中空リン酸カルシウム粒子

著者らは特許

A61K - 医薬用,歯科用又は化粧用製剤(薬物を特定の物理的または投与形態に変化させるのに特に適合した装置または方法A61J3/00;空気の脱臭用品,殺菌または消毒用品,あるいは包帯,被覆用品,吸収性パッド,または手術用品のための物質の使用又は化学的事項A61L;石鹸の組成C11D)
A61K6/00 - 歯科用製剤(歯清浄化剤A61K8/00,A61Q11/00;接着箔または接着組成物を利用して口中の歯科補綴を固着するものA61C13/23)
A61K6/0008 - 天然または合成樹脂の使用
A61K8/02 - 特別な物理的形態に特徴があるもの
A61K8/20 - ハロゲン;その化合物
A61K8/24 - リン;その化合物
A61K8/42 - アミド
A61L - 材料またはものを殺菌するための方法または装置一般;空気の消毒,殺菌または脱臭;包帯,被覆用品,吸収性パッド,または手術用物品の化学的事項;包帯,被覆用品,吸収性パッド,または手術用物品のための材料(死体の保存,使用する薬剤によって特徴づけられた消毒A01N;食品または食料品の保存,例.殺菌,A23;医療用,歯科用または化粧用製剤A61K)
A61L27/12 - リン含有材料,例.アパタイト
A61L27/56 - 多孔性または多泡性材料
A61Q11/00 - 歯,口腔または入れ歯の手入れ用製剤,例.歯磨剤,練り歯磨き;口内洗浄剤
B01J13/02 - マイクロカプセルまたはマイクロバルーンの製造

の所有者の特許 JP2016517706:

プシロックス アクチエボラグPsilox AB

 

本発明の目的は、好ましくはストロンチウムイオンを使用することなく、中空、好ましくは多孔質、球形CaP粒子を提供することである。これは、以下の工程:a)ナトリウムイオン20〜200mM、カリウムイオン0.1〜10mMおよびリン酸イオン1〜10mMを含む、pH6〜10を有する精製水の水性緩衝液を提供する工程であって、緩衝液が本質的にストロンチウムを含有しない工程;b)カルシウムイオンを0.1〜2mM未満の範囲で、マグネシウムイオンを0.01〜5mMの範囲で緩衝液に添加して、混合物を形成する工程;c)工程b)の混合物を60〜200℃で少なくとも5分間加熱する工程;d)形成された粒子を単離する工程;およびe)任意選択により、適切な溶媒を使用して、単離された粒子を洗浄する工程;を含む方法によって達成される。その粒子は、カルシウムを40〜70重量%、リン酸を20〜40重量%、マグネシウムを1〜25重量%含む。Ca/P重量比は、1.10〜1.90の範囲であり、粒子の80%を超える量が、粒径200〜1500nmを有する。その粒子は本質的にストロンチウムを含有しない。この粒子を含む組成物は、歯の再石灰化に、または骨空隙充填材料として使用され得る。
【選択図】図1

 

 

