脱カルボキシル化を使用したアリル−アルキルカップリング装置および方法

 

本発明は、電気化学的脱カルボキシル化プロセスを使用した芳香族化合物のアルキル化のための方法を開示する。このプロセスは、豊富で経済的に得られるカルボン酸から、グループVの潤滑油(および他の生成物)において有益な特性を有するアリル−アルキル化合物を製造する。本プロセスは、触媒の必要なく穏やかな温度と条件で行うことができるという利点を有する。電気化学的脱カルボキシル化は、ハロゲン化副生物とは対照的に、H及びCOのみ副生物として生成する。
【選択図】図1

 

 

本発明は、滑剤および他の有用な生成物などの炭化水素材料を製造する方法に関する。具体的には、本発明は、アリル基おとよびアルキル基が互いに結合して有用な生成物を形成する電気化学的脱カルボキシル化プロセスを提供する。
上記の特許出願は、電気化学的脱カルボキシル化プロセス(“EDP”)を使用する炭化水素および他の分子を形成する方法を教示する。読者はこれらの先行技術の開示および内容に詳しいと考える。
工業的潤滑油は多くのプロセスや用途において重要であり、通常次の5つのグループに分類される。グループIの潤滑油は、90%未満の飽和炭化水素および/または0.03%よりも多い硫黄が含まれ、溶媒抽出およびhydro−finishing process(水素化仕上げプロセス)によって製造される。グループIIの潤滑油は、90%を超える飽和炭化水素および/または0.03%未満の硫黄を含み、水素化分解および溶媒または触媒脱ワックスプロセスによって製造される。グループIIIの潤滑油は、90%を超える飽和炭化水素と0.03%未満の硫黄とから成り、異性化水素反応などの特別なプロセスを使用して製造される。グループIVの潤滑油は、ポリαオレフィンを基にする潤滑油である。グループVの潤滑油は、ジエステル、ポリエステル、アルキル化ナフタレン及びアルキル化ベンゼン等の他のグループの何れにも属さない潤滑油である。潤滑油のそれぞれの分類は、コストと用途における必要性に基づいて異なる用途への使用を見出す。グループVの潤滑油の異なる種類は、他の潤滑油のグループに比べて特別な性質において、例えば耐腐食性において優れた性能を示す。
グループVの潤滑油を構成するあるクラスの化合物はアルキル化芳香族(AR)化合物である。AR化合物には2種類ある。第1のグループは、ベンゼンが芳香族化合物を形成する化合物で構成される。第2のグループは、ナフタレンが芳香族化合物を形成する化合物で構成される。グループV潤滑油で見出されるAR化合物の非芳香族成分は、通常飽和度が異なる長鎖炭化水素である。AR化合物の性質は、結合され脂肪族成分および芳香族成分の種類によって、更に中心芳香族成分に結合されたアルキル化合物の数によって決まる。アルキル−アリル化合物の性質は、芳香族成分に結合するアルキル成分の長さ及び/又は数を変更することにより容易に調節できる。それ故、脂肪族成分を交換し、芳香族基にアルキル化される度合いを変更することにより、意図した潤滑油の性質を作り上げることが出来る。
W.I.Dzik,P.P Lange,L.J.GooBen,Chemical Science,2012,3,2671

