電気泳動分離装置およびそれを使用するための方法

著者らは特許

G01N27/447 - 電気泳動を用いるもの
G01N33/561 - 免疫電気泳動

の所有者の特許 JP2016517509:

ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア

 

【課題】電気泳動分離装置およびそれを使用するための方法を提供する。
【解決手段】装置の態様は、複数のマイクロウェルを含むポリマー分離媒体を含む。主題の装置が利用を見出す、方法、システム、およびキットも提供する。装置および方法は、様々な異なる電気泳動分離用途において利用を見出す。
【選択図】図1A

 

 

関連出願の相互参照
35 U.S.C.§119(e)に準拠し、本出願は、2013年3月7日に出願された米国仮出願第61/774,519号、2013年3月26日に出願された米国仮出願第61/805,414号、および2013年8月15日に出願された米国仮出願第61/866,396号の出願日への優先権を主張し、その各々の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
政府支援への参照
本発明は、国立衛生研究所により授与された助成金番号OD007294、および国立科学財団によって授与された助成金番号1056035の下で政府の支援によってなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
序文
種々の分析技法を使用して、所与の試料中の特定の分析物を分離および検出することができる。様々な関連する免疫ブロッティングは、生体分子分離およびアッセイを合わせることによって、例えば、DNA(サザンブロット)、RNA(ノーザンブロット)、タンパク質(ウエスタンブロット)、およびタンパク質間相互作用(ファーウエスタンブロット)の識別および半定量的特性評価を可能にした。例えば、ウエスタンブロッティングは、試料中のタンパク質を分離するためのゲル電気泳動を使用し、その後の標的タンパク質に特異的な抗体を用いるプロービングによって、試料中のタンパク質を検出することができる。典型的なウエスタンブロットでは、ゲル電気泳動を使用して、3D構造によって天然タンパク質を、またはポリペプチドの長さによって変性タンパク質を分離する。タンパク質は次に、膜(典型的にはニトロセルロースまたはPVDF)に移動し、そこで標的タンパク質に特異的な抗体を使用してプロービング(検出)される。
希少細胞集団のプロテオーム解析は、分析試料中の非常に低い細胞濃度が原因で、困難となり得る。例えば、循環腫瘍細胞は血液1mL当たり1〜10細胞で存在し得、正確な結果を得るには約10細胞を必要とする従来のアッセイ(例えば、ウエスタンブロットおよびフローサイトメトリー)には好適でないことがある。加えて、大規模な細胞集団の分析は、平均とは異なる挙動をする亜集団を不明瞭にし得る。細胞間変動は異なる結果につながり得るため、個別細胞挙動の研究は、単一細胞分析によって行い得る。
電気泳動分離装置およびそれを使用するための方法を提供する。本開示の実施形態の態様は、複数のマイクロウェルを有するポリマー分離媒体を含む装置を含む。ポリマー分離媒体は、適用刺激を適用すると分離媒体中の1つ以上の目的とする試料成分に共有結合する官能基を含む。
一部の実施形態では、装置は、ポリマー分離媒体の表面に接触する固体支持体を更に含み、ここで装置は、ポリマー分離媒体および固体支持体のうち1つ以上の一部分を通過する少なくとも1つのチャネルを含む。
一部の実施形態では、マイクロウェルは、ポリマー分離媒体中でマイクロウェルのアレイとして配列される。一部の実施形態では、マイクロウェルは、ポリマー分離媒体の表面上にある開口端部、およびポリマー分離媒体中にある反対の閉口端部を含む。
一部の実施形態では、ポリマー分離媒体は、外周部上に位置付けられ、かつ中心ウェルと流体連通している複数のマイクロウェルを有する中心ウェルを含む。一部の実施形態では、各マイクロウェルは、中心ウェルと流体連通している開口端部、およびポリマー分離媒体中にある反対の閉口端部を含む。一部の実施形態では、マイクロウェルは、中心ウェルの実質的に全外周部の周りに配列される。一部の実施形態では、装置は、ポリマー分離媒体を保持する固体支持体を含み、ここで装置は、ポリマー分離媒体および固体支持体のうち1つ以上の一部分を通過する少なくとも1つのチャネルを含む。
一部の実施形態では、ポリマー分離媒体は、100個以上のマイクロウェルを含む。
一部の実施形態では、マイクロウェルは、単一細胞を収容するように寸法決定される。
一部の実施形態では、マイクロウェルの開口端部は、マイクロウェルの閉口端部を上回る幅を有する。
一部の実施形態では、適用刺激は光である。
本開示の態様は、試料を、複数のマイクロウェルを有するポリマー分離媒体と接触させ、ポリマー分離媒体に、試料の少なくとも一部の成分をマイクロウェルからポリマー分離媒体へと移動させるのに十分な様態で電場を適用して、ポリマー分離媒体中で分離した試料成分をもたらすことを含む方法を、更に含む。一部の実施形態では、ポリマー分離媒体は、適用刺激を適用すると分離媒体中の1つ以上の目的とする試料成分に共有結合する官能基を含む。
一部の実施形態では、試料は、細胞および/または細胞成分を含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞を溶解して、試料中で細胞成分をもたらすことを含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞をインキュベートして、試料中で細胞成分をもたらすことを含む。
一部の実施形態では、本方法は、ポリマー分離媒体中で分離した試料成分を固定することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、分離した試料成分を検出することを含む。一部の実施形態では、検出することは、分離した試料成分を分析物検出試薬と接触させることを含む。一部の実施形態では、本方法は、分離した試料成分を第2の分析物検出試薬と接触させることを含む。
一部の実施形態では、本方法は、ポリマー分離媒体を撮像して、分離した細胞成分の画像をもたらすことを含む。
本開示の態様はまた、キットも含む。一部の実施形態では、本方法は、本明細書に開示の装置、および本装置を包む包装を含む。
aは、本開示の実施形態に従う単一細胞ウエスタン(scウエスタン)ブロッティングアッセイの画像および図を示す。bは、本開示の実施形態に従う、オープンゲル(open−gel)scウエスタンブロッティングを、細胞沈降、改変RIPA緩衝液を用いた化学的溶解、PAGE(E:電場)、可変多孔率を持つ光活性捕捉ゲル(PACTゲル)上へのUVタンパク質固定化(hv:光子エネルギー)、および拡散駆動型抗体プローブ法(例えば、一次および蛍光標識された二次抗体プローブ、1°Abおよび2°Ab)を含んだ、4時間の多段式アッセイとして実行した、プロセスの流れ図を示す。 cは、本開示の実施形態に従う、15μmの蛍光ビーズの広視野顕微鏡写真、およびローダミン−PAゲル(GEL)中で沈降させた生きたEGFPを発現しているラットの神経幹細胞(NSC)の共焦点顕微鏡写真を示す。dは、本開示の実施形態に従う、550μmの分離距離にあるPAGE分解された5個の蛍光標識タンパク質の画像を示す(DRO、ドロンパ27kDa;OVA、オボアルブミン45kDa;BSA、ウシ血清アルブミン66kDa;OVA’、OVA二量体90kDa;BSA’、BSA二量体132kDa)。eは、本開示の実施形態に従う、単一のラットNSCからのEGFPおよびβ−チューブリン(βTUB)のscウエスタン分析を示す(RFU:相対的蛍光単位)。 aは、本開示の実施形態に従う、神経幹細胞(NSC)集団のscウエスタンブロッティングの画像を示す。b(右上)は、本開示の実施形態に従う、ウェル当たりの細胞(cells−per−well)によって分類した(0’s、1’s、2’sなど)、βTUBの4,128ブロットにわたるライン蛍光強度のプロファイルによって示される、scウエスタンアレイにわたる分離一様性性能のグラフを示す。b(左下)は、任意蛍光単位(AFU)におけるβTUBのプロファイルプロット下の総蛍光に加え、ウェル当たりの細胞の数の移動平均(b(左上)、scウエスタンアレイにわたるマイクロウェル占有率および蛍光読出における空間的変動を追跡)のグラフを示す。移動平均ウインドウサイズは、30ブロットであった。ウェル番号は、マイクロウェルブロックによって順序付け、アレイの左手から右手に移動する。b(右下)は、ウェル当たりの細胞によって分類し、細胞分裂の存在下でのmRNAの動態およびタンパク質産生を説明するガンマ分布に当てはめたヒストグラムを示す(a1’s=14.8、a2’s=23.0、a3’s=28.6、b1’s=1.6×105、b2’s=b3’s=1.8×105)。 cは、本開示の実施形態に従って、固着させたNSC(EGFPトランスフェクト、+ve、および非トランスフェクト、−veのNSC)中のEGFPの抗体プロービング後の、単一およびゼロのウェル当たりの細胞によるEGFPブロットについての較正した蛍光分布のグラフが、発現ゲーティングおよびダイナミックレンジにおいて、従来型フローサイトメトリーと同等であったことを示し、arcsinh変換スケールに留意されたい。 dは、本開示の実施形態に従って、ERK1、pERK1(Thr202/Tyr204)、βTUB、およびEGFP精製標準物についての線形の直接的較正曲線(±SD、n=ドットブロット当たり3つの目的領域)が、およそのERKおよびβTUBの生理学的濃度範囲(細胞内濃度の文献値から予想したブロットしたバンドにおける濃度に較正した)に及ぶことを示す。d(下)は、直接的および間接的方法を使用して導き出したEGFP較正曲線のシグナル対ノイズ比(SNR)分析(n=ドットブロット当たり3つの目的領域)によって27,000分子の検出限界が示されたグラフを示す。残留蛍光シグナルのストリッピングおよび再撮像後の間接的な較正スライドに対する、効果的なストリッピング性能が示された。 aは、本開示の実施形態に従う、線維芽細胞成長因子(FGF)シグナル伝達経路動態、および分子量に対するゲーティングによる標的外プロービングの最小化した寄与を捕捉した単一細胞ウエスタンブロットを示す。a(上)は、βTUBおよびEGFPラダーに対する、ERK1/2(ERK)およびリン酸ERK1/2(Thr202/Tyr204、pERK)についてプローブした単一ラットNSCのscウエスタンブロットの蛍光顕微鏡写真および線変化図を示す(RFU:相対的蛍光単位)。a(下)は、MEK1/2およびリン酸MEK1/2(Ser217/Ser221)の類似の顕微鏡写真を示す。一次抗体ブロットを、Alexa Fluor 555で標識した二次抗体(Alexa Fluor 488で標識したEGFPを除く)を使用して、各プロービングの間にストリッピングを挟み、pERK、ERK/EGFP共プローブ、βTUB、pMEK、MEKの順でプローブした。bは、本開示の実施形態に従う、103kDaのpERK標的外バンドでのプロービングの、その総蛍光シグナルへの寄与のグラフを示す。 cは、本開示の実施形態に従う、16時間の欠乏状態後のラットNSCの20ng/mlのFGF刺激についてのレーン当たり約30,000細胞の従来型ウエスタンブロットを示す。dは、マイクロウェルに播種したラットNSCを20ng/mlのFGFで刺激した際の、それぞれ総ERKおよびMEKに対する比としての特定のpERKおよびpMEKバンド蛍光の倍数変化バイオリンプロットを示す。本開示の実施形態に従って、arcsinh変換スケールに留意されたい。プロットは、dにおける従来型ウエスタンブロットからの濃度測定によって判定した対応するデータと重なり、比率測定基準がpERK/pMEKにおける技術的ノイズ閾値を下回るというブロットからのデータが示された。***はP<0.001を示す。 eは、本開示の実施形態に従う、ハイスループット免疫細胞化学による相補的ERKおよびMEKリン酸化データを示す。細胞をpERK/ERKペアおよびpMEK/MEKペアについて共プローブした。リン酸化標的を、Alexa Fluor 555で標識した二次抗体を使用してプローブし、Alexa Fluor 647、pERK、ERK、およびMEKを持つ全標的は細胞質に局在し、pMEK抗体は、不適正な核局在化を示した。 aは、本開示の実施形態に従う、単一細胞ウエスタンブロットを使用して強い形態学的勾配の存在下でのNSC分化動態を追跡した画像を示す。a(上)は、幹細胞マーカ(ネスチン(NEST)、SOX2)および分化マーカ(βIIIチューブリン(βIIITUB)、グリア繊維性酸性タンパク質(GFAP))についての従来型免疫細胞化学によってプローブした、0日目および6日目のラット神経幹細胞の混合分化培地に存在する細胞型の広視野蛍光顕微鏡写真を示す。bは、本開示の実施形態に従う、a中のように固着させ染色した、scウエスタンマイクロウェル中に播種したNSCについての蛍光顕微鏡写真を示す。明視野画像を重ねて、マイクロウェル辺部を強調した。cは、本開示の実施形態に従う、ローダミンでタグ付けしたゲル(GEL)内に沈降した、固着させ染色した幹細胞型(NEST+、SOX2+)、神経細胞型(βIIITUB+)、および星細胞型(GFAP+)の共焦点画像を示す。 dは、本開示の実施形態に従う、神経幹細胞および分化マーカのscウエスタンブロットについての蛍光顕微鏡写真および線変化図を示す(RFU:相対的蛍光単位)。SOX2(Alexa Fluor 555で標識した二次抗体)およびネスチン(Alexa Fluor 488標識)を、GFAP(Alexa Fluor 555標識)およびβIIITUB(Alexa Fluor 488標識)のように、別のブロック中で共プローブし、次に、ブロックの両セットをストリッピングし、βTUB(Alexa Fluor 555標識)およびEGFP(Alexa Fluor 488標識)について共プローブした。各日からのブロットのセットは、対応するセットと同一のアレイ行における分離からであったEGFPブロットを除いて、同一の分離からであった。eは、本開示の実施形態に従う、分化0日目および6日目のマーカについての、レーン当たり約30,000個の細胞の従来型ウエスタンブロットを示す。 fは、6日間の分化実験にかけてのβTUBブロット蛍光によって正規化した、幹細胞および分化マーカ総scウエスタンブロット蛍光のプロットを示す。本開示の実施形態に従って、arcsinh変換スケールに留意されたい。 上図は、本開示の実施形態に従う、ベンゾフェノンメタクリルアミド(BPMA)モノマーのカルボニル官能基と標的ポリペプチドとの間の共有結合反応が光刺激の適用の際に発生する、光活性化ベンゾフェノン官能化ポリアクリルアミドゲルを示す。下図は、本開示の実施形態に従う、ベンゾフェノンメタクリルアミド(BPMA)モノマーのカルボニル官能基と標的ポリペプチドとの間の光活性化共有結合反応の反応スキームの分子モデルを示す。 本開示の実施形態に従う免疫ブロットワークフローを示す。 本開示の実施形態に従う、ゲル捕捉精製タンパク質分離のゲル内プロービングの画像を示す。 aおよびbは、本開示の実施形態に従う、実施例2中の単一細胞免疫ブロット較正における、精製EGFPの直接的および間接的較正手順を示す。aおよびbは、単一細胞免疫ブロッティングアッセイにおけるダイナミックレンジおよび検出限界を判定するために使用した、2つの較正方法の略図を示す。a:分離および捕捉前のマイクロウェル中のEGFP分子を計数することにより、直接的較正を行った。b:マイクロウェルおよびゲルEGFP濃度を平衡状態で取った蛍光値から推測した個々の実験において作図した分配曲線(図9に示すa〜cを参照されたい)からEGFP分子の数を推測することにより、間接的較正を行った。 aは、本開示の実施形態に従う、K=([EGFP]ゲル−[EGFP]ゲル,bg)/([EGFP]ウェル−[EGFP]ウェル,bg)によって、修飾RIPA緩衝液中でEGFPの希釈シリーズを用いてインキュベートした8%Tのゲルシート中のマイクロウェルブロックについて判定したEGFPの分配曲線を示し、式中、[EGFP]ゲルおよび[EGFP]ウェルは、深度30μmの個々のマイクロチャネルにおける蛍光較正によって判定した、平衡状態のEGFPのゲル内およびウェル内濃度である。[EGFP]ゲル,bgおよび[EGFP]ウェル,bgは、EGFP溶液を用いたインキュベーション前のscウエスタンスライドのバックグラウンド蛍光を補正する。bは、Alexa Fluor 647で標識したロバ抗ウサギIgGについてであった「IgG」を除いて(a)中のように判定した、いくつかのAlexa Fluor 568で標識したタンパク質についての分配係数を示し、nは、各標的のための単一の実験における個々のマイクロウェルである。cは、修飾RIPA緩衝液中で30分間1μMのドロンパを用いてインキュベートした8%Tのscウエスタンゲルシート中の、カバーガラスで密封した直径50μmのマイクロウェルからの、蛍光タンパク質ドロンパの反復注入を示す。マイクロウェルへのドロンパの分配により、ドロンパのバックグラウンドゲル濃度に対抗する反復注入が可能となった。 aおよびbは、図2Cに示すd中の較正曲線に使用した直接的および間接的較正スライドを示す。a(左上)は、精製EGFP濃度の範囲でインキュベートし、カバーガラスで密封し、広視野蛍光顕微鏡を使用して内在EGFP蛍光を撮像した、ブロックからのマイクロウェルの小集団の対数変換モンタージュを示す。a(右上)は、EGFP(Alexa Fluor 555で標識した二次抗体)の同一のスライドを分離、捕捉、およびプロービングした後の対数変換プローブ蛍光を示す。a(右下)は、マイクロウェル中のEGFPの分子数を判定するために使用した個々の微小流体チャネル中のEGFPの較正曲線を示す(AFU:任意蛍光単位、ROI:目的領域)。a(左下)は、EGFP濃度範囲にかけての例示的なマイクロウェルおよび免疫ブロットを示す。b:分配のための調整(図9に示すb)、UVへのスポット露出、およびEGFP(Alexa Fluor 555で標識した二次抗体)についてのプロービング後の、示されたゲル内濃度を達成している、精製EGFP濃度でインキュベートしたscウエスタンスライド。続いてスライドをストリッピングし、同一のスキャナ設定下で再撮像した。cおよびdは、精製βチューブリン(Alexa Fluor 647で標識した二次抗体)およびERK1/pERK1(共にAlexa Fluor 555で標識した二次抗体、スライドはpERKプロービングとERKプロービングとの間でストリッピングした)についての類似の間接的較正スライドを示す。 aは、粒子画像速度測定によるscウエスタン電気泳動チャンバ中に注ぎ入れる間の測定したバルク緩衝液速度のグラフを示す。溶解時間も前後関係のために示した(±SD、n=6細胞)。平均溶解時間付近の最大バルク速度は0.013ms−1であり、それをb〜eにおける流量シミュレーションに使用した。b〜dは、0.013ms−1のバルク流体速度で厚さ30μmのscウエスタンゲルフィルム中の直径20μmのマイクロウェル上に水を注ぎ入れる間の一方向の定常状態層流のCOMSOLモデルを示す。5、10、15、20、および25μmの開始場所からウェルへの無質量で非浮揚性の粒子の移動を表す流線によって追跡されるバルク流方向に平行なウェル中のボルテックスの存在に留意されたい。ウェル表面上の流れ境界条件は「すべり無し」であった。eは、モデル速度分布の流れ方向に横断する中心線でのスライスを示し、u=4.4μm s−1の等流速線はウェルの領域を画定し、その中で、物質輸送が細胞溶解中に拡散的(Pe<1)または移流的(Pe>1)支配された。 本開示の実施形態に従うラット神経幹細胞のウェル当たりの細胞数のグラフを示す。ラット神経幹細胞を、公称寸法が直径20μmおよび深度30μmである2,240個のscウエスタンマイクロウェル中に5分間沈降させ、元の懸濁液中の3細胞密度の明視野顕微鏡写真から手作業で計数した。ウェル当たりの単一細胞占有率は、0.55〜0.75のファノ因子(σ/μ)を持つ40〜50%範囲であり、それは、ウェル当たり4個超の細胞の制限された播種による可能性が高いポアソン的播種分布からの離脱を示す。 本開示の実施形態に従う、scウエスタンゲルフィルムにかけての抗体輸送動態のグラフを示す。残留スライド蛍光を、自由溶液中で30分間100nMのAlexa Fluor 568で標識した抗オボアルブミンを用いてインキュベーションした後の厚さ80μmのゲル層のTBST洗浄についての蛍光顕微鏡写真によって判定した。scウエスタンゲル層での抗体平衡のための時定数τ=4.8分は、適合の指数の逆数であった。 aおよびbは、本開示の実施形態に従う、scウエスタンゲルシート中の蛍光標識したタンパク質の分離特性のグラフを示す。aは、図1Bに示すd中の蛍光標識した種の8%Tのscウエスタンゲルにおける移行距離に対する種の分子量の対数線形プロットを示す(ポイントサイズ内のx軸エラーバー(±SD、n=3分離);ドロンパ、27kDa;OVA、45kDa;BSA、66kDa、OVA’、90kDa;BSA’、132kDa)。bは、一定のタンパク質バンド幅(SD σ)を仮定するグラフを示し、バンドペア間の分離分解能のプロットR=|x−x|/(2σ+2σ)は、それらの分子量の対数比が線形となることが予想され、式中、xは移行距離である。これらのデータの線形適合を示し、R=1の代入の際にscウエスタンマイクロウェルから分離した精製タンパク質についての51±1.6%の分離可能な分子量差異(±SD、n=3分離)を得た。 本開示の実施形態に従う、単一細胞ウエスタンブロットスライドのストリッピングおよび再プロービングの画像を示す。図2Cに示すdからの「直接的」EGFP較正スライドを撮像、ストリッピング、ならびにAlexa Fluor 555で標識した二次抗体のみを用いて(陰性対照)か、一次抗体およびAlexa Fluor 555で標識した二次抗体を用いてかいずれかでEGFPに再プロービングした。例示的な陰性対照ブロットがごくわずかな特定のシグナルを示す一方で、例示的な再プローブしたブロットのシグナル対ノイズ比(SNR)は、元のプロービングのものとほぼ一致した。 本開示の実施形態に従う、ウェル当たりの細胞によって順位付けした、図2A〜Cに提示したブロットの無作為の試料の画像を示す。全てのブロットは、塵埃および他の蛍光アーチファクトに対する半自動スクリーニングを通過した。 本開示の実施形態に従う、ラットNSCについてのβチューブリン蛍光読出シグナルに対する抗体フォールド希釈の影響のグラフであり、60倍〜10倍の抗βチューブリン一次抗体およびAlexa Fluor 555で標識した二次抗体希釈のラットNSCの単一細胞ウエスタンブロットを示す。ゼロウェル当たりの細胞対照を上回る絶対蛍光シグナルの増加が、希釈範囲にかけて1つおよび2つのウェル当たりの細胞ブロットについて観察された。 本開示の実施形態に従う、図2Cに示すdにおける間接的較正曲線についてのSNRのプロットを示す。図2Cに示すdにおける間接的較正曲線についてのシグナル対ノイズ比によって、各精製標的のための検出濃度限界はSNR=3に設定された。 本開示の実施形態に従う、図3Bに示すdに提示したブロットの無作為の試料を示す。全ての顕微鏡写真は、同一セットの分離についてであった。全てのブロットは、ウェル当たりの単一細胞装置のためであり、塵埃および他の蛍光アーチファクトに対する、およびERKとのEGFP共プロービングからのスペクトルの漏れ込みに対する半自動スクリーニングを通過した。38.8±1.0kDa(pERK)、39.1±0.6kDa(ERK)、47.4±1.1kDa(pMEK)、および48.1±1.8kDa(MEK、±SD、n=3分離)の推測分子量で、明瞭なバンドが観察され、公称質量は、pERK/ERKが43kDa、pMEK/MEKが46kDaであった。 本開示の実施形態に従う、図3A〜CにおけるFGF刺激実験の全ての時点にわたる39kDaのpERKバンドでの特定の蛍光に対する、103kDaでの推定標的外pERKバンドの総単一細胞ブロット蛍光のプロットを示す。 本開示の実施形態に従う、約58および71kDaで推定非特異的pERKバンドを示す、pERKおよびERKの露出過度のウエスタンブロットの画像を示す。 本開示の実施形態に従う、図3Bに示すcにおける刺激実験についての完全ウエスタンブロットの画像を示す。 本開示の実施形態に従う、図3Bに示すcにおける刺激実験についての完全ウエスタンブロットの画像を示す。 aおよびbは、pERK:ERKおよびpMEK:MEKについての分布統計のグラフ、および図3Bに示すdにおけるscウエスタンブロットデータのためのFGF刺激時間経過にわたるβチューブリン、ERK、およびMEKについての倍数変化ドットプロットを示す。aは、刺激時間経過にわたるpERK:ERKおよびpMEK:MEK分布についての歪みと平均との間の関係のグラフを示す。CVおよび歪度は、それぞれパーセンテージおよび無次元単位であり、便宜上、倍数蛍光比と同一の規模でプロットしたことに留意されたい。bは、βチューブリン、ERK、およびMEKについての任意蛍光(線形単位)にある倍数変化のグラフが、各刺激時間で細胞集団にわたって少しの変動しか示さないことを示す。 図3Cに示すeにおける培養プレート中のNSCのFGF刺激についてのscウエスタンブロットデータを企図するICC研究のための完全データのグラフを示す。細胞をpERK/ERKおよびpMEK/MEKペアについて共プローブし、Alexa Fluor 555で標識した二次抗体を使用してリン酸化標的を、Alexa Fluor 647で標識したものを用いて全標的を、プローブした。個々にプローブしたpMEK/MEKについてのデータを図25中に提示する。図3Cに示すe中に提示した特定の複製を四角の中に示す。平均pMEK:MEK比は3複製全体で2を超過せず、平均のERKおよびMEK値は、刺激時間経過にかけて少しの変動しか示さない。 図3Cに示すeにおけるICC研究についての単一プローブpMEK/MEK分布のグラフを示す。pMEKおよびMEK標的を個々の細胞中でプローブして、共プロービング実験における抗体間のエピトープ競合の可能性を検討した(Cy3で標識した二次抗体)。平均pMEK倍数変化値が、図24中の平均pMEK:MEK値と類似の範囲にあったため、競合の証拠は観察されなかった。 図3Cに示すeにおけるFGF刺激実験についてのpERKおよびERK標的の培養プレートICC蛍光顕微鏡写真の自動分析によって判定した、無作為に選択した単一細胞ROIの例を示す。実験の詳細については図24を参照されたい。 図3Cに示すeにおけるFGF刺激実験についてのpMEKおよびMEK標的の培養プレートICC蛍光顕微鏡写真の自動分析によって判定した、無作為に選択した単一細胞ROIの例を示す。実験の詳細については図24を参照されたい。pMEKへの一次抗体の不適正な核局在化に留意されたい。二次抗体対照は、この見かけの局在化を説明しない。 図4Cに示すfに提示した単一細胞ブロットの無作為の試料を示す。βチューブリン顕微鏡写真は、列内の2色顕微鏡写真の分離と一致した。全てのブロットは、ウェル当たりの単一細胞装置のためであり、塵埃および他の蛍光アーチファクトに対する半自動スクリーニング、およびβチューブリンとのEGFP共プロービングからのスペクトルの漏れ込みに対するスクリーニングを通過した。 図4Bに示すeにおける分化実験についての完全ウエスタンブロットの画像を示す。 図4Cに示すfについての完全な幹細胞および分化マーカ発現のデータのグラフを示す。 図4Cに示すfにおけるscウエスタンブロットからの平均βチューブリン正規化マーカ発現レベルのグラフを示す。 本開示の実施形態に従う分離装置を示す。 本開示の実施形態に従う装置のマイクロウェル中に閉じ込められた細胞の画像を示す。 パネルA〜Dは、本開示の実施形態に従う装置を使用する細胞アッセイのためのワークフローの概略図を示す。パネルAは、細胞を中心チャンバ中に注入することを示す。パネルBは、装置が直立スピナー上で回転させられて、細胞をトラップ中に位置付けることを示す。パネルCは、組み合わせの溶解−電気泳動緩衝液をチャンバ中に注入することを示す。電気泳動中のエレクトロスモティック流は、溶解のために緩衝液を細胞へと移動させる。パネルDは、タンパク質がUV露出によって分離および固定され、標識した抗体を使用して目的とするタンパク質を判定することを示す。 本開示の実施形態に従う種々のRPMでのビーズ捕捉率のグラフを示す。1000、2000、3000、および4000RPMで回転させたビーズの平均捕捉率は、それぞれ、13、57、89、および90パーセントである。4000RPMでの相対的遠心力は約112gである。(n=2) 本開示の実施形態に従うポリアクリルアミドゲル(PAG)を通したタンパク質運動の画像を示し、低電場(50V)に露出させたときに最初にウェル中に蓄積された緑色蛍光タンパク質(GFP)を示す。 本開示の実施形態に従うポリアクリルアミドゲル(PAG)を通したタンパク質運動の画像を示し、タンパク質分離を促進するためのより高い電圧(200V)でPAGを通過したGFPの画像を示す。
電気泳動分離装置およびそれを使用するための方法を提供する。本開示の実施形態の態様は、複数のマイクロウェルを有するポリマー分離媒体を含む装置を含む。ポリマー分離媒体は、適用刺激を適用すると分離媒体中の1つ以上の目的とする試料成分に共有結合する官能基を含む。
以下では、主題の電気泳動分離装置をまずより詳細に記載する。主題の装置の使用が見出される、試料中の1つ以上の分析物を検出する方法も開示する。加えて、主題の装置を含むシステムおよびキットも記載する。
装置
本開示の実施形態は、分離装置を含む。ある特定の実施形態では、分離装置は、試料中の分析物を分離するように構成される。例えば、分離装置は、試料中の分析物を、分析物の1つ以上の物理的および/または化学的特性に基づいて分離するように構成されてもよい。一部の例では、分析物は、それらの分子量、サイズ、電荷(例えば、質量対電荷比)、等電点、親和性相互作用などにおいて、検出可能な差異を含み得る。本開示の分離装置は、それらの分子量、サイズ、電荷(例えば、質量対電荷比)、等電点、親和性相互作用などのうちの1つ以上に基づいて、異なる分析物を相互に区別するように構成され得る。
ある特定の実施形態では、分離装置は、微小流体分離装置である。「微小流体装置」は、小規模(例えば、ミリメートル未満)に幾何学的に拘束された流体を制御および操作するように構成された装置である。微小流体装置の実施形態は、ポリマー媒体、例えば、本明細書でより詳細に記載されるポリマー分離媒体を含む。ポリマー媒体は、試料中の目的とする分析物に特異的に結合する、共有結合した捕捉部材を含み得る。
ある特定の実施形態では、分離装置は固体支持体を含む。固体支持体は、ポリマー媒体(例えば、ポリマー分離媒体)を支持するように構成されてもよい。例えば、ポリマー分離媒体は、ポリマー分離媒体の少なくとも一部分が固体支持体の表面と接触するように、固体支持体上に提供されてもよい(例えば、装置はポリマー媒体を保持する固体支持体を含む)。一部の場合には、固体支持体は、主題の装置および方法中で使用される試料、緩衝液、試薬などに関して、不活性である(例えば、分解または反応しない)材料から成る。例えば、固体支持体は、ガラス、石英、ポリマー、エラストマー、紙、これらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない材料で作製されてもよい。ある特定の実施形態では、固体支持体は、実質的に透明である。「透明」とは、物質が、可視光に物質を通過させることを意味する。一部の実施形態では、透明な固体支持体は、ポリマー媒体に結合した分析物、例えば、蛍光標識などの検出可能な標識を含む、もたらす、またはそれによって標識される分析物の検出を促進する。一部の場合には、固体支持体は、実質的に不透明である。「不透明」とは、物質が、可視光が物質を通過することを実質的に遮断することを意味する。ある特定の例では、不透明な固体支持体は、光の存在下で反応または分解する分析物などの、光に敏感な分析物の分析を促進することができる。
ある特定の実施形態では、固体支持体は、ポリマー分離媒体を収容するように寸法決定される。例えば、固体支持体は、ポリマー分離媒体全体が固体支持体によって支持されるような寸法(例えば、長さおよび幅)を有し得る。一部の場合には、固体支持体は、ポリマー分離媒体より大きい寸法(例えば、長さおよび幅)を有し得る。一部の例では、固体支持体は、50mm×50mm以下、例えば、25mm×25mm以下、または10mm×10mm以下、または5mm×5mm以下、例えば、1mm×1mm以下などの、100mm×100mm以下の寸法を含む、10mm×10mm〜200mm×200mmの範囲内の寸法を有する。一部の場合には、固体支持体は、0.5mm〜5mm、または1mm〜4mm、または1mm〜3mm、または1mm〜2mmの範囲の厚さを有する。ある特定の例では、固体支持体は、1mmの厚さを有する。
上記の通り、固体支持体は、ポリマー分離媒体を支持するように構成され得る。ポリマー分離媒体の態様を、以下でより詳細に記載する。
ポリマー分離媒体
ポリマー分離媒体は、試料の構成成分を相互から分離するように構成され得る。一部の場合には、分離媒体は、試料中の構成物質を、構成物質の物理的特性に基づいて分離するように構成される。例えば、分離媒体は、試料中の構成物質を、構成物質の分子量、サイズ、電荷(例えば、電荷対質量比)、等電点、親和性相互作用などに基づいて分離するように構成され得る。
ある特定の例では、分離媒体は、試料中の構成物質を、構成物質のサイズおよび電荷に基づいて分離するように構成される。分離媒体は、試料中の構成物質を、構成物質の明瞭な検出可能なバンド中へと分離するように構成され得る。「バンド」とは、構成物質の濃度が外周領域よりも著しく高い、明瞭な検出可能な領域を意味する。構成物質の各バンドは、構成物質の単一のバンド中の各構成物質が、上記のように、実質的に類似した物理的特性を有する、単一の構成物質またはいくつかの構成物質を含み得る。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、試料が分離媒体を横断するときに、試料中の構成物質を分離するように構成される。一部の場合には、分離媒体は、試料が分離媒体中を流動するときに、試料中の構成物質を分離するように構成される。分離媒体の態様は、以下でより詳細に記載する通り、分離媒体が、方向分離軸、または別の場合には複数の方向分離軸を有することを含む。一部の例では、方向分離軸は、試料が分離媒体を横断するときに試料が移動する方向に配向される。
マイクロウェルの平面アレイを持つポリマー分離媒体
ある特定の実施形態では、ポリマー分離媒体は、マイクロウェルの平面アレイを含む。これらの実施形態では、方向分離軸は、分離媒体の長さ(または幅)と整列する。例えば、方向分離軸は、分離媒体の長さ(または幅)に実質的に平行であり得る。一部の実施形態では、分離媒体の形状は、正方形または長方形であり、分離媒体の方向軸は、分離媒体の長さ(または幅)と整列され得る。これらの実施形態では、試料は、その長さ(または幅)に沿って分離媒体を横断する。試料が分離媒体の長さを横断する一部の場合には、分離媒体の長さは、分離媒体の幅の2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、または200倍以上など、分離媒体の幅を上回る。一部の例では、より長い分離軸は、試料中の異なる分析物のバンド間の分解能増加を促進し得る。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、分離媒体中の複数のマイクロウェルを含む。一部の例では、分離媒体は、分離媒体中のマイクロウェルの実質的に平面であるアレイを含む。「マイクロウェルのアレイ」は、任意の2次元または実質的に2次元のマイクロウェル配列を含む。例えば、マイクロウェルの平面アレイは、マイクロウェルの行および列に配列されてもよい。マイクロウェルの平面アレイ中のマイクロウェルは、個別にアドレス可能であり得る。マイクロウェルは、アレイが、アレイ中の特定の所定位置(例えば「アドレス」)に位置付けられた複数のマイクロウェルを含むときに、「アドレス可能」である。マイクロウェルは、介在空間によって分離され得る。マイクロウェルの平面アレイは、2個以上、4個以上、8個以上、10個以上、25個以上、50個以上、100個以上、200個以上、300個以上、400個以上、500個以上、750個以上、1000個以上、1500個以上、2000個以上、2500個以上、3000個以上、3500個以上、4000個以上、4500個以上、5000個以上、5500個以上、6000個以上、6500個以上、7000個以上、7500個以上、8000個以上、8500個以上、9000個以上、9500個以上、10,000個以上、または25,000個以上、または50,000個以上、または75,000個以上、または100,000個以上を含む、1個以上のポリマー分離媒体中のマイクロウェルを含み得る。一部の場合には、マイクロウェルの平面アレイは、5000個以上のマイクロウェルを含んでもよい。各ポリマー分離媒体は、1個以上のマイクロウェルのアレイ、例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、12個以上、14個以上、16個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上、40個以上、45個以上、50個以上、75個以上、または100個以上のマイクロウェルのアレイを含み得る。一部の場合には、ポリマー分離媒体は、10個以上のマイクロウェルのアレイを含む。用途に応じて、マイクロウェルのうちのいずれかまたは全ては、同一であるか、または相互に異なってもよく、各々は、別個の試料または試料構成物質を含むように構成され得る。個別のマイクロウェルの態様は、以下でより詳細に記載するが、マイクロウェルのアレイ中のマイクロウェルのうちのいずれかまたは全てに適用してもよい。
ある特定の実施形態では、ポリマー分離媒体は、上記のように、マイクロウェルの平面アレイを含む。マイクロウェルの平面アレイは、各マイクロウェルが、分離媒体の表面上(例えば、分離媒体の上面上)に提供された開口端部を有するように配列され得る。これらの実施形態では、各マイクロウェルの内部体積は、ポリマー分離媒体の表面上のマイクロウェルの開口端部から、ポリマー分離媒体中へと延在し得る。ある特定の実施形態では、マイクロウェルの開口端部(および故にマイクロウェルの内部体積)は、分離媒体(例えば、緩衝液、試料など)の表面上に提供された流体と流体連通している。一部の例では、例えば、マイクロウェルの深度がポリマー分離媒体の厚さと等しい場合などの、マイクロウェルの内部体積が分離媒体全体を通して延在する実施形態では、マイクロウェルの底部(すなわち、閉口端部)は、ポリマー分離媒体を支持する固体支持体によって形成される。他の例では、例えば、マイクロウェルの深度がポリマー分離媒体の厚さ未満である場合などの、マイクロウェルの内部体積が分離媒体全体を通して延在しない実施形態では、マイクロウェルの底部(すなわち、閉口端部)は、ポリマー分離媒体によって形成される。
ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、マイクロウェルの閉口端部から開口端部までのマイクロウェルの軸が、分離媒体の表面(例えば、マイクロウェルの開口端部を有する分離媒体の表面)に実質的に垂直であるように構成される。ある特定の実施形態では、マイクロウェルの内部体積がポリマー分離媒体中に延在し、ポリマー分離媒体に囲まれる場合などに、マイクロウェルの壁(例えば、側壁)はポリマー分離媒体によって形成される。
ポリマー分離媒体中のマイクロウェルの平面アレイの例を図1Aに示し、図1Aに示すaは、各アレイ中420個のマイクロウェルを持つ16個のアレイ、合計で6,720個のマイクロウェルを含む、ポリマー分離媒体を保持する固体支持体の画像である。図1Aに示すポリマー分離媒体は、マイクロポストブロックを含んだ型を使用して形成された。以下の実施例1でより詳細に記載する通り、ポリマー分離媒体からのマイクロポスト型の除去は、示す通り、マイクロウェルのアレイを持つポリマー分離媒体をもたらした。
マイクロウェルの円形配列を持つポリマー分離媒体
他の実施形態では、分離媒体は、マイクロウェルの平面アレイとして配置されるのではなく、マイクロウェルの円形配列を含む。例えば、分離媒体は、放射状に配向された複数の分離軸を有するマイクロウェルの円形配列を含んでもよい。マイクロウェルの円形配列中の各マイクロウェルは、それ自体の放射状に配向された分離軸と関連付けられ得る。これらの実施形態では、放射分離軸は、試料が、分離媒体を通して中心ウェルから離れて放射状に延在する方向に、分離媒体中の中心ウェルから分離媒体の外周部に向かって、分離媒体を横断するように、配列され得る。
例えば、ある特定の実施形態では、装置は、中心ウェルを有するポリマー分離媒体を含む。一部の例では、中心ウェルは、中心ウェルがポリマー分離媒体中で空隙を形成するように、ポリマー分離媒体中に位置付けられる。ある特定の実施形態では、中心ウェルの周壁は、ポリマー分離媒体によって形成される。例えば、ポリマー分離媒体は空隙を含んでもよく、ここで、空隙を囲むポリマー分離媒体は、中心ウェルの周壁を形成する。一部の場合には、中心ウェルの形状は、実質的に円形である。一部の例では、分離媒体は、試料が分離媒体の中心ウェル中に置かれるように、構成される。
ある特定の実施形態では、ポリマー分離媒体の中心ウェルは、外周部上に位置付けられ、かつ中心ウェルと流体連通している複数のマイクロウェルを含む。中心ウェルと流体連通しているマイクロウェルは、流体およびその構成物質が中心ウェルの内部体積からマイクロウェルの内部体積へと流動し、その逆もまた同様であるように、中心ウェルの内部体積に面する開口端部を有し得る。一部の実施形態では、各マイクロウェルは、マイクロウェルの開口端部とは反対の閉口端部を有する。ある特定の場合には、マイクロウェルの閉口端部は、周囲のポリマー分離媒体によって形成される。ある特定の例では、マイクロウェルは、中心ウェルと同一平面にある。例えば、マイクロウェルは、マイクロウェルの閉口端部から開口端部までのマイクロウェルの軸が、中心ウェルの横(すなわち、水平)半径と同一平面にあるように(例えば、車輪のスポークに類似して)、構成されてもよい。このように、マイクロウェルは、ポリマー分離媒体と同一平面にある、マイクロウェルの閉口端部から開口端部までのマイクロウェルの軸を有し得る。
ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、上記の通り、中心ウェルの外周部の周りに配列される。一部の場合には、マイクロウェルは、中心ウェルの実質的に全外周部の周りに配列される。ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、中心ウェルの外周部の90%、または中心ウェルの外周部の80%、または70%、または60%、または50%、または40%、または30%、または20%、または10%などの、中心ウェルの外周部の一部分の周りに配列される。一部の例では、マイクロウェルを含む中心ウェルの外周面は、複数のマイクロウェル、例えば、25個以上、50個以上、75個以上、100個以上、150個以上、200個以上、300個以上、400個以上、500個以上、600個以上、700個以上、800個以上、900個以上、1000個以上、1250個以上、1500個以上、1750個以上、2000個以上、2500個以上、3000個以上、3500個以上、4000個以上、4500個以上、または5000個以上のマイクロウェルを含む。
一部の実施形態では、マイクロウェルは、隣接するマイクロウェルから一定距離分離される。例えば、マイクロウェルは、隣接するマイクロウェルから、90μm以下、または80μm以下、または70μm以下、または60μm以下、または50μm以下、または40μm以下、または30μm以下、または20μm以下、または10μm以下など、450μm以下、または400μm以下、または350μm以下、または300μm以下、または250μm以下、または200μm以下、または150μm以下、または100μm以下など、500μm以下の距離で分離されてもよい。一部の場合には、マイクロウェルは、隣接するマイクロウェルから、10μm〜90μm、または10μm〜80μm、または10μm〜70μm、または10μm〜60μm、または20μm〜60μm、または30μm〜60μm、または40μm〜60μmなど、10μm〜100μmの距離で分離されてもよい。
ある特定の実施形態では、装置はカバーを含む。一部の場合には、カバーは、ポリマー分離媒体が支持体とカバーとの間に位置付けられるように、ポリマー分離媒体上に配置され得る。ある特定の実施形態では、カバーは、中心ウェルと流体連通するように構成された貯留ウェルを含む。例えば、貯留ウェルは、中心ウェルの内部体積と流体連通にある内部体積を有してもよい。一部の例では、貯留ウェルは、カバーの表面(例えば、カバーの底面)上のポリマー媒体中に形成される。一部の例では、貯留ウェルは、貯留ウェルがポリマー媒体中に空隙を形成するように、ポリマー媒体中に位置付けられる。ある特定の実施形態では、貯留ウェルの周壁は、ポリマー媒体によって形成される。例えば、ポリマー分離媒体は空隙を含んでもよく、ここで、空隙を囲むポリマー分離媒体は、貯留ウェルの周壁を形成する。一部の場合には、貯留ウェルの形状は、実質的に円形である。
ある特定の実施形態では、貯留ウェルを形成するポリマー媒体は、カバー上に配置される。このように、貯留ウェルの上部は、カバーの表面(例えば、カバーの底面)によって形成され得る。一部の例では、貯留ウェルの周壁は、カバーの底面から実質的に垂直に下方へと延在する。カバーの実施形態は、主題の装置に適合し、主題の装置中で使用される試料、緩衝液、試薬などに適合する、任意の好適な材料で作製され得る。一部の場合には、カバーは、主題の装置および方法中で使用される試料、緩衝液、試薬などに関して、不活性である(例えば、分解または反応しない)材料で作製され得る。例えば、カバーは、ガラス、石英、ポリマー、エラストマー、紙、これらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない材料で作製されてもよい。ある特定の実施形態では、貯留ウェルは、貯留ウェルの外周部上にマイクロウェルを含まない。
