発現方法

 

標的ポリペプチドを生産する方法が提供される。本方法は、宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞において標的ポリペプチドを発現させるための発現ベクターを発現させるステップであって、発現ベクターがフィブロネクチン分泌リーダー配列に作動可能に連結された組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むステップと;標的ポリペプチドを回収するステップとを含む。
【選択図】図1

 

 

本発明は、組換えポリペプチドの発現、特に組換えポリペプチドの分泌方法に関する。
目的のポリペプチドを、それが発現される細胞から輸送できれば、組換えポリペプチドの生産に著しく有益である。したがって発現システムは、そのような輸送または分泌を可能にするように有利に設計される。宿主細胞からの組換えポリペプチドの分泌には、シグナルペプチドの使用が一般に必要であり、そのシグナルペプチドは細胞質から輸送されることになる真核性および原核性タンパク質の大多数に見出される。そのような発現システムに利用される分泌リーダーは、一般に発現宿主に固有であり、例えば、大腸菌(Escherichia coli)のPhoA、MalBおよびOmpAシグナルペプチドは、その生物のペリプラズムにポリペプチドを分泌するために広く使用されてきた。
米国特許第7,071,172号は、遺伝子治療における使用のためのAAVに基づく送達ベクターのフィブロネクチン分泌リーダーの使用について記載している。
本発明の第1の態様によると、
a)宿主細胞において標的ポリペプチドを発現させるための発現ベクターを発現させるステップであって、発現ベクターがフィブロネクチン分泌リーダー配列またはその機能的同等物に作動可能に連結された組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むステップと;
b)標的ポリペプチドを回収するステップとを含む、標的ポリペプチドを生産する方法が提供される。
本発明に利用できるフィブロネクチン分泌リーダーには、哺乳動物および爬虫類のフィブロネクチン分泌リーダーがある。爬虫類のフィブロネクチン分泌リーダーの例としては、アフリカツメガエルフィブロネクチン分泌リーダーがある。哺乳動物のフィブロネクチン分泌リーダーの例としては、ヒト、ラット、マウス、ウシ、ブタ、イヌ、ネコおよびチャイニーズハムスターフィブロネクチン分泌リーダー、ならびにその機能的同等物、例えば配列MLRGPGPGLLLLAVQCLGTAVPSTGA(配列番号1)を有するヒトフィブロネクチン分泌リーダーがある。特定の実施形態において、アミノ酸配列MLRGPGPGLLLAVLCLGTAVRCTEA(配列番号2)を有するチャイニーズハムスターフィブロネクチン分泌リーダーおよびその機能的同等物が好ましい。
分泌リーダーの機能的同等物とは、アミノ酸配列で70%以上の同一性、好ましくは75%以上の同一性、より好ましくは80%以上の同一性、最も好ましくは95%以上の同一性など90%以上の同一性を共有するものであり、組換えポリペプチドを分泌する能力を保持する。一部の実施形態において、機能的に同等な分泌リーダーは、付加、欠失または置き換えのいずれかにより、単一アミノ酸で異なる。
多くの実施形態において、作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列は連続しており、分泌リーダーの場合、連続し、かつ同じ読み枠にある。
好ましくは、フィブロネクチン分泌リーダー配列をコードするポリヌクレオチドと標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとの結合は、分泌リーダーが組換えポリペプチドのN末端に結合するようなものである。特定の実施形態において、組換えポリペプチドは、N末端タグを含み、分泌リーダー配列と組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとの結合は、分泌リーダーがタグに、好ましくはタグのN末端に結合するようなものである。
好ましくは、フィブロネクチン分泌リーダー配列をコードするポリヌクレオチドは、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’末端で結合し、好ましくは配列ATGCTGAGAGGCCCTGGACCTGGACTGCTGCTGCTGGCTGTGCAGTGTCTGGGAACCGCCGTGCCTTCTACCGGCGCC(配列番号3)またはATGCTCAGGGGTCCGGGACCCGGGCTGCTGCTGGCCGTCCTGTGCCTGGGGACAGCGGTGCGCTGTACCGAAGCC(配列番号4)を有する。
本発明のベクターは、分泌リーダーおよび組換えポリペプチドの発現カセットに作動可能に連結されたプロモーターを含む。
本発明によるベクターに利用できるプロモーターは、発現カセットが発現されることになる宿主細胞にしたがって選択される。
原核性宿主細胞に利用できるプロモーターには、StudierおよびMoffat、J. Mol. Biol.189:113〜130頁(1986)(参照により本明細書に組み込む)に開示されるプロモーターを含めた単一T7プロモーター領域などのファージポリメラーゼプロモーター、特にT7遺伝子10プロモーター領域ならびに宿主ポリメラーゼプロモーター、特にT7A1、T7A2、T7A3、λpL、λpR、lac、lacUV5、trp、tac、trc、phoAおよびrrnBなどの大腸菌ポリメラーゼプロモーターがある。