グループV潤滑油および他の製品として有用であるアルキル化芳香族化合物を製造するための製法を見出すことは有意義なことである。低コストとの原料および/または経済的に維持可能なプロセス、例えばそのプロセスは高価な触媒を必要とせず、高温および/または高圧を必要としないプロセスを使用できる製法を見出すことは更なる利点がある。グループVの潤滑油のためのAR化合物を製造する従来の方法は、アルキル化を達成するのに触媒と高い温度を必要とするフリ−デル−クラフツアルキル化に基づくものである。更に、従来の方法は、有機−または金属ハロゲン化物の使用を必要とし、それにより反応副生物として塩化物廃棄流が製造される。本発明の開示目的は、穏やかな条件と温度を使用して、副生物としてCO及びHのみを生成する、カルボン酸からグループVの潤滑油として好適なアルキル化芳香族化合物製造することである。芳香族環のアルキル化の度合いを意図的にコントロールできるアルキル化芳香族化合物の製造方法の提供はまた1つの改良でもある。その方法も開示される。
カルボン酸は工業的に重要な化合物の合成のためのポピュラーな原料であり、それはそのような酸は経済的で環境に優しいためだからである。カルボン酸を使用する1つの用途は、炭素−炭素二重結合の形成のためのHeck反応において有機ハロゲン化物の代替として酸を使用することを含む(Heck反応は有機ハロゲン化物とアルケンと塩基との触媒反応で置換アルケンを生成する)。Heck反応の有機ハロゲン化物をカルボン酸に置き換えることはより環境に優しい。なぜならば、ハロゲン化物の副生物に対してCO及びHが唯一の副生物であるからである。カルボン酸はクロス−カップリング反応のための基質としてもまた研究され、カルボン酸は求核または求電子の何れのカップリングの対基として機能する。これは、入手可能な非常に多数のカルボン酸があり、従来の有機ハロゲン化物および/または有機金属試薬が使用されることよりも経済的であり(これらの反応は非特許文献1に記載されている)、非常に有利である。上述の反応は入手可能で低コストのカルボン酸による利点があるものの、更に変換を促進するために触媒および高温が必要とされる。触媒を必要とせず、穏やかな温度および反応条件で実行できるカルボン酸基質を使用した炭素−炭素カップリングの製法を見出すことは大きな利点である。そのような方法を開示する。
本実施態様は、EDPを介したアルキル−アリルカップリングを遂行することによりアルキル化芳香族化合物を製造する方法に関する。これらのアルキル−アリルカップリング反応は、多くの用途、例えばグループVの潤滑油として分類される化合物などに好適な化合物を製造することに使用できる。EDPはカルボン酸のアルカリ塩をラジカルに変換し、それは次いでラジカル−ラジカルカップリングが行われる。このプロセスは改良されたコルベ電解反応として知られている。単一のカルボン酸の存在で実施される場合、このプロセスはラジカル種のホモカップリングを導く。本発明で記載されるように、電解反応は、1つ以上のカルボン酸の存在下でもまた実施され、ラジカル種のヘテロカップリングを導く。ヘテロカップリングは異なるカルボン酸からのラジカルを結合することが出来、ここに記載されるように、アルキル及び芳香族官能基を含むラジカルを結合できる。そのようなアルキル−アリルカップリングは、アルキル化芳香族化合物の安価な製法を提供する。
本実施態様は、更にグループVの潤滑油として望ましい性質を有するアルキル化芳香族化合物の製造方法を含む。この方法は電気化学的セルを使用したカルボン酸の酸化を含む。電解反応は、少なくとも1つのアルキルカルボン酸塩および少なくとも1つのアリル官能基を有する化合物の存在下で実施される。アリル化合物は、それ自身カルボン酸またはカルボン酸のアルカリ金属塩であるか、あるいは他の実施態様において、芳香族環で二重結合を介したアルキルと相互作用する芳香族化合物であってもよい。それ故、電解反応は、ヘテロカップリングを行いアルキル化芳香族化合物を生成するラジカルを作り出す。一方、電解生成物もまた、アルキル化芳香族化合物を生成する求電子置換反応に含まれる。
ここに記載されるアルキル化を導く電解の前に、カルボン酸は先ず通常の鹸化反応を介してアルカリ金属塩に変換される。この鹸化反応は、高められた温度(あるいは他の温度)においてカルボン酸をアルキル金属塩基(MOH)に反応させることを含む。これに限定されないアルカリ金属塩基の例ととしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルコキシド等が挙げられる。一般的な中和反応は以下のように示される。
RCOH + MOH → RCOM + H
ある実施態様において、この鹸化反応はアルコキシドが存在する溶媒中で行われ、反応によりカルボン酸のアルカリ塩を形成し、溶液から沈殿する。そのような実施態様において、カルボン酸のアルカリ塩は、容易に分離でき、脱カルボキシル化プロセスに必要な陽極液を調製する。
カルボン酸のアルカリ塩は、次いで、電気化学的脱カルボキシル化され、ラジカルカップリング生成物を導く。脱カルボキシル化によって製造される複数のカルボン酸イオンの存在により、ホモカップリング生成物およびヘテロカップリング生成物の両方が得られる。このラジカルカップリングプロセスは、2室の電気化学的セルを使用して行われる、セルは、NaSelect(登録商標)膜(ソルトレークシティー、ユタ州のCeramatec,Inc.社から入手可能)を使用して作られる。陽極液室中の電解質は、以下に示す反応に示されるような改良されたコルベ反応に従う。
2COM→R−R+2CO+2e+2M
2RCOM→R−R+2CO+2e+2M
COM+RCOM→R−R+2CO+2e+2M
ある実施態様において、Rが脂肪属カルボン酸塩であり、Rが芳香族カルボン酸塩である。上記の3つの反応全てが電解中に生じることができるが、好ましくは、ヘテロカップリング生成物(R−R)の形成がホモカップリング生成物(R−R及びR−R)の形成よりも好まれる方法で電解が行われる。
他の実施態様において、例えばベンゼン等の芳香族化合物の存在下で、脂肪属カルボン酸塩の電解が行われる。この反応中、置換反応が起き、以下のように脂肪属基と芳香族基(ベンゼン)とがカップリングする。
RiCOM+C→C−R+CO+2e+H+M
上記の場合、脂肪属カルボン酸塩の脱カルボキシル化は、求電子基を形成し、次いで芳香族環上に求電子置換反応が起きる。求電子基はラジカル又はカルボカチオンの形態である。後者は、脱カルボキシル化行程中に一電子酸化に代わって二電子酸化を起こす。
本発明は、アリル基おとよびアルキル基が互いに結合して有用な生成物を形成する電気化学的脱カルボキシル化プロセスを提供する。
図1は、カルボン酸のアルカリ金属塩の脱カルボキシル化に使用される電気化学的セルのスキーム図を示す。 図2は、オレイン酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムの脱カルボキシル化における電位差および電流密度をプロットした図である。 図3は、オレイン酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムの電気化学的脱カルボキシル化から得られた生成物のガスクロマトグラムを示す図である。 図4は、ナフテン酸ナトリウムの電気化学的脱カルボキシル化における電位差および電流密度をプロットした図である。 図5は、ナフテン酸ナトリウムの電気化学的脱カルボキシル化から得られた生成物のガスクロマトグラムを示す図である。 図6は、ナフテン酸ナトリウム及びナフトエ酸ナトリウムの脱カルボキシル化における電位差および電流密度をプロットした図である。 図7は、ナフテン酸ナトリウム及びナフトエ酸ナトリウムの電気化学的脱カルボキシル化から得られた生成物のガスクロマトグラムを示す図である。 図8は、極性溶媒および非極性有機溶媒の混合物中でのナフテン酸ナトリウム及びナフトエ酸ナトリウムの電気化学的脱カルボキシル化における電位差および電流密度をプロットした図である。 図9は、極性溶媒および非極性有機溶媒の混合物中でのナフテン酸ナトリウム及びナフトエ酸ナトリウムの電気化学的脱カルボキシル化から得られた生成物のSimulated Distillation(SimDist(シュミレーション蒸留))を示す図である。
本明細書を通じて使用される幾つかの語はをここに示す。ここで使用する“潤滑油”とは、摺動界面間の摩擦を減少させるために使用される基質として参照される。“アルカン”及び/又は“脂肪族”とは、飽和炭化水素または、ほとんどが飽和の炭化水素であり、本発明を通じて交互に用いられる。“アルキル”は、カルボキシル基の除去などによる1結合が欠落している炭化水素アルカンを意味する。“アリル”は、官能基または置換基として少なくとも1つの芳香族環を含む化合物として定義される。“芳香族”は、炭素原子が交互に二重結合と単結合を有する環で、共役π結合を有する環を形成していることを意味する。“カルボン酸”は一般式RCOHで示される化合物であり、“R”は飽和または不飽和炭化水素鎖を示す。“ナフテン酸”は、分子量120〜700の炭素数9〜20の炭素骨格を有するシクロペンチル基およびシクロヘキシル基を有するカルボン酸の混合物として参照される。ここで使用される“脱カルボキシル化”とは,化合物、具体的にカルボン酸またはアニオンからCOを除去するプロセスを意味する。
アリル−アルキルカップリングから界面活性剤を製造することに関する電解脱カルボキシル化プロセスの種類は、米国特許出願公開第2011/0226633号公報に記載されており、参照により本発明に引用する。
本実施態様は、アルキル化芳香族化合物(AR)、例えば、グループVの潤滑油における成分として使用される化合物を製造する方法を開示する。形成されたAR生成物の物性は、アルキル成分およびアリル成分の両方の構造、ならびに単一のアリル成分に結合される種々のアルキル成分に依存する。AR化合物の通常の製法は、芳香族化合物をアルキル化する触媒を使用するフリーデル・クラフツアルキル化に基づくものである。そのようなプロセスは、モノアルキル芳香族化合物(MAR)、ジアルキル芳香族化合物(DAR)及びポリアルキル芳香族化合物(PAR)の形成を導く。MAR、DAR及びPARの物性はそれぞれ大きく違うので、所望の物性を有する物質は、異なる化合物を蒸留および/または混合などを介して分離することによって得られる。本実施態様の1つの利点は、芳香族化合物に結合する多くのアルキル鎖の調節を提供することであり、それ故、合成される化合物の調節を提供できる。
