細胞培養方法

 

本発明は、幹細胞又は前駆細胞培養方法に関する。より正確には、本発明は、細胞培養培地中の成分又は細胞培養表面材料上のコーティングとして1種以上のIαI(インターαトリプシンインヒビター又はインターαインヒビター)タンパク質又はその一部を使用する細胞培養方法に関する。さらに、本発明は、1種以上のIαIタンパク質又はその一部を備える細胞培養培地及び細胞培養コーティング/マトリックスに関する。
【選択図】図1

 

 

本発明は、細胞培養方法に関する。より正確には、本発明は、細胞培養培地中の成分又は細胞培養表面材料上のコーティングとして1種以上のIαI(インターαトリプシンインヒビター又はインターαインヒビター)タンパク質又はその一部を使用する細胞培養方法に関する。さらに、本発明は、1種以上のIαIタンパク質又はその一部を備える細胞培養培地及び細胞培養コーティング/マトリックスに関する。
多能性幹(PS)細胞、例えば、胚性幹(ES)細胞及び人工多能性幹(iPS)細胞は、長期培養中に多分化能を維持する能力を有し、複数の分化系列への分化をなお誘導するので、例えば、基礎研究、毒性学的スクリーニング、遺伝障害のインビトロモデリング又は治療的細胞置換のための新規な細胞供給源を潜在的に提供する。これらのエンドポイントを完全に実現することができるまで、克服すべき多くの障害がまだ存在する。例えば、細胞を培養するのが困難なこれらの、自己再生を維持しながら、安全で、単純で、堅牢な誘導、成長、維持及び大規模拡大を支持する培養条件を見つけることが必要である。インビトロでヒトPS細胞を維持する方法の必要性が特に重要である。これらの方法は、突然変異誘発、高レベルの分化又は多分化能の喪失を誘導することなく細胞集団を維持するのに十分に優れていなければならない。
マウスES細胞が、例えば、正常な及び病理学的な発達及び機能を研究するための基礎研究に広く使用されており、これらの細胞を用いて得られた知識がしばしばヒトの系に移行されている。今日使用されているほとんどのマウスES(mES)細胞株は、ウシ胎児血清(FBS)及び白血病阻止因子(LIF)の選択されたバッチを補足された培地において予め播種された(pre−plated)有糸分裂的に不活性なマウス胚線維芽細胞(MEF)フィーダー細胞上で成長させられる。フィーダー細胞は、mES細胞付着を支持し、mES細胞成長の生存及び増殖を強化する種々の成長因子を分泌するマトリックスを提供する一方で、FBSはホルモン及び必須栄養素を提供する、並びに培地の生理学的/生理化学的特性を変化させる。LIFは、mES細胞の多分化能の誘導及び維持を劇的に改善する。いくつかのmES細胞株を誘導及び馴化させて血清及びLIF含有培地中0.1%ゼラチンコーティング(コラーゲン中に存在し、ウシ皮膚から抽出した高平均分子量の水溶性タンパク質の不均質混合物)上でフィーダーフリー(feeder−free)で成長させた。これらの両細胞培養プロトコルは、その成分(すなわち、FBS、ウシ血清アルブミンすなわちBSA、ゼラチン)の多くのが定義されておらず、動物由来であるという欠点を有する。例えば、FBSは種々の成長因子及びES細胞成長を促進する他の未定義の成分を含むが、mES細胞播種効率、成長及び分化に影響を及ぼし得る潜在的な分化因子を含むことも示唆されている。そのため、FBSバッチをプレスクリーニング及びES適格化(ES−qualified)してmES細胞維持及び成長を持続させる血清因子の正味の効果が分化誘導因子の効果を凌ぐことを保証する必要がある。今度はフィーダーが制御できない過剰の因子を分泌し、病原体汚染の可能な源となる。
ES細胞が実際に受ける因子の制御を改善するため、及び望ましくない因子からの干渉を回避するために、いくつかのより新しくより定義されたプロトコルが確立されている。2003年に、無血清及びフィーダーフリー培養でのmES誘導及び維持のために、BMP4をLIFと組み合わせて効率的に使用することができることが示された(Qi,Li et al.2004)。2004年に、化学的に定義された(正確な配合は記載されていない)合成ノックアウト血清代替物(knockout serum replacement)(KOSR)が開発されて血清に取って代わった。しかしながら、KOSRはフィーダーの非存在下では単独でmES単一細胞培養を支持することができない。2008年に、mESを、本明細書ではESN2培地と呼ばれる、LIF及びbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)を含むN2補足培地中で自由浮動性球として血清及びフィーダー細胞の非存在下で維持することができることが示された(Andang,Moliner et al.2008、Moliner,Enfors et al.2008)。
近年、B27及びN2補足培地(本明細書では2i培地と呼ばれる)に添加される、2種の阻害剤、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)/細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)キナーゼ(MEK)阻害剤PD0325901及びグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)阻害剤CHIR99021が補足された別の定義された培地が、外因性因子を添加することなくmES細胞自己再生を維持することが示された(Ying,Wray et al.2008)。2i培地で培養されたマウスES細胞はLIFになお応答し、これによりクローニング効率及び増殖速度が増強される。この培養プロトコルの欠点は、血清の非存在下で、細胞が組織培養プレートに接着せず、その代わりに自由浮動性球として成長し(Tamm,Pijuan Galito et al.2013)、さらに、mES細胞の成長速度が低下するということである。