T7 RNAポリメラーゼ依存性プロモーター領域が利用される場合、T7 RNAポリメラーゼの供給源が必要になると認識され、その供給源は当技術分野において公知の方法によって提供され、一般に、必要なファージポリメラーゼを発現するλDE3プロファージを宿主株に挿入して溶原性宿主株を形成することによって提供される。T7 RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼの遺伝子を持つ特殊な形質導入λファージの感染によって細胞に送達することもできる。
酵母宿主細胞に利用できるプロモーターには、galプロモーターならびにAOX1およびAOX2などのAOXプロモーター、GAP(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)、FLP(ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ)ならびにGAL1およびGAL10がある。
哺乳動物宿主細胞に利用できるプロモーターは、宿主細胞に内在性でもまたは外来性でもよい。適切なプロモーターには、CMV、SV40プロモーターおよびRSR−LTRなどのウイルスプロモーターがある。hEF1aおよびマウスホスホグリセリン酸キナーゼ(mPGK)などハウスキーピング遺伝子由来プロモーターも利用できる。一部の実施形態において、好ましいプロモーターは、ヒトCMVおよびラットCMVである。複数のポリペプチド(例えばMAb HCおよびLCポリペプチド)を発現させる場合、プロモーターは同一でもまたは異なってもよい。プロモーターは、サイトメガロウイルスの主要前初期エンハンサー、特にヒトサイトメガロウイルスなどのエンハンサー配列と組み合わせて利用することができる。
発現ベクターは、宿主細胞ゲノムに組み込まれてもまたはプラスミドなどの染色体外因子に含まれてもよい。
一般に発現ベクターは、ベクターが発現される宿主細胞に適当な選択可能なマーカーも含む。原核性宿主細胞に使用する選択可能なマーカーには、テトラサイクリンまたはカナマイシン耐性マーカーなどの抗生物質耐性マーカーがある。酵母宿主に使用する選択可能なマーカーには、ゼオシン、ピューロマイシン、ネオシン(neocin)およびハイグロマイシン耐性などの抗生物質耐性マーカーがある。哺乳動物細胞用、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞用の選択可能なマーカーには、グルタミンシンセターゼおよびジヒドロ葉酸レダクターゼマーカーシステムがある。
利用されるベクターは、適当な宿主細胞における発現に適当な、当技術分野で通常の特徴を含む。原核性発現ベクターは、複製起点、制限酵素部位、転写ターミネータ、およびcer安定化配列(cer stability sequence)などのプラスミド安定化座(plasmid stability locus)を一般に含む。酵母発現ベクターは、プロモーター、転写ターミネータ、選択マーカー、複製する場合には、複製起点を一般に含む。哺乳動物発現ベクターは、ヒトβグロビンポリA配列、ウシ成長ホルモンポリA配列およびSV40初期または後期ポリA配列などのポリアデニル化配列を一般に含む。
本発明の発現ベクターを利用して、宿主細胞において組換えポリペプチド、特にタンパク質を発現することができる。原核生物および特に真核生物宿主細胞を利用することができる。原核生物細胞の例としては、細菌細胞、例えば、大腸菌、サルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチアマルセッセンス(Serratia marsescens)、シュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を含めたグラム陰性細菌細胞、ならびにバチルスサブチリス(Bacillus subtillis)を含めたグラム陽性細菌細胞がある。好ましい原核生物宿主細胞は、細菌、特に腸内細菌科(enterobacteriacae)であり、好ましくは大腸菌、特にそのBまたはK12株である。
利用できる真核生物宿主細胞の例としては、酵母、哺乳動物および昆虫細胞がある。酵母宿主細胞には、特に酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)およびハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)がある。
好ましい宿主細胞は、ベビーハムスター腎臓細胞、ヒト胎生腎細胞株、例えばHEK293細胞、ヒト網膜由来細胞株、例えばPER.C6細胞、ならびにマウスリンパ細胞株、例えばNS0およびSP2細胞、最も好ましくはチャイニーズハムスター卵巣細胞、特にCHOK1、DG44、DUXKB11およびCHO pro3−細胞などの哺乳動物細胞である。
本発明の発現ベクターは、プラスミドの形態で一般に利用される。プラスミドは、自己複製プラスミドまたは組み込みプラスミドであることができる。
本発明の特定の非常に好ましい実施形態において、フィブロネクチン分泌リーダーは、利用する宿主細胞に対応するように選択される。例えば、ヒトフィブロネクチンはヒト由来細胞に利用され、ラットフィブロネクチンはラット細胞に利用され、特にチャイニーズハムスターフィブロネクチンはチャイニーズハムスター卵巣細胞に利用される。
本発明の方法によって発現できるポリペプチドには、サイトカイン、増殖因子、抗体、抗体断片、免疫グロブリン様ポリペプチド、酵素、ワクチン、ペプチドホルモン、ケモカイン、受容体、受容体断片、キナーゼ、ホスファターゼ、イソメラーゼ、ヒドロリアーゼ、転写因子ならびに融合ポリペプチドを含めた治療用タンパク質およびペプチドがある。
発現できる抗体には、多価および/または多重特異的な前述のいずれかの形態を含めた生物活性を有するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体ならびに抗体断片がある。