アルキル−アリルカップリング生成物のアルキル成分として使用できる多くの低コストのカルボン酸基質が存在する。これらのカルボン酸基質は、数多くの芳香族化合物にカップリングできる可能性を有する。安価な基材が大量にあることは、潤滑油用途(又は他の所望の用途において)の個々の必要性に適合するように、合成されたAR化合物の性質を調節し、微調整する可能性を高める。アルキル基の長さは、流動点、粘度指数、引火点などの材料の物理的性質に影響を及ぼす。アルキル−アリル化合物のアリル成分は、形成された化合物の熱酸化安定性に影響を及ぼす(分子の電子がリッチな芳香族部分がラジカルを除去して酸化プロセスを阻止するため)。
アルキル−アリル化合物カップリングのための工業的に実施可能で経済的なプロセスは、触媒の使用および/または高温を必要とする。本実施態様は、触媒および/または高温を必要としないアルキル−アリル化合物カップリングのためのプロセスを記載する。本発明のプロセスは、図1に示すスキーム図のような電解セル100を使用する。セル100はアノード室1及びカソード室2の2室から成る。室1、室2は、アルカリ金属イオン伝導性膜3によって分離されている。この膜3は、例えば、NaSelect(登録商標)膜である。陽極液116はアノード室1(“アノード室”としても参照される)内に供給される。電解中、陽極液116の成分はアノード4の界面で酸化され、カルボキシル官能基の脱カルボキシル化が起こり、ラジカルとCOを形成する。次いで、ある実施態様に従えば、これらのラジカルは反応して長鎖の脂肪族化合物を形成し、又他の実施態様に従えば、これらのラジカルは反応して多環芳香族化合物を形成し、更に別の実施態様に従えば、これらのラジカルは反応してアリル−アルキル化合物を形成する。電解反応に使用される条件や脱カルボキシル化の相対的な活性エネルギーにより、ラジカルは上記の全ての実施態様を導いて反応する場合もあれば、上記の実施態様の1つのみに従って反応する場合もある。アノード4は、全部または一部の何れかがアノード室1内に収納される。
セル100の他の側は、陰極液(電解液)117の還元が生じる。この還元はカソード2(“カソード室”とも参照する)内で生じる。カソード5は全て又は一部がカソード室2内に収納されている。電荷バランスを維持するため、正イオンはアノード4からカソード5に移動しなければならなく、陽極液116及び陰極液117が分離されている場合、正イオンが室1、2の間を移動するための通路を必要とする。ある実施態様において、イオン伝導性膜3は選択的にアルカリイオン(M)、これに限定されないがナトリウム、リチウム、カリウム等を、電気負荷の影響下で陽極液116から陰極液117に移送する
ある実施態様において、イオン伝導性膜3の厚さは10〜5000μm、好ましくは100〜1000μm、更に好ましくは200〜700μmである。他の実施態様において、膜3は、直径0.25〜25cm、好ましくは直径1.27〜12.7cm、特に好ましくは直径2.54〜7.62cmのディスク形状である。膜3はスカフホールド(支持体、足場)112の中に配置されていてもよい。他の実施態様において、膜3は、直径0.25〜25cm、好ましくは直径1.27〜12.7cm、特に好ましくは直径2.54〜7.62cmの円筒形状である。
それ故、ある実施態様において、電気化学的セル100は、例えば図1に示すような平板の膜を使用する平行板形状を有することができる。他の実施態様において、電気化学的セル100は、チューブ状電極および膜を使用するチューブ形状を有してもよい。当業者ならば明らかなように、上記の2つのセルの形状は両方とも、脱カルボキシル化される個々のカルボキシル塩に必要とされることに依存して、一方に対して選択される他方を導く利点と欠点とを有する。ここに記載されるプロセスは、多様なセルの設計において応用される(上述のセル及び他のセル形状を含む)。
アノード4は、電場11がアノード4とカソード5との間に印加された時に、アノード室1において酸化反応が生じるのであれば、いかなる好適な材料から成っていてもよい。これに限定されないアノード材料の例として、白金、チタン、ニッケル、コバルト、鉄、ステンレススチール、二酸化鉛、金属アロイ、これらの組合せ及び他の公知または新規のアノード材料が挙げられる。ある実施態様において、アノード4は、KOVAR(登録商標)またはINVAR(登録商標)などの鉄−ニッケルアロイから成る。他の実施態様において、アノード4は、ホウ素がドープされたダイヤモンド、ガラス状炭素および合成炭素などの炭素系電極から成っていてもよい。更に、ある実施態様において、アノード4は寸法安定性アノード(DSA)から成っていてもよく、その例としては、これに限定されないが、二酸化レニウム及び五酸化タンタルがチタン基材に被覆されている材料が挙げられる。
カソード5は更に、水またはメタノールを還元して水酸化物イオン又はメトキシドイオン及び水素ガスを形成できるのであれば、いかなる好適なカソード材料から形成されていてもよい。カソード5は、アノード4に使用した材料から成っていてもよい。それとは別に、カソード5は、アノード4に使用した材料と異なる材料から成っていてもよい。好適なカソード材料の例として、これに限定されないが、ニッケル、ステンレススチール、グラファイト及び公知または新規の他の好適なカソード材料が挙げられる。
ある実施態様において、電極4、5はフォイルや薄いフィルム等の平滑な形状を有する。他の実施態様において、アノード4及びカソード5は高表面積を有する形態であり、例えば、これに限定されないが、発泡体、グリット(格子)、または他の多孔性構造が挙げられる。ある実施態様において、アノード4及びカソード5は、同じ形態であってもよく、また、他の実施態様において、電極4及び5は異なる形態であってもよい。
図1の実施態様において、陽極液116はリザーバー22中に収納され、アノード室1に供給される。陰極液117も同じように、リザーバー21に収納され、カソード室2に供給される。カソード室2は、イオン伝導性膜3によってアノード室1から分離されている。陽極液116は溶媒146及びカルボン酸130/130aのアルカリ塩から成る(必要に応じ、カルボン酸自身も陽極液116中に存在してもよい)。陽極液116は、カルボン酸のアルカリ塩の混合物、すなわち、RCOM130及びRCOM130aの混合物から成っていてもよい。少なくとも一つの酸または塩がカルボン酸のアルカリ塩であり、他の塩がアリルカルボン酸塩であってもよい。他の実施態様において、陽極液116は、溶媒146として使用されるアリル基を有する化合物(ベンゼン等)から成っていてもよい。この系では、陽極液116は1つのカルボン酸のアルカリ塩130のみ(事実上脂肪族のカルボン酸のアルカリ塩)を含んでいてもよい。
陰極液117は溶媒145から成る。溶媒145はアノード室2中の溶媒146と同じであっても異なっていてもよい。膜3によって分割されているセルを使用することの利点の1つは、それぞれの室で使用される溶媒が同じである必要がなく、むしろ、膜3のそれぞれの側で使用される溶媒を、それぞれの分離された室での個別の反応に合わせてしつらえることが出来る。陰極液117は、アルカリ金属水酸化物140及び/又はアルカリ金属メトキシド150を含む伝導性溶液である。それ故、陽極液溶媒146及び陰極液溶媒145は、それぞれの室において生じる反応および/または個々の反応に必要な化学物質の溶解性によって個別に選択されてもよい。これは、セルの設計者に、必要に応じて、陽極液116と異なる性質の安価な陰極液117を構築することを可能にする。例えば、陰極液117は、高いイオン伝導性を有するように設計されてもよい。
ある実施態様において、陽極液溶液116は溶媒146すなわち極性有機溶媒から成る。これに限定されない好適な極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、アクリロニトリル及びグリセロールが挙げられる。他の実施態様において、溶媒146は芳香族溶媒から成る。これに限定されない芳香族溶媒の例としては、ベンゼン、キシレン、ニトロベンゼン及びトルエンが挙げられる。他の実施態様において、溶媒146は極性有機溶媒と非極性有機溶媒との混合物であってもよい。非極性有機溶媒の例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタデカン、石油エーテル及びドデカンが挙げられる。混合溶媒系を使用する実施態様において、カルボン酸塩は極性溶媒中に溶解し、AR生成物は非極性溶媒中に溶解し、それ故これらの物質は反応系から容易に分離できる。
ある実施態様において、陽極液116で使用される溶媒146は、イオン性液体(IL)から成っていてもよい。これに限定されないILの例としては、4つの置換基を有するホスホニウム系カチオンが挙げられる。ある実施態様において、ホスホニウムカチオンの4つの置換基は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリル基が例示される。他の実施態様において、置換基のいくつか/全てが類似の基である。更に他の実施態様において、置換基のいくつか/全てが同一の基である。ある実施態様において、イオン性液体のアニオンがカルボン酸イオンであり、好ましくは、電解中に酸化されるアルキルカルボン酸塩アニオンと類似のカルボン酸イオンであり、特に好ましくは、電解中に酸化されるアルキルアニオンと同一のカルボン酸イオンである。
NaSICON−型膜およびLiSICON−型膜などのある種のアルカリイオン伝導性膜3は高温耐性を有し、それ故、陽極液溶液116は、陰極液溶液117の温度や膜3の機能に実質的に影響することなく、高い温度に(逆もまた同様)加熱されてもよい。溶融塩または酸が(これは、ある実施態様において)、陽極液116中のカルボン酸塩130/130aを溶解するための溶媒146として使用されることを意味する。それ故、ある実施態様において、溶媒146は酸化されるべきカルボン酸塩アニオンの溶融塩である。
陽極液溶液116における高い電解質伝送性を付与するために、陽極液溶液116は任意に溶媒に可溶な支持電解質を含んでもよい。支持電解質の例としては、これに限定されないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、テトラフルオロホウ酸塩、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、テトラメチルアンモニウム過塩素酸塩およびテトラエチルアンモニウム過塩素酸塩が挙げられる。当業者ならば、他の可溶イオン性化合物も支持電解質として使用できることは理解できるであろう。
ある実施態様において、陰極液117は水および不飽和水酸化アルカリから成る。水酸化物濃度は、0.1〜50重量%、好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは7〜15重量%である。他の実施態様において、陰極液117ははアルカリメチラートから成るように構成される。陰極液117の温度は(上述のように)陽極液116の温度と同じであっても異なっていてもよい。
