;フロキサン;ニトロソチオール;ニトレートおよびアントシアニン;ヌクレオシド、例えば、アデノシン;ヌクレオチド、例えば、アデノシン二リン酸(ADP)およびアデノシン三リン酸(ATP);神経伝達物質(neutotransmitter)/神経調節物質、例えば、アセチルコリンおよび5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン/5−HT);ヒスタミンおよびカテコールアミン、例えば、アドレナリンおよびノルアドレナリン;脂質分子、例えば、スフィンゴシン−1−リン酸およびリゾホスファチジン酸;アミノ酸、例えば、アルギニンおよびリシン;ペプチド、例えば、ブラジキニン、サブスタンスPおよびカルシウム遺伝子関連ペプチド(CGRP);一酸化窒素;ならびに任意のこれらの組合せが含まれる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されている活性作用物質は、免疫原である。一実施形態では、免疫原は、ワクチンである。大部分のワクチンは、これが貯蔵および/または輸送される環境条件に対して感受性である。例えば、フリージングは、いくつかのワクチン(例えば、HepB、およびDTaP/IPV/HIB)についての反応源性(例えば、免疫反応をもたらす性能)ならびに/または効力の喪失を増加させ、あるいは容器における毛髪状割れの原因となり、汚染をもたらし得る。さらに、いくつかのワクチン(例えば、BCG、水痘、およびMMR)は、熱に対して感受性である。多くのワクチン(例えば、BCG、MMR、水痘、髄膜炎菌性Cコンジュゲート、および大部分のDTaP含有ワクチン)は、光感受性である。例えば、Galazkaら、Thermostability of vaccines、Global Programme for Vaccines & Immunization(World Health Organization、Geneva、1998年);Peetermansら、Stability of freeze-dried rubella virus vaccine(Cendehill strain)at various temperatures、1、J. Biological Standardization、179頁(1973年)を参照されたい。このように、本明細書に記載されている組成物および方法はまた、コールドチェーンおよび/または他の環境条件にかかわらずワクチンの安定化を実現する。
一部の実施形態では、添加物は、細胞、例えば、生体細胞である。組成物中への組込みに有用である細胞は、任意の源、例えば、哺乳動物、昆虫、植物などから由来することができる。一部の実施形態では、細胞は、ヒト、ラットまたはマウス細胞でよい。一般に、本明細書に記載されている組成物と共に使用される細胞は、任意のタイプの細胞でよい。一般に、細胞は、組成物内にカプセル化されたとき生存可能であるべきである。一部の実施形態では、組成物と共に使用することができる細胞には、これらに限定されないが、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、霊長類細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞など)、トリ細胞、魚細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞、細菌細胞、およびハイブリッド細胞が含まれる。一部の実施形態では、組成物と共に使用することができる例示的な細胞は、血小板、活性化血小板、幹細胞、全能性細胞、多能性細胞、および/または胚性幹細胞を含む。一部の実施形態では、組成物内にカプセル化することができる例示的な細胞には、これらに限定されないが、任意の組織からの初代細胞および/または細胞系が含まれる。例えば、心筋細胞、筋細胞、肝細胞、ケラチン生成細胞、メラニン形成細胞、ニューロン、アストロサイト、胚性幹細胞、成体幹細胞、造血幹細胞、造血細胞(例えば、単球、好中球、マクロファージなど)、エナメル芽細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、ニューロン、精子細胞、卵細胞、肝細胞、肺からの上皮細胞、腸からの上皮細胞、腸からの上皮細胞、肝臓、皮膚からの上皮細胞など、および/またはそのハイブリッドは、本明細書において開示されている絹/血小板組成物中に含まれることができる。本明細書において列挙される細胞は、細胞の網羅的ではない例示的なリストを表すことを当業者なら理解するであろう。細胞は、ドナー(同種異系)から、またはレシピエント(自系)から得ることができる。細胞は、非限定的例として、バイオプシーまたは当業者には公知の他の外科的手段によって得ることができる。
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子修飾された細胞でよい。細胞を遺伝子修飾して、所望の化合物、例えば、生理活性作用物質、増殖因子、分化因子、サイトカインなどを発現および分泌することができる。目的の化合物を発現および分泌するために細胞を遺伝子修飾する方法は、当技術分野において公知であり、当業者が容易に適応可能である。
幹細胞中に再プログラムされた分化した細胞をまた使用することができる。例えば、Oct3/4、Sox2、c−MycおよびKlf4の形質導入によって胚性幹細胞中に再プログラムされたヒト皮膚細胞(Junying Yuら、Science、2007年、318巻、1917〜1920頁およびTakahashi K.ら、Cell、2007年、131巻、1〜12頁)。
一部の実施形態では、添加物は、絹フィブロイン粒子でよい。絹フィブロイン粒子およびこれらを作製する方法は、本明細書において上で説明している。
一部の実施形態では、添加物は、絹をベースとする材料でよい。絹をベースとする材料は、絹繊維、マイクロサイズの絹繊維、処理されていない絹繊維、絹粒子、および任意のこれらの組合せからなる群から選択することができる。一部の実施形態では、添加物は、絹繊維である。絹繊維の使用は、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第US20110046686号に記載されている。
一部の実施形態では、絹繊維は、マイクロ繊維またはナノ繊維である。一部の実施形態では、添加物は、ミクロンサイズの絹繊維(10〜600μm)である。ミクロンサイズの絹繊維は、精練された絹フィブロインを加水分解することによって、または精練プロセスの煮沸時間を増加させることによって得ることができる。ミクロンサイズの絹繊維を得るための絹フィブロインのアルカリ加水分解は、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているMandalら、PNAS、2012年、doi: 10.1073/pnas.1119474109;2012年4月6日に出願された米国特許仮出願第61/621,209号;および2013年4月5日に出願されたPCT出願第PCT/US13/35389号に記載されている。HFIP絹溶液から作製された再生された絹繊維は機械的に強いため、再生された絹繊維はまた、添加物として使用することができる。
一部の実施形態では、絹繊維は、処理されていない絹繊維、例えば、生絹または生絹繊維である。「生絹」または「生絹繊維」という用語は、セリシンを除去するように処置していない絹繊維を指し、したがって、例えば、繭から直接採取した絹繊維を包含する。このように、処理されていない絹繊維とは、絹糸腺から直接得られる絹フィブロインを意味する。絹糸腺から直接得た絹フィブロインが乾燥されるとき、その構造は固体状態で絹Iと称される。このように、処理されていない絹繊維は、大部分は絹I高次構造の絹フィブロインを含む。他方、再生または処理されている絹繊維は、十分な絹IIまたはベータシート結晶化度を有する絹フィブロインを含む。
一部の実施形態では、添加物は、生体適合性ポリマーである。例示的な生体適合性ポリマーには、これらに限定されないが、ポリ−乳酸(PLA)、ポリ−グリコール酸(PGA)、ポリ−ラクチド−co−グリコリド(PLGA)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチン、ポリアスパラギン酸、アルギネート、キトサン、キチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリヒドロキシアルカノエート、デキストラン、およびポリ無水物、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、トリブロックコポリマー、ポリリシン、アルギネート、ポリアスパラギン酸、任意のその誘導体および任意のこれらの組合せが含まれる。本開示による使用を受け入れられる他の例示的な生体適合性ポリマーは、例えば、それらの全ての内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,302,848号;同第6,395,734号;同第6,127,143号;同第5,263,992号;同第6,379,690号;同第5,015,476号;同第4,806,355号;同第6,372,244号;同第6,310,188号;同第5,093,489号;同第US387,413号;同第6,325,810号;同第6,337,198号;同第US6,267,776号;同第5,576,881号;同第6,245,537号;同第5,902,800号;および同第5,270,419号に記載されているものを含む。本明細書において使用する場合、「生体適合性」という用語は、宿主において十分な免疫応答を引き出さない材料を指す。
一部の実施形態では、生体適合性ポリマーは、PEGまたはPEOである。本明細書において使用する場合、「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、約20〜約2000000の連結モノマー、典型的には約50〜1000の連結モノマー、通常約100〜300を含有するエチレングリコールポリマーを意味する。PEGはまた、その分子量によってポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)として公知である。一般に、PEG、PEO、およびPOEは化学的に同義であるが、歴史的にPEGは、20,000g/mol未満の分子量を有するオリゴマーおよびポリマーを、PEOは20,000g/mol超の分子量を有するポリマーを、およびPOEは任意の分子量のポリマーを指す傾向を有する。PEGおよびPEOは、これらの分子量によって液体または低融点の固体である。PEGは酸化エチレンの重合によって調製され、300g/molから10,000,000g/molの広範囲の分子量に亘って市販されている。異なる分子量を有するPEGおよびPEOは、異なる用途に使用され、鎖長効果によって異なる物理的性質(例えば、粘度)を有する一方、これらの化学的性質は殆ど同一である。重合過程のために使用される開始剤によって、異なる形態のPEGがまた利用可能である。最も一般の開始剤は、単官能性メチルエーテルPEG、またはメトキシポリ(エチレングリコール)、省略されてmPEGである。より低分子量のPEGはまた、単分散の均一なものと称されるより純粋なオリゴマーとして利用可能であるか、または別個のPEGはまた、異なる幾可学的形状を伴って利用可能である。
本明細書において使用する場合、PEGという用語は、包括的および非排他的であることを意図する。PEGという用語は、アルコキシPEG、二官能性PEG、マルチアームのPEG、フォーク形PEG、分岐PEG、ペンダントPEG(すなわち、PEG、もしくはポリマー骨格に対してペンダントである1つもしくは複数の官能基を有する関連するポリマー)、またはその中に分解可能な連結を有するPEGを含めた、その形態のいずれかのポリ(エチレングリコール)を含む。さらに、PEG骨格は、直鎖状または分岐状でよい。分岐ポリマー骨格は一般に、当技術分野において公知である。典型的には、分岐ポリマーは、中央分岐コア部分、および中央分岐コアに連結した複数の直鎖状ポリマー鎖を有する。PEGは、様々なポリオール、例えば、グリセロール、ペンタエリスリトールおよびソルビトールへの酸化エチレンの添加によって調製することができる分岐形態で一般に使用される。中央分岐部分はまた、いくつかのアミノ酸、例えば、リシンに由来することができる。分岐ポリ(エチレングリコール)は、一般形態でR(−PEG−OH)mとして表すことができ、式中、Rは、コア部分、例えば、グリセロールまたはペンタエリスリトールを表し、mは、アームの数を表す。マルチアームのPEG分子、例えば、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている米国特許第5,932,462号に記載されているものはまた、生体適合性ポリマーとして使用することができる。
いくつかの例示的なPEGには、これらに限定されないが、PEG20、PEG30、PEG40、PEG60、PEG80、PEG100、PEG115、PEG200、PEG 300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG5000、PEG6000、PEG8000、PEG11000、PEG12000、PEG15000、PEG 20000、PEG250000、PEG500000、PEG100000、PEG2000000などが含まれる。一部の実施形態では、PEGは、MW10,000ダルトンのものである。一部の実施形態では、PEGは、MW100,000のもの、すなわち、MW100,000のPEOである。
一部の実施形態では、添加物は、絹フィブロインを加水分解する酵素である。理論に束縛されるものではないが、このような酵素を使用して、製造品の分解を調節することができる。
一部の実施形態では、添加物は、可塑剤である。理論に束縛されるものではないが、可塑剤を含むことは、絹をベースとする物品、例えば、絹フィブロインフィルムの可撓性および/または溶解性に影響を与えることができる。一実施形態では、可塑剤は、グリセロールである。絹をベースとする材料、例えば、グリセロールを含む絹フィルムは、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれているWO2010/042798に記載されている。
他の添加物の例には、これらに限定されないが、細胞付着メディエーター、例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、または細胞の付着に影響を与えることが公知である公知のインテグリン結合ドメイン、例えば、「RGD」インテグリン結合配列、またはそのバリエーションを含有するペプチド(Schaffner P & Dard、Cell Mol Life Sci.、2003年、60巻(1号):119〜32頁およびHersel U.ら、Biomaterials、2003年、24巻(24号):4385〜415頁);生物活性のあるリガンド;ならびに細胞内部成長または組織内部成長の特定の変種を増強または排除する物質が含まれる。
一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物からの活性作用物質の放出は、絹フィブロインおよび活性作用物質の間の相互作用を撹乱させることができる組成物に添加物を加えることによって調節することができる。したがって、一部の実施形態では、添加物は、タンパク質−活性作用物質相互作用を撹乱、阻害、または低減させる作用物質である。例えば、絹フィブロインは、正味の負電荷を有する。このように、正味の正電荷を有する活性作用物質は、イオン性/静電相互作用を通して絹フィブロインと相互作用することができ、組成物中に保持される。イオン性/静電相互作用を変化させることは、組成物からの因子の放出速度を変化させることができる。イオン性/静電相互作用を変化させる1つの方法は、組成物にカチオン性分子を加えることによってでよい。いくつかの他の作用物質は、疎水的相互作用によって絹フィブロインと相互作用することができる。理論に束縛されるものではないが、このような因子は、非イオン相互作用を撹乱、阻害、または低減させる添加物を使用して放出することができる。このように、一部の実施形態では、添加物は、界面活性剤でよい。本明細書において使用する場合、「界面活性剤」という用語は、天然または合成両親媒性化合物を指す。界面活性剤は、非イオン性、双性イオン性、またはイオン性でよい。界面活性剤の非限定的例には、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)、ポリソルベート40(TWEEN(登録商標)40)、ポリソルベート60(TWEEN(登録商標)60)、ポリソルベート61(TWEEN(登録商標)61)、ポリソルベート65(TWEEN(登録商標)65)、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)、およびポリソルベート81(TWEEN(登録商標)81);ポロキサマー(ポリエチレン−ポリプロピレンコポリマー)、例えば、ポロキサマー124(PLURONIC(登録商標)L44)、ポロキサマー181(PLURONIC(登録商標)L61)、ポロキサマー182(PLURONIC(登録商標)L62)、ポロキサマー184(PLURONIC(登録商標)L64)、ポロキサマー188(PLURONIC(登録商標)F68)、ポロキサマー237(PLURONIC(登録商標)F87)、ポロキサマー338(PLURONIC(登録商標)L108)、ポロキサマー407(PLURONIC(登録商標)F127)、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、例えば、BRIJ(登録商標)30、およびBRIJ(登録商標)35;2−ドデコキシエタノール(LUBROL(登録商標)−PX);ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TRITON(登録商標)X−100);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS);3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO);モノラウリン酸スクロース;ならびにコール酸ナトリウムが含まれる。界面活性剤添加剤の他の非限定的例は、例えば、医薬品剤形および薬物送達システム(Howard C. Anselら編、Lippincott Williams & Wilkins Publishers、第7版、1999年);Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R. Gennaro編、Lippincott, Williams & Wilkins、第20版、2000年);Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G. Hardmanら編、McGraw-Hill Professional、第10版、2001年);およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C. Roweら、APhA Publications、第4版、2003年)において見出すことができ、これらのそれぞれは参照により本明細書にその全体が組み込まれている。一部の実施形態では、界面活性剤は、カチオン性ポリマーである。一実施形態では、カチオン性ポリマーは、ポリリシン、例えば、ε−ポリ−L−リシンである。代わりの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性ポリマーである。一実施形態では、アニオン性ポリマーは、ポリグルタミン酸、例えば、ポリ−L−グルタメートである。
対象への投与のために、提供される絹フィブロイン組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体(添加物)および/または賦形剤と一緒に製剤化される、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物を含む薬学的に許容される組成物中に製剤化することができる。対象への投与のために、医薬組成物は一般に、単位剤形に製剤化することができる。さらに、医薬組成物は、下記のために適応されたものを含めて、固体または液体形態、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、または乳剤での投与のために特に製剤化することができる。(1)局所適用、例えば、皮膚へ適用されるクリーム剤、軟膏剤、調節放出パッチ、またはスプレーとして;(2)例えば、皮下、筋内、静脈内、または硬膜外注射、例えば、無菌溶液剤もしくは懸濁剤、または持続放出製剤による非経口投与;(3)経口投与、例えば、水薬(水溶液または非水溶液または懸濁剤)、ロゼンジ剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、錠剤(例えば、バッカル、舌下、および全身性吸収を標的としたもの)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤;(4)例えば、ペッサリー、クリームまたは発泡体として腟内または直腸内;(5)舌下;(6)目;(7)経皮的;(8)経粘膜的;あるいは(9)経鼻。さらに、組成物は、患者にインプラントし、または薬物送達組成物を使用して注射することができる。例えば、Urquhartら、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.、24巻:199〜236頁(1984年);Lewis編「Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals」(Plenum Press、New York、1981年);米国特許第3,773,919号;および米国特許第353,270,960号を参照されたい。
本明細書で使用するように、「薬学的に許容される」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、または他の問題または合併症を伴わない、合理的な利益/リスク比と釣り合った、人間および動物の組織との接触において使用するのに適したこれらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
本明細書で使用するように、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体または固体の充填剤、賦形剤、添加剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛、もしくはステアリン酸(steric acid))、または1つの器官、または体の一部分から、別の臓器、または体の一部分に対象化合物を運搬または輸送することに関与する溶媒封入材料を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者にとって傷害性でないという意味で「許容され」なくてはならない。薬学的に許容される担体としての役割を果たすことができる材料のいくつかの例には、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロースおよび酢酸セルロース;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)添加剤、例えば、カカオバターおよび坐剤ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝化溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)増量剤、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸(23)血清構成成分、例えば、血清アルブミン、HDLおよびLDL;(22)C2〜C12アルコール(alchols)、例えば、エタノール;ならびに(23)医薬製剤において用いられる他の無毒性の適合性物質が含まれる。湿潤剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、香料、保存剤および抗酸化剤はまた、製剤中に存在することができる。「添加剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などの用語は、本明細書において互換的に使用される。
薬学的に許容される抗酸化剤には、これらに限定されないが、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン(lectithin)、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが含まれる。
本明細書において使用する場合、「投与される」という用語は、所望の部位における医薬活性作用物質の少なくとも部分的局在化をもたらす方法または経路による、対象への薬物送達組成物の配置を指す。
組成物は、対象における有効な処置をもたらす任意の適当な経路によって投与することができ、すなわち、投与によって対象における所望の場所への送達をもたらし、医薬活性作用物質の少なくとも一部分が送達される。例示的な投与方法には、これらに限定されないが、局所、インプラント、注射、注入、滴下注入、インプラント処置、または経口摂取が含まれる。「注射」には、これらに限定されないが、静脈内、筋内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内、および胸骨内の注射および注入が含まれる。
注射用剤は、組成物が注射による投与に適したある特定の物理的基準に合致することを必要とする。例えば、このような製剤は、十分なレベルのいわゆるシリンジ通過性を必要とする。シリンジ通過性という用語は、手で行う注射のために必要な時間および力(または自動注射器を使用した注射のために必要とされる時間)を指すが、これは重要なパラメーターである。シリンジ通過性がエンドユーザーによる製品の操作性、したがってコンプライアンスに対して影響を与え得るためである。所定のゲージおよび長さの針を介した所与の注射速度において溶液の注射のために必要とされる力は、シリンジ通過性と称される(Burckbuchler, Vら、Eur. J.Pharm. Biopharm.、2010年、76巻(3号):351〜356頁)。推進(または滑走)力を推定するためにハーゲン−ポアズイユ等式を利用することができ、これは、
F=8QμL/πR4×A(等式1)
として表すことができ、式中、Q=体積流量;μ=流体粘度;L=針の長さ;R=針の内径;A=シリンジプランジャーの断面積;F=無摩擦の推進力である。
溶液の粘度は、タンパク質自体、タンパク質濃度、温度および配合、例えば、pH、添加剤のタイプおよび添加剤濃度によって決まる。タンパク質自体に加えて、タンパク質濃度は、粘度についての別の重要な要因である。皮下注射は一般に、概ね<1.5mLの注入量に制限される(例えば、Adler(2012年)Am. Pharmaceutical Rev.、1〜9頁を参照されたい)。
一部の実施形態では、本明細書において開示されている絹フィブロイン組成物は、対象においてインプラントすることができる。本明細書において使用する場合、「インプラントされた」という用語および文法的に関連する用語は、対象における特定のローカスにおける組成物の、一時的、半ば一時的、または持続的な位置付けを指す。この用語は、特定の位置または場所における組成物の持続的固定化を必要としない。例示的なin vivoでのローカスには、これらに限定されないが、創傷、外傷または疾患の部位が含まれる。
対象への投与のために、絹フィブロイン組成物は一般に、単位投与量の注射用形態で製剤化することができる。注射に適した組成物および調製物は、無菌水溶液または分散液を含む。担体は、例えば、水、細胞培養培地、緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、適切なこれらの混合物を含有する溶媒または分散媒質でよい。一部の実施形態では、医薬担体は、緩衝化溶液(例えば、PBS)でよい。