ヒトPS(hPS)細胞及びその分化細胞は、最も一般的にはフィーダー層(マウス由来、典型的にはMEFとヒト由来、典型的にはヒト包皮線維芽細胞すなわちHFFの両方)、Matrigel(登録商標)(エンジェルブレス−ホーム−スワーンEHS腫瘍の可溶性基底膜抽出物)、ノックアウト血清代替物(KOSR)及び/又はBSAなどの誘導体などの動物由来成分を含む表面又は培地の存在下で培養される。培養環境に添加されるこれらの動物由来試薬は、細胞を潜在的に有害なウイルス又は他の感染性因子にさらし、これが患者に移される又はhPS細胞の一般的な培養及び維持を損ない得る。さらに、このような生物由来物質は、バッチ変動、免疫応答及び限られた貯蔵寿命を受けやすく、細胞を他の種由来の分子にさらすことにより、細胞を細胞療法に使用するつもりである場合、レシピエントの免疫応答を生み出し得る変化ももたらされる。
現在まで、化学的に定義された培地及び合成の又は定義された表面を使用したいくつかの完全な組換え、異種由来成分不含系が記載されてきた。ヒトPS細胞培養における直近の成功は、hiPS細胞誘導及びさらにはMatrigel(登録商標)又はビトロネクチン系表面での培養成功を支持することができる、8種の異なる化学成分を含むだけのE8と呼ばれる化学的に還元され、完全に定義された培地を記載する2011年のNatureの方法で公開された(Chen,Gulbranson et al.2011)。それでも、定義された培地を用いても異なる細胞株及び異なる実験室で異なる結果が得られ、最も広く使用されているプロトコルはまだ、hPS細胞ではMatrigel(登録商標)とmTESR1(登録商標)(FBSから精製されたBSAを含む)の組み合わせであり、mES細胞ではゼラチンコーティングとFBSが補足された培地の組み合わせである。さらに、hPS細胞は、ROCK阻害剤分子(すなわち、Y−27632)(Watanabe,Ueno et al.2007)の存在下でなければ単一細胞として継代することができず、慣用的な継代のために、多能性幹細胞のための細胞外環境の重要な役割であると分かっている、穏やかな解離技術によりクランプで継代する必要がある。
未分化、非突然変異、多能性幹細胞の成長及び維持に必要な全ての異なる成分を理解することが依然として急務である。特にヒトPS細胞株にとって最適な維持のための細胞外マトリックス(ECM)と培地因子の正しい組み合わせを得ることが重要であり、さもないと、細胞は低い付着、生存及び増殖速度並びに高レベルの分化を示す。
細胞生存及び増殖速度のために、細胞培養のための現在のプロトコルは、細胞培養培地にFBS又はBSAなどの誘導体をまだ使用しているので、細胞、培養条件又は多分化能を損なわない改善した無血清プロトコルが依然として必要とされている。
国際公開第2008002329号
本発明で、発明者らは、細胞接着及び長期細胞培養生存性を促進する因子を見出した。より正確には、本発明は、目立った分化も核型異状も誘導することなく、部分的又は完全に化学的に定義された培地の存在下で、少なくとも20回の継代にわたる多能性幹細胞の細胞接着並びに長期培養、維持及び成長のための表面コーティング及び/又は培地添加剤としての、インターαトリプシンインヒビター(IαI)ファミリータンパク質又はその一部、特に、HC2(重鎖2)の新規な使用を提供する。
したがって、第1の態様では、本発明は、IαI(インターαトリプシンインヒビター)タンパク質ファミリー又はその一部の1種以上のタンパク質を細胞の無血清培養に添加するステップを含む、幹細胞又は前駆細胞培養方法を提供する。好ましくは細胞が幹細胞である。本発明による添加は、自己再生、付着、生存、及びPS細胞の場合には、多分化能も促進する。IαIタンパク質又はその一部は、血清から単離、組換えタンパク質として作製又は化学的に合成される。
好ましくは細胞が付着細胞であり、好ましい実施形態では、細胞がPS(多能性幹)細胞であり、ES(胚性幹)細胞又はiPS(人工多能性幹)細胞であってもよい。本発明の一実施形態では、細胞がヒトである。
好ましくは、IαIタンパク質又はその一部がIαI(IαIHC1、IαIHC2及びビクニン)又はIαIH2,Bから選択される。IαIの重鎖2(HC2)などのIαIタンパク質の重鎖を使用してもよい。
PS細胞の場合、細胞培養が無血清であることが好ましい。
一実施形態では、IαIタンパク質又はその一部が、コーティング剤として、プラスチック、担体、足場、マトリックス又はメッシュなどの細胞培養表面上にコーティングされる。
別の実施形態では、IαIタンパク質又はその一部が、無血清細胞培養培地に添加される。
IαIタンパク質又はその一部の濃度は、0.1μg/ml〜200μg/ml、好ましくは2〜100μg/ml、最も好ましくは10〜50μg/ml培養培地又はコーティング溶液である。
本発明による方法は、細胞の分化も突然変異も誘導することなく、少なくとも20回の継代の間の細胞培養に適している。細胞培養後、PS細胞を、例えば、細胞療法、薬物スクリーニング及び毒性アッセイのために準備/提供することができる。
第2の態様では、本発明は、0.1μg/ml〜200μg/ml、好ましくは2〜100μg/ml、最も好ましくは10〜50μg/mlの濃度のIαIタンパク質又はその一部を含む細胞培養培地を提供する。好ましくは培地が無血清培養培地である。