本発明は、中空リン酸カルシウム粒子を製造する方法に関する。本発明はさらに、前記粒子を含む組成物ならびに歯科および医療分野でのその使用に関する。
リン酸カルシウム(CaP)および特にヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH),HA)は、骨および歯の鉱物成分とのその類似性ならびにその生体適合性から、医療分野で広く使用される鉱物である。さらに、ヒドロキシアパタイトは、非毒性、生体適合性および生理活性である。これは、ヒドロキシアパタイトが有害ではなく、異物として認識されないことを意味し、一方では、骨の再構築に対して正の効果を有し得ることを意味する。したがって、ヒドロキシアパタイトは、骨の修復において、かつ薬物/遺伝子送達賦形剤、触媒、イオン吸着/交換作用物質、光電剤等として広く使用されている。吸収性ナノ粒子(つまり、生体内で溶解することができる粒子)は、例えば、骨空隙充填剤、薬物送達賦形剤、象牙細管の知覚過敏抑制などの多くの用途に関して特に興味深い。
ヒドロキシアパタイトおよびリン酸三カルシウムなどのリン酸カルシウムは、その優れた生体適合性、生体活性、および骨鉱物との類似性から、生物医学的分野において広く使用されている。リン酸カルシウム粒子のモフォロジー、構造、およびサイズは、硬組織修復および再生、薬物/遺伝子送達、タンパク質吸着、触媒、およびイオン吸着/交換等におけるその用途における特性に影響を及ぼし得る。球形および大きな細孔容積を有する粒子は、薬物送達、タンパク質およびイオン吸着、および骨および歯の充填剤の良い候補である。そのため、近年、益々注目を集めている。
ヒドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウムは、化学的な湿潤法によってフレーク、繊維またはロッド状に自発的に成長する。球形リン酸カルシウムは、イオン置換基、界面活性剤および生体分子などの構造指示剤(structure directing agent)を使用してのみ製造されている。本発明の発明者らは、国際公開第2011/016772号パンフレットにおいて、ストロンチウムイオンがリン酸カルシウムのモフォロジーに影響を及ぼし、中空球が形成されることを示した。
例えば、ロッド状、管状、シート状または球形のナノ粒子が研究されていた今まで、すべてのモフォロジーが、送達粒子、触媒担体、イオン吸着/交換剤等としての役割を果たすのに便利なわけではない。一例として、薬物送達プロセスを効率的にするために、高表面積および多孔質構造が、可能な限り多くの活性物質を吸着するのに有利であり、当然のことながら、生体適合性および担体と物質との相互作用も必要とされる。
CaP粒子を製造する1つの問題は、粒子の粒径分布の制御である。粒径分布は広く、六方対称性およびCaPの格子パラメーターによって引き起こされることが多い。十中八九、C軸に沿って配向し、それによってピン状の形状が生じる。
さらに、時間のかかる技術を用いることなく、または認可を脅かすかもしれない添加剤または置換イオンを使用することなく、形成される中空粒子も必要とされる。
本発明の目的は、好ましくはストロンチウムを使用することなく、中空および好ましくは多孔質、球形CaP粒子、ならびにこれらの粒子を製造する方法を提供することである。本発明の方法は、先行技術によって開示される方法よりも、かなり簡単であり、安価であり、迅速である。
第1の態様において、本発明は、中空コアおよびシェルを有する球形粒子に関し、その粒子は、カルシウム40〜70重量%、リン酸塩20〜40重量%、マグネシウム1〜25重量%を含み、かつCa/Pモル比は1.10〜1.90の範囲であり、かつ粒径は3μm以下、好ましくは1μm未満である。
第2の態様において、本発明は、本発明による粒子を製造する方法であって:
a)ナトリウム、カリウムおよびリン酸イオンを含む、pH2〜10を有する精製水の水性緩衝液を提供する工程であって、前記イオンの濃度が、ナトリウムに関して20〜200mM、カリウムに関して0.1〜10mM、リン酸に関して1〜10mMである工程;
b)カルシウムイオンを0.1〜5mMの範囲で、マグネシウムイオンを0.01〜5mMの範囲で緩衝液に添加して、混合物を形成する工程;
c)工程b)の混合物を60〜200℃で少なくとも2分間加熱する工程;
d)形成された粒子を単離する工程;および
e)任意選択により、適切な溶媒を使用して、単離された粒子を洗浄する工程;
を含む方法に関する。
第3の態様において、本発明は、本発明による粒子と、ペースト形成化合物とを含む漂白ペーストに関し、その粒子はさらに、過酸化物などの漂白剤を含む。
第4の態様において、本発明は、本発明による粒子を含む練り歯磨きに関する。
第5の態様において、本発明は、本発明の粒子を含むインプラント材料に関する。
第6の態様において、本発明は、本発明の方法から得られる粒子に関する。
第7の態様において、本発明は、その粒子または本発明による組成物を含む骨空隙充填材料に関する。
第8の態様において、本発明は、その粒子または本発明による組成物を含む歯科充填材料に関する。
第9の態様において、本発明は、露出した象牙細管の処置のため、かつ/または歯の再石灰化のための、その粒子または組成物の使用に関する。
第10の態様において、本発明は、球形粒子およびペースト形成化合物を含む組成物に関し;その粒子は中空コアとシェルを有し、カルシウム40〜70重量%、リン酸20〜40重量%、マグネシウム1〜25重量%を含み、かつCa/P重量比は1.10〜1.90の範囲であり、かつ平均粒径は1μm以下であり、かつその粒子はストロンチウムを本質的に含まない。
図1は、リン酸カルシウム中空球(:リン酸カルシウム(045−0136))のXRDパターンである:主要な結晶相はリン酸カルシウムであるが、非晶質相も含有する。広いピークは、試料がナノ結晶を含有することを意味する。 図2は、リン酸カルシウム中空球のSEMイメージである。 図3は、リン酸カルシウム中空球のSEMイメージである。 図4は、本発明によるリン酸カルシウム粒子の平均粒径を示し、a)は、ストロンチウムを含まない粒子に関し、b)は、ストロンチウムを含有する粒子に関する。 図5は、SEMイメージである。対照(a〜c)およびSCPS(ストロンチウム含有リン酸カルシウム粒子)1重量%を含むペーストに関する、ブラッシング前(aおよびd)、3日後(bおよびe)および7日後(c)および(f)の歯の表面。 図6は、SEMイメージである。SCPS10重量%を含むペースト(a〜c)およびSCPS10重量%を含む練り歯磨きに関する、ブラッシング前(aおよびd)、3日後(bおよびe)および7日後(c)および(f)の歯の表面。 図7は、SEMイメージである。Sensodyne(登録商標)に関する、ブラッシング前(aおよびd)、3日後(bおよびe)および7日後(c)および(f)の歯の表面。 図8は、SEMイメージである。SCPS10重量%を含むペーストで処置された歯の表面(a〜b)および断面(c〜d)、a)1回ブラッシング、b)1日、c)1回ブラッシング、およびd)7日。 図9は、SEMイメージである。Sensodyne(登録商標)でブラッシングされた歯の表面(a〜b,d)および断面(c)、a)1回ブラッシング、b)1日、c)7日、およびd)7日。再石灰化なし、または少ない再石灰化。 図10は、SEMイメージである。SCPS粒子が付着している、再石灰化された表面。 図11は、SEMイメージである。かき傷がつけられている再石灰化表面、a)は目に見えるかき傷の部位であり、b)はかき傷部位の拡大図である。 図12は、SEMイメージである。酸性溶液にさらされた再石灰化表面、a)酸性溶液に浸漬される前、b)pH2.5に30秒、c)pH2.5に2分、d)pH6に30秒、e)pH6に2分。 図13は、SEMイメージである。