ある特定の実施形態では、貯留ウェルの直径は、中心ウェルの直径未満である。一部の場合には、中心ウェルの直径は、40mm以下、または30mm以下、または20mm以下、または15mm以下、または10mm以下など、50mm以下である。ある特定の例では、中心ウェルの直径は12mmである。一部の場合には、貯留ウェルの直径は、30mm以下、または20mm以下、または15mm以下、または10mm以下、または5mm以下など、40mm以下である。ある特定の例では、貯留ウェルの直径は、8mmである。
ある特定の実施形態では、装置は、上記の通り、中心ウェルを有するポリマー分離媒体を持つ個体保持体、および貯留ウェルを持つポリマー媒体を有するカバーを含む。装置は、固体支持体のポリマー分離媒体およびカバーのポリマー媒体が相互に接触しているように、固体支持体に適用されるように、構成され得る。これらの例では、中心ウェルおよび貯留ウェルは、それらが中心ウェルおよび貯留ウェル両方の内部体積を含む密閉空間を形成するように、相互に流体連通していてもよい。一部の例では、カバーは、貯留ウェルと流体連通している(故に、中心ウェルと流体連通している)流体注入口を含み得る。
マイクロウェルの円形配列を含むポリマー分離媒体の例を、中心(底部)ウェルを持つポリマー分離媒体(例えば、ポリアクリルアミドゲル、PAG)を保持する固体支持体と、貯留(上部)ウェルを持つポリマー媒体(例えば、ポリアクリルアミドゲル、PAG)を含むカバーとを含む装置の画像である、図32に示す。貯留ウェルは、貯留ウェルと流体連通している(故に、中心ウェルとも流体連通している)溶液注入口を含む。中心ウェルは、中心ウェルの外周部の周りに配列されたマイクロウェルを含む(図33)。
マイクロウェルの更なる態様
ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、規定形状を持つ内部体積を有する。例えば、マイクロウェルの内部体積は、円筒、立方体、長方形直方体、切頭台(例えば、正方形切頭台、長方形切頭台、円錐切頭台)などの形状を有する。
ある特定の実施形態では、マイクロウェルの開口端部は、マイクロウェルの閉口端部を上回る寸法を有する。例えば、マイクロウェルの開口端部は、マイクロウェルの閉口端部の寸法の1.2倍、または1.3倍、または1.4倍、または1.5倍、または1.6倍、または1.7倍、または1.8倍、または1.9倍、または2倍など、マイクロウェルの閉口端部の寸法を1.1倍上回る寸法(例えば、マイクロウェルの形状に応じて、幅および/もしくは長さ、または直径)を有してもよい。
「マイクロウェル」は、マイクロメータ規模の寸法を有するウェルである。寸法は異なり得るが、一部の例では、マイクロウェルの開口端部は、90μm以下、または80μm以下、または70μm以下、または60μm以下、または50μm以下、または40μm以下、または30μm以下、または20μm以下、または10μm以下など、100μm以下の幅を有する。例えば、マイクロウェルの開口端部は、10μm〜90μm、または10μm〜80μm、または10μm〜70μm、または10μm〜60μm、または10μm〜50μm、または10μm〜40μm、または10μm〜30μmなど、10μm〜100μmの範囲の幅を有してもよい。ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、マイクロウェル中で単一細胞を収容するように寸法決定された開口端部を有し得る。
一部の場合には、マイクロウェルの閉口端部は、90μm以下、または80μm以下、または70μm以下、または60μm以下、または50μm以下、または40μm以下、または30μm以下、または20μm以下、または10μm以下など、100μm以下の幅を有する。例えば、マイクロウェルの閉口端部は、10μm〜90μm、または10μm〜80μm、または10μm〜70μm、または10μm〜60μm、または10μm〜50μm、または10μm〜40μm、または10μm〜30μm、または10μm〜20μmなど、10μm〜100μmの範囲の幅を有してもよい。ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、マイクロウェル中で単一細胞を収容するように寸法決定された閉口端部を有し得る。
ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、90μm以下、または80μm以下、または70μm以下、または60μm以下、または50μm以下、または40μm以下、または30μm以下、または20μm以下、または10μm以下など、100μm以下の深度(例えば、マイクロウェルの開口端部から閉口端部までの距離)を有する。例えば、マイクロウェルは、10μm〜90μm、または10μm〜80μm、または10μm〜70μm、または10μm〜60μm、または20μm〜60μm、または30μm〜60μm、または40μm〜60μmなど、10μm〜100μmの範囲の深度を有してもよい。ある特定の実施形態では、マイクロウェルは、マイクロウェル中で単一細胞を収容するように寸法決定された深度を有し得る。
ポリマー分離媒体中のマイクロウェルは、実質的に一様であり得る。例えば、分離媒体中のマイクロウェルの形状およびサイズは、実質的に一様であってもよい。他の実施形態では、マイクロウェルは、異なる形状、異なるサイズ、それらの組み合わせなどを有するなど、異なってもよい。異なるマイクロウェルを含む分離媒体は、異なる試料構成物質の同時の分析を促進し得る。例えば、異なる形状および/またはサイズを有するマイクロウェルは、異なる形状またはサイズの試料構成物質(例えば、試料中の異なる形状またはサイズの細胞)を選択的に捕捉し得る。
分離媒体の更なる態様
ある特定の実施形態では、分離媒体は、ポリマーゲルなどのポリマーを含む。ポリマーゲルは、ゲル電気泳動に好適なゲルであり得る。ポリマーゲルとしては、ポリアクリルアミドゲル(例えば、メタクリルアミドゲル)、アガロースゲルなどを含むがこれらに限定されない。分離媒体の分解能は、細孔径、総ポリマー含量(例えば、総アクリルアミド含量)、架橋剤の濃度、適用電場、アッセイ時間などなどであるがこれらに限定されない、種々の要因に依存し得る。例えば、分離媒体の分解能は、分離媒体の細孔径に依存してもよい。一部の場合には、細孔径は、分離媒体の総ポリマー含量および/または分離媒体中の架橋剤の濃度に依存する。ある特定の例では、分離媒体は、5,000Da以下、または2,000Da以下、または1,000Da以下、例えば、500Da以下、または100Da以下を含む、7,000Da以下など、50,000Da以下、または25,000Da以下、または10,000Da以下の分子量差異をもって分析物を分解するように構成される。一部の場合には、分離媒体は、5%〜10%を含む、3%〜15%など、1%〜20%の範囲の総アクリルアミド含量T(T=アクリルアミドおよびビスアクリルアミドモノマーの総濃度、%w/v)を有するポリアクリルアミドゲルを含み得る。一部の例では、分離媒体は、7%の総アクリルアミド含量を有する。ある特定の場合には、分離媒体は、6%の総アクリルアミド含量を有する。ある特定の実施形態では、分離媒体は、2%〜5%を含む、2%〜7%など、1%〜10%の範囲の架橋剤含量C(%w/v)を有するポリアクリルアミドゲルを含む。一部の例では、分離媒体は、3%の総架橋剤含量を有する。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、前駆体部分から形成されるように構成される。例えば、分離媒体は、ゲル前駆体(例えば、ポリアクリルアミドゲルモノマーなどのポリアクリルアミドゲル前駆体)から形成されるゲル(例えば、ポリアクリルアミドゲル)であってもよい。前駆体部分は、反応して分離媒体を形成するように構成され得る。例えば、ゲル前駆体は、相互に反応してポリアクリルアミドゲル分離媒体を形成するように構成されてもよい。ゲル前駆体間の反応は、化学活性化、光活性化などであるがこれらに限定されない、任意の好適なプロトコルによって活性化され得る。一部の実施形態では、ゲル前駆体は、例えば、ゲル前駆体を、過酸化物などであるがこれに限定されない活性化剤と接触させることによって、化学的に活性化されるように構成される。一部の実施形態では、ゲル前駆体は、例えば、ゲル前駆体を光と接触させることによって、光によって活性化(すなわち、光活性化)されるように構成される。光は、分離媒体の形成を活性化するのに好適な任意の波長であり得、一部の例では、可視スペクトル内の青色光と関連付けられる波長を有してもよい。例えば、分離媒体の形成を活性化するために使用される光は、420nm〜480nm、または430nm〜480nm、または440nm〜480nm、または450nm〜480nm、または460nm〜480nm、または465nm〜475nmを含む、410nm〜490nmなど、400nm〜500nmの範囲の波長を有してもよい。ある特定の場合には、分離媒体の形成を活性化するために使用される光は、465〜475nmの範囲の波長を有する。一部の例では、分離媒体の形成を活性化するために使用される光は、470nmの波長を有する。
一部の例では、分離媒体は、50mm×50mm以下、例えば、25mm×25mm以下、または10mm×10mm以下、または5mm×5mm以下、例えば、1mm×1mm以下など、100mm×100mm以下の寸法を含む、10mm×10mm〜200mm×200mmの範囲にある寸法を有する。一部の場合には、分離媒体は、10μm〜75μm、または10μm〜50μm、または20μm〜50μmなど、1μm〜100μmの範囲内の厚さを有する。一部の場合には、分離媒体は、30μmの厚さを有する。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、緩衝液を含む。緩衝液は、ゲル電気泳動に使用される任意の簡便な緩衝液であり得る。ある特定の実施形態では、緩衝液は、トリス緩衝液である。ある特定の実施形態では、分離媒体は、トリス−グリシン緩衝液などの緩衝液を含む。例えば、緩衝液は、トリスとグリシンとの混合物を含んでもよい。
一部の場合には、緩衝液は、界面活性剤を含む。ある特定の例では、界面活性剤は、試料中の分析物に、実質的に類似した電荷対質量比を提供するように構成される。実質的に類似した電荷対質量比を持つ分析物は、試料中の分析物の分子量に基づいて分析物が分離媒体中の1つ以上のバンドへと分解するのを促進し得る。ある特定の場合には、界面活性剤は、試料中の分析物に、負電荷などの電荷を提供するように構成される、陰イオン界面活性剤である。例えば、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などであるがこれに限定されない、陰イオン界面活性剤であってもよい。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、構成物質の等電点(pI)(例えば、等電点電気泳動法、IEF)に基づいて試料中の構成物質を分離するように構成される。一部の場合には、分離媒体は、上記のようなポリマーゲルを含む。例えば、ポリマーゲルは、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲルなどを含んでもよい。ある特定の例では、ポリマーゲルは、一部の実施形態ではポリマーゲルと共重合される、pH勾配を含む。pH勾配がポリマーゲルと共重合される実施形態では、pH勾配が実質的に固定されることにより、固定化pH勾配を有する分離媒体をもたらし得る。ある特定の例では、pH勾配は、弱酸もしくは弱塩基(例えば、Immobiline)、または両性電解質などを含む。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、サイズに基づいて試料中の構成物質を分離するように構成される。例えば、一部の場合には、分離媒体は、細孔径勾配を有するポリマーゲルを含む。細孔径勾配は、分離媒体の方向軸に沿って減少し得る。例えば、細孔径勾配は、分離媒体を横断する試料が、分離媒体中で徐々に小さくなっていく細孔径に遭遇するように、分離媒体の方向軸に沿って減少する細孔径を有してもよい。試料中の構成物質は、試料中の構成物質が細孔径勾配を横断するときに、サイズに基づいて分離され得る。例えば、試料中のより大きい構成物質は、減少していく細孔径勾配を通過してより大きい距離を横断することができる、より小さい構成物質よりも容易に、分離媒体中に留められ得る。
一部の場合には、分離媒体の細孔径は、分離媒体の総ポリマー含量および/または分離媒体中の架橋剤の濃度に依存する。ある特定の例では、5,000Da以下、または2,000Da以下、または1,000Da以下、例えば、500Da以下、または100Da以下を含む、7,000Da以下など、50,000Da以下、または25,000Da以下、または10,000Da以下の分子量差異をもって分析物を分解するのに十分な分離媒体細孔径。一部の場合には、分離媒体は、総アクリルアミド含量T(T=アクリルアミドおよびビスアクリルアミドのモノマーの総濃度)に依存する細孔径を有するポリアクリルアミドゲルを含み得、ここで総アクリルアミド含量Tは、5%〜10%を含む、3%〜15%など、1%〜20%の範囲である。一部の例では、分離媒体は、7%の総アクリルアミド含量によって画定される細孔径を有する。ある特定の場合には、分離媒体は、6%の総アクリルアミド含量によって画定される細孔径を有する。ある特定の実施形態では、分離媒体は、2%〜5%を含む、2%〜7%など、1%〜10%の範囲の架橋剤含量C(%w/v)を有するポリアクリルアミドゲルを含む。一部の例では、分離媒体は、3%の総架橋剤含量を有する。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、目的とする構成物質に共有結合するように構成される。共有結合は、適用刺激を適用すると形成され得る。例えば、適用刺激は、光などの電磁放射線を含んでもよい。一部の場合には、光は紫外線(UV)光である。一部の例では、目的とする構成物質を分離媒体に共有結合するために使用される光は、100nm〜400nm、または150nm〜400nm、または200nm〜400nm、または250nm〜400nm、または300nm〜400nm、または325nm〜375nm、または350nm〜365nmを含む、50nm〜400nmなど、10nm〜400nmの範囲の波長を有する。ある特定の場合には、光は、350〜365nmの範囲の波長を有する。
ある特定の実施形態では、目的とする構成物質を分離媒体に共有結合するために使用される光は、分離媒体の形成を活性化するために使用される光とは異なる波長を有する。例えば、上記の通り、分離媒体の形成を活性化するために使用される光は、可視スペクトル内の青色光の波長を有してもよい。上記の通り、目的とする構成物質を分離媒体に共有結合するために使用される光は、UV光の波長を有し得る。このように、ある特定の実施形態では、分離媒体は、光の第1の波長を適用すると形成されるように構成され、光の第2の波長を適用すると目的とする構成物質を共有結合するように構成される。上記の通り、光の第1および第2の波長は、それぞれ、青色光およびUV光であり得る。
一部の場合には、分離媒体は、1個以上の目的とする構成物質に共有結合する官能基を含む。例えば、目的とする構成物質は、タンパク質、ペプチドなどであるがこれらに限定されない、目的とする分析物であってもよい。官能基は、上記の通り、電磁放射線(例えば、光)などの適用刺激を適用すると活性化される官能基を含み得る。このように、ある特定の例では、官能基は、光によって活性化可能な官能基である。光を適用すると、光によって活性化可能な官能基は、ラジカルアルキル中間体などの、共有結合を形成することができる反応種を形成し得る。適用刺激(例えば、光)を適用すると目的とする構成物質に共有結合し得る官能基の例としては、ベンゾフェノン基などが挙げられるが、これに限定されない。適用刺激によって活性化されると、官能基は、目的とする構成物質(例えば、タンパク質またはペプチド)に結合して、分離媒体と目的とする構成物質との間に共有結合を形成し得る。例えば、官能基は、官能基と目的とする構成物質との間に炭素間結合を形成してもよい。
一部の実施形態では、官能基は、分離媒体と共重合される。例えば、官能基は、分離媒体に結合されるリンカー基を含んでもよい。官能基は、リンカー基の第1の端部でリンカー基に結合され得、リンカー基の第2の端部は、分離媒体に結合され得、それにより、官能基を間接的に分離媒体に結合させる。一部の例では、分離媒体に結合されるリンカー基の第2の端部は、アクリルアミドコモノマーなどであるがこれらに限定されないコモノマーを含む。一部の実施形態では、リンカー基の第2の端部は、メタクリルアミドコモノマーを含む。ある特定の場合には、官能基はベンゾフェノン官能基であり、リンカー基はアクリルアミドコモノマーなどのコモノマーを含む。例えば、官能基(リンカー基を含む)は、N−(3−[(4−ベンゾイルフェニル)ホルムアミド]プロピル)メタクリルアミド(BPMAまたはBPMACとしても知られる)であってもよい。上記の通り、リンカー基は、官能基に結合する第1の端部、および分離媒体に結合する第2の端部を有し得る。一部の例では、第1の端部と第2の端部との間にあるリンカー基の中間部分は、C〜C10アルキル基などであるがこれらに限定されない脂肪族基を含む。ある特定の場合には、リンカー基の中間部分は、低級アルキル基(例えば、C〜Cアルキル基)を含む。例えば、リンカー基の中間部分は、プロピル基を含んでもよい。
分離媒体と共重合され得る官能基の実施例を、光活性化ベンゾフェノン官能基を含む架橋ポリアクリルアミドゲル分離媒体を示す図5に示す。光活性ベンゾフェノン基は、光によって活性化されて、目的とする構成物質(例えば、分離した試料中のタンパク質)への共有結合を形成し得る。
ある特定の実施形態では、分離媒体は、最低捕捉効率で試料中の構成物質に結合するように構成される。捕捉効率とは、分離媒体によって結合される試料中の構成物質のパーセンテージである。一部の例では、捕捉効率ηは、勾配押し流し(AFU)後に測定される蛍光性の、フォーカシング(AFU)中の蛍光性に対する比であり、εそれは、因数によって補正され、種の蛍光シグナルに対するpHの予想される影響を説明する。ある特定の実施形態では、分離媒体は、10%以上、または20%以上、または30%以上、または40%以上、または50%以上、または60%以上、または70%以上、または80%以上、または90%以上、または95%以上を含む、5%以上など、1%以上の捕捉効率を有するように構成される。一部の例では、分離媒体は、75%以上の捕捉効率を有する。
ポリマー分離媒体の更なる態様は、2010年5月18日出願の米国出願公開第2011/0177618号、および2012年6月21日出願の米国出願公開第2012/0329040号に記載され、各々の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
装置の更なる態様
ある特定の実施形態では、装置は、ポリマー分離媒体のうち1つ以上の一部分を通過するチャネルと、ポリマー分離媒体の表面に接触する固体支持体とを含む。一部の例では、チャネルの1つ以上の壁または端部は、ポリマー分離媒体と流体連通している。ある特定の場合には、ポリマー分離媒体と流体連通しているチャネルの1つ以上の壁または端部を有するチャネルは、チャネルの内容物(例えば、緩衝液、溶液、分析物検出試薬などの試薬など)をポリマー分離媒体の1つ以上の領域に送達するのを促進する。一部の例では、物質をポリマー分離媒体の1つ以上の特定領域に送達することは、アッセイプロトコル中に使用される消耗物質量の減少を促進することによって、効率を高める。例えば、チャネルを通して分析物検出試薬をポリマー分離媒体の所定領域に送達することは、ポリマー分離媒体全体が分析物検出試薬と接触するアッセイプロトコルと比較したとき、使用される分析物検出試薬の量の減少を促進し得る。
ある特定の実施形態では、チャネルは、ポリマー分離媒体の一部分を通過するように位置付けられてもよい。一部の実施形態では、チャネルの1つ以上の壁は、ポリマー分離媒体によって形成され得る。例えば、チャネルは、チャネルがポリマー分離媒体の表面に伸長した空隙を形成するように、ポリマー分離媒体の表面に提供されてもよい。これらの実施形態では、ポリマー分離媒体は、チャネルの側壁および底部を形成する。一部の例では、チャネルの片側(例えば、上部)は開いている。他の実施形態では、チャネルは、チャネルがポリマー分離媒体によって囲まれる空隙を形成するように、ポリマー分離媒体の中心部分を通過する。これらの実施形態では、チャネルの壁は、ポリマー分離媒体によって形成される。ある特定の実施形態では、チャネルは、チャネルがポリマー分離媒体と同一表面にあるように位置付けられる。
一部の例では、チャネルは、分離媒体を保持する固体支持体の一部分を通過するように位置付けられる。一部の実施形態では、チャネルの1つ以上の壁は、固体支持体によって形成され得る。例えば、チャネルは、チャネルが固体支持体の表面に伸長した空隙を形成するように、固体支持体の表面に提供されてもよい。これらの実施形態では、固体支持体は、チャネルの側壁および底部を形成する。一部の例では、チャネルの片側(例えば、上部)は、チャネルの内部体積が露出する(例えば、覆っているポリマー分離媒体に露出する)ように、開いている。他の実施形態では、チャネルは、チャネルが固体支持体によって囲まれる空隙を形成するように、固体支持体の中心部分を通過する。これらの実施形態では、チャネルの壁は、固体支持体によって形成される。ある特定の実施形態では、チャネルは、チャネルが固体支持体と同一表面にあるように位置付けられる。ある特定の実施形態では、固体支持体は、その表面上に配置されたポリマー分離媒体の支持体である。ある特定の例では、1つ以上のチャネルは、上記の通り、支持体中に提供される。一部の実施形態では、固体支持体は、ポリマー分離媒体の表面上に配置されたカバーである。ある特定の例では、1つ以上のチャネルは、上記の通り、カバー中に提供される。ある特定の実施形態では、チャネルは、支持体とカバーとの両方の中に提供されてもよい。
ある特定の実施形態では、チャネルは、チャネルがポリマー分離媒体と同一表面にないように位置付けられる。例えば、チャネルは、ポリマー分離媒体の平面に相対的な角度で位置付けられてもよい。一部の実施形態では、チャネルは、チャネルがポリマー分離媒体を保持する固体支持体と同一表面にないように位置付けられる。例えば、チャネルは、固体支持体の平面に相対的な角度で位置付けられてもよい。これらの実施形態では、チャネルは、ポリマー分離媒体の一部分および固体支持体の一部分を通過し得る。
チャネルは、第1の端部(例えば、上流端部)で、流入貯留部と流体連通していてもよい。流入貯留部は、アッセイにおける1つ以上のステップ中で分離媒体に提供され得る、緩衝液、溶液、試薬などを含み得る。一部の場合には、チャネルの反対の端部(例えば、下流端部)は、流出貯留部と流体連通していてもよい。他の実施形態では、チャネルの下流端部は、チャネルの内容物がチャネルの閉口端部に送達され得るように、閉口端部であり得る。例えば、チャネルの閉口端部は、チャネルの内容物がポリマー分離媒体のその部分に送達されるように、ポリマー分離媒体の一部分と接触していてもよい。
ある特定の実施形態では、装置は、1個以上のチャネルを含む。例えば、装置は、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、12個以上、14個以上、16個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上、40個以上、45個以上、50個以上、75個以上、または100個以上のチャネルなど、1個のチャネルまたは2個以上のチャネルを含んでもよい。チャネルは、個別のチャネルであり得る。これらの実施形態では、個別のチャネルは、物質をポリマー分離媒体の異なる所定部分に送達するために、提供され得る。一部の実施形態では、2つ以上のチャネルは、相互に流体連通していてもよい。例えば、2つ以上のチャネルの内部体積は、チャネルの内容物が別のチャネルに流れ得るように、相互に接続していてもよい。一部の場合には、2つ以上のチャネルが相互に流体連通していてもよい実施形態は、単一の上流流入チャネルから2つ以上のチャネルに同一の緩衝液、溶液、試薬などを提供するのを促進する。一部の場合には、2つ以上のチャネルが相互に流体連通していてもよい実施形態は、2つ以上のチャネルから下流の単一の流出チャネルを提供するのを促進する。
ある特定の実施形態では、チャネルの内部体積は空隙である。一部の例では、空隙は、アッセイプロトコルに対して所望され得る通りに、溶液、緩衝液、試薬(例えば、分析物検出試薬または抗体、タンパク質、酵素、代謝産物など)、それらの組み合わせなどで充填され得る。ある特定の実施形態では、チャネルの内部体積は、材料を含む。例えば、チャネルの内部体積は、ポリマーゲルなどのポリマー材料を含んでもよい。ポリマーゲルは、ゲル電気泳動に好適なゲルであり得る。ポリマーゲルとしては、ポリアクリルアミドゲル(例えば、メタクリルアミドゲル)、アガロースゲルなどを含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、チャネルの内部体積中のポリマー材料は、ポリマー分離媒体と比較したとき、異なる物理的および/または化学的特性を有する。例えば、チャネルの内部体積中のポリマー材料は、ポリマー分離媒体と比較したとき、異なる細孔径、総ポリマー含量(例えば、総アクリルアミド含量)、架橋剤の濃度、および/または官能基を有してもよい。
ある特定の実施形態では、チャネル中の溶液、緩衝液、試薬などは、拡散によってポリマー分離媒体の1つ以上の部分に送達され得る。例えば、溶液、緩衝液、試薬などは、チャネルの内部体積中に提供されてもよく、チャネルと接触しているポリマー分離媒体の1つ以上の部分へと拡散できてもよい。一部の例では、溶液、緩衝液、試薬などは、電気泳動、電気浸透、圧力駆動流(例えば、ポンプまたは重力を使用する)、およびそれらの組み合わせなどを含むがこれらに限定されない有向輸送によって、ポリマー分離媒体の1つ以上の部分に送達されてもよい。
用途に応じて、チャネルのうちのいずれかまたは全ては、同一であるか、または相互に異なってもよく、各々は、別個の緩衝液、溶液、試薬などを含むように構成され得る。個別のチャネルの態様は、以下でより詳細に記載されるが、チャネルのうちのいずれかまたは全てに適用されてもよい。
ある特定の実施形態では、チャネルは、伸長したチャネルである。伸長したチャネルは、幅よりも大きい長さを有する。一部の場合には、チャネルの長さは、チャネルの幅より2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、または200倍以上大きいなど、チャネルの幅より大きい。
ある特定の実施形態では、チャネルはマイクロチャネルである。「マイクロチャネル」は、マイクロメータ規模の寸法を有するチャネルである。寸法は異なり得るが、一部の例では、チャネルは、90μm以下、または80μm以下、または70μm以下、または60μm以下、または50μm以下、または40μm以下、または30μm以下、または20μm以下、または10μm以下、または5μm以下、または1μm以下など、100μm以下の幅を有する。例えば、チャネルは、1μm〜90μm、または1μm〜80μm、または1μm〜70μm、または1μm〜60μm、または1μm〜50μm、または1μm〜40μm、または1μm〜30μm、または1μm〜20μm、または1μm〜10μmなど、1μm〜100μmの範囲の幅を有してもよい。
ある特定の実施形態では、チャネルは、90μm以下、または80μm以下、または70μm以下、または60μm以下、または50μm以下、または40μm以下、または30μm以下、または20μm以下、または10μm以下、または5μm以下、または1μm以下など、100μm以下の深度を有する。例えば、チャネルは、1μm〜90μm、または1μm〜80μm、または1μm〜70μm、または1μm〜60μm、または1μm〜50μm、または1μm〜40μm、または1μm〜30μm、または1μm〜20μm、または1μm〜10μmなど、1μm〜100μmの範囲の深度を有してもよい。
ある特定の実施形態では、チャネルは、20μm以上、または30μm以上、または40μm以上、または50μm以上、または60μm以上、または70μm以上、または80μm以上、または90μm以上、または100μm以上、または150μm以上、または200μm以上、または250μm以上、または300μm以上、または350μm以上、または400μm以上、または450μm以上、または500μm以上、または550μm以上、または600μm以上、または650μm以上、または700μm以上、または750μm以上、または800μm以上、または850μm以上、または900μm以上、または950μm以上、または1000μm以上など、10μm以上の長さを有する。
一部の実施形態では、チャネルは、隣接するチャネルから一定距離分離される。例えば、チャネルは、隣接するチャネルから、90μm以下、または80μm以下、または70μm以下、または60μm以下、または50μm以下、または40μm以下、または30μm以下、または20μm以下、または10μm以下、または5μm以下など、450μm以下、または400μm以下、または350μm以下、または300μm以下、または250μm以下、または200μm以下、または150μm以下、または100μm以下など、500μm以下の距離で分離されてもよい。
ある特定の実施形態では、チャネルは実質的に直線である。他の実施形態では、チャネルは曲線である。一部の例では、チャネルの1つ以上の部分は実質的に直線であり、一方で、チャネルの1つ以上の隣接する部分は曲線である。一部の実施形態では、チャネルは、1つ以上の屈曲部または角部を含む。これらの実施形態では、チャネルは、屈曲部または角部を通して第2の部分に接続される第1の部分を含み得る。1つ以上の屈曲部または角部によって接続されたチャネルの更なる部分を、所望のように提供してもよい。
上記の通り、チャネルを含む装置は、ポリマー分離媒体の1つ以上の特定の部分への物質(例えば、溶液、緩衝液、試薬など)の局所送達において使用を見出す。一部の実施形態では、チャネルは、チャネルを含まない装置と比較したとき、より速い速度でのポリマー分離媒体への物質の送達を促進し得る。一部の実施形態では、チャネルは、アッセイプロトコル中の異なる時間間隔で1つ以上の物質をポリマー分離媒体の特定の部分に送達することを促進する。例えば、第1の物質は、第1の時点でポリマー分離媒体の一部分に送達されてもよく、第2の物質は、第2の時点でポリマー分離媒体の同一または異なる部分に送達されてもよい。ある特定の場合には、チャネルからの物質の持続放出は、適用刺激の適用または物質を放出する反応に依存し得る。例えば、物質は、光活性化反応または酸もしくは塩基活性化反応などによって、チャネルから放出されてもよい。例えば、一部の例では、放出される物質は、チャネルの内部体積中の材料に結合し(例えば、分解性架橋剤によって)、上記のような適用刺激を適用することによって物質から放出(例えば、非結合)されてもよい。非結合物質はその後、チャネルの内部体積からポリマー分離媒体へと横断する。一部の実施形態では、チャネルを含む装置は、アッセイプロトコル中に使用される物質量の減少を促進する。一部の場合には、チャネルは、ポリマー分離媒体の所定部分における物質の局所濃度の上昇を促進し得る。例えば、チャネル中に提供された物質の局所濃度は、チャネルから離れたポリマー分離媒体の領域と比較したとき、チャネルに隣接したポリマー分離媒体の領域においてより高くてもよい。
ある特定の実施形態では、装置は、チャネルの縦軸がポリマー分離媒体の平面に実質的に垂直であるように配向される、例えば、チャネルが水平に配置されたポリマー分離媒体に対して垂直に配向される、チャネルを含む。一部の例では、チャネルは、上記のような中心ウェルを含む。このように、チャネルは、ポリマー分離媒体中に空隙を形成し得、ここで、空隙を囲むポリマー分離媒体は、チャネルの周壁を形成する。一部の場合には、チャネル(例えば、中心ウェル)の形状は、実質的に円形である。
一部の例では、分離媒体は、試料が分離媒体のチャネル中に置かれるように、構成される。ある特定の場合には、チャネルは、ポリマー分離媒体の表面(例えば、上面)上にある開口端部などの開口端部を含む。一部の場合には、チャネルの開口端部は、反対の閉口端部を有する。閉口端部は、ポリマー分離媒体によって形成され得るか(例えば、チャネルの高さがポリマー分離媒体の厚さ未満である場合)、またはポリマー分離媒体を保持する固体支持体によって形成され得る(例えば、チャネルがポリマー分離媒体の厚さ全体を通過する場合)。
ある特定の実施形態では、ポリマー分離媒体のチャネル(例えば、中心ウェル)は、外周部上に位置付けられ、かつチャネルと流体連通している複数のマイクロウェルを含む。チャネルと流体連通しているマイクロウェルは、流体およびその構成物質がチャネルの内部体積からマイクロウェルの内部体積へと流動し、その逆もまた同様であるように、チャネルの内部体積に面する開口端部を有し得る。一部の実施形態では、各マイクロウェルは、マイクロウェルの開口端部とは反対の閉口端部を有する。ある特定の場合には、マイクロウェルの閉口端部は、周囲のポリマー分離媒体によって形成される。ある特定の例では、マイクロウェルは、チャネルと同一平面にある。例えば、マイクロウェルは、マイクロウェルの閉口端部から開口端部までのマイクロウェルの軸が、チャネルの横(すなわち、水平)半径と同一平面にあるように(例えば、車輪のスポークに類似して)、構成されてもよい。このように、マイクロウェルは、ポリマー分離媒体と同一平面にある、マイクロウェルの閉口端部から開口端部までのマイクロウェルの軸を有し得る。上のチャネルの実施形態の更なる態様は、中心ウェルとマイクロウェルの円形配列とを持つポリマー分離媒体に関係して本明細書で記載される。
方法
方法の実施形態は、細胞の構成物質(例えば、細胞成分)などの試料の構成物質を分離することを対象とする。方法の態様は、試料を、上記の通り、複数のマイクロウェルを含むポリマー分離媒体を接触させることを含む。ある特定の実施形態では、以下でより詳細に記載する通り、ポリマー分離媒体は、適用刺激を適用すると分離媒体中の1つ以上の目的とする試料成分に共有結合する官能基を含む。一部の場合には、方法はまた、ポリマー分離媒体に、試料の少なくとも一部の成分をマイクロウェルからポリマー分離媒体へと移動させるのに十分な様態で電場を適用して、ポリマー分離媒体中で分離した試料成分をもたらすことを含む。
ある特定の実施形態では、試料は、試料の構成物質がポリマー分離媒体中の1つ以上のマイクロウェル中に位置付けられるように、ポリマー分離媒体に接触させられ得る。例えば、試料は、分離媒体の表面に提供されもよく、試料中の構成物質は、マイクロウェルへと受動的に沈降(例えば、重力により溶液から受動的に沈降)させられてもよい。一部の例では、上記の通り、ポリマー分離媒体はマイクロウェルの平面アレイを含み、一部の場合には、試料構成物質は、試料を分離媒体に適用すること、および試料中の構成物質をマイクロウェルの平面アレイへと受動的に沈降させることにより、マイクロウェルの平面アレイ中に位置付けられてもよい。ある特定の実施形態では、マイクロウェルのアレイは、上記の通り、実質的に一様であるか、または他の実施形態では非一様である形状および/またはサイズを有するマイクロウェルを含み得る。ポリマー分離媒体が非一様なマイクロウェルを含む実施形態では、本方法は、異なる形状および/またはサイズのマイクロウェルを使用する、サイズ選択沈降を含み得る。例えば、試料は分離媒体に適用されてもよく、試料構成物質(例えば、細胞)は、細胞およびマイクロウェルの形状および/またはサイズに応じて、ある特定の対応するマイクロウェルへと選択的に沈降してもよい。
他の実施形態では、上記の通り、ポリマー分離媒体は、マイクロウェルの円形配列を含み得る。これらの実施形態では、試料構成物質をマイクロウェル中に位置付ける方法は、試料の成分をマイクロウェル中に位置付けるのに十分な様態で、ポリマー分離媒体に遠心力を適用することを含み得る。例えば、試料をポリマー分離媒体の中心ウェルに導入し、次に、中心ウェル中の試料構成物質が中心ウェルの外周部上の1つ以上のマイクロウェルへと押しやられるように遠心力を適用してもよい(例えば、装置を回転させることにより)。一部の例では、適用遠心力は、細胞などの試料成分を装置のマイクロウェル中に位置付けるのに十分な大きさのものであり得る。ある特定の例では、適用遠心力は、試料中の構成物質(例えば、細胞)に著しい損傷を引き起こさずに、試料成分、例えば細胞を装置のマイクロウェル中に位置付けるのに十分な大きさのものであり得る。ある特定の例では、適用遠心力は、60g以上、または70g以上、または80g以上、または90g以上、または100g以上、または110g以上、または120g以上、または130g以上、または140g以上、または150g以上など、50g(重力)以上である。
試料構成物質をマイクロウェル中に位置付ける他の方法も可能である。例えば、試料構成物質は、試料に電場を適用すること;密度勾配を適用して、マイクロピペット、ノズル、光ピンセットなどであるがこれらに限定されない位置付け装置を使用して、試料構成物質をマイクロウェル中に物理的に位置付けること;圧力を適用すること;磁力を適用すること(例えば、目的とする試料構成物質が磁気ビーズに結合している場合);対流;異なるサイズのマイクロウェルを使用するサイズ選択沈降;細胞または細胞溶解物を含む試料の液滴をマイクロウェル中に位置付けること;およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上によって、ポリマー分離媒体の1つ以上のマイクロウェル中に位置付けられてもよい。
ある特定の実施形態では、試料および/または試料成分は、試料成分をマイクロウェル中に位置付ける前または後に操作され得る。例えば、試料および/または試料成分は、マイクロウェル中に位置付ける前に操作されてもよい。他の実施形態では、試料および/または試料成分は、マイクロウェル中に位置付けた後に操作されてもよい。一部の例では、試料は、1つ以上の目的とする細胞を含み得る。このように、本方法は、細胞を操作して、細胞成分をもたらすことを含み得る。例えば、本方法は、細胞を溶解して、細胞から細胞成分を放出することを含んでもよい。一部の例では、細胞成分は、特定の細胞内区分の差異溶解によってもたらされ得る。例えば、特定の細胞内区分の差異溶解は、異なる細胞内区画の内容物の個別分析を促進してもよい。ある特定の場合には、細胞成分は、細胞が目的とする細胞成分を放出するように(例えば、細胞を溶解することなく)細胞を処理することによって、細胞からもたらされ得る。例えば、細胞は、細胞が1つ以上の目的とする細胞成分を分泌するように、処理(例えば、より暖かい温度またはより冷たい温度でインキュベートする、活性化剤で処理するなど)されてもよい。ある特定の実施形態では、細胞は、試料液滴中にカプセル化され得、試料液滴は、細胞成分がもたらされるように、上記のように処理され得る。液滴は、マイクロウェル中に位置付けられ、その後上記のように処理され得るか、または液滴は、液滴をマイクロウェル中に位置付ける前に処理されてもよい。
試料構成物質がマイクロウェル中に位置付けられると、本方法は、分離媒体中の試料構成物質を分離して、分離した試料構成物質をもたらすことを更に含んでもよい。一部の場合には、分離した構成物質は、試料がマイクロウェルの壁、および分離媒体を通って横断するときに、ゲル電気泳動によってもたらされる。他の場合には、分離した試料は、分離媒体中で等電点電気泳動法によってもたらされる。分離した試料は、構成物質(例えば、分析物)の明瞭な検出可能なバンドを含んでもよく、ここで、各バンドは、行われた分離の種類に応じて、分子量、サイズ、電荷(例えば、電荷対質量比)、等電点、親和性相互作用などの、実質的に類似の特性を有する1つ以上の構成物質を含む。
例えば、上記の通り、ポリマー分離媒体がマイクロウェルの平面アレイを含む実施形態では、本方法は、試料構成物質の少なくとも一部を、マイクロウェルの側壁を通しておよびポリマー分離媒体へと移動させて、ポリマー分離媒体中で分離した試料構成物質をもたらすのに十分な様態で、ポリマー分離媒体にわたって電場を適用することにより、試料構成物質を分離することを含んでもよい。上記の通りポリマー分離媒体がマイクロウェルの円形配列を含む他の実施形態では、本方法は、試料構成物質の少なくとも一部を、マイクロウェルの閉口端部(例えば、マイクロウェルの底部)を通しておよびポリマー分離媒体へと移動させて、ポリマー分離媒体中で分離した試料構成物質をもたらすのに十分な様態で、ポリマー分離媒体にわたって電場を適用することにより、試料構成物質を分離することを含んでもよい。
ある特定の実施形態では、装置は、試料を電場に供するように構成される。電場は、装置中の試料の運動(例えば、装置のある領域から装置の別の領域への試料の動電移動)を促進し得る。電場はまた、上記の通り、電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、SDS−PAGE、等電点電気泳動法など)による試料中の分析物の分離を促進し得る。
例えば、試料中の分析物を分離することは、試料中の分析物に装置の分離媒体を通過させるように構成される電場を適用することを含んでもよい。電場は、分析物の物理的特性に基づく試料中の分析物の分離を促進するように構成され得る。例えば、電場は、分析物の分子量、サイズ、電荷(例えば、電荷対質量比)、等電点などに基づく試料中の分析物の分離を促進するように構成されてもよい。ある特定の例では、電場は、分析物の分子量に基づく試料中の分析物の分離を促進するように構成される。他の実施形態では、電場は、分析物の等電点(pI)に基づく試料中の分析物の分離を促進するように構成される。
一部の例では、本方法は、分離した試料成分をポリマー分離媒体中で固定することを更に含む。固定化は、例えば、ポリマー分離媒体を紫外線(UV)光に露出させることなどによって、分離した試料成分をポリマー分離媒体に共有結合させることなどの、任意の簡便な手法を使用して、達成され得る。例えば、試料中の構成物質が分離された後、本方法は、刺激を分離媒体に適用して、構成物質を分離媒体に共有結合させることを更に含んでもよい。一部の場合には、刺激の適用は、電磁放射線を分離媒体に適用することを含む。例えば、本方法は、分離媒体を、可視光、UV光、赤外光などであるがこれらに限定されない光に露出させることを含んでもよい。ある特定の場合には、本方法は、光(例えば、UV光)を分離媒体に適用して、構成物質を分離媒体に共有結合させることを含む。
ある特定の実施形態では、目的とする構成物質を分離媒体に共有結合するために使用される光は、分離媒体の形成を活性化するために使用される光とは異なる波長を有する。例えば、本明細書に記載の通り、分離媒体の形成を活性化するために使用される光は、可視スペクトル内の青色光の波長を有してもよい。上記の通り、目的とする構成物質を分離媒体に共有結合するために使用される光は、UV光の波長を有し得る。このように、ある特定の実施形態では、本方法は、分離媒体を光の第1の波長に露出させて分離媒体を形成させること、および分離媒体を光の第2の波長に露出させて目的とする構成物質を分離媒体に共有結合させることを含む。本明細書に記載の通り、光の第1および第2の波長は、それぞれ、青色光およびUV光であり得る。
ある特定の実施形態では、本方法は、目的とする分析物が試料中に存在するかどうかを判定すること、例えば、試料中の1つ以上の目的とする分析物の有無を判定することを含む。一部の例では、装置は、試料中の1つ以上の分析物の存在を検出するように構成される。本方法のある特定の実施形態では、試料中の1つ以上の分析物の存在は、定性的または定量的に判定され得る。定性的判定は、試料中の分析物の存在に関する単純な合否結果がユーザに提供されるという判定を含む。定量的判定は、試料中の分析物の量に関して概略のスケール結果、例えば、少、中、多がユーザに提供される半定量的判定と、分析物の濃度の測定値がユーザに提供される委細のスケール結果との両方を含む。
ある特定の実施形態では、本方法は、分離媒体に結合した目的とする分析物の検出を含む。分離媒体への目的とする分析物の検出可能な結合は、試料中の目的とする分析物の存在を示す。一部の例では、目的とする分析物の検出は、目的とする分析物を、例えば分析物検出試薬中に存在し得るような、目的とする分析物に特異的に結合するように構成された標識と接触させることを含む。分析物検出試薬は、タンパク質もしくは核酸配列または標的化される生体高分子(例えば目的とする分析物)に特異的に結合する任意の分子であることができる。分析物の性質に応じて、分析物検出試薬は、核酸の検出のための標的DNAまたはRNA配列の特異領域に相補的なDNAの一本鎖、タンパク質およびペプチドの検出のためのペプチド分析物のエピトープに対する抗体、または特異的結合ペアの一員などの任意の認識分子などであることができるが、これらに限定されない。例えば、好適な特異的結合ペアとしては、受容体/リガンドペアの一員、受容体のリガンド結合部分、抗体/抗原ペアの一員、抗体の抗原結合断片、ハプテン、レクチン/炭水化物ペアの一員、酵素/基質ペアの一員、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ジゴキシン/抗ジゴキシン、DNAまたはRNAアプタマー結合ペアの一員、ペプチドアプタマー結合ペアの一員などが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、分析物検出試薬は抗体を含む。抗体は、目的とする分析物に特異的に結合し得る。
ある特定の実施形態では、分析物検出試薬は、検出可能な標識を含む。検出可能な標識は、本方法およびシステムを使用して検出され得る任意の簡便な標識を含み、蛍光標識、比色標識、化学発光標識、多色試薬、酵素架橋試薬、アビジン−ストレプトアビジン関連の検出試薬、放射性標識、金粒子、磁気標識などが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、分析物検出試薬は、検出可能な標識と関連付けられた抗体を含む。例えば、分析物検出試薬は、目的とする分析物に特定的に結合する標識された抗体(例えば、蛍光標識された抗体)を含んでもよい。このように、本方法は、標識された目的とする分析物を検出することを含み得る。
