胸骨下電気刺激システム

 

胸骨下ペーシングを提供するための植え込み型心臓ペーシングシステム及び方法が提供されている。1つの実施例では、心臓ペーシングシステムが、患者に植え込まれるペースメーカーと、植え込み型医用電気リードと、を含んでいる。植え込み型医用電気リードは、近位端及び遠位部分を有する細長リード本体と、細長リード本体の近位端の、ペースメーカーへ連結するように構成されているコネクタと、細長リード本体の遠位部分に沿った1つ又はそれ以上の電極と、を含んでおり、リードの細長リード本体の遠位部分は実質的に患者の前縦隔内に植え込まれ、ペースメーカーはペーシングパルスを患者の心臓へ送達するように構成されている。
【選択図】図1A

 

 

[0001]本願は、胸骨下心臓ペーシングを含む胸骨下電気刺激を提供するための電気刺激装置、システム、及び/又は方法に関する。
[0002]電気刺激を患者の様々な器官、組織、筋肉、神経、又は他の身体特徴へ提供するのに植え込み型パルス生成器が利用されるようになった。患者へ提供される電気刺激の1つの例に心臓ペーシングがある。心臓ペーシングは、心臓の天然の歩調取り機構及び/又は伝導系が患者の必要にとって適切な頻度と間隔で同期された心房収縮及び心室収縮を提供するのに不全を来たしたときに、電気的に心臓を刺激する。患者の心臓があまりにゆっくり拍動しているときは、徐脈ペーシングが、患者の心臓が収縮する頻度を増加させて徐脈に付随する諸症状の緩和をもたらす。心臓ペーシングは、更に、頻拍性不整脈を抑制又は変換することを意図した電気的なオーバードライブ刺激を提供することもあり、この場合も同様に諸症状の緩和を与え、心臓突然死の原因となりかねない又は高電圧の除細動ショック若しくはカーディオバージョンショックを用いて治療される必要性が生じかねない不整脈を予防又は終始させる。
[0003]ペースメーカーは、典型的に、電気刺激療法を心臓へ送達するため及び心臓の電気的活動を感知するために少なくとも2つの電極を必要とする。伝統的にペースメーカーシステムは1つ又はそれ以上のリードへ連結されている植え込み型パルス生成器(又はペースメーカー)で構成されている。(単数又は複数の)リードは心臓内部に植え込まれているリードの遠位部分に1つ又はそれ以上の電極を含んでおり、当該リード部分は少なくとも1つの電極が心内膜に触れるようにして植え込まれている。他の例では、1つ又はそれ以上のリードは心臓の心外膜面へ植え込まれていることもある。
[0004]本願は、胸骨下ペーシングを提供するための植え込み型心臓ペーシングシステム及び方法に向けられている。1つの実施形態では、心臓ペーシングシステムが、患者に植え込まれるペースメーカーと、植え込み型医用電気リードと、を含んでいる。植え込み型医用電気リードは、近位端及び遠位部分を有する細長リード本体と、細長リード本体の近位端の、ペースメーカーへ連結するように構成されているコネクタと、細長リード本体の遠位部分に沿った1つ又はそれ以上の電極と、を含んでおり、リードの細長リード本体の遠位部分は実質的に患者の前縦隔内に植え込まれ、ペースメーカーはペーシングパルスを患者の心臓へ送達するように構成されている。
[0005]別の実施形態では、方法が、植え込み型パルス生成器で1つ又はそれ以上の刺激パルスを生成する段階と、1つ又はそれ以上の刺激パルスを前縦隔内に少なくとも部分的に植え込まれている植え込み型医用電気リードの少なくとも1つの電極を介して送達する段階と、を備えている。
[0006]この概要は、本開示に記載されている主題の概観を提供することを意図している。添付図面及び以下の説明の中に詳細に記載されている技法の排他的又は網羅的な解説を提供することを意図したものではない。1つ又はそれ以上の実施例の更なる詳細が添付図面及び以下の説明に示されている。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、そしてまた以下に提供されている陳述から明らかになるであろう。
[0007]植え込み型医療システム10を植え込まれた患者12の前面図である。 [0008]植え込み型医療システム10を有する患者12の側面図である。 [0009]植え込み型医療システム10を有する患者12の横断面図である。 [0010]植え込み型心臓ペーシングシステム40を植え込まれた患者12の前面図である。 [0011]植え込み型心臓ペーシングシステム40を有する患者12の側面図である。 [0012]植え込み型心臓ペーシングシステム50を植え込まれた患者12の前面図である。 [0013]植え込み型心臓ペーシングシステム50を有する患者12の横断面図である。 [0014]一例としての植え込み型パルス生成器14の電子的構成要素の構成例の機能ブロック線図である。 [0015]第1の急性研究中に様々なパルス幅で取得された捕捉閾値を示す強度−持続時間曲線を描いているグラフである。 [0016]第2の急性研究中に様々なパルス幅で取得された捕捉閾値を示す強度−持続時間曲線を描いているグラフである。 [0017]第3の急性実験からの電気的データの強度−持続時間曲線を描いているグラフである。 [0018]第3の急性実験からの電気的データの強度−持続時間曲線を描いているグラフである。 [0019]第3の急性実験からの電気的データの強度−持続時間曲線を描いているグラフである。
[0020]図1A−図1Cは、一例としての植え込み型医療システム10を植え込まれた患者12の概念図である。図1Aは植え込み型医療システム10を植え込まれた患者12の前面図である。図1Bは植え込み型医療システム10を有する患者12の側面図である。図1Cは植え込み型医療システム10を有する患者12の横断面図である。植え込み型医療システム10は、植え込み型医用電気リード18(これ以後は「リード18」と呼称)へ接続されている植え込み型パルス生成器14を含んでいる。図1A−図1Cは、植え込み型心臓ペーシングシステムを描いており、植え込み型心臓ペーシングシステムの観点から説明されている。
[0021]植え込み型パルス生成器14は皮下的に患者12の左側、胸郭の上側に植え込まれている。植え込み型パルス生成器14は場合により患者12の左後腋窩線と左前腋窩線の間に植え込まれることもある。また一方、植え込み型パルス生成器14は後段に説明されている様に患者12の他の皮下的場所に植え込まれてもよい。
[0022]リード18は、植え込み型パルス生成器14へ接続されるように構成されているコネクタを含んでいる近位端と、電極32及び電極34を含んでいる遠位部分と、を含んでいる。リード18は皮下的に胸郭の上側を植え込み型パルス生成器14から患者12の体幹部の中心に向かって、例えば患者12の剣状突起20に向かって延びている。剣状突起20付近の場所で、リード18は曲がり又は向きを変え、胸骨22の下/下側で前縦隔36内を上方へ延びている。前縦隔36は、側方を胸膜39によって、後方を心膜38によって、前方を胸骨22によって、境界されているものと見ることができる。一部の事例では、前縦隔36の前壁は更に胸横筋及び1つ又はそれ以上の肋軟骨によって形成されている。前縦隔36は、或る量の疎性結合組織(例えば疎性組織など)、幾つかのリンパ管、リンパ腺、胸骨下筋肉組織(例えば胸横筋)、内胸動脈の分枝、及び内胸静脈を含んでいる。1つの実施例では、リード18の遠位部分は胸骨22の後面に沿って実質的に前縦隔内を延びている。例えば、リード18の遠位部分は実質的に前縦隔36の疎性結合組織内にあり、而して当該組織がリード18をその場に保持している。遠位部分を実質的に前縦隔36内に植え込まれているリードをここでは胸骨下リードと呼称することにする。更に、遠位部分を実質的に前縦隔36内に植え込まれているリードによって提供されるペーシングの様な電気刺激をここでは胸骨下電気刺激又は胸骨下ペーシングと呼称することにする。
[0023]リード18の遠位部分はここでは実質的に前縦隔36内に植え込まれているものと説明されているが、リード18の遠位部分は、心膜又は心臓26の他部分の周界周りにあって又は心膜又は心臓26の他部分に隣接していて且つ胸骨22又は胸郭の上側ではない間隙、組織、又は他の解剖学的特徴を含む他の非脈管心膜外場所に、但し心膜又は心臓26の他部分へ付着させずに、植え込むことができる。そいうものとして、リード18は、胸骨及び/又は胸郭と身体腔部の間に下面によって画定される「胸骨下空間(substernal space)」であって但し心膜又は心臓26の他部分を含まない空間内の何処に植え込まれてもよい。胸骨下空間は、代わりに、当業者に知られている通り前縦隔36を含めての「胸骨後方空間」又は「縦隔」又は「胸骨下(infrasternal)」という用語で呼称される場合もある。胸骨下空間は、更に、ボードワン,Y.P.らの「上腹壁動脈はLarrey’s space(胸肋三角)を通っていない」という表題の論文、Surg.Radiol.Anat.25.3−4(2003年)259−262(Baudoin, Y. P., et al., entitled“The superior epigastric artery does not pass through Larrey's space (trigonum sternocostale).” Surg.Radiol.Anat. 25.3-4 (2003): 259-62)に、Larrey’s spaceとして記載されている解剖学的領域を含み得る。言い換えれば、リード18の遠位部分は、心臓26の外面の周りの領域に、但し心臓へ付着させずに、植え込むことができる。
[0024]リード18の遠位部分は、電極32及び電極34が心臓26の心室付近に位置付けられるようにして実質的に前縦隔36内に植え込まれる。例えば、リード18は、電極32及び電極34が心臓26の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して一方又は両方の心室の心陰影の上に位置付けられるように植え込まれてもよい。1つの実施例では、リード18は、電極32から植え込み型パルス生成器14のハウジング電極への単極療法ベクトル及び/又は電極34から植え込み型パルス生成器14のハウジング電極への単極療法ベクトルが実質的に心臓26のそれら心室を横切るような具合に植え込まれてもよい。療法ベクトルは、電極32又は電極34上の或る点、例えば電極32又は電極34の中心から、植え込み型パルス生成器14のハウジング電極上の或る点、例えばハウジング電極の中心へ延びている線として見ることができる。別の実施例では、電極32と電極34の間の間隔取り並びにリード18の設置は、電極32と電極34の間の双極療法ベクトルが心室に中心合わせされるように又はそれ以外に心室の上に位置付けられるようになっている。しかしながら、リード18は、電極32及び電極34を使用する単極療法ベクトル又は双極療法ベクトルの一方又は両方が心臓の心室の捕捉をもたらす限りにおいて他の場所に位置決めされてもよい。
