等電子不純物を含有するシリコン系熱電材料

著者らは特許

H01L35/22 - ホウ素,炭素,酸素または窒素を含む化合物からなるもの

の所有者の特許 JP2016528716:

アルファベット エナジー インコーポレイテッドAlphabet Energy,Inc.

 

等電子不純物を含有するシリコン系熱電材料、当該熱電材料に基づく熱電素子、並びに、それらの製造方法及び使用方法を提供する。一実施形態によれば、熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一実施例では、上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに含み、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン原子を置換することができ、又は上記シリコンの格子間内に配置することができる。

 

 

発明の詳細な説明
〔関連出願の相互参照〕
この出願は、2013年6月8日に出願された米国仮出願第61/832,781号の優先権を主張し、本明細書において、当該仮出願の全てが、全ての目的において参照により援用される。
〔背景技術〕
本発明は、シリコン系熱電材料に関する。より詳細には、本発明は、特定の実施形態に従って、等電子不純物を含有するシリコン系熱電材料を提供する。単なる一例として、本発明は、当該熱電材料に基づく熱電素子、並びに、当該熱電材料若しくは当該熱電素子の製造方法及び使用方法に適用されている。しかしながら、本発明は、より広い適用範囲を有していると認識されたい。
シリコンは、良く知られた半導体である。また、電子工学におけるシリコンの従来の用途に関する、確立された多くの処理技術は、熱電特性の向上に適用可能であり得る。例えば、図1Aは、従来技術のシリコンを示す略図である。シリコン(Si)原子が、実質的に均一な周期格子として配置されていることが分かる。当技術分野で周知のように、シリコンは、ダイヤモンド型立方構造を有しており、実質的に、粒界が格子内に配置されていない。シリコン原子の結晶構造は、任意の適切な長さの規模にわたることができる。例えば、数インチの直径を有する単結晶シリコンウエハが製造されている。しかしながら、当該ウエハは比較的弱い熱電特性を有し得る。
或いは、例えば、ナノ構造化された半導体材料は、高性能な熱電素子の製造に関して、比較的優れた熱電特性を有することが示されている。そのような材料のナノ構造は、シリコン原子の結晶構造を幾分か分裂させることができ、上記半導体材料の熱電特性を向上させることができる。ナノ構造処理と他の半導体処理とを結合することは、多くの選択肢の中の1つであり、そのことにより高性能な熱電素子をもたらすことができる。例えば、シリコンのナノワイヤ、ナノホール、ナノメッシュ等は、薄いシリコン・オン・インシュレータのエピタキシャル層に形成されている、又はナノワイヤのアレイとして形成されており、結果として、物理的サイズが比較的小さい、薄膜のようなナノスケールの構造となり得る。そのような構造は、例えば、内部に1〜100nmのホールを有する、数ミクロンの幅、数ミクロンの長さ、数十〜数百ナノメートルの厚さの薄膜、及びリボンに類似したものであり得る。これらの構造は、フォノン輸送(熱輸送)に影響を与えて熱伝導率を低減する一方で、電気的特性にあまり影響を与えないという、緻密なナノ構造の基本的性能を示す。材料の熱電特性は、次式で表される熱電性能指数ZTとして表現することができる。
ZT=Sσ/k
ここで、Sは材料の熱電能に相当するゼーベック係数であり、σは電気伝導度であり、kは熱伝導率である。ナノ構造化された半導体材料は、高性能な熱電素子の製造に関して、比較的優れた性能指数ZTを有することが示されている。
結果として得られる熱電材料の熱伝導率を減らすだけでなく、ゼーベック係数を増加させる及び/又は電気伝導度を増大させる技術に別の焦点が置かれ得る。低減された熱伝導率を有するシリコン基材内部のナノ構造化された特徴の利点を活用して、ナノ構造化された物質のミクロンスケールの塊を、実用的な発電に適したバルクの大きさの材料へ転換することに適用することができる。この発電においては、熱電材料に温度勾配が与えられ、ゼーベック効果によって電圧の勾配が推進され、次には電流の流れが推進される。さらに、ナノ構造の特徴を有するバルクの大きさのシリコン基材を製造することで、熱電特性を向上させることができる。
したがって、改善された特性を有する熱電材料を開発することが、強く要求されている。
〔概要〕
本発明は、シリコン系熱電材料に関する。より詳細には、本発明は、特定の実施形態に従って、等電子不純物を含有するシリコン系熱電材料を提供する。単なる一例として、本発明は、当該熱電材料に基づく熱電素子、並びに、当該熱電材料若しくは当該熱電素子の製造方法及び使用方法に適用されている。しかしながら、本発明は、より広い適用範囲を有していると認識されたい。
説明するための一実施形態によれば、熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含んでおり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。
一例では、上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子を含んでおり、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されている。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含んでいる。別の例では、上記熱電材料は、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなっている。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