上記の通り、目的とする分析物を検出することは、目的とする分析物を、目的とする分析物に特異的に結合するように構成された分析物検出試薬(例えば、標識)(例えば、目的とする分析物に特異的に結合する抗体)と接触させることを含む。例えば、目的とする分析物を分析物検出試薬と接触させることは、分析物検出試薬の溶液をポリマー分離媒体に提供することを含んでもよい。分析物検出試薬は、ポリマー分離媒体の上部または1つ以上の側部など、ポリマー分離媒体の任意の表面に接触させられてよい。一部の場合には、分析物検出試薬は、分析物検出試薬が、ポリマー分離媒体内に固定された目的とする分析物に接触するように、ポリマー分離媒体を通って移動し得る。例えば、分析物検出試薬は、ポリマー分離媒体に電場を適用すること、圧力を適用すること、遠心力を適用すること、および受動的拡散などによって、ポリマー分離媒体を通って移動してもよい。
ある特定の実施形態では、目的とする分析物を検出することは、目的とする分析物を、目的とする分析物に特異的に結合する一次標識と接触させることを含む。ある特定の実施形態では、方法は、標識された目的とする分析物からの検出可能なシグナルを増強することを含む。例えば、標識された目的とする分析物からの検出可能なシグナルを増強することは、一次標識を、一次標識に特異的に結合するように構成された二次標識と接触させることを含んでもよい。ある特定の例では、一次標識は、目的とする分析物に特異的に結合する一次抗体であり、二次標識は、一次抗体に特異的に結合する二次抗体である。このように、標識された目的とする分析物からの検出可能なシグナルを増強することは、一次抗体を、一次抗体に特異的に結合するように構成された二次抗体と接触させることを含み得る。上記のような2つ以上の検出可能な標識の使用は、シグナル対ノイズ比を改善することによって、目的とする分析物の検出を促進し得る。
ある特定の実施形態では、分析物検出試薬は、目的とする分析物に特異的に結合しない場合がある。一部の場合には、分析物検出試薬は、目的とする分析物に特異的に結合することなく、目的とする分析物からの検出可能なシグナルをもたらすように構成され得る。例えば、目的とする分析物は、酵素(例えば、細胞性酵素)であってもよく、分析物検出試薬は、酵素のための基質であってもよい。一部の場合には、分析物検出試薬(例えば、酵素基質)を目的とする分析物(例えば、酵素)に接触させることは、基質が酵素によって変換されるため、検出可能なシグナルをもたらし得る。
ある特定の実施形態では、本方法は、分析物検出試薬を除去し、その後、目的とする分析物を別の分析物検出試薬と接触させること(例えば、ストリッピングおよび再プロービング)を含む。例えば、本方法は、標識された目的とする分析物を、分析物検出試薬を目的とする分析物から解離させるように構成された緩衝液(例えば、ストリッピング緩衝液)と接触させることを含んでもよい。解離された分析物検出試薬はその後、ポリマー分離媒体から洗い取られ得る。一部の場合には、目的とする分析物は、後続の分析物検出試薬と接触させられてもよい。後続の分析物検出試薬は、最初の分析物検出試薬と同一であるか、または異なってもよい。ストリッピングおよび再プロービングは、目的とする分析物を異なる分析物検出試薬と接触させることを促進し得る。
ある特定の実施形態では、本方法は、ポリマー分離媒体を貯蔵することを含む。例えば、本方法は、ポリマー分離媒体を脱水することによって、ポリマー分離媒体を貯蔵することを含んでもよい。ポリマー分離媒体は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間以上などであるがこれらに限定されない長期間、貯蔵され得る。一部の実施形態では、本方法は、ポリマー分離媒体を脱水することを更に含む。脱水されたポリマー分離媒体は、本明細書に記載のアッセイステップのうちの任意のものにおいて使用され得る。例えば、ポリマー分離媒体の脱水および再水和は、ポリマー分離媒体をもたらすこととアッセイを行うこととの間、目的とする分析物をポリマー分離媒体に固定することと分析物を分析物検出試薬と接触させることとの間、ストリッピングと再プロービングとの間など、アッセイステップのうちの任意のものの間に行われてもよい。
主題の方法を用いてアッセイされ得る試料は、単純試料と複合試料との両方を含み得る。単純試料は、目的とする分析物を含み、かつ目的としない1つ以上の分子実体を含む場合も、含まない場合もある試料であり、ここで、これらの目的としない分子実体の数は、例えば、10個以下、5個以下など、少なくてもよい。単純な試料は、最初の生体試料、またはある様態、例えば、干渉する可能性のある分子実体を試料から除去することで処理された他の試料を含み得る。「複合試料」とは、目的とする分析物を有する場合も、有しない場合もあるが、目的としない多くの異なるタンパク質および他の分子も含み得る試料を意味する。一部の例では、主題の方法でアッセイされる複合試料は、分子構造または物理的特性(例えば、分子量、サイズ、電荷、等電点、親和性相互作用など)の点で相互に異なる、100個以上、例えば、10個以上、10個以上(15,000個など、20,000個または25,000個以上)を含む、20個以上など、10個以上の別個の(すなわち、異なる)分子実体を含むものである。
ある特定の実施形態では、目的とする分析物は、細胞および/または細胞成分である。一部の場合には、細胞は、尿、血液、血清、血漿、唾液、精液、前立腺液、乳頭吸引液、涙液、汗、便、頬スワブ、脳脊髄液、細胞溶解物試料、羊水、胃腸液、生検組織(例えば、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)から取得される試料)などであるがこれらに限定されない試料(例えば、生体試料)から取得される。試料は、生体試料であり得るか、またはDNA、RNA、タンパク質、およびペプチドの抽出を成功させるための従来的な方法を使用して、ヒト、動物、植物、真菌、酵母菌、細菌、組織培養物、ウイルス培養物、またはそれらの組み合わせに由来する生体試料から抽出され得る。ある特定の実施形態では、試料は、流体中にある分析物(例えば、細胞および/または細胞成分)の溶液などの流体試料である。流体は、水および緩衝液などであるがこれらに限定されない、水性流体であり得る。
上記の通り、主題の方法でアッセイされ得る試料は、1つ以上の目的とする分析物を含んでもよい。検出可能な分析物の例としては、核酸、例えば、二本鎖または一本鎖DNA、二本鎖または一本鎖RNA、DNA−RNAハイブリッド、DNAアプタマー、RNAアプタマーなど;修飾を持つまたは持たないタンパク質およびペプチド、例えば、抗体、ダイアボディ、Fab断片、DNAまたはRNA結合タンパク質、リン酸化タンパク質(ホスホプロテオミクス)、ペプチドアプタマー、およびエピトープなど;阻害剤、活性剤、リガンドなどの、小分子;オリゴ糖または多糖類;ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、方法は、試料サイズが小さい場合、試料中の目的とする構成物質を分離および/または検出するように構成される。例えば、本方法は、試料サイズが、500μL以下、または250μL以下、または100μL以下、または75μL以下、または50μL以下、または40μL以下、または30μL以下、または20μL以下、または10μL以下、または5μL以下、または1μL以下を含む、750μL以下など、1mL以下である場合、試料中の目的とする構成物質を分離および/または検出するように構成されてもよい。一部の例では、本方法は、試料サイズが20μL以下である場合、試料中の目的とする構成物質を分離および/または検出するように構成される。
ある特定の実施形態では、本方法は、試料に分離媒体を通過させる前に、試料を濃縮、希釈、または緩衝液交換することを含む。試料を濃縮することは、試料を分離媒体と接触させる前に、試料を濃縮媒体と接触させることを含み得る。濃縮媒体は、小さい細孔径のポリマーゲル、膜(例えば、サイズ排除膜)、およびそれらの組み合わせなどを含んでもよい。試料を分離媒体と接触させる前に試料を濃縮することは、分離された試料中の分析物のバンド間の分解能の増大を促進し得、これは、分析物の分離されたバンド各々は、試料が分離媒体を通って横断するときの分散が少ないためである。試料を希釈することは、試料を分離媒体と接触させる前に、試料を更なる緩衝液と接触させることを含み得る。試料を緩衝液交換することは、試料を分離媒体と接触させる前に、試料を緩衝液交換媒体と接触させることを含み得る。緩衝液交換媒体は、試料緩衝液とは異なる緩衝液を含んでもよい。緩衝液交換媒体としては、分子篩および多孔性樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本方法は、目的とする分析物を検出する前に、分離媒体に結合した分離された分析物を遮断試薬と接触させることを含む。一部の場合には、目的とする分析物を検出する前に分離された分析物を遮断試薬と接触させることは、分離した分析物への検出可能な標識の非特異的結合を最小限にすることを促進し得る。例えば、目的とする分析物を検出する前に分離された分析物を遮断試薬と接触させることは、分離した分析物への標識された抗体の非特異的結合を最小限にすることを促進し得る。遮断試薬は、上記のように機能する任意の遮断試薬であることができ、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳、カゼイン、およびゼラチンが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、遮断ステップは求められない。故に、これらの実施形態では、本方法は、目的とする分析物を検出する前に遮断ステップを含まない。
ある特定の実施形態では、本方法はまた、本方法中の他のステップの前、最中、および後に何度も行われ得る、任意選択的な洗浄ステップも含む。例えば、洗浄ステップは、分離された試料を分離媒体に結合させた後、分離された試料を遮断試薬と接触させた後、分離された試料を検出可能な標識と接触させた後などに行われてもよい。
本方法の実施形態はまた、分離媒体に結合した分析物を放出することも含み得る。放出することは、結合した分析物を放出剤と接触させることを含み得る。放出剤は、分析物と分離媒体との間の結合相互作用を妨害するように構成され得る。一部の場合には、放出剤は、分析物と分離媒体との間の結合相互作用を妨害して分離媒体に分析物を放出させる、試薬または緩衝液などである。分析物を分離媒体から放出した後、本方法は、分析物を分離媒体から離れて移動させることを含み得る。例えば、本方法は、UV分光計およびIR分光計、質量分析計、HPLC、親和性アッセイ装置、本明細書に記載の微小流体装置などであるがこれらに限定されない二次分析装置を用いた二次分析のために、放出された分析物を分離媒体から下流に向かわせることを含む。
一部の実施形態では、本方法は、試料中の分析物のユニプレックス分析を含む。「ユニプレックス分析」とは、試料を分析して、試料中の1つの分析物の存在を検出することを意味する。例えば、試料は、目的とする分析物と目的としない他の分子実体との混合物を含んでもよい。一部の場合には、本方法は、試料混合物中の目的とする分析物の存在を判定するための、試料のユニプレックス分析を含む。
ある特定の実施形態は、試料中の2つ以上の分析物の多重分析を含む。「多重分析」とは、2つ以上の別個の分析物の存在を判定することであり、その2つ以上の物質が相互に異なることを意味する。例えば、分析物は、分子量、サイズ、電荷(例えば、質量対電荷比)、および等電点などにおいて、検出可能な差異を含んでもよい。一部の例では、分析物の数は、4個以上、6個以上、8個以上など、2個超であり、最大で、100個以上を含む、20個以上、例えば50個以上の別個の分析物である。ある特定の実施形態では、本方法は、4〜20個の別個の分析物を含む、4〜50個の別個の分析物など、2〜100個の別個の分析物の多重分析を含む。ある特定の実施形態では、多重分析はまた、2つ以上の異なる検出可能な標識の使用も含む。2つ以上の異なる検出可能な標識は、同一または異なる分析物に特異的に結合し得る。一部の場合には、2つ以上の異なる検出可能な標識は、同一の分析物に特異的に結合し得る。例えば、2つ以上の異なる検出可能な標識は、同一の分析物上の異なるエピトープに特異的な異なる抗体を含んでもよい。同一の分析物に特異的な2つ以上の検出可能な標識の使用は、シグナル対ノイズ比を改善することによって、分析物の検出を促進し得る。他の場合には、2つ以上の異なる検出可能な標識は、異なる分析物に特異的に結合し得る。例えば、2つ以上の検出可能な標識は、異なる分析物上のエピトープに特異的な異なる抗体を含んでもよい。異なる分析物に各々特異的な2つ以上の検出可能な標識の使用は、単一のアッセイにおける試料中の2つ以上のそれぞれの分析物の検出を促進し得る。
ある特定の実施形態では、本方法は、自動方法である。このように、本方法は、試料を装置に導入した後は、装置およびシステムとのユーザ交流は最小限であり得る。例えば、分離媒体中の試料構成物質を分離して、分離した試料をもたらすステップ、および刺激を分離媒体に適用して、構成物質を分離媒体に共有結合するステップは、ユーザがこれらのステップを手動で行う必要がないように、装置およびシステムによって所定の間隔で行われてもよい。一部の場合には、自動方法は、総アッセイ時間の減少を促進し得る。例えば、試料中の分析物の分離および検出を含む本方法の実施形態は、15分以下、または10分以下、または5分以下、または2分以下、または1分以下を含む、20分以下など、90分以下、または60分以下、または45分以下、または30分以下など、240分以下、例えば、180分以下、120分以下以内に実行されてもよい。
本開示の実施形態の態様は、上記のポリマー分離媒体の作製方法を更に含む。一部の例では、本方法は、ポリマー分離媒体のモノマー前駆体組成物を、1つ以上の構造的特徴を含む第1の表面と第2の表面との間に位置付けることと、所望の組成物をもたらすように前駆体組成物の重合化を始動するのに十分な波長を有する光(例えば、青色光)を、モノマー前駆体組成物に照射することとを含む。本方法は、第1の表面(例えば、固体支持体)が本明細書に記載の複数のマイクロウェルを含むポリマー分離媒体を保持するように、1つ以上の構造的特徴を含む第2の表面を除去することを更に含む。ある特定の実施形態では、第2の表面上の構造的特徴は、複数のポストを含む。第2の表面上のポストは、マイクロウェルの内部体積の所望の形状およびサイズに対応する形状およびサイズを含み得る。第2の表面上の複数のポストを含む実施形態では、マイクロウェルの平面アレイを含むポリマー分離媒体をもたらし得る。他の実施形態では、第2の表面上の構造的特徴は、本明細書に記載のマイクロウェルの円形配列を含むポリマー分離媒体の中心ウェルの形状およびサイズに対応し得る。例えば、第2の表面は、円筒の周縁部から離れて延在する複数のポストを含む円筒などの構造的特徴を含んでもよい。円筒の周縁部上のポストは、マイクロウェルの内部体積の所望の形状およびサイズに対応する形状およびサイズを含み得る。一部の実施形態では、円筒の高さは、ポリマー分離媒体の所望の厚さに対応する。
システム
ある特定の実施形態の態様は、本開示の方法を行うように構成されたシステムを含む。一部の例では、本システムは、本明細書に記載の分離媒体を含む。本システムはまた、電磁放射線の源(すなわち、電磁放射線源)も含み得る。一部の場合には、電磁放射線源は光源である。例えば、光源は、可視光源、UV光源、赤外光源などを含んでもよい。一部の例では、電磁放射線源は、UV光源などの光源を含む。上記の通り、電磁放射線源を使用し、微小流体装置中で電磁放射線を分離媒体に適用して、試料構成物質を分離媒体に固定(例えば、共有結合)することができる。
ある特定の実施形態では、システムは検出器も含む。一部の場合には、検出器は、検出可能な標識を検出するように構成される。検出器は、アッセイで使用される検出可能な標識を検出するように構成された、任意の種類の検出器を含み得る。上記の通り、検出可能な標識は、蛍光標識、比色分析標識、化学発光標識、多色試薬、酵素架橋試薬、アビジン−ストレプトアビジン関連の検出試薬、放射性標識、金粒子、磁気標識などであり得る。一部の例では、検出可能な標識は、蛍光標識である。これらの例では、検出器は、蛍光標識を電磁放射線(例えば、可視、UV、x線など)と接触させて、蛍光標識を励起し、蛍光標識に検出可能な電磁放射線(例えば、可視光など)を放射させるように構成されてよい。放射された電磁放射線を検出器によって検出して、分離媒体に結合した標識された分析物の存在を判定し得る。
一部の例では、検出器は、上記の通りに蛍光標識からの放射を検出するように構成され得る。ある特定の場合には、検出器は、光電子増倍管(PMT)、電荷結合素子(CCD)、増強電荷結合素子(ICCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、視覚比色分析読み出し、フォトダイオードを含む。
本開示のシステムは、所望のように種々の他の構成要素を含み得る。例えば、システムは、微小流体取扱構成要素などの流体取扱構成要素を含んでもよい。流体取扱構成要素は、1つ以上の流体を装置に通すように構成され得る。一部の例では、流体取扱構成要素は、流体試料、および緩衝液(例えば、電気泳動緩衝液、洗浄緩衝液、放出緩衝液など)などであるがこれらに限定されない流体を誘導するように構成される。ある特定の実施形態では、流体取扱構成要素は、流体が分離媒体と接触するように、流体を装置の分離媒体に送達するように構成される。流体取扱構成要素は、ポンプ(例えば、微小流体ポンプ)を含み得る。一部の場合には、ポンプは、本明細書に記載の装置およびシステムによる圧力駆動型流体取扱および流体の経路指定用に構成される。ある特定の例では、流体取扱構成要素は、例えば、50μL以下、または25μL以下、または10μL以下、または5μL以下、または1μL以下など、100μL以下を含む、500μL以下などの、1mL以下など、少量の流体を送達するように構成される微小流体取扱構成要素である。
ある特定の実施形態では、本システムは、1つ以上の電場発生器を含む。電場発生器は、電場を、装置の種々の領域に、例えば分離媒体に適用するように構成され得る。本システムは、試料が装置中を動電的に輸送されるように、電場を適用するように構成され得る。例えば、電場発生器は、電場を分離媒体に適用するように構成されてもよい。一部の場合には、適用される電場は、分離媒体の方向軸と整列し得る。このように、適用される電場は、試料中の分析物および成分を分離媒体中で動電的に輸送するように構成され得る。一部の例では、電場発生器は、200V/cm〜800V/cmまたは400v/cm〜800V/cmを含む、100V/cm〜800V/cmなど、10V/cm〜1000V/cmの範囲の強度で電場を適用するように構成される。
ある特定の実施形態では、本システムは、試料中の分析物および/または構成物質が分離媒体中に等電的に集束されるように、電場を適用するように構成される電場発生器を含む。例えば、適用される電場は、分離媒体の方向軸と整列し得、かつ試料構成物質を分離媒体の方向軸に沿って等電的に集束させるように構成されてもよい。
一部の実施形態では、電場は、方向に関して別個であり得る。例えば、電場は、分離媒体の方向軸と整列してもよい。電場は、試料または分析物を分離媒体の方向軸に沿って分離媒体に通すように、構成され得る。
ある特定の実施形態では、本システムは、電場を発生させるように構成される1つ以上の電場発生器を含む。ある特定の例では、電場発生器は、装置上に配列されるなど、装置に隣接していてもよい。一部の場合には、電場発生器は、装置から離れて位置付けられる。例えば、電場発生器は、装置と共に使用するために、システム中に組み込まれてもよい。
実用
主題の装置、システム、および方法は、試料中の1つ以上の分析物の有無の判定および/または定量化が所望される、種々の異なる用途において使用を見出す。例えば、主題の装置、システム、および方法は、タンパク質、ペプチド、および核酸などの分離および検出において使用を見出す。一部の場合には、主題の装置、システム、および方法は、タンパク質の分離および検出において使用を見出す。
主題の装置、システム、および方法は、幹細胞の脱分化および分化プロトコルの開発および検証において使用を見出す。例えば、人工多能性幹細胞は、皮膚細胞などの体細胞に由来することができ、これは、細胞を多能性状態にするために種々の外部刺激(例えば、化学的または生物学的刺激)を用いた体細胞の再プログラミングを伴い得る。一部の例では、多能性を達成するために新たな外部刺激を用いて実験する場合、多能性が達成されたかどうかを判定するために細胞集団の応答を測定することが望ましい場合がある。主題の装置、システム、および方法は、多能性が達成されたかどうかを判定するために細胞集団のこれらの応答を測定することにおいて使用を見出す。例えば、主題の装置、システム、および方法は、Oct−3/4、Nanog、SSEA−4、およびSOX2などであるがこれらに限定されない既知の多能性指標である複数のタンパク質標的の測定において使用を見出す。主題の装置、システム、および方法は、多能性状態への形質転換が成功した細胞のパーセンテージを判定するために、形質転換された細胞集団の不均一性を判定することにおいて使用を見出す。このような人工多能性幹細胞は、その後、外部の化学的または生物学的刺激を介して分化されて、心筋細胞、神経細胞、肝細胞、および内皮細胞などであるがこれらに限定されない種々の細胞型を導出することができる。主題の装置、システム、および方法は、そのような分化プロトコルの検証において使用を見出し、これは、ある特定の実施形態では、主題の装置、システム、および方法が、標的の細胞型への分化の成功を示す複数のタンパク質マーカを同時に検出することができるためである。主題の装置、システム、および方法は、標的の細胞型への分化が成功した細胞のパーセンテージを判定するために、形質転換された細胞集団の不均一性を判定することにおいて使用を見出す。
主題の装置、システム、および方法はまた、「シャーレ中の疾患(disease−in−a−dish)」モデルの開発および検証においても使用を見出す。例えば、生きた患者から神経細胞を摘出することは難しく、かつ危険であるため、研究者がヒト脳中の疾患を研究することは困難であり得る。代替として、疾患の細胞モデルを創出し、基礎的科学研究および薬物開発を可能にすることができる。そのようなモデルは、例えば、遺伝性神経変性疾患を患う患者によって提供された皮膚細胞に由来する人工多能性幹細胞(IPSC)から神経細胞を分化することによって、創出することができる。これらのモデルを創出するためには、幹細胞分化プロトコルを前述のように開発および検証して、皮膚細胞を幹細胞に脱分化し、その後、幹細胞を神経細胞に分化し得る。この形質転換が成功すると、モデルは、疾患の特徴が分化した細胞中に存在することを判定することによって、検証され得る。例えば、神経細胞は、ハンチントン病を患う患者の皮膚細胞から創出することができる。創出されると、得られた細胞は、ハンチンチンタンパク質の罹患形態の発現について試験され得る。主題の装置、システム、および方法は、疾患モデルにおけるハンチンチンタンパク質の存在および不均一性の検出、ならびに一次細胞との類似性の検証において使用を見出す。シャーレ中の疾患モデルはまた、細胞株の選択または遺伝子修飾によって創出されてもよい。そのような細胞を検証して、遺伝子修飾が、罹患一次細胞中で見られるものを模倣する罹患バイオマーカ(例えば、タンパク質)の安定した発現をもたらすことを確実にし得る。主題の装置、システム、および方法は、肝臓、腎臓、心臓、脳、血液、または他の器官、組織、および細胞型の疾患モデルを創出することにおいて使用を見出す。
主題の装置、システム、および方法はまた、癌性腫瘍の不均一性を測定することにおいても使用を見出す。例えばHER−2およびBRAFなどの特定のバイオマーカは、ある特定の癌変異を示し、それぞれトラスツズマブおよびベムラフェニブなどの薬物の標的である。癌は極めて不均一な疾患であり、HER−2およびBRAFなどの標的は、腫瘍内で一様に発現されない場合がある。そのような不均一性は、臨床診断および治療に影響を与える。主題の装置、システム、および方法は、腫瘍生検由来の細胞集団中の複数の標的の不均一性を分析することにおいて使用を見出す。そのような手法は、標的化治療薬のための基礎的科学研究、創薬および薬物開発、ならびにコンパニオン診断を促進し得る。
主題の装置、システム、および方法はまた、薬物化合物の作用機序の判定においても使用を見出す。例えば、「シャーレ中の疾患」モデルは、薬物開発のインビトロ試験プラットフォームとして使用してもよい。薬物は、疾病および疾患モデルの両方に存在する特定の標的および伝達経路を標的とするように開発され得る。主題の装置、システム、および方法は、薬物候補への露出後に細胞集団の不均一応答を分析することにおいて使用を見出す。薬物への応答は、一次標的の存在と相関し得、一次標的の有無によって説明されない細胞集団内の不均一応答は、他のタンパク質およびシグナル伝達経路と更に相関し得る。このように、主題の装置、システム、および方法は、薬物の作用機序を判定することにおいて使用を見出し、それは、より効率的な研究、開発、および薬物化合物の最終的な認可を促進し得る。
主題の装置、システム、および方法はまた、血液から単離された循環腫瘍細胞(CTC)の分析においても使用を見出す。CTCは、原発腫瘍から出た循環している癌細胞であり、早期癌診断、予後、治療のモニタリング、転移の検出、または他の用途に使用され得る。CTCは不均一であるため、各個別細胞は、侵襲性、増殖、または他の因子を示すタンパク質バイオマーカについて試験され得る。全血からCTCを濃縮するための典型的な方法によって、標的CTCに富む細胞の懸濁液が得られる。主題の装置、システム、および方法は、例えば、捕捉および分析される投入懸濁液中の細胞の数を最大化するために細胞の能動的沈降を利用する方法を使用して、そのような細胞懸濁液を分析することにおいて、使用を見出す。主題の装置、システム、および方法によるCTCの分析は、基礎的科学研究、最小残留疾患の管理、および癌診断のための使用を見出す。ある特定の例では、能動的沈降としては、電場を試料に適用すること;密度勾配を適用して、マイクロピペット、ノズル、および光ピンセットなどであるがこれらに限定されない位置付け装置を使用して試料構成物質をマイクロウェル中に物理的に位置付けること;圧力を適用すること;磁力を適用すること(例えば、目的とする試料構成物質が磁気ビーズに結合している場合);対流;異なるサイズのマイクロウェルを使用するサイズ選択沈降;細胞または細胞溶解物を含む試料の液滴をマイクロウェル中に位置付けること;およびそれらの組み合わせなどのうちの1つ以上を使用して、試料構成物質を1つ以上のマイクロウェル中に位置付けることを含む。
主題の装置、システム、および方法は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)の下流の分析において使用を見出す。FACSは、数百万個の細胞を選別し、数百個の細胞まで小さい亜集団を単離することができる。しかしながら、フローサイトメーターによるそのような小さい亜集団の更なる分析は、典型的なフローサイトメーターが最低10,000個以上の細胞を必要とするため、好適でない場合がある。主題の装置、システム、および方法は、例えば、捕捉および分析される投入懸濁液中の細胞の数を最大化するために細胞の能動的沈降または配置を利用する方法を使用して、そのような小さい細胞亜集団を分析することにおいて、使用を見出す。主題の装置、システム、および方法は、FACS選別中の標的、およびFACS選別の一部ではなかった標的を含む、タンパク質標的についての亜集団の更なる分析において、使用を見出す。例えば、癌性のヒトまたは動物組織由来の一次細胞をFACSによって選別して、1つ以上の表面マーカに基づく推定癌細胞である細胞の亜集団を単離することができる。その後、主題の装置、システム、および方法を使用して、1つ以上の表面マーカの存在を確認し、単離した亜集団の状態および不均一組成物を更に特性評価する、例えば細胞内タンパク質および転写因子などの更なる標的についてアッセイすることができる。
主題の装置、システム、および方法は、試料中の核酸、タンパク質、または他の生体分子の検出において使用を見出す。本方法は、試料中の1組のバイオマーカ、例えば、2つ以上の別個のタンパク質バイオマーカの検出を含み得る。例えば、本方法は、例えば、被験体の病状の診断、または被験体の病状の継続的管理もしくは治療などにおいて採用され得るように、生体試料中の2つ以上の疾患バイオマーカの迅速な臨床検出において使用され得る。加えて、主題の装置、システム、および方法は、ウエスタンブロッティングなどであるがこれらに限定されない、試料中の分析物の検出のためのプロトコルにおいて使用を見出し得る。
主題の装置、システム、および方法は、バイオマーカを検出することにおいて使用を見出す。一部の場合には、主題の装置、システム、および方法を使用して、特定のバイオマーカの有無、ならびに、尿、血液、血清、血漿、唾液、精液、前立腺液、乳頭吸引液、涙液、汗、便、頬スワブ、脳脊髄液、細胞溶解物試料、羊水、胃腸液、および生検組織などであるがこれらに限定されない、血液、血漿、血清、または他の体液もしくは排泄物中の特定のバイオマーカの濃度の上昇または低下を検出し得る。
バイオマーカの有無またはバイオマーカの濃度の著しい変化を使用して、個体における、疾患リスク、疾患の存在を診断するか、または個体における疾患の治療を調整することができる。例えば、特定のバイオマーカまたはバイオマーカのパネルの存在は、個体に付与される薬物療法または投与計画の選択に影響し得る。見込みある薬物療法の評価においては、バイオマーカは、生存率または不可逆的死亡率などの自然的終点の代理として使用され得る。治療がバイオマーカを改変し、それが健康の改善に直接の関係を有する場合、バイオマーカは、特定の治療または投与計画の臨床的利益を評価するための代理終点として働くことができる。故に、個体中で検出された特定のバイオマーカまたはバイオマーカのパネルに基づく個人化した診断および治療は、主題の装置、システム、および方法によって促進される。更に、疾患と関連付けられるバイオマーカの早期検出は、上記の通り、主題の装置およびシステムの高に感度によって促進される。感度、拡張性、および使用簡便性と併せて、単一チップ上の複数のバイオマーカを検知する能力により、本開示の微小流体装置、システム、および方法は、形態型およびポイント・オブ・ケアまたは患者身辺での分子診断において使用を見出す。
主題の装置、システム、および方法は、疾患または疾患状態についてのバイオマーカを検出することにおいて使用を見出す。ある特定の例では、主題の装置、システム、および方法は、創薬およびワクチン開発のために、細胞シグナル伝達経路および細胞内情報伝達の特性評価についてのバイオマーカを検出することにおいて、使用を見出す。例えば、主題の装置、システム、および方法を使用して、疾患試料、健常試料、または良性試料中のバイオマーカの量を検出および/または定量化してもよい。ある特定の実施形態では、主題の装置、システム、および方法は、感染性疾患または疾患状態についてのバイオマーカを検出することにおいて使用を見出す。一部の場合には、バイオマーカは、タンパク質、核酸、炭水化物、および小分子などであるがこれらに限定されない、分子バイオマーカであることができる。
主題の装置、システム、および方法は、上記の通りのバイオマーカの検出および/または定量化、試料が無症候の被験体に対して一定間隔で試験されるスクリーニングアッセイ、バイオマーカの存在および/または数量を使用して起こり得る疾患経過を予測する予後アッセイ、異なる薬物治療への被験体の応答を予測することができる層別化アッセイ、および薬物治療の有効性をモニターする有効性アッセイなどであるがこれらに限定されない、診断アッセイにおいて使用を見出す。例えば、1つ以上のバイオマーカは、数日、数週、または数年などの長期間にわたって検出およびモニターされてもよい。1つ以上のバイオマーカの存在および/または数量の変化は、長期間にわたってモニターされ得る。
主題の装置、システム、および方法はまた、検証アッセイにおいても使用を見出す。例えば、検証アッセイを使用して、見込みある疾患バイオマーカが、種々の個体にわたる疾患の有無の信頼性のある指標であることを検証または確認してもよい。主題の装置、システム、および方法の短いアッセイ時間は、最低限の時間で複数の試料をスクリーニングするためのスループットの増加を促進し得る。例えば、主題の装置、システム、および方法は、親和性試薬スクリーニングのためのプローブされたIEF分離媒体における使用を見出す。ホ明細書に記載の分離媒体を含むハイスループット微小流体装置を使用して、特定のモノクローナル抗体などのバイオマーカアイソフォームに特異的な親和性試薬を選択し得る。そのような試薬は、臨床タンパク性試料中の疾患特異的バイオマーカアイソフォームについてのELISAアッセイにおいて使用され得る。一部の場合には、試薬は、連続して、または高度に特異的な結合に対するそれらの多重(平行)性能について、スクリーニングされ得る。
主題の装置、システム、および方法はまた、試料中の1つ以上の構成物質(例えば、分析物)の分離が所望される種々の異なる用途においても、使用を見出す。試料中の構成物質は、電気クロモトグラフィー、電気泳動的免疫アッセイ、平衡分離(等電点および温度勾配電気泳動法)、ミセル動電クロマトグラフィー、クロマトグラフィーの変型、ネイティブ電気泳動、および変性条件下のタンパク質質量による分離(例えば、SDS−PAGE)などであるがこれらに限定されない、種々の異なる分離技法に基づいて分離され得る。分離技法のうちの任意のものは、例えば、抗体(または変異体)、レクチン、基質、リガンド、脂質、被覆粒子、または染料による、後続の分析物プロービングと結び付けられ得る。例えば、後続の抗体プロービングを伴うタンパク質のサイズに基づく分離は、統合された微小流体ウエスタンブロッティング装置をもたらす。
一部の例では、主題の装置、システム、および方法は、実装のために研究室環境を必要とせずに使用することができる。同等の分析研究室の器具と比較して、主題の装置およびシステムは、携帯型で手持ちのシステムにおいて同等の分析感度をもたらす。一部の場合には、質量および運営費は、典型的な静置研究室器具よりも低い。主題のシステムおよび装置は、目的とする分析物の分離、移動、標識、および検出を含むアッセイの全てのステップが単一の機器によって行われ得るように、単一の機器中に統合されてもよい。例えば、一部の例では、目的とする分析物の分離、移動、標識、および検出のための分かれた機器はない。加えて、主題のシステムおよび装置は、試料中の1つ以上の分析物を検出するための、医療訓練を受けていない人による市販の家庭検査のために、家庭環境において利用することができる。主題のシステムおよび装置はまた、臨床環境、例えばベッドサイドにおいて、迅速な診断のために、または静置研究室器具が費用または他の理由により提供されていない環境において、利用され得る。
キット
本開示の実施形態の態様は、本明細書に記載の方法における使用のために構成されるキットを更に含む。一部の例では、キットは、複数のマイクロウェルを有するポリマー分離媒体を含む装置などの、本明細書に記載の装置を含む。ある特定の実施形態では、キットは、装置を含むように構成される包装を含み得る。包装は、滅菌密封包装などの密閉包装であってもよい。「滅菌」とは、実質的に微生物(例えば、真菌、細菌、ウイルス、胞子形態など)が存在しないことを意味する。一部の例では、包装は、任意選択的に気密および/または真空密封下で、密封されるように、例えば、耐水蒸発包装であるように構成されてもよい。
本開示の態様は、緩衝液を更に含むキットを追加的に含む。例えば、キットは、電気泳動緩衝液および試料緩衝液などの緩衝液を含んでもよい。ある特定の場合には、緩衝液は、トリス緩衝液およびトリス−グリシンなどであるがこれらに限定されない電気泳動緩衝液である。一部の例では、緩衝液は、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、SDSなど)を含む。
キットは、放出試薬、変性試薬、リフォールディング試薬、界面活性剤、および検出可能な標識(例えば、蛍光標識、比色標識、化学発光標識、多色試薬、酵素架橋試薬、例えば少なくとも1つの分析物検出試薬(第1および第2の分析物検出試薬)の形態にある検出試薬(例えば、アビジン−ストレプトアビジン関連の検出試薬)、較正基準、放射性標識、金粒子、磁気標識など)などであるがこれらに限定されない追加の試薬を更に含み得る。
ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載の通り、検出可能な標識などの分析物検出試薬を含み得る。検出可能な標識は、特異的結合ペアの一員と関連付けられてもよい。好適な特異的結合ペアとしては、受容体/リガンドペアの一員、受容体のリガンド結合部分、抗体/抗原ペアの一員、抗体の抗原結合断片、ハプテン、レクチン/炭水化物ペアの一員、酵素/基質ペアの一員、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ジゴキシン/抗ジゴキシン、DNAまたはRNAアプタマー結合ペアの一員、ペプチドアプタマー結合ペアの一員などが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、特異的結合ペアの一員は抗体を含む。抗体は、分離媒体に結合した分離された試料中にある目的とする分析物に特異的に結合し得る。例えば、検出可能な標識は、目的とする分析物に特異的に結合する標識された抗体(例えば、蛍光標識された抗体)を含んでもよい。
上記の成分に加えて、主題のキットは、主題の方法を実践するための使用説明を更に含み得る。これらの使用説明は、種々の形態で主題のキット中に存在してもよく、その1つ以上がキット中に存在し得る。これらの使用説明が存在し得る一形態は、好適な媒体、例えば、情報が印刷される1枚または複数の紙上、キットの包装中、添付文書中などに印刷された情報として存在してもよい。別の手段は、情報が記録または記憶された、コンピュータ可読媒体、例えば、CD、DVD、Blu−Ray、コンピュータ可読メモリなどであり得る。存在し得るまた別の手段は、離れた場所で情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトのアドレスである。任意の簡便な手段がキット中に存在し得る。
上記の開示から理解できるように、本発明の実施形態は、多種多様な用途を有する。したがって、本明細書に提示の実施例は、例示の目的のために提供され、決して本発明を限定するものとして解釈されることは意図されない。当業者は、実質的に類似の結果を得るために変更または修正され得る多様な重要性の低いパラメータを容易に認識するであろう。故に、以下の実施例は、当業者に本発明をどのように作製および使用するかの完全なる開示および説明を提供するように提示され、本発明者が自身の発明とみなすものの範囲を限定するようには意図されず、以下の実験が全てまたは唯一の実行される実験であると示すようにも意図されない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関する正確さを確保する努力がなされているが、いくつかの実験による誤差および偏差が計上されるはずである。別途指示のない限り、部は、質量部であり、分子量は、質量平均分子量であり、温度は、摂氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、またはそれに近い。
実施例1
光活性ポリアクリルアミドマイクロパターン化による単一細胞の免疫ブロッティング
概要
本開示の実施形態は、単一計器における単一細胞タンパク質発現の迅速な定量分析をもたらす。実施形態は、単一細胞のサイズを元に、ウェルでマイクロパターン化した光活性ポリアクリルアミドシート中に単一細胞を捕捉することを含む、単一細胞免疫ブロッティングのための微小流体手法を含む。単一の顕微鏡スライドフォーマットで、単一細胞ブロットを使用して、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、SDS除去(ブロッティング)によるタンパク質固定化、および後続の抗体プロービングを行う。微小流体設計の拡張可能なハイスループット性質は、スライド当たりおよそ10,000個の細胞スループットおよび3時間の速いアッセイ実装に適応可能な単一細胞免疫ブロットを支える。この方法はまた、他の免疫ブロッティングアッセイ(例えば、ネイティブ、DNA−タンパク質、RNA−タンパク質)および抗体以外の試薬(例えば、アプタマー、ナノボディ、レクチン、タンパク質)にも使用することができる。実施形態はまた、単一細胞または複数の細胞のアッセイに使用してもよい。ある特定の実施形態では、光パターン化可能(青色光)および光活性化(UV光)ポリアクリルアミドゲルを、画定されたスタッキング界面を持つSDS−PAGE分離マトリックスと、手短なUVスイッチング後の捕捉効率の高い(75%超)タンパク質固定化マトリックスとの両方に使用する。一部の例では、分析物は、UV光を適用して初めて分離媒体中で固定されるため、遮断ステップを必要としない。以下で考察する実施例では、単一細胞免疫ブロットアッセイを神経幹細胞分析に使用し、それは、所与の目的とする分析物の約40,000個のタンパク質分子の感受性を示した。
ある特定の実施形態では、細胞を、アッセイ時間(総アッセイ時間は2時間未満)1時間当たり数千個の細胞においてスループットで様々なタンパク質分化マーカについて免疫ブロットした。顕微鏡スライドフォーマットはマクロアレイ走査検出と統合し、それにより細胞当たり10〜10コピーの濃度範囲にあるマーカの4重較正検出が可能となる。
単一細胞ウエスタンブロッティングは、試料要件を、典型的なウエスタンブロッティングワークフローの10,000個−細胞+範囲から単一細胞感受性まで減少させ得る。一部の実施形態では、この技法は、単一細胞のタンパク質構成物質を分離および定量化して、フローサイトメトリー、単一細胞トランスクリプトーム、および全細胞撮像技法などの標準的方法と比較して性能をもたらす。タンパク質分離から分子量情報を抽出することは、タンパク質間相互作用の分析を可能にする。
方法
単一細胞からのタンパク質分離および捕捉のための可変多孔率を持つデュアルバンド可変式光活性化捕捉ゲル(Dual Band−Tunable Photoactive Capture Gel with Tunable Porosity)(PACTゲル)
単一細胞免疫ブロッティングのためのガラス顕微鏡「オープンゲル」を使用した。薄い(およそ30ミクロン)厚さのポリアクリルアミドゲルを、メタクリレートで官能化したガラススライドと、シリコン上のSU−8のマイクロポストモールドとの間の界面で、化学または光化学重合によって製造した。マイクロポストは典型的に、高さが30ミクロン、直径が20ミクロンであった。製造したゲルをシリコンモールドから持ち上げて取り出して、単一細胞のための容器として働くマイクロウェルで点刻した薄いポリアクリルアミドシートを得た。ポリアクリルアミドは光活性でもあり、可変多孔率を持つデュアルスペクトルバンド光活性タンパク質捕捉ゲル(PACTゲル)分離およびブロッティングポリマーを含んだ。微小流体および機能性ポリマーを使用して、変性タンパク質分析物の重量式分離(SDS−PAGE)のための細胞沈降から、蛍光標識した一次および二次抗体を用いた免疫ブロッティングまでのアッセイステップを、約3時間で、ポリマー層内で行った。ポリアクリルアミド系PACTゲル骨格を、ゲルのスペクトル的に別個のUV光応答性捕捉機能性を維持したリボフラビン駆動型光重合化戦略を使用して構築した。光化学的に製造したPACTゲルを、青色光を使用してパターン化した。UVスポット光源を介して適用した45秒のUV露出時間でのPAGE分離(全ての分析物について約30%の捕獲効率)の後に、PACTゲルを定量的タンパク質分析物捕捉のために最適化した。ゲルのベンゾフェノン官能化、光活性化特徴のため、タンパク質固定後の遮断ステップは必要とされなかった。最大4個のタンパク質分析物種の同時プロービングを、スペクトル的に多重化した二次抗体検出を用いて行った。
単一細胞免疫ブロットアッセイ設計
ポリアクリルアミドゲル層を、次を含むいくつかの機能的役割に対して設計した:1)50%以上の占有率での単一細胞捕捉に好適なマイクロウェル中への重力式沈降による捕捉、2)ピコリットル規模の注入体積にある可溶化タンパク質含量の溶解および拘束、3)マイクロウェルの壁に対するおよび壁を通したタンパク質含量のスタッキング、4)ゲルマトリックス内のタンパク質バンドの篩過、5)ゲル骨格内のタンパク質交差反応性ベンゾフェノン基によって媒介される高効率UV光誘発捕捉プロセスを介したタンパク質の固定化、ならびに6)蛍光ゲル内抗体式プロービング。
このプラットフォームを使用して、主要なラット神経幹細胞マーカ(つまり、ネスチンおよびsox2)の発現を、神経細胞終点および神経膠終点に向けた中間状態を通したインビボ分化中に追跡した。亜集団動態のアレイを、単一細胞免疫ブロットからのマーカレベルの絶対定量化によって解決することで、分化プロセス中のプロテオミクス不均一性の精査を可能にした。
詳細なプロトコル
このプロトコルは、1インチ×3インチの顕微鏡スライドチップ上の有孔ポリアクリルアミドシートを使用する単一細胞免疫ブロッティングに使用される製造および実験手順を説明する。使用した材料および器具:
・ArrayIt製のメタクリレート官能化ガラススライド(製品番号SMRY3、Sunnyvale,CA)。
・任意選択的に、Arrayit製の8×2のよく詰物をしたハイブリダイゼーションカセット(製品番号AHC1×16)。
・ThorLabs(Newton,NJ)、ドライバ(LEDD1B)および15Vの電力供給(TPS001)を持つ470nmの青色LED平行光源(M470L2−C1)。
・スライドのインキュベーションのための小型トレイ。これらは、例えば細胞培養瓶の底部から作製した。
・標準的ゲル電気泳動電力供給、例えば、BioRad PowerPac HV(Hercules,CA)。(例えば、全チップを実行するための50mA超の電力供給)。
・HamamatsuのUVスポット光源(San Jose,CA)。
・分離および読出撮像用の蛍光顕微鏡。