[0025]図1A−図1Cに描かれている実施例では、リード18は実質的に胸骨22の下で中心に位置付けられている。しかしながら、他の場合には、リード18は、胸骨22の中心から側方にオフセットして植え込まれることもある。一部の事例では、リード18は、リード18の全部又は一部が、胸骨22に加えて又は胸骨22の代わりに、胸郭の下/下側に来るほど側方に延びていることもある。
[0026]リード18は、その内部を近位リード端のコネクタからリード18の遠位部分に沿って配置されている電極32及び電極34へ延びる1つ又はそれ以上の細長電気伝導体(描かれていない)を収容している細長リード本体を含んでいる。細長リード本体は、リード本体の長さに沿って略均一な形状を有していてもよい。1つの実施例では、細長リード本体はリード本体の長さに沿って略管状又は略円筒状の形状を有している。細長リード本体は、一部の事例では、3フレンチ(Fr)から9フレンチの間の直径を有していてもよい。但し、同様に3Frより小さいリード本体及び9Frより大きいリード本体が利用されることもある。別の実施例では、細長リード本体の遠位部分(又は細長リード本体の全部)は、平坦なリボンはパドルの形状を有している。この事例では、平坦リボン又はパドル形状の平坦部分を横切る幅は、1mmから3.5mmの間であってもよい。本開示の範囲から逸脱すること無く他のリード本体設計が使用されてもよい。リード18のリード本体は、シリコン、ポリウレタン、フルオロポリマー、それらの混合物、及び他の適切な材料を含む非伝導性材料から形成することができ、リード本体は1つ又はそれ以上の伝導体が内部を延びる1つ又はそれ以上のルーメンを形成するように整形することができる。しかしながら技法はその様な構築に限定されない。
[0027]リード18のリード本体内に収容されている1つ又はそれ以上の細長電気伝導体は、電極32及び電極34それぞれと係合している。1つの実施例では、電極32及び電極34のそれぞれはリード本体内の各伝導体へ電気的に連結されている。各伝導体は、植え込み型パルス生成器14の療法モジュール又は感知モジュールの様な回路機構へ、関連付けられているフィードスルーを含むコネクタ組立体の接続部を介して、電気的に連結している。電気伝導体は、植え込み型パルス生成器14内の療法モジュールからの療法を電極32及び電極34の1つ又はそれ以上へ伝送し、電極32及び電極34の1つ又はそれ以上からの感知された電気信号を植え込み型パルス生成器14内の感知モジュールへ伝送する。
[0028]電極32及び電極34は、リング電極、半球状電極、コイル電極、螺旋電極、分割電極、指向性電極、リボン電極、又は他の型式の電極、又はそれらの組合せを備えていてもよい。電極32及び電極34は、同じ型式の電極であってもよいし、異なる型式の電極であってもよい。図1A−図1Cに描かれている実施例では、電極32は半球状電極であり、電極34はリング電極又はコイル電極である。リード18の電極32及び電極34はリード本体と実質的に同じ外径を有していてもよい。1つの実施例では、電極32及び電極34は、1.6−55mmの間の表面積を有していてもよい。別の実施例では、電極32と電極34の一方又は両方は、コイル電極であってもよく、200mmに及ぶ表面積を有していてもよい。電極32及び電極34は、一部の実施形態では、相対的に同じ表面積を有していることもあれば異なる表面積を有していることもある。例えば、電極32が大凡2−5mmの表面積を有し、電極34が15−44mmの間の表面積を有している、ということもある。
[0029]幾つかの事例では、電極32と電極34は大凡5−15mm離間されていてもよい。他の事例では、電極32と電極34は15mmより大きい距離を離間されていてもよい。例えば、電極32と電極34は、2−8cmの間で離間されていてしかもなおどちらもが実質的に心室の上になっている。別の実施例では、電極32と電極34は、心房ペーシング及び心室ペーシングを獲得する場合がそうであるように、8cmより大きく離間されていてもよく、例えば16cmに及んで離間されていてもよい。
[0030]以上に提供されている例示としての寸法は、本質的に例示であり、ここに説明されている実施形態を限定するものと考えられてはならない。他の実施例では、リード18は単一電極を含んでいることもあれば2つより多い電極を含んでいることもある。更なる実施例では、リード18は、胸骨下空間の外に、例えば心尖の付近又はリード18の近位端付近に、1つ又はそれ以上の追加の電極を含んでいてもよい。
[0031]植え込み型パルス生成器14は、ペーシングパルスの様な電気刺激パルスを、電極32及び電極34と植え込み型パルス生成器14のハウジング電極の組合せにより形成される単極療法ベクトル又は双極療法ベクトルを含んでいる療法ベクトルを介して生成し心臓26へ送達することができる。例えば、植え込み型パルス生成器14はペーシングパルスを電極32と電極34の間の双極療法ベクトルを使用して送達してもよい。別の実施例では、植え込み型パルス生成器14はペーシングパルスを単極療法ベクトル(例えば、電極32と植え込み型パルス生成器14の導電性ハウジング電極の間、又は電極34と植え込み型パルス生成器14の導電性ハウジング電極の間)を使用して送達してもよい。更なる実施例では、植え込み型パルス生成器14は、ペーシングパルスを、電極32及び電極34が一体にペーシングベクトルのカソード(又はアノード)を形成し植え込み型パルス生成器14のハウジング電極がペーシングベクトルのアノード(又はカソード)として機能しているペーシングベクトルを介して送達してもよい。植え込み型パルス生成器14は、徐脈ペーシング又は他のペーシング療法又はペーシング療法の組合せ、例えば抗頻拍ペーシング(ATP)又はショック後ペーシングを提供するべく、ペーシングパルスを生成し送達してもよい。この方式では、脈管構造又は心膜に進入させたり心臓26へ付着させたりすること無くペーシング療法を提供することができる。
[0032]植え込み型パルス生成器14は、更に、心臓26の電気的活動を、電極32及び電極34と植え込み型パルス生成器14のハウジング電極の組合せにより形成される1つ又はそれ以上の単極感知ベクトル又は双極感知ベクトルを介して感知することができる。例えば、植え込み型パルス生成器14は、電気信号を、電極32と電極34の間の双極感知ベクトルを使用して、単極感知ベクトル(例えば電極32と植え込み型パルス生成器14の導電性ハウジング電極の間、又は電極34と植え込み型パルス生成器14の導電性ハウジング電極の間)を介して、又はそれらの組合せを介して、感知していてもよい。幾つかの事例では、植え込み型パルス生成器14は、リード18の感知ベクトルの1つ又はそれ以上を介して感知された電気信号に基づくペーシング療法を送達することができる。而して、植え込み型パルス生成器14は、ペーシング療法を、AAI、VVI、DDD、DDI、VAT、VDD、DVIの様なペーシングモード、又は感知された信号に基づいてペーシングを阻止する及び/又はトリガする他のペーシングモード、を使用して送達することができる。他の事例では、植え込み型パルス生成器14は、ペーシングパルスを、感知とは独立に、例えばAOO、VOO、DOOの様な非同期ペーシングモードを使用して送達していてもよいし、又は感知無し若しくは感知に応えた阻止又はトリガ無しの他のモード、例えばAAO、VVO、などを使用して送達していてもよい。植え込み型パルス生成器14は、更に、上述のモードの何れかに加えて頻度応答性であるペーシングを提供していてもよい。
[0033]植え込み型パルス生成器14は、植え込み型パルス生成器14の構成要素を保護する密封シールを形成しているハウジングを含んでいてもよい。植え込み型パルス生成器14のハウジングはチタンの様な導電性材料で形成されていてもよい。植え込み型パルス生成器14は、更に、電気的フィードスルーを含むコネクタ組立体(コネクタブロック又はヘッダとも呼称される)を含んでいてもよく、当該電気的フィードスルーを通して電気的接続がリード18とハウジング内に含まれる電子的構成要素の間に作られる。ここに更に詳細に説明されてゆく様に、ハウジングは、1つ又はそれ以上のプロセッサ、メモリ、送信器、受信器、センサ、感知回路機構、療法回路機構、パワー源、及び他の適切な構成要素、を収納することができる。植え込み型パルス生成器14のハウジングは患者12の様な患者に植え込まれるように構成されている。
[0034]リード18は、更に、リード本体の長さに沿って配置されている1つ又はそれ以上の定着(anchoring)機構を含んでいてもよい。定着機構はリード18がその所望場所から動くのを抑制するためにリード18を疎性結合組織又は前縦隔36の他の構造へ固着するものであってもよい。例えば、リード18は、患者12の前縦隔36内に位置決めされている遠位リード端とリード本体の前縦隔36への挿入点若しくは挿入点付近のリード本体部分の長さに沿った或る点の間に位置する1つ又はそれ以上の箇所で定着されていてもよい。1つ又はそれ以上の定着機構は、過度の運動若しくは押し退けを予防するようにリードを胸骨の下に固着するに当たり、患者12の骨、筋膜、筋肉、又は他の組織に係合するか又は単にそこに楔止めされるかのどちらかであってもよい。また理解しておくべきこととして、本開示に説明されている様々な定着機構は、追加的に、本技術で知られている刺激療法の送達に利用されてもよい。
[0035]定着機構はリード本体へ一体化されていてもよい。その様な実施形態では、リード本体の一部分又は一区分が、伝導体又は他のリード内在要素を包むよう機能するとともにリードを植え込み環境内に定着させる機能も果たす材料で形成されていてもよい。代わりの実施形態では、定着機構はリード本体と一列に並んで形成されている個別要素であってもよい。幾つかの実施形態では、個別の構成要素はリード本体への固定留め付け関係に提供されていてもよい。他の実施形態では、定着機構はリード本体の上に滑動関係に脱着可能に連結されていてもよい。追加的又は代替的に、リードは患者の剣状突起進入部位の筋肉組織、組織、又は骨へリードを固定的に留め付ける縫合糸を通じて定着されてもよい。幾つかの実施形態では、縫合糸は事前に形成されている縫合糸孔を通して患者へ縫い付けられてもよい。