別の例では、ナノ結晶、ナノワイヤ、又はナノリボンは熱電材料を含んでおり、上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。
別の実施形態によれば、熱電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、上記第1の電極及び上記第2の電極の間に配置された熱電材料とを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。
別の例では、上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに含み、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。
別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン中のシリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されている。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含む。別の例では、上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなる。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記素子は、互いに異なる温度の上記第1の電極及び第2の電極に基づいて、上記第1の電極と第2の電極との間に、上記熱電材料を通じて流れる電流が発生するように構成されている。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
さらに別の実施形態によれば、熱電材料の製造方法は、シリコンを準備することと、上記シリコンの内部に、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することとを含んでおり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。
別の例では、上記方法は、上記シリコンの内部に、ゲルマニウム原子を配置することをさらに含み、上記ゲルマニウム原子を、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量にて配置する。さらに別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記方法は、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とを、独立して、シリコン中のシリコン原子と置換すること、又は、等電子不純物原子若しくはゲルマニウム原子を上記シリコンの格子間内に配置することを含む。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記方法は、上記シリコンの内部に、N型ドーパント又はP型ドーパントを配置することをさらに含む。別の例では、上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなる。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。さらに別の例では、上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、拡散炉内に上記シリコンを設置することと、上記拡散炉内にて、上記1種又は複数種の等電子不純物原子を上記シリコン中に拡散させることとを含む。さらに別の例では、上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、シリコンと上記1種又は複数種の等電子不純物原子との粉末混合物を得ることと、上記粉末混合物を焼結して、内部に配置された上記1種又は複数種の等電子不純物原子を有する上記シリコンを形成することとを含む。さらに別の例では、上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、シリコンと上記1種又は複数種の等電子不純物原子との融解物を得ることと、上記融解物を凝固させて、内部に配置された上記1種又は複数種の等電子不純物原子を有する上記シリコンを形成することとを含む。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
さらに別の実施形態によれば、熱電素子の製造方法は、熱電材料を準備することと、上記熱電材料を第1の電極と第2の電極との間に配置することとを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。別の例では、上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに含み、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。
さらに別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン中のシリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されている。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含んでいる。別の例では、上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなる。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