試薬(表1中、別途指示のない限り、全てのパーセンテージはw/vである)


プロトコル(任意選択的な停止ポイントは\STOP”で示す):
1.ゲル製造
(a)SU−8で所望のポスト形状で製造したシリコンウエハで開始する。
(b)60分間、2mlのジクロロジメチルシラン(DCDMS)を含む小型ペトリ皿中で、次に真空内でウエハをシラン化した。ウエハを水で漱ぎ、窒素流を使用して乾燥させた。
(c)メタクリレート官能化ガラススライドを、処理した側を下にしてポスト構造を覆うウエハ上に置いた。
(d)PACTゲル前駆体溶液を調製し、脱気した。
(e)界面活性剤および開始剤をPACTゲル前駆体に添加し、混合し、気泡の巻き込みを防止するために辺部を十分に湿らせた後、スライドの短い側のうちの1つから着実に注入した。
(f)充填後、スライドをそっと押して、余分な前駆体溶液を隙間から押し出し、ウエハ上のポストがスライドと接触していることを確実にした。
(g)青色LEDを下方に斜めに向けて、上からスライド全体を照射した。スライドを、およそ470ルクスの局所強度で7.5分間照射した。
(h)LEDを消して、卓上で更に10〜15分間重合を継続させた。
(i)2mlのPBSを、1mlのピペッターを用いて、スライドの辺部に沿って適用した。これはスライドをウエハから持ち上げるのを促進した。
(j)スライドを、鋭い剃刀刃を使用して短辺部のうちの1つから持ち上げて、スライドをシリコンウエハからてこで動かした。
(k)顕微鏡を使用してウェルの完全性を確認し、スライドを、細胞が沈降するまで、ゲル側を上にしてPBS中で浸漬させた。
停止