[0036]定着機構は、受動定着機構、能動定着機構、又は両方の組合せ、を含んでいてもよい。1つの実施形態では、定着機構は、リード本体の遠位端に連結されていて、電気的能動要素としての機能も果たしている。受動定着機構の例には、フランジ、円盤、曲げやすい尖叉、フラップ、係合のための組織成長を促進するメッシュ様要素の様な多孔質構造体、生体接着性面、及び/又は何れかの他の非穿刺要素、が挙げられる。能動定着機構の例には、剛性尖叉、プロング、逆棘、クリップ、ねじ、及び/又は組織の中へ穿刺又は穿通してリードを定着させる他の突出要素、が挙げられる。能動定着機構の別の例として、リードには組織に係合するための側面螺旋が設けられていてもよい。更に別の実施例では、リード18は、電気的に活性化される固定を介して固定されるようになっていてもよく、例えば、焼灼法、RFエネルギー、又は凍結を介してリード18をその場に定着させるようになっていてもよい。
[0037]定着機構の様々な実施例は配備可能であってもよい。そいうものとして定着機構は、リードを所望の植え込み場所へ操縦してゆく間(リードが送達システムのルーメン内に配置されている時間中)は第1の状態を呈している。その後、送達システムから前縦隔36内へのリード放出に続いて定着機構は第2の状態を呈し、それによりリード本体の遠位端部分を隣接組織に対して定着させる。
[0038]図1A−図1Cに描かれている実施例は、本質的に例示であり、本開示に説明されている技法を制限するものと考えられてはならない。例えば以上に図1A−図1Cの中で説明されている構成はリード18を介しての心室ペーシング提供に向けられている。心室ペーシングに加えて又は代わりに心房ペーシングが所望される状況では、リード18は更に上方に位置決めされてもよい。ペーシングパルスを心房と心室の両方へ送達するように構成されているリードは、より多くの電極を含んでいてもよいし、又はなおも2つの電極のまま電極間の間隔取りをより広くしていてもよい。例えば、リードは、心臓26のAP蛍光透視図に観測される心房の心陰影の上に位置付けられた1つ又はそれ以上の電極と、心臓26のAP蛍光透視図に観測される心室の心陰影の上に位置付けられた1つ又はそれ以上の電極と、を有していてもよい。1つのその様な実施例が、図2A及び図2Bに関して描かれより詳細に説明されている。ペーシングパルスを心房に限定して送達するように構成されているリードは、例えば、心臓26のAP蛍光透視図に観測される心房の心陰影の上に位置付けられた1つ又はそれ以上の電極を有していてもよい。同様に、この実施例のリードは、1つ又はそれ以上の心房電極であって、電極間の療法ベクトルが実質的に心房の上になるような具合に及び/又は電極の一方とハウジング電極の間の療法ベクトルが実質的に心臓26の心房を横切るような具合に植え込まれている心房電極を含むものということになろう。幾つかの事例では、2つのリードが利用されており、そのうちの一方を、電極が心臓26のAP蛍光透視図に観測される心房の心陰影の上に位置付けられるような具合にリードの遠位部分が実質的に前縦隔36内にあるように植え込まれる心房リードとし、他方を、電極が心臓26のAP蛍光透視図に観測される心室の心陰影の上に位置付けられるような具合にリードの遠位部分が実質的に前縦隔36内にあるように植え込まれる心室リードとしていてもよい。1つのその様な実施例が、図3A及び図3Bに関して描かれ、より詳細に説明されている。
[0039]他の実施例では、植え込み型パルス生成器14及びリード18は他の場所に植え込まれてもよい。例えば、植え込み型パルス生成器14は右胸筋領域の皮下嚢部に植え込まれてもよい。この実施例ではリード18は皮下的に装置から胸骨22の胸骨柄に向かって所望場所まで延び、曲がるか又は向きを変え、実質的に前縦隔36内を胸骨22の胸骨柄から下方へ所望場所まで延びることになる。更に別の実施例では、植え込み型パルス生成器14は腹部設置されることもある。
[0040]加えて、留意するべきこととして、システム10はヒト患者の治療に限定されるものではない。代わりの実施例では、システム10は、ヒト以外の患者、例えば、霊長類、イヌ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ウシ、及びネコに実施することができる。これらの他の動物には本開示の主題から恩恵を受ける臨床学的又は研究的な療法が施されることもあろう。
[0041]ここでの説明は、ペーシングパルスを心臓へ提供するパルス生成器14の観点からであるが、本開示の技法は、更に、例えば様々な神経心臓関連用途及び/又は無呼吸療法又は呼吸療法につき、他の神経、骨格筋、横隔膜筋を刺激する電気刺激パルスを提供するように構成されている他の植え込み型医療装置の観点から使用されてもよい。
[0042]図2A及び図2Bは、別の例としての植え込み型心臓ペーシングシステム40を植え込まれた患者12の概念図である。図2Aは植え込み型心臓ペーシングシステム40を植え込まれた患者12の前面図である。図2Bは植え込み型心臓ペーシングシステム40を有する患者12の側面図である。植え込み型心臓ペーシングシステム40は実質的に図1A−図1Cの植え込み型心臓ペーシングシステム10に準じているが、植え込み型心臓ペーシングシステム40は、電極32及び電極34に加えて電極44及び電極46を含むリード42を含んでいる。簡潔性を期し、他の実施形態に記載されている同様の符号を付された要素を繰り返し説明することは省く。
[0043]リード42は、植え込み型パルス生成器14へ接続されるように構成されているコネクタを含んでいる近位端と、電極32、電極34、電極44、及び電極46を含んでいる遠位部分と、を有する細長リード本体を含んでいる。電極44及び電極46は実質的に電極32及び電極34に準じている。従って、電極32及び電極34の説明はここでは繰り返さないが、等しく電極44及び電極46にも当て嵌る。他の実施形態では、リード42はより多い電極を含んでいることもあればより少ない電極を含んでいることもある。加えて、細長リード本体は以上にリード18に関して説明されている構造及び/又は機能を含むものとすることができる。リード42のリード本体は、例えば、近位リード端のコネクタからリード42の遠位部分に沿って配置されている電極32、電極34、電極44、及び電極46へリード本体を貫いて延びている1つ又はそれ以上の細長電気伝導体(描かれていない)を収容している。リード42は皮下的に胸郭の上側を植え込み型パルス生成器14から患者12の体幹部の中心に向かって延び、方向を変え、胸骨22の下/下側で実質的に前縦隔36内を上方へ延びている。言い換えれば、リード42の遠位部分は、実質的に胸骨22の後面に沿って前縦隔36内を延びている。
[0044]リード42は、植え込み型パルス生成器14が心臓26の複数の房室から電気信号を感知できるようにして、及び心臓26の複数の房室へ電気刺激療法を送達できるようにして、実質的に前縦隔36内に植え込まれる。このために、リード42は、電極32及び電極34が心臓26の心室付近に位置付けられ電極44及び電極46が心臓26の心房付近に位置付けられるように植え込まれてもよい。例えば、リード42は、電極32及び電極34が(図1A−図1Cに関してより詳細に説明されている様に)心臓26のAP蛍光透視図を介し観測して心室の心陰影の上に位置付けられ電極44及び電極46が心臓26のAP蛍光透視図を介して観測して心房の心陰影の上に位置付けられるような具合に植え込まれてもよい。
[0045]例えば、リード42は、電極44から植え込み型パルス生成器14のハウジング電極への単極療法ベクトル及び/又は電極46から植え込み型パルス生成器14のハウジング電極への単極療法ベクトルが実質的に心臓26の心房を横切るような具合に植え込まれてもよい。療法ベクトルは、電極44又は電極46上の或る点、例えば電極44又は電極46の中心から、植え込み型パルス生成器14のハウジング電極上の或る点、例えばハウジング電極の中心へ延びている線として見ることができる。代替的又は追加的に、電極44と電極46の間の間隔取り並びにリード42の設置は、電極44と電極46の間の双極療法ベクトルが心臓46の心房に中心合わせされるように又はそれ以外に心房の上に位置付けられるようになっていてもよい。他の実施例では、ペーシング装置14は、電極32、電極34、電極44、及び電極46とペーシング装置14のハウジング電極の何れかの組合せを使用して形成される療法ベクトルを使用して電気的活動を感知し及び/又は療法を複数の房室へ送達していてもよい。この方式では、ペーシングシステム50は多房室ペーシングを提供することができる。
[0046]図3A及び図3Bは、リード18及びリード52へ連結されている植え込み型パルス生成器14を含んでいる別の例としての植え込み型心臓ペーシングシステム50を植え込まれた患者12の概念図である。図3Aは植え込み型心臓ペーシングシステム50を植え込まれた患者12の前面図である。図3Bは植え込み型心臓ペーシングシステム50を有する患者12の横断面図である。植え込み型心臓ペーシングシステム50は、ペーシングシステム50が追加のリード52を含んでいることを別にして、実質的に図1A−図1Cのペーシングシステム10に準じている。簡潔性を期し、他の実施形態に記載されている同様の符号を付された要素を繰り返し説明することは省く。
[0047]リード52は、植え込み型パルス生成器14へ接続されるように構成されているコネクタを含んでいる近位端と、電極54及び電極56を含んでいる遠位部分と、を有する細長リード本体を含んでいる。電極44及び電極46は実質的に電極32及び電極34に準じている。従って、電極32及び電極34の説明はここでは繰り返さないが、等しく電極44及び電極46にも当て嵌まる。他の事例では、リード52は、より多い電極を含んでいることもあればより少ない電極を含んでいることもある。加えて、リード52の細長リード本体は、近位リード端のコネクタからリード52の遠位部分に沿って配置されている電極54及び電極56へリード本体を貫いて延びている1つ又はそれ以上の細長電気伝導体(描かれていない)を収容している。リード52は皮下的に胸郭の上側を植え込み型パルス生成器14から患者12の体幹部の中心に向かって延び、方向を変え、胸骨22の下/下側で実質的に前縦隔36内を上方へ延びている。言い換えれば、リード52の遠位部分は、胸骨22の後面に沿って実質的に前縦隔36内を延びている。