一般に天然に存在する抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続されたポリペプチド鎖を4つ、即ち同一の重鎖(H)を2つおよび同一の軽鎖(L)を2つ含む。各重鎖は、可変領域(V)と定常領域(C)を含み、C領域はその天然の形態に3つのドメイン、C1、C2およびC3を含む。各軽鎖は、可変領域(V)およびドメインを1つ含む定常領域、Cを含む。
およびV領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域に組み入れられている相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに区分けできる。各VならびにVは、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端に配置される。
発現できる抗体断片は、完全抗体の一部を含み、前記部分は所望の生物活性を有する。抗体断片は、少なくとも1つの抗原結合部位を一般に含む。抗体断片の例には、以下がある:(i)V、C、VおよびC1ドメインを有するFab断片;(ii)C1ドメインのC末端にシステイン残基を1つ以上有し、そのシステイン残基が2つのFab誘導体間のジスルフィド架橋により二価断片を形成することができる、Fab’断片などのFab誘導体;(iii)VおよびC1ドメインを有するFd断片;(iv)C1ドメインのC末端にシステイン残基を1つ以上有するFd誘導体などのFd誘導体;(v)抗体の単一アームのVおよびVドメインを有するFv断片;(vi)VおよびVドメインが共有結合している一本鎖Fv(scFv)抗体などの一本鎖抗体分子;(vii)定常領域ドメインを持つかまたは持たない別の可変ドメイン(VまたはVドメインポリペプチド)に連結された定常領域ドメインを持たないVまたはVドメインポリペプチド(例えば、V−V、V−VまたはV−V)、(viii)VドメインまたはVドメインからなる断片などのドメイン抗体断片、および単離されたCDR領域など、VまたはVドメインのいずれかの抗原結合断片;(ix)抗原結合部位を2つ含むいわゆる「ダイアボディ」、例えば、同じポリペプチド鎖内で軽鎖可変ドメイン(V)に接続された重鎖可変ドメイン(V);ならびに(x)相補軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合領域を形成する、一対の直列Fdセグメントを含むいわゆる線状抗体。
調製できる好ましい抗体断片は、哺乳動物の単一可変ドメイン抗体であり、免疫グロブリン可変ドメインに特徴的な配列を含み、抗原を特異的に結合する(すなわち、400nM以下、好ましくは250nM以下、最も好ましくは100nM以下など500nM以下の解離定数)折り畳まれたポリペプチドドメインを含む抗体断片であり、その抗体断片は単一可変ドメインとして抗原を結合し;すなわち、どんな相補的可変ドメインも持たない。単一可変ドメイン抗体には、完全抗体可変ドメイン、ならびに例えば1つ以上のループが抗体可変ドメインに特徴的でない配列によって置き換えられた修飾可変ドメイン、または切り詰められたまたはN末端もしくはC末端伸張を含む抗体可変ドメイン、および可変ドメインが折り畳まれた断片がある。調製できる好ましい単一可変ドメインは、VならびにVκおよびVλを含めたVの群から選択される。最も好ましくは、単一可変ドメインは、ヒト化ラクダ科動物ドメインを含めた、ヒトまたはラクダ科動物のドメインである。
標的ポリペプチドが、分泌される鎖を2つ以上含む場合、特に標的ポリペプチドが、鎖を2つ以上含む抗体または断片抗体である場合、鎖の少なくとも1つ、好ましくはそれぞれが、フィブロネクチン分泌リーダーに結合され、そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがそれに応じて設計される。利用されるフィブロネクチン分泌リーダーは、同一でもまたは異なってもよい。鎖を2つ以上コードするポリヌクレオチドは、同じ発現カセットに含まれてもよいが、好ましくは異なる発現カセットに含まれる。異なる発現カセットが利用される場合、発現カセットは異なるベクターに位置してもよいが、好ましくは同じベクターに位置する。利用されるプロモーターは、同一でもまたは異なってもよい。
発現システムは、利用される細胞に対して当技術分野において周知の方法によって発現される。好ましい発現方法は、増殖培地で宿主細胞を培養するステップと、次いで発現したポリペプチドを回収するステップとを含む。用語「増殖培地」とは、宿主細胞を増殖させるために使用される栄養培地のことを指す。多くの実施形態において、栄養液が利用される。所与の宿主細胞に対して適切な増殖培地およびポリペプチドを回収する方法が、当技術分野で周知である。
多くの実施形態において、ポリペプチドの回収は、濾過、遠心分離、透析濾過、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーなどのアフィニティークロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ゲル濾過およびHPLCのうち1つ以上を含む。
本発明の好ましい態様によると、
(a)宿主細胞において標的ポリペプチドを発現させるための発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクションまたは形質転換するステップであって、発現ベクターがフィブロネクチン分泌リーダー配列またはその機能的同等物に作動可能に連結された標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むステップと;