2.細胞沈降(図6)
(a)細胞をPBS中に再懸濁し、計数した。ある特定の実施形態では、最適なウェル充填は、およそ1〜3×10細胞/mlで起きた。
(b)スライドをPBS浴から除去し、余分な液体を角部に排水することによって除去し、スライドを大型の乾燥したペトリ皿上に置いた。1〜1.5mlの細胞溶液を適用し、5〜10分間インキュベートした。細胞沈降を、顕微鏡を用いて定期的に確認した。
(c)ペトリ皿を10〜20°の角度に傾け、細胞溶液をピペットまたは緩真空を使用して、下辺部から除去した。
(d)1mlのアリコート(2〜3回)を持ち上げた辺部に適用し、緩真空を用いて下辺部から除去することによって、スライドをそっと洗浄した。スライド表面の浮遊細胞を確認し、スライドが比較的清潔であった場合にアッセイを続けた。
(e)1mlのPBSを、スライドの約半分に広がるようにスライドの1つの辺部に適用し、清潔な透明スライドを1つの辺部から下げて、その上に適用した。スライドを下げると、PBSは隙間の間に均一に広がり、余剰分は辺部から流出した。
(f)余分なPBSを拭き取った。
(g)後のウェル占有率の計数を可能にするために、スライド全体を、4倍の倍率、1×1のビニングを使用して明視野下で撮像した。
(h)上部スライドを除去し、スライドが乾燥し切るのを防止するために次のステップを即座に行った。

3.溶解&分離(図6)
(a)スライドを皿に一時的に接着するために短辺でワセリンを使用して、細胞スライドを、スライドの各辺部の長さ分続く白金電極を持った乾燥した開口電気泳動皿中に置いた。
(b)皿を、顕微鏡の透明底載物台上に置いた。
(c)蛍光細胞に焦点を当てた後、8mlのNでパージした溶解/EP緩衝液を、スライド全体にわたっておよび電極に対して注ぎ入れた。
(d)細胞溶解(および10秒)が観察された後、200〜250Vを適用すると、蛍光タンパク質の移行が観察された。
(e)電場を停止し、およそ45秒間およそ75mmの距離でHamamatsu供給品によってUV光を適用して、タンパク質バンドを捕捉した。電力はおよそ40mWcmであった。
(f)スライドをEP皿から除去し、PBSを伴う40mlのコニカル中に置き、プロービングまで4℃で貯蔵した(分離および捕捉後1週間以上まで行うことができる)。
停止