さらに別の実施形態によれば、熱電素子の使用方法は、熱電材料を準備することと、互いに異なる温度の上記第1の電極及び第2の電極に基づいて、上記第1の電極と第2の電極との間に、上記熱電材料を通じて流れる電流を発生させることとを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。
さらに別の実施形態によれば、熱電素子の使用方法は、熱電材料を準備することと、上記第1の電極から第2の電極へと、上記熱電材料を通じ、電流に対応する熱を供給することとを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。
本実施形態によって、1つ以上の利点が達成され得る。これらの利点、並びに本発明のさらなる様々な目的、特徴点、及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照して完全に理解され得る。
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、従来技術のシリコンを示す略図である。
図1Bは、本発明の特定の実施形態における、シリコン及び等電子不純物を含む例示的なシリコン系熱電材料を示す略図である。
図1Cは、本発明の特定の実施形態における、シリコン及び複数種の等電子不純物を含む例示的なシリコン系熱電材料を示す略図である。
図2Aは、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む例示的な熱電素子を示す略図である。
図2Bは、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む例示的な他の熱電素子を示す略図である。
図2Cは、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む別の例示的な他の熱電素子を示す略図である。
図3は、本発明の特定の実施形態における、等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料の熱伝導率に及ぼす例示的な影響を示す略図である。
図4は、本発明の特定の実施形態における、等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料の電気伝導度に及ぼす例示的な影響を示す略図である。
図5は、本発明の特定の実施形態における、等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料のゼーベック係数に及ぼす例示的な影響を示す略図である。
図6は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む熱電素子の例示的な製造方法及び使用方法を示す略図である。
図7は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料の例示的な調製方法を示す略図である。
図8A〜図8Fはそれぞれ、本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。
図9は、本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入するために用いることができる例示的な装置を示す略図である。
図10は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定した電気抵抗率ρ(μΩm)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。
図11は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定した熱伝導率k(W/mK)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。
図12は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定したゼーベック係数S(μV/K)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。
図13は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料における測定した熱伝導率kと電気抵抗率ρとの積kρの逆数1/kρ(K/WμΩ)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。
〔詳細な説明〕
本発明は、シリコン系熱電材料に関する。より詳細には、本発明は、特定の実施形態に従って、等電子不純物を含有するシリコン系熱電材料を提供する。単なる一例として、本発明は、当該熱電材料に基づく熱電素子、並びに、当該熱電材料若しくは当該熱電素子の製造方法及び使用方法に適用されている。しかしながら、本発明は、より広い適用範囲を有していると認識されるだろう。
