(r)−3−キヌクリジノールの製造のための生体触媒法

著者らは特許

C12P17/12 - 6員環をもつもの

の所有者の特許 JP2016517690:

カンブレックス、イーエーペー、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツングCambrex Iep Gmbh

 

補因子およびオキシドレダクターゼを用いたキヌクリジン−3−オンの還元による(R)−3−キヌクリジノールの製造方法であって、該オキシドレダクターゼがアミノ酸配列モチーフMQXREXWEA(ここで、X、X、Xのそれぞれは、アミノ酸残基A(Ala)、R(Arg)、N(Asn)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、E(Glu)、G(Gly)、H(His)、I(Ile)、L(Leu)、K(Lys)、M(Met)、F(Phe)、P(Pro)、S(Ser)、T(Thr)、W(Trp)、Y(Tyr)またはV(Val)のいずれかである)を含んでなることを特徴とする方法。

 

 

発明の背景
技術分野
本発明は、NADHを補因子として使用することにより、キヌクリジン−3−オンを新規なオキシドレダクターゼと反応させることを含んでなる、高い光学純度の(R)−3−キヌクリジノール((3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オール(CAS#:25333−42−0)またはその塩(CAS#:42437−96−7)の製造方法に関する。
(R)−3−キヌクリジノール[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オール]
背景技術
(R)−3−キヌクリジノールは、広範囲の医薬の合成に有用な中間体である。製薬工業では、それは、例えば、認知力改善薬タルサクリジン、尿失禁薬ソリフェナシンまたは喘息治療用のM拮抗薬レバトロペートのためのキラルシントンとして使用される。光学的に活性なキヌクリジノールを得るために知られているものとして、金属触媒を用いた化学的還元反応(JPH9−194480A参照)、酵素的加水分解反応による(±)−3−キヌクリジノールエステルのラセミ混合物の分割(US5215918B、JPH10−136995A、JPH10−210997A、JPH9−194480A)参照、および全細胞生体触媒または単離酵素を用いたキヌクリジン−3−オンの酵素的還元(JP10243795、JP11196890、JP2002153293、JP2000245495参照)などの様々な方法がある。
金属触媒を用いた還元による光学的に純粋な(R)−3−キヌクリジノールの製造は、その還元生成物の光学純度が低く、純粋な鏡像異性体を得るためにはさらなる精製工程が必要とされることから、工業適用には十分な有効性を提供するとは言えないことが報告されている。
プロテアーゼを用いた(±)−3−キヌクリジノールエステルのラセミ混合物の分割による光学的に純粋な(R)−3−キヌクリジノールの製造もまた、反応混合物に由来する残留エステルを除去する必要とそれに伴う高コストから、工業適用に適さない。
完全生体変換を介したキヌクリジン−3−オンの酵素的還元による光学的に純粋な(R)−3−キヌクリジノールの製造は、ナカザエワエア属(Nakazaewaea)、カンジダ属(Candida)、プロテウス属(Proteus)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、スポリジオロブス属(Sporidiolobus)、ロドスポリディウム属(Rhodosporidium)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、トリコスポロン属(Trichisporon)、ゴルドニア属(Gordonia)、ノカルジア属(Nocardia)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、アルスロバクター(Arthrobacter)、フィロバシディウム属(Filobasisdium)、オーレオバシディウム属(Aureobasidium)、ヤロウイア属(Yarrowia)、ゲオトリクム属(Geotrichum)、ツカムレラ属(Tsukamurella)、クルチア属(Kurthia)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、アクレモニウム属(Acremonium)およびムコール属(Mucor)(JP10243795、JP11196890、JP2002153293、JP2000245495参照)の細胞に関して報告されている。微生物細胞に由来する不純物およびまたは微生物に含まれる他の酵素によって生じる副反応は、光学純度および生成物収量を引き下げる。
単離酵素を用いたオキシド還元による(R)−3−キヌクリジノールの製造も当技術分野で公知であり、ダチュラ属(Datura)およびヒヨス属(Hyoscyamus)の植物由来の酵素(特許JP2003230398)、ならびにロドトルラ属(JP2007124922)、バークホルデリア属(Burkholderia)(WO2010123062)およびミクロバクテリウム・ルテオラム(Microbacterium luteolum) (Int J Mol Sci. 2012 Oct 19、13(10):13542-53)由来の酵素に関して報告されている。最近、キヌクリジン−3−オンを還元するアルコールデヒドロゲナーゼが、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumerfacience)から結晶化された(Acta crystallografica 10(2012) 68 (Pt 10): 1237-1239)。
植物起源であるために、ダチュラ属およびヒヨス属由来の酵素は、工業的に製造することが難しい。ロドトルラ属およびバークホルデリア属に由来する酵素は、補因子としてのNADPHおよびNADPH再生のためのグルコースデヒドロゲナーゼを必要とし、従って、製造プロセスを極めてコストの高いものにする。
これまでに、(R)−3−キヌクリジノールの製造のための最も効率的な方法は、ミクロバクテリウム・ルテオラム由来の酵素を用いた還元プロセスに関して、(Int J Mol Sci. 2012 Oct 19;13(10):13542-53)により報告されている。ミクロバクテリウム・ルテオラム由来の酵素は、補因子としてのNADHと補因子再生のための第2級アルコールデヒドロゲナーゼを、補助基質としての2−プロパノールとともに必要とする。しかしながら、この酵素還元プロセスでは、おそらくは酵素活性に対するキヌクリジン−3−オンの阻害効果のために基質負荷率は限定される。反応バッチに基質を継続的に加え、従って、反応容器中のキヌクリジン−3−オン濃度と、付随する酵素阻害を適当なレベルに維持することによって、10%(w/v)の最大基質負荷率を達成することができた。固定化酵素を用い、15%(w/v)の基質負荷率で100%の変換収率が達成された。しかしながら、酵素の固定化は精緻なものであり、コストがかかり、反応容量にも制限を課し、工業的製造プロセスの要件に見合わない。