第3の態様では、本発明は、上記濃度のIαIタンパク質又はその一部を含むコーティングを含む細胞培養表面を提供する。コーティングは0.1μg/ml〜200μg/ml、好ましくは2〜100μg/ml、最も好ましくは10〜50μg/mlのコーティング濃度の範囲で、4℃で一晩又は室温もしくは37℃で1〜2時間行われ得る。
第4の態様では、本発明は、細胞接着及び再生のためのIαIタンパク質、好ましくはIαI又はH2の使用に関する。
種々のインターαトリプシンインヒビタータンパク質又はその一部の1種以上は、多能性幹細胞、特に未分化、非形質転換、多能性幹細胞株を培養するための従前のコーティング材料に対する利点を提供する。例えば、ヒト血清のインターαトリプシンインヒビタータンパク質又はその一部の精製により、無動物成分マトリックスが提供され、第IX因子の商業的製造からの副分画(side fraction)の使用により、プロセスが比較的単純かつ経済的になる。しかしながら、IαIの部分の一部を組み換え的に発現又は化学的に合成してこれらを完全に定義することもできるだろう。
化学的に定義された表面上で未分化細胞を培養することができると、複雑な培地に典型的な動物血清成分からの余分な汚染成分が排除される。さらに、バッチ間の変動が比例する濃度の異なる成分によらないので、この変動も血清及び血清由来添加剤、例えば、血清(典型的にはFBS)、KOSR及びBSAと比べて減少する。これらの及び他の利点は、同封された図面と併せて読めば、以下の説明から理解されるだろう。
mES細胞の自己再生経路のいくつかの模式図であって、TEAD2−Yes−YAP経路へのIαIタンパク質の組み込みを示す図である。 タンパク質のIαIファミリーの概要を示す図である。 mES細胞におけるTEAD2依存転写活性に対するIαIの効果の用量反応分析を示す図である。 異なるコーティングで及び/又は異なる培地補足物を用いた2i培地で成長したmES E14細胞の付着性試験明視野像を示す図である。 非コーティングプラスチック、室温で1時間ビトロネクチンペプチド(Vitronectin XF(商標)、StemCell Technologies)でコーティングしたプラスチック、培地中10μg/mlのIαIを補足した非コーティングプラスチック及び4℃で20μg/mlのIαI−HC2 ONでコーティングしたプラスチック上のE8培地中のヒトiPS細胞株K02Cの付着性試験明視野像を示す図である。 2i培地、2%FBSを補足した2i培地及びIαI 10μg/mlを補足した2iで3回の継代にわたって成長したmES細胞株E14についての倍加時間を示す図である。 2つの異なる条件:ビトロネクチンコーティング(Vitronectin XF(商標)、StemCell Technologies)で16回の継代及び20μg/mlのIαIを補足した非コーティングプラスチックで14回の継代で、最小E8培地中での成長に適合させたヒトPS細胞株K02Cの明視野顕微鏡像を示す図である。 播種3日後のTeSR(商標)−E8(商標)培地中増加する濃度のIαIを用いた非コーティングプラスチックウェル上に付着したアルカリホスファターゼ陽性K02C hiPS細胞コロニーを示す図である。
新規なキナーゼ経路が、マウス胚性幹(mES)細胞による自己再生及び多分化能の維持に関与していることが従前報告されている(Tamm,Bower et al.2011)。手短に言えば、SrcキナーゼYesが活性化され、今度はこれが細胞質Yes関連タンパク質(YAP)を活性化し、YAPが核に入り、TEAD2と転写複合体を形成し、他の十分に記載されているOct3/4及びNanogなどの自己再生及び多分化能因子の転写を活性化する、LIF受容体の下流の新規な経路が発見された(図1)。
本発明者らは、FBSもTEAD2依存転写活性を活性化することができることを見出した。分割技術のセットを通して、TEAD2依存転写を活性化する血清中の一成分をどうにか同定した。単離タンパク質をインターαトリプシンインヒビター(Iα)ファミリーの成分:ITIH2又はIαI重鎖2(HC2)として同定した。
IαIタンパク質ファミリーは、コンドロイチン硫酸(CS)鎖によって結び付けられている5種類の重鎖:HC1、HC2、HC3、HC4及びHC5(この最後の2種は複合体を形成することが分かっておらず、血清中でペプチドとして単独で見つかっているに過ぎない)とkunitzドメインプロテアーゼ阻害剤ビクニン(Bk)の交互の組み合わせの結果として、血清中極めて高濃度で(ヒトにおいて0.6〜1.2mg/ml)恒常的に生じるタンパク質−グリコサミノグリカン−タンパク質(PGP)複合体の複雑なグループである(Josic,Brown et al.2006)。IαIタンパク質ファミリーの2つの最も一般的なメンバーはIαI(HC1、HC2及びBk)及びプレαインヒビター((PαI、HC3及びBk)であるが、IαIH2(HC2、Bk)、IαIH4P(HC4のみ)及びBk単独でも血漿中に見られ得る(図2)。