電位差がカソード5に印加されると還元が起きる。陰極液溶液117が水系溶液から成る場合、水は還元されて水素ガス23及び水酸化物イオンと成る。形成された水酸化物は、次いでイオン伝導性膜3を介して移動したアルカリイオンと結合して水酸化アルカリ140を形成する。これは、電解が行われるにつれ陰極液117の水酸化アルカリ(MOH140)濃度が増加することを意味する。
陰極液生成物流は、カルボン酸を中和するのに使用された塩基から成り、それによりカルボン酸のアルカリ金属塩を製造する。具体的には、カルボン酸と塩基(NaOH、NaOR、KOH、LiOH、LiOR、KOR等)を反応させることにより、カルボン酸のアルカリ金属塩130/130aが形成される(これらの材料を得る前に陽極液116を導入する)。反応式を以下に示す。
COM + MOH → RCOM + H
COM + MOR → RCOM + ROH
COM + MOH → RCOM + H
COM + MOR → RCOM + ROH
上述のように、カソード室2反応の一部として塩基を再生する(例えばMOH又はMORを生成する)。それ故、セル100は、酸中和工程によって消費される塩基を再生する(MOH又はMOR)。従って、再生された塩基は回収され、後の酸中和反応または他の化学プロセスで再使用されてもよい。
電位差がアノード4に印加されると酸化が起きる。ある実施態様において、カルボン酸またはカルボン酸アニオンの酸化が脱カルボキシル化を導き、二酸化炭素およびカルボン酸塩ラジカルを形成する。この脱カルボキシル化反応を以下に示す。
COM → R・ + CO + M + 1e
COM → R・ + CO + M + 1e
この脱カルボキシル化の間に形成されるラジカルは、次いで類似のラジカルと結合してホモカップリング生成物を形成し、または異なるカルボン酸塩のラジカルと結合してヘテロカップリング生成物を形成する。これらの反応は以下に示される。
・+R・→R−R(ホモカップリング生成物)
・+R・→R・−R・(ホモカップリング生成物)
・+R・→R・−R・(ヘテロカップリング生成物)
脂肪族および芳香族の両方のカルボン酸またはカルボン酸塩アニオンが酸化される場合、ヘテロカップリングはアルキル−アリル化合物を形成する。他の実施態様において、酸化反応はカルボン酸のアルカリ塩またはアニオンのラジカル又はカルボカチオンを生成する。ラジカル又はカルボカチオンは、アルキル−アリル化合物を形するために存在する芳香族基との求電子置換反応に参加する。それ故、図1に示すように、アノード室2から得られてもよい生成物は、R−R24a、R−R24b及び/又はR−R24cを伴って二酸化炭素25である。
例えば、安息香酸アルカリ(CCOM)がカルボン酸の酸塩の1つとして使用された場合、次いで、この化合物は脱カルボキシル化してフェニルラジカル(C・)を形成する。同様に、陽極液116がアルキルカルボン酸塩(RCOM)も含んでいる場合、次いでこの物質は脱カルボキシル化してRラジカル(R・)を形成する。これらのRラジカル(R・)は、次いでフェニルラジカル(C・)と結合し、アルキル−アリル化合物であるCを形成する。換言すれば、ラジカルカップリングは反応は、アルキル−アリルカップリングを介してAR化合物を製造するように作動させる。上述の実施例は、他の芳香族酸塩−例えば脱カルボキシル化の際にラジカルを生成する芳香族化合物に対しても同様に適用できる。
ある実施態様において、電解セル100は連続式で動作させてもよい。連続式において、セル100は、最初に陽極液溶液116及び陰極液溶液117が充填され、次いでセル動作中に追加の溶液116及び117がセル100に供給され、そしてセル100の動作を中断することなく生成物、副生物および/または薄くなった溶液はセル100から除去される。他の実施態様において、電解セル100はバッチ式で動作させてもよい。バッチ式において、陽極液溶液116及び陰極液溶液117は最初にセル100に供給され、次いでセル100は所望の濃度の生成物が製造されるまで作動させ、次いでセル100を空にして生成物を回収する。セル100は、次いで再び溶液で満たされ、プロセスを再開する。更に、いずれの方法においても、セル100での溶液116、117の供給は、予め調製した溶液またはその場で形成した溶液成分を使用して行われる。連続式およびバッチ式の両方において、陽極液116は、あるレベルのアルカリイオン濃度を維持するように添加されるべきである。
上述のように、陽極液溶液116は溶媒146及び少なくとも1つのカルボン酸のアルカリ金属塩130/130aから成る。第1のカルボン酸130の選択は、合成されるAR化合物のアルキル成分の意図される構造による。これらは一般式RCOMを有し、Rは炭素数2〜22の炭化水素である。その例としては、これに限定されないが、酪酸、乳酸、3−ヒドキシプロパン酸、吉草酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、レブリン酸、ナフテン酸などが挙げられる。カルボン酸は、アルキル成分の大部分が炭素−炭素単結合を含むべきであるが、また、官能基が存在してもよい。ある実施態様において、陽極液116はアルキル系カルボン酸塩の混合物を含む。
陽極液116は、第2の種類のカルボン酸130aのカルボン酸塩を少なくとも1つを含む。このカルボン酸130aは、RCOHの一般式で与えられ、Rは、ベンゼン又はナフタレン環などの芳香族置換基である。芳香族置換基のれいとしては、これに限定されないが、安息香酸、ナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸、パモン酸、ヒドロキシナフトエ酸、フェニルプロパン酸、フェニルブタン酸、フェニルエタン酸、ナフトエ酸、フタル酸、トリメシン酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸は更なる官能基を有していてもよくおよび/または複数の芳香族系を有していてもよい。ある実施態様において、陽極液116はアリル系カルボン酸塩の混合物を含む。
既に開示されているように、陽極液溶液116は、溶媒146として使用される芳香族化合物から成っていてもよい。この芳香族溶媒は、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸のアルカリ金属塩またはそれらの混合物を含む。ある実施態様において、芳香族溶媒は支持電解質を含む。他の実施態様において、陽極液溶液116は芳香族溶媒および極性有機溶媒(それらの混合で溶媒146を形成)の混合物から成り、この混合溶媒は少なくとも1つのカルボン酸アルカリ金属塩を含む。
COM塩130及びRCOM塩130aは、陽極液溶液116として使用する好適な電解質に添加される。所望の生成物によって、陽極液116は2種よりも多いカルボン酸の混合物を含むことが出来る。陽極液116の伝導性が脱カルボキシル化に最適ではない場合、陽極液溶液116は任意に支持電解質を含むことが出来る。陽極液溶液116は、連続式またはバッチ式の何れの方式でも図1に示すセル100等の電気化学的セルに供給できる。
印加電位差11によりアノード4において反応が起こる。この反応はカルボン酸イオンの脱カルボキシル化を引き起こして二酸化炭素を形成し、上記に示す反応に従ってラジカル(R・)が発生する。電解を行う反応条件によって、脱カルボキシル化工程で形成されたラジカルは、上述のように異なるカップリング反応を行う(例えば、ヘテロカップリング又はホモカップリング)。
脱カルボキシル化は、アルキルカルボン酸塩ラジカルのホモカップリング、アリルカルボン酸塩ラジカルのホモカップリング及びこれら2種ラジカル間のヘテロカップリングを可能にする。本実施態様で使用される条件およびパラメーターは、ホモカップリングよりもヘテロカップリングを促進させるか、またはその逆かを変更できる。条件およびパラメーターは更に、単一のアリル基上に複数のアルキル化を生じさせることにも使用できる。カップリング反応から得られた生成物は必要に応じて分離され、潤滑油または潤滑油添加剤(あるいは他の所望の製品)として必要な性質を有する物質を得る。
更なる実施態様において、印加される電位差11がアノード4において酸化を生じさせ、芳香族溶媒146の存在下でカルボン酸のアルカリ塩130又はカルボン酸のアルカリ塩の混合物130、130aの脱カルボキシル化が行われるように設計される(もちろん、芳香族溶媒は芳香族化合物を含む混合溶媒でもよい)。この実施態様において、脱カルボキシル化は、前述の実施態様に記載されたラジカルの形成、または以下の反応で示されるカルボカチオンの形成を導く。
COM → R + CO + M + 2e
この実施態様において、ラジカル及び/又はカルボカチオンは求電子剤として働き、次いで求電子置換反応が生じる。そのような反応は、以下に示すように(これに限定されないが)、例えば水素などの芳香族基上の1つの置換基を求電子置換する。
+ C → C−R + H
・ + C → C−R + H・
室内ではHイオン又はH・が次いで消費され、更に反応する。上記の実施態様において、ベンゼンが芳香族溶媒として示される。当業者には明らかなように、他の芳香族有機溶媒も使用できる。
ここに記載される実施態様に従い、最初のアルキル−アリルカップリング反応の生成物は、すでに存在する芳香族基を有している。両方の場合において(例えば、ヘテロカップリングを介して生じたか、芳香族溶媒を用いた反応を介して生じたかどうか)、この芳香族基は、次いで、アノード4において発生する更なるラジカル又はカルボカチオンと共に更に求電子置換反応を経由する。電解の条件およびパラメーターを制御することにより、芳香族基上に生じるアルキル化の度合いを制御でき、それ故MAR生成物、DAR生成物またはPAR生成物が得られるかを制御できる。
ラジカルを形成する脱カルボキシル化を起こす酸化反応は、通常高電流密度において行われる。高電流密度は低い電位差を起こすことを可能にするため、高い伝導性の陰極液117がセル100のカソード室2に使用される。そのような陰極液物質117の例として、これに限定されないが、水酸化アルカリ水溶液および非水メタノール/アルカリメトキシド溶液が挙げられる。セル100に印加される電圧はアノード4において酸化反応を可能とするため、電位差はまたカソード5において陰極液117の還元を起こす(この還元反応は水素ガス23及びアルカリ金属水酸化物も形成を導く)。
カルボン酸それ自身の代りにアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩を使用するこの実施態様のいくつかの利点は以下の通りである。