[0048]図1A−図1Cに関してより詳細に説明されている様に、リード18は、電極32及び電極34が心臓26の心室付近に位置付けられるようにして実質的に前縦隔36内に植え込まれている。リード52は、電極54及び電極56が心臓26の心房付近に位置付けられるようにして実質的に前縦隔36内に植え込まれる。例えば、リード52は、電極54及び/又は電極56が心臓26のAP蛍光透視図を介して観測される心房の心陰影の上に位置付けられるような具合に植え込まれてもよい。例えば、リード52は、電極54から植え込み型パルス生成器14のハウジング電極への単極療法ベクトル及び/又は電極56から植え込み型パルス生成器14のハウジング電極への単極療法ベクトルが実質的に心臓26の心房を横切るような具合に植え込まれてもよい。療法ベクトルは、電極54又は電極56上の或る点、例えば電極54又は電極56の中心から、植え込み型パルス生成器14のハウジング電極上の或る点、例えばハウジング電極の中心へ延びている線として見ることができる。代替的又は追加的に、電極54と電極56の間の間隔取り並びにリード52の設置は、電極54と電極56の間の双極療法ベクトルが心臓56の心房に中心合わせされるように又はそれ以外に心房の上に位置付けられるようになっていてもよい。この方式では、ペーシングシステム50は心房リード52と心室リード54を含んでいる。他の実施例では、ペーシングシステム50は、電極32、電極34、電極54、及び電極56とペーシング装置14のハウジング電極の何れかの組合せを使用して形成される療法ベクトルを使用して電気的活動を感知し及び/又は療法を心臓26へ送達していてもよい。この方式では、ペーシングシステム50は多房室ペーシングを提供することができる。
[0049]図4は、一例としての植え込み型パルス生成器14の電子的構成要素の構成例の機能ブロック線図である。植え込み型パルス生成器14は、制御モジュール60、感知モジュール62、療法モジュール64、通信モジュール68、及びメモリ70を含んでいる。電子的構成要素は、充電式又は非充電式のバッテリであってもよいパワー源66からパワーを受け取ることができる。他の実施形態では植え込み型パルス生成器14はより多い又はより少ない電子的構成要素を含んでいることもある。説明されているモジュールは、共通のハードウェア構成要素上にまとめて実装されていてもよいし、個別ではあるが相互動作できるハードウェア構成要素、ファームウェア構成要素、又はソフトウェア構成要素として別々に実装されていてもよい。異なる機構をモジュールとして描写しているのは、異なる機能的態様を強調表示することを意図したものであり、必ずしもその様なモジュールが別々のハードウェア構成要素、ファームウェア構成要素、又はソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを示唆するものではない。そうではなく1つ又はそれ以上のモジュールと関連付けられている機能性は、別々のハードウェア構成要素、ファームウェア構成要素、又はソフトウェア構成要素によって遂行されていてもよいし、共通の又は別々のハードウェア構成要素又はソフトウェア構成要素内に統合されていてもよい。
[0050]感知モジュール62は、電極32、電極34、電極44、電極46、電極54、又は電極56の幾つか又は全てへ、リード18、リード42、又はリード52の伝導体及び1つ又はそれ以上の電気的フィードスルーを介して電気的に連結されているか、又はハウジング電極へ植込み型パルス生成器14のハウジングの内在伝導体を介して電気的に連結されている。感知モジュール62は、電極32、電極34、電極44、電極46、電極54、又は電極56と植え込み型パルス生成器14のハウジング電極の1つ又はそれ以上の組合せによって形成される1つ又はそれ以上の感知ベクトルを介して感知される信号を取得するように、及び取得された信号を処理するように、構成されている。
[0051]感知モジュール62の構成要素は、アナログ構成要素、デジタル構成要素、又はそれらの組合せとすることができる。感知モジュール62は、例えば、1つ又はそれ以上の感知増幅器、フィルタ、整流器、閾値検出器、アナログ対デジタル変換器(ADC)、など、を含んでいてもよい。感知モジュール62は、感知信号をデジタル形式へ変換し、デジタル信号を処理又は分析のために制御モジュール60へ提供することができる。例えば、感知モジュール62は、感知電極からの信号を増幅し、増幅された信号をADCによってマルチビットデジタル信号へ変換するようになっていてもよい。感知モジュール62は、更に、処理された信号を閾値と比較して心房脱分極又は心室脱分極(例えばP波又はR波)の存在を検出し、心房脱分極(例えばP波)の存在又は心室脱分極(例えばR波)の存在を制御モジュール60へ指し示すようになっていてもよい。
[0052]制御モジュール60は、患者12の心臓26の電気的活動を監視するため感知モジュール62からの信号を処理することができる。制御モジュール60は、感知モジュール62によって取得された信号はもとより、何れかの生成されたEGM波形、マーカーチャネルデータ、又は感知信号に基づいて導出された他のデータを、メモリ70に記憶することができる。制御モジュール60は、EGM波形及び/又はマーカーチャネルデータを分析して、感知された心臓事象の関数としてのペーシングパルスを送達するようになっていてもよく、例えばペーシングパルスは固有の心臓活動が検出されたこと又は検出されないことに基づいてトリガされたり阻止されたりするようになっていてもよい。幾つかの事例では、制御モジュール60は頻拍性不整脈の様な心臓事象を感知電気信号に基づいて検出することもある。
[0053]療法モジュール64は、電気刺激療法を生成し心臓26へ送達するように構成されている。療法モジュール64は、1つ又はそれ以上のパルス生成器、コンデンサ、及び/又はペーシング療法として送達するためのエネルギーを生成及び/又は保存する能力のある他の構成要素、を含んでいてもよい。制御モジュール60は、療法モジュール64を制御して、メモリ70に記憶されている1つ又はそれ以上の療法プログラムに従って電極32、電極34、電極44、電極46、電極54、又は電極56と植え込み型パルス生成器14のハウジング電極の組合せを使用して形成される1つ又はそれ以上の療法ベクトルを介して、電気刺激療法を生成させ、生成された療法を心臓26へ送達させることができる。制御モジュール60は、療法モジュール64を制御して、選択された療法プログラムによって指定される振幅、パルス幅、タイミング、周波数、電極組合せ、又は電極構成を用いて電気刺激療法を生成させる。
[0054]療法モジュール64は、数々の形状、振幅、パルス幅、又は心臓26を捕捉するための他の特性のうちの何れかを有するペーシングパルスを生成し送達することができる。例えば、ペーシングパルスは、単相性、二相性、又は多相性(例えば三相以上)であってもよい。ペーシングパルスを前縦隔からリード18、リード42、及び/又はリード52を使用して送達する場合の心臓26のペーシング閾値は、それら電極の場所、型式、サイズ、配置向き、及び/又は間隔取り、それら電極に対する植え込み型パルス生成器14の場所、心臓26の物理的異常(例えば心膜癒着又は心筋梗塞)、又は他の(単数又は複数の)要因、を含む数多くの要因に依存することになろう。
[0055]電極32、電極34、電極44、電極46、電極54、又は電極56から心臓組織までの距離が増加すれば、結果的に心臓26は経静脈ペーシング閾値に比べて増加したペーシング閾値を有することになる。このため、療法モジュール64は、従来式に経静脈的に植え込まれたリード又は心臓26へ付着されたリードを介して捕捉を取得するのに必要とされるより大きい振幅及び/又はパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。1つの実施例では、療法モジュール64は、8ボルト以下の振幅及び0.5−3.0ミリ秒の間のパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達することができる。別の実施例では、療法モジュール64は、5ボルトから10ボルトの間の振幅及び大凡3.0ミリ秒から10.0ミリ秒の間のパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達することができる。別の実施例では、療法モジュール64は、大凡2.0ミリ秒から8.0ミリ秒の間のパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達することができる。更なる実施例では、療法モジュール64は、大凡0.5ミリ秒から20.0ミリ秒の間のパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達することができる。別の実施例では、療法モジュール64は、大凡1.5ミリ秒から20.0ミリ秒の間のパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達することができる。