IαIタンパク質は肝臓で主に産生され、プロペプチドがゴルジで処理され、組み立てられて、次いで、血流に分泌される。IαIタンパク質複合体は、その標的組織に到達し、腫瘍壊死因子遺伝子関連タンパク質6(TSG−6)によって切断されるまではまだ大部分が不活性である。TSG−6がコンドロイチン硫酸鎖とのHC共有結合を切断し、HCとの一過性の共有結合を形成して、これを最終的にヒアルロナン(HA)、細胞外マトリックスの共通部分に移す。ビクニンドメインはTSG−6と一体となってタンパク質分解活性が増加し(Wisniewski,Hua et al.1996)、トリプシン、キモトリプシン、プラスミン、カテプシンG、アクロシン及び白血球エラスターゼに対するIαIのプロテアーゼ阻害活性を単独で担う。ヒアルロナンは、反復二糖:(1−β−4)D−グルクロン酸及び(1−β−3)N−アセチル−D−グルコサミンでできた長い、直鎖状の、非硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)である。ヒアルロナンも、胚発生(Schoenfelder and Einspanier 2003)、組織構成(Trochon,Mabilat et al.1996、Itano,Atsumi et al.2002)、創傷治癒(Pienimaki,Rilla et al.2001、Baier Leach,Bivens et al.2003)、血管新生(West,Hampson et al.1985)、腫瘍化(Toole and Hascall 2002)及びおそらくは組織の生体力学的特性においてさえ重要な要素として記載されている。さらに、HAが細胞表面受容体と会合し、細胞運動及び接着を調節するのを助け得ることが周知である(Zhu,Mitsuhashi et al.2006、Block,Hansen et al.2011)。IαI−HCは、HAと共有結合することが明確に証明されている唯一のタンパク質である。組織中のHA繊維に結合することによって、HCは細胞のニッチを修飾するので、例えば、接着、炎症及びECM形成で役割を果たすことができる。いくつかの研究により、IαIタンパク質が炎症の制御及び細胞外マトリックスの安定化において重要な役割を果たすだけでなく、細胞に添加するとHAに富む細胞外マトリックスの産生及び分泌を誘導することもできることが示唆されている。
本発明によると、IαIがPS細胞培養にとって重要であることが分かった。半定義(semi−defined)培地2i並びにLIF及びFGFbを含む完全に定義された懸濁培地ESN2を用いると、mES細胞は浮動性球で及び血清含有条件よりも遅い速度で成長する。さらに、従来のコーティング表面ゼラチン、フィブロネクチン及びコラーゲンを使用した場合、2i又はESN2培地中のマウスES細胞は付着せず、自由浮動性球として成長し続けた(図4)。2%FBSを添加することにより、細胞が好ましい密なコロニーでプラスチック表面に接着し、倍加時間が加速される。本発明者らは、対応する(10μg/ml)又はそれより少量のIαIの添加によっても、無血清2i培地でmESコロニーとプラスチック表面の接着が達成され、2i培地単独と比べて増殖速度が増加することを見出した(図4及び図6)。
4つのヒトPS細胞株についても完全組換え、無血清培地TeSR(商標)−E8(商標)を用いた場合の付着について試験した。1回の継代のE8馴化をmTeSR(商標)1からTeSR(商標)−E8(商標)(StemCell Technologies)に段階的に行った後、異なる条件を用いて細胞を播種した。図4は、ヒトiPS細胞株K02Cにおける付着データを示している。陰性対照は、補足物を商業的TeSR(商標)−E8(商標)培地に添加しない場合、非コーティングプレートへの付着を示さないが、ビトロネクチンペプチド(Vitronectin FX(商標)、StemCell Technologies)を用いてコーティングしたプラスチック皿上に落ち着く。ヒトiPS細胞株K02Cも、20μg/mlのIαI−HC2を用いてコーティングしたプラスチック皿上に落ち着く。さらに、培地に10〜50μg/mlに及ぶ濃度のヒトの精製した完全な分子IαIを補足することによっても、非コーティングプラスチック皿へのヒトiPS細胞の付着が誘導された(図4)。ヒトES細胞株H181及びH207(Dr.Outti Houvattaにより親切に提供された)並びにHUES1(Dr.Douglas A.Meltonより親切に提供された)は、同じ条件下で同じ付着挙動を示し、20μg/mlのIαIが補足されたTeSR(商標)−E8(商標)培地で5回の継代にわたって培養した場合に多分化能並びにコロニー形態を維持した。
本発明によると、IαIは、PS細胞のECMの一部を形成し、細胞外マトリックス形成及び/又は再構築を含む、特性又はニッチを修飾し得る。また、付着を促進し、インビトロでの細胞生存及び増殖にとって良好な環境を提供するために、IαIを定義された培養に添加してもよい。IαIは細胞と結合し、その環境からのシグナル伝達を修飾し、継代後の生存並びに自己再生及び多分化能の維持を改善する。
血清分画及び同定TEAD2依存転写活性化における活性分画
従前前記のように(Lei at al,2008)、ウシ胎児血清(FBS)を最初に穏やかなアセトニトリル(ACN)沈殿で処理してその担体からより小さいタンパク質を分離した。手短に言えば、FBSを30%V/VのddH2O及び20%V/Vのアセトニトリル(ACN)を添加して希釈し、15分間40℃に加温した。次いで、混合物を14000xgで10分間遠心分離して不溶性物質を沈殿させた。前記のように(Arakawa et al,2007)、修正したブルーセファロースクロマトグラフィー精製のために、上清を結合バッファーに希釈した。手短に言えば、希釈したFBS4mlを、平衡化ブルーセファロースカラム(GE Healthcare)に添加する前に、飽和硫酸アンモニウム溶液(SAS)4ml及び結合バッファー(20mMリン酸緩衝液、2M硫酸アンモニウム、pH7)24mlを添加してさらに希釈した。その後、カラムを20mMリン酸緩衝液pH7で洗浄して全ての結合したウシ血清アルブミン(BSA)を除去し、最初に20mMリン酸緩衝液と2M NaCl pH7で、次いで、20mMリン酸緩衝液1Mアルギニン(Arg)pH7でさらに溶出した。