一部の実施形態では、医薬組成物は、送達デバイス、例えば、シリンジで投与することができる。したがって、本明細書に記載されているさらなる態様は、放出口を有する少なくとも1つのチャンバーを含む送達デバイスを提供し、少なくとも1つのチャンバーは、所定の量の本明細書に記載されている任意の組成物を含み、放出口は、チャンバー内に封入される組成物のための出口を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載されている送達デバイスは、放出口を通る組成物の放出を調節するアクチュエータをさらに含むことができる。このような送達デバイスは、対象への本明細書に記載されている任意の組成物の投与を促進する任意のデバイス、例えば、シリンジ、乾燥粉末注射器、鼻用スプレー、ネブライザー、またはインプラント、例えば、本明細書に記載されている任意の組成物の持続放出または調節放出のためのマイクロチップでよい。
キット
本明細書に記載されている組成物および方法において用いることができる試料収集デバイスおよびキットをまた提供する。したがって、本明細書において提供する別の態様は、試料、例えば、生体試料または活性作用物質を集めるためのチャンバーを含む試料収集デバイスであり、チャンバーは、絹フィブロイン組成物を含む。生体試料または活性作用物質と絹フィブロイン溶液とを接触させることによって、生体試料の少なくとも1種の構成成分の少なくとも1つの性質、または活性作用物質の生物活性は、ある時間安定化させることができる。一部の実施形態では、チャンバー中に存在する絹フィブロイン組成物は、溶液、粉末、懸濁液、またはゲルの形態で存在することができる。
任意の試料、例えば、当技術分野において公知の生体試料収集デバイスを、本明細書において適用することができる。デバイスの非限定的例は、生体学的検体収集チューブ(例えば、採血管)、バイアル、シリンジ、遠心分離管、マイクロタイタープレート、ディップスティック、生体学的検体収集バッグ、スポンジ、および任意のこれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、デバイスは、採血管またはバッグでよい。
一部の実施形態では、デバイスのチャンバーは、本明細書に記載のような添加物をさらに含むことができる。一部の実施形態では、デバイスのチャンバーは、抗凝固剤、安定剤、ゲル化誘導剤、プロテアーゼまたは消化酵素、または任意のこれらの組合せをさらに含むことができる。生体試料の標的構成成分の安定化をさらに増強するために使用することができる安定剤には、これらに限定されないが、サッカリド、糖アルコール、イオン、界面活性剤、アミノ酸、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、およびゼラチン誘導体、抗酸化剤、本明細書に記載されている任意の安定剤、または任意のこれらの組合せが含まれてもよい。一部の実施形態では、安定剤は、ヌクレアーゼ阻害剤またはプロテイナーゼ阻害剤でよい。RNAを生体試料から検出する一部の実施形態では、安定剤は、RNアーゼ阻害剤および/またはDEPCを含むことができる。
ゲル化誘導剤は、絹フィブロインのゲル化を誘導し、絹をベースとする材料、例えば、その内容が参照により本明細書中に組み込まれている国際出願第WO/2012/031144号に開示されている機能的に活性化されたPEGを形成することができる任意の作用物質でよい。例えば、一実施形態では、チャンバーは、国際出願第WO/2012/031144号に開示されているような第1の機能的に活性化されたPEG構成成分をさらに含むことができる。この実施形態では、生体試料収集デバイスは、第1の機能的に活性化されたPEG構成成分と反応して固体状態の絹をベースとする材料を形成することができる第2の機能的に活性化されたPEG構成成分を含むさらなるチャンバーをさらに含むことができる。
デバイスが採血管である一部の実施形態では、チャンバーは、例えば、これらに限定されないが、クロットアクチベーター、ナトリウムヘパリン、リチウムヘパリン、トロンビンをベースとするクロットアクチベーター、KEDTA、液体KEDTA、NaEDTA、シュウ酸カリウム、フッ化ナトリウム、ナトリウムポリアネトールスルホネート(SPS)、クエン酸デキストロース添加物(ACD)(クエン酸三ナトリウムおよびクエン酸を含む)、クエン酸ナトリウム、シトレート、テオフィリン、アデノシン、ジピリダモールを含む混合物(CTAD)、または任意のこれらの組合せを含めた、従来の採血管において一般に見出される少なくとも1種の添加物をさらに含むことができる。
本明細書に記載されている生体試料収集デバイスの1つまたは複数の実施形態を含むキットをまた提供する。一部の実施形態では、キットは、例えば、国際出願第WO/2012/031144号に開示されている機能的に活性化されたPEG構成成分を含むゲル化誘導剤、pH低減剤(例えば、酸)、またはこれらの組合せを含有する少なくとも1つの容器をさらに含むことができる。
一部の実施形態では、キットは、絹可溶化剤を含有する容器をさらに含むことができる。絹可溶化剤の例は、水、緩衝化溶液、またはこれらの組合せを含むことができる。検出する標的構成成分がタンパク質またはペプチドではない一部の実施形態では、絹可溶化剤は、絹フィブロインを分解させるプロテイナーゼを含むことができる。
一部の実施形態では、キットは、安定剤を含有する容器をさらに含むことができ、安定剤は、生体試料の少なくとも1つの構成成分を安定化する。例えば、安定剤には、これらに限定されないが、サッカリド、糖アルコール、イオン、界面活性剤、アミノ酸、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、およびゼラチン誘導体、抗酸化剤、本明細書に記載されている任意の安定剤または任意のこれらの組合せが含まれることができる。一実施形態では、安定剤は、ヌクレアーゼ阻害剤またはプロテイナーゼ阻害剤でよい。RNAが生体試料から検出される一実施形態では、安定剤は、RNアーゼ阻害剤を含むことができる。
一部の実施形態では、キットは、生体試料の前記少なくとも1種の構成成分を検出するための作用物質を含有する容器をさらに含むことができる。キットの目的、例えば、ジェノタイピングまたは発現分析によって、当業者は分析を行うための適当な作用物質を決定することができる。ほんの一例として、作用物質は、構成成分精製剤(例えば、非標的構成成分、例えば、ゲノムDNAから標的構成成分、例えば、RNAを精製する;または生体試料からタンパク質を抽出する作用物質);核酸増幅剤(例えば、これらに限定されないが、プライマー、ポリメラーゼ、オリゴヌクレオチド);免疫親和性をベースとする検出剤(例えば、これらに限定されないが、一次および/または二次抗体、ならびにアプタマー)、標識剤(例えば、蛍光染料、比色分析酵素−基質反応のための作用物質、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびそれぞれの色素生産性基質(例えば、TMB、DAB、ABTS))、あるいは任意のこれらの組合せを含むことができる。
本明細書に記載されている組成物の一部の実施形態では、絹フィブロインを修飾して、例えば、放出が、数時間から数日、または数カ月の範囲のある時間に亘って起こるように、活性作用物質のその分解、したがって放出を調節することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物は、当業者が利用可能であり公知である他のタイプの送達系と組み合わせることができる。これらは、例えば、ポリマーをベースとする系、例えば、ポリ乳酸および/またはポリグリコール酸、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、コポリオキサレート、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、および/またはこれらの組合せを含む。薬物を含有する上記のポリマーのマイクロカプセルは、例えば、米国特許第5,075,109号に記載されている。他の例は、ステロール、例えば、コレステロール、コレステロールエステル、および脂肪酸またはノイカ1脂肪(neuka1 fats)、例えば、モノ、ジおよびトリグリセリド;ヒドロゲル放出系;リポソームをベースとする系;リン脂質をベースとする系;silastic系;ペプチドをベースとする系;または部分的に融合したインプラントを含めた脂質ベースである非ポリマー系を含む。特定の例には、これらに限定されないが、組成物がマトリックス内の形態中に含有されている侵食系(例えば、米国特許第4,452,775号、同第4,675,189号、同第5,736,152号、同第4,667,014号、同第4,748,034号および同第295,239,660号に記載されているような)、または活性構成成分が放出速度を調節する拡散系(例えば、米国特許第3,832,253号、同第3,854,480号、同第5,133,974号および同第5,407,686号に記載されているような)が含まれる。製剤は、例えば、マイクロ球体、ヒドロゲル、ポリマーレザバー、コレステロールマトリックス、またはポリマー系としてでよい。一部の実施形態では、系は、例えば、組成物を含有する製剤の拡散または侵食/分解速度の調節によって、組成物の持続放出または調節放出が起こることを可能にし得る。さらに、ポンプをベースとするハードウェア送達系を使用して、本明細書に記載されている組成物または調製物の1つまたは複数の実施形態を送達することができる。長期間持続放出製剤またはインプラントの使用は、慢性的な状態、例えば、糖尿病の処置に特に適していてもよい。長期間放出は、本明細書において使用する場合、製剤またはインプラントが、本明細書に記載されている組成物または調製物を治療レベルで少なくとも30日間、または少なくとも60日間送達するように作製および配置されることを意味する。一部の実施形態では、長期間放出とは、活性作用物質を治療レベルで数カ月に亘り送達するように構成された製剤またはインプラントを指す。
ある特定の例示的な用途
本明細書に記載されている様々な態様の実施形態によると、絹フィブロインおよび生体試料を含む絹をベースとする材料を形成することは、生体試料の少なくとも1種の構成成分を安定化することができ、これは後の時間における構成成分の検出および/または分析を可能とする。一部の実施形態では、生体試料を含むこれらの絹をベースとする材料は、冷蔵またはフリージングを必要とすることなく貯蔵および/または輸送することができ、これはヒトの健康の診断的評価のために試料の質を維持/保持するために生体試料を現在貯蔵および取り扱う典型的な方法である。したがって、一部の実施形態では、絹をベースとする材料および本明細書に記載されている方法は、診断用途において有用でよい。例えば、生体試料の少なくとも1種の構成成分を診断用途のためにアッセイすることができるように、絹をベースとする材料および方法を使用して、貯蔵および/または輸送の間に、あるいはいつくかの開発途上国において、または連続的な低温貯蔵をサポートする最低限のインフラが存在しない遠隔フィールド条件において、生体試料の質を維持および/または保持することができる。一部の実施形態では、絹をベースとする材料および本明細書に記載されている方法を使用して、従前に記載した下記の条件、すなわち、(a)貯蔵および/または輸送の間に0℃超の温度(例えば、少なくとも約室温またはそれ超);(b)貯蔵および/または輸送の間の光(例えば、UV光、赤外光、および/または可視光)への曝露;ならびに(c)貯蔵および/または輸送の間の少なくとも約10%もしくはそれ超の相対湿度、の少なくとも1つまたは任意の組合せの下で、生体試料の質を維持および/または保持することができる。
したがって、本明細書において提供するさらに別の態様は、本明細書に記載されている絹をベースとする材料を使用する方法に関する。方法は、(a)絹フィブロインを含む絹をベースとする材料、および生体試料の1つまたは複数の実施形態を提供するステップと、(b)生体試料の少なくとも1種の構成成分を少なくとも1つの分析に供するステップとを含む。
一部の実施形態では、絹をベースとする材料は、生体試料と絹フィブロインとを接触させることによって形成することができる。絹をベースとする材料を形成する方法を本明細書に記載する。一部の実施形態では、絹をベースとする材料は、液体状態でよい。他の実施形態では、絹をベースとする材料は、溶解可能な固体状態の材料(例えば、これらに限定されないが、溶解可能な絹をベースとするフィルム、または発泡体)でよい。一部の実施形態では、疾患または障害の診断を必要としている対象または患者は、生体試料を提供し、生体試料と絹フィブロインとを接触させ、絹をベースとする材料を形成することができ、次いでこれを分析のために診断試験実験室に送る。一部の実施形態では、生体試料は、臨床現場において熟練した専門家が対象から集めることができ、次いで、生体試料を絹フィブロインと接触させ、絹をベースとする材料を形成し、分析のために診断試験実験室に送る。
一部の実施形態では、生体試料の少なくとも1つの構成成分は、生体試料から構成成分を単離することなく、検出および/または分析することができる一方で、代わりの実施形態では、構成成分は、検出および/または分析の前に、当技術分野において公知の任意の方法を使用して、絹をベースとする材料の少なくとも一部分から抽出または回収することができる。本明細書に記載されている絹をベースとする材料の一部の実施形態によると、絹をベースとする材料は、水溶液(例えば、水、緩衝化溶液、またはこれらの組合せ)中にて可溶性でよい。セルロースをベースとする技術、例えば、血液が濾紙上に吸収され、その後回収されることが困難である乾燥血液スポットとは異なり、本明細書に記載されている溶解可能な絹をベースとする材料の少なくとも一部分は、水溶液(例えば、水、緩衝化溶液、またはこれらの組合せ)に可溶化することができる。次いで、最終の絹/生体試料溶液は、さらなる精製を伴わずに、通例の液体アッセイ、例えば、実施例において記載されているようなELISAおよびLuminex(商標)アッセイを受け入れることができる。したがって、一部の実施形態では、方法は、生体試料の前記少なくとも1種の構成成分を少なくとも1つの分析に供する前に、絹をベースとする材料の少なくとも一部分と水溶液(例えば、水、緩衝化溶液、またはこれらの組合せ)とを接触させることをさらに含むことができる。
様々なタイプの分析は、例えば、作用物質/構成成分の本質によって、生体試料の活性作用物質/標的構成成分上で行うことができる。分析の非限定的例は、これらに限定されないが、ジェノタイピング、核酸配列決定、発現分析(例えば、タンパク質レベル、または転写物レベル)、結合親和性、酵素活性、トランスフェクション効率性、細胞計数、細胞同定、細胞生存率、免疫原性、感染性、代謝物プロファイリング、および任意のこれらの組合せを含むことができる。一部の実施形態では、生体試料の少なくとも1種の構成成分は、少なくとも1つのジェノタイピングまたは核酸配列決定分析、発現分析(例えば、タンパク質レベルおよび/もしくは転写物レベル)、代謝物プロファイリング、または任意のこれらの組合せに供することができる。これらの分析を行う様々な方法には、これらに限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイム定量的PCR、マイクロアレイ、ウエスタンブロット、免疫組織化学分析、酵素結合吸収度アッセイ(ELISA)、質量分析法、核酸配列決定、フローサイトメトリー、ガスクロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴(NMR)分光法、または任意のこれらの組合せが含まれてもよい。核酸配列決定のための技術は当技術分野において公知であり、構成成分をアッセイし、核酸または遺伝子発現測定、例えば、これらに限定されないが、DNA配列決定、RNA配列決定、デノボ配列決定、次世代配列決定、例えば、大規模並列シグネチャー配列決定(MPSS)、ポロニー配列決定、ピロシーケンス、Illumina(Solexa)配列決定、SOLiD配列決定、イオン半導体配列決定、DNAナノボール配列決定、Heliscope単一分子配列決定、単一分子リアルタイム(SMRT)配列決定)、ナノポアDNA配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、質量分析法による配列決定、マイクロフルイディックサンガー配列決定、顕微鏡観察をベースとする配列決定法、RNAポリメラーゼ(RNAP)配列決定、または任意のこれらの組合せを決定するために使用することができる。
一部の実施形態では、少なくとも1つの分析を、読出し機器またはシステムとインターフェースをとることができるフォーマットで行うことができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの分析は、システム上で行うことができる。
一部の実施形態では、分析、または絹をベースとする材料と水溶液との接触の前に、絹をベースとする材料はより小さなポーションに縮小または分注することができ、例えば、これらのいくつかは後の分析のためにとっておくことができ、かつ/または異なる標的構成成分(例えば、タンパク質、核酸、および/もしくは代謝物)について分析することができる。絹をベースとする材料は、重量によって、または容量によってより小さな部分に分注することができる。
以下の実施例は、本発明の一部の実施形態および態様を例示する。本発明の趣旨および範囲を変更することなく、様々な改変、付加、置換などを行うことができ、そうした改変および変更が、以下の特許請求の範囲において定義されるような本発明の範囲内に包含されることは、当業者に明らかであろう。以下の実施例は本発明を限定するものではまったくない。
(実施例1)
絹フィブロインを含む組成物および特徴付けをもたらすために使用される例示的な材料および方法
絹フィブロイン溶液。カイコBombyx moriの繭を、Sofia Sら(2001年)Journal of Biomedical Materials Research、54巻、139〜148頁に記載されているような修正抽出工程により精練した。低分子量絹フィブロインの組成物を作製するための例示的なプロトコールを本明細書で示す。
− 繭を切断し、繭の内部から蛹、蛹の皮膚およびその他の汚れを除去する;
− 約60分間またはそれ超の精練時間を使用して約0.02Mの沸騰炭酸ナトリウム(NaCO)溶液中で繭ピースを精練する;
− 水(例えば、Milli−Q water)中で、精練された絹フィブロインを、毎回少なくとも30分間、少なくとも3回濯ぐ。
− 濯いだ絹フィブロインを空気乾燥する。
− 絹フィブロインを、60℃で9.3M臭化リチウム溶液(Sigma Aldrich、MO、USA、ReagentPlus>99%)に溶解し、例えば、Slide−a−Lyzer透析カセット(Thermo Scientific、IL、USA、MWCO 3,500)を用いて、定期的に、例えば6時間毎に水を取り替えながら約2日間、水(例えば、Milli−Q water)に対して透析させる。
− 得られた絹水溶液を、毎回約11,000rpmで20分間、2回遠心分離する。
− 得られた低分子量絹フィブロイン水溶液は7%wt/vol〜9%wt/volの間の絹フィブロインの濃度を有する。この時点までで、この絹フィブロイン溶液を精製したままの溶液と称する。この精製したままの絹フィブロイン溶液をさらにオートクレーブ処理ステップに供することができる。そこで、この絹フィブロイン溶液をオートクレーブ処理した溶液と称する。
− 絹フィブロイン溶液を4℃で保存する。
固体状態の絹フィブロインの調製。図1に概要を示したように、精製したままの絹フィブロイン溶液またはオートクレーブ処理した絹フィブロイン溶液を、凍結ステップ、および一次乾燥ステップまたは一次乾燥ステップと二次乾燥ステップの組合せに供する。凍結ステップについては、絹フィブロイン溶液を大気圧下、室温〜−40℃で、0.8℃/minの速度で凍結させ、−40℃で480分間保持する。一次乾燥については、絹フィブロイン溶液を、100mtorr、−40℃〜−20℃で、0.2℃/minのランプ速度で乾燥し、−20℃で2400分間保持する。二次乾燥については、絹フィブロイン溶液を、100mtorr、−20℃〜4℃で、0.2℃/minのランプ速度で乾燥し、4℃で620分間保持する。凍結ステップおよび一次乾燥ステップの終わりに形成された絹フィブロイン発泡体を、一次乾燥だけ(Primary Dry Only)の発泡体(P)と称する。凍結ステップならびに一次乾燥および二次乾燥ステップの終わりに形成された絹フィブロイン発泡体を、一次+二次乾燥発泡体(P+S)と称する。絹発泡体を4℃、22℃または37℃で保存する。次いで絹フィブロイン溶液を、図1のフローダイヤグラムにしたがって絹発泡体を溶解することによって作製することができる。
特徴付け。ゲル電気泳動法を、異なる温度保存条件および煮沸時間のもとで絹発泡体から作製された絹フィブロイン溶液の分子量分布を決定するために使用する。図2は、分子量分布を定量化するために使用した方法を示す。フィブロイン分子の電気泳動移動度を、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法を使用して決定した。目的の各条件について、0.15%(1.5mg/mL)絹フィブロイン溶液を、3〜8%トリスアセテートゲル(NuPAGE、Life Technologies、Grand Island、NY)にロードする。ゲルを基準としての高分子量ラダー(Mark12タンパク質標準品、Life Technologies)で実行し、コロイダルブルー染色キット(Life Technologies)で染色した。絹溶液の分子量分布を、ゲルを画像化し、ピクセル密度分析を実施し、1つのピーク強度値についてすべてのレーンにわたって正規化することによって決定した(ImageJ、NIH、Bethesda、MD)。基準フレームとして使用される分子量ラダーを含む矩形のブラケットを、各レーンに適用した。ブラケットを、スメアの出発点のすぐ上に置き、21.5kDaマーカーのポイントで、底部でのタンパク質スメアのバウンドを超えて拡げた。
ImageJソフトウェアは、矩形部を水平に横断してピクセル強度を自動的に平均化し、次いで、スメアの長さ方向に下ってこの平均をプロットする(スメアの頂部=左、スメアの底部=右)。以下の通りにして、ラダー位置を使用してブラケットを作製する:
1)200kDa超(スメア頂部から200kDaのラダー位置まで)
2)200kDa〜116kDa
3)116kDa〜66.3kDa
4)66.3kDa〜36.5kDa(分解可能な最小の分子量位置)
それぞれの分子量ブラケットにおけるパーセンテージでの分子量分布を定義するために、各ブラケット内の曲線下面積(最小バックグラウンド閾値より上)を、スメアバウンドの頂部と底部の間の全面積に対して正規化する。次いで、分子量の変化を半定量化するために、ブラケットで囲まれた範囲を、異なる煮沸時間により作製された試料にわたってプロットする。例えば、図2Bにおいて、200kDa超の分子量を有する絹フィブロインのパーセンテージは次式:
を使用して計算することができる。
図3、図4および図5は、それぞれ4℃、22℃および37℃で保存した絹発泡体から得られた絹フィブロイン溶液の分子量分布を示す。各保存温度について2種類の絹発泡体、すなわち:一次乾燥による絹発泡体、および一次乾燥と二次乾燥の両方による絹発泡体を使用した。試験したすべての絹発泡体試料について、200kDaまたはそれ超の分子量を有する絹フィブロインのパーセンテージは、精練時間が増大するにしたがって低下する。一方、120kDa以下の分子量を有する絹フィブロインのパーセンテージは、精練時間が増大するにしたがって増大する。長い精練時間(60分間またはそれ超)の結果として、本明細書で説明する低分子量絹フィブロインは:その集団中の絹フィブロイン断片の全数(または全モル数)または全重量の15%以下が200kDaを超える分子量を有し、集団中の絹フィブロイン断片の総数(または全モル数)または全重量の少なくとも50%が指定された範囲の分子量を有し、ここでその指定された範囲が約3.5kDa〜約120kDaの間または約5kDa〜約125kDaの間であることに特徴付けられる、分子量の範囲を有する絹フィブロイン断片の集団を含む。
図1に示した凍結乾燥システムからの粉砕した絹粉末の溶解度差を比較するために、i)煮沸時間、およびii)図1の可溶化比の表にしたがった粉末ローディングの質量を変えながら、試験を実施した。溶液の絹濃度を重量/体積%の単位で直接測定するために、フィルムを各回収溶液からキャストした。乾燥と計量が完了したら、次いで絹を水に不溶性にするまたは下流での固化技術の有用性を阻害する、架橋した立体配座状態がまったく存在しないことを確認するために、フィルムを、FTIRを使用して二次構造について測定した。架橋した水不溶性の構造を形成するそれらの能力を実証するために、これらの固体フィルムをメタノールで処理した。回収された溶液の測定濃度を、初期絹粉末ローディング質量でグループ化して以下の図6に示す。参考のため、「精製したままの」絹系と「オートクレーブ処理した」絹系の両方の分子量分布も図6に含める。
図6の作製フィルムを、構造を確認するためにJasco FTIR装置で評価した。図7で示すように、アミドIおよびIIの領域は、キャストされたままのフィルムについて、およそ1650cm−1および1525cm−1を中心とした特性ピークを示しており、これは、ほぼ非晶質の「絹I」高次構造(すなわち、架橋していない)を示唆している。しかし、これらのフィルムを90%v/vのメタノールで1時間処理した後、アミドI領域は右へシフトし、1700cm−1で小さい肩を含んでいるが、アミドIIは1535cm−1で、より幅広い肩へシフトしている。これらのメタノール誘発の変化は、「絹II」確認の特徴を示すβ−シート構造の形成に起因している。
6カ月間の発泡体安定性。実験を、種々の温度条件で6カ月間保存した後、変動する煮沸時間の凍結乾燥絹を粉砕することによって形成された絹粉末の溶解度を比較するために行った。図8は、一次乾燥だけを使用して形成された発泡体からの結果を示し、図9は、一次および二次乾燥を使用して形成された発泡体を示す。
6カ月間のフィルム安定性。実験を、図10で示すような種々の温度条件で6カ月間保存した後、厚肉絹フィルムと薄肉絹フィルムの溶解度を比較するために行った。
(実施例2)
絹−血液試料からの血液回収
材料および方法。新鮮なドナー血液(バキュテナーチューブ(Vacutainer tube)、Na−ヘパリン抗凝血剤、Research Blood Components、Brighton、MA)を、採血して1時間以内に単一のドナーから受け取った。次いで、血漿を単離するために、チューブを直ちに1000×gで遠心分離した。次いで血漿アリコートを直ちに凍結して陽性対照として供した。絹溶液を、上記したようにして、カイコBombyx moriの繭から調製した。繭を、0.02M NaCOの溶液中で煮沸することによって、10、20、30または60分間精練した。絹フィルムをポリジメチルシロキサン(PDMS)表面上にキャストした。そこでは、100μLの血液または血漿を1.9mLの絹溶液(煮沸時間に関係なく水中に約8wt%)と混合し、次いで、2mLを、厚肉フィルム(3×2.5cm直径キャスティング表面)かまたは薄肉フィルム(3×表面上に7.5cm直径キャスティング)としてキャストした。フィルムを終夜(8hr)乾燥した後、分析用に試料を40mgクーポンに切断する。予備的な実験では、10mgおよび40mgのクーポンを、そのポイントで40mgが回収試験に適していると確認されている(データは示していない)標準曲線内に、分析に必要な質量ローディングを調整するため、ELISA読み取り用に血漿および血液フィルムから調製した。フィルムを希釈剤としての960μLのPBSに加え、5秒間渦巻き混合し、次いで、利用できる上清を使用して直ちにアッセイした。すべてのELISA(表1でabCAMまたはR&D Systems)について、凍結血漿アリコートを製造業者の推奨にしたがって(1:100〜1:8000)希釈し、溶解した血液および血漿フィルムを、回収率の理論推定値をもとにして40×小さい希釈率で試験した。