キヌクリジン−3−オンの還元のための既知の酵素の数は限られている。さらに、これらの酵素は市販されておらず、対応する還元プロセスは大きな欠点を持つ。従って、還元反応において生体触媒として使用される新規な組換えオキシドレダクターゼ(酸化還元酵素)を用いて(R)−3−キヌクリジノールを生産するための効率的かつ工業適用可能な方法の必要がある。
3−キヌクリジノンの工業的還元プロセスに好適なオキシドレダクターゼは、以下の要件を満たさなければならない:
1)組換え株(例えば、大腸菌(Escherichia coli))における発現に見合うこと、
2)有機溶媒中、特に、2−プロパノールおよび2−ブタノールなどの水混和性有機溶媒中での高い安定性、
3)基質または生成物の阻害により悪影響を受けることなく、高濃度の基質3−キヌクリジノンにおいて酵素活性があること、
4)酵素結合型補因子再生、特に、補助基質として第2級アルコールを用いるアルコールデヒドロゲナーゼによる補因子再生に従うこと。
本発明は、補因子と、単離されたオキシドレダクーゼ、前記オキシドレダクターゼを発現する組換え生物、または前記オキシドレダクターゼを発現する生物の調製物、例えば、その透過処理細胞、溶解細胞または凍結乾燥細胞とを用いて、キヌクリジン−3−オンまたはその塩を還元することによって(R)−3−キヌクリジノールを製造するための方法を提供する目的を持つ。オキシドレダクターゼは、
a)配列表の配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7または配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7もしくは配列番号9から、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個もしくはそれを超えるアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加により誘導された、補因子とともにキヌクリジン−3−オンを還元することができるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
c)アミノ酸の少なくとも51%が、配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一である、好ましくは、アミノ酸の少なくとも55%が配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一である、またはアミノ酸の少なくとも60%が配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一である、またはアミノ酸の少なくとも65%が配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一である、またはアミノ酸の少なくとも70%が配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一である、または好ましくは、アミノ酸の少なくとも75%が配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一である、より好ましくは、アミノ酸の少なくとも85%が配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一である、最も好ましくは、アミノ酸の少なくとも90%が配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一であり、かつ、補因子とともにキヌクリジン−3−オンを還元することができるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
d)アミノ酸の少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、もしくは少なくとも75%、もしくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%が配列番号7のアミノ酸と同一であり、かつ、補因子とともにキヌクリジン−3−オンを還元することができるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
e)配列表の配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、もしくは配列番号10のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによりコードされているポリペプチド、または
f)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、もしくは配列番号10のヌクレオチド配列の全長相補物とストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ補因子とともにキヌクリジン−3−オンを還元することができるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによりコードされているポリペプチド、または
g)アミノ酸配列モチーフMQXREXWEA(ここで、X、X、Xのそれぞれは、アミノ酸残基A(Ala)、R(Arg)、N(Asn)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、E(Glu)、G(Gly)、H(His)、I(Ile)、L(Leu)、K(Lys)、M(Met)、F(Phe)、P(Pro)、S(Ser)、T(Thr)、W(Trp)、Y(Tyr)もしくはV(Val)のいずれかである)をさらに含んでなる、a)もしくはb)もしくはc)もしくはd)もしくはe)もしくはf)に従うポリペプチド
から選択される。
好ましくは、オキシドレダクターゼは、補因子NADHまたはNADPHとともに使用される。
a)またはb)またはc)またはd)またはe)またはf)またはg)に従う本発明のポリペプチドは、キヌクリジン−3−オンをその対応する(R)−アルコールへと効率的に還元し得ることが見出された。驚くことに、本発明のポリペプチド間の配列相同性(同一性)(表1参照)は、48%〜72%まで異なっている。しかしながら、本発明のポリペプチドは、キヌクリジン−3−オンの還元におけるこれらのタンパク質の酵素活性に特徴的な特定のアミノ酸配列モチーフMQXREXWEAを共通に持つ。