[0056]幾つかの事例では、療法モジュール64は、従来の経静脈ペーシングパルスより長いパルス持続時間を有するペーシングパルスを生成して、より低いエネルギー消費量を達成させることができる。例えば、療法モジュール64は2ミリ秒より大きいパルス幅又は持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。別の実施例では、療法モジュール64は2ミリ秒より大きく且つ3ミリ秒以下のパルス幅又は持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。別の実施例では、療法モジュール64は3ミリ秒以上のパルス幅又は持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。別の実施例では、療法モジュール64は5ミリ秒以上のパルス幅又は持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。別の実施例では、療法モジュール64は10ミリ秒以上のパルス幅又は持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。更なる実施例では、療法モジュール64は大凡3−10ミリ秒の間のパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。更なる実施例では、療法モジュール64は15ミリ秒以上のパルス幅又は持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。更に別の実施例では、療法モジュール64は20ミリ秒以上のパルス幅又は持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成されていてもよい。
[0057]パルス幅に依存して、療法モジュール64は、20ボルト以下のパルス振幅を有するペーシングパルスを生成し送達するように、10ボルト以下のパルス振幅を有するペーシングパルスを送達するように、5ボルト以下のパルス振幅を有するペーシングパルスを送達するように、2.5ボルト以下のパルス振幅を有するペーシングパルスを送達するように、1ボルト以下のパルス振幅を有するペーシングパルスを送達するように、構成されていてもよい。他の実施例では、ペーシングパルス振幅は20ボルトより大きいこともある。これらのパルス振幅は、以上に説明されているパルス幅/持続時間の何れかと組み合わされてもよい。植え込み型パルス生成器14によって送達されるペーシングパルスの振幅を小さくすることは、心外刺激の公算を引き下げる。ペーシングの振幅及び幅の幾つかの例としての組合せを描いている幾つかの実験結果が後段に提供されている。
[0058]幾つかの事例では、植え込み型パルス生成器14は、実質的に前縦隔36内に植え込まれているリード18、リード42、又はリード52と共に使用されるように、又は心臓26内に位置付けられているか又は心外膜的に若しくは心膜内に設置されているリードと共に使用されるように、構成可能であってもよい。このために、植え込み型パルス生成器14は、ペーシングパルスの送達元の場所に対応するペーシングパラメータを有する複数のペーシングモードを含んでいてもよい。植え込み型パルス生成器14は、ペースメーカーが胸骨下空間からのペーシングのための振幅及び持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成される第1のペーシングモード(例えば胸骨下ペーシングモード)と、ペースメーカーが従来のペーシング場所例えば心臓26内部からの又は心外膜的なペーシングのための振幅及び持続時間を有するペーシングパルスを生成し送達するように構成される第2のペーシングモード(例えば「標準」ペーシングモード)と、を含んでいてもよい。植え込み型パルス生成器14は、胸骨下ペーシングモードと標準ペーシングモードでは実質的に同じ振幅を有するペーシングパルスを送達してもよいが、胸骨下ペーシングモードでのペーシングパルスはより長いパルス幅又はパルス持続時間を有することができる。以上に説明されている様に、幾つかの事例では、植え込み型パルス生成器14は、20ミリ秒に及ぶパルス幅を有するペーシングパルスを生成し送達することもある。代わりに、植え込み型パルス生成器14は、胸骨下ペーシングモードでは、標準ペーシングモードとは異なる振幅及びパルス幅を有するペーシングパルスを送達していてもよい。例えば、植え込み型パルス生成器14は、胸骨下ペーシングモードでは、標準ペーシングモードより大きい振幅及び持続時間を有しているペーシングパルスを送達していてもよい。別の実施例では、植え込み型パルス生成器14は、心外刺激を低減しようとの試みで、胸骨下ペーシングモードでは標準ペーシングモードより小さい振幅及び長い持続時間を有するペーシングパルスを送達することもできる。植え込まれたときプログラマ又は他の外部機器が特定のペーシングモードを選択するための選択肢を医師に提供する。
[0059]通信モジュール68は、臨床医プログラマ、患者監視装置、など、の様な別の装置と通信するための何れかの適したハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの何れかの組合せ、を含んでいる。例えば、通信モジュール68は、アンテナ72の支援を受けてデータを送信及び受信するのに適切な変調部構成要素、復調部構成要素、周波数変換部構成要素、フィルタ処理部構成要素、及び増幅器構成要素を含んでいてもよい。アンテナ72は植え込み型パルス生成器のコネクタブロック内又はハウジング植え込み型パルス生成器14内に配置させることができる。
[0060]植え込み型パルス生成器14の各種モジュールは、何れかの1つ又はそれ以上のプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はアナログ回路機構又はデジタル回路機構又は論理回路機構を含む同等の離散型又は集積型回路機構、を含んでいてもよい。メモリ70は、制御モジュール60又は植え込み型パルス生成器14の他の構成要素によって実行されると植え込み型パルス生成器14の1つ又はそれ以上の構成要素に本開示でのそれら構成要素に帰属する様々な機能を遂行させるコンピュータ可読命令を含んでいてもよい。メモリ70は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、スタティック不揮発性RAM(SRAM)、電子的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は何れかの他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体の様な、何れの揮発性、不揮発性、磁気式、光学式、又は電気式の記憶媒体を含んでいてもよい。
実験
[0061]ブタを使い動物を背殿位にして3通りの急性処置を遂行した。切開を剣状突起付近に作り、型番4194リードを胸骨下/胸骨後方空間へ6996Tトンネリング用具及びシースを使用して送達した。能動的缶型エミュレータ(ACE:active can emulator)を右胸(第1の急性実験)又は左中腋窩(第2及び第3の急性実験)の何れかの皮下嚢部に設置した。様々なペーシング構成を試し、異なった機種を刺激供給源として使用した。ペーシングパルス送達には複数のパルス幅を使用した。それら実験に亘って、幾通りかの異なる胸骨下/胸骨後方リード電極場所を利用した。
[0062]第2の実験及び第3の実験では、リードを胸骨の下の幾つかの場所へ移し、データを収集して各場所の強度−持続時間曲線を生成することによって、リード場所の電気的性能への影響力を調べた。
[0063]全3通りの急性実験では、胸骨下/胸骨後方リードを設置し、電気的データを収集した。低いペーシング閾値での心臓捕捉に最も適している場所をより深く理解するために複数の実験に亘ってリードを意図的に何度も動かし、異なる場所及び異なるパラメータをペーシング能力が得られそして失われるまで試していった。場所及びペーシング構成に基づく閾値範囲を記録した。こういう訳で、各急性実験についての最も低い閾値結果を報告しており、強度−持続時間曲線は適するペーシング場所から取得されたペーシング値の範囲を示している。全ての事例で、胸骨下/胸骨後方ペーシング電極を心陰影の心室のほぼ上に位置決めすることが最良の結果をもたらす、ということが突き止められた。
実験1
[0064]第1の急性研究では、メドトロニック・アテイン(MEDTRONIC ATTAIN)双極OTW4194リード(ここでは「4194リード」と呼称)を胸骨下的に植え込み、2つの能動缶型エミュレータを右背外側領域(ACE1)に1つと右中腋窩(ACE2)に1つ位置決めした。4194リードは、リード先端及びリード本体を胸骨の長さに平行に走らせた状態で、胸骨の下側、縦隔に直接植え込んだ。様々なペーシング構成を試し、電気的データを収集した。
[0065]最も小さい閾値は、胸骨下/胸骨後方4194リードの先端からACE1へのペーシング(10msパルス幅及び刺激供給源としてフレデリックヘア(Frederick Heir)機器)の場合に観測された0.8ボルトであった。より小さいパルス幅を使用して捕捉することも可能であったが閾値はパルス幅が短くなるにつれて増加した(フレデリックヘア刺激装置を用いたこの同じ構成で2msでは1.5V)。多くの追加の低閾値(1−2ボルト)が、異なるペーシング構成及びパルス持続時間を用いて取得された。
[0066]図5は、第1の急性研究中に様々なパルス幅で取得された捕捉閾値を示す強度−持続時間曲線を描いている。全ての構成は胸骨下的に植え込まれた4194リードの先端か又はリングの何れか(−)から2つの能動缶型エミュレータの1つ(+)へのペーシングであったことに留意されたい。1つの事例では、凡例に注記されている様に大型スペード電極を(型番4194リードに代えて)胸骨下/胸骨後方電極として使用した。
[0067]示されている様に、幾通りかのペーシング構成及びペーシングパラメータを試した。上記グラフに報告されているそれら構成に亘って、閾値数値は0.8ボルトから5.0ボルトの範囲にあり、閾値は概してパルス幅が短くなるにつれ増加した。2〜3の事例で1.5msパルス幅での閾値が2.0msでの閾値より小さかった。1.5msで取得された閾値は常にメドトロニック2290分析器を刺激供給源として使用して記録されたものであるのに対し、第1の急性実験についての(パルス幅2ms、10ms、15ms、及び20msでの)全ての他の閾値測定値はフレデリックヘア機器を刺激供給源として使用して取得されたものであることに注目されたい。これらの2つの機器の相違が同様のパルス幅(1.5ms及び2ms)での閾値数値の差の主な原因であろう。
[0068]全般に、第1の急性実験は胸骨下/胸骨後方ペーシングの実現可能性を、数通りの異なるペーシング構成及びパラメータを使用しながら小さい捕捉閾値(平均=2.5±1.2ボルト)を現出させることによって実証した。
実験2