溶出した分画、溶出液1及び溶出液2を濃縮し、Vivaspin 6カラム(GE Healthcare)を用いてPBSに対して透析し、次いで、無血清培地中E14 mES細胞に添加し、ルシフェラーゼアッセイを用いてTEAD2依存転写活性を評価した。E14 mES細胞株を血清含有培地及びゼラチンコーティングプレートにおいて24ウェルプレート中に播種し、70〜80%コンフルエンス(confluence)まで一晩成長させた。次いで、製造業者の推奨に従ってLipofectamine(商標)2000(Life−Technologies)を用いて細胞をOPTI−MEM無血清培地(Life Technologies)中37℃5%CO2で4時間トランスフェクトし、その後、無血清GMEM系培地を添加してトランスフェクションを停止した。細胞をpCS GT−IIC−ルシフェラーゼ(GTIIC)(Jiang and Eberhardt 1995)及び細菌のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むpCMV β−gal基準プラスミドでトランスフェクトした。24時間血清飢餓にした後、細胞を無血清培地に希釈した異なる溶出分画に暴露し、ルシフェラーゼアッセイを用いてTEAD2依存転写活性を測定した。細胞を溶解し、マイクロプレートルミノメータ及び光度計リーダー(Wallac VICTOR 1420 Multilabel Counter:Perkin Elmer)でルシフェラーゼ及びβ−ガラクトシダーゼ活性について分析した。
第1の溶出試料(2M NaCl)が最大のTEAD2依存転写活性効果を有することが分かった(図3A)ので、従来のヘパリンクロマトグラフィー(Pharmacia AB、現在GE Healthcare)を用いてさらに分画した。手短に言えば、溶出した分画を濃縮し、Vivaspinカラム20(GE Healthcare)を用いてヘパリンクロマトグラフィー結合バッファー50mMトリスHClpH8に対して透析し、平衡化カラムにロードした。0.05−0.1−0.2−0.5−1−2M NaClの1ml体積6分画を用いて段階的に溶出を行った。再度分画を透析し、Vivaspin 6カラムを用いて細胞に適したバッファー(cell−appropriate buffer)に濃縮し、上記のようにTEAD2依存転写について試験した。SDS−PAGE10%アクリルアミドゲル及びクマシーブルー染色を用いて異なる溶出試料を分析した。TEAD2依存転写効果を、異なる分画のタンパク質パターンと比較し、2本のバンドを可能なTEAD2転写活性化分子として同定した。ゲルをMS−MALDI−TOFF分析(Ake Engstrom、IMBIM)に送り、バンドを1)インターαグロブリンインヒビターH2ポリペプチド[ウシ(Bos taurus)]及び2)α−2−マクログロブリン[ウシ]として同定した。
精製したヒトIαIを上記のように細胞で試験し、用量反応試験を行った。細胞のIαI暴露は、TEAD2転写活性化効果を有しただけでなく、この効果は5%FBSと類似の量に達する用量反応傾向にも従った。結果を、対照の平均百分率及び3連で行った少なくとも3つの独立した実験についてのSEMバーとして表し、対照の%に正規化した(対照は血清飢餓細胞について100%である)。Mac用のGraphPad Prismバージョン5.00d(GraphPad Software、サンディエゴ、カリフォルニア、米国)(*はp<0.05を表し、**はp<0.001を表し、***はp<0.001を表す)を用いてダネットの事後検定で一元配置ANOVAによって統計解析を行った(図3)。
ヒトIαIの精製
IαI並びに重鎖HC1及びHC2の単離を前記のように行った(Blom,Morgelin et al.1999)。手短に言えば、第IX因子の商業的製造からの副分画をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して透析し、不溶性タンパク質凝集体を除去するために遠心分離した。次いで、この材料を濾過し、HiPrep26/60 Sephacryl S−400 HRでのゲル濾過に供すると、95%超の純度のIαIが得られた。重鎖を遊離するために、2M NaOHをPBS中1mg/mlのIαIの溶液に添加して最終濃度0.05M NaOHとした(Enghild,Thogersen et al.1989)。室温で15分後、トリスHCl pH8.0を添加して0.25Mの最終濃度を得た。混合物を37℃で1時間インキュベートした。次いで、試料を4℃で一晩20mMリン酸ナトリウムpH7.6に対して透析し、陰イオン交換ゲル(MonoQ 5/50GL;GE Healthcare)にアプライし、同緩衝液で平衡化した。タンパク質を20mMリン酸ナトリウム、pH7.6中0から0.7M NaClの勾配100mlを用いて0.5ml/分の線流速で溶出した(Balduyck,Piva et al.1993)。分画を8%アクリルアミドSDS−PAGEゲルで分析し、引き続いてクマシーブリリアントブルーで染色した。特に指定しない限り、タンパク質濃度をUV測定によって決定した。IαI、HC1及びHC2のタンパク質部分についての吸光度係数は、以前の刊行物(Blom,Morgelin et al.1999)から得た。全タンパク質についての対応する値は、それぞれIαI、HC1及びHC2について0.60、0.47及び0.72mg-1mlcm-1である。タンパク質溶液を濃縮し、Vivaspin 20カラム(GE Healthcare Bio−Sciences AB)でPBSに対して透析し、実験に使用するまで−20℃で保存した。