配列モチーフMQXReXWEAは、タンパク質のC末端近傍に位置する。この知見は結晶構造およびそれに基づく既知の短鎖アルコールデヒドロゲナーゼの相同性モデリングにふさわしく、このモチーフがデヒドロゲナーゼの基質結合ポケットのテールを形成し、そこでアミノ残基M、Q、R、E、W、E、およびAが基質と相互作用することを明らかに示す。よって、前記モチーフMQXREXWEAを含んでなる短鎖アルコールデヒドロゲナーゼはキヌクリジン−3−オンの還元に好適であると仮定される。
キヌクリジン−3−オンの、好ましくは、対応するR−アルコールへの還元に好適なオキシドレダクターゼは、最適化された反応条件下で少なくとも50%のR−アルコール鏡像体過剰率をもたらすポリペプチドであると理解される。ここで、最適化された反応条件は、ポリペプチドがR−アルコールの最大鏡像体過剰率をもたらす反応条件であると理解される。
本発明のポリペプチドは十分なオキシドレダクターゼ活性を提供し、キヌクリジン−3−オンを、好ましくは(R)−3−キヌクリジノールへ還元するために使用可能であることが判明した。R−アルコールの達成可能な鏡像体過剰率は50%以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは95%以上となる。配列番号1を使用すると、99%以上の鏡像体過剰率が達成できる。
キヌクリジン−3−オンを対応する(R)−3−キヌクリジノールに還元することができるオキシドレダクターゼは、マイコバクテリウム属の細菌、特に、マイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)またはマイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)、カルディリネア属の細菌、特に、カルディリネア・アエロフィラ(Caldilinea aerophila)、スタルケヤ属の細菌、特に、スタルケヤ・ノベラ(Starkeya novella)、オセアニセルムス属の細菌、特に、オセアニセルムス・プロフンドゥス(Oceanithermus profundus)から単離することができる。
本発明のオキシドレダクターゼをコードするポリヌクレオチドは、例えば、細菌マイコバクテリウム・バンバアレニイPYR−1株またはマイコバクテリウム・スメグマティスATCC 700084株、カルディリネア属の細菌、特に、カルディリネア・アエロフィラDSM14535株、スタルケヤ属の細菌、特に、スタルケヤ・ノベラDSM506株、オセアニセルムス属の細菌、特に、オセアニセルムス・プロフンドゥスのゲノムDNAから、既知の分子生物学的技術を使用することによって得ることができる。
オキシドレダクターゼを産生する生物は、好ましくは、オキシドレダクターゼを過剰発現する組換え生物である。好ましくは、限定されるものではないが、このような組換え生物は大腸菌である。組換え生物により発現されたオキシドレダクターゼは、完全に生成された状態、部分的に精製された状態、または前記ポリペプチドを含有する細胞のいずれかで使用することができる。前記ポリペプチドを発現する細胞は、天然状態、透過処理状態、溶解状態または凍結乾燥状態で使用することができる。
よって、本発明のもう1つの側面は、補因子を用いてキヌクリジン−3−オンをその対応するアルコールへ鏡像異性体選択的に還元することができる、オキシドレダクターゼ、このオキシドレダクターゼを産生する生物、または前記オキシドレダクターゼを発現する生物の調製物、例えば、その透過処理細胞、溶解細胞もしくは凍結乾燥細胞である。このようなオキシドレダクターゼは、
a)配列表の配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7もしくは配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7もしくは配列番号9から、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個もしくはそれを超えるアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加により誘導されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
c)アミノ酸の少なくとも51%が配列番号1もしくは配列番号3のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
d)アミノ酸の少なくとも55%が配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
e)アミノ酸の少なくとも70%が配列番号7のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
f)配列表の配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8もしくは配列番号10のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによりコードされているポリペプチド、または
g)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、もしくは配列番号10のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの全長相補物とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによりコードされているポリペプチド、または
h)アミノ酸配列モチーフMQXREXWEA(ここで、X、X、Xのそれぞれは、アミノ酸残基A(Ala)、R(Arg)、N(Asn)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、E(Glu)、G(Gly)、H(His)、I(Ile)、L(Leu)、K(Lys)、M(Met)、F(Phe)、P(Pro)、S(Ser)、T(Thr)、W(Trp)、Y(Tyr)もしくはV(Val)のいずれかである)をさらに含んでなる、a)もしくはb)もしくはc)もしくはd)もしくはe)もしくはf)に従うポリペプチド
から選択される。
好ましくは、オキシドレダクターゼは、補因子NADHまたはNADPHとともに使用される。
本発明において、用語「アミノ酸の(P)%が配列番号(N)のアミノ酸配列のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列(A)」とは、それらの全長にわたってアラインされたアミノ酸配列(A)および配列番号(N)を意味し、この場合、アラインされたアミノ酸配列(A)およびアラインされた配列番号(N)はいずれも、アラインされていない個々の配列に対してギャップ挿入を含んでなってもよい。同一性のパーセンテージは、アラインされたアミノ酸配列(A)とアラインされた配列番号(N)の両方に同一のアミノ酸残基が存在する位置の数を求め、このマッチした位置の数を参照配列の残基の総数で割ることによって計算される。その商に100を掛けたものが同一性パーセンテージとなる。配列のアラインメントは、Altschul et al., 1977, Nucleic Acids Res. 3389-3402 and Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410に記載されているBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムを使用することによって行うことができる。
本発明において、b)またはc)またはd)またはf)またはg)に従うポリペプチド、すなわち、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7もしくは配列番号9のアミノ酸配列と相同なもしくは由来するアミノ酸配列を有する人工もしくは天然ポリペプチド、または配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8もしくは配列番号10の全長相補物とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによりコードされているポリペプチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7または配列番号9に対して「欠失したアミノ酸」(欠失)、「置換されたアミノ酸」(置換)または「挿入されたアミノ酸」(挿入)を含んでなるポリペプチドである。
用語「欠失したアミノ酸」または「欠失」は、1以上のアミノ酸の除去によるポリペプチドの改変を意味する。欠失は、酵素活性を保持する限り、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7または配列番号9の内部および/または末端部分の両方における、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個またはそれを超えるアミノ酸、アミノ酸総数の10%までの除去を含んでなり得る。
用語「挿入」は、1以上のアミノ酸の付加によるポリペプチドの改変を意味する。挿入は、ポリペプチドに対する配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7または配列番号9の内部および/または末端部分のいずれかの種々の位置への1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個またはそれを超えるアミノ酸の付加を含んでなり得る。
置換は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7または配列番号9中の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個またはそれを超えるアミノ酸の置き換えを意味し、保存的および/または非保存的であり得る。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基の、類似の側鎖を有するか、または同じクラスのアミノ酸に属するアミノ酸残基での置き換え、例えば、親水性から親水性へ、疎水性から疎水性へ、非極性から非極性へ、極性から極性へ、酸性から酸性へ、塩基性からへ、芳香族から芳香族への置き換えを意味する。保存的置換の例は、下記表に挙げられる。