血漿および血液の回収率の計算。血液および血漿クーポンから回収されたタンパク質の値を、ドナーに適合させた血漿において見られる濃度に正確に変換し、それによって回収効率を決定するために、血液および血漿のいくつかの物理学的測定を行った。血液または血漿のwt/vol割合(wt%)(すなわち、単位体積[mL]当たりの血液または血漿固体[g])を、既知の体積の全血または血漿をドラフト中で24hr乾燥し、残留質量を測定することによって決定した。次いで、血液の体積当たりの血漿固体の重量割合を、血液の血漿体積を55%と仮定することによって推定した。各フィルムの重量当たりの血漿固体を、どの100μLの血液キャスティング溶液においても約20mgの全血(表2の値による)および144mgの絹が含まれており、血漿キャスティング溶液についても同じであるという知見によって計算した。

最後に、アッセイにおける、血漿または血液の理論ローディングを上記割合から計算することができる。各20mgクーポン中の血漿固体に、アッセイで測定した血漿濃度[mg/mL]を乗じ、次いでこれを、所与の[1.02mL]PBS再懸濁体積中の全血漿固体質量に対して正規化する。我々の分析において行った仮定を例示するために、また、理論ローディング値から正確な回収率推定値を決定するのに物理的な血液および血漿パラメーターを如何に取り込んだかを示すために、これらの計算を以下に示す。