CPS0.5重量%を含むペーストで、それぞれ3日および7日間処置した後のそれぞれの歯の表面a)およびb)。 図14は、SEMイメージである。CPS1重量%を含むペーストで、それぞれ3日および7日間処置した後のそれぞれの歯の表面a)およびb)。歯は3日後に一部覆われるが、7日後には完全に覆われる。 図15は、SEMイメージである。CPS5重量%を含むペーストで、それぞれ3日および7日間処置した後のそれぞれの歯の表面a)およびb)。表面および露出細管は3日後に一部覆われており、7日後にも表面は完全に覆われる。 図16は、SEMイメージである。CPS5重量%を含むペーストで処置した後の歯の表面、それぞれa)ブラッシング前、b)3日後およびc)7日後)。3日後に表面および露出細管は完全に覆われており、7日後にも表面は完全に覆われ、再石灰化される。 図17は、SEMイメージである。本発明による粒子で充填された象牙細管を示す歯の断面。露出細管も再石灰化されていた。 図18は、ローダミンBを含む溶液中の本発明の粒子(SCPS)からの過酸化物のローディングおよび放出を決定するための吸光度測定を示す。 図19は、黄茶(yellow tea)を含む溶液中の本発明の粒子(SCPS)からの過酸化物のローディングおよび放出を決定するための吸光度測定を示す。 図20は、本発明による粒子からの過酸化物の放出曲線を示す。 図21は、漂白前および漂白後(45分および24時間)の歯の写真を示す。 図22は、粒子が付着したエナメル表面を示すSEM写真である。 図23は、Ca溶液中で110℃にて24時間処置した後の球のXRDパターンである(:ヒドロキシアパタイト,#:β−TCP)。 図24は、Ca溶液中で110℃にて24時間処置した後の球のSEMイメージである。 図25は、Ca溶液中で110℃にて48時間処置した後の球体のXRDパターンである(:ヒドロキシアパタイト,#:β−TCP)。 図26は、Ca溶液中で110℃にて48時間処置した後の球のSEMイメージである。 図27は、Ca溶液中で処置する前のXRDパターンである。 図28は、本発明による中空粒子である。 図29は、本発明による中空粒子である。 図30は、本発明によるA〜C,中空粒子である。 図31は、本発明による中空粒子である。 図32は、本発明による中空粒子である。 図33は、本発明による中空粒子である。 図34は、本発明による中空粒子である。 図35は、本発明による中空粒子である。 図36は、本発明による中空粒子である。
本発明において、「ペースト形成化合物」という用語は、本発明の粒子と混合してペーストを形成することができる化合物に関する。ペースト形成化合物は、粒子に添加されると混合物の粘度を増加する。ペースト形成化合物の非限定的な例は、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールおよび多糖、例えばセルロース、ヒアルロナンおよびキトサンである。
定比化学量論型ヒドロキシアパタイト(HA)の化学式はCa10(PO(OH)であるが、本出願の目的では、多くの変形形態を使用することができる。本発明は主に、限定されないが、ケイ酸二カルシウム二水和物(DCPD)、リン酸オクタカルシウム(OCP)、リン酸三カルシウム(TCP)、および非晶質リン酸カルシウム(ACP)またはそのいずれかの誘導体を含むリン酸カルシウム(CaP)という用語で説明されている。多種多様なイオンを3つの副格子(カルシウム、リン酸およびヒドロキシド格子)に組み込むことができ、それによって、例えば溶解性、結晶構造、結晶化度、結晶サイズまたは多孔度などの材料の特性を変化させることができる。潜在的には、カチオン置換イオンは、Si4+、Zn2+、Ba2+、Fe3+またはTi4+であり、アニオン置換イオンは、Cl、F、HCO3−またはCO32−である。イオン置換の供給源は、限定されないが、NaSiO、ケイ酸カルシウム、例えば(CaOSiO、CaO(SiO、CaO(SiO);ZnCl、ZnSO、BaCl、FeCl、Fe(NO、NaCO、NaF、NaFPONaHCOまたはNaTiOまたは適切なマグネシウム供給源など、置換されるべきイオンを含有する可溶性塩およびわずかに可溶性の塩であることができる。
本出願は、鋳型または焼結工程を用いることなく、リン酸カルシウムの中空球形粒子を製造する方法を開示し、代わりに、本発明は、温度主導型の方法であり、図1〜3を参照のこと。
先のイオンドープされたリン酸カルシウム球と比較して、本発明は、温度主導型のプロセスであり、中空モフォロジーを得るためにストロンチウムを添加する必要がある先行技術と比べて、本明細書に示す方法はストロンチウムに依存しない。ストロンチウムの使用に依存しない方法を開発することによって、本発明の発明者らは、かなり安価であり、規制上の観点から認可がかなり容易である、中空リン酸カルシウムの製造方法を容易にする。
粒子
本発明の粒子は、カルシウム(Ca)40〜70重量%、リン酸(PO)20〜40重量%およびマグネシウム(Mg)1〜25重量%を含む。その粒子は、他のイオンも含有し得る。一実施形態において、マグネシウムの濃度は3〜15重量%である。他の実施形態において、マグネシウムの濃度は1〜10重量%である。一実施形態において、粒子は、カルシウム55〜65重量%、リン酸25〜35重量%およびマグネシウム3〜15重量%を含む。Ca/Pモル比は、1.10〜1.90、例えば1.10〜1.70であり得る。一実施形態において、その比は1.30〜1.70である。一実施形態において、その比は1.40〜1.50である。対イオンとして緩衝液中で使用されるため、粒子は、微量のカリウムおよび/ナトリウムを含有し得る。しかしながら、粒子がEDSで分析された場合に、これらの対イオンは検出されていない。
本発明の粒子は、いわゆる置換イオンと呼ばれる他のイオンを含み得る。カチオンイオンの非限定的なリストはSi4+、Zn2+、Ba2+、Fe3+またはTi4+であり、アニオン置換イオンに非限定的なリストはCl、F、HCO3−またはCO3である。他の実施形態において、この粒子は、ストロンチウムを本質的に含有せず、例えば1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満、または0.01重量%未満である。他の実施形態において、本発明の粒子はストロンチウムを含有しない。一実施形態において、その粒子はさらに、ケイ素、亜鉛およびフッ化物イオンから選択されるイオンのうちの少なくとも1種類を含む。
平均粒径、直径は小さく、好ましくは3μm以下である。これによって、また空孔の充填を容易にするためにも、質量当たりの表面積が大きくなるが、粒子が象牙細管に入り、充填することが容易になる。練り歯磨きとして、または漂白ペーストとして適したペーストを製造することが難しくなるため、粒子のサイズは小さ過ぎないほうがよい。理論によって束縛されないが、粒子サイズは、歯に貼りつく粒子の能力に影響するとも考えられる。一実施形態において、粒子は、2μm以下、または1μm以下、または800nm以下(平均粒径)である。一実施形態において、平均粒径は200〜1500nmである。一実施形態において、粒子は10nm以上、または50nm以上、または100nm以上、または300nm以上、または450nm以上である。一実施形態において、平均粒径は550〜600nmである。一実施形態において、その粒子の80%を超える量は、粒径450〜700nmを有する。図4から分かるように、ストロンチウムを使用した場合、平均粒径は高くなる。さらに、ストロンチウムを使用した場合、粒径分布もかなり広くなる。平均粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡法)およびリニアインターセプト法を用いて粒子100個を調べることによって決定される。