(b)宿主細胞の増殖ならびに宿主細胞からの標的ポリペプチドの発現および分泌が可能な条件下で宿主細胞を培養するステップと、
(c)標的ポリペプチドを回収するステップと
を含む、標的ポリペプチドを生産する方法が提供される。
本発明のさらなる態様によると、フィブロネクチン分泌リーダー配列またはその機能的同等物に作動可能に連結された標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含む発現ベクターでトランスフェクトされた、チャイニーズハムスター卵巣細胞、好ましくはCHOK1、DG44、DUXKB11またはCHO pro3−細胞が提供される。
本発明のさらなる態様においてコードされる標的ポリペプチドは、好ましくはモノクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードするポリヌクレオチドを含み、好ましくはそれぞれがフィブロネクチン分泌リーダーに作動可能に連結された発現カセットを利用できる。一部の実施形態において、重鎖および軽鎖を含む別々の発現カセットが利用され、それら発現カセットは、別々のベクターに位置してもよいが、しばしば同じベクターに位置する。利用されるフィブロネクチン分泌リーダーは、同一でもまたは異なってもよいが、好ましくは同一である。
多くの好ましい実施形態において、発現カセットは、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたハウスキーピング遺伝子プロモーター、特にhEF1aプロモーターを含み、発現カセットが2つ以上利用される場合、各発現カセットは、ハウスキーピング遺伝子プロモーター、好ましくは同じプロモーター、最も好ましくはhEF1aプロモーターを含む。
その、または各、標的ポリペプチドの発現カセットは、好ましくはウシ成長ホルモンポリA配列を含む。
発現ベクターは、好ましくは選択マーカー、最も好ましくはジヒドロ葉酸レダクターゼマーカーシステムを含む。特定の例において、ジヒドロ葉酸レダクターゼマーカーシステムは、マウスホスホグリセリン酸キナーゼプロモーターをさらに含む発現カセットを含む。
哺乳動物細胞において有効なプロモーターおよびフィブロネクチン分泌リーダー配列に作動可能に連結された標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むDNA構築物は、本発明の別の態様を形成する。
DNA構築物は、好ましくはモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖について別々の発現カセットを含む。最も好ましくは、各発現カセットは、同じプロモーター、特にハウスキーピング遺伝子プロモーター、とりわけhEF1aプロモーターを含む。特に好ましくは、各発現カセットは、ウシ成長ホルモンポリA配列をさらに含む。DNA構築物は、選択マーカー、最も好ましくはジヒドロ葉酸レダクターゼマーカーシステムをしばしば有利に含む。特定の例において、ジヒドロ葉酸レダクターゼマーカーシステムは、マウスホスホグリセリン酸キナーゼプロモーターをさらに含む発現カセットを含む。
発現カセットの構造を、図1に例示する。
本発明は、以下の実施例により限定されずに例示される。
[実施例1]
評価される各分泌リーダー(SL)について、抗MUC−1 MAbのhγ1 FL重鎖(HC)または抗MUC−1 MAbのλ軽鎖(LC)のいずれかを含有する2つの単一遺伝子ベクターを構築した。各発現カセットは、HCまたはLC成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列にフレームを合わせて連結された分泌リーダーをコードするポリヌクレオチド配列およびヒトβグロビンポリA配列、に機能的に連結されたラットCMVプロモーターからなった。発現カセットの構造を、図1に例示する。
利用した分泌リーダーは次の通りである。
分泌リーダーA:ヒトコラーゲン、配列MLSFVDTRTLLLLAVTLCLATCQS(配列番号5)
分泌リーダーB:ヒトフィブロネクチン、配列MLRGPGPGLLLLAVQCLGTAVPSTGA(配列番号1)
分泌リーダーC:チャイニーズハムスターフィブロネクチン、配列MLRGPGPGLLLAVLCLGTAVRCTEA(配列番号2)
分泌リーダーD:チャイニーズハムスターアルブミン、配列MKWVTFLLLLFVSDSAFS(配列番号6)
CHO DG44宿主細胞を計数し、10%血清、2mMグルタミンおよび0.45%グルコースで補充したMEM−α培地に1.2×10個細胞/ウェルで6穴プレートのウェルに播種し、7.5% CO、36.5℃で、終夜インキュベートした。
各トランスフェクションについて、HCおよびLC単一遺伝子ベクター(2μg)4μgを一緒に混合し、無血清MEM−α培地(Life Technologies)250μLに希釈した。模擬トランスフェクション(PBSのみ)も含めた。各トランスフェクションについて、リポフェクタミン2000(Life Technologies)12.5μLを無血清MEM−α培地250μLに希釈し、混合した。混合物を、室温(15〜25℃)で5分間インキュベートした。希釈したDNAとリポフェクタミン2000(商標)試薬を合わせ、混合し、室温で20分間インキュベートした。さらなるMEM−α培地500μLを各トランスフェクション混合物に添加し、増殖培地をウェルから除去し、次いで複合体を、細胞を含有する6ウェルプレートのウェルに添加した。5時間後に培地を除去し、新しい増殖培地を添加した。細胞を7.5% CO、36.5℃で5日間インキュベートした。上清を採取し、遠心分離によって清澄化した。抗体価を、Octet(Forte Bio)プロテインAアッセイを使用して決定した。
結果を以下の表1に示す。