試料回収率を、血漿および血液の回収率の計算の節の説明にしたがって計算した。試料分散を、同じドナーからの繰り返し試料による3連の読み取りをもとにして計算した。結果を、α=0.05のファミリーワイズの有意性レベルで多重比較およびチューキーの補正テストで2元配置ANOVAを使用して、異なる煮沸時間および異なる厚さ(「厚肉」対「薄肉」)を使用して調製したフィルム間で比較した。
結果。本発明者らは、モデルマーカーとしてのCRPおよびフィブリノゲンについて、絹からの回収率は、統計的に有意なレベルで煮沸時間とフィルム厚さの両方に依存し(図11を参照されたい);さらに、CRPの場合、血液回収率と血漿回収率の両方について、厚さと煮沸時間の変数は強い相互作用効果を有していることを見出した。これは、絹マトリックスからの回収率を改善する付加的な特徴を示唆している。具体的な比較に関して、60分間煮沸した絹は、煮沸時間および厚さに関係なく最大の回収率を提供するマトリックスを形成し、他方、より短い煮沸時間系は、用量依存的な仕方で回収可能性が低下した。どの煮沸時間についても、それほどそうというわけではないが、厚肉フィルムは、試料種類(血液対血漿)に関係なく、より薄い対応物と比較して、大量の分析物の解放という点で圧倒的により効果的であった。
(実施例3)
絹フィブロイン溶液における塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の安定化
絹溶液を、上述したカイコBombyx moriの繭から調製した。0.02M NaCOの溶液中で煮沸することによって、繭を10、20または60分間精練した。絹溶液は1w/v%または4w/v%であり、1×PBSを含むかまたは緩衝液を含まない。絹溶液は、精製したままのものであるかまたはオートクレーブ処理したものである。以下の対照:1×PBS中に0.1%BSA、1×PBS中に1.0%BSAおよび1×PBSを使用する。bFGFを各溶液に加えて250ng/mLの最終濃度にする。すべてのbFGF含有溶液を37℃で1週間保存し、次いで回収率を測定する。図12は、絹フィブロイン溶液からのbFGF回収率を示しており、これは、低分子量絹フィブロインがより高い回収率をもたらすことができることを実証しており、特に、PBS中に1%の低MW絹は、使用した絹がオートクレーブ処理されているかまたは精製したまま(すなわち「ニート絹」)であるかどうかにかかわらず、最も期待できるbFGF回収率をもたらすことを実証している。図12Aおよび図12Bの赤色の点線は、PBS対照の値を示す。
ゲル化をモニターする実験については、bFGFを添加しない。550nmでの吸収(Matsumoto+、2006年)を、ゲル化をモニターするために使用する。図13Aおよび図13Bは、精製したままの絹フィブロイン溶液およびオートクレーブ処理した絹フィブロイン溶液についてのゲル化結果を示す。図14は、それぞれ4℃、22℃および37℃での(A)精製したままの絹フィブロイン溶液および(B)オートクレーブ処理した絹フィブロイン溶液についてのゲル化状態を示す。
本明細書および実施例において特定されているすべての特許および他の出版物を、すべての目的で、明確に参照により本明細書に組み込む。これらの出版物は、本出願の出願日以前のそれらの開示についてだけ提供される。この関連で、本発明者らが、先願発明のためまたは他の理由で、そうした開示に先行する資格がないことを承認するものと解釈されるべきではない。すべての、日付に関する記述またはこれらの文書の内容に関する表現は、出願者らが利用できる情報をもとにしており、これらの文書の日付または内容の正確さに関して何ら承認を構成するものではない。
(実施例4)
絹フィブロインマトリックスでの血液および血液構成成分の安定化
セルロースベースの技術は、現在、生物検体保存の市場空間を支配している。乾燥血液スポット(DBS)検体を、指、かかとまたは足指からランセットで採血した数滴の血液を特製の吸収性濾紙上に塗布することによって採取する。これらの紙マトリックスは、独占所有のケミストリーおよび/または埋め込み酵素阻害剤で設計することができる。実験室で乾燥が済んだら、技術者は自動または手動の穴あけ器を使用してシートから飽和紙の小さな円盤状物を分離し、その円盤状物を平底のマイクロタイタープレートに落とす。血液を、緩衝食塩水中、4℃で終夜溶出させる。得られた溶出物質を含有するプレートは、それから、後続する試験のための希釈液を作製することができる「マスター」を形成する。このように、1960年代以降、濾紙は、個別診断および公衆衛生目的のために血液を採取するのに使用されてきている(Guthrie and Susi、1963年)。CDCは、最近20〜30年間にわたる文献引用から集められた、DBSを使用して安定化された物質のアクティブリストをそのウェブサイト(www.cdc.gov/labstandards/nsqap_bloodspots.html)上に維持しており、血液スポットのための独立の品質管理プログラムを維持している。カードが、「Whatman FTAカード技術」として、Whatman(登録商標)から最初に製造販売されており、それ以来、GE Healthcare、GlaxoSmithKlineおよびAlturas Analyticsからリパックして販売されている。Ahlstromなどの新規の企業も、同様の液体濾過および安定化能力を有する繊維複合体を市販している(www.ahlstrom.com/en/products/enduseApplication/medicalAndHealthcare/laboratoryAndDiagnosticsFiltration/Pages/Diagnosticfiltration.aspx)。
30年超、研究者によって、DBS試料における、多くの障害についてのマーカーの温度/安定性の関係が研究されており、特に、低容量分析および遠隔診断に対する需要のため、新生のスクリーニングの用途に焦点が当てられている。したがって、研究者は、どの紙フォーマットも目的のすべての分析物をカバーするのに適してはおらず、いくつかのマーカーは化学的に修正されたカードを使用しても十分に回収されていないことを発見している。これらの紙ベースのシステムのいくつかの具体的な欠点も、幅広い臨床状況における長年の評価によって見出されている。DBS検体は、達成可能な検出下限(LLOD)、およびそれにわたって妥当な量的区別があるダイナミックレンジに対して制約をもたらす(Andreottiら、2010年)。検体の完全性を確実にすることは、RNAウイルスのための分子的試験についてロジスティックな制約のままでもある(Dinevaら、2007年;Purenら、2010年)。したがって、生物学的試料および/またはその構成成分を(例えば、周囲条件で)安定化させ、検出および/または分析用の安定化された試料から様々な分析物の十分な量での回収を可能にすることができる改善された技術および/または生産物の必要性がある。
大規模スクリーニング試験(疫学的または毒物学的)においては、現場での、訓練を受けた瀉血専門医の不足、または静脈穿刺などの侵襲的なサンプリング手法に対する一般的な嫌悪感のため、非常に小さい毛細血管血液試料が、大部分の患者から、指またはかかとへの穿刺によって入手できる。さらに、ヒトの全血および血液構成成分は非常に不安定である可能性があり、したがって、ヒトの健康の診断評価用に試料品質を維持/保持するために特別の取扱いが必要である。採血または血液の画分(血漿、血清、バフィーコート、ヘマトクリット等)を保存または取り扱う一般的な方法は、試料完全性を保持するために、凍結(cold-freezing)(−20℃)によるか、または高度に不安定なRNAの場合、超低温(−80℃)にすることである。採取場所(現地、病院等)から、直接分析または血漿タンパク質/RNAのさらなる抽出のためのラボへの生物学的試料の輸送は、発泡スチレンボックスやドライアイスなどのかさばった材料の使用が必要となるため、しばしば、実行するのに非常にコストがかかることになる。そうしたかさばった包装は、地域的な輸送でも、しばしば高価な輸送費をもたらす(表3を参照されたい)。