4.免疫ブロッティング(図6)
(a)抗体を高濃度で適用して、0.1%のTween(TBST)および2%のBSAを含有したTBS(pH7.5の100mMのトリス+150mMのNaCl)中のポリアクリルアミド層(およそ10倍希釈、または約0.6μM)からの排除を最小限にした。
(b)抗体を、60μmのSU−8シム(およそ140μlの抗体溶液)によって、または複数の標的をプローブする場合にはArrayItのマイクロアレイハイブリダイゼーションカセット(カセットウェル当たりおよそ40μlの抗体溶液)を使用して形成した隙間中で、透明なガラスウエハに対したスライドを用いてインキュベートした。インキュベーション時間は約1時間であった。
(c)スライドを、10〜20分間、TBST(BSA無し)浴中で、プロービング間で洗浄した。
(d)チップを、蛍光顕微鏡のタイル状露出によってか、またはマイクロアレイスキャナを使用して、撮像した。
実施例2
序文
タンパク質媒介細胞シグナル伝達および分化プロセスの理解は、大規模集団における単一細胞の応答不均一性を捕捉することによって促進し得る。標準的な顕微鏡スライド上で単一細胞ウエスタンブロットを使用して実験を行い、4時間未満のプロセス中でブロット当たり6個超のタンパク質標的に対して103〜104個の分子検出限界を達成した。開口微小流体ポリアクリルアミドマイクロウェルアレイは、UV始動型タンパク質捕捉が可能であったポリアクリルアミドマイクロウェルアレイ中への単一細胞の重力駆動型捕捉を可能にした。マイクロウェル内での細胞の大規模溶解、タンパク質種の電気泳動分離、ブロッティング、および特定標的の抗体媒介検出を、スライド当たり約2,000個の単一細胞に対して行った。アッセイおよび装置設計の物理的原理を以下に記載する。刺激に対する神経幹細胞応答および分化時間規模という2つの動的プロセスに単一細胞ウエスタンブロットを適用する実験を行った。本明細書で開示の装置および方法は、典型的な現在利用できるプロトコルの使用では、抗体系検出のみへの依存のため、またはプールした細胞集団の分析を必要とする感受性限界により検出が困難であり得るタンパク質シグナル伝達のハイスループット分析に使用を見出す。
本開示の装置および方法はまた、組織および生物発達、癌、薬剤への応答、および免疫応答を含む、細胞プロセス中の不均一性の研究にも使用を見出す。例えば、本明細書に開示の装置および方法は、細胞応答の研究において、および大規模集団における単一細胞のアッセイに好適な標的化タンパク質測定ツールのための使用を見出す。本発明の装置および方法は、細胞集団中の細胞間不均一性を測定できる高特異性タンパク質アッセイのための使用を見出す。本装置および方法は、数千個の細胞をウエスタンブロッティングによって個別に評定するアッセイに使用してもよい。ウエスタンブロッティングは、タンパク質電気泳動(分子量報告のため)と、検出可能なプローブを用いた後続の標識化(プローブ標的間相互作用を得るため)とを組み合わせることにより、アッセイを複雑な背景の半定量的タンパク質分析のために有用とする。
数分から数日の応答時間規模にわたる神経幹細胞モデル系についての不均一性および動的タンパク質発現ならびにリン酸化応答を研究することによって、インビトロの均一性刺激に応答した、細胞系譜の多様な集合への多能性幹細胞の分化を研究する実験を行った。
方法
細胞培養
神経幹細胞(NSC)を成熟した雌のFisher 344ラットの海馬から単離し、10μg/mLのポリオルニチン(P3655、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)および5μg/mLのラミニン(23017−015、Life Technologies,Foster City,CA)でコーティングした組織培養処理ポリスチレン板上で培養した。NSCを、N−2(17502−048、Life Technologies)および20ng/mLの組換えヒトFGF−2(100−18、PeproTech,Rocky Hill,NJ)を補充した1:1のDMEM/F12(11039−021、Life Technologies)中で培養し、細胞剥離のためにaccutase(A11105−01、Life Technologies)を使用して80%の集密度で継代培養した。
EGFP NSC細胞株を、安定したレトロウイルス感染によって創出した。レトロウイルスベクターpCLPIT−GFPをパッケージ化し、精製したウイルスをNPC上で滴定した。高発現EGFP NSCを感染多重度3(MOI=3)で感染させ、図2A〜Cで分析し、一方で低発現EGFP NSCはMOI=0.5で感染させ、全ての他の研究で使用した。安定した細胞株を、72時間の0.3μg ml−1のピューロマイシン(P8833、Sigma−Aldrich)を含有する培地中での選択によって採取した。
scウエスタンブロットEGFP発現研究のためのEGFP NSCを、非感染NSCについて記載の通りに培養した。scウエスタンブロットシグナル伝達研究のために、EGFP NSCを16時間FGF欠乏状態にした。細胞をaccutaseおよび懸濁液で剥離し、scウエスタンブロッティングにより分析した(以下の単一細胞免疫ブロットアッセイを参照されたい)。scウエスタンブロット分化研究のためのEGFP NSCを、0.5ng/mLのFGF−2、1μMのレチノイン酸(RA、BML−GR100、Enzo Life Sciences,Farmingdale,NY)、および1%のウシ胎仔血清(FBS、SH3008803、ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を補充したDMEM/F12/N2中で0〜6日間培養した。細胞を、所望の分化時間の後で、トリプシンEDTAで剥離し(25−053−Cl、Corning Cellgro,Manassas,VA)、分析した(N.B.細胞はマイクロウェル内で分化しなかった。以下の単一細胞免疫ブロットアッセイを参照されたい)。関連のフローサイトメトリー、ウエスタンブロッティング、および免疫細胞化学実験については、検証アッセイを参照されたい。
タンパク質および試薬
15μmの蛍光ポリスチレン微小球は、Life Technologies製(F−8844、Foster City,CA)であった。Alexa Fluor 488で標識した精製したオボアルブミンおよびウシ血清アルブミンも、Life Technologies製(O34781、A13100)であった。単一細胞免疫ブロット較正のための精製標準物は、ウシ脳からのβチューブリン(TL238、細胞骨格、Denver,CO)、Hisタグ付け組換えEGFP(4999−100、BioVision,Milpitas,CA)、組換えヒトpERK1(ab116536、Abcam,Cambridge,MA)であった。これらの精製標準物のアリコートを、間接的較正実験における分配係数の判定のために、製造業者の使用説明(A−10238、Life Technologies)に従ってタンパク質標識化キットを使用してAlexa Fluor 568で標識した(以下の単一細胞免疫ブロット較正を参照されたい)。
精製したHisでタグ付けしたドロンパを、pETのHis6タバコエッチウイルス(TEV)リガーゼ非依存性クローニング(LIC)のクローニングベクターである2BT(EMD Millipore,Billerica,MA)を使用して形質転換し、37℃の2YT媒体中で0.5のOD600に増殖させ、0.5mMのIPTGで誘導し、採取前に更に2.5時間37℃で増殖させた、Rosetta適格細胞中で発現させた。細胞を4℃で15分間5,000rpmの遠心分離によってペレット化し、ペレットをプロテアーゼ阻害剤(pH7.5の25mMのHEPES、400mMのNaCl、10%のグリセロール、20mMのイミダゾール、1μg/mlのロイペプチンおよびペプスタチン、0.5mMのPMSF)を補充したニッケル緩衝液A中で再懸濁した。細胞を、15,000psiの圧力でAvestin C3ホモジナイザー(Ottawa,ON,Canada)を使用して溶解した。細胞残屑を30分間15,000rpmでペレット化した。浄化した溶解物を、5mlのHisTrap FF Crudeカラム(GE Healthcare,San Francisco,CA)上に装填し、ニッケル緩衝液Aを用いて非結合物質を洗い流した。結合タンパク質を、ニッケル緩衝液A中イミダゾール400mMまで10CVの勾配で溶出した。溶出物質の吸収を503nmおよび280nmでモニタリングして、標的タンパク質のプールを助けた。ドロンパを含有する画分をプールし、IEX緩衝液A(pH6.5の50mMのリン酸ナトリウム)中に脱塩した。脱塩したタンパク質を、5mlのSP HPイオン交換カラム(GE Healthcare)上に装填し、非結合物質をIEX緩衝液Aで洗い流した。結合物質を、IEX緩衝液A中NaCl 1Mまで20CVの勾配で溶出した。ドロンパを含有する画分をプールし、25mMのHEPES、400mMのNaCl、10%のグリセロール、1mMのDTT中で平衡化したSuperdex 200 5/150カラム(GE Healthcare)上で、分析用サイズ排除クロマトグラフィーによって、凝集についてアッセイした。最後に試料を貯蔵緩衝液(pH6.5の50mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl、10%のグリセロール、1mMのDTT)中に脱塩した。
使用した抗体試薬の詳細は、scウエスタン、従来のウエスタンブロッティング、および免疫細胞化学アッセイに対応する方法の節で列挙する。
N−[3−[(4−ベンゾイルフェニル)ホルムアミド]プロピル]メタクリルアミド(BPMAC)を、標準的プロトコルに従って、触媒トリエチルアミンの存在下でのN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩との4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステルの反応によって、研究所内で合成した。
マイクロウェルscウエスタン固体支持体の製造
SU−8マイクロポストを、標準的なソフトリソグラフィー方法によって機械級のシリコンウエハ上で製造した。SU−8 2025フォトレジスト(Y111069、MicroChem,Newton,MA)を、製造業者の指針に従って(典型的に)30μmの厚さの層に紡績し、20,000dpiで20μmの円形機構を印刷したマイラーマスク下で、12秒間約40mW cm−2で365nmのUV光に露出させた。機構を、分離方向に500μm、横断方向に190μmの間隔幅で正方形配置に配列した。14×30の機構(合計6,720個)の2×8のブロックに、2×8のウェルマイクロアレイハイブリダイゼーションカセット(AHC1X16、ArrayIt Corp.,Sunnyvale,CA)の寸法に一致するように9mmの間隔を空けた。24mm間隔のマイクロポストのアレイの長さに及ぶ厚さ1mmのレールも、マイクロポストの高さでガラス固体支持体を支持するようにパターン化した。露出およびSU−8現像溶液(Y020100、MicroChem)を用いた現像後の機構の一様性を、光学的プロフィロメトリーによって検証した。マイクロポストブロック内の測定した機構の高さおよび直径は、それぞれ、30.30±0.15μm(±SD、n=4マイクロポスト)および20.52±0.68μm(±SD、n=4マイクロポスト)であった。アレイの全長にかけて間隔をあけたブロックの高さおよび直径測定値におけるブロック間CVは、それぞれ、1.1%および5.2%であった(n=3マイクロポスト)。ウエハを、真空内で1時間の2mlの疎水性シランジクロロジメチルシラン(DCDMS、440272、Sigma−Aldrich)の蒸着によってシラン化し、脱イオン水でよく洗浄し、使用の直前に窒素流下で乾燥させた。
透明ガラス顕微鏡スライド(48300−047、VWR,Radnor,PA)をシラン化して、標準的なプロトコルに従って、メタクリレート官能基の自己組織化表面単分子層を確立した。シラン化スライドを、表面を下にしてマイクロポストウエハ上に置き、SU−8レールおよびマイクロポスト機構に手動で整列させた。ゲル前駆体溶液は、HClでpH8.8に滴定した75mMのトリス緩衝液中、8%のT(wt/vol総アクリルアミド)、2.7%のC(30%のTからの架橋剤N,N’−メチレンビスアクリルアミドのwt/wt、2.7%のCストック(A3699、Sigma−Aldrich);DMSO中の100mMのストックからの3mMのBPMAC、0.1%のSDS(161−0301、BioRad,Hercules,CA)、0.1%のTriton X−100(BP151、Fisher,Hampton,NH)、0.0006%リボフラビン5’リン酸(F1392、Sigma−Aldrich)、0.015%の過硫酸アンモニウム(APS、A3678、Sigma−Aldrich)、および0.05%のテトラメチルエチレンジアミン(TEMED、T9281、Sigma−Aldrich)であった。ローダミンでタグ付けしたscウエスタンゲルにおける細胞の共焦点撮像については、前駆体は、蛍光モノマーであるメタクリルオキシエチルチオカルバモイルローダミンB(23591、Polysciences,Warrington,PA)を100μMのDMSO中ストックから3μM含んだ。界面活性剤(SDS、Triton)および重合開始剤(リボフラビン、APS、TEMED)を添加する直前に、前駆体混合物を超音波処理し、真空内で1分間脱気した(Aquasonic 50D、VWR)。その後、標準的な200μlのピペットを使用して、前駆体をガラススライドとシリコンウエハとの間の隙間に注入した。隙間を通して約30秒間前駆体を吸い上げさせた後、スライドを、スライドの上に取り付けた470nmの平行LED(M470L2−C1、Thor labs,Newton,NJ)からの500ルクスの青色光に7.5分間露出させた(高度露出計、840022、Sper Scientific,Scottsdale,AZ)。重合を更に11分継続させた。ゲル製造ガラススライドを、pH7.4の2mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(21−040、Corning,Tewksbury,MA)を使用してそれらの辺部で湿らせ、剃刀刃を使用してウエハからてこで動かした。製造したスライドは、篩過またはフォトキャプチャ特性を喪失することなく、使用前最長2週間、PBS中で、4℃で貯蔵し得る。
単一細胞免疫ブロットアッセイ
製造したスライドをPBSから除去し、余分な液体を重力によって角部に排水し、キムワイプ(Kimberly−Clark,Irving,TX)を使用して吸収した。1〜2mlの細胞懸濁液を、スライドの表面にわたって均一に適用し、100×100mmのペトリ皿内の平面上に沈降させた。沈降時間は5〜30分で異なり、マイクロウェル占有率は、大体40〜50%の単一細胞占有率が達成されるまで明視野顕微鏡法によってモニタリングした。2〜5分ごとに10秒間のペトリ皿の断続的で緩やかな運動は、ゲル表面上での細胞の回転によって細胞がマイクロウェルにアクセスすることを確実にするのに十分であった。沈降後、スライドを短辺部のうちの1つから10〜20°の角度に持ち上げて、余分な細胞培地を除去し、余分な緩衝液を真空によって下辺部から除去しながら、スライドの表面上の細胞を、4〜5個のPBSの1mlアリコートをスライド表面の持ち上がった辺部にそっとピペッティングすることによって除去した。スライドを平らに置き、スライド上に1mlのPBSを適用することによって細胞計数のために調製した。第2の透明ガラススライドを、気泡の閉じ込めを防止するために一方の短辺部からもう一方へとPBS層に適用し、スライドの「サンドイッチ」を形成するように下げた。1×1画素のビニングでの50msの露出時間と移動載物台を誘導するための事前設定位置リストとを使用し、4倍の倍率での明視野顕微鏡法(Olympus UPlanFLN,NA 0.13)を使用して、サンドイッチ内のマイクロウェルを撮像した(iXon+EMCCDカメラ,Andor,Belfast,UK、モーター駆動載物台,ASI,Eugene,OR、およびシャッター付き水銀灯光源、X−cite,Lumen Dynamics,Mississauga,Ontario,Canadaを装備し、MetaMorphソフトウェア,Molecular Devices,Sunnyvale,CAによって制御されるOlympus IX71倒立蛍光顕微鏡)。6,720個の機構全てを約4分で撮像することができた。
細胞計数後、上部ガラススライドを、ゲル層をわたってそっと滑らせることでサンドイッチから除去した。次に、沈降した細胞を載せたscウエスタンスライドを、厚さ3mmのパースペックスプラスチックから製造した60×100mmの特注水平電気泳動チャンバに即座に移動させた。白金線電極(直径0.5mm、267228,Sigma−Aldrich)を、チャンバの長辺部に沿って置き、標準的な電気泳動用電源(モデル250/2.5,BioRad)にワニ口クリップで接続した。ペトロラタムを使用して、スライドをチャンバの底面に一時的に接着した。0.5%のSDS、0.1%v/vのTriton X−100、12.5mMのトリス中の0.25%のデオキシコール酸ナトリウム(D6750,Sigma−Aldrich)、pH8.3の96mMのグリシン(10倍ストックからの0.5倍、161−0734,BioRad)からなる10mlの修飾RIPA溶解/電気泳動緩衝液をスライド上に注ぎ入れて、細胞を溶解した。この緩衝液に、リンタンパク質ブロットのために1mMのフッ化ナトリウムおよびオルトバナジウム酸ナトリウムを補充した。溶解を、電場を切って10秒間進め、次いで約30秒間200V(E=40V cm−1)を適用した。単一のEGFPを発現しているNSCからの分離を、EGFPのために最適化されたフィルタセット(XF100−3,Omega Optical,Brattleboro,VT)、4×4のカメラビニング、250msの露出時間を使用して、10倍の倍率で、リアルタイムでモニタリングした。分離に続いて、スライドを、約40mW cm−2のスライド表面でのUV出力(320〜400nmのUVメータ、C6080−365,Hamamatsu)を用いて、スライドのおよそ10cm上に吊るしたインラインUVフィルタ(300〜380nmのバンドパス,XF1001,Omega Optical)を持つLumatecシリーズ380液体光ガイドを通過させたUV水銀アーク灯(Lightningcure LC5,Hamamatsu,Bridgewater,NJ)を使用して、上から45秒間即座に露出させた。
細胞内容物の分離およびフォトキャプチャに続いて、スライドを、10mlの修飾RIPA緩衝液、次いで10mlのTBST(HClでpH7.5に滴定した100mMのトリス、150mMのNaCl、0.1%のTween 20、9480,EMD Millipore)を使用して、各々10分間洗浄した。スライドは、免疫ブロッティングの成功の前に、TBST中4℃で少なくとも1週間貯蔵することができた。
FGF刺激実験では、細胞を、ウェル当たりの細胞の計数ステップと溶解/電気泳動ステップとの間に、所望の刺激時間、20ng/mlのFGF投入媒体1mlをスライド表面に適用することで、刺激した。その後余分な媒体を、溶解/電気泳動の直前にスライド表面から排水した。
精製タンパク質scウエスタンブロット
精製タンパク質を、単一細胞用のものと類似のプロトコルを使用してアッセイした。ゲルスライドを、修飾RIPA緩衝液中の精製タンパク質で30分間インキュベートし、新たな修飾RIPA中に5分間浸水させ、第2のガラススライドで「サンドイッチ」して、タンパク質をゲル層内に閉じ込めた。ガラススライドサンドイッチを、単一細胞アッセイ中のように、電気泳動、UV媒介タンパク質捕捉、洗浄、およびプロービングに供し、捕捉ステップ後に上部ガラス層を除去した。
スライドプロービング、撮像、およびストリッピング
スライドを、2×8のウェルマイクロアレイハイブリダイゼーションカセット(AHC1X16,ArrayIt)中で拡散送達により、一次抗体および蛍光標識した二次抗体を用いてプローブした。
単一細胞ブロットのために採用した倍数希釈を伴う一次抗体(別途指示のない限り)は、ウサギ抗オボアルブミン(1:20、ab1221,Abcam)、ヤギ抗GFP(1:20、ab6673,Abcam)、ウサギ抗βチューブリン(1:20、ab6046,Abcam)、ウサギ抗ビメンチン(1:20、ab92547,Abcam)、ウサギ抗pERK1/2(1:40、Thr202/Tyr204、4370,Cell Signaling,Danvers,MA)、ウサギ抗ERK1/2(1:20、4695,Cell Signaling)、ウサギ抗pMEK1/2(1:40、Ser217/Ser221、9154,Cell Signaling)、ウサギ抗MEK1/2(1:20、9126,Cell Signaling)、ヤギ抗SOX2(1:20、sc−17320,Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)、マウス抗ネスチン(1:20、611658,BD Biosciences,San Jose,CA)、ヤギ抗GFAP(1:20、ab53554,Abcam)、マウス抗βIIIチューブリン(1:20、T8578,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)であった。二次抗体は、Alexa Fluor 568で標識したヤギ抗ウサギIgG(A−11011,Life Technologies)を使用した図7のオボアルブミンのプロービングを除き、Alexa Fluor 488、555、または647で標識したLife Technologies製のロバ抗マウス、ウサギ、またはヤギIgG(A31571、A31573、A21447、A31570、A31572、A21432、A21202、A21206、A11055)であった。対応する一次抗体と同一の希釈計数で全てを使用した。
図7については、Alexa Fluor 488で標識したOVAおよびBSAの混合物を、スライド全域で一定した分離距離にわたり、サンドイッチスライド配置で分離および捕捉した(ブロック内のウェルリップからのプローブしたOVAバンドの距離:167±6.5μm、±SD、n=6ブロット、ブロック間:164±3.8μm、±SD、n=3ブロック)。捕捉した分析物を標識するために使用するAlexa Fluor 488染料からの個々のスペクトルチャネルを利用し、特定の一次抗体およびAlexa Fluor 568で標識したヤギ抗ウサギIgG二次抗体を使用して、OVA種をプローブした。
分離の各ブロックを、1時間、2%のウシ血清アルブミン(BSA、A730,Sigma−Aldrich)を補充したTBST中で、1:40〜1:10に希釈した40μlの一次抗体溶液(タンパク質および試薬を参照されたい)を用いてインキュベートした。スライドをハイブリダイゼーションカセットから除去し、洗浄1回当たり15分間、10mlのTBST中で3回洗浄した(合計45分)。次に、スライドを、2%のBSAを補充したTBST中1:20の希釈での蛍光標識したロバの二次抗体を用いて、同様にプローブおよび洗浄した。スライドを、最後に10mlのDI水中で5分間洗浄し、窒素流下で乾燥させた。免疫ブロット蛍光の飽和のない最大ダイナミックレンジのために最適化した、400〜550のPMTゲインおよび30〜100%のレーザー出力でのGenePix 4300Aマイクロアレイスキャナを使用して、撮像を実施した。フィルタセットを、それぞれ488、532、および635nmのレーザーを使用してAlexa Fluor 488、555、および647で標識した二次抗体を使用する3チャネル検出のために採用した。488および532nmのスペクトルチャネルのための直径12.5mmの発光フィルタはOmega Optical製(それぞれXF3405およびXF3403)であり、635nmのチャネルには内臓遠赤発光フィルタを採用した。
スペクトルの漏れ込みは、それぞれ図3A〜Cおよび図4A〜C中のERKまたはβチューブリン(Alexa Fluor 555で標識した二次抗体)のEGFP(Alexa Fluor 488で標識した二次抗体)との共プロービングを除いて、標的上の蛍光線変化図のノイズ閾値を下回った。ERKブロットが技術的ノイズを超えるEGFPの漏れ込みに影響を受けた図3Bに示すd中のレシオメトリックは、分析から切り捨てた。EGFPの漏れ込みに同様に影響を受けたβチューブリンブロット由来の図4Cに示すf中のレシオメトリックも切り捨てた。蛍光顕微鏡写真または派生データセットは、スペクトルの漏れ込みに対して蛍光補償しなかった。
HClでpH6.8に滴定した62.5mMのトリス中の2.5%のSDSおよび1%のβメルカプトエタノール(M3148,Sigma−Aldrich)からなる、50℃に加熱したストリッピング緩衝液中での3時間のインキュベーションによって、スライドのストリッピングを行った。ストリッピング後、スライドを、10mlのTBST中で洗浄1回当たり5分間、3回洗浄し、再プロービングまで4℃のTBST中で貯蔵した。このプロセスは、ストリッピング前の乾燥状態にあるスライドの長期貯蔵(約1ヶ月)に対して堅牢であることを見出した。
単一細胞免疫ブロットデータ分析
ウェル当たりの細胞の採点を、手動か、またはImagej(http://rsbweb.nih.gov/ij/)において細胞サイズおよび真円度に基づく閾値化および粒子分析をダウンストリームゲーティングと一体化するスクリプトを採用して研究室で設計した特注のソフトウェアによって実施して、R(http://www.r−project.org)において単一細胞を含むマイクロウェルを特定した。
ウェル当たりの細胞の自動採点の性能を定量化するために、精度=tp/(tp+fp)、および感度=tp/(tp+fn)を計算し、式中、tpは、実際に単一細胞を含んだ、単一細胞を含むとして採点されたウェルの数であり、fpは、単一細胞を含まなかった、単一細胞を含むとして採点されたウェルの数であり、fnは、実際には単一細胞を含有した、単一細胞を含有しないとして採点されたウェルの数である。精度=1は、単一細胞を含むとして採点された全てのウェルが、実際に単一細胞を含んだことを意味した。感度=1は、実際に単一細胞を含む全てのウェルが、単一細胞を含むとして採点されたことを意味した。精度および感度の測定基準は、それぞれ、0.90±0.09(±SD、n=8枚のスライド上の420個のウェルの56個のブロック)、および0.68±0.17であり、それは、ダウンストリーム分析に含まれるウェルの総数を犠牲にした単一細胞の厳選を反映する。
GenePixスキャナからの蛍光画像は、Fiji(http://fiji.sc/Fiji)中でランドマーク対応を使用して記録した。特注クリプトにより、各蛍光画像から、関心領域(ROI)のグリッドからの線変化図を抽出した。線変化図を、関心ピークの近似境界に設定した点間の線形補間を使用して、バックグラウンド減算した。異常線変化図が原因でフラグが立てられた免疫ブロットROIを視覚的に再検討することによって、データ品質管理を行った。例えば自己蛍光微粒子の存在に明らかに影響を受けた免疫ブロットをデータセットから切り捨て、技術的ノイズを上回るβチューブリン装填制御シグナルを含まない単一細胞ブロットとして誤って採点されたウェル当たりのゼロ細胞ブロットも切り捨てた。
目的とする総ピーク下面積(AUC)(またはAUC比および較正AUCなどのそれらに由来する測定基準)を、該当する場合、関数AUC=arcsinh(AUC/F)を使用して変換し、式中、AUCは逆双曲線関数変換値であり、Fは線形から対数尤度挙動への遷移を規定する余因数である。Fの値を、F=μ以下のもの+3σ以下のものに従って設定することによって最適化し、式中、μ以下のものおよびσ以下のものは、AUC(または測定基準)が技術的ノイズ閾値を下回るウェル当たりの単一細胞免疫ブロットのセットの平均および標準偏差である。技術的ノイズ閾値TをT=μゼロ+3σゼロで設定し、式中、μゼロおよびσゼロは、所与の実験におけるウェル当たりのゼロ細胞免疫ブロットからのAUCまたは測定基準値の平均および標準偏差である。該当する場合、Tを下回るレシオメトリックの分子におけるAUCを持つ免疫ブロットにフラグを立てて、プロット時にそのように表示した。分母中Tを下回るAUCを持つ免疫ブロットを、データセットから切り捨てた。
統計分析
単一細胞ブロットデータのノンパラメトリック比較(単一比較のみ)を、SPSSのv.21のソフトウェア(IBM,Armonk,NY)中で、それぞれ分散の正規性および均等性に対するシャピロ・ウィルクおよびルビーン検定と併せて、マン・ホイットニーのU検定を使用して行った。
単一細胞免疫ブロット較正
直接的および間接的な較正アッセイの概念的概観および図式を以下および図8に提供する。
単一細胞免疫ブロットアッセイの線形ダイナミックレンジおよび検出限界を判定するために、精製タンパク質を使用してそれを較正するために2つの方法を使用した(図2Cに示すdならびに図8および図10)。第1の(「直接的な」)方法は、EGFPの公称濃度中の範囲でインキュベートしたウェルについての、分離、捕捉、およびプロービング直前のマイクロウェル中のEGFP濃度の直接的測定に依存した。終点プローブ蛍光法を、scウエスタンゲルシートの厚さ(30μm)と同一の深度のマイクロチャネル中で作製されたものに対してEGFP蛍光測定値を較正することによって推測される、対応するマイクロウェル中に元来存在するEGFP分子の数に対する曲線上にプロットした。第2の(「間接的な」)方法は、マイクロウェル内に存在するタンパク質分子の直接的な測定を必要とせず、代わりに、大規模なスポット露出を使用して自由溶液から精製タンパク質を捕捉し、それらのゲル濃度は分配係数測定値から推測された(図9に示すa〜c)。最終結果は、捕捉タンパク質が単一細胞ブロットバンドから生じた場合、大体予想されたもののサイズであるスポット内に存在するタンパク質分子の数に対する所与のタンパク質の蛍光プローブ読出の較正曲線であった。故に、所与のタンパク質のゲル濃度は公称溶液濃度および分配係数から知られるため、直接観察できるものよりも低いタンパク質濃度を間接的な較正曲線に使用することができる。
抗体ストリッピングの有効性を間接的EGFP較正スライドについて検証すると、それは大部分の較正範囲(約10〜10個の分子)に対する検出閾値(SNR=3)での残留シグナル、および10個超この範囲を上回るSNR中の倍数減少を示した(図2Cに示すdおよび図10)。
EGFPの「直接的な」較正のために、4μMのBSA(単一細胞ブロット中のおよその総タンパク質レベル)を補充した修飾RIPA緩衝液中のEGFPの8アリコート希釈シリーズ(アリコート当たり40μl)を、ArrayItハイブリダイゼーションカセット中のscウエスタンスライドの別個のウェルに添加した(図10)。スライドを、1つの追加のステップを伴って精製タンパク質ブロットに対してのように(精製タンパク質scウエスタンブロットを参照されたい)サンドイッチしアッセイした。各ブロック中のマイクロウェルの小集団を、IX71蛍光顕微鏡上で移動載物台を誘導するための事前設定位置リストを使用して、電気泳動ステップの直前に、EGFP蛍光法(EGFPキューブ、10倍のOlympus UPlanFLN NA 0.3対物レンズ、200msの露出時間、1×1画素のビニング)について撮像した。濃度範囲にわたる分配係数を、[EGFP]ゲルおよび[EGFP]ウェルが、30μmの深度の個々の微小流体チャネルにおける蛍光較正によって判定された平衡にあるEGFPのゲル内およびウェル内濃度である、K=([EGFP]ゲル−[EGFP]ゲル,bg)/([EGFP]ウェル−[EGFP]ウェル,bg)に従って、これらの画像から判定した(図9)。特注の直線チャネル微小流体チップを、標準的な湿式エッチングプロセス(PerkinElmer,Waltham,MA)を使用してソーダ石灰ガラス中で製造した。[EGFP]ゲル,bgおよび[EGFP]ウェル,bgは、EGFP溶液を用いたインキュベーション前のscウエスタンスライドのバックグラウンド蛍光を補正する。各マイクロウェルボクセル中のEGFP分子の数もこれらのデータから見積もり、円筒状マイクロウェルの公称寸法を直径20μm、深度30μm(体積9.4pl)と仮定した。
電気泳動ステップの非存在下での、4μMのBSAを補充した修飾RIPA中の所与の精製タンパク質の希釈シリーズのscウエスタンゲルシートへの捕捉およびプロービングによって、「間接的な」較正を行った(図8および図10)。約40mW cm−2のスライド表面でのUV出力(320〜400nmのUVメータ、C6080−365,Hamamatsu)を用いた特注のUV−ロングパスフィルタセット(励起300〜380nm、発光410nm超、XF1001、XF3097、Omega Optical)を通して、Olympus IX71蛍光顕微鏡上で各45秒間10倍の対物レンズを介して、スポットUV露出を各マイクロウェルブロック内のスライドの下面に適用した。このようにして捕捉した精製タンパク質のゲル内濃度を、各タンパク質のAlexa Fluor 568で標識したアリコートを使用して、個々の分配係数の測定から判定した(図9)。EGFPの間接的較正は、単一細胞ブロット実験(面積45×45μm、深度30μm)からの典型的なブロットしたEGFPバンドのものに等しいボクセルサイズの推測したゲル内濃度を使用して、分子数を報告する。間接的較正データにおけるプローブAFUおよびSNR値を、較正標準の非存在下でUV露出ゲルスポットの非特異的プロービングによって引き起こされた蛍光バックグラウンドについて補正した。
マイクロウェル内溶解中のバルク緩衝液速度の判定
10msの露出時間でscウエスタンスライド上に蛍光マイクロビーズ投入RIPA緩衝液を注ぎ入れる(10個のビーズ/ml)間に、広視野蛍光顕微鏡法(4倍の対物レンズ、EGFPフィルタセット)によって、溶解中のバルク最大流速(ベクトル情報は無視)を見積もった(図11)。バルク流体挙動を観察するためにscウエスタンスライド平面の中心の約1mm上に焦点を当てた対物レンズを用いて、露出期間にわたって水平面におけるビーズの運動が引き起こす蛍光筋から、速度を抽出した。
COMSOL流体モデリング
scウエスタンマイクロウェル中の流量を、COMSOL Multiphysics 4.2a中でモデル化した(図11)。COMSOLモデル化は、ウェル上部近くの再循環渦付近を除いて、ゲル表面下のマイクロウェルへの垂直距離の関数としての局所流体速度の単調減少を示した。この下で、ペクレ数1をもたらす4.4μm s−1の限界局所流体速度を、特徴的長さLがマイクロウェル直径(20μm)であり、uが局所流体速度である、Pe=Lu/Dによって判定した。D=kT/6πμr=8.8×10−11−1は、低分子量モデル分析物としてのEGFPの自由溶液拡散率であり、ボルツマン定数k=1.38×10−23 kg s−2−1、温度T=293.15K、水の動粘度μ=0.001kg m−1−1、流体力学半径r=0.595(M0.427=2.43nm(M=27kDa、EGFPの分子量)である。
4.4μm s−1のこの限界速度での等速は、それぞれz方向にそれを下回る(Pe<1)および上回る(Pe>1)マイクロウェル座標に溶解緩衝液を注ぎ入れる間の拡散および移流卓越質量輸送体制の領域を大まかに画定する(図11)。
マイクロウェルの上のバルク流を、横断面100×100μmの正方形チャネル中の水の定常状態層流としてシミュレーションした。チャネルの上壁および側壁を、すべり境界条件に設定した。チャネルの底壁およびマイクロウェル壁を、すべり無しに設定した。流入速度を0.0087ms−1に設定して、0.013ms−1の最大バルク流速度を達成した。流出圧力は0に設定した。マイクロウェル再循環流を粒子追跡によって可視化した。
フローサイトメトリー
EGFP発現についてのフローサイトメトリーのために、EGFP NSCおよび非感染NSCを、accutaseで剥離し、4%のパラホルムアルデヒド(P6148、Sigma−Aldrich)中での15分間の懸濁によって固着させ、次にフロー染色緩衝液(PBS中、1mg/mLのサポニンを伴う5%のロバ血清、D9663および47036、Sigma−Aldrich)で15分間ブロッキングおよび透過処理した。細胞を、フロー染色緩衝液中で1時間、ヤギ抗GFP(1:100、製品の詳細についてはスライドプロービング、撮像、およびストリッピング。を参照されたい)を用いてインキュベートし、次いで、フロー染色緩衝液中で1時間、Alexa Fluor 555で標識したロバ抗ヤギIgG(1:100)を用いてインキュベートした。フローサイトメトリーを、Millipore EasyCyte 6HT−2Lを使用して行った。
従来型ウエスタンブロッティング
図3A〜C中のシグナル伝達研究のために、EGFP NSCを、6ウェルプレート中にウェル当たり2.5×105細胞で播種した。細胞を、16時間FGF欠乏状態にし、所望の刺激時間中20ng/mLのFGFを用いてインキュベートし、プロテアーゼとホスファターゼ阻害剤とのカクテル(87786および78420、ThermoFisher Scientific)および10mg/mLのPMSF(78830、Sigma−Aldrich)を含有するRIPA緩衝液(50mMのトリス、150mMのNaCl、1%のNP−40、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、0.1%のSDS、pH8)中で溶解した。分化アッセイのために、EGFP NSCを、6cmの皿中にウェル当たり5×105細胞で播種した。0日目の分化細胞を翌日溶解し、6日目の分化細胞を、分化培地(DMEM/F12/N2、0.5ng/mLのFGF、1μMのRA、1%のFBS)中で6日間培養し、その後溶解した。ビシンコニン酸アッセイ(23227、ThermoFisher Scientific)によって判定した等しい総タンパク質濃度の細胞溶解物を、SDS−PAGEゲル上で電気泳動的に分離し、標準的な方法を使用してニトロセルロース膜上に移動させた。ブロットを、0.1%のTween−20(BP337、ThermoFisher Scientific)、およびホスホタンパク質抗体については3%のBSA(A4503、Sigma−Aldrich)、または全ての他の抗体については5%の脱脂粉乳を伴うTBS中で1時間ブロッキングした。ブロットを、同一のブロッキング緩衝液中で一次抗体(ウサギ抗pERK1/2(1:2000)、ウサギ抗ERK1/2(1:1000)、ウサギ抗pMEK1/2(1:1000)、ウサギ抗MEK1/2(1:1000)、ヤギ抗SOX2(1:500)、マウス抗ネスチン(1:1000)、ヤギ抗GFAP(1:1000)、マウス抗βIIIチューブリン(1:2000)、ウサギ抗βチューブリン(1:500))によって一晩プローブし、次いで適切な西洋ワサビペルオキシダーゼ共役二次抗体(マウス抗ヤギHRP(1:5000、31400)、ヤギ抗マウスHRP(1:10000、32430)、ヤギ抗ウサギHRP(1:10000、32460)、全てThermoFisher Scientific製)を用いて1時間インキュベートした。タンパク質バンドをSuperSignal West Dura Chemiluminescent Substrate(34076、ThermoFisher Scientific)を使用して検出し、ブロットを、ChemiDoc XRS+Imaging System(BioRad)上でデジタル撮像した。ブロットを、3%の酢酸、0.5MのNaCl、pH2.5の溶液中で10分間ストリッピングし、0.5MのNaOHで1分間中和し、その後必要に応じて再プローブした。バックグラウンド減算したROI強度を測定することによって、ブロット濃度測定をImageJ中で行った。
免疫細胞化学
図3A〜C中のシグナル伝達研究のために、EGFP NSCを、96ウェルプレート中にウェル当たり5×103細胞で播種した。従来型ウエスタンブロッティングについて記載した通りに、細胞をFGF欠乏状態にし、刺激した。標準的な細胞培養条件における分化アッセイのために、EGFP NSCを、24ウェルプレート中にウェル当たり4×104細胞で播種し、分化させた。scウエスタンマイクロウェルのために、EGFP NSCを培養プレート中で分化させ、適切な日に懸濁し、scウエスタンスライド中に沈降させ、培養プレートについて使用したものと類似のワークフローによってArrayItハイブリダイゼーションカセット内で処理した。細胞培養物および沈降させた細胞を、4%のパラホルムアルデヒド中で15分間固着させ、その後、染色緩衝液(PBS中の0.3%のTriton−X100を伴う5%のロバ血清)を用いて30分間ブロッキングおよび透過処理した。培養物および細胞を、染色緩衝液中で、一次抗体(ウサギ抗pERK1/2(1:200、製品の詳細についてはプロービング、撮像、およびストリッピング。を参照されたい)、マウス抗ERK1/2(1:50、4696、Cell Signaling)、ウサギ抗pMEK1/2(1:200)、マウス抗MEK1/2(1:25、4694、Cell Signaling)、ヤギ抗SOX2(1:100)、マウス抗ネスチン(1:200)、ヤギ抗GFAP(1:500)、マウス抗βIIIチューブリン(1:500))の組み合わせを用いて24〜48時間インキュベートし、次いで、核対比染色としてDAPI(5μg/mL、D1306、Life Technologies)を用いた染色緩衝液中で、適切なCy3、Alexa Fluor 555、および647で標識したロバ抗マウス、ウサギ、またはヤギIgG二次抗体(1:250,Life Technologies;15−165−150、715−605−150、711−605−152、705−605−147,Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)を用いて2時間インキュベートした。細胞培養物を、Nikon Eclipse Ti倒立蛍光顕微鏡(Nikon Instruments,Melville,NY)またはImageXpress Micro XL Widefield High Content Screening System(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して撮像した。マイクロウェル内細胞は、Olympus IX71顕微鏡を使用して撮像した(単一細胞免疫ブロットアッセイを参照されたい)。
共焦点画像を、掃引フィールド共焦点光学(Prairie Technologies,Middleton,WI)を持つBX51W1顕微鏡(Olympus,Center Valley,PA)上で取得し、Icyバイオインフォマティクスソフトウェア(Quantitative Image Analysis Unit、Institut Pasteur,Paris,France)によって分析した。図4Aに示すcにおけるscウエスタンマイクロウェル中の分化細胞の共焦点撮像のために、ウサギ抗GFAP(1:500、ab7260、Abcam)を使用し、全ての他の抗体試薬は列挙したものと同一であった。
免疫化学データ分析
図3Aに示すa中のシグナル伝達研究のために、細胞を、閾値化および粒子分析を使用する特注のImageJスクリプトによって特定して、DAPIで染色した核を探し出した。分析のための単一細胞を選択し、最近隣への距離およびRにおけるバックグラウンドシグナルの一様性に対するゲーティングによって選択した。蛍光を、各単一細胞の周囲のバックグラウンド減算した75×75画素のROIの画素強度を合計することによって定量化した。各ROI中の画素のおよそ50%がバックグラウンドシグナルからなり、それはガウス分布であった最高画素数を持つ強度値を、平均バックグラウンド強度として取り、個別のROIのためのバックグラウンド減算に使用した。ノイズ閾値を、T=3σbgに設定し、式中、σbgは、各実験条件での蛍光顕微鏡写真中のバックグラウンドシグナル強度の最大標準偏差であった。分子中のTを下回る蛍光の測定値を、プロットされたデータ中のものとして特定した。分母中のTを下回る蛍光の測定値を、データセットから切り捨てた。
培養プレート中のICC実験および図4A〜C中の分化実験のためのscウエスタンマイクロウェルからの蛍光顕微鏡写真を、ImageJにおいて恣意的に判定された蛍光閾値に従って、マーカ発現について手動で採点した。異なる盲検の研究者らが、ICC計数およびscウエスタンマーカ発現分析を実施した。
結果
単一細胞分析のためのscウエスタンブロットアレイの設計および特性評価
単一細胞ウエスタン(scウエスタン)ブロッティングを、6,720個のマイクロウェルのアレイでマイクロパターン化した光活性化可能な薄いポリアクリルアミド(PA)ゲルをコーティングした顕微鏡スライド上で行った(図1A及びB)。scウエスタンアレイは、ガラス顕微鏡スライド上に置いた厚さ30μmの光活性ポリアクリルアミドゲル中でパターン化した数千個のマイクロウェル(直径20μm、深度30μm)を含んだ。アレイは、ソフトリソグラフィーによって製造したSU−8フォトレジスト原型で鋳造した14×30のマイクロウェルの16個のブロックを含んだ(図1Aに示すa)。
マイクロウェル(直径20μm)を、SU−8マイクロポストをちりばめたシリコンウエハで、厚さ30μmのPAゲルの重合中にパターン化した(図1Aに示すb)。数千個の単一細胞の同時ウエスタンブロッティングを可能にするため、scウエスタンアレイおよびアッセイ設計は、6つ全てのブロット段階を高密度のアレイフォーマット中に統合し、数千個の細胞の同時操作を可能にした。3つの属性が、scウエスタンアレイ設計を支え、単一細胞ウエスタンブロッティング能力の基礎を形成する。
第1に、scウエスタンアレイを、数千のマイクロウェルのうちの各々の局所的作動とは対照的に、大域的に対応させた。細胞播種のために、受動的重力駆動型細胞沈降を使用した。単一細胞の懸濁液をscウエスタンアレイ上に沈降させ、それにより5〜10分の沈降時間でマイクロウェル当たり0〜4個の細胞を捕捉した。1,000〜1,800細胞mm−2スライド領域(合計2〜3.5×10細胞)のラット神経幹細胞密度については、ウェルの40〜50%において単一細胞が観察された(図12)。沈降した細胞の溶解を、後続のタンパク質電気泳動に使用した。細胞を大域的に溶解するために、scウエスタンアレイ表面にわたるバルク緩衝液交換を使用した。後続の電気泳動に好適な伝導性を維持しながら細胞内タンパク質の可溶化を最大化するように修飾したRIPAを使用した。RIPA緩衝液は、変性非還元条件をもたらした。細胞溶解が2.6±1.5秒(±SD、n=6細胞)で、次いで約10秒以内で細胞からのタンパク質抽出が、マイクロウェル中で観察された(図1Bに示すe)。開口マイクロウェル上への溶解緩衝液の注ぎ入れは、細胞内容物をマイクロウェルから移流的に取り除かなかった(図11)。マイクロウェル中の流量を平均細胞溶解時間でシミュレーションした。シミュレーションは、マイクロウェルの底10μmを占めるほぼ停滞した流れを伴う、マイクロウェル深度の最初の約20μmにおける再循環流を示した(ペクレ数はPe<1)。沈降した細胞は移流輸送から大部分遮蔽されたため、拡散が、ウェルからのタンパク質の損失に大きく関与した可能性が高い。実験的に、40.2±3.6%の合わせたEGFPタンパク質損失を溶解中に測定した(±SD、n=3つの個々のスライドからの3つのマイクロウェル)。図1Bに示すeでは、各二次抗体上の別個の蛍光染色は、多重標的分析(EGFP:Alexa Fluor 488で標識した二次抗体、βTUB:Alexa Fluor 555で標識)を可能にした。ストリッピング、および化学的ストリッピングを介したブロービングは、二量体形にあるビメンチン(VIM’、107kDa、Alexa Fluor 555標識)のscウエスタンブロッティングを可能にする。全ての数字に対する抗体希釈因子はこれまでに上述した。
第2に、高密度のマイクロウェルアレイレイアウトを達成するために、アレイを短分離距離のタンパク質電気泳動に対して最適化した。scウエスタンアレイでは、マイクロウェル間の間隔幅が、有効な分離距離を決定する。細胞溶解後に電気泳動を始動および駆動するために、浸水させたscウエスタンスライドにかけて電場を適用した。印加電場は、タンパク質を、マイクロウェル壁を通して薄いゲルシートへと駆動し、それによりポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)が始動した。この構築におけるPAGE性能を理解するために、マイクロウェル中に分配した蛍光標識したラダータンパク質(27〜132kDa、図1Bに示すd)のモデル溶液をアッセイした(図9)。
自由溶液およびポリアクリルアミドゲルへのタンパク質の分配−タンパク質を含む粒子は、分配係数K、cとcとの比、局所ゲルおよびバルク自由溶液タンパク質濃度