本発明の粒子は、外部シェルを有する中空である。粒子のコア部分は好ましくは、リン酸カルシウム材料を全く含まない空隙である。一実施形態において、粒子のシェルは多孔質であり、他の実施形態において、シェルは高密度である。一実施形態において、シェルの厚さは10〜100nm、例えば30〜70nmである。一実施形態において、シェルの細孔は、150nmまでの平均孔径、例えば20〜100nmの平均孔径を有する。
一実施形態において、粒子は、中空コアとシェルを有し、その粒子は、カルシウム40〜70重量%、リン酸20〜40重量%、マグネシウム1〜25重量%を含み、Ca/P重量比は、1.10〜1.90、好ましくは1.10〜1.70の範囲であり、粒子のうちの80%を超える量が粒径200〜1500nm、または好ましくは450〜700nmを有し、その粒子は本質的にストロンチウムを含有しない。図28〜36に、中空コア(中空部分を指す矢印)を有する、本発明による粒子が明確に開示されている。得られた粒子の中空構造を研究する方法の1つは、樹脂に粒子を埋込み、粒子表面の一部を除去するために手でそれを研磨することによる方法である。図30A〜Cを参照のこと。
本発明の粒子の結晶化度は、例えば歯の再石灰化に影響を及ぼし得る。結晶化度は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%であり得る。本発明の粒子は、多くの結晶から構成される。
得られた粒子は少なくとも一部、ヒドロキシアパタイトの結晶構造および組成を有することが好ましい場合がある。例えば、規制上の観点から、粒子がヒドロキシアパタイトの結晶構造および組成を有する場合には有益であり得る。一実施形態において、結晶構造の少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%は、XRDスペクトルからのリートベルト解析を使用して決定されるヒドロキシアパタイトの結晶構造である。一実施形態において、本発明による粒子は、20〜70%、例えば30〜60%のヒドロキシアパタイト結晶化度を有する。
本発明の粒子は、600℃までの温度で維持した場合にそのモフォロジーを保持する。
方法
pH2〜10、好ましくはpH6〜10、またはpH6〜9、好ましくは6.5〜8またはさらに好ましくはpH7.0〜7.5を有し、カルシウム、リン酸、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムイオンを含む水性緩衝液中で合成が行われる。沈殿前および後の溶液のpH値は安定している。
カルシウムイオンの濃度は、0.1〜5mMの範囲であることができ、マグネシウムイオンの濃度は0.01〜5mMの範囲であることができ、リン酸イオンの濃度は1〜10mMの範囲であることができる。一実施形態において、カルシウムイオン濃度は、0.1〜2mM未満、または0.2〜1mMであり、他の実施形態において、マグネシウムイオン濃度は0.02〜1mMである。一実施形態において、Ca:Mgモル比は、1:3〜4:1、例えば1:2〜3:1、または1:1〜2:1である。
ナトリウム(Na)およびカリウム(K)イオンは、緩衝液を安定化し、かつ対イオンとして作用すると考えられる。したがって、これらのイオンは、形成した粒子中で見いだされると予想されない、あるいは少なくとも多量には見いだされない。一実施形態において、溶液中のナトリウムイオンの濃度は0.01〜1420mMの範囲であり、カリウムイオンの濃度は0.01〜1420mMの範囲である。ナトリウムの濃度は、20〜200mM、または30〜150mMであることができ、カリウムイオンの濃度は、0.1〜10、または0.5〜5mMであることができる。ナトリウムイオンはNaClまたはNaHPOとして、またはその組み合わせとして添加されてもよく、カリウムイオンはKClまたはKHPOとして、またはその組み合わせとして添加されてもよい。一実施形態において、Na:Kモル比は、23:1を超える、好ましくは30:1を超える、さらに好ましくは35:1を超える。好ましくは、緩衝液は、ストロンチウムイオンを本質的に含有せず、例えば0.01mM未満、または0.005mM未満である。
理論によって束縛されないが、マグネシウムイオンの存在および溶液の高温は、中空構造の形成を促進すると考えられる。
一実施形態において、ナトリウム:カリウム:リン酸のモル比は20〜170:0.5〜5:1〜15である。他の実施形態において、モル比は30〜150:1〜4:2〜10である。CaとPのモル比は、1:10に近く、例えば1:9.0〜1:11、または1:9.5〜1:10.7、または1:10〜1:10.5である。
好ましくは、緩衝液は、カルシウムとマグネシウムイオンを添加する前に調製される。
緩衝液および粒子はさらに、置換イオンを含有し得る。潜在的に、カチオン置換イオンはSi4+、Zn2+、Ba2+、Fe3+またはTi4+であり、アニオン置換イオンはCl、F、HCO3−またはCO32−である。イオン置換の供給源は、限定されないが、NaSiO、ケイ酸カルシウム、例えば(CaOSiO、CaO(SiO、CaO(SiO);ZnCl、ZnSO、BaCl、FeCl、Fe(NO、NaCO、NaF、NaFPONaHCOまたはNaTiOなど、置換されるべきイオンを含有する可溶性塩およびわずかに可溶性の塩であることができる。
水性緩衝液の調製に使用される水は精製水である。その脱イオン化、蒸留、二重蒸留された水または超純水であり得る。例えば、その水はMilli−Q(登録商標)であってもよい。
上記のように、本発明の方法は温度主導型であり、それは、温度が低すぎる場合には、球体および特に中空球が形成されない、または少なくとも適正な時間内に形成されないであろうことを意味する。本発明における温度は、少なくとも60℃、または少なくとも70℃、または少なくとも80℃である。その温度は、90℃以上、100℃以上、または200℃以下、または150℃以下であり得る。好ましい温度範囲は、約60℃〜170℃、または70℃〜150℃、または約80℃〜120℃である。この方法は、静的プロセス、撹拌または振盪プロセスまたは熱水プロセスであることができる。
適切な技術、例えば濾過、蒸発、遠心分離またはその組み合わせを用いて、粒子が単離され得る。図4に開示される粒径分布は、100nm以下の粒子を通すことができるフィルターを使用して濾過した後に得られる。言い換えると、本発明の方法自体から、図4に示される粒径分布が生じ、濾過プロセスはほとんど、水を除去するためにのみ使用される。
本発明の方法は、合成時間を非常に短くするのに役立つが、その時間は粒径分布に影響を及ぼすとも考えられる。合成時間は1分であり得るが、数時間でもあり得る。一実施形態において、合成時間は、少なくとも2分、または少なくとも5分、または少なくとも10分、または少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも6時間、または少なくとも20時間である。得られた粒子は本質的に、β−TCPなどのTCP構造を有する。一実施形態において、この方法は、60〜200℃で少なくとも5分間の加熱を含む。
ヒドロキシアパタイトの結晶構造および組成は、追加の方法工程によって得られる。カルシウムイオンを含む溶液中に適切な期間、例えば少なくとも1時間、または少なくとも3時間、または少なくとも7時間、または少なくとも12時間、任意選択により洗浄された、得られた球形中空粒子を入れることによって、得られた粒子はヒドロキシアパタイト構造を有する。一実施形態において、適切な期間は10〜24時間である。次いで、球形中空粒子は少なくとも一部ヒドロキシアパタイト結晶構造を形成し、例えば、得られた中空粒子の結晶構造が主にβ−TCPである場合には、粒子はこの処理後に、少なくとも一部ヒドロキシアパタイト結晶構造および組成を含有する。それは、カルシウムイオンが予め形成された粒子内に拡散し、結晶構造を変化させる、拡散プロセスである。