作製した抗体を、プロテインA捕捉し、低pHで溶出することによって上清から回収し、陽イオン交換クロマトグラフィー後の陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製する。陰イオン交換クロマトグラフィーからの溶離液をウイルスナノ濾過に供し、その後緩衝液交換し、濃縮する。
[実施例2]
ベクター構築
抗MUC−1 MAbのhγ1 FL重鎖と抗MUC−1 MAbのヒトλ軽鎖の両方の発現を駆動するhEF1aプロモーターを含有する二重遺伝子ベクターを構築した。
hEF1αプロモーターをhCMV MIEプロモーターまたはラットCMVプロモーターのいずれかに交換した場合、二重遺伝子ベクターをさらに構築した。
二重遺伝子ベクター中にある各発現カセットは、実施例1のCHOフィブロネクチンシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターからなり、そのシグナルペプチドは、HCまたはLC成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列にフレームを合わせて連結された。ウシ成長ホルモンポリA配列の存在により正しいmRNAプロセッシングを確実にした。
安定な細胞株の選択を可能にするために、ベクターは、マウスホスホグリセリン酸(mPGK)プロモーターの制御下にあるマウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子およびチミジンキナーゼ(TK)プロモーターの制御下にあるハイグロマイシン耐性遺伝子のコピーも含有した。
CHO DG44細胞の通常の継代培養:
CHO DG44細胞を、8mM L−グルタミンおよび1xHT補助剤(Life Technologies)で補充したEX−CELL ACF CHO培地(シグマ)中で懸濁振とうフラスコで常法通り培養した。細胞を2×10個細胞/mlの濃度で播種し、細胞を3日毎に分けた。フラスコを7.5% CO、37℃で、140rpmのオービタル振盪培養器で培養した。
安定な細胞株を生成するためのトランスフェクション
上で詳述したように、トランスフェクションに使用する細胞を細胞懸濁培養で増殖させた。増殖培養からの細胞を遠心分離し、2x10個細胞/mLの濃度に再懸濁した。細胞懸濁液0.1mL容積および線状化プラスミドDNA 4μgを、エレクトロポレーションキュベットに添加した。次いでキュベットを、Amaxa nucleofector(Lonza)の中に置き、ヌクレオフェクト(nucleofected)した。トランスフェクション後に、細胞をT75フラスコ中の、8mMグルタミンおよび1xHT補助剤で補充された予め温めたEX−CELL ACF CHO培地(シグマ)20mLに添加した。トランスフェクトした細胞を7.5% CO、37℃でインキュベートした。培地からヒポキサンチンおよびチミジン(HT)を除去し(トランスフェクション48時間後)、400μg/mlハイグロマイシンB(Invitrogen)および25nM MTXを添加した(トランスフェクション144時間後)後に、細胞を5000個細胞/ウェル(2.5×10/mL)で96ウェルプレートに播いた。プレートを空気中7.5%CO雰囲気中で、37℃でインキュベートした。トランスフェクション後およそ3週間まで、コロニー増殖についてプレートを観察した。細胞増殖を含有する最大100ウェルから上清を採取し、Octet(Forte Bio)プロテインAアッセイを使用して抗体について分析した。コロニーを発現している上位24個を、24ウェルプレートに展開し、10日間培養した。次いで上清を、Octet(Forte Bio)プロテインAアッセイを使用して抗体についてアッセイした。結果を以下の表2に示す。