いくつかの発展途上国または遠隔地の現場条件では、持続的な低温保存を支援するための最小限のインフラも存在しておらず、したがって、実行できる診断精密検査の範囲が限定される。残念なことに、これが、薬物動態学的(PK)スクリーニングのため、または、治療効能をモニターするため、および二次治療への適切な切り替えを指導するための安価で/持続性のある保存フォーマットが極めて必要とされている、これらの限られた資源の状況である。さらに、疾病対策予防センター(CDC)などの連邦組織によって行われるような集団的な疫学的スクリーニングは、低侵襲的な小さい試料ボリュームの回収にもっぱら依存する、試料安定化でのより合理化されたアプローチによって大きな恩恵を受けることになる(Meiら、2001年)。もし、これらのコミュニティーが、限られてはいても、既存のインフラ状況によって、生物学的材料を送り出すために、簡単で安価なツールセットを利用できれば、我々は、世界的規模の健康モニタリングのパラダイムシフトを見ることができ、より多くの国際的な第II/III相臨床試験を容易にすることになる。
この試験では、本発明者らは、適切に調製され再構成された絹フィブロインは、全血および血液構成成分を、長期にわたりある保存温度範囲で安定化させることができ、分析用の構成成分の回収を可能にすることを実証する実験を開示する。絹タンパク質溶液を液体状態でこれらの構成成分と混合し、次いで、生物製剤/絹複合体を空気乾燥して、安定化フォーマットとして作用する薄肉フィルムにする。あるいは、不安定な少量の核酸分子を、絹タンパク質を使用して同様に安定化できることを実証する迅速な固化手法を提供するために、核酸を含有する再構成された絹溶液を凍結乾燥することができる。本明細書で説明する絹安定化のこれらの実施形態は、活性作用物質および/または生物学的試料用の保護剤としての、絹タンパク質の独特な特徴の最近の発見をベースとした基盤をさらに拡大する。保護剤または安定剤としての絹タンパク質の使用に加えて、本発明者らは、本明細書で、絹処理特性の調節は、最終安定化マトリックスの溶解特性を少なくとも部分的に決定することができ、これは、次いで診断ならびにいくつかの治療状況において使用される分析のための生物学的試料を回収する能力を決定づけることができることを示す。
一実施形態では、本発明者らは、特に、高レベルの血漿タンパク質は、凍結した液状血漿保存フォーマット(至適基準)と比較して、絹安定化された全血または血漿から単離することができることを実証する。評価されるいくつかのマーカーの場合、至適基準と比較して、絹安定化フォーマットは、少量の血漿タンパク質の保持を改善した。核酸の場合、驚くべきことに、保存温度に関係なく、RNAse不活性化絹溶液の存在下で取り込まれた大量のRNAが非常に良く回収されることを発見した。総合すれば、これらの発見は、再構成された絹溶液は、例えば、診断の分野、特にポイントオブケア診断、試料の保存および試料の他の地域への輸送のため、かつ/または保存された生物検体について進歩した診断が実施されることを要求する遠隔地の患者に役立てるために、使用できる様々な製品のために構成できることを示している。一部の実施形態では、絹中で安定化された血液試料は、血液が抜き取られる(指穿刺または静脈採血によって)遠隔環境を、患者の健康のマーカーについて血液構成成分を分析することができる集中ラボと連結するコールドチェーンを迂回する(すなわち、連続した中断されない低温保存)のを助けることができる。
血液の乾式保存用に現在市販されている他の唯一の技術は紙をベースとした技術(Whatman(登録商標)FTA乾燥血液スポットカード)であるが、それがコールドチェーン性能評価指標に適合できないため、この手法は、広く採用されてはいない。この意味で、絹安定化技術は、紙ベースのデバイスに取って代わり、コールドチェーン保存への依存からパラダイムをシフトさせるのに使用することができ、絹デバイスのための新たな市場を開くことができる。さらに、本明細書で提示する様々な態様の一部の実施形態は、他の形態の試料採取、例えば尿、唾液および他の体液または同様の診断有用性のある細胞に適用することができる。
(実施例5)
絹フィブロインの向上した/最適な溶解度のための絹処理調節
絹フィブロインから誘導された材料の性能に対する異なる処理条件の影響は、これまで評価されており、これらの性能評価指標には、機械的性能をモジュレートする方法、分解性および生物学的放出特性が含まれる(Altmanら、2003年;Pritchardら、2013年;Vepari and Kaplan、2007年)。しかし、オンデマンドでかつ完全な仕方で生物製剤(あらゆる種類の)を取り込み回収するためにそれらの溶解度を最適化する示された目的で、絹から誘導された固体マトリックスを操作するストラテジーを規定している文献は得られない。本発明者らは、絹誘導マトリックスの溶解特性は、その一部がこれまでに文献で特定されている(しかしこの目的のために使用されてはいない)タンパク質特異的な処理パラメーター、および本明細書で説明する他の新規の修正法によって操作できることを発見した。本明細書では、従来利用できる手法を増補するタンパク質処理調節のための方式は、それによって、絹材料が、様々な目的のために、有意に抽出され/分析された、可溶化し取り込まれた材料であり得る最適の手段を提供することを示す。さらに、その現場環境で使用された場合にそれらが遭遇する可能性のある様々な温度条件に対するそれらの安定性を立証するために、保存実験を、代表的な絹フィルムおよび凍結乾燥された発泡体配合物を使用して実施した。
絹溶解度に対する精練時間の効果を本明細書で評価した。具体的には、絹溶液を、煮沸時間を変えて、従来記載されているようにして精製した(Pritchardら、2013年)。簡潔に述べると、Bombyx moriカイコ絹の繭をTajima Shoji Co.,LTD(横浜市中区住吉町、日本)から購入した。0.02M NaCOの溶液中で煮沸することによって、繭を10、20、30または60分間精練した。精練されたフィブロインを濯ぎ、次いで周囲条件で終夜乾燥した。乾燥したフィブロインを9.3M LiBr水溶液に可溶化し、Slide−a−Lyzer透析カセット(分子量カットオフ(MWCO)3.5kDa(Pierce Thermo Scientific Inc.、Rockford、IL)を使用して蒸留水に対して2.5d透析し、遠心分離した。既知の体積の溶液試料から水を蒸発させて、絹フィブロイン濃度(w/vで)を決定した。使用するまで、すべての溶液を4℃で保存した。
絹マトリックスを、フィルムキャスティング法かまたは凍結乾燥法による約10〜60分間煮沸(MB)溶液を使用して調製した。また、60MB溶液を、滅菌代替法として、標準的な20分間オートクレーブ条件を使用してオートクレーブ処理した。4wt/v%絹溶液をポリジメチルシロキサン(PDMS)表面上にピペット操作して3連で絹フィルムを作製した。連続したフィルム構造としての取り出しをなお可能にしながら、薄肉フィルムがPDMS表面上にできるだけ展延されるように設計した。逆に、厚肉フィルムは、慣行的なピペット操作手順のもとでできるだけ厚く設計した。これら2つのフィルムキャスティング手順は、マルチウェルプレート、ペトリ皿で、または潜在的に現場条件において試料をピペット操作する場合に遭遇する実際的なシナリオを表している。キャスティング手法を図15に図式的に示す。
凍結乾燥された発泡体試料について、絹発泡体中でモノクローナル抗体を安定化させるために従来記載されているプロトコール(Guziewiczら、2011年)を利用して、1.5mLの4w/v%溶液およびVirTis Genesis 25L Super XL凍結乾機を使用した。最初に、試料を標準的な実験用冷凍庫中、−20℃で凍結させ、次いで凍結乾燥機を使用して試料を−45℃に冷却し続け、次いで、一次乾燥(vac 100mT、−20℃)を開始した。試料の半分はこの時点までで完了し、残留する結合水を絹から十分に除去するために、半分をさらに二次乾燥(vac 100mT、35℃)にかけた。
絹フィルムと凍結乾燥された発泡体の両方の場合、異なる保存温度(4℃、25℃、37℃)で保持した後、試料を、指定された時間点、0日目、6カ月および1年ペンディング)で取り出した。絹フィルムを切断し、分析用てんびんを使用して40mg試料を量り取った。絹発泡体を、分析用ミルを使用して15秒間粉砕し、分析用てんびんを使用して15mg試料を量り取った。両方の場合、試料当たり60mgの出発質量を想定した。すべての試料を、2mLエッペンドルフ管中で、1mLの超純水(UPW)と混合し、10秒間渦巻き混合し、1000×gで10分間遠心分離した。再溶解性を評価するために、250μLのアリコートを取り出し、初期絹濃度を評価するために行ったようにして、絹w/v%の測定用に、追加的なPDMS表面上にキャストした。
結果および考察
生物製剤をカプセル化する前に、絹精製手法を特定し、完全に溶解性の絹ベースの材料フォーマットが得られる調製方法を構築することを検討した。図16および図17で示すように、精製スキームの開始時点で絹繭を長時間(≦60分間)煮沸することによって、フィルムおよび発泡体の溶解度をそれぞれ効果的に増大させることができる。
図18および図19で示すように、薄肉および厚肉の絹フィルムの溶解度を、種々の温度条件で6カ月間保存した後でも比較した。この発見は、絹フィルムの溶解特性は、煮沸時間に関係なく非常に安定しており、現場で使用するために長い(high)煮沸時間が選択された場合でも、これらの特徴は、取り込まれた生物製剤を回収する能力を損なわないことを示している。
溶解度および温度安定性に関して、再構成された絹フィブロイン材料の挙動を評価した後、いくつかの実施上の配慮点を以下にまとめる:
− フィルムおよび発泡体(またはその粉末)などの固体マトリックスに成形された試料を、オンデマンドでの分配および/または使用のための保存安定性のある絹配合物として利用することができ、これらは、一般に、溶液形態の絹(これは通常ゲル化するまでに3〜4カ月の保管寿命を有する)よりずっと安定である。さらに、温度プロファイルが変動するのに加えて、しばしば掻き混ぜに遭遇する長距離輸送条件の場合、固体マトリックスはずっと弾力性がある。
− 長期温度安定性は、絹材料が取り込み用マトリックスとして使用され、分析物の回収が、一部、持続的な溶解特性に依存する現場条件に望ましい可能性がある。
− 他の取り込まれた材料の存在下、またはそれとの混合物中での絹の溶解度は、例えば、取り込まれた生物製剤と絹の比、取り込まれた材料の種類(例えば、これらに限定されないが、尿、血液、糞便、耳垢、精製または非精製DNA/RNA/抗体、治療薬等)、および/またはこれらの生物製剤の安定化を助けるのに一般に使用される緩衝液/添加剤に依存し得る。
絹ベースの材料またはマトリックスの溶解度は、例えば:フィルムまたは発泡体の水へのローディングを低下(例えば、それぞれ4%より低く、または1.5%w/vより低く)させることによって最適化することができる。本発明者らは、この試験のためにこれらの値を使用したが、ローディングの飽和を、溶解度を最適化するために使用することができる。
例えば、強制空気、湿度の低下(周囲より低く)、温度の増大等のいずれかによる、フィルムの乾燥速度を加速する手段。理論に拘泥するわけではないが、この機序は、多分部分的に、本明細書で見られる薄肉フィルム溶解度の改善に関係していると考えられる。
発泡体品質を改善する、かつ/または絹ベースの材料において結晶化を誘発する可能性のある条件への曝露時間を減少させるための凍結乾燥条件。
60分間超の長い煮沸時間、または酵素消化、濾過、クロマトグラフィー等による精製の間に、絹の高い分子量画分(例えば、重鎖および/または長い疎水性配列)を選択的に除去するための方法。
分子量を低下させる、かつ/または不溶性微粒子を除去するのを続行するのに役に立つ可能性のある、例えばオートクレーブ処理および滅菌濾過を含む滅菌の手段。
(実施例6)
絹フィブロインベースの材料における全血および血漿の安定化
診断の応用空間において、長期間にわたって、かつ有害な環境条件の関連で、溶解度を最適化した絹マトリックスを、ヒトの全血および血液構成成分を安定化させるためにさらに使用できることを実証することが望ましい。この目的のために、本発明者らは、最初に、再構成された絹の特定のフォーマットから一旦回収されたある範囲のドナーからの血漿および血液タンパク質の相対的存在量を測定するのに使用できる、臨床的に関連する分析ツールの幅を実証するために、予備的な試験を実施した。これらの測定値は、臨床精密検査のために現在使用されているフォーマットであるドナーに適合させた新鮮なまたは凍結した血漿に対して実施された測定値と一致しているはずである。この機能性を実証するために、血漿をドナー静脈血液から単離し、大量の全血かまたは血漿(血液穿刺に相当する体積で)を、絹フィブロイン中に取り込んだ。次いで絹/血液または絹/血漿の複合体マトリックスを空気乾燥させた。次いでこれらのマトリックスを緩衝食塩水溶液に再可溶化させ、分析物を溶液状態で回収した。
標準的なELISAウェルプレート法を、最初に、絹タンパク質は別として、血液中のマーカーを確認するため、または、逆に絹の干渉に起因して損なわれている可能性のある特定のマーカーを確認するための、免疫親和性ベースの手法を実証するために使用した。次いでELISAの結果を、バイオマーカー定量化のためのハイスループットアプローチと比較した。具体的には、それが、同様の抗体ベースの検出法を使用するが同じ試料において同時に複数タグを多重化する能力を有するので、LuminexTMプラットホームをハイスループット法として使用した。原理上は、LuminexTMアプローチは、より少ない試料しか必要とせずに、より多くの分析物を検出できるようにする。順に、この試料多重化は、診断の信頼性のために多くの補助的および確証的バイオマーカーを必要とする疾患(例えば、これに限定されないが、循環器疾患、CVD)のより迅速な検出を可能にする。さらに、これらの実験は、実際的に重要な問題、例えば、高分子量タンパク質残基によってもたらされる流体の潜在的な目詰まりのため、安定化マトリックス(例えば、可溶化した絹フィルムからの残留物)の存在が、LuminexTMプラットホームの有用性を損なう可能性があるかどうかに対処する。
上記の実験を実施するために、新鮮なドナー血液(バキュテナーチューブ、Na−ヘパリン抗凝血剤、Research Blood Components、Brighton、MA)を、採血して1時間以内に別個の3ドナーから受け取った。次いで、血漿単離用に、チューブを直ちに1000×gで遠心分離した。次いで血漿アリコートを直ちに凍結して陽性対照として供した。絹溶液を、従来記載されている(Luら、2010年)カイコBombyx moniの繭から調製した。絹フィルムをポリジメチルシロキサン(PDMS)表面上にキャストした。そこでは、3ドナーのそれぞれからの100μLの血液かまたは血漿を1.9mLの絹溶液(水中に7.6wt%)と混合し、次いで、空気乾燥するために大きな表面(8.5cm径のペトリ皿)にわたってキャストした。フィルムを終夜(8hr)乾燥した後、分析用に試料を打ち出す。例えば、10mgおよび40mgのクーポンを、標準曲線内に、分析に必要な質量ローディングを調整するため、ELISA読み取り用に血漿および血液フィルムから調製した。すべてのELISA(R&D Systems)について、凍結血漿アリコートを1:10および1:100で希釈し、同時に絹ベースのフィルム中の溶解した血液および血漿を希釈することなく試験した。

ハイスループット分析(例えば、LuminexTM CVDキットを使用、以下の表5)を、乾燥したフィルム試料および血漿アリコートで実施した。LuminexTMアッセイを、標準曲線検出限界内に入るように凍結血漿アリコートの希釈(1:2,000および1:20,000)を必要とする、製造業者の取扱説明書(EMD Millipore Corporation、Billerica、MA)にしたがって実行した。20mgの血液および血漿クーポンをそれぞれ1mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)に入れ、15秒間渦巻き混合させ、次いで、目視で溶解を確認するために2分間静置した。血漿アリコートと同様に、絹ベースのクーポン(およびブランクの絹対照)に溶解した血液および血漿をキット試薬中に1:200および1:2,000希釈して、絹フィルムフォーマットでの先の知見をもとにして潜在的回収率を算出した(account for)。