追加工程のカルシウムイオンの溶液は、カルシウム塩濃度0.1〜1.0Mを有し、塩の非限定的な例は、硝酸カルシウムおよび塩化カルシウムである。このプロセス時間は温度に依存し、温度の上昇に伴って減少する。溶液は好ましくは、少なくとも60℃、または少なくとも70℃の温度に加熱される。一実施形態において、その温度は60℃〜150℃である。他の実施形態において、その温度は80℃〜120℃である。次いで、適切な技術を用いて、得られた粒子は分離され、適切な溶媒、例えばアルコールを使用して洗浄され得る。
結晶化度を高めるために、形成された粒子を熱処理してもよい。一実施形態において、粒子は少なくとも100℃の温度で少なくとも30分間、処理される。他の実施形態において、例えば80℃以上、または100℃以上で粒子をオートクレーブ処理する。他の実施形態において、粒子は、少なくとも300℃の温度で少なくとも1時間処理される。結晶化度が高いほど、粒子の溶解性が減少し、それは、特定の用途において、例えば空隙充填剤としてインプラントにおいて使用される場合、または粒子が長期間必要とされるどの場合にも有益であり得る。今日使用されている多くのリン酸カルシウム材料は、完全に非晶質であるか、またはごく低い結晶化度を有する。本発明は、高度に結晶質の粒子が得られる方法を示す。
用途
本発明の粒子は、漂白剤またはペーストとして使用することができる。先行技術の問題は、漂白によってエナメルも劣化し、その結果、歯肉炎症の感受性が増加することであった。本発明は、漂白工程中および/または漂白工程後に歯を再石灰化する、本発明の粒子を使用して、漂白剤を局所的に送達することを目標とする。本発明の粒子を有する漂白剤の製造は:
− 本発明の粒子および漂白添加剤の溶液、例えば過酸化物溶液を提供する工程;
− その粒子と溶液、例えば過酸化物溶液とを混合する工程;および
− 漂白添加剤含有粒子を単離する工程;
を含む。
使用される過酸化物は、過酸化水素または過酸化カルバミドまたはその混合物であり得る。歯の漂白添加剤の他の非限定的な例としては、過炭酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、ペルオキシモノスルフェート、過酸化物+金属触媒および酸化還元酵素が挙げられる。溶液中の過酸化物の濃度は、0.1〜60重量%、例えば1重量%以上、または5重量%以上、または10重量%以上または15重量%以上、または20重量%以上、または25重量%以上であり得るが、55重量%以下、または50重量%以下、または45重量%以下、または40重量%以下であり得る。例えば、その濃度は、過酸化カルバミドについては10〜60重量%、過酸化水素については0.1〜35重量%、例えば10〜35重量%であり得る。
一実施形態において、混合は、数秒間または1分〜3時間、または10分〜2時間、続けられる。単離された粒子は、適切な溶媒、例えば水を用いて洗浄されるか、またはすすがれる。
漂白ペーストの製造は:
− 上述の漂白剤およびペースト形成化合物を提供する工程;および
− その漂白剤とペースト形成化合物とを混合する工程;
を含む。
ペースト形成化合物/漂白剤の重量比は、100:1〜1:5、例えば20:1〜1:4、または5:1〜1:3、または2:1〜1:2、または1:2〜1:5であり得る。一実施形態において、ペースト中の漂白添加剤の濃度は、0.1〜35重量%、例えば1重量%以上、または10重量%以上、または35重量%以下、または25重量%以下、または15重量%以下である。一実施形態において、ペースト形成化合物はグリセロールである。ペーストはまた、水を含有しないか、または少なくとも本質的に水を含有しないか、または水は少なくとも2重量%未満、または好ましくは1重量%未満、またはさらに好ましくは0.5重量%未満またはさらに好ましくは0.1重量%未満である。
一実施形態において、予めローディングされた球体(例えば、過酸化カルバミドがロードされた)およびグリセロールを含有するペーストが1つの区画に配置され、第2のペーストが水ベースの過酸化水素を含有し、第2区画に配置される、二区画システムで漂白剤が送達される。次いで、例えば混合先端部(mixing tip)によって歯の表面に塗布する際に、2種類のペーストが混合される。
図18および19から分かるように、本発明の粒子は、漂白添加剤をローディングおよび放出するのに適している。これは、おそらく粒子の中空および多孔質モフォロジーによるものである。図20は、ロードされた粒子の放出曲線も示し、最初のバースト放出後に、徐放が示されている。本発明の粒子は、漂白添加剤の徐放を促進し、それによって、その効果が延長されたため、前記添加剤を少量で使用することが可能となる。
漂白剤またはペーストは、変色した歯に添加することができ、そこで漂白添加剤が放出され、粒子が歯を再石灰化し始める。
本発明は、練り歯磨きを製造するために使用してもよい。練り歯磨きは、
− 上述のように好ましくは漂白剤またはペーストとして本発明の粒子、ペースト形成化合物、および界面活性剤を提供すること;および
− 前記成分を混合すること;
によって製造される。
本発明による組成物の一実施形態において、球形粒子の量は、少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、または少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%である。例えば、練り歯磨きは、粒子を0.5〜50重量%、例えば1重量%以上、または3重量%以上、または5重量%以上、または7重量%以上、または10重量%以上、または50重量%以下、または30重量%以下、または20重量%以下、または15重量%以下含み得る。ペースト形成化合物として、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたは多糖、例えばナトリウムセルロースなどのセルロース、ヒアルロナン、キトサンまたはグリセロールまたはその混合物が使用され得る。ペーストは水も、例えば0.1〜5重量%含有し得るが、一実施形態において、ペーストは本質的に水を含有しない。一実施形態において、組成物は水を含有しない。水の量が制限される理由は、水中で長期間保存されると粒子が劣化するためである。ペーストは、更なるグリセロール、任意選択によりソルビトールなどの甘味料も含有し得る。ペーストはさらに、NaFおよび/または安息香酸ナトリウムを含み得る。この練り歯磨きは、歯の知覚過敏防止および再石灰化に良い。一実施形態において、練り歯磨きは:本発明の粒子12%、ナトリウムセルロース2%、グリセロール40%、ソルビトール10%、ラウリル硫酸ナトリウム1%、NaF0.1%、安息香酸ナトリウム0.1%および水34.8%;を含む。
本発明の粒子は、インプラント材料として、または骨空隙充填剤として使用することもできる。本発明の粒子または組成物は、象牙細管およびさらに再石灰化などの空洞の充填に高い可能性を示しており、したがって、本発明は、骨空隙充填材料に、または露出した象牙細管および歯もしくは骨の再石灰化の治療に適している(表1を参照)。粒子のそのサイズは、象牙細管または他の空洞にそれらが入るのを容易にし、理論に束縛されることなく、粒子のそのサイズでは、粒子が歯に付着するようにもなり、それによって、治療部位に長くとどまるようになり、粒子および組成物がより効率的になると考えられる。しかしながら、粒子が小さすぎると取り扱いが非常に難しく、取り扱いが容易なペーストを製造することが非常に難しい。中空モフォロジーは粒子に活性物質をローディングすることを可能にし、そのため粒子が軽くなる。したがって、本発明による粒子は、薬物/遺伝子送達賦形剤として使用され得る。