非保存的置換は、ポリペプチド中のアミノ酸の、有意に異なる側鎖および/または物理化学的特性を有するアミノ酸での置き換えを意味する。非保存的アミノ酸置換は、ポリペプチドの構造、その疎水性および/またはその正味電荷に影響を及ぼし得る。
よって、本発明はまた、1〜282番のそれぞれの位置に、角括弧で囲まれた対応する選択群[…](ここで、「−」はギャップを表す)から選択される1つのアミノ酸を含んでなる、以下に列挙されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに関する。

ポリペプチド配列のアミノ酸改変の数は、そのポリペプチドの触媒活性を保持または改善する限り、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、3、34、35、36、37、38、39、40個またはそれを超えるアミノ酸、アミノ酸の総数の10%または20%またはさらには30%までを含んでなり得る。
例えば、配列番号2のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの全長相補物とストリンジェント条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、配列番号2の相補的全長DNAをハイブリダイゼーションプローブとして使用することによる、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーションなどの多様なハイブリダイゼーション技術によって検出可能なポリヌクレオチドを含んでなる。好適なハイブリダイゼーション方法は、Molecular Cloning, A laboratory manual, Second Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている。
ハイブリダイゼーションに関しては、検討下のポリヌクレオチドをフィルターに固定し、0.7〜1MのNaCl溶液中、60℃で、例えば配列番号2のポリヌクレオチド相補物とハイブリダイズさせる。次に、このフィルターを65℃にて0.1〜2倍SSC溶液で洗浄する。ここで、1倍SSC溶液は、150mM NaClおよび15mM クエン酸ナトリウムからなる混合物であると理解される。
例えば配列番号2の相補物とストリンジェント条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%が配列番号2のヌクレオチドと同一であるヌクレオチド配列を有する。
本発明の好ましい実施形態は、そのプロセスに使用される補因子が第2級アルコールの存在下でのオキシドレダクターゼの作用によって継続的に再生されることを特徴とする。好ましくは、NADHが補因子として使用され、還元で形成されたNADは再び還元されてNADHとなる。
NADHに対するオキシドレダクターゼの補因子選択性は、NADPH選択性に変更することができ、補因子結合部位を変位させることによる突然変異誘発技術を用いて復帰させることができる。
本発明による方法では、オキシドレダクターゼ/デヒドロゲナーゼにより形成された酸化された補因子NADまたはNADPは好ましくは継続的に再生される。
本発明の好ましい実施形態によれば、酸化された補因子NADまたはNADPは、アルコールの酸化により再生される。
好ましくは、一般式RCHOHの第2級アルコールを補因子再生に使用するが、ここで、RおよびRは水素、分岐または非分岐C−C−アルキル基から独立に選択され、炭素原子の総数Ctotal≧3である。
2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノールまたはシクロヘキサノールの第2級アルコールは補助基質として好ましく使用される。特に好ましい実施形態によれば、2−プロパノールまたは4−メチル−2−ペンタノールが補酵素再生に使用される。再生のための補助基質の量は、水混和性第2級アルコールの場合には、5〜70容量%、好ましくは5〜50容量%、より好ましくは5〜40容量%、最も好ましくは5〜20容量%の範囲であり得、一方、メチル−2−ペンタノールなどの水不混和性第2級アルコールの場合には、好ましい濃度は反応バッチの総容量に対して5〜80%、より好ましくは20〜80%、最も好ましくは40〜80%の範囲である。
本発明による方法のさらに好ましい実施形態によれば、補因子の再生のために付加的オキシドレダクターゼ/デヒドロゲナーゼが添加される。
さらに好ましい実施形態では、さらなるアルコールデヒドロゲナーゼを、補因子の再生のために付加的に添加することができる。好適なNADH依存性アルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、パン酵母、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CPCR)(米国特許第5,523,223号および同第5,763,236号、Enzyme Microb. Technol., 1993, 15(11):950-8)、ピキア・カプスラータ(Pichia capsulata)(EP1633779B1)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)(RECR)(米国特許第5,523,223号)、ノルカルジア・フスカ(Norcardia fusca) (Biosci. Biotechnol. Biochem., 63(10), 1999, p. 1721-1729、 Appl. Microbiol. Biotechnol., 2003, 62(4):380-6、 Epub 2003, Apr. 26)またはロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)(J. Org. Chem., 2003, 68(2):402-6)から得ることができる。それらのアルコールデヒドロゲナーゼの好適な補助基質は、例えば、2−プロパノール(イソプロパノール)、2−ブタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−オクタノールまたはシクロヘキサノールなどの既に記載されている第2級アルコールである。