・RCOMがRCOHより極性があり、脱カルボキシル化がより低い電圧で可能である。
・電解質伝導性は酸溶液よりもアルカリ金属塩の方が高い。
・陽極液溶液および陰極液溶液が完全に異なってもよく、何れの/両方の電極において好ましい反応を起こすことが出来る。
以下の実施例は、本発明の要旨の範囲内の種々の実施態様を例示するものである。
いくつかの実施例により、低温低圧での電解脱カルボキシル化プロセスを使用した、アルキル化合物およびアリル化合物のカップリング反応で潤滑油(または他の類似の化合物)として有益な性質を有する化合物を形成する技術的可能性を示す。以下の実施例では、主として脂肪族化合物または主として芳香族化合物の何れかから成るカルボン酸のナトリウム塩の混合物の脱カルボキシル化を、ユタ州、ソルトレークシティーのCeramatec,Inc.社製のNaSelect(登録商標)NaSICON膜が搭載された電解セルを使用して示す。脱カルボキシル化により、グループVの潤滑油又は他の成分の製造に使用されるアルキル−アリル化合物が製造された。
ここに記載される実施例において使用された実験手法をスキーム図として図1に示す。これらの実施例で使用されたセルは、電極および膜の間の距離を最小にしながら、陽極液および陰極液の両方をセルにポンプで供給することができるミクロフローセルである。実施例で使用した膜は、セルの中心のスカフホールド(足場)に収納された2.54cm径で厚さ約1mmのNaSICONディスクから成る。スカフホールド及び膜は物理的にアノード室とカソード室とを分離するので、陽極液および陰極液のための別々のリザーバー及び温度制御ホットプレートが有る。これは、それぞれの電極反応を化学的および条件的に最良にする。複数のヘッドの寄生ポンプが、電解セルに両方の電解質をポンプで供給するのに使用され、電解質の温度によって、セル、ポンプ及びリザーバーの間の配管は絶縁(断熱)された。
極性有機溶媒中に2種の塩を少なくとも10重量%溶かして、カルボン酸のナトリウム塩を含む陽極液を調製した。2種の方法を使用して実施した。第1の方法は、カルボン酸およびNaOHを極性有機溶媒に添加することによって直接ナトリウム塩を調製した。酸の脱水素を完全にするために、セルは過剰のNaOHを示すpH8〜12で作動させた。第2の方法は、従来の鹸化反応に従って別のナトリウム塩溶液を調製し、次いで、その調製した塩を極性有機溶媒に溶解する工程から成った。この方法では、カルボン酸が中和してカルボン酸ナトリウムが形成される間、通常の鹸化操作を使用した。この場合、カルボン酸はナトリウム塩に別に変換され、次いで極性溶媒に添加される。陰極液はナトリウム塩を含むいかなる溶液から作ることができ、ここに示す実施例では、が使用された。溶液の低い抵抗を達成するために、電解質の温度を50℃に増加させ、溶解性と伝導性の両方を改良した。
リザーバーが所望の温度に達したら、電源(BP Precisionn 1786B)が接続され、10〜100mA/cmの電流密度が印加された。電解中、電圧と電流は、LabVIEWによって制御されたData Acquisition Unit(Agilent 3490A)を使用してモニタリングした。印加した電流によって、アノード(平滑白金)において酸化反応が起こり、カソード(ニッケル)において還元反応が起きた。なお、それぞれの電極面積は11cmであった。電源が電子をアノードからカソードに移動させるため、正電荷イオンの拡散によりセルを通過することにより電荷バランスが維持される。NaSICON膜がNaイオンを高選択に透過させるため、これだけの化学種でバランスが維持でき、それ故、高濃度のナトリウム塩をが望ましい。
メタノールは本実施例で使用された溶媒である。本実施例で使用された全てのナトリウム塩のメタノール中の溶解性は、穏やかな加熱後で10−15重量%であることがわかった。全ての実施例において、2種の塩が存在した際、それぞれの塩のメタノールへの溶解性は、10重量%であることがわかった(それ故、2つに塩を含む溶液は、塩の合計濃度が20重量%であった)。
このシステムで形成された生成物の分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)−質量分析(MS)を使用して行った。ナトリウム塩の存在により、生成物を直接GC−MS分析できない。そのため、後プロセスの異なる段階において異なる留分を得て、GC−MSで分析した。後プロセスは、溶媒抽出、物理的分離および蒸留を含む異なる工程から成った。実施例で使用したここのプロセスは以下に示される。これらのシステムでのGC分析は、−60〜430℃の温度で扱われる低多孔性架橋ジフェニルジメチルポリシロキサン相を有する15m金属カラムを使用して行われた。5分間温度40℃を維持し、次いで10分間で温度320℃に上昇させる温度プログラムを使用した。温度が320℃に達したら、この温度を10分間維持した。GC−MS分析は、温度−60〜325℃の範囲で扱われる非極性ジメチルポリシロキサン相を有する60mカラムを使用して行われた。温度35℃で始め、10分間で温度310℃に上昇させ、次いでこの温度を35分間維持した。データを分析するのに使用した質量分析範囲は29〜550m/zであった。
実施例1:
ここに記載される電気化学的脱カルボキシル化プロセスは、芳香族環に長鎖脂肪族基をアルキル化するのに使用された。製造されたアルキル化芳香族化合物は、グループVの潤滑油の成分として有益な性質を有する。この実施例の陽極液は、オレイン酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムのメタノール10重量%溶液から成る。陽極液を準備するため、安息香酸およびオレイン酸ナトリウム塩は、対応する酸から製造されなければいけない。これは、メタノールに20重量%の酸を添加し、溶液を50℃に加熱することにより個別に形成される。加熱された溶液に、7重量%の水酸化ナトリウムを加え、白色固体が析出する。固体からメタノールを除去した後、その固体を一晩乾燥させた。陽極液は、10重量%安息香酸ナトリウム及び10重量%オレイン酸ナトリウムをメタノールに添加して調製した。10重量%水酸化ナトリウム水溶液を陰極液として使用した。
電解はバッチ式で行われ、その間、陽極液および陰極液はセルの対応するアノード室およびカソード室を通じて循環された。両方の電解質は50℃の温度に維持された。18mA/cmの電流密度がセルに印加され、総量40%のナトリウム塩を理論的に変換するまで十分な電荷が通電された。アノード室における電解中に生じるこの反応を以下に示す。
CH(CH16CONa→CH(CH15CH・+CO+Na+1e
CONa→C・+CO+Na+1e
同様に、カソード室において生じる反応を以下に示す。
2HO+2e→2OH+H
CH(CH15CH・化学種は、オレイン酸ナトリウムから誘導されるアルキルラジカルである。C・化学種は、安息香酸ナトリウムから誘導されるフェニルラジカルである。
アノード室において起こる脱カルボキシル化はCOを生成する。生成したCOは水酸化カルシウム溶液を介してバブリングして炭酸カルシウムを形成する。炭酸カルシウムは次いでTGAを使用して分析される。図2はこの実施例における電圧および電流密度対時間のグラフを示し、印加される電流密度において9Vの電圧が生じていることを示す。セルはこの低電圧を実験中6時間保持した。この実験はその点において終了し、陽極液はGC分析を行うために処理された。この実施例で使用した条件は、アノードにおいて形成されるラジカルのホモ−及びヘテロ−カップリングの両方を促進させ、以下のカップリング反応が生じる。
2CH(CH15CH・→CH(CH32CH
(アルキルラジカルのホモカップリング)
2C・→C−C
(芳香族ラジカルのホモカップリング)
・+CH(CH15CH・→C−(CH16CH
(芳香族ラジカルとアルキルラジカルとのヘテロカップリング)
電解が終了した後、陽極液はGCで分析されるために処理される。その処理は、30%HSOを陽極液溶液に添加することから成り、NaSOが析出する。遠心分離後、メタノール溶液は固体物質を傾斜分離した。液体部分は注いで酢酸エチルと混合した。分液ロートを使用し、相を分離して、酢酸エチル相をGC分析した。図3に、オレイン酸ナトリウムのみを含む溶液の脱カルボキシル化のGCを示す。このGCは、26.5分にオレイン酸が溶出することを示し、ホモカップリング生成物(オレイン酸塩からの)の溶出は29.2分である。図3に示す第2のGCは、オレイン酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウム脱カルボキシル化の分析を示す。このGCは、オレイン酸の溶出が26.5分であり、ヘテロ−カップリングアルキル−アリル生成物の溶出が34.9分であることを示す。
実施例2:
ここに記載される電気化学的脱カルボキシル化プロセスは、直鎖脂肪族および芳香族基を含みナフテン酸として知られるカルボン酸の混合物におけるホモ/ヘテロカップリングを実施するために用いた。製造された液体は、グループVの潤滑油の成分に有益な性質を有した。この実施例の陽極液はナフテン酸ナトリウムの10重量%メタノール溶液から成っていた。水酸化ナトリウム10重量%水溶液を陰極液として使用した。
電解はバッチ式で行われ、その間、陽極液および陰極液はセルの対応するアノード室およびカソード室を通じて循環された。両方の電解質は50℃の温度に維持された。9mA/cmの電流密度がセルに印加され、総量40%のナトリウム塩を理論的に変換するまで十分な電荷が通電された。アノード室における電解中に生じるこの反応を以下に示す。
napCONa→Rnap・+CO+Na+1e
上記の式のRnapは、炭素数9〜20の骨格を有し、分子量120〜700amuのシクロペンチル及びシクロヘキシル脂肪族基の混合物である。同時にカソード室において以下の反応が起こる。
2HO + 2e → 2OH + H
アノード室において起こる脱カルボキシル化はCOを生成する。生成したCOは水酸化カルシウム溶液を介してバブリングして炭酸カルシウムを形成する。炭酸カルシウムは次いでTGAを使用して分析される。図4はこの実施例における電圧および電流密度対時間のグラフを示す。実験は電流密度9mA/cmを印加して始め、次いでこの電流密度を段階的に22mA/cmまで上昇させ、セルの電位は31Vに達した。1時間でこの限界に達し、到達した電位差31Vの限界のままで1時間かけて電流密度を19mA/cmに減少させた。図4に示すように、2時間後に実験終了するまでに電流密度を3段階以上で段階的に減少させた。この実施例で使用した条件は、アノードにおいて形成されるラジカル混合物のカップリングを促進させる。従って、この反応は以下に示す一般式を有する混合化合物(これに限定されないが)を形成した。