実施例1:
調製:NaCl、KCl、NaHPOおよびKHPOをモル比137.0:2.7:8.1:1.5で水に溶解して、リン酸緩衝溶液(pH7.4)を形成する。塩化物などのカルシウム(1mM)およびマグネシウム(0.5mM)塩をその溶液に溶解する。調製した状態のままの緩衝液を撹拌しながら80℃で加熱する。6時間後、沈殿物を濾過し、エタノールで2回洗浄する。結晶化度、組成、およびモフォロジーをそれぞれ、XRD、EDSおよびSEMによって分析する。

実施例2:
調製:NaCl、KCl、NaHPOおよびKHPOをモル比63.5:1.4:4.1:0.7で水に溶解して、リン酸緩衝溶液(pH7.4)を形成する。次いで、塩化物などのカルシウム(0.5mM)およびマグネシウム(0.3mM)塩をその溶液に溶解する。調製した状態のままの緩衝液を撹拌しながら80℃で加熱する。6時間後、沈殿物を濾過し、エタノールで2回洗浄する。
実施例3:
調製:NaCl、KCl、NaHPOおよびKHPOをモル比31.8:0.7:2.1:0.4で水に溶解して、リン酸緩衝溶液(pH7.4)を形成する。次いで、塩化物などのカルシウム(0.25mM)およびマグネシウム(0.15mM)塩をその溶液に溶解する。調製した状態のままの緩衝液を撹拌しながら80℃で加熱する。6時間後、沈殿物を濾過し、エタノールで2回洗浄する。
実施例4:
調製:NaCl、KCl、NaHPOおよびKHPOをモル比44.3:0.9:2.7:0.5で水に溶解して、リン酸緩衝溶液(pH7.4)を形成する。次いで、塩化物などのカルシウム(0.34mM)およびマグネシウム(0.13mM)塩をその溶液に溶解する。調製した状態のままの緩衝液を撹拌しながら80℃で加熱する。6時間後、沈殿物を濾過し、エタノールで2回洗浄する。
実施例5:
調製:NaCl、KCl、NaHPOおよびKHPOをモル比137.0:2.7:8.1:1.5で水に溶解して、リン酸緩衝溶液(pH7.4)を形成する。次いで、塩化物などのカルシウム(1mM)およびマグネシウム(0.02〜0.4mM)塩をその溶液に溶解する。調製した状態のままの緩衝液を撹拌しながら80℃で加熱する。6時間後、沈殿物を濾過し、エタノールで2回洗浄する。
実施例6:
4種類の異なるペーストを調製して、歯および象牙細管の再石灰化を研究した。1つのペースト(対照)は、セルロースおよび水を含み、1つのペーストはストロンチウム含有粒子(SCPS)1重量%と共にグリセロールを含み、1つのペーストは、グリセロールと、SCPS10重量%を含み、1つのペーストは、SCPS12%、ナトリウムセルロース2%、グリセロール40%、ソルビトール10%、ラウリル硫酸ナトリウム1%、NaF0.1%、安息香酸ナトリウム0.1%および水34.8%を含んだ(練り歯磨きを意味する)。
比較研究は、バイオグラスを含有するSensodyne(登録商標)でも行った。ヒトの歯をスラブ状に切断した。歯ブラシを使用して、各スラブをペーストで3分間ブラッシングし、水道水で約30秒間すすぎ、残留物を除去した。次いで、試料を37℃の疑似唾液中に3時間入れた。このプロセスを1週間、1日3回繰り返した。
図5〜9から、対照は全く効果を示さないのに対して、SCPS1重量%を有するペーストは、3日後にすでに再石灰化を示し、7日後には全表面がほぼ再石灰化されていたことが分かる。SCPS10重量%を含有するペーストおよび「練り歯磨き」のどちらも、非常に速い再石灰化を示した。ほんの3日後には、全表面がほぼ覆われ、再石灰化された。断面図8c〜dには、粒子が象牙細管内に入り、前記細管を再石灰化したことが開示されている。
相対的に、Sensodyne(登録商標)は同じ効果を全く示さなかった。1週間後でさえ、明らかな再石灰化は見られなかった。図において目に見える大きな粒子は、バイオグラスであると考えられる(図7および9)。
図10および11には、再石灰化された表面には粒子が付着することが可能となり、更なる再石灰化が可能となり、その表面は傷に対する耐性があることも開示されている。
表1には、CPSと比較した結果も開示されている。
実施例7:
再石灰化された表面が酸環境にどのように耐えるかを試験するために、2週間ブラッシングされた歯のプレートを使用した。2つの異なる緩衝液を使用し、1つはpH2.5(通常の炭酸ソフトドリンクと同様な)を有し、1つはpH6を有する。歯のプレートをその溶液に30秒間および2分間入れた。
図12bおよびc。pH2.5において30秒後、表面は、石灰化CaPによってまだ覆われていた。2分後、一部の象牙細管を確認することができたが、表面の大部分がまだ石灰化されていた。
図12dおよびe。pH6において30秒後および2分後に、表面はまだ、石灰化CaPによって覆われていた。
実施例8:
グリセロール、およびストロンチウムを含有しない粒子(CPS)0.5、1、5および10重量%を含むペーストを調製した。ヒトの歯をスラブ状に切断した。歯ブラシを使用して、各スラブをペーストで3分間ブラッシングし、次いで水道水で約30秒間すすぎ、残留物を除去した。次いで、試料を37℃の疑似唾液中に3時間入れた。このプロセスを1週間、1日3回繰り返した。
0.5重量%を含むペーストは、7日後に表面が一部、粒子によって覆われ、一部の再石灰化がみられることを示した(図13参照)。1重量%を含むペーストは、3日後にその表面上に多くの粒子、7日後には表面が完全に覆われていたことを示した(図14参照)。5重量%を含むペーストは、既に3日後には表面が完全に覆われている結果となった(図15)。10重量%を含むペーストは、既に3日後には表面は完全に覆われ、再石灰化されている結果となった(図16)。粒子はまた、象牙細管内に入り、前記細管を再石灰化した(図17)。
表1は、Sensodyne(登録商標)、Colgate(登録商標)およびSCPSと比較した結果も開示する。
実施例9:
材料
(1)試験溶液:ローダミンBおよび黄茶溶液
(2)群:対照、過酸化カルバミド(UCP)、UCPロードSCPS球(UCP@SCPS)
方法
(1)UCPローディング:SCPS粉末0.2gを10重量%UCP溶液5mlに撹拌しながら3時間浸漬し、次いで遠心し、浄化し、37℃で乾燥させた。
(2)漂白:(オーブン内で37℃にて24時間)
対照:パラフィンによって覆われたガラスビーカー内の色素3ml(ローダミンおよび黄茶溶液)
UCP:パラフィンによって覆われたガラスビーカー内の色素3mlにUCP0.05gを入れた。
UCP@SCPS:パラフィンによって覆われたガラスビーカー内の色素3mlにUCP@SHA0.05gを入れた。
結果
ローディングおよびお茶の溶液の吸光度は、溶液がUCP@SCPS粉末と混合された後に低下した。これは、UCPがSCPSにローディングされ、次に放出され得たことを意味する。図18および19を参照のこと。
(1)温度は漂白作用に影響する。温度が高いほど良くなる。
(2)UCPが湿った粉末状であるため、UCP@SHA粉末は粘着性である。
実施例10
粒子からの過酸化物の放出
粒子を過酸化カルバミド(CP)でローディングした。ローディングされた粒子を1:10の比でPBS(pH7.4)と混合した。化学発光を用いて、過酸化物の放出を決定した。1群につき8〜10個の試料を使用した。
結果は初期バースト作用を示したが、次に徐放を示した(図20参照)。
実施例11
試験前の10日間までの期間、歯をお茶で染色した。EasyShadeを使用して、それぞれの歯について個々に、ベースライン色調(baseline shade)[L]を決定した。
2種の異なる漂白ペーストを調製し、試験した。第1ペーストは、過酸化物(H)がローディングされた本発明の粒子を有する水性ペーストであり、ペースト中の過酸化物濃度は20重量%(Psilox 20%)であり、対照として、過酸化物(H)36重量%を有する市販の製品を使用した。第2ペーストは、過酸化物(H)濃度3重量%(Psilox 3%)を有する、過酸化物(H)がローディングされた本発明の粒子を有する水不含ペーストであり、対照として、過酸化物(H)10重量%を有するストリップが使用された。
45分の曝露中にPsilox20%を試験し、続いて洗浄し、次いで室温で保管し、10分後および24時間後に[L]を経過観察測定した。それぞれの塗布の間の15分で対照を3回塗布し、[L]を45分後に決定した。
45分の曝露中にPsilox 3%を試験し、続いて洗浄し、次いで室温で保管し、2時間後に[L]を経過観察測定した。対照(ストリップ)をIFUに従って適用した(230分の曝露)。
各測定の間の[L]の変化としてデータが示される。SEMを用いて、表面を研究し、表面に対する球の最終的な付着性が決定され、各測定後に写真を撮った。