[0069]第2の急性実験を行った。但し、第2の急性では、動物は心膜が胸骨へ癒着した状態を呈した。心膜癒着に因り心陰影の心室面が胸骨から離れて回転―解剖学的差異がこの実験全体を通してより高い閾値を生じさせたのかもしれない。
[0070]先の急性実験と同じく型番4194リードを胸骨の下に設置した。能動缶型エミュレータを左中腋窩に設置した。4194の先端乃至リング部分を、蛍光透視法によって観測しながら、心室の心陰影の上に位置決めし、この位置を図6に示されている強度−持続時間グラフ上に「位置A」と表記した。最終的にはリードは刺激中に(なおも胸骨の下で)極僅かな距離だけ剣状突起寄りに移動し「位置B」に至り、同様にこの位置からも追加の電気的測定値を取得するのに成功した。
[0071]第2の急性実験で観測された最も小さい閾値は、第1のリード位置での胸骨下/胸骨後方4194リング電極(−)から左中腋窩のACE(+)へのペーシング(5ms、15ms、及び20msのパルス幅、フレデリックヘア刺激装置)の場合に取得された7Vであった。加えて、リードを第2の解剖学的位置に配した状態で、4194先端からACEへの(単極)構成及び4194先端からリングへの(双極)構成の両方について、複数のパルス幅で、8ボルト及び9ボルトという閾値が取得された。チャートからはみ出している様に見える2つの線は無捕捉の事例であった。
[0072]図6に報告されている電気的数値全ては、フレデリックヘア機器を刺激供給源として用いて収集した。単極ペーシング構成での取得された電気的測定値の多くで心外刺激が観測された。双極構成(4194先端からリングへ)でのペーシング時には顕著な心外刺激は何も観測されなかったが、動物の胸部に手を当てた状態で低レベルの刺激を感じることができた。
実験3
[0073]胸骨下/胸骨後方ペーシングの実現可能性を実証する第3の最終的な急性実験を行なった。先の2つの急性実験と同じく4194リードを胸骨の下に設置した。能動缶型エミュレータを左中腋窩へ設置した。この実験では胸骨下/胸骨後方4194リードを意図的にリード先端が当初は心室の心陰影のはるか上方、第2肋骨付近に来るように位置決めした。次いでリード先端を(剣状突起に向かって)一度に肋骨空間1つ分ずつ引き戻し、各位置で電気的データを収集していった。先の実験と同じく、低い捕捉閾値は、ペーシング電極を蛍光透視法により観測して心陰影の心室面のほぼ上に位置決めしたときに取得された。リード先端が心陰影の心室面の上になっていないときは多くの場合「無捕捉」となった。
[0074]先の実験と同じくペーシングを胸骨下/胸骨後方4194リードの先端か又はリングの何れか(−)から左中腋窩のACE(+)へ遂行した。但し、この急性実験では、更に皮下ICDリードを(図1A−図1Cに描かれ説明されている)その皮下配列に位置決めした。幾つかの事例では、ペーシング構成を胸骨下/胸骨後方4194リードの先端か又はリングの何れか(−)から皮下ICDリードのリングか又はコイルの何れか(+)へとし、よってACEではなくICDリードを不関電極とした。
[0075]実験に亘って観測された最も小さい閾値は、リードをリード先端電極が大凡第6肋骨の下となるように位置決めしたときの胸骨下/胸骨後方4194先端電極(−)から左中腋窩のACE(+)へのペーシング(20msパルス幅、フレデリックヘア刺激装置)時に取得された0.8Vであった。多くの追加の低閾値が、異なるペーシング構成、より短いパルス持続時間、及び異なるリード位置を用いて取得されており、これらの場合も同様に胸骨下/胸骨後方ペーシングの実現可能性が実証された。顕著な心外刺激は概して低い閾値測定値(長いパルス持続時間)では観測されなかったが、高い閾値で観測された。
[0076]リードの位置3−位置5についての強度−持続時間曲線を各場所についての収集された電気的データの全幅に因る個別のグラフで図5−図7に提示している。2290分析器を刺激の供給源に用いて行った測定に注目したい。他の電気的測定はフレデリックヘア機器を刺激供給源に用いて行った。
[0077]図7は、4194リード先端を胸骨の下の第4肋骨の場所に位置決めした場合の第3の急性実験からの電気的データの強度−持続時間曲線を描いている。幾つかの療法ベクトルは概してパルス幅がかなり長い場合に低いペーシング閾値をもたらした。より短いパルス幅では閾値は増加した。
[0078]図8は、4194リード先端を胸骨の下の第5肋骨の場所に位置決めした場合の第3の急性実験からの電気的データの強度−持続時間曲線を描いている。0.2msでチャートからはみ出している様に見える2つの線は無捕捉の事例であった。図8は胸骨下/胸骨後方リードの位置依存性を実証している。閾値はこの解剖学的場所(リード先端が第5肋骨付近)では全体として高目であったが捕捉はなお可能であり、また閾値は4194リング(−)からACE(+)への構成ではどちらかというと低かった(20msで2ボルト)。概して有意な心外刺激は観測されなかったが、但し4194先端(−)からACE(+)への構成での0.2ms及び0.5msのパルス幅の場合及び4194リード(−)から皮下ICDリードのコイルへ進む単極構成での1.5ms及びそれより短いパルス幅の場合を別にしてということであり、それらの場合は何れもこのリード位置での最も高い記録閾値示度を生じさせた。
[0079]図9は、4194リード先端が胸骨の下の第6肋骨の場所に位置決めされた場合の第3の急性実験からの電気的データの強度−持続時間曲線を示している。図9は、胸骨下/胸骨後方電極の位置依存性を示している。ペーシング電極を(蛍光透視法を介して観測しながら)最適にも心陰影の心室面の上に位置付けた場合、ペーシング閾値は低くなっている。低い閾値は、この解剖学的場所では、より短いパルス持続時間であっても多くの異なるペーシング構成で再現性が非常に良かった。心外刺激は概してこの実験全体を通して低い閾値及びより長いパルス持続時間では顕在しなかった。
[0080]全3つの急性実験は、胸骨下/胸骨後方電極場所からのペーシングの実現可能性を実証した。3つの急性処置に亘る最も低い閾値結果は、それぞれ0.8ボルト、7ボルト、及び0.8ボルトであり、第2の急性処置には解剖学的差異(心膜癒着)が関与しており、それが心臓の心室面を胸骨に関するその正常な配置向きから離れて傾かせ、結果的にペーシング閾値を高くしてしまった。しかしながら、抗頻拍ペーシング目的では、従来の装置はATP療法送達について極大出力(1.5msで8ボルト)へデフォルトするのが典型である。このことを考慮すると、第2の急性実験で取得された7V閾値でさえATP療法にとっては満足のゆくものではなかろうか。
[0081]心臓を低いペーシング閾値で捕捉できるという能力は電極位置に依存していた。これらの実験を通して観測された様に、胸骨下/胸骨後方ペーシング電極は、蛍光透視法を介して容易に観測されリード設置にとって合理的に広い標的面積を包含する心陰影の心室面のほぼ上に位置決めされたときに最良の成果を提供する。第3の急性実験では、例えば、捕捉は3通りの別々の位置でリード先端を大凡第4肋骨、第5肋骨、及び第6肋骨に配して実現されており、それら位置はどれも心陰影の心室面付近であった。
[0082]ペーシング閾値は、より短いパルス持続時間で増加した。また一方、多くの事例では、低いペーシング閾値は短いパルス幅のときでさえ取得されており、特に胸骨下/胸骨後方ペーシング電極が心陰影の心室面の上に位置決めされた場合に取得されている。他の事例では、捕捉を取得する又はより低い捕捉閾値を実現するには、より長いパルス持続時間(10−20ms)が必須であった。
[0083]実験に亘って、胸骨下/胸骨後方リードから動物の横腹付近に位置決めされた能動缶型エミュレータへペーシングすること(単極)、また同様に胸骨下/胸骨後方リードから皮下ICDリードへペーシングすること(単極)が可能であった。皮下ICDシステムが、抗頻拍ペーシングの目的で胸骨下的に設置されるリードを組み込んだなら、上記単極ペーシング構成の両方が医師にとっての選択肢として利用可能となろう。
[0084]これらの実験は、更に、全体が胸骨の下になっている双極構成で(胸骨下的に4194先端(−)から4194リング(+)へ)ペーシングすることが可能であることを実証しており、胸骨の下に位置決めされたどちらかの双極リードを抗頻拍ペーシング目的に使用でき得ることが指し示された。
[0085]総じて、これらの急性実験の結果は、リードを脈管構造又は心膜空間へ進入させもせず心臓と密接に接触させもせずに胸骨下/胸骨後方の場所から心臓をペーシングすることが可能であることを実証した。これらの急性実験での胸骨下/胸骨後方リード場所からのペーシング時に取得された低い閾値は、皮下ICDシステムでの抗頻拍ペーシングを目的とした無痛ペーシングが達成可能範囲にあることを示唆している。
[0086]一部の事例ではリード16の電極32及び電極34(又はリード無しペーシング装置50の電極)は、心外刺激を低減する形状、配置向き、設計であるか、若しくはそうするように別のやり方で構成されていてもよい。例えば、リード16の電極28及び電極30(又はリード無しペーシング装置50の電極)は、電極28及び電極30を心臓26に向かって集束させる、方向決めする、又は向ける形状、配置向き、又は設計であってもよいし、若しくはそうするように別のやり方で構成されていてもよい。この方式では、リード16を介して送達されるペーシングパルスは、心臓26に向かって方向決めされ、外向きに骨格筋に向かって方向決めされない。例えば、リード16の電極28及び電極30(又はリード無しペーシング装置50の電極)は、ペーシング信号を心臓26に向かって方向決めし外向きに骨格筋に向かって方向決めしないように、一方の面又は異なる領域をポリマー(例えばポリウレタン)又は別の被覆材料(例えば五酸化タンタル)で部分的に被覆又はマスクされていてもよい。
[0087]様々な実施例を説明してきた。これら及び他の実施例は付随の特許請求の範囲の内にある。
10 植え込み型心臓ペーシングシステム
12 患者
14 植え込み型パルス生成器
18 リード
20 剣状突起
22 胸骨
26 心臓
32、34 電極
36 前縦隔
38 心膜
39 胸膜
40 植え込み型心臓ペーシングシステム
42 リード
44、46 電極
50 植え込み型心臓ペーシングシステム
52 リード
54、56 電極
60 制御モジュール
62 感知モジュール
64 療法モジュール
66 電源
68 通信モジュール
70 メモリ
72 アンテナ