2%FBS又は10μg/mlのIαIの添加により2i培地でのmES細胞の倍加時間が増加する。
E14 mES細胞を、前記のように(Smith、1991)、0.1%ゼラチン(Sigma)コーティング細胞培養皿(Corning)上、ペニシリン、ストレプトマイシン、グルタメート、ピルベート(全てLife technologies製)、β−メルカプトエタノール(Sigma)及びLIF(Millipore)を補足したGMEM系培地(Sigma)中50/50濃度の10%FBS及びKOSRにおける連続培養で維持した。細胞を、TrypLE(商標)(Life Technologies)を用いて無血清条件下で2i培地(Ying、2008 Nature)、LIF、PD0325901及びCHIR99021阻害剤(Selleckchem)を含むN2B27配合で継代した。2回の継代後、全ての細胞が浮動性球で成長していた。球を再度、TryPLE(商標)を用いて無血清状態で継代し、次いで、2i培地、2%FBSを含む2i培地及び10μg/mlのIαIを補足した2i培地に蒔いた。細胞を3回の継代にわたって成長させ、全ての継代で計数して増殖速度を評価した。補足培地は、2i培地において浮動性球で成長した細胞よりも速い増殖速度を示した。FBS補足培地は、平均15.19時間で最短の倍加時間を有した。IαI補足培地は、21.16時間という長い倍加時間を有したが、2i培地で成長した浮動性球の25.64時間よりはまだ短かった(図5)。統計解析により、異なる配合の成長速度の有意な差がさらに確認された。
胚性幹細胞用の異なる従来の表面コーティングタンパク質及び培地添加剤FBS又はIαIについての2i培地でのmES細胞の付着の評価
異なるコーティングタンパク質をPBSに希釈して10μg/mlのビトロネクチン、10μg/mlのフィブロネクチン、10μg/mlのコラーゲンI、2%FBS、25μg/mlのIαI及び50μg/mlのHC2の最終濃度にした。12ウェルプレートのウェルを37℃5%CO2で2時間、異なる溶液でコーティングした。ウェルをPBSで、ビトロネクチン、フィブロネクチン、コラーゲンI及びFBSについては3回洗浄し、IαI及びHC2については1回洗浄した。2i培地への無血清継代後、同じ数のE14 mES細胞を異なるコーティングウェルに播種した。48時間後、培地を新しいウェルに移し、新鮮な培地を古いウェルに添加し、ウェルに残っている付着細胞(上のパネル)及び上清で移される浮動性細胞球(下部パネル)の写真を撮影して付着を評価した(図4)。同様に、E14 mES細胞を、TryPLE(商標)を用いて無血清条件で2i培地から継代し、2%FBS、5μg/mlのIαI、10μg/mlのIαI又は20μg/mlのIαIを含む又は含まない2i培地に移した。対照細胞を2i培地のゼラチンコーティング(0.1%)ウェルに播種した(図4)。細胞を同様に24〜48時間成長させ、付着細胞及び上清中の浮動性球の写真を撮影した。従来のコーティングのいずれも2i培地で成長したE14 mES細胞の付着を促進しなかった、すなわち、ゼラチン、フィブロネクチン及びコラーゲンの全てがmES細胞株E14のための2i培地配合に適したコーティングタンパク質として失敗した。ビトロネクチンのみがmESコロニーの付着及び成長を支持した。2%FBSをコーティング溶液又は補足物として2i培地に添加すると、ほとんど全ての細胞が細胞培養プラスチックに付着した。プラスチックをIαI又は切断した球状部分のHC2でコーティングすると、同様に細胞が2i培地に付着した。ヒト精製IαIタンパク質を補足物として2i培地に添加すると、同様に細胞が細胞培養培地に付着した(図4)。
20回の継代にわたる2i培地でのE14 mES細胞の長期培養
2i培地で成長したE14 mES細胞株を、TryPLE(商標)を用いて無血清状態で継代し、次いで、2i培地、2i培地2%FBS又は10μg/mlのIαIを含む2i培地に蒔いた。補足培地の細胞は細胞培養プラスチックに付着したが、対照培地(2i培地のみ)は浮動性球として成長し続けた。2%FBSを含む2i培地で成長した細胞は、プレート上で細胞拡散が増加しながら高い付着比を示した。しかしながら、これらの条件下では、いくつかのコロニーがmES細胞コロニーに典型的な密なコロニー形態を喪失した。IαI補足培地で成長した細胞もプラスチックに付着したが、密なコロニー形態を喪失しなかった。培養を、自己再生及び極めて低レベルの分化を維持しながら20回の連続継代にわたって維持した。細胞がその多分化能を保持しているかどうかを調べるために、細胞を4日間懸滴(1600個細胞/滴)で胚様体を形成させ、次いで、細胞培養プラスチックに接着させ、その後、6日間分化させた。異なる培地配合間で、拍動している心筋細胞を含むEB増殖物の量の差は見られなかった。
IαI及びHC2の異なるコーティング/補足条件でのヒトPS細胞株のE8培地への付着