電解が終了した後、陽極液はGCで分析されるために処理される。その処理は、30%HSOを陽極液溶液に添加することから成り、NaSOが析出する。HSOの添加後に粘性液体が形成され、この液体をGC−MS分析に使用した。この液体のGC分析結果を図5に示す。この図では、幅広いピークが得られ、構造および/または分子量においてわずかに異なる化合物の混合物を示す。MS分析を使用し、tこの混合物の化学種の同定を行い、出発カルボン酸およびこれらの酸の脱カルボキシル化によって製造されたカップリング生成物の混合物が結合したものと決定された。
実施例3:
本実施態様の他の実施例において、実施例1のアルキル−アリルカップリングを実施例2に示すカップリング反応に取り入れた。この実施例において、電気化学的脱カルボキシル化プロセスは、ナフトエ酸塩ラジカルとカップリングされる環を含む長鎖脂肪族ラジカルの混合物のカップリング反応を導いた。生成したアルキル化ナフタレンは、グループVの潤滑油の成分として有益な性質を有する。この実施例の陽極液は、ナフテン酸ナトリウム及びナフトエ酸ナトリウムの10重量%のメタノール溶液から成った。陽極液の調製のため、ナフトエ酸10重量%をメタノールに添加し、次いで水酸化ナトリウム4重量%を添加した。この溶液に対し、ナフテン酸ナトリウム10重量%を添加した。水酸化ナトリウム10重量%水溶液を陰極液として使用した。
電解はバッチ式で行われ、その間、陽極液および陰極液はセルの対応するアノード室およびカソード室を通じて循環された。両方の電解質は50℃の温度に維持された。27mA/cmの電流密度がセルに印加され、総量40%のナトリウム塩を理論的に変換するまで十分な電荷が通電された。アノード室における電解中に生じるこの反応を以下に示す。
napCONa→RnapCH・+CO+Na+1e
10CONa→C10・+CO+Na+1e
ここで、Rnapはナフテン酸と呼ばれるものを構成するカルボン酸の混合物を示す。同時にカソード室で生じる反応を以下に示す。
2HO + 2e → 2OH + H
アノード室において起こる脱カルボキシル化はCOを生成する。生成したCOは水酸化カルシウム溶液を介してバブリングして炭酸カルシウムを形成する。炭酸カルシウムは次いでTGAを使用して分析される。図6はこの実施例における電圧および電流密度対時間のグラフを示す。実験は電流密度27mA/cmを印加して始め、セルの電位は31Vに達した。1時間でこの限界に達し、到達した電位差31Vの限界のままで1時間かけて電流密度を19mA/cmに減少させた。図6に示すように、6時間後に実験終了するまでに電流密度を2段階以上で段階的に減少させた。この実施例で使用した条件は、アノードにおいて形成されるラジカルのホモ−及びヘテロ−カップリングの両方を促進させ以下に示す反応が生じた。
2Rnap・ → Rnap−Rnap
(ラジカルのホモカップリング)
2C10・ → C10−C10
(ラジカルのホモカップリング)
10・ + Rnap・ → C10−Rnap
(芳香族ラジカルとアルキルラジカルとのヘテロカップリング)
電解が終了した後、陽極液はGCで分析されるために処理される。その処理は、30%HSOを陽極液溶液に添加することから成り、NaSOが析出する。遠心分離後、メタノール相は固体と粘性液体に分離し、この新たな固体と粘性液体をそのまま残してメタノール相を完全に蒸留した。この新たな固体と粘性液体は減圧下180℃では沸騰しなかった。固体分は液体から濾別し、酢酸エチルに溶解させてGC分析した。
実施例4:
他の実施態様の実施例を示す。この実施例では、実施例3で使用したのと同じカルボン酸を使用して、アルキル−アリルカップリングを行った。この実施例において、陽極液は極性電解質および非極性電解質の不均一混合物から成った。極性電解質はメタノールであり、非極性電解質はペンタデカンであった。電解質のメタン(メタノール)部分において、ナフテン酸ナトリウム及びナフトエ酸ナトリウム10重量%が溶解していた。これは実施例3に記載した方法に従って調製し、次いでこの相に20体積%のペンタデカンを添加した。
電解はバッチ式で行われ、その間、陽極液および陰極液はセルの対応するアノード室およびカソード室を通じて循環された。陽極液室は、陽極液がメタノール層からセルに取り入れられ、セルのペンタデカン層に戻されるように設計された。これは、電解のためにセルに極性溶媒を選択的に入れるように選ばれた手法であり、得られる生成物を引き続いて行われる電解での非極性溶媒で交換できるようにする。両電解質の温度は50℃に維持した。図8はこの実施例における電圧および電流密度対時間のグラフを示す。実験は電流密度27mA/cmを印加し、セルの電位は31Vに達した。次いで、2時間後に実験終了するまでに電流密度を2段階以上で段階的に減少させた。電解中アノード室において生じる反応を以下に示す。
napCONa→RnapCH・+CO+Na+1e
10CONa→C10・+CO+Na+1e
ここで、Rnapはナフテン酸と呼ばれるものを構成するカルボン酸の混合物を示す。同時にカソード室で生じる反応を以下に示す。
2HO + 2e → 2OH + H
電解終了後、ペンタデカン及びメタノールは分液ロートを使用して分離した。ペンタデカン層は、SimDist(simulated distillation)を作動させるためにセットアップされたGCを使用して分析された。その分析結果を図9に示す。ペンタデカンに分配されるアルキル−アリルカップリング生成物は、グループVの潤滑油における望ましい熱特性を有することがわかる。
<スチレン及びスチレン前駆体の製造>
スチレンは、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)を含む多くのポリマー材料およびプラスチック材料を製造するのに使用される有用な化学物質である。スチレンはCCHCHで示される。化学構造は以下の通りである。