対照は6〜8シェードを漂白したが、Psilox 20%は、かなり少ない量の過酸化物を使用して、45分後に約半分を漂白し、24時間後に対照とほぼ同じ程度を漂白した(図21参照)。これは、本発明によって、表面に付着する粒子が放出され続けることによって、漂白され続けることも示す。
Psilox 3%は、対照より短い曝露時間後に、かつ少ない量の過酸化物を使用して、対照よりも多く漂白した。
SEM写真から、粒子がエナメル表面に付着したことが確認された(図22参照)。
実施例12
実施例1から得られた粒子20mgを硝酸カルシウム溶液(0.5M)20mlに浸した。次いで、ミキサーをTeflon容器内に密閉し、オーブン内で110℃にて24時間保管した。熱処理後、ミキサーを遠心し、球を分離した。得られた球をXRDおよびSEMによって分析し、結晶化度およびモフォロジーを確認した。リートベルト解析を用いて、相の組成を決定した。XRD分析によって、より多くのHAピークが現れることが示される。解析の結果から、HA約42%、リン酸三カルシウム58%を含有することが示される(図23参照)。SEMイメージから、粒子がまだ球形であることが分かる(図25参照)。
実施例13
実施例1から得られた粒子20mgを硝酸カルシウム溶液(0.5M)20mlに浸した。次いで、ミキサーをTeflon容器内に密閉し、オーブン内で110℃にて48時間保管した。熱処理後、ミキサーを遠心し、球を分離した。得られた球をXRDおよびSEMによって分析し、結晶化度およびモフォロジーを確認した。リートベルト解析を用いて、相の組成を決定した。XRD分析によって、熱処理前の球と比較してより多くのHAピークが現れ、ピークの強度が増加することが示される(図25参照)。解析の結果から、HA約58%、リン酸三カルシウム42%を含有することが示される。SEMイメージから、粒子がまだ球形であるが、よりフレーク状の結晶が表面に形成することが分かる(図26参照)。
実施例14
異なるパラメーターを変化させることによって、リン酸カルシウム球を製造するための実験的セットアップを行った。1つのパラメーターを変化させた場合に、残りのパラメーターを標準実験設定に従って固定した(pH7.4、温度100℃、時間24時間、Na:K比35:1およびCa:PO比1:10)。
SEMを用いてすべての試料を解析し、一部が図に開示される。図32は、試験11の結果を示し、図33は、試験12の結果を示し、図34は試験15の結果を示し、図34は試験20の結果を示し、図35は試験18の結果を示し、図36は試験19の結果を示す。