血漿および血液の回収率の計算:血液および血漿クーポンから回収されたタンパク質の値を、ドナーに適合させた血漿において見られる濃度に正確に変換するため、したがって回収効率を決定するために、実施例2において上述したようにして、最初に、血液および血漿のいくつかの物理学的測定を行った。
LuminexTMアッセイ結果についての統計:2元配置ANOVAを、2組の独立変数:i)3ドナーにわたって検出される血液または血漿のレベル、およびii)凍結血漿アリコートからの読み取りから計算した、理論クーポン回収率と比較した血液または血漿クーポン回収率の間の試料分散の供給源と比較するために実行した。試料分散を、LuminexTMアッセイからの3連の読み取りに基づいて計算し、この誤差を、血液および血漿重量割合などの物理的パラメーターにおける分散を調整することなく、クーポン回収率の計算にわたって持ち込んだ。結果は、P値<0.05で有意であると見なした。
これらの結果は、30分間煮沸した絹から形成された薄肉フィルム(PDMSコーティングされた8.5cmペトリ皿表面全体にわたってキャストされている)は、完全な溶解が望まれる用途に理想的であり得ることを示した。絹/血液と絹/血漿の混合により形成されたフィルムはさらなる分析用に容易に可溶化するフォーマットをもたらした(図20を参照されたい)。最大で40mgの乾燥マトリックスを、このフォーマットにおいて使用した。
ELISA結果:次いで回収した液体アリコートを、ヒト血漿についての製造業者のプロトコール(R&D Systems、上記表4)にしたがってELISAにより試験した。ドナーに適合させた血液からの血漿試料を、製造業者による取扱説明書にしたがってPBS中に1:10および1:100希釈し、これらを、絹クーポンからの回収効率を決定するために使用した。
図21のグラフは、ELISAキットは、ある分子量範囲(16〜150kDa)および濃度範囲(5.91ng/mL〜16.7mg/mL)で、選択されたバイオマーカーの臨床的に関連する量を検出できていることを示している。注目すべきことに、これらの値は、高いレプチンレベルおよび低いCRPレベルを含むドナープロファイル(アジア人、女性、年齢25才、無症候性)と一致しており(表6)、これは、アッセイの正確さおよび血漿の適切な調製を示している。より重要なことに、絹の混合、乾燥、キャスティングおよび再可溶化の後に回収された試料からの値は、ドナー血漿の直接の測定値と類似していた。約10mgクーポンと約40mgクーポン(それぞれn=6のアッセイ測定値)の両方がアッセイ標準曲線の範囲内にある値をもたらす場合、10mg群および40mg群の平均を平均し、理論ローディング値に対して正規化して回収率%を計算した(以下の表6にまとめる)。CRPおよびセルピンE1について、40mgクーポンだけがELISAの検出可能な範囲に入るのに十分な血液を放出した。したがって回収率%を単一のフィルム質量について報告する。

Luminex実験:LuminexTMシステムを、3つの異なるキットにわたって3つの異なるドナー血液試料間で6マーカーについて実行し、これらのアッセイの結果を図22に示す。
絹フィルムにおける取り込みの前に、3ドナーからの血液の物理的外観の差を観察し(静脈採血および輸送の後)、ドナー3は、明らかな溶血の兆候(すなわち、単離された血漿の発赤およびバキュテナーチューブの内側上のRBC塗抹を示した。Luminexアッセイは、ドナー間の変動と、全ドナーにわたる、全血から単離された血液タンパク質vs.精製血漿から単離されたタンパク質の相対量に対して敏感であるようであった。理論的なおよび測定された血漿についてすべての値は、実際の血液濃度より約60〜100%高かった(細胞画分の除去に起因して)。
2元配置ANOVAは、血液および血漿クーポンについてのsVCAMマーカーならびに血液クーポンについてのtPAI−1マーカーを例外として、Luminexシステムで測定した血液と血漿の両方の比較について、ドナー間における有意な(殆どの場合、高度に有意な)変動を示した。これは一部、tPAI−1、sVCAM−1およびハプトグロビンアッセイの感度ならびに使用される標準曲線に起因していた。例えば、ドナー2は、理論比較をより不正確にする1:20,000×希釈であっても、最も高いアッセイ標準値[50ng/mL]を超える血漿ハプトグロビンレベルを有していた。逆に、sVCAM−1およびtPAI−1の検出は、低末端の感度問題があり、それによって1:20,000×希釈でのすべての血漿値は最低のアッセイ標準(それぞれ0.08および0.016ng/mL)またはそれ未満であり;次いで、これは、高信頼度(大部分のドナーおよびクーポンタイプについてCV値>20%)でのクーポン回収率の定量化における困難さをもたらした。絹からの測定可能なバックグラウンドの欠如は、絹タンパク質がLuminexTM機器を妨害しないことを示している。
CVDパネルにおけるマーカーのうちの2つ、すなわちSAPおよびCRPは、理論ローディングレベル(凍結血漿アリコートをもとにした)と血液および血漿クーポン(絹フィブロインを有する)から回収されたレベルの間の高度の一致を示した。これらの2つのマーカーの場合、2元配置ANOVAは、ドナーからの変動の有意な供給源をもたらすが、凍結血漿と血液または血漿クーポンの間の有意差はない(p<0.05)。ドナーの差が試料セットにおける変動の>60%を占めるので、ドナーのフィブリノゲンとハプトグロビンレベルの間の差も、適合させた血液と血漿のクーポンレベル間のそれぞれの差よりはるかに大きかった。これらの発見は、ELISAキットでの先の結果を裏付けており、キャスティング/乾燥/再可溶化手法によって提供された分析物の十分な回収率を示している。さらに、特に、CRP試験は、2桁を超える範囲のドナーレベルにもかかわらず、クーポンと凍結血漿対照との間の優れた忠実性を示した。sVCAM−1、tPAI−1およびハプトグロビンアッセイでの上記課題は、ドナー間の差を検出する我々の能力を低減させており;したがって、これら3つの場合、ドナー−ドナー間の差による変動は、全体の試料変動に対して、血漿と凍結したアリコートとの間の忠実性より、統計的に、より有意に寄与するものとは考えられなかった。総合すれば、これら6つの異なるCVDマーカーは、いくつかのドナーレベルの較正は必要であるが、Luminexプラットホームを、我々の絹系において安定化した血液検出のために使用できることを実証している。
ELISAフォーマットから計算された血漿の絶対レベルをLuminexフォーマットと比較した場合、ELISAを使用したすべてのマーカーについて、Luminexアッセイと比較して、一貫して、より低い濃度が見出された(図23を参照されたい)。これらの差は、使用したマーカー(CRPとPAI−1が例として示されている)および各アッセイのダイナミックレンジ(10〜100,000ng/mL)に沿った位置に関係なく観察された。ELISAとLuminexの間で観察された差は、分析物に応じた度合いで変動した(例えば、CRPでは10倍の差であるが、PAI−1ではわずか2〜3倍の差である)。
驚くべきことに、最も大きい差は、ドナー1および2から単離された血漿とドナー3からの溶血した血漿の間のすべてのマーカーにわたって見られた。これはCRPについて特にそうであった。CRPの生理学的役割は、補体系を活性化するために、死細胞もしくは瀕死の細胞またはそれらの核構成成分の表面上に発現するホスホコリンと結合することである(Changら、2002年)。したがって、採血による細胞画分(WBCまたはRBC)に対する破壊が、CRPを、血漿調製の間にペレット化した細胞溶解物と会合させ、したがって血漿における検出には利用できなかった可能性がある。しかし、血液クーポンは非常に低いCRPレベルであることも示されているので、採血もしくは取扱いの際のin vitroでのRBCへの損傷がドナーについてのCRPレベルの全体的な希釈を引き起こしたか、または、単に、ドナーCRPレベルが本質的に低かった可能性もある。CRPのためのELISAスクリーンは、図22で示すようなLuminexキットにより報告されているように、ドナー3に対応する低い値が確認された。さらに、ELISAの結果は、ドナー3は、ドナー1および2(データは示していない)と比較して、レプチンの2倍の増大により、高い脂質レベルを含有していることを示した。理論に拘泥するわけではないが、脂肪分解は、ELISA法による不正確なCRP読み取りのソースである可能性があり(Martinez-Subiela and Ceron、2005年)、それによって、ビリルビンなどの種々の脂質での未使用の血漿のドーピングは、測定されるCRPの用量依存的な減少をもたらした。
時間経過の結果:3つの異なるドナー血液試料間で6つのマーカーについて37℃または室温で30日間保存した後、LuminexTMシステムを実行した。これらのアッセイの結果を図24に示す。0日目に当初観察されたのと同様の傾向が30日目で判定された(図22)。LuminexTMアッセイは、全ドナーにわたって、ドナー間の変動ならびに全血から単離された血液タンパク質vs.精製血漿から単離されたタンパク質の相対量の両方に対して敏感であった(データは示していない)。一部の実施形態では、tPAI−1およびVCAM−1マーカーは、それらの試料の希釈量を減少させることによって検出された。tPAI−1アッセイにおけるブランク絹対照からのいくつかのバックグラウンドが判定されたが、これは、そうした低い分析物レベルで悪化するこのマーカーのために使用される抗体間でのいくらかのクロストークを示している。tPAI−1の場合、すべてのフィルム含有試料からベースライン絹フィルム陰性対照を減じたが、それでも、クーポンtPAI−1レベルは、100%ベースラインに対してなおも上昇していた。
クーポンから測定され理論ローディングレベルに変換された分析物のすべての値は、CRPおよびハプトグロビンについての血液クーポン測定値を除いて、完全な100%の回収率を示した。これらの相違に対する、可能性のある生物学的根拠は上記で論じた。2元配置ANOVAは、異なる保存フォーマット間での有意(いくつかの場合、高度に有意である、P<0.01)な分散を示した。特に、絹ベースのクーポンから測定されたフィブリノゲンおよびsVCAM−1レベルは、保存条件に対して鈍感であるようであり、一方、それぞれの液状血漿レベルは減少しており、37℃で有意にそうであった。
図24で示すように、その各グラフ上の灰色の点線で示される30日目に測定された凍結血漿アリコートレベルは、0日目のベースライン値と常に適合しているわけではなかった。具体的には、CRPレベルは0日目のベースラインの80%であったが、フィブリノゲンレベルは、それらのそれぞれのベースラインの48%しかなかった。これは、至適基準の凍結/解凍手法を使用したフィブリノゲンの有意な分解を示しており、これは、フィルム安定化手法を使用すると回避されるようである。実際、従来の報告は、−80℃未満(例えば、本明細書で使用する−20℃の条件)の凍結温度で、ヘパリン化された血液から単離された血漿中で、小さな沈殿物が形成される可能性があること、および、一般に凝固因子のバイアビリティー/回収可能性の喪失に主に寄与するものであることを示している(Palmerら、1993年)。この挙動は、室温および37℃での液状血漿レベルから取られた対応するフィブリノゲンマーカーの分解によって強調される。フィブリノゲンおよび他の凝固因子の感受性は、絹系と比較した、使用抗凝血剤および保存温度の選択の関数として評価することができる。
4カ月で(図25)、絹系から回収されたタンパク質マーカーレベルは、多くの場合低下しているが、それでも、フィブリノゲンについては至適基準の低温保存条件を超える有意な性能増進、およびSAPなどの他のマーカーについては非常に高いレベルの維持を示した。
(実施例7)
絹フィブロインベースの材料におけるRNAの安定化
この実施例は、機能を失うことなく、RNAを、凍結乾燥絹溶液中に取り込み回収することができることを示す。RNAの回収率を最大化するために、一連の実験を実施して最適の溶液条件を確立した。例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)コード化mRNAを絹溶液と混合し、これに3日間の混合、凍結乾燥および回収プロトコールを施した。このプロトコールにしたがって、mRNAを超純水に再可溶化することによって回収し、RNA特異的な蛍光分析アッセイを、カプセル化および回収効率を定量するために使用した。さらに、凍結乾燥プロトコールを施しながら、溶液中でのRNAへの損傷を緩和するために、市販のRNAse阻害剤の取り込みを用いた。これらの阻害剤/絹系を使用して、絹からの回復後のRNA機能の保持を、mRNA分子の回収された画分をモデル細胞系にトランスフェクトすることによって評価した。一部の実施形態では、本明細書で説明する方法および/または組成物は、より長い期間(例えば、30〜120日間)にわたって安定に保持することができる。
これらの実験を実施するために、GFPコード化RNAを商業的な供給源から購入した(Stemgent(登録商標)eGFP mRNA、www.stemgent.com/products/show/222)。このRNA配列は、Warrenらによって当初、自然抗ウイルス応答を克服するように修飾された合成RNAの投与をもとにした、リプログラミング細胞のための簡単な非組み込み(すなわち、非ウイルスまたはDNAベースの)ストラテジーを提供するために開発された(Warrenら、2010年)。この配列は、3つの重要な構成成分:i)細胞質中での安定性を改善するための5’グアニンキャップ、ii)翻訳を開始させるための強力なコザックコンセンサス配列、およびiii)mRNAポリアデニル化に必要な終結配列を含有する。GFP配列は、PCRアンプリコンによるin vitroでの転写反応鋳型を使用して、この構築物中に合成的に作られる。ストック溶液は高濃度(100jig/mL)でStemgent(登録商標)により販売されており、Warrenらによる従来の結果は、十分なGFPの翻訳を短期間(8〜12hr)で行うことができ、それを、RNA特異的機能についてアッセイを必要とするカプセル化および回復試験に理想的なものにしていると示唆している。
絹溶液を、20分間の煮沸および溶解条件を使用して調製し(9.3M LiBr、diH2Oに対して48hr透析)、最終濃度は、計量した体積の溶液を乾燥して評価して、超純水中に6wt%であった。この溶液を、認定されているRNAseフリー水を使用して2%、1%または0.5%wt/vに希釈した。それぞれ、最終作業濃度10mM〜1mMを得るために、トリスEDTA(TE)を加えた。例えば、絹タンパク質を変化させる可能性がある、必要なオートクレーブ処理ステップのため、絹精製工程を、DEPCベースのRNAse処理で使用できない一部の実施形態では、mRNA取扱いの間にRNAseの存在または活性を排除する他の方法を使用することができる。例えば、認定されているRNAse/DNAseフリーのピペット先端、チューブおよび溶液をAmbion(登録商標)から購入し、そのままで利用し、RNAzapをすべての外部表面に対して使用した。60jigのストックGFP mRNA溶液(1×TEで供給)を、使用するときまで−80℃で保存した。使用する時点で、これを氷上で解凍し、次いで、最終ステップとして、最終mRNA濃度20×10ng/mLのため、各容器において、20jiL mRNA/80jiL(絹+TE)のv/v比の溶液中で混合した。mRNAピペット操作プロセスを、すべての試料について5分間未満持続させた。mRNAローディングを含まない適合させた対照も、ブランク1×TE緩衝液を使用して調製した。さらに、取扱いの間、RNAをさらに保護するために、これらの条件を、SUPERase・InTM RNase阻害剤(Ambion(登録商標))を加えて、完全に反復した(絹単独および絹/RNA)。
絹/RNA溶液の凍結乾燥:混合ステップに続いて、絹発泡体においてモノクローナル抗体を安定化させるために従来記載されているプロトコール(Guziewiczら、2011年)を利用して、2mLチューブ中で保存したすべての100μL試料を、VirTis Genesis 25L Super XL凍結乾燥機に直ちに移した。キャップを側部で開けたまま試料を入れて急速な乾燥を促進させ、チューブを冷却プレートと直接接触させて、より正確で均一な熱制御がしやすいようにした。このプロセスを、−20℃の凍結条件からのランピングによって開始させ、そこで、試料を、プレート上で63分間にわたって徐々に−45℃に冷却し、その温度でさらに8hr保持し、次いで加温して−20℃に戻した。次いで、100mTの真空下、−20℃で40hr一次乾燥して非結合水を除去した。試料を再度35℃に加温し、二次乾燥段階として620分間保持して結合水を除去した。次いで試料を、回収プロトコールが開始されるまで、−4℃、800mT圧で通常2〜3hr保存した。
絹溶液の濃度(絹w/v6〜1%)を、絹フィブロインベースの材料を凍結乾燥プロトコールにしたがって再可溶化できるように最適化した。以下の図26に示すように、自立性の発泡体を、EDTA(TE緩衝液中に)を含むか含まないで、各溶液から生成させた。水に再可溶化させると、少しの割合の非溶解絹残留物が見られた。そのサイズは初期絹ローディングに依存していた。しかし、サイズ/溶解度はTE緩衝化に依存していなかった。これらの結果に基づいて、2%w/vを、溶解度に対する濃度効果を検討するための出発点として選択した。
RNA含量の回収および測定:スクリーニング試験に続いて、2%、1%および0.5%の絹溶液をRNA回収試験のための主要候補として選択した。上述の取り込みおよび凍結乾燥プロトコールにしたがって、試料を−45℃での凍結乾燥機保存状態から取り出し、直ちに氷上で2hr解凍した(アッセイ調製の期間)。
回収のRNA定量:Quant−iTTM Ribogreen(登録商標)RNA試薬およびキットを、probes.invitrogen.com/media/pis/mp11490.pdfでのウェブからの製造業者指針にしたがって調製した。リボソームRNA標準品を、標準曲線(1000〜7.8125ng/mLの範囲)を作成するために使用し、同時に、−80℃で保存したストックGFP mRNAを、同様に氷上で解凍し、1:80希釈し、Ribogreen試薬との異なるシーケンス結合についての標準曲線の結果を較正する内部対照として使用した。アッセイを、試料当たり25μLを必要とする96ウェルフォーマットで実行した。標準品を調製した後、凍結乾燥された絹試料(および0%対照)を氷から取り出し、200μLのDNAase/RNAseフリー水を加え、15秒間渦巻き混合し、直ちに25μLの試料を各ウェルにピペットで取った(2連のアッセイ読み取り、N=3の生物学的複製で)。
回収mRNAを使用した真核細胞のトランスフェクション:回収mRNAの安定性、およびin vitroでの翻訳鋳型としての連続使用の可能性を調べるために、試料当たり約10μLを、絹/阻害剤複合体の再可溶化の後、直ちに保持した。mRNAの回収の前に、293線維芽細胞を5×10細胞/cmの密度で96ウェルプレートに播種し、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Invitrogen)中、15%血清、1%抗生物質/抗真菌剤の存在下で付着させた。細胞を37℃、5%COで維持した。
製造業者の推奨によって、StemfectTMトランスフェクションキットを、公開されている利用者用プロトコール(Stemgent、www.stemgent.com/products/show/221)にしたがって使用した。トランスフェクション試薬をトランスフェクション緩衝液と一緒にしてストック溶液として作製し、次いでこれを7.33μLアリコートに分割し、続いて10μLの回収mRNAと一緒にした。この緩衝液/試薬/mRNA溶液を室温で15分間平衡化させ、続いて15μLを各アリコートから取り、96ウェルプレート中の個々のウェルに滴下添加した。次いで細胞を上記したように、12hrインキュベーションに戻し、その時点で、488nm(青)励起および510nm(緑)発光用のフィルターセットを備えたAxiovert CFL蛍光顕微鏡で撮像した。
結果および考察
初期試験の結果を図27に示す。RiboGreenアッセイは、絹だけの群において明らかな絹タンパク質(480nmで蛍光分析的に活性である)からの小さいが有意なバックグラウンドと、すべての群における回収されたRNAからの大きな読み取りの両方を示した。したがって、ロードされていない群を、すべての対応する濃度からの絹−RNA試料に対して正規化するために使用した。1%および0.5%の群から回収されたRNAは、非絹0%の群に匹敵していたが、これらすべての凍結乾燥された系は、未使用凍結ストックよりはるかに低かった。
これらの結果にしたがって、例えば溶液保存条件を操作することによって、RNA回収効率を改善することを検討した。RNAseは絹溶液中に少量存在しており、すべての条件で回収されたmRNAは、アッセイ調製の間に回収された後、分解の影響を受けやすいと考えられ、したがって、1U/μLの作業濃度でのSUPERase・InTM RNase阻害剤(tools.invitrogen.com/content/sfs/manuals/sp_2694.pdf)を、アッセイに含めた。結果を図28に示す。絹/TE単独を使用して実行した先のアッセイと比較して(図27)、阻害剤の存在は、−80℃保存条件と比較してmRNA回収率を大幅に改善した。さらに、1%および0.5%の群についての値は非絹0%の群に匹敵しているので、絹構成成分の干渉は最少化された。
以下の図29に示すように、凍結したストック(−80℃保存)およびすべての回収絹群を含む、トランスフェクション試薬およびmRNAを含有するすべての媒体条件の細胞は、12時間のインキュベーションで293線維芽細胞によるGFP発現を誘発した。−80℃の群は、植菌したウェル中の細胞群体に、より広範な発現パターンをもたらすことも分かった。これは、mRNAベースのトランスフェクションの用量依存的な性質、および−80℃ストックの限定された希釈に起因しているようである。絹群(0〜2%)からの回収mRNAは、ポジティブなトランスフェクション結果を観察するのに必要な最少滴定量であった可能性がある。
この実施例における、凍結乾燥絹溶液からのRNAの回収率は、トランスフェクションのためには十分であったが、絶対レベルは凍結した対照より低かった。しかし、絹の配合および/または絹処理の方法は、凍結乾燥絹溶液からのRNAの回収率を増大させるように最適化することができる。例えば、事前可溶化繭煮沸時間を変更して、最も可溶性溶液のサブタイプを選択することができる。図17は、60分間またはそれ超の煮沸を、改善された再溶解性で、凍結乾燥絹溶液からRNAを回収するために使用することができることを示している。
特定の文献
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本明細書および実施例において特定されているすべての特許および他の出版物を、すべての目的で、明確に参照により本明細書に組み込む。これらの出版物は、本出願の出願日以前のそれらの開示についてだけ提供される。この関連で、本発明者らが、先願発明のためまたは他の理由で、そうした開示に先行する資格がないことを承認するものと解釈されるべきではない。すべての、日付に関する記述またはこれらの文書の内容に関する表現は、出願者らが利用できる情報をもとにしており、これらの文書の日付または内容の正確さに関して何ら承認を構成するものではない。
均等物
好ましい実施形態を本明細書で詳細に表現し、説明してきたが、本発明の趣旨を逸脱することなく、様々な改変、付加、置換などを行うことができ、したがって、これらは、以下の特許請求の範囲において定義されるような本発明の範囲内にあると考えられることは、当業者に明らかであろう。さらに、すでに示されてはいない程度に、本明細書で説明し例示する様々な実施形態のいずれか1つを、本明細書で開示する他の実施形態のいずれかにおいて示されている特徴を組み込むようにさらに改変できることを、当業者は理解されよう。