NADPHの再生のための好適な第2級アルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、上記のようなもの、およびラクトバチルス目の生物、例えば、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefir)(米国特許第5,200,335号)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)(DE19610984 A1、Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 2000 December、 56 Pt 12:1696-8)、ラクトバチルス・マイナー(Lactobacillus minor)(DE10119274)、ラクトバチルス・カルノスム(Leuconostoc carnosum)(A1261/2005、Kl.C12N)から、または記載のようにサーモアネロビウム・ブロッキー(Thermoanerobium brockii)、サーモアネロビウム・エタノリカス(Thermoanerobium ethanolicus)もしくはクロストリジウム・ベイジェリンキー(Clostridium beijerinckii)から単離されるものである。
しかしながら、原理的には他の酵素系も補因子再生に使用可能である。例えば、補因子再生は、NAD依存性またはNADP依存性ギ酸デヒドロゲナーゼを用いて果たすことができる(Tishkov et al., J. Biotechnol. Bioeng. [1999] 64, 187-193, Pilot-scale production and isolation of recombinant NAD and NADP specific formate dehydrogenase)。ギ酸デヒドロゲナーゼの好適な補助基質は、例えば、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウムまたはギ酸カルシウムなどのギ酸の塩である。
1kgの基質キヌクリジン−3−オンの変換のためには、5000〜10Mio.単位のオキシドレダクターゼを適用すべきである。酵素活性単位(U)は、1分当たりに(pro minute)1μmolのキヌクリジン−3−オンの対応するアルコールへの変換に必要とされる酵素の量として定義される。
本発明による方法では、基質キヌクリジン−3−オンは反応バッチにおいて、総容量に対して好ましくは10g/l〜500g/l、好ましくは25g/l〜300g/l、特に好ましくは50g/l〜200g/lの量で使用される。
酵素的還元が進行する反応混合物の水性部分は、好ましくは、5〜10のpH値、好ましくは6〜9のpH値を有するバッファー、例えば、リン酸カリウムバッファー、トリス/HClバッファーまたはトリエタノールアミンバッファーを含有する。さらに、バッファーは、例えば、亜鉛イオンまたはマグネシウムイオンなど、酵素の安定化または活性化のためのイオンを含有することができる。
本発明による方法を実施する際には、温度は好適には約10℃〜70℃、好ましくは20℃〜45℃の範囲である。
水相中の補因子、特に、NADHまたはNADPHの濃度はそれぞれ、0.001mM〜10mMの範囲である。
本発明による方法で達成されるTTN(総ターンオーバー数=還元された式Iの化合物のモル/使用した補因子のモル)は通常10〜10であるが、好ましくは≧10である。
本発明による方法では、オキシドレダクターゼ/デヒドロゲナーゼの安定剤も使用可能である。好適な安定剤は例えば、グリセロール、ソルビトール、1,4−DL−ジチオトレイトール(DTT)またはジメチルスルホキシド(DMSO)である。
本発明の別の可能性のある実施形態によれば、反応平衡を反応生成物側に傾かせるために、酸化された補助基質(例えば、アセトン)を継続的に除去することができ、かつ/または補助基質(例えば、2−プロパノール)を継続的に新たに添加することができる。
還元の完了後、反応混合物を処理する。この目的で、例えば、場合により水相を有機相から分離し、生成物を含有する有機相を濾過する。場合により、水相もまた抽出し、有機と同様にさらに処理することができる。その上に、有機相から溶媒を蒸発させ、一般式IIまたはIIIの生成物を粗生成物として得ることができる。次に、粗生成物をさらに精製することもできるし、または結果としての生成物の合成のためにそのまま使用することもできる。
以下、本発明を例によりさらに示す。
実施例1
マイコバクテリウム・バンバアレニイからのオキシドレダクターゼの単離
マイコバクテリウム・バンバアレニイからNADH依存性オキシドレダクターゼを単離するために、微生物を水1リットル当たりペプトン5.0g、肉抽出物3.0g、pH7.0中で培養した。
静止期に達した際に細胞を採取し、遠心分離により培地から分離した。5gのマイコバクテリウム・バンバアレニイ細胞を20mlのバッファー(100mMトリエタノールアミン、1mM MgCl2、pH=7.0)に懸濁させ、ホモジナイズした。遠心分離(7000rpm)後に得られた粗抽出物をその後さらに精製し、FPLC(高速タンパク質液体クロマトグラフィー)を介して再処理した。オキシドレダクターゼは、ブチル−セファロース(Messrs. Pharmacia)でのイオン交換クロマトグラフィー、Q−セファロース・ファースト・フロー(Messrs. Pharmacia)での2回の精製、続いてヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(Bio−Rad)による4連続工程で精製することができた。この目的で、遠心分離後に得られた溶解液を、50mMのTEA、1mM MgCl、1M硫酸アンモニウムpH=7.0で平衡化したブチル−セファロースカラムにそのまま適用し、漸減する線形塩勾配で溶出した。このような実施で、オキシドレダクターゼは0.2〜0.3M硫酸アンモニウムで溶出した。オキシドレダクターゼ含有画分を合わせ、限外濾過(排除限界10kDa)により適当な容量まで濃縮した。次に、濃縮されたオキシドレダクターゼ画分を再処理し、Q−セファロースにより、1mM MgClおよび1M NaClを含有する50mMリン酸カリウムバッファーを用いてさらに精製した。これにより、酵素が0.7〜0.8M NaClで溶出した。
次に、活性画分を濃縮し、10mMリン酸カリウムバッファー、pH7.0、1mMMgClで平衡化し、ヒドロキシアパタイトカラムに適用し、200mMリン酸カリウムバッファー、1mMMgClで溶出した。下記表に得られた結果をまとめる。