現在、約15ビリオンポンドのスチレンが毎年製造されており、ほとんどがエチルベンゼンの触媒脱水素化によるものである。このプロセスは高温および高圧が必要であり、重合反応の禁止となる硫黄などの不純物を伴ってスチレンが製造される。しかしながら、ここに記載される本脱カルボキシル化方法は、スチレンを製造するための容易な方法も提供する。
具体的には、安息香酸アルカリ金属塩(安息香酸から)及びアルカリ金属乳酸塩(乳酸(2−ヒドロプロパン酸)または3−ヒドロキシプロパン酸から)の脱カルボキシル化を同じセルを用いて行えば、スチレン前駆体を容易に製造できる(ヒドロキシプロピオン酸塩および安息香酸塩は、本アルキル−アリルカップリング反応の一部として使用できる成分として上記に例示されている)。乳酸(2−ヒドロプロパン酸)アニオン(CHCH(OH)CO)は以下の化学式を有する。

3−プロパン酸アニオン(CH(OH)CHCO)は以下の式で示される。

アルカリ金属安息香酸塩(安息香酸から)は以下のように脱カルボキシル化される。
CONa→C・+CO+Na+1e
同様に、アルカリ金属乳酸塩および/または3−ヒドロキシプロピオン酸塩(乳酸または3−ヒドロキシプロピオン酸から)は以下のように脱カルボキシル化される。
CHCH(OH)CONa→CHCH(OH)・+CO+Na+1e
(アルカリ金属安息香酸塩およびアルカリ金属乳酸塩は、安息香酸および乳酸から本明細書に示す鹸化反応を使用して形成される)
これらのアルカリ金属塩が同じ陽極液に混合され、同じセル内で脱カルボキシル化されれば、引続き以下のヘテロカップリング反応(アルキル基および芳香族基のカップリングを含む)が生じる。
・+CHCH(OH)・→C−CH(OH)CH
製造された生成物は1−フェニルエタノールである。脱カルボキシル化が3−ヒドロキシプロピオン酸塩の存在下で行われる場合、次いで2−フェニルエタノールが製造される(上述のように、セルの具体的な条件は、ホモカップリングに対してヘテロカップリングが優先するように選択される。しかしながら、ラジカルホモカップリング生成物のいくつか(C−C及びCHCH(OH)−CH(OH)CH)もまた得られてしまい、フェニルエタノール(CHCH(OH)−CH(OH)CHは2,3−ブタンジオール)から分離される。更に注意すべきことは、1−フェニルエタノール及び2,3−ブタンジオールに加えて又はそれに代えて、所定量の2−フェニルエタノール及び1,4−ブタンジオールも製造される(異なる反応メカニズム/反応ルートによる)
ある実施態様において、ホモカップリング生成物(C−C)が得られ、1−フェニルエタノール及び2,3−ブタンジオール(又は2−フェニルエタノール及び1,4−ブタンジオール)から分離される。この分離は1−フェニルエタノール及び2,3−ブタンジオール(又は2−フェニルエタノール及び1,4−ブタンジオール)の混合物をそのままにしておくもので、続いて脱水反応を行ってスチレン及びブタジエンを製造する。両者ともABSポリマー材料を作るのに使用される(ブタジエンはCHCHCHCHの式を有する)。ブタジエン及びスチレンは、必要に応じABS又は他の熱可塑性樹脂を製造するのに使用できる。
ある実施態様において、ヒドロキシプロパン酸および安息香酸および/またこれらの酸の塩の脱カルボキシル化は、アクリロニトリルを溶媒として使用する電解質中で行われる(電解質はアクリロニトリルを含む溶媒の混合物である)。このような実施態様において、ABS材料を製造するのに必要な3種の成分が存在する。他の実施態様において、乳酸ナトリウム又は3−ヒドロキシプロピオン酸ナトリウムの脱カルボキシル化が、ベンゼン又はベンゼンと極性有機溶媒との混合物を含む電解質中で行われる。この実施態様において、ラジカル又はカルボカチオンがベンゼンの求電子置換反応を経て、1−フェニルエタノール又は2−フェニルエタノールを形成する。
フェニルエタノール(1−フェニルエタノール又は2−フェニルエタノール等)が得られると、この生成物を脱水反応してスチレンを製造できる。
−CH(OH)CH→C−CHCH+H
同様に、もし2,3−ブタンジオール(又は1,4−ブタンジオール)が存在すれば、脱水反応を行ってブタジエンを製造する。
CHCH(OH)CH(OH)CH→CHCHCHCH+H
当業者ならば、脱水反応を実施するのに必要な条件をわかるであろう。一つ以上の触媒が、この脱水反応を容易にし/迅速に行うために使用されてもよい。ある実施態様において、1−フェニルエタノール(又は2−フェニルエタノール)を脱水してスチレンを得るのに使用できる種々の異なる反応条件、触媒などがある。
スチレンを製造する上述の方法は、高音および/または高圧を必要とせず、更にエチルベンゼン前駆体も必要としない。むしろその前駆体はヒドロキシプロパン酸および安息香酸である、これらは容易に入手できる。同様に、他の製造方法を介して作られるスチレンにおいて認められる硫黄の不純物をほとんど或いは全く含まない。それ故、得られるスチレンは、商業的に入手可能なスチレンモノマーに比べてより純粋である。更に、本方法はスチレン及びブタジエンの両方を1つの工程で製造するための別ルートの方法を提供し、アクリロニトリルの存在下でも製造可能である。
本発明で引用された全ての特許出願および特許文献は参照により本発明に引用される。