  1. 患者に植え込まれるように構成されているペースメーカーと、
    植え込み型医用電気リードであって、
    近位端及び遠位部分を有する細長リード本体、
    前記細長リード本体の前記近位端の、前記ペースメーカーへ連結するように構成されているコネクタ、及び、
    前記細長リード本体の前記遠位部分に沿った1つ又はそれ以上の電極、を含んでいる植え込み型医用電気リードと、を備えている心臓ペーシングシステムにおいて、
    前記リードの前記細長リード本体の前記遠位部分は、前記患者の胸骨の後面に沿って実質的に前縦隔内に植え込まれるように構成されており、前記ペースメーカーはペーシングパルスを前記患者の心臓へ送達するように構成されている、心臓ペーシングシステム。

  2. 前記ペースメーカーは、徐脈ペーシングと抗頻拍(ATP)ペーシングとショック後ペーシングのうちの1つを前記患者へ前記リードを介して提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。

  3. 前記リードの前記遠位部分は、前記1つ又はそれ以上の電極が前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心室の心陰影の上又は前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心房の心陰影の上のどちらか一方の上に位置付けられるように、実質的に前記前縦隔内に植え込まれるように構成されている、請求項1から請求項2の何れか一項に記載のシステム。

  4. 前記1つ又はそれ以上の電極は、前記細長リード本体の前記遠位部分に沿った複数の電極を備えており、前記複数の電極のうちの第1の電極は、前記リードが植え込まれたときに当該第1の電極が前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心房の心陰影の上に位置付けられて前記心臓の前記心房をペーシングするように前記リード本体に沿って配置されており、前記複数の電極のうちの第2の電極は、前記リードが植え込まれたときに当該第2の電極が前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心室の心陰影の上に位置付けられて前記心臓の前記心室をペーシングするように前記リード本体に沿って配置されている、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のシステム。