タンパク質量の決定は、Lowry et al. Journal of Biological Chemistry, 193 (1951): 265-275またはPeterson et al., Analytical Biochemistry, 100 (1979): 201-220に従って行った。タンパク質量に対する酵素活性の比率として比活性を求め、この場合、1分当たり1μmolの変換は1単位(U)に相当する。
実施例2
本発明によるオキシドレダクターゼのN末端配列の決定
ヒドロキシアパタイトカラム精製工程の後、実施例1による酵素調製物を10%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲルで分画し、ポリフッ化ビニリデン膜(PVDF−膜)に転写した。
約30kDaの明白なバンドに対して、エドマン分解(Procise 492(PE−Biosystems))によるN末端シーケンシングと顕著な内部ペプチドのシーケンシングを行った。以下のN末端配列が得られた。
TRTVVVTGAGSGIGR
内部ペプチドの配列:
LEQADDVAR
実施例3
a)マイコバクテリウム・バンバアレニイからのオキシドレダクターゼのクローニング
マイコバクテリウム・バンバアレニイPYR−1の細胞から単離されたゲノムDNAをPCR反応の鋳型とし、エドマン分解からのタンパク質断片配列に基づいて設計した縮重プライマーとともに用いた。そうすることで、増幅をPCRバッファー[16mM(NH4)2SO4、67mM Tris−HCl pH8.3(25℃)、1.5m MgCl2、0.01%Tween20、0.2mM dNTPミックス、各場合において30pMolのプライマーおよび1.25UのBioTherm Starポリメラーゼ(Genecraft)]中で50ngのゲノムDNAを鋳型として用いて行った。
サイクル1: 95℃、7分
サイクル2×28: 94℃、40秒
温度降下開始63℃ −0.5℃/工程、30秒
68℃、60秒
サイクル3×20: 94℃、40秒
53℃、40秒
72℃、60秒
サイクル4: 70℃、7分
4℃[無限大]
1%アガロースゲルで全PCRバッチを分画した後に、約650byのバンドを同定し、オーバーハングアデノシン部分を介して、DNA配列の決定のためのTopo−TAベクター(Invitrogen)にクローニングした。
スクリーニング反応から得られたDNAバンドは、227アミノ酸残基のオキシドレダクターゼ断片に対応するオープンリーディングフレームを示した。
オキシドレダクターゼをコードする全配列の決定は、逆PCR(iPCR)方法により行った。
オキシドレダクターゼをコードする遺伝子配列は、771塩基対を含んでおり、256アミノ酸残基長に相当した。
b)マイコバクテリウム・バンバアレニイ由来短鎖ADHをコードする全長DNA断片のPCRによる合成
続いての、全長転写産物の適当な発現系へのクローニングのために特異的プライマーを構築した。そうすることで、Nde Iの認識配列を有する5’−プライマーおよびHind IIIの認識配列を有する3’−プライマーを改変した。マイコバクテリウム・バンバアレニイ細胞から単離したゲノムDNAをポリメラーゼ連鎖反応の鋳型として用いた。増幅は、PCRバッファー[10mM Tris−HCl(pH8.0)、50mM KCl、10mM MgSO4、1mM dNTPミックス、各場合において20pMmolのプライマーおよび2.5UのPlatinum Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)]中、50ngの鋳型および以下の温度サイクルを用いて行った。
サイクル1: 94℃、2分
サイクル2×30: 94℃、15秒
58℃、30秒
68℃、75秒
サイクル3: 68℃、7分
4℃[無限大]
得られたPCR産物に、1%アガロースゲル上で精製した後、エンドヌクレアーゼNde IおよびHind IIIを用いて制限酵素処理を行い、同じエンドヌクレアーゼで処理しておいたpET21aベクター(Novagen)の骨格に連結した。2μlのライゲーションバッチを大腸菌Top 10F’細胞(Invitrogen)に形質転換した後、アンピシリン(またはカナマイシン)耐性コロニーのプラスミドDNAを、エンドヌクレアーゼNde IおよびHindを用いた制限酵素分析により、750のサイズを有する挿入配列の存在に関して試験した。発現構築物pET21−Mycのシーケンシングを行った。短鎖オキシドレダクターゼをコードするマイコバクテリウム・バンバアレニイ(mycobacterium vanbalenii)由来の遺伝子は、全771byのオープンリーディングフレーム(配列番号2)を有しており、これは256アミノ酸のタンパク質に対応していた(配列番号1)。
実施例4
大腸菌細胞における組換えオキシドレダクターゼの発現
コンピテント大腸菌Star BL21(De3)細胞(Invitrogen)を、オキシドレダクターゼをコードする発現構築物pET21−MIXで形質転換した。発現構築物で形質転換された大腸菌細胞を、次に、それぞれ50μg/mlのアンピシリンまたは40μg/mlのカナマイシンを含む200mlのLB培地(1%トリプトン、0.5%酵母抽出物、1%NaCl)中で、550nmで測定した際に光学密度が0.5となるまで培養した。組換えタンパク質の発現は、イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を0.1mMの濃度で加えることにより誘導した。25℃および220rpmで誘導16時間後に、細胞を採取し、−20℃で冷凍した。活性試験のために、10mgの細胞を500μlの100mM TEAバッファーpH7.0、1mM MgCl2および500μlガラスビーズと混合し、ガラスミルを用いて10分間粉砕した。次に、得られた溶解液を希釈状態で各測定に使用した。
活性試験物は次のように作製した:870μlの100mM TEAバッファーpH7.0、1mM MgCl2、160μg NADH、10μlの希釈細胞溶解液。反応は、反応混合物に100mMの基質溶液100μlを加えることにより開始した。
多量に酵素を回収するためには、30gの細胞を150mlのトリエタノールアミン(TEA)バッファー(100mM、pH7、2mM MgCl2、10%グリセロール)に再懸濁させ、高圧ホモジナイザーを用いて破砕した。次いで、この酵素溶液に150mlのグリセロールを混合し、−20℃で保存した。
実施例5
光度測定アッセイによるキヌクリジン−3−オンの還元に関するオキシドレダクターゼ活性の測定
実施例4に記載の通りに調製した酵素の活性は、1mMのMgClを添加した1mlの100mM TEAバッファー、pH7.0中、10μlの酵素溶液に、基質3−キヌクリジノン(10mM)、補酵素NADH(0.25mM)を加えることにより、1分間の、1μmolのNADHからNADへの酸化の活性として測定した。1分当たりの340nmにおける吸光度の低下速度をNADHの吸光度係数(6.22M-1cm-1)で割った商は、キヌクリジン−3−オンの相当するアルコールへの還元に関する酵素活性(U)に比例する。