  1. 所定量の陽極液を収納するアノード室と、陽極液と連通しているアノードと、陰極液と連通しているカソードと、アルカリイオン伝導性膜と、電源とから成る電気化学的セルであって、陽極液は所定量の第1のカルボン酸のアルカリ金属塩および芳香族化合物から成り、第1のカルボン酸のアルカリ金属塩がアルキルカルボン酸塩であり、電源は第1のカルボン酸のアルカリ金属塩を脱カルボキシル化してアリル−アルキルカップリング化合物を形成することを特徴とする電気化学的セル。

  2. 電源が第1のカルボン酸のアルカリ金属塩を脱カルボキシル化してアルキルラジカルに変換し、芳香族化合物が第2のカルボン酸のアルカリ金属塩から成り、電源が第2のカルボン酸アルカリ金属塩を脱カルボキシル化してアリルラジカルに変換し、アリル−アルキルカップリング生成物がアリルラジカルとアルキルラジカルとのカップリング反応により形成される請求項1に記載の電気化学的セル。

  3. 芳香族化合物が溶媒であり、脱カルボキシル化によって、溶媒の芳香族環上の求電子置換反応を介してアリル−アルキルカップリング生成物を形成する請求項1に記載の電気化学的セル。

  4. 芳香族化合物がベンゼンである請求項1に記載の電気化学的セル。

  5. アリル−アルキルカップリング生成物がグループVに属する潤滑油である請求項1に記載の電気化学的セル。

  6. アリル−アルキルカップリング生成物が1−フェニルエタノール又は2−フェニルエタノールである請求項1に記載の電気化学的セル。

  7. 更に、1−フェニルエタノール又は2−フェニルエタノールを脱水してスチレンを形成する請求項6に記載の電気化学的セル。

  8. 芳香族化合物が第2のカルボン酸のアルカリ金属塩から成り、第2のカルボン酸のアルカリ金属塩が、安息香酸、フェニルプロパン酸、フェニルブタン酸、フェニルエタン酸、ナフトエ酸、ナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸、パモン酸、ヒドロキシナフトエ酸、フタル酸およびトリメシン酸から選択される1つ以上の酸の1つ以上のアルカリ金属塩である請求項1に記載の電気化学的セル。

  9. 第1のアルカリ金属塩が、酪酸、乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、吉草酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、レブリン酸およびナフテン酸から選択される1つ以上のカルボン酸のアルカリ金属塩である請求項1に記載の電気化学的セル。

  10. 陽極液が極性有機溶媒またはイオン性液体と、支持電解質とから成る.請求項1に記載の電気化学的セル。

  11. 陽極液が非極性有機溶媒を混合した極性有機溶媒から成る請求項1に記載の電気化学的セル。

  12. イオン伝導性膜が、10〜5000μmの厚さ、好ましくは100〜1000μmの厚さ、より好ましくは200〜700μmの厚さを有するディスク形状である請求項1に記載の電気化学的セル。

  13. イオン伝導性膜が、0.25〜25cm、好ましくは1.27〜12.7cm、より好ましくは2.54〜7.62cmの直径を有する円筒形状である請求項1に記載の電気化学的セル。

  14. イオン伝導性膜が、0.25〜25cm、好ましくは1.27〜12.7cm、より好ましくは2.54〜7.62cmの直径のディスク形状を有し支持体中に組み込まれている請求項1に記載の電気化学的セル。

  15. アリル−アルキルカップリング生成物に加えて形成される副生物が二酸化炭素および水素ガスから成る請求項1に記載の電気化学的セル。

  16. アリル−アルキルカップリング生成物をさらに求電子置換反応に供する請求項1に記載の電気化学的セル。

  17. アリル−アルキルカップリング生成物がアリルラジカルとアルキルラジカルのカップリングを経て形成され、電気化学的セルは更にアリル−アリルカップリング精製物およびアルキル−アルキルカップリング生成物もまた製造する請求項1に記載の電気化学的セル。

  18. 第1のカルボン酸のアルカリ金属塩および芳香族化合物を得る工程と、第1のカルボン酸のアルカリ金属塩を脱カルボキシル化してアルキルラジカルに変換する工程とから成るアリル−アルキルカップリング生成物を製造する方法であって、第1のカルボン酸のアルカリ金属塩がアルキルカルボン酸の塩であり、アルキルラジカルが芳香族化合物と反応してアリル−アルキルカップリング生成物を形成することを特徴とするアリル−アルキルカップリング生成物を製造する方法。

  19. 第1のカルボン酸のアルカリ金属塩が、MOH又はMORの式で示される(ただし、Mはアルカリ金属、OHは水酸化物アニオン、ORはアルコキシドアニオンを示す)塩基を使用した鹸化反応を経て形成される請求項18に記載の方法。

  20. 塩基が脱カルボキシル化の一部として再形成され、塩基が回収されて更に鹸化反応で再使用される請求項19に記載の方法。

  21. 芳香族化合物が第2のカルボン酸のアルカリ金属塩から成り、第2のカルボン酸のアルカリ金属塩が脱カルボキシル化されてアリルラジカルに変換され、アリルラジカルとアルキルラジカルがカップリングしてアリル−アルキルカップリング生成物を形成する請求項18に記載の方法。

  22. アリル−アルキルカップリング生成物が、1−フェニルエタノール又は2−フェニルエタノールであり、更に、1−フェニルエタノール又は2−フェニルエタノールを脱水してスチレンに変換し、1,4−ブタンジオール又は2,3−ブタンジオールを脱水してブタジエンに変換する工程を含む請求項18に記載の方法。

  23. アリル−アルキルカップリング生成物が、グループVの潤滑油である請求項18に記載の方法。

  24. 第1のカルボン酸のアルカリ金属塩および芳香族化合物から成る陽極液と、陽極液と連通するアノードと、陰極液と、陰極液と連通するカソードと、電源とから成る電気化学的セルであって、第1のカルボン酸のアルカリ金属塩がアルキルカルボン酸の塩であり、電源が第1のカルボン酸のアルカリ金属塩を脱カルボキシル化してアルキルラジカルに変換し、アルキルラジカルは反応してアリル−アルキルカップリング生成物を形成することを特徴とする電気化学的セル。

 

 

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