  5. 前記1つ又はそれ以上の電極は、前記細長リード本体の前記遠位部分に沿った複数の電極を備えており、前記複数の電極のうちの第1の電極対は、前記リードが植え込まれたときに当該第1の電極対が前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心房の心陰影の上に位置付けられて前記心臓の前記心房をペーシングするように前記リード本体に沿って配置されており、前記複数の電極のうちの第2の電極対は、前記リードが植え込まれたときに当該第2の電極対が前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心室の心陰影の上に位置付けられて前記心臓の前記心室をペーシングするように前記リード本体に沿って配置されている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のシステム。

  6. 前記リードは、第1のリードであって当該リードの前記1つ又はそれ以上の電極が前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心房の心陰影の上に位置付けられて前記心臓の前記心房をペーシングするように実質的に前記前縦隔内に植え込まれている第1のリード、を備えており、前記システムは、更に、第2のリードであって、
    近位端及び遠位部分を有する細長リード本体、
    前記細長リード本体の前記近位端の、前記ペースメーカーへ連結するように構成されているコネクタ、及び、
    前記細長リード本体の前記遠位部分に沿った1つ又はそれ以上の電極、を含んでいる第2のリード、を備えており、
    前記第2のリードの前記細長リード本体の前記遠位部分は、当該第2のリードの前記1つ又はそれ以上の電極が前記心臓の前後方向(AP)蛍光透視図を介し観測して前記心臓の心室の心陰影の上に位置付けられて前記心臓の前記心室をペーシングするように、実質的に前記前縦隔内に植え込まれている、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のシステム。

  7. 前記ペースメーカーは、2ミリ秒以上のパルス幅を有するペーシングパルスを送達するように構成されている、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のシステム。

  8. 前記ペースメーカーは、2ミリ秒から3ミリ秒の間のパルス幅を有するペーシングパルスを送達するように構成されている、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のシステム。

  9. 前記ペースメーカーは、2ミリ秒より大きく8ミリ秒より小さいパルス幅を有するペーシングパルスを送達するように構成されている、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のシステム。

  10. 前記1つ又はそれ以上の電極は2つの電極を備えており、前記ペースメーカーは前記ペーシングリードの前記2つの電極の間にペーシングパルスを送達するように構成されている、請求項1から請求項9の何れか一項に記載のシステム。

 

 

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【選択図】図8
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