実施例6
キヌクリジン−3−オンの還元に関するオキシドレダクターゼの特徴
キヌクリジン−3−オンの対応するアルコールへの還元による鏡像異性体選択性および変換値の決定のために、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7および配列番号9のポリペプチド配列のオキシドレダクターゼを、以下の手順によって調べた:
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7および配列番号9のオキシドレダクターゼの遺伝子を保持する組換え大腸菌を実施例4に記載の通りに培養した。誘導18時間後に、2gの各組換え株細胞を、2mMのMgClを添加した10mlの100mMトリエタノールアミンバッファー、pH7.0に再懸濁させ、ガラスミルで10分間粉砕した。得られた酵素溶液を遠心分離により明澄化し、等容量のグリセロールと混合した。反応の構成については、56μlの酵素溶液を用い、0.15mgのNAD、75μl(10%)のピキア・カプスラータ由来オキシドレダクターゼ、250μlのメチル−2−ペンタノールおよび119μlの100mM TEA pH6.5(2mM MgClを添加)を加えることにより、75mgのキヌクリジン−3−オンを変換した。30℃でサンプルをインキュベートして24時間後に、10μlの反応物を1mlのMeOHに加え、GC分析を行った。鏡像異性体の検出のために、Masherey−Nagel(ドイツ)Hydro製のβ−6TBDMカラム(25m×0.25mm×0.25μm)を使用した。