  1. 中空コアとシェルとを有する球形粒子において、前記粒子が、カルシウム40〜70重量%、リン酸20〜40重量%、およびマグネシウム1〜25重量%を含み、かつCa/P重量比が1.10〜1.90の範囲であり、かつ前記粒子のうち80%を超える量が粒径200〜1500nm、好ましくは450〜700nmを有し、かつ前記粒子が本質的にストロンチウムを含有しないことを特徴とする、球形粒子。

  2. 請求項1に記載の球形粒子と、ペースト形成化合物と、を含むことを特徴とする、組成物。

  3. 請求項2に記載の組成物において、前記粒子の結晶化度が、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%であることを特徴とする、組成物。

  4. 請求項2または3の何れか1項に記載の組成物において、前記粒子がストロンチウムを含まないことを特徴とする、組成物。

  5. 請求項2乃至4の何れか1項に記載の組成物において、平均粒径が550〜600nmであることを特徴とする、組成物。

  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の組成物において、前記粒子の前記シェルが多孔質であることを特徴とする、組成物。

  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の組成物において、前記粒子が、カルシウム55〜65重量%、リン酸25〜35重量%およびマグネシウム4〜8重量%を含み、かつCa/P比が1.40〜1.50の範囲であることを特徴とする、組成物。

  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の組成物において、前記粒子がさらに、ケイ素、亜鉛およびフッ化物から選択されるイオンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、組成物。

  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の組成物において、粒子の含有率が、少なくとも0.5重量%、または少なくとも1重量%、または少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%であることを特徴とする、組成物。

  10. 請求項1に記載の粒子を製造する方法において、
    a.pH6〜10を有し、ナトリウム、カリウムおよびリン酸イオンを含む精製水の水性緩衝液を提供する工程であって、前記イオンの濃度が、ナトリウムは20〜200mM、カリウムは0.1〜10mM、リン酸は1〜10mMであり、かつ前記緩衝液がストロンチウムを本質的に含有しない工程;
    b.0.1〜2mM未満の範囲のカルシウムイオン、0.01〜5mMの範囲のマグネシウムイオンを前記緩衝液に添加し、混合物を形成する工程;
    c.工程b)の前記混合物を60〜200℃で少なくとも5分間加熱する工程;
    d.形成された粒子を単離する工程;および
    e.任意選択により、適切な方法を用いて、前記の単離された粒子を洗浄する工程;
    を含むことを特徴とする、方法。

  11. 請求項10に記載の方法において、形成された粒子が、少なくとも100℃の温度で少なくとも30分間熱処理されることを特徴とする、方法。

  12. 請求項10または11の何れか1項に記載の方法において、前記加熱工程が、少なくとも1時間または少なくとも2時間、または少なくとも6時間であることを特徴とする、方法。

  13. 請求項10乃至12の何れか1項に記載の方法において、前記緩衝液のpHが6.5〜8であることを特徴とする、方法。

  14. 請求項10乃至13の何れか1項に記載の方法において、Na:K:POの比が、20〜170:0.5〜5:1〜15の範囲であることを特徴とする、方法。

  15. 請求項10乃至14の何れか1項に記載の方法において、前記精製水が、脱イオン水、蒸留水、二重蒸留水または超純水であることを特徴とする、方法。

  16. 請求項2乃至9の何れか1項に記載の組成物を含む漂白ペーストにおいて、前記粒子がさらに、過酸化物を含むことを特徴とする、漂白ペースト。

  17. 請求項2乃至9の何れか1項に記載の組成物を含むことを特徴とする、練り歯磨き。

  18. 請求項1に記載の粒子を含むことを特徴とする、インプラント。

  19. 請求項1に記載の粒子または請求項2乃至9の何れか1項に記載の組成物を含むことを特徴とする、骨空隙充填材料。

  20. 請求項1に記載の粒子または請求項2乃至9の何れか1項に記載の組成物を含むことを特徴とする、歯科充填材料。

  21. 露出した象牙細管の治療のため、かつ/または歯の再石灰化のためであることを特徴とする、請求項1に記載の粒子または請求項2乃至9の何れか1項に記載の組成物の使用。

  22. 請求項10乃至15の何れか1項に記載の方法において、前記単離された形成粒子または任意選択により洗浄された単離粒子が、好ましくは少なくとも60℃の温度の、カルシウム塩を0.1〜1.0M含む溶液中に入れられることを特徴とする、方法。

  23. 請求項1に記載の粒子において、前記粒子が少なくとも20%のヒドロキシアパタイト結晶構造を有することを特徴とする、粒子。

  24. 請求項2乃至9の何れか1項に記載の組成物において、球形粒子の量が少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、または少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%であることを特徴とする、組成物。

 

 

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