[実施例3]
CHO上清からの抗体の精製
実施例2に記述したhEF1αプロモーター二重遺伝子ベクターを使用して生成した組換えCHO DG44細胞株からの上清を、プロテインA樹脂を使用して精製した。清澄化した採収物350mLを、MabSelect SuRe樹脂(GE Healthcare)を含有する予め充填されたカラムにロードした。樹脂を、最初に20mMリン酸ナトリウム、1M NaCl(pH7.0)で、次いで20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)で洗浄した。次いで抗体を100mM酢酸で溶出した。回収した産物をOctet(Forte Bio)プロテインAアッセイを使用して定量化し、表3に示す。




  1. (a)宿主細胞において標的ポリペプチドを発現させるための発現ベクターを発現させるステップであって、発現ベクターがフィブロネクチン分泌リーダー配列またはその機能的同等物に作動可能に連結された組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むステップと;
    b)標的ポリペプチドを回収するステップと
    を含む、標的ポリペプチドを生産する方法。

  2. (a)宿主細胞において標的ポリペプチドを発現させるための発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクションまたは形質転換するステップであって、発現ベクターがフィブロネクチン分泌リーダー配列またはその機能的同等物に作動可能に連結された標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むステップと;
    (b)宿主細胞の増殖ならびに宿主細胞からの標的ポリペプチドの発現および分泌が可能な条件下で宿主細胞を培養するステップと、
    (c)標的ポリペプチドを回収するステップと
    を含む、標的ポリペプチドを生産する方法。