(1)
に従って、高密度のヒドロゲルネットワークと自由溶液とに分配されることが見込まれ、式中、Φはポリマーネットワークの体積画分であり、aはタンパク質のストークス−アインシュタインの半径であり、aはポリマー繊維半径である。平衡分配およびscウエスタンマイクロウェルからの蛍光タンパク質ドロンパ反復注入の実演を、様々な目的とする精製タンパク質標的についての測定した分配係数と併せて、図9に示す。 プローブ抗体のサイズの大きさ(約150kDa)によって悪化すると見込まれた予想の分配効果を所与として、厚さ80μmのscウエスタンゲル層中のプローブ抗体の平衡時間を判定した(図13)。蛍光標識した一次抗体をゲルコーティングしたスライドの上の自由溶液中で30分間インキュベートした後、スライドをTBST中で洗浄し、定期的に撮像した。抗体が拡散によってスライドを離れたとき、スライド蛍光の指数関数的減衰が大体5分の時定数で観察され、約4τ=20分の完全洗い出しまでの時間は、見積もった拡散時間t〜x/4D=27分と遜色がなかった。ゲル層は、細胞の寸法をより厳密に一致させることによって、マイクロウェル内の複数細胞の垂直なスタッキングの発生率を最小化するために、典型的に厚さ30μmであった。大体4分の抗体拡散時間が見込まれた。
この実験は、プローブの溶液濃度が、プローブのゲル濃度の減少における分配の影響を補正するために、そのバルク溶液濃度に関して0.17の測定分配係数分上昇したにもかかわらず、scウエスタンゲルとのプローブ抗体の迅速な平衡が、その微小規模の厚さを所与として、プロービングおよび洗浄中に達成され得ることを示した(図9)。
電気泳動中、マイクロウェルの周縁に対するタンパク質のスタッキングが、PAGE後に観察された。十分に変性および還元するSDS−PAGEについて見込まれた通り、変性非還元PAGE条件下で、タンパク質分子量と移行距離との対数線形関係を立証した(R2=0.97、図14)。二量体の分離が観察され、それは、緩衝液条件がタンパク質間相互作用の分析にも適用可能であり得ることを示した。中等度のPAGE性能を達成し、分子量差が51±1.6%(±SD、n=3分離)であるタンパク質ペアは、約500μmの分離の長さで分解可能であった。scウエスタンアレイでは、分析物の移行距離の変動係数は、アレイのブロック内およびブロック間の両方で4%以内であった(図7)。
第3のscウエスタン属性は、ウエスタンブロットアッセイのブロッティングおよびプロービング段階の両方を促進する、反応および輸送の小さい特徴的長さの使用であった。ブロッティング段階、後のPAGEのために、タンパク質バンドを、UV光への手短な露出(45秒)によって、PAGE後に光活性PAゲル中に共有的に固定した。ゲルに架橋したベンゾフェノンメタクリルアミドコポリマーがこのフォトキャプチャ挙動を授けた。チャネル表面に種を固定するように設計された手法とは異なり、光活性ゲルの使用は、より効率的な擬似均一3D反応環境をもたらす。光活性PAゲルの捕捉効率、線形性、および種特異性を理解するために、まずNSC中に発現したEGFPの見かけの捕捉効率を測定した。EGFPを発現しているNSCの沈降、溶解、PAGE分析の後、EGFPバンドの内在蛍光を、UVで誘導した捕捉および洗浄後のその蛍光と比較した(図1Bに示すe)。η=27.5±2.9%の捕獲効率を測定すると(±SD、n=別々の4日に行った実験からの6ブロット)、それは天然PAGE(非標識の野生型GFPについてη=1.8%)および変性/還元PAGE(種々の蛍光標識した標的についてη>75%)PAGEについてこれまでに判定したものの間の効率で、一貫した日々の捕捉性能を示した。溶解、分離、およびブロッティングステップを75秒で完了した。
固定したタンパク質分離のプロービングを、薄いPAゲル層への抗体の拡散によって行った。scウエスタンブロットの多重化するために、マイクロウェルアレイを、固有のプロービング溶液の適用および単離を可能にする、マイクロアレイガスケットに適合するレイアウトである、420個のマイクロウェルからなる16「ブロック」に典型的に編成した。プロービングステップは、45分の緩衝液洗浄ステップと交互にした、一次抗体溶液および蛍光標識した二次抗体溶液を用いたscウエスタンアレイの逐次的な1時間のインキュベーションからなった(図7)。薄いPAゲルを通した抗体拡散速度論は、5分未満の平衡時定数を示した(図13)。プロービング後、蛍光マイクロアレイスキャナ、3重標的定量化を伴う単一試料中48標的のscウエスタンブロットを使用して、scウエスタンアレイを撮像した。
各細胞中の多重標的分析を得るために、化学的ストリッピングを使用して、単一細胞scウエスタンブロットの再プロービング性能を評定した。単一細胞ブロッティング後に強力な変性緩衝液を用いてscウエスタンアレイをインキュベーションすることによって、EGFPおよびβチューブリンへのプローブに関連付けられるシグナル対ノイズ比の10倍超の減少を達成した(図1Bに示すe)。更に、ストリッピングしたスライド上のEGFPの再プロービングにより第1回目のプロービングのものに類似したSNRを回収したが、二次抗体のみの対照についてはなかった(図15)。
細胞集団の単一細胞ウエスタンブロッティング
6,720個のマイクロウェルからの同時分析のためにscウエスタンブロットをスケーリングする実験を行った。図2Aに示すaは、βTUB(Alexa Fluor 647で標識した二次抗体)およびEGFP(Alexa Fluor 555標識、RFU:相対蛍光単位)についてのEGFPを発現しているNSCの同時scウエスタンブロット合計5,040個のうち420個のブロックを示す。マイクロウェル中に播種した細胞の明視野顕微鏡写真によって、ウェル当たりの細胞数の決定が可能となった。scウエスタンブロットアッセイを使用して、単一スライドの12ブロックに及ぶEGFPを発現している神経幹細胞(NSC)を分析した。見込みある5,040個のうち4,128ブロット(82%)が、塵埃粒子および欠陥に対する半自動ゲーティングを通過した。これらのうち1,608個(39%)を単一細胞上に行った。EGFPおよびβチューブリンの2個の標的を同一のscウエスタンアレイ上でプローブし、関連するマイクロウェル占有率(ウェル当たりの細胞)値を示す得られたscウエスタンブロット読出強度を、手動の採点によって決定した(図2aおよび図16)。ウェル当たりの単一細胞装置のゲーティングに対して最適化した自動採点を、全ての他のデータセットに使用した(方法を参照されたい)。
標準的に実行している空間マイクロウェル占有率は、0〜2.1細胞/ウェルの範囲であり、平均値は1.1細胞/ウェルであった(図2Aに示すb)。この測定基準における空間的変動は、scウエスタンアレイにわたる非一様な細胞沈降密度に起因する可能性が高い。βチューブリンバンドの総蛍光は、ウェル当たりの細胞数と共に非線形的に変動した(図2Aに示すb)。非線形性は、マイクロウェル播種における細胞サイズのバイアスを反映した可能性が高い非ポアソン的細胞沈降統計の結果であると考えられた(図2Cに示すd)。
βチューブリン蛍光分布に対する細胞沈降統計および効果−ウェル当たりの細胞沈降分布を説明するファノ因子はポアソン的分布から逸脱した(ポアソン分布についてはF=σ/μ=1、ウェル当たりの細胞分布についてはF約0.55〜0.75、図12)。縮小したウェル当たりの細胞分布は、ウェル当たりの細胞軸に沿ったβチューブリンの細胞当たりの寄与を減少し得る、マイクロウェル播種によって課されたサイズバイアスを反映し得る。平均して、1細胞/ウェルを上回る各追加の細胞は、2個および3個の細胞/ウェルブロットについて元の細胞のそれぞれ79%および42%のβチューブリン寄与を付加し、標準偏差は、同一の1細胞/ウェルβチューブリン分布の単純な付加に基づく見込まれた標準偏差に対して、105%および36%であった(すなわち、μf,2’s=μf,1’s+0.79μf,1’s,μf,3’s=μf,2’s+0.42μf,1’s、SDf,2’s=SDf,1’s+1.05(√2−1)SDf,1’s、SDf,3’s=SDf,2’s+0.36(√2−1)SDf,1’sであり、式中、μf,i’sおよびSDf,i’sは、i細胞/ウェルブロットにわたるβチューブリン蛍光シグナルにおける平均値および標準偏差である)。
βチューブリン蛍光分布は、分裂細胞の均一集団における転写および翻訳の確率動態モデルから生じるガンマ分布によってよく説明された。本モデルによって、ポアソン的mRNA産生および指数関数的に分布したタンパク質放出数が仮定され、f(x)=(xa−1−x/b)/(Γ(a)b)を得て、式中、xは総ブロット蛍光、a=μ/σ(ノイズ項の逆数)、b=σ/μ(ファノ因子)、およびΓはガンマ関数である。scウエスタンβチューブリンデータは、故に、大腸菌および哺乳動物細胞における蛍光タンパク質融合ライブラリについてのガンマ分布単一細胞タンパク質発現プロファイルと合致した。
scウエスタンブロットの分析性能
これらのNSC中のEGFP発現は変動することが見込まれたため、scウエスタンブロットの検出性能を評定するために、レトロウイルス形質導入によって生成したEGFPを発現しているNSCをアッセイした(図2Bに示すc)。それぞれEGFP+細胞(技術的ノイズを上回るブロットシグナルについて)は19%、scウエスタンブロットおよびフローサイトメトリーアッセイについては26.7±1.1%であり(±SD、n=3技術的複製)、ダイナミックレンジは同等であった。スライドの個々に播種した領域からのウェル当たりのゼロ細胞scウエスタンブロット(ブロット4,100〜4,128、0’s)によって、理想の技術的ノイズの見積もりが可能となった。抗体消費は、従来型スラブゲルウエスタンブロットのレーン当たり約0.5〜2μgの各一次抗体と比較して、scウエスタンアレイ当たり約32μgの各抗体または単一細胞ブロット当たり4.8ngであった(図17)。
scウエスタンブロットの分析性能−1:20の抗体希釈因子を使用して、scウエスタンブロット蛍光シグナルとEGFPおよびβ−チューブリンの試薬消費との間の許容可能な均衡をもたらした(図17)。これらのプロービング条件下で、6,720scウエスタンブロットからなるスライド当たり各抗体32μg、またはブロット当たり4.8ngの消費を見積もった(従来型スラブゲルウエスタンブロットのレーン当たり各一次抗体約0.5〜2μgと比較して)。
scウエスタンブロットのダイナミックレンジを、技術的ノイズ限界および最大細胞蛍光強度から見積もった。scウエスタンブロットの技術的ノイズを、(i)マイクロウェルは細胞を含まなかった、および(ii)マイクロウェルは細胞を含んだマイクロウェルから離れていたという2つの特徴を持つブロットからのシグナルを評定することによって判定した。ウェル当たりの有限細胞アッセイに近位のウェル当たりのゼロ細胞ブロットからのscウエスタンシグナルが、空間的に孤立したウェル当たりのゼロ細胞ブロットからのscウエスタンシグナルよりも約10高かったため(μゼロ+3σゼロ=2.5×10〜2.4×10分子の画素数正規化閾値から)、これらの基準を選択した。結果として、高ダイナミックレンジ標的を持つ細胞集団において、アレイ密度と低コピー数限界測定値の忠実度との間に設計トレードオフが存在する。技術的ノイズ限界を決定した後、理想のダイナミックレンジは、scウエスタンブロットおよび従来型フローサイトメトリーとそれぞれ2.9および2.6桁で同等であることを見出した。
scウエスタンブロット蛍光読出の線形性および感受性を分析した。EGFPの「直接的」較正、ならびにβチューブリン、pERK、およびERK標的の「間接的」較正を決定した(図2Cに示すd)。直接的方法は、免疫ブロッティング後のプローブ蛍光へのカバーガラス密閉マイクロウェル分離における精製EGFP分子の数を較正し、一方で間接的方法は、分配係数測定を使用して、ドットブロット型実験からのブロットしたscウエスタンバンドにおける分子数を推測した(図8および10)。較正結果は、27,000個の分子(45zmol)での検出限界から2.2桁の線形ダイナミックレンジを示して、EGFP(図2Cに示すd)と合致した。この検出限界は、25,000個の分子の検出の「理想の」ノイズ閾値を10%以内に合わせ、これは、検出限界が蛍光マイクロアレイスキャナと関連付けられる技術的ノイズによって大まかに設定されたことを示した。27,000個の分子の検出限界は、マイクロウエスタンアレイよりも45倍の改善であり、微小流体ウエスタンブロッティングよりも3.2倍の改善であった。効率的な抗体ストリッピングを、間接的EGFP較正スライド全体で検証した(図2Cに示すd)。βチューブリン、pERK、およびERKについての間接的較正曲線は、精製した各標準の推測されたゲル内濃度において1.3〜1.8桁にわたる線形性を示し、SNR=3(R=0.94〜0.98、図2Cに示すdならびに図10および図18)をもたらした。さらに、無傷細胞からブロットしたバンドへのタンパク質の移動に固有の約40倍の希釈因子について補正したβチューブリンおよびERKの見積もった生理学的濃度は、両曲線の線形領域内である。
NSCのFGF刺激後のシグナル伝達における細胞間不均一性の観察
scウエスタンアレイを使用して、神経前駆マイトジェンFGFで刺激した後のラットNSCにおけるMAPKシグナル伝達動態をモニタリングした。scウエスタンブロットを6回間隔で60分の時間経過にわたり実施した(図3A〜C)。まず、リン酸化ERK(pERK)およびMEK(pMEK)標的に対してプローブし、次いで総ERKおよびMEK(図3Aに示すaおよび図19)に対して再プローブした。βチューブリンおよびEGFPによって、各標的の分子量の推定が可能となった。pERK、ERK、pMEK、およびMEKの観察された分子量は、それらの公称質量の10%以内であった。リン酸化した総標的読出の各ペアについては、103±3kDaでのpERKプロファイルにおける推定非特異的バンドを除いて、分離プロファイルは対応していた(±SD、n=3分離)。EGFPブロットは、各々同一の細胞からであった他のブロットと同一のアレイの行にある細胞からであった。ERKバンドと一致しないpERK抗体によって特定された103kDaでの標的外ピークに留意されたい。この未知のピークは、従来型ウエスタンブロッティングによって裏付けられる通り、標的上のpERKシグナルと相関しなかった強力な細胞間変動性を示した(図3Aに示すb、ならびに図20および図21)。
標的外種に結合している非特異的プローブは、細胞内タンパク質の単一細胞分析(例えば、免疫細胞化学であるICC、フローサイトメトリー)に影響し得る。この分析的懸念を踏まえると、ERKに対するscウエスタンブロットにおける標的外シグナルの寄与が更に特徴付けられた。総pERKプローブシグナルへの非特異的な103kDaの寄与は、平均で、ゼロ時点(未刺激)のscウエスタンブロットシグナルの13%(最大52%)を構成した。しかしながら、FGF刺激に対するNSCの最大応答に対応する12分の時点では、103kDaの標的外pERKプローブシグナルは、総シグナルの平均0.7%(最大18%)しか含まなかった。ERKリン酸化の基礎レベルは、標的特異的ノックダウン実験なしの従来型アッセイにおいて標的外プロービングから容易に区別できないため、scウエスタンブロッティングなしでは、刺激時間規模にわたる免疫蛍光への約103kDaの標的外ピークの寄与における細胞間変動性は、検出が困難であり得る。
次に、scウエスタンブロットからの動的応答測定値を、従来型スラブゲルウエスタンブロッティングと比較した。従来型ウエスタンブロットとscウエスタンブロットとの両方は、ERKおよびMEKのリン酸化動態における類似の動向(図3Bに示すcおよび図3Bに示すd、ならびに図22A及びB)、およびscウエスタンブロットによる刺激されていないものと最大の細胞集団応答との間の差異が、統計的に有意であったことを示した。
FGF刺激実験におけるscウエスタンおよびICCデータの統計的分析(図3Bに示すd、図3Cに示すe)単一細胞のpERK:ERKおよびpMEK:MEKのscウエスタンブロットデータにおける、それぞれ12および20分の最大値での倍数変化(fold−change)分布は、対応する時間ゼロ分布と著しく異なった(pERK:ERK:マン・ホイットニーのU=537、n0分=186、n12分=57、P<0.001;pMEK:MEK:マン・ホイットニーのU=6,884、n0分=186、n20分=236、P<0.001)。前後関係のため、scウエスタンブロッティングによるβチューブリン、ERK、およびMEKの平均倍数変化は、各刺激時間で、細胞集団全体で1.6未満であった(図23)。同様に、pERK:ERKおよびpMEK:MEKのICCデータに対する5および20分の最大値での倍数変化分布(図24)は、対応する時間ゼロ分布と著しく異なった(pERK:ERK:マン・ホイットニーのU=123、n0分=160、n5分=115、P<0.001;pMEK:MEK:マン・ホイットニーのU=6,653、n0分=184、n20分=223、P<0.001)。前後関係のため、ICCによるERKおよびMEKの平均倍数変化は、各刺激時間で、細胞集団全体で1.5未満であった(図24)。
最大のpMEK:MEKのリン酸化動向は、最大値対ゼロ時点での値の比における約3.5倍の増加をもって定量的に一致した。両方のアッセイフォーマットについて、pERK:ERK比における応答は、pMEK:MEK比について観察されたものを超えたが、最大値は、従来型ブロット濃度測定とscウエスタン蛍光撮像との間で時間において異なった。従来型ウエスタンブロットにおける刺激と溶解との間の中間処理ステップの結果であると考えられる応答における遅延が、従来型ウエスタンブロットとscウエスタンブロットとの間で観察された。pERK:ERK分布は、0、5、30、および60分時点で2.5超の歪度を有し(図23)、それは、得られた集団への希少な活性化細胞の寄与を示した。これらは、構成的シグナル伝達、または基準リン酸化状態からの一過性のFGF非依存性偏位によって起こり得る。pERK:ERKおよびpMEK:MEKのリン酸化応答について、歪度は12分の刺激時点で最小(それぞれ1.1および0.1)であり、pMEK:MEK比は12分の刺激時点で正常に分布し(シャピロ・ウィルクのW=0.98、n12分=57、P=0.58)、それは、各標的に対する最大リン酸化の上限への集団全体の接近を示した。応答速度および/または大きさにおける細胞間不均一性は、pERK:ERKおよびpMEK:MEKについて12分でそれぞれ7.3および3.7倍数変化単位の四分位範囲で、高かった。
従来型単一細胞技法を用いてのFGF刺激に対するタンパク質シグナル伝達応答における細胞間不均一性を比較するために、ERKおよびMEKリン酸化をハイスループットICCによって分析した(図3Cに示すe、ならびに図24および図25)。pERK:ERKのプロファイルは、scウエスタンデータと従来型ウエスタンブロットデータとの両方とさほど違わなかった。対照的に、pMEK:MEK応答は、統計的に有意であるにもかかわらず、これらの技術的複製にわたって2未満の最大平均倍数変化で強く減衰した。この応答不良は、pMEK/MEK28の予想された細胞質内局在化と食い違う、pMEK抗体の不適正な核局在化の結果であると考えられた(図26および図27)。ICCにおけるpMEK抗体の標的外特異性は、scウエスタンブロッティングと従来型ウエスタンブロッティングとの両方によって捕捉されたわずかなリン酸化応答を不明瞭にする可能性が高い。
NSCの分化中の細胞間不均一性
細胞の大型のアレイをscウエスタンブロットによって分析して、星細胞(グリア繊維性酸性タンパク質、GFAP+)および神経(βIIIチューブリン、βIIITUB+)終点への単一細胞レベルのネスチン(NEST)+/SOX2+NSC分化動態を、6日の期間にわたって研究した。NSCを、培養プレート中の神経および星細胞混合集団へと分化した(図4Aに示すa)。24時間ごとに、NSCをscウエスタンマイクロウェルへと沈降させ(図4Aに示すb及びc)、単一細胞ブロットを6日の期間にわたり実施した。scウエスタンブロットは、NEST(95.7±3.5kDa)、SOX2(43.3±1.9kDa)、βIIITUB(47.2±0.7kDa)、およびGFAP(54.0±1.0kDa、全て±SD、n=3分離、図4Bに示すd、図28)に特異的なバンドの報告に成功した。各標的タンパク質は、33.8kDaのその公称質量から28%異なったSOX2を除いて、その予想質量の20%以内であった(従来型ウエスタンブロッティングによって判定)。観察されたSOX2質量の差異は、(i)scウエスタンにおける、高い9.7pIのタンパク質および変性非還元PAGE条件、(ii)他の(全て細胞質)タンパク質標的と比較した、核からのSOX2の抽出に対する限定された溶解時間および分化影響、(iii)標的外プロービング、という3つの起源から生じたと仮定した。文献報告と調和して、NESTは、従来型ウエスタンブロッティングにおいて2つのバンドを呈したが(NESTおよびNESTに対してそれぞれ82および149kDa、図4Cに示すe、図29)、scウエスタンブロットは、マイクロウェル中で観察されたより高い分子量の物質の滞留を伴うより低い分子量バンドのみを報告する。
従来のウエスタンブロッティングは、6日の分化時間経過にわたって、NEST(82kDaバンド)およびSOX2における10倍超の減少、およびβIIITUBおよびGFAPにおける10倍超の増加を示した(図4Cに示すe)。類似の動向は、NEST、βIIITUB、およびGFAPについて、そしてSOX2についてはより少ない程度に、分化時間規模にわたるβチューブリン正規化scウエスタンブロットデータにおいて明らかであった(図4Cに示すf、ならびに図30および図31)。0および6日目でのNESTおよびGFAPの単一細胞発現レベルは、それぞれ、それらの対応する技術的ノイズ閾値から22および46倍の範囲に及んで特に不均一であった。scウエスタンブロットにおいて技術的ノイズを上回って採点されたβIIITUB+(神経細胞)およびGFAP+(星細胞)の細胞型のパーセンテージは、6日目で53%および7.1%であった。これらの値は、15%以内に元の培養プレートにおける研究者盲検ICC実験からの手動で採点した数と一致し(以下の表2)、それは、scウエスタンブロットにおける技術的ノイズ閾値がマーカ陽性および陰性細胞状態を忠実に描出したことを示す。
細胞型バイアスの証拠は、培養プレートおよびscウエスタンマイクロウェル中のICCデータから手動で採点した数において、細胞沈降中、観察されなかった(沈降後)。これらデータは、scウエスタンブロッティングが、回転楕円形NSCから高度に分岐した神経およびグリア細胞型まで多種多様な細胞形態に対して堅牢であったことを示した(以下の表2)。培養プレートおよびマイクロウェル内ICCによって、NEST+NSCの数は0から6日目までで大体90〜40%減少し、この集団におけるパーセンテージ変化と類似の大きさが、scウエスタンブロッティングによって観察された(53〜2%)。ICC測定値が、刺激非反応性の149kDaのNEST種の発現によって設定されるより低い閾値に達した可能性があるのに対して、この測定値の記録における見かけの偏移は、scウエスタンアッセイの、刺激反応性の82kDaのNEST種から蛍光シグナルを単離する能力を示した(図4Aに示すa)。しかしながら、ICCとscウエスタンアッセイとの両方は、0日目と6日目との間に従来のウエスタンブロッティングによって観察されたSOX2発現の急落を反映せず、それは、恐らく各々における標的外抗体読出を示し、scウエスタンブロッティングによって予測されたSOX2の分子量における比較的高い誤差によって更に証明された。
考察
数千の単一細胞の標的化プロテオーム解析が可能である単一細胞ウエスタンブロッティングを、本明細書で開示する。scウエスタンブロットは、免疫細胞化学およびフローサイトメトリーなどの基本的な細胞プロセスを調査するためのハイスループット単一細胞プロテオームツールにおいて使用を見出す。既存のタンパク質分析ツールが試薬特異性への共通の脆弱性に悩むのに対して、分離ステップと免疫プロービングステップとの両方を含むことにより、scウエスタンブロッティングにおいてこの脆弱性が減少する。免疫蛍光検出読出が標的分子量などの二次的特徴のアッセイによって補充されるため、scウエスタンブロットはアッセイの偽陽性率の減少を促進する。scウエスタンブロッティングはまた、上流の機能的または形態学的スクリーニングを統合するワークフローにおける希少一次細胞の分析から、特異性評定についての抗体ライブラリスクリーニング、薬剤への応答における細胞間変動の定量化(例えば、循環腫瘍細胞などの希少細胞)まで、多種多様な研究においても使用を見出す。最後に、ここで詳述するscウエスタンブロットは、複雑なマクロからミクロへの接続および流量制御スキームの意図的な欠如のために、幅広い採用に対して設計される。
表2。培養プレートおよびマイクロウェル内ICCによって、および分化0日目および6日目の図4Cに示すfからの単一細胞scウエスタンブロット蛍光データにおける技術的ノイズレベルに設定された閾値によって、マーカ陽性として採点した細胞のパーセンテージ(±SD、n=3技術的複製、反復当たり100個超の細胞を採点)。太字になっている神経細胞(βIIITUB)および星細胞(GFAP)の終点数が目的とするものである。