実施例7
補助基質としてメチル−2−ペンタノールを用いる10mlスケールでのキヌクリジン−3−オンの対応する(R)−3−キヌクリジノールへの変換
配列番号1のオキシドレダクターゼの遺伝子を保持する組換え大腸菌を実施例4に記載の通りに培養した。誘導18時間後、30gの採取細胞を、2mMのMgClを添加した100mlの100mMトリエタノールアミン(TEA)バッファー、pH7.0に再懸濁させ、フレンチプレスで粉砕した。得られた溶解液を4℃、6000gで10分の遠心分離により明澄化した。1.5gの3−キヌクリジノンの還元のために、250μlの酵素溶液(1125U)を、2mMのMgCl、3mgのNAD、225Uのピキア・カプスラータ由来アルコールデヒドロゲナーゼおよび5mlのメチル−2−ペンタノールを添加した4.05mlの100mM TEAバッファー、pH6.5に加えた。この反応物を、30℃、撹拌下でインキュベートした。21時間後、3mlの5M NaOH、5mlのメタノールを添加することによって反応を停止し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。測定された(R)−3−キヌクリジノールへの変換率は98%であり、生成物の光学純度は>99%であった。
実施例8
補助基質としてイソプロパノールを用いる10mlスケールでのキヌクリジン−3−オンの対応する(R)−3−キヌクリジノールへの変換
配列番号1のオキシドレダクターゼの遺伝子を保持する組換え大腸菌を実施例4に記載の通りに培養した。誘導18時間後、30gの採取細胞を、2mMのMgClを添加した100mlの100mMトリエタノールアミン(TEA)バッファー、pH7.0に再懸濁させ、フレンチプレスで粉砕した。1.5gの3−キヌクリジノン−3−オンの還元のために、525Uの酵素を、1mMのZnCl、1.5mgのNAD、525Uのカンジダ・ネモデンドラ(Candida nemodendra)由来アルコールデヒドロゲナーゼ(WO2007012428、配列番号8)および1mlのイソプロパノールを添加した5.25mlの100mM TEAバッファー、pH7.0に加えた。この反応物を、30℃、撹拌下でインキュベートした。インキュベーション24時間後に、3mlの5M NaOH、5mlのメタノールを添加することによって反応を停止し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。測定された(R)−3−キヌクリジノールへの変換率は100%であり、生成物の光学純度は>99%であった。



  1. 補因子およびオキシドレダクターゼを用いたキヌクリジン−3−オンの還元による、(R)−3−キヌクリジノールの製造方法であって、該オキシドレダクターゼがアミノ酸配列モチーフMQXREXWEAを含んでなり、ここで、X、X、Xのそれぞれが、アミノ酸残基A(Ala)、R(Arg)、N(Asn)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、E(Glu)、G(Gly)、H(His)、I(Ile)、L(Leu)、K(Lys)、M(Met)、F(Phe)、P(Pro)、S(Ser)、T(Thr)、W(Trp)、Y(Tyr)もしくはV(Val)のいずれかであり、かつ該オキシドレダクターゼが下記から選択される、方法:
    a)配列表の配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7もしくは配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
    b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7もしくは配列番号9から、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個もしくは27個〜40個のアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加により誘導された、キヌクリジン−3−オンを還元することができるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
    c)アミノ酸の少なくとも51%が配列番号1もしくは配列番号3のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
    d)アミノ酸の少なくとも55%が配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または
    e)アミノ酸の少なくとも70%が配列番号7のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド。

  2. 補因子およびオキシドレダクターゼを用いたキヌクリジン−3−オンの還元による(R)−3−キヌクリジノールの製造方法であって、該オキシドレダクターゼが、アミノ酸配列モチーフMQXREXWEAを含んでなり、ここで、X、X、Xのそれぞれが、アミノ酸残基A(Ala)、R(Arg)、N(Asn)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、E(Glu)、G(Gly)、H(His)、I(Ile)、L(Leu)、K(Lys)、M(Met)、F(Phe)、P(Pro)、S(Ser)、T(Thr)、W(Trp)、Y(Tyr)もしくはV(Val)のいずれかであり、かつ該オキシドレダクターゼが下記から選択される、方法:
    a)配列表の配列番号2もしくは配列番号4もしくは配列番号6もしくは配列番号8もしくは配列番号10のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、または
    b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8もしくは配列番号10のヌクレオチド配列の全長相補物とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによりコードされているポリペプチド、ここで、該ストリンジェント条件は、0.7〜1M NaCl溶液中60℃でのハイブリダイゼーションおよび0.1〜2倍SSC溶液中65℃での洗浄を含んでなり、1倍SSC溶液は150mM NaClと15mMクエン酸ナトリウムとからなる混合物と理解される。

  3. 補因子が補助基質で継続的に再生される、請求項1または2に記載の方法。

  4. NADHまたはNADPHが補因子として使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

  5. 2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ヘプタノールまたは2−オクタノールが、それぞれ補助基質として、または第2級アルコールとして使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

  6. 補助基質としての第2級アルコールが、水混和性第2級アルコールの場合には、5〜70容量%、好ましくは5〜50容量%、より好ましくは5〜40容量%、最も好ましくは5〜20容量%の量で使用され、一方メチル−2−ペンタノールなどの水不混和性第2級アルコールの場合には、好ましい濃度は反応バッチの総容量に対して5〜80%、より好ましくは20〜80%、最も好ましくは40〜80%の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

  7. キヌクリジン−3−オンが総反応容量に対して5〜50重量%、好ましくは8〜40重量%、特に10〜25重量%の量で使用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

  8. 総ターンオーバー数TTN(=補因子1モル当たりの還元キヌクリジン−3−オンのモル)が>10である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

  9. 水性有機性二相系において行われる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

  10. ジエチルエーテル、第3級ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの有機溶媒がさらに使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

  11. 補因子再生のための反応にオキシドレダクターゼがさらに添加される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。

 

 

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