  3. フィブロネクチン分泌リーダーが、宿主細胞に対応するように選択される、請求項1または2に記載の方法。

  4. 宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。

  5. 宿主細胞が、CHO細胞である請求項4に記載の方法。

  6. 発現カセットがhEF1aプロモーターを含む、請求項4または5に記載の方法。

  7. 発現カセットがポリA配列を含む、請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。

  8. ポリA配列が、ヒトβグロビンポリA、ウシ成長ホルモンポリA、SV40初期または後期ポリA配列から選択される、請求項7に記載の方法。

  9. フィブロネクチン分泌リーダーが、配列MLRGPGPGLLLLAVQCLGTAVPSTGAまたはMLRGPGPGLLLAVLCLGTAVRCTEAを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。

  10. 2つの発現カセットが利用され、一方の発現カセットがモノクローナル抗体の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2の発現カセットがモノクローナル抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。

  11. 2つの発現カセットが、同じプロモーター、分泌リーダーおよびポリA配列を含む、請求項10に記載の方法。

  12. 宿主細胞がCHO細胞であり、プロモーターがhEF1aプロモーターであり、フィブロネクチン分泌リーダーがチャイニーズハムスターフィブロネクチン分泌リーダーであり、ポリA配列がウシβグロビンポリA配列である、請求項11に記載の方法。

  13. フィブロネクチン分泌リーダー配列またはその機能的同等物に作動可能に連結された標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含む発現ベクターでトランスフェクトされた、チャイニーズハムスター卵巣細胞、好ましくはCHOK1、DG44、DUXKB11またはCHO pro3−細胞。

  14. 標的ポリペプチドが、モノクローナル抗体を含む、請求項13に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  15. 重鎖および軽鎖を含む別々の発現カセットが利用される、請求項14に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  16. 発現カセットが、同じベクターに位置する、請求項15に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  17. 各発現カセットが、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたハウスキーピング遺伝子プロモーター、特にhEF1aプロモーターを含む、請求項13から16のいずれか一項に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  18. 各発現カセットが、ウシ成長ホルモンポリA配列を含む、請求項13から17のいずれか一項に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  19. ジヒドロ葉酸レダクターゼマーカーシステムをさらに含む、請求項13から18のいずれか一項に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  20. ジヒドロ葉酸レダクターゼマーカーシステムが、マウスホスホグリセリン酸キナーゼプロモーターを含む、請求項19に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  21. フィブロネクチン分泌リーダーがCHOフィブロネクチンである、請求項13から20のいずれか一項に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  22. フィブロネクチン分泌リーダーが、配列MLRGPGPGLLLAVLCLGTAVRCTEAを有する、請求項13から21のいずれか一項に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞。