ヒト人工多能性幹細胞株K02C並びにヒトES細胞株H181、H207(Dr.Outi Houvattaにより親切に提供された)及びHUES1(Dr.Douglas A.Meltonより親切に提供された)を、Matrigel(登録商標)(BD Biosciences hES適格化マトリックス)及びmTERS1(登録商標)(StemCell Technologies、BSAを含む定義された培地)で慣例的に培養した。実験前に、段階的培地馴化を用いて培養をmTeSR(商標)からTeSR(商標)−E8(商標)培地に馴らし、馴化培養物をVitronectin−FX(商標)コーティング及びTeSR(商標)−E8(商標)培地(StemCell Technologies)に播種した。E8培地で成長したヒトPS細胞をROCKiY27632(StemCell Technologies)で処理し、穏やかな解離溶液(0.5M EDTA pH8.0)及びセルリフターを用いて継代して小さいサイズのコロニーを回収し、P1000を用いてピペット操作を行ってコロニーの追加の機械的破壊を行った。コロニーを、ウェルに添加したE8培地の非コーティング表面、ビトロネクチンコーティング表面(室温で1時間)、IαIーHC2コーティング表面(4℃のPBS ON中20μg/ml)及び10μg/mlのIαIを補足した非コーティング表面において12ウェルプレートで播種した。24時間後、ウェルの培地を交換し、写真を撮影して細胞付着を評価した。ヒトPS細胞は非コーティング表面に付着しなかった。ビトロネクチンコーティングを含む陽性対照は、正常なレベルのヒトPS細胞付着を達成した。IαIをE8培地に添加することにより、ビトロネクチンコーティングと同程度のヒトPS細胞の付着が刺激された。IαIーHC2コーティングウェルは、低いがビトロネクチンコーティング又はIαI補足培地と比べてまだ顕著な細胞の付着を達成した(図5)。
非コーティングプラスチックでIαIを補足したTeSR(商標)−E8(商標)培地でのヒトPS細胞の長期培養
ヒト人工多能性幹細胞株K02C並びにヒトES細胞株H181、H207(Dr.Outi Houvattaにより親切に提供された)及びHUES1(Dr.Douglas A.Meltonより親切に提供された)を、Matrigel(登録商標)(BD Biosciences hES適格化マトリックス)及びmTERS1(登録商標)(StemCell Technologies、BSAを含む定義された培地)で慣例的に培養した。段階的培地馴化を用いて培養をmTeSR(商標)からTeSR(商標)−E8(商標)培地に馴らし、馴化培養物をVitronectin−FX(商標)コーティング及びTeSR(商標)−E8(商標)培地(StemCell Technologies)に播種した。1回継代のヒトPS細胞のTeSR(商標)−E8(商標)及びVitronectin−FX(商標)への馴化後、穏やかな解離溶液(0.5M EDTA pH8.0)及びセルリフター(TPP)を用いてヒトPS細胞を継代して小さなサイズのコロニーを回収した。次いで、細胞の一部を、20μg/mlの精製IαI完全ヒトタンパク質を補足したTeSR(商標)−E8(商標)を含む非コーティングプラスチックに播種した。全4種のヒトPS細胞株が、IαIを補足した培地を含む非コーティングプラスチックに播種すると付着を示した。IαI補足又はVitronectin−FX(商標)コーティングの両方を用いた培養物を長期培養のために維持した。20μg/mlのIαIを補足したTeSR(商標)−E8(商標)の新規な培地配合は、Vitronectin−FX(商標)コーティングと組み合わせたTeSR(商標)−E8(商標)の商業的な配合と同様に20回の継代にわたってヒトPS細胞を維持した。図7は、IαI補足を用いて、コロニーがどのように14回の継代後に同じ形態を維持するかを示している。
多分化能マーカーの免疫細胞化学
免疫細胞化学及びアルカリホスファターゼ染色を用いて、多分化能マーカーについてVitronectin−FX(商標)コーティング又は20μg/mlのIαI補足でTeSR(商標)−E8(商標)上で成長するよう馴化したヒトPS細胞株及び2%FBS又は10μg/mlのIαIを補足した2i培地で成長するよう馴化したマウスES細胞を調べた。免疫細胞化学を用いてマウスES細胞でOct3/4、Nanog、Sox2を調べた。両培養条件が、分化のサインが無視できる又は全くない高レベルの多分化能マーカーを示す。単独で又はIαI−HC1及びHC2に対する抗体と組み合わせた細胞外多分化能マーカーTra−1−60、Tra−1−80及びSSEA−4について、免疫細胞化学を用いてヒトPS細胞株K02C及びH181を調べた。両培養条件が、両細胞株で多分化能マーカー発現を維持した。さらに、IαI−HC2は多分化能マーカーと類似のパターンを示し、コロニーで陽性であるもののみ多分化能マーカーについても陽性であるが、分化を開始した染色コロニーでは陽性ではなかった。結論として、IαIを培地に添加することによって、5回の継代後に、マウスとヒトPS細胞の両方での無血清培養で多分化能が維持される。
アルカリホスファターゼ染色
TeSR(商標)−E8(商標)及びVitronectin−FX(商標)コーティング上で成長するよう馴化したヒトPS細胞株H181及びK02Cを、0.5M EDTA pH8.0及びセルリフターを用いて播種し、小さいコロニーを、異なる濃度のヒト精製IαI完全タンパク質を補足したTeSR(商標)−E8(商標)培地を用いて12ウェルプレートに播種した。2日又は3日の成長後、多能性ヒトPSコロニーを視覚的に検出するために、アルカリホスファターゼキット(Life Technologies)を用いて細胞を染色した。高濃度のIαIが、高いヒトES細胞の付着及び成長速度を達成した(図8)。
参考文献
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  1. IαI(インターαトリプシンインヒビター)タンパク質ファミリー又はその一部の1種以上のタンパク質を細胞の培養に添加するステップを含む、幹細胞又は前駆細胞培養方法。