実施例3
マイクロウェルの円形配列を含むポリマー分離媒体
図32に示される通り、マイクロウェルの円形配列を有するポリマー分離媒体を含んだ本開示に従う装置を使用して実験を行った。装置は、2つのパターン化したポリアクリルアミドゲル(PAG)スライドを含んだ(図32)。底部PAGは、異なるサイズの細胞を捕捉するために平面で傾斜したマイクロウェルで囲まれた直径12mmの中心ウェルでパターン化した(図33)。直径8mmの貯留ウェルを、マイクロウェルを用いずに上部PAG中でパターン化し、2つのPAGスライドを共に「サンドイッチ」して、細胞を閉じ込めるための密封チャンバを創出した。細胞および緩衝液を、上部PAG中の中心注入口へと注入した。堆積した溶液は最初、8mmウェルの辺部と12mmウェルの辺部との間の空隙に移動し(図32−青色色素、例えば、外側の陰影の付いた環)、その後、より小さいウェル中の空間を充填した(図32−緑色色素、例えば、中心の陰影の付いた領域)。この充填は、細胞を側部のマイクロウェルに近接するように位置付け、空隙を創出し、それを通してチャンバが緩衝液または他の溶液で充填された。遠心力を使用して、細胞をマイクロウェル中に活発に位置付けた。装置により、細胞は、後続のタンパク質分離のためにすぐにマイクロウェル中に沈降した。PAGスライドを分離し(図36Aおよび36B)、目的とするタンパク質についてプローブした。図34は、細胞タンパク質の分析のためのワークフローの概略図を示す。
主題の装置の実施形態は、細胞集団の単一細胞タンパク質分析を提供する(例えば、循環腫瘍細胞または幹細胞)希少細胞集団)。これらの希少細胞集団は、細胞消失を防止するために特別な取扱を必要とし得る。ポリスチレンビーズで試験した場合、4000RPMまたは約112gで2分回転させたとき、主題の装置の実施形態の捕捉率は約90%であった(図35)。装置のマイクロウェルおよび密封チャンバへの細胞の迅速な沈降は、処理中に細胞を保護することで、細胞死の減少を促進した。主題の装置の実施形態は、目的とするタンパク質(例えば、細胞内タンパク質)の分析を促進する。単一細胞レベルでのタンパク質の分析は、細胞挙動における変動の検出を促進し得る。
本開示の実施形態は、次の付記によって更に説明されるが、それらに限定されない。

1.装置であって、
複数のマイクロウェルを含むポリマー分離媒体を含み、該ポリマー分離媒体が、適用刺激を適用すると該分離媒体中の1つ以上の対象試料成分に共有結合する官能基を含む、装置。

2.該ポリマー分離媒体の表面に接触する固体支持体を更に含み、該装置が、該ポリマー分離媒体および該固体支持体のうち1つ以上の一部分を通過する少なくとも1つのチャネルを含む、付記1に記載の装置。

3.該マイクロウェルが、該ポリマー分離媒体中でマイクロウェルのアレイとして配列される、付記1または付記2に記載の装置。

4.該マイクロウェルが、該ポリマー分離媒体の表面上にある開口端部、および該ポリマー分離媒体中にある反対の閉口端部を含む、前述の付記のいずれかに記載の装置。

5.該ポリマー分離媒体が、外周部上に位置付けられ、かつ中心ウェルと流体連通している複数のマイクロウェルを含む該中心ウェルを含む、付記1に記載の装置。

6.各マイクロウェルが、該中心ウェルと流体連通している開口端部、および該ポリマー分離媒体中にある反対の閉口端部を含む、付記5に記載の装置。

7.該マイクロウェルが、該中心ウェルの実質的に全外周部の周りに配列される、付記5または付記6に記載の装置。

8.該ポリマー分離媒体を保持する固体支持体を更に含み、該装置が、該ポリマー分離媒体および該固体支持体のうち1つ以上の一部分を通過する少なくとも1つのチャネルを含む、付記5に記載の装置。

9.該ポリマー分離媒体が、適用刺激を適用すると該分離媒体中の1つ以上の対象試料成分に共有結合する官能基を含む、付記5に記載の装置。

10.該ポリマー分離媒体が、100個以上のマイクロウェルを含む、前述の付記のいずれかに記載の装置。

11.該マイクロウェルが、単一細胞を収容するように寸法決定される、前述の付記のいずれかに記載の装置。

12.該マイクロウェルの該開口端部が、該マイクロウェルの該閉口端部を上回る幅を有する、付記4または6に記載の装置。

13.該ポリマー分離媒体が、ゲルを含む、前述の付記のいずれかに記載の装置。

14.該ゲルが、直方体状に成形される、付記13に記載の装置。

15.該直方体が、25〜250ミクロンの範囲の厚さを有する、付記14に記載の装置。

16.該マイクロウェルが、5〜40ミクロンの範囲の奥行き、および5〜20ミクロンの範囲の直径を有する、前述の付記のいずれかに記載の装置。

17.該適用刺激が、電磁放射線である、前述の付記のいずれかに記載の装置。

18.該電磁放射線が光である、付記17に記載の装置。

19.方法であって、
試料を、前述の付記のいずれかに記載の装置と接触させることと、
該ポリマー分離媒体に、該試料の少なくとも一部の成分を該マイクロウェルから該ポリマー分離媒体へと移動させるのに十分な様態で電場を適用して、該ポリマー分離媒体中で分離した試料成分をもたらすことと、を含む、方法。

20.該ポリマー分離媒体が、適用刺激を適用すると該分離媒体中の1つ以上の対象試料成分に共有結合する官能基を含む、付記19に記載の方法。

21.該試料が、細胞および/または細胞成分を含む、付記19または20に記載の方法。

22.該細胞を溶解して、該試料中で該細胞成分をもたらすことを更に含む、付記19〜21のいずれかに記載の方法。

23.該細胞をインキュベートして、該試料中で該細胞成分をもたらすことを更に含む、付記19〜22のいずれかに記載の方法。

24.該試料を該ポリマー分離媒体と接触させることが、該試料の少なくとも一部の成分を1つ以上のマイクロウェル中に位置付けることを含む、付記19〜23のいずれかに記載の方法。

25.該位置付けることが、試料成分を重力により受動的に沈降させることを含む、付記24に記載の方法。

26.該位置付けることが、該ポリマー分離媒体に遠心力を適用することを含む、付記24に記載の方法。

27.該配置付けることが、該ポリマー分離媒体に電場を適用することを含む、付記24に記載の方法。

28.該位置付けることが、該試料に密度勾配を適用することを含む、付記24に記載の方法。

29.該位置付けることが、該試料の少なくとも一部の成分を、マイクロピペットまたはノズルを使用して、1つ以上のマイクロウェルに導入することを含む、付記24に記載の方法。

30.該位置付けることが、該試料の少なくとも一部の成分を、光ピンセットを使用して、1つ以上のマイクロウェルに導入することを含む、付記24に記載の方法。

31.該位置付けることが、該試料に磁場を適用することを含み、該試料中の該成分の少なくとも一部が、磁気ビーズに結合する、付記24に記載の方法。

32.該位置付けることが、該試料に対流を適用することを含む、付記24に記載の方法。

33.該位置付けることが、異なる形状および/またはサイズのマイクロウェルを使用する、サイズ選択沈降を含む、付記24に記載の方法。

34.該試料の少なくとも一部の成分が、液滴中に含有され、該位置付けることが、該液滴を該マイクロウェルに導入することを含む、付記24に記載の方法。

35.該ポリマー分離媒体中の該試料成分を、該試料成分のサイズに基づいて分離することを更に含む、付記19〜34のいずれかに記載の方法。

36.該ポリマー分離媒体中の該試料成分を、該試料成分の等電点に基づいて分離することを更に含む、付記19〜34のいずれかに記載の方法。

37.該ポリマー分離媒体中の該試料成分を、該試料成分の質量対電荷比に基づいて分離することを更に含む、付記19〜34のいずれかに記載の方法。

38.該ポリマー分離媒体中の該試料成分を、該試料成分の親和性相互作用に基づいて分離することを更に含む、付記19〜34のいずれかに記載の方法。

39.該ポリマー分離媒体中で該分離した試料成分を固定することを更に含む、付記19〜38のいずれかに記載の方法。

40.該固定することが、該分離した細胞成分を該ポリマー分離媒体に共有結合させることを含む、付記39に記載の方法。

41.該分離した細胞成分が、該ポリマー分離媒体を紫外線(UV)光に露出させることによって、該ポリマー分離媒体に共有結合される、前述の付記のいずれかに記載の方法。

42.該分離した試料成分を検出することを更に含む、付記19〜41のいずれかに記載の方法。

43.該検出することが、該分離した試料成分を分析物検出試薬と接触させることを含む、付記42に記載の方法。

44.該分離した試料成分を第2の分析物検出試薬と接触させることを更に含む、付記43に記載の方法。

45.該分析物検出試薬が、標識分析物特異的結合部材を含む、付記43または44に記載の方法。

46.該標識分析物特異的結合部材が、標識抗体である、付記45に記載の方法。

47.該分離した試料成分が酵素を含み、該分析物検出試薬が該酵素の基質を含む、付記43に記載の方法。

48.該検出することが、該ポリマー分離媒体に、該分析物検出試薬を該分離した試料成分に移動させるのに十分な電場を適用することを含む、付記43に記載の方法。

49.該分析物検出試薬が、該ポリマー分離媒体の上面を通して適用される、付記48に記載の方法。

50.該分析物検出試薬が、該ポリマー分離媒体の側面を通して適用される、付記58に記載の方法。

51.該分析物検出試薬を、該ポリマー分離媒体から除去することを更に含む、付記43〜50のいずれかに記載の方法。

52.該ポリマー分離媒体中の該分離した試料成分を、分析物検出試薬と再接触させることを更に含む、付記51に記載の方法。

53.該ポリマー分離媒体を脱水することを更に含む、付記19〜52のいずれかに記載の方法。

54.該脱水したポリマー分離媒体を、長期間貯蔵することを更に含む、付記53に記載の方法。

55.該ポリマー分離媒体を再水和することを更に含む、付記54に記載の方法。

56.該ポリマー分離媒体を分析物検出試薬と接触させることを更に含む、付記55に記載の方法。

57.該ポリマー分離媒体を撮像して、該分離した細胞成分の画像をもたらすことを更に含む、付記19〜56のいずれかに記載の方法。

58.該分離した細胞成分の該画像から、特定の細胞成分を識別することを更に含む、付記57に記載の方法。

59.該ポリマー分離媒体が実質的に一様である、前述の付記のいずれかに記載の装置。

60.該ポリマー分離媒体が、該ポリマー分離媒体の、細孔径、pH勾配、または官能基化のうちの1つ以上に関して非一様である、前述の付記のいずれかに記載の装置。

61.前述の付記のいずれかに記載の装置と、
該装置を包む包装と、を含む、キット。

62.分析物検出試薬を更に含む、付記61に記載のキット。

上述の実施形態は、理解を明確にする目的のために解説および例という方法によって詳細に説明されたが、ある特定の変更および改変を、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、それに行い得ることは、本開示の教示を踏まえて当業者には明白である。本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定的とは意図されないことも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値および下限値の間の各介在値(文脈が別途明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1まで)、ならびにその表示範囲の任意の他の表示値または介在値が本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値および下限値は、より小さい範囲内に独立して含まれてもよく、表示範囲内の任意の具体的に除外された値に従って本発明内にも包含される。表示範囲がそれらの上限値および下限値のうちの1つまたは両方を含む場合、それら含まれる上限値および下限値のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
本明細書で引用される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が、参照により組み込まれることを具体的および個別に示され、刊行物の引用が関連する方法および/または物質を開示および説明するために参照によって本明細書に組み込まれるかのごとく、参照により本明細書に組み込まれる。一切の刊行物の引用は、出願日前にそれを開示するためであり、本発明が、先行発明が原因でそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の出版日とは異なる場合があり、別々に確認する必要があり得る。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数指示対象を含むことに留意する。特許請求の範囲が一切の任意的要素を除外するように作成されてもよいことに更に留意する。そのため、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連した「単に」、「のみ」などの排他的な専門用語の使用のため、または「否定的な」制限の使用のための先行記述となるよう意図される。
本開示を読めば当業者には明らかであろうが、本明細書で記載および解説される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいかなるものの特徴からも容易に分離されるか、またはそれらと組み合わされ得る、個別の部分および特徴を有する。一切の列挙される方法は、列挙される事象順で、または倫理的に可能な任意の他の順序で、実行することができる。
したがって、前述のものは、単に本発明の原理を例示する。当業者であれば、本明細書で明確に記載または示されなくても、本発明の原理を具現化し、その趣旨および範囲内に含まれる、種々の構成を考案することができるであろうことが、理解されるであろう。更に、本明細書に列挙される全ての例および条件語句は、本発明の原理、および技術分野を拡大するために発明者が寄与した概念を読者が理解するのを助けることを主に意図し、そのような具体的に列挙される例および条件に対して非限定的であると解釈されるべきである。その上、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの特定の例を列挙する本明細書の全ての記述は、その構造的均等物および機能的均等物の両方を包含することが意図される。加えて、そのような均等物は、現在知られている均等物および将来開発される均等物、すなわち、構造に関わらず、同一の機能を果たす、開発される一切の要素を含むことが意図される。本発明の範囲は、故に、本明細書に示され記載される例示的な実施形態に限定されるとは意図されない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。



  1. 装置であって、
    複数のマイクロウェルを含むポリマー分離媒体を含み、前記ポリマー分離媒体が、適用刺激を適用すると前記分離媒体中の1つ以上の対象試料成分に共有結合する官能基を含む、
    前記装置。

  2. 前記ポリマー分離媒体の表面に接触する固体支持体を更に含み、
    前記装置が、前記ポリマー分離媒体および前記固体支持体のうち1つ以上の一部分を通過する少なくとも1つのチャネルを含む、
    請求項1に記載の装置。

  3. 前記マイクロウェルが、前記ポリマー分離媒体中でマイクロウェルのアレイとして配列される、
    請求項1に記載の装置。

  4. 前記マイクロウェルが、前記ポリマー分離媒体の前記表面上にある開口端部、および前記ポリマー分離媒体中にある反対の閉口端部を含む、
    請求項3に記載の装置。

  5. 前記ポリマー分離媒体が、外周部上に位置付けられ、かつ中心ウェルと流体連通している複数のマイクロウェルを含む前記中心ウェルを含む、
    請求項1に記載の装置。

  6. 各マイクロウェルが、前記中心ウェルと流体連通している開口端部、および前記ポリマー分離媒体中にある反対の閉口端部を含む、
    請求項5に記載の装置。

  7. 前記マイクロウェルが、前記中心ウェルの実質的に全外周部の周りに配列される、
    請求項5に記載の装置。

  8. 前記ポリマー分離媒体が、100個以上のマイクロウェルを含む、
    請求項1〜7のいずれかに記載の装置。

  9. 前記マイクロウェルが、単一細胞を収容するように寸法決定される、
    請求項1〜8のいずれかに記載の装置。

  10. 前記マイクロウェルの前記開口端部が、前記マイクロウェルの前記閉口端部を上回る幅を有する、
    請求項4または6に記載の装置。

  11. 方法であって、
    試料を、請求項1〜10のいずれかに記載のポリマー分離媒体と接触させることと、
    前記ポリマー分離媒体に、前記試料の少なくとも一部の成分を前記マイクロウェルから前記ポリマー分離媒体へと移動させるのに十分な様態で電場を適用して、前記ポリマー分離媒体中で分離した試料成分をもたらすことと、
    を含む前記方法。

  12. 前記試料が、細胞および/または細胞成分を含む、
    請求項11に記載の方法。

  13. 前記細胞を溶解して、前記試料中で前記細胞成分をもたらすことを更に含む、
    請求項12に記載の方法。

  14. 前記細胞をインキュベートして、前記試料中で前記細胞成分をもたらすことを更に含む、
    請求項12に記載の方法。

  15. 前記ポリマー分離媒体中で前記分離した試料成分を固定することを更に含む、
    請求項11〜14のいずれかに記載の方法。

  16. 前記分離した試料成分を検出することを更に含む、
    請求項11〜15のいずれかに記載の方法。

  17. 前記検出することが、前記分離した試料成分を分析物検出試薬と接触させることを含む、
    請求項16に記載の方法。

  18. 前記分離した試料成分を第2の分析物検出試薬と接触させることを更に含む、
    請求項17に記載の方法。

  19. 前記ポリマー分離媒体を撮像して、前記分離した細胞成分の画像をもたらすことを更に含む、請求項11〜18のいずれかに記載の方法。

  20. 請求項1〜10のいずれかに記載の装置と、
    前記装置を包む包装と、
    を含むキット。

 

 

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