  1. ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団を含む低分子量絹フィブロイン組成物であって、
    前記集団中の前記絹フィブロイン断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、
    前記集団中の前記絹フィブロイン断片の前記総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、
    前記指定範囲が、約3.5kDa以上の下限と約120kDa以下の上限との間である
    ことを特徴とする低分子量絹フィブロイン組成物。

  2. 前記指定範囲の前記下限が、3.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、または115kDaであり、
    前記指定範囲の前記上限が、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、または120kDaである、
    請求項1に記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  3. 前記指定範囲が、(i)約5〜120kDaの間;(ii)約10〜120kDaの間;(iii)約15〜120kDaの間;(iv)20〜120kDaの間;(v)20〜110kDaの間;(vi)約20〜100kDaの間;(vii)約20〜90kDaの間;(viii)約20〜80kDaの間;(ix)約30〜120kDaの間;(x)約30〜100kDaの間;(xi)約30〜90kDaの間;(xii)約30〜80kDaの間;(xiii)約40〜100kDaの間;および(xiv)約40〜90kDaの間である、請求項1または2に記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  4. 総絹フィブロイン断片集団の約35%以下が、約120kDa〜約200kDaの範囲内の分子量を有する、請求項1から3のいずれかに記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  5. 前記集団中の前記絹フィブロイン断片の前記総数の少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%が、前記指定範囲の分子量を有する、請求項1から4のいずれかに記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  6. 前記組成物が溶液である、請求項1から5のいずれかに記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  7. 前記組成物が固体形態にある、請求項1から5のいずれかに記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  8. 前記低分子量絹フィブロイン組成物が参照絹フィブロイン組成物の水溶性より高い水溶性を有することを特徴とする、請求項7に記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  9. 前記低分子量絹フィブロイン組成物が約1mg/s〜約100mg/sの溶解速度を有することを特徴とする、請求項7に記載の低分子量絹フィブロイン組成物。

  10. 請求項1から5のいずれか一項に記載の低分子量絹フィブロイン組成物を含む絹フィブロイン水溶液。

  11. 前記絹フィブロインが、約0.1%wt/v〜約50%wt/vの濃度で前記溶液中に存在する、請求項10に記載の絹フィブロイン水溶液。

  12. 前記絹フィブロイン水溶が少なくとも3日間、少なくとも7日間、または少なくとも2週間、安定なままであることを特徴とする、請求項10に記載の絹フィブロイン水溶液。

  13. 請求項1から5のいずれかに記載の低分子絹フィブロイン組成物を含む絹フィブロイン物品であって、フィルム、シート、ゲルまたはヒドロゲル、メッシュ、マット、不織マット、布地、スキャフォールド、チューブ、ブロック、繊維、粒子、粉末、3次元構築物、インプラント、発泡体、針、凍結乾燥物品、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される形態にある、絹フィブロイン物品。

  14. 前記絹フィブロイン物品が、水中に再可溶化して絹フィブロイン凝集体を実質的に含まない絹フィブロイン溶液を形成する能力によって特徴付けられる、請求項13に記載の物品。

  15. 絹フィブロイン粒子を含む組成物であって、前記絹フィブロイン粒子が、請求項1から5のいずれか一項に記載の低分子量絹フィブロイン組成物を含む、組成物。

  16. 前記組成物が少なくとも1カ月にわたって保存安定性であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。

  17. 請求項1から5のいずれかに記載の低分子量絹フィブロイン組成物および前記低分子量絹フィブロイン組成物中に分布した活性作用物質を含む組成物。

  18. 前記組成物が溶液、フィルム、シート、ゲルまたはヒドロゲル、メッシュ、マット、不織マット、布地、スキャフォールド、チューブ、ブロック、繊維、粒子、粉末、3次元構築物、インプラント、発泡体、針、凍結乾燥物品、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される形態にある、請求項17に記載の組成物。

  19. 前記組成物が溶液である、請求項17に記載の組成物。

  20. 前記組成物が固体形態にある、請求項17に記載の組成物。

  21. 前記組成物が、水中に再可溶化して絹フィブロイン凝集体を実質的に含まない絹フィブロイン溶液を形成する能力によって特徴付けられる、請求項20に記載の組成物。

  22. 検出可能な量の前記活性作用物質が、前記組成物の再可溶化の後に回収され得る、請求項21に記載の組成物。

  23. 請求項1から5のいずれか一項に記載の低分子量絹フィブロイン組成物、および基材を含む物品であって、前記絹フィブロイン断片が、前記基材中に分散しているか、前記基材上に沈着しているか、またはこれらの組合せである、物品。

  24. 前記基材が、固体多孔質基材であるか、またはそれを含む、請求項23に記載の物品。

  25. 前記固体多孔質基材が紙を含む、請求項24に記載の物品。

  26. 絹フィブロイン溶液を形成する方法であって、水中に非飽和濃度で請求項14に記載の絹フィブロイン物品または請求項21に記載の組成物を溶解させ、それによって絹フィブロイン凝集体を実質的に含まない絹フィブロイン溶液を形成するステップを含む、方法。

  27. 前記溶液中の溶解した絹フィブロインが、安定なままである、請求項26に記載の方法。

  28. ある時間にわたって作用物質を安定化させる方法であって、前記作用物質を請求項1から5のいずれかに記載の低分子量絹フィブロイン組成物と接触させ、その結果、作用物質含有組成物が形成されるステップを含む、方法。

  29. 前記低分子量絹フィブロイン組成物が、溶媒を実質的に含まず、かつ/または前記接触させるステップが、溶媒を実質的に含まない条件下で実施される、請求項28に記載の方法。

  30. 前記低分子量絹フィブロイン組成物およびその中に分布した前記作用物質を含む絹フィブロイン溶液または絹フィブロイン物品を形成するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。

  31. 室温またはそれ超で、ある時間にわたって前記絹フィブロイン溶液を維持するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。

  32. 室温またはそれ超で、ある時間にわたって前記作用物質含有組成物を維持するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。

  33. ある時間にわたって水溶液中で作用物質を安定化させる方法であって、前記作用物質を請求項10から12のいずれかに記載の絹フィブロイン水溶液と接触させるステップを含む、方法。

  34. 前記低分子量絹フィブロイン組成物およびその中に分布した前記作用物質を含む絹フィブロイン物品を形成するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。

  35. 室温またはそれ超で、ある時間にわたって前記絹フィブロイン溶液または前記絹フィブロイン物品中で前記作用物質を維持するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。