  2. 前記IαIタンパク質又はその一部が、血清から単離、組換えタンパク質として作製又は化学的に合成される、請求項1記載の方法。

  3. 前記細胞が接着細胞である、請求項1又は請求項2記載の方法。

  4. 前記幹細胞がES(胚性幹)細胞又はiPS(人工多能性幹)細胞などのPS(多能性幹)細胞である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。

  5. 前記細胞が細胞外マトリックスコーティングの非存在下で培養される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。

  6. 前記細胞がヒトである、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。

  7. 前記IαIタンパク質又はその一部がIαI又はIαIH2,Bから選択される、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。

  8. 前記細胞培養が無血清である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。

  9. 前記IαIタンパク質又はその一部がコーティング剤として細胞培養表面に添加される、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。

  10. 前記IαIタンパク質又はその一部が細胞培養培地に添加される、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。

  11. 前記IαIタンパク質又はその一部の濃度が、0.1μg/ml〜200μg/ml、好ましくは2〜100μg/ml、最も好ましくは10〜50μg/ml培養培地又はコーティング溶液である、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。

  12. 前記IαIタンパク質の重鎖が使用される、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の方法。

  13. 前記IαIタンパク質の重鎖2(HC2)が使用される、請求項12記載の方法。

  14. 前記細胞の分化も突然変異も誘導することなく、少なくとも5回の継代の間の細胞培養のための、請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法。

  15. 0.1μg/ml〜100μg/ml、好ましくは2〜40μg/ml、最も好ましくは5〜10μg/mlの濃度のIαIタンパク質又はその一部を含む細胞培地。

  16. 0.1μg/ml〜200μg/ml、好ましくは1〜100μg/ml、最も好ましくは10〜50μg/mlの濃度のIαIタンパク質又はその一部、好ましくはH2を含むコーティングを含む細胞培養表面。

  17. 細胞接着及び再生のための、IαIタンパク質、好ましくはIαI又はH2の使用。

 

 

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