  23. 請求項13から22のいずれか一項に記載のチャイニーズハムスター卵巣細胞を培養するステップを含む、ポリペプチドを生産する方法。

  24. 哺乳動物細胞中で有効なプロモーターおよびフィブロネクチン分泌リーダー配列に作動可能に連結された標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むDNA構築物。

  25. プロモーターが、ハウスキーピングプロモーター、好ましくはhEF1aプロモーターであり、発現カセットが、ウシ成長ホルモンポリA配列をさらに含む、請求項24に記載のDNA構築物。

 

 

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AAV等のウイルスの本来のパッケージング許容限界に近い発現カセットを用いて設計された、AAVベクター等の組換えウイルスベクターを提供する。該組換えウイルスベクターは、残存プラスミドDNA不純物を減少させる。
RNA誘導型ゲノム編集、例えば、CRISPR/Cas9系を用いた編集の特異性を増大させる方法。
【選択図】図5A
自己免疫疾患の治療 // JP2016516725
組成物は、脱毛症等の脱毛をもたらす自己免疫疾患または状態の治療のために使用され得る。
本発明は、特に5 kbより大きい遺伝子の効果的な遺伝子治療を可能にするコンストラクト、ベクター、関連する宿主細胞及び医薬組成物に関する。
【課題】それを必要とする被験者における肥大型心筋症の処置又は予防において有用な遺伝子治療ベクター、該遺伝子治療ベクターを含む細胞、該遺伝子治療ベクター及び/又は該ベクターを含む細胞を含む医薬組成物、そして、該遺伝子治療ベクターを処置の必要がある被験者へ導入することによって、該被験者における肥大型心筋症を処置又は予防する方法を提供する。
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【選択図】図3
1つまたは複数の改変を含むE1Aポリペプチドを含み、1つまたは複数の改変を含むE4orf6/7ポリペプチドを含むアデノウイルスが本明細書に提供される。改変アデノウイルスを含む組成物およびキットも提供される。さらに、対象における増殖性障害を処置する方法であって、1つまたは複数の改変を含むE1Aポリペプチドを含み、1つまたは複数の改変を含むE4orf6/7ポリペプチドを含むアデノウイルスを対象に投与するステップを含む、方法が提供される。
対象の心臓に、経皮逆行性冠静脈洞潅流を介して、SDF−1をコードするDNAプラスミドおよび製薬的に許容できるキャリア又は希釈剤を含有する医薬組成物を投与することを含む、心筋症を有する対象を処置する方法が、本明細書中で記載される。
本発明は、タンパク質をコードする配列を含む、全身投与用の発現系であって、- 骨格筋及び/又は末梢神経系の組織を含む標的組織における治療上許容されるレベルのタンパク質の発現、並びに、- 標的組織以外の組織における、特に心臓における毒性上許容されるレベルのタンパク質の発現を可能にする発現系に関する。
本明細書に記載される、種々の内因性または外因性核酸配列を含む大型標的化ベクター(LTVEC)を使用する、対象のラットゲノム遺伝子座の改変のための組成物及び方法を提供する。生殖細胞系内に1つ以上の標的遺伝子組み換えを含む遺伝子組み換えラットの作製のための組成物及び方法もまた提供する。ラットインターロイキン−2受容体γ遺伝子座、ラットApoE遺伝子座、ラットRag2遺伝子座、ラットRag1遺伝子座、及び/もしくはラットRag2/Rag1遺伝子座における標的遺伝子組み換えを含む遺伝子組み換えラット、又はラット細胞を含む、組成物及び方法を提供する。本明細書において提供する種々の方法及び組成物組成物により、これらの改変遺伝子座は生殖細胞系を通して伝達することが可能となる。
腸内細菌に対して免疫応答を誘引する能力を有するワクチンベクター及び前記を用いる方法が提供される。該ワクチンベクターはpalポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。該palポリペプチドはワクチンベクターの表面で発現され得る。該ワクチンベクターはまた、免疫刺激性ポリペプチド(例えばcd154ポリペプチド又はhmgb1ポリペプチド)をコードする第二のポリペプチドを含むことができる。
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