  36. 前記時間が、約24時間もしくはそれ超、または約1週間もしくはそれ超である、請求項31に記載の方法。

  37. 前記時間が、約24時間もしくはそれ超、または約1週間もしくはそれ超である、請求項32に記載の方法。

  38. 前記時間が、約24時間もしくはそれ超、または約1週間もしくはそれ超である、請求項35に記載の方法。

  39. 少なくとも1種の活性作用物質を回収する方法であって、
    組成物中に分布した少なくとも1種の活性作用物質を含む固体絹フィブロイン組成物を準備するステップと、
    水中に前記組成物の少なくとも一部分を溶解させ、それによって絹フィブロインおよび検出可能な量の前記少なくとも1種の活性作用物質を含む試料溶液を形成するステップと
    を含む、方法。

  40. 前記少なくとも1種の活性作用物質が、血液もしくは血液構成成分であるか、または血液もしくは血液構成成分を含む、請求項39に記載の方法。

  41. 前記絹フィブロイン組成物が、ある範囲の分子量を有する絹フィブロイン断片の集団から構成されているという点で低分子量絹フィブロイン組成物であり、
    前記集団中の前記絹フィブロイン断片の総数の15%以下が、200kDaを超える分子量を有し、
    前記集団中の前記絹フィブロイン断片の前記総数の少なくとも50%が、指定範囲内の分子量を有し、
    前記指定範囲が、約3.5kDa以上の下限と約120kDa以下の上限との間である
    ことを特徴とする、請求項39または請求項40に記載の方法。

  42. 前記試料溶液を少なくとも1種の流体工学ベースアッセイに供して、前記少なくとも1種の活性作用物質を検出するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。

  43. 前記少なくとも1種の活性作用物質が、試料に由来する、請求項41に記載の方法。

  44. 前記試料が、対象の生体試料に由来する、請求項43に記載の方法。

  45. 絹フィブロイン組成物の少なくとも1つの性質をモジュレートする方法であって、前記絹フィブロイン組成物中で、200kDaを超える分子量を有する前記組成物中の絹フィブロイン断片と指定範囲内の分子量を有する前記組成物中の絹フィブロイン断片との重量比を変化させるステップを含み、前記指定範囲が、約3.5kDaから約120kDaの間である、方法。

  46. 絹粒子のサイズを調節する方法であって、(a)絹フィブロイン溶液中で、200kDaを超える分子量を有する前記溶液中の絹フィブロイン断片と指定範囲内の分子量を有する前記溶液中の絹フィブロイン断片との重量比を変化させるステップであって、前記指定範囲が、約3.5kDaから約120kDaの間である、ステップと、(b)前記絹フィブロイン溶液から前記絹粒子を形成するステップとを含む、方法。

  47. 絹フィブロインを含む絹ベース材料および生体試料を含む組成物であって、前記生体試料の少なくとも1種の構成成分の少なくとも1つの性質が、ある時間にわたって安定化され、前記生体試料の前記少なくとも1種の構成成分が、前記時間後に検出可能である、組成物。

  48. 前記少なくとも1つの性質が、活性、完全性、量、物理的もしくは構造的性質、化学的性質、生物学的性質、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項47に記載の組成物。

  49. 前記時間が、少なくとも約24時間、または少なくとも約1週間である、請求項47または48に記載の組成物。

  50. 前記絹ベース材料が、溶液、フィルム、繊維、粒子、ゲル、ヒドロゲル、発泡体、スポンジ、マット、メッシュ、布地、粉末、コーティング層、これらの凍結乾燥形態、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される形態にある、請求項47に記載の組成物。

  51. 前記絹ベース材料が溶解可能である、請求項47に記載の組成物。
    前記生体試料が、対象から収集される、請求項1から6のいずれかに記載の絹ベース材料。

  52. 前記生体試料が、前記絹ベース材料中に組み込まれる前に予め処理される、請求項47に記載の組成物。

  53. 前記生体試料が、細胞、組織、血液(例えば、全血、血漿、臍帯血、血小板、および血清を含む)、泌乳産物(例えば、乳)、羊膜液、痰、尿、唾液、粘液、精液、脳脊髄液、気管支吸引液、汗、鼻汁、膣液、液化糞、滑液、リンパ液、涙、気管吸引液、またはこれらの画分もしくはこれらの組合せであるか、またはそれらを含む、請求項47に記載の組成物。

  54. 前記少なくとも1種の構成成分が、ペプチド、タンパク質、抗体、酵素、アミノ酸、核酸(例えば、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、遺伝子、調節領域および終結領域を含む遺伝子、自己複製系、例えば、ウイルスまたはプラスミドDNAなど、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、プレmRNA、一本鎖および二本鎖のsiRNAおよび他のRNA干渉試薬(RNAi剤またはiRNA剤)、shRNA(ショートヘアピンRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、マイクロRNA(miRNA)、プレmiRNA、ならびに修飾RNA)、ヌクレオチド、代謝産物、脂質、糖、糖タンパク質、ペプチドグリカン、微生物、細胞、ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項47に記載の組成物。

  55. 前記絹フィブロインと前記生体試料との比が、約1:1000〜約1000:1、または約1:1〜約1000:1である、請求項47に記載の組成物。

  56. 前記絹ベース材料が、少なくとも約50重量%の絹フィブロインを含む、請求項47に記載の組成物。

  57. 前記絹ベース材料が、約0.25%〜約50%(w/v)の絹フィブロイン、または約0.5%〜約10%(w/v)の絹フィブロインを含む絹溶液から調製される、請求項47に記載の組成物。

  58. 基材をさらに含み、前記絹ベース材料が、前記基材の表面上に層を形成する、請求項47に記載の組成物。

  59. 前記基材が、ディップスティック、セルロースベース製品、マイクロタイタープレート、検体容器、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項58に記載の組成物。

  60. 前記生体試料の前記少なくとも1種の構成成分が、
    少なくとも1回の凍結融解サイクル;
    0℃超の温度;
    光(例えば、UV)曝露;
    少なくとも約10%の相対湿度;または
    これらの任意の組合せ
    からなる群から選択される少なくとも1つの条件に供される、請求項47に記載の組成物。

  61. a.絹フィブロインおよび生体試料を含む混合物を準備するステップと、
    b.前記混合物から絹ベース材料を形成するステップであって、前記絹ベース材料が、絹フィブロインおよび生体試料を含む、ステップと
    を含み、前記生体試料の少なくとも1種の構成成分の少なくとも1つの性質が、ある時間にわたって安定化され、前記試料の前記少なくとも1種の構成成分が、前記時間後に検出可能である、方法。

  62. 前記生体試料を前記絹フィブロインと接触させて前記混合物を形成するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。

  63. ステップaの前記混合物を乾燥させるステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。

  64. 前記乾燥させるステップが、凍結乾燥を含む、請求項63に記載の方法。

  65. 前記乾燥させるステップが、空気乾燥を含む、請求項63に記載の方法。

  66. 前記絹ベース材料が、前記混合物に電界をかけることによって形成される、請求項61に記載の方法。

  67. 前記絹ベース材料を低減して粒子にするステップをさらに含む、任意の請求項61に記載の方法。

  68. 前記絹ベース材料が、溶液キャスティング、塩浸出、凍結乾燥、ガス形成、エレクトロスピニング、ゲル化、繊維のドローイング、コーティング、吹き付け、微小化、またはこれらの任意の組合せを含むプロセスを使用して調製される、請求項61に記載の方法。

  69. 生体試料を収集するためのチャンバーを備える生体試料収集デバイスであって、前記チャンバーが絹フィブロインを含む、生体試料収集デバイス。

  70. 絹フィブロイン材料を含む生体試料収集デバイスを含むキット。

  71. ゲル化誘導剤を含有する少なくとも1つの容器をさらに含む、請求項70に記載のキット。

  72. 前記ゲル化誘導剤が、機能的に活性化されたPEG構成成分、pH低減剤、またはこれらの組合せを含む、請求項71に記載のキット。

  73. 絹可溶化剤を含有する容器をさらに含む、請求項70に記載のキット。

  74. 前記絹可溶化剤が、水、緩衝液、またはこれらの組合せを含む、請求項73に記載のキット。

  75. 安定剤を含有する容器をさらに含み、前記安定剤が、生体試料の少なくとも1種の構成成分を安定化させる、請求項73に記載のキット。

  76. 前記安定剤が、サッカリド、糖アルコール、イオン、界面活性剤、アミノ酸、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、およびゼラチン誘導体、抗酸化剤、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項75に記載のキット。

  77. 前記安定剤が、ヌクレアーゼまたはプロテイナーゼ阻害剤である、請求項75に記載のキット。

  78. 前記安定剤が、RNase阻害剤である、請求項75に記載のキット。

  79. 生体試料の少なくとも1種の構成成分を検出するための作用物質を含有する容器をさらに含む、請求項71のいずれかに記載のキット。

  80. 前記作用物質が、構成成分精製剤、核酸増幅剤、免疫親和性ベース検出剤、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項79に記載のキット。

  81. 請求項47に記載の組成物を準備するステップと、
    前記生体試料の少なくとも1種の構成成分を少なくとも1種の分析に供するステップと
    を含む方法。

 

 

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本発明は、自己抗原を含むがこれに限定されない、免疫原性に欠けた抗原を含む共役タンパク質又はペプチドに対する哺乳類の免疫反応を向上させるための免疫調節剤として用いられる合成免疫原性タンパク質を提供する。本発明のキメラ免疫原性タンパク質は、がん、感染性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、及び哺乳類宿主の免疫反応を伴うか又はそれに影響を受ける臨床的適応を含むがこれに限定されない、多数の疾病治療に使用できる。
本発明は、(i)配列番号1のaFGF、(ii)N末端ホスホグルコノイル化を有する配列番号1のaFGF、(iii)N末端グルコノイル化を有する配列番号1のaFGF、(iv)配列番号2のaFGF、(v)配列番号3のaFGF、またはそれらの組み合わせを含む酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)組成物を提供する。また本発明は、N末端ホスホグルコノイル化またはグルコノイル化を有する改変酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)も提供する。
本発明は、胆汁酸ホメオスタシス調整活性などの1種以上の活性を有する、線維芽細胞増殖因子19の変種及び融合体、線維芽細胞増殖因子21の変種及び融合体、fgf19及び/又はfgf21の融合体、並びにfgf19及び/又はfgf21のタンパク質配列及びペプチド配列の変種又は融合体、並びに胆汁酸障害及び他の障害の治療における方法及び使用に関する。
【選択図】図1
家禽類の胸筋重量を増加させるための方法が、本明細書に開示される。これらの方法は、卵内投与による組成物の送達を含み得る。本明細書に開示される方法は、線維芽細胞成長因子−2(FGF−2)またはインスリン様成長因子−1(IGF−1)の送達などの、タンパク質の送達も包含する。本明細書に開示される方法は、胚及び食肉処理年齢のいずれの場合においても、家禽類の胸筋重量を増加させるために有効である。
【選択図】図2B
本出願は、野生型アペリン−13と比較して増加した安定性を有するAPJ受容体アゴニスト類似体、および該アゴニスト類似体の使用方法を対象とする。該類似体は、とりわけ心不全などの心臓障害において使用することができる。
【課題】グリコシル化及び/又は糖質ペグ化組換え型fgf複合体の提供。
【解決手段】線維芽細胞成長因子(FGF)複合物が変異FGF−21ペプチド及び修飾基からなり、該修飾基は、無傷グリコシル結合基により該変異FGF−21ペプチドのあらかじめ選択されたグリコシル又はアミノ残基位で該ペプチドと共有結合し、該無傷グリコシル結合基は、グリコシル結合基中で修飾基を分子残部に結合させる糖類単量体であり、分解されないグリコシル結合基であり、前記変異FGF−21ペプチドは、対応する野生型FGF−21には存在しない新規導入のN連結又はO連結グリコシル化部位を含む。
【選択図】なし
【課題】少なくとも1つの代謝症候群及び/又はアテローム性硬化症、特に糖尿病、脂質異常症、肥満及び/又は脂肪過多症の処置のための、医薬組成物の提供。
【解決手段】少なくとも1つのFGF−21(線維芽細胞増殖因子21)化合物及び少なくとも1つのGLP−1R(グルカゴン様ペプチド−1受容体)アゴニストを含み、さらに少なくとも1つの抗糖尿病薬及び/又は少なくとも1つのDPP−4(ジペプチジルペプチダーゼ−4)阻害剤を含み、FGF−21化合物、GLP−1Rアゴニスト、場合により抗糖尿病薬及び場合によりDPP−4阻害剤が、1つの製剤中に配合されるか、又はいくつかの製剤中に含有される、医薬組成物。
【選択図】なし
【課題】2型糖尿病の治療における治療薬としての使用のための半減期が延長された繊維芽細胞増殖因子(FGF)21タンパク質を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列の特定アミノ酸残基が一つ以上置換等等がなされたFGF21突然変異ポリペプチドをコードする核酸分子、FGF21突然変異ポリペプチド、FGF21突然変異ポリペプチドを含む医薬組成物及び、このような核酸、ポリペプチド又は医薬組成物を用いて代謝性疾患を治療する。
【選択図】図1A
【課題】さまざまな治療薬の血清中半減期を増加させる化合物、増加した血清中半減期を有する化合物、および治療薬の血清中半減期を増加させるための方法の提供。
【解決手段】血清アルブミンに結合する第10フィブロネクチンiii型ドメイン(10fn3)に基づく抗体様タンパク質。治療用蛋白質を上記抗体様タンパク質と結合することによる血清中半減期を増加させるための方法。増加した血清中半減期を有する抗体様タンパク質と結合した治療用蛋白質。
【選択図】なし
癌の抑制 // JP2016005473
【課題】癌及び癌障害を抑制する際での使用のためのポリペプチドに関する。非細胞傷害性プロテアーゼの使用を採用し、それは癌細胞に対して標的化され、そのように送達された場合、プロテアーゼは内在化され、癌細胞からの分泌を阻害する。【解決手段】癌細胞からの分泌に関与するSNAREタンパク質を発現する癌細胞の抑制に使用するためのポリペプチドであって、前記SNAREタンパク質を切断可能な、非細胞傷害性プロテアーゼ、癌細胞上の結合部位に結合することが可能である標的成分(TM)およびトランスロケーションドメインを含むポリペプチド。前記癌細胞が神経内分泌腫瘍細胞でなく、前記ポリペチドがクロストリジウム神経毒素(ホロ毒素)でない、ポリペプチド。【選択図】なし
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