例えば、本発明の1つ以上の実施形態において、1種又は複数種の等電子不純物を導入することにより、結果として得られる材料の、熱伝導率を減少させること、及び/又は、ゼーベック係数を増大させること、及び/又は、電気伝導度を増大させることによって、シリコン系熱電材料の熱電性能指数ZTは、増大する。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含む。「等電子」とは、価電子の電子配置がシリコンと類似している元素を意味する。例えば、シリコンの価電子の電子配置は、3S3Pであり、シリコン(Si)の標準原子量は、28である。Si28の同位体、例えば、Si29、Si30、Si32、及びSi42(Si28+xとも称する)もまた、3S3Pの価電子の電子配置を備える一方、その質量及び/又はその原子半径は、Si28とは異なる。また、例えば、IVB族(14族とも称する)の他の元素は、シリコンと類似している価電子の電子配置を備え得る。例えば、炭素(C)は、2s2pの価電子の電子配置を備えており、炭素が上記シリコンの内部に配置される場合に、少なくともいくつかの局面において、炭素の2pの電子の挙動は、シリコンの3pの電子の挙動と類似していると予測され得るため、炭素の価電子の電子配置はシリコンと類似していると考えられ得る。さらに、例えば、ゲルマニウム(Ge)は、3d104s4pの価電子の電子配置を備えており、ゲルマニウムが上記シリコンの内部に配置される場合に、少なくともいくつかの局面において、ゲルマニウムの4pの電子の挙動は、シリコンの3pの電子の挙動と類似していると予測され得るため、ゲルマニウムの価電子の電子配置は、シリコンと類似していると考えられ得る。さらに、例えば、錫(Sn)は、4d105s5pの価電子の電子配置を備えており、錫が上記シリコンの内部に配置される場合に、少なくともいくつかの局面において、錫の5pの電子の挙動は、シリコンの3pの電子の挙動と類似していると予測され得るため、錫の価電子の電子配置は、シリコンと類似していると考えられ得る。さらに、例えば、鉛(Pb)は、4f145d106s6pの価電子の電子配置を備えており、鉛が上記シリコンの内部に配置される場合に、少なくともいくつかの局面において、鉛の6pの電子の挙動は、シリコンの3pの電子の挙動と類似していると予測され得るため、鉛の価電子の電子配置は、シリコンと類似していると考えられ得る。
1種又は複数種の上記等電子不純物は、それぞれ、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量である。何らかの理論に拘束されることなく、シリコン原子の物理的性質(例えば、原子数及び/又は原子半径)と、1種又は複数種の上記等電子不純物の物理的性質との差異が、上記シリコン中における特定の熱フォノンの伝播を妨げ得る散乱中心を規定し得ると考えられる。例えば、上記不純物は、熱フォノンの散乱を引き起こす、上記シリコン内部における局所的な変形又は密度変化を含む。何らかの理論に拘束されることなく、上記散乱は、材料中を通る、或いは、上述の熱フォノンに媒介される、熱の流れを阻害することによって上記材料の熱伝導率を低下させ得ると考えられる。1種又は複数種の上記等電子不純物は、必ずしも全ての熱フォノンを散乱させる必要はないが、その代わり、熱電材料の熱伝導率を適度に減少させることに関して、十分な数及び十分な度数分布の熱フォノンを散乱し得る。例えば、上記等電子不純物は、比較的短い波長(例えば、200nm未満の波長)を有し、比較的高いエネルギーを有するフォノンを散乱させる点として作用し得る。加えて、或いは、上記シリコン全体にわたる上記等電子不純物の分布は、より長波長のフォノンの干渉性散乱を引き起こし得る。上記材料の熱電特性を改善するための機構は、上記材料の熱伝導率を低下させること、若しくは、熱フォノンを散乱させることに、必ずしも限定される必要はなく、又は含んでいる必要さえない。例えば、1種又は複数種の上記等電子不純物は、上記材料の熱的特性を変化させることに加えて、或いは、その代わりに、上記材料の電気的特性を変化させることにより(例えば、性能指数ZTの値を増加させることによって)、上記材料の熱電特性を改善し得る。例えば、1種又は複数種の上記等電子不純物は、上記材料のゼーベック係数を増加させ得る、及び/又は、上記材料の電気伝導度を増加させ得る。
加えて、1種又は複数種の上記等電子不純物は、上記シリコン中において、上記不純物それぞれの飽和限界よりも少ない量存在する。例えば、1種又は複数種の上記等電子不純物の原子は、一般的に、上記シリコンの形状を維持し、かつ、単相の材料を与える方法にて、実質的に、上記シリコン内部にわたって均一に分布し得、上記シリコン内部に挿入され得る。1種又は複数種の上記等電子不純物の原子は、例えば、対応するシリコン原子と置き換えられ得るか、上記シリコン中の空隙内部に配置され得るか、或いはそれらの組み合わせであり得る。上記材料は、必ずしも必要ではないが、一部が結晶性であり得る。例えば、上記材料は、多数の単位格子を含み、それぞれの上記単位格子は、一般的に、例えば、ダイヤモンド型構造を有する結晶であり得る。しかしながら、全ての単位格子が互いに同一方向に配向する必要はない。しかし、特定の実施形態において、いくつかの、又は、全ての単位格子が、互いに同一方向に配向し得る。すなわち、望ましい熱電特性を提供するために、その長さの規模として、上記材料が結晶性である適度な長さの規模を超える長さの規模が選択され得る。1種又は複数種の上記等電子不純物の原子は、上記シリコンの単位格子を、上記不純物を含まない上記シリコンの他の単位格子とは相対的に異なる形状又は相対的に異なる大きさとし得るが、上述の単位格子の一般的な結晶構造は実質的に維持され得る。何らかの理論に拘束されることなく、1種又は複数種の上記等電子不純物の原子に起因する単位格子の変化は、上記シリコンについて、局所的な変形及び/又は局所的な密度変化を引き起こし、熱フォノンを散乱させ得るか、或いは、さもなければ、上記材料の熱電特性を改善し得ると考えられる。その代わり、相対的に、1種又は複数種の上記等電子不純物の量が、上記シリコン内におけるそれぞれの飽和限界を超える量まで増加する場合、その後、上記不純物はいずれも、上記シリコンの外部に沈殿し、上記シリコン内部に相分離した領域を形成することが予測され得、或いは、上記シリコン単独の結晶構造とは著しく異なる結晶構造を有する上記シリコンとの合金を形成することが予測され得る。
例えば、本発明のいくつかの実施形態において、単一の等電子不純物は、上記シリコン内部に含まれ得る。図1Bは、本発明の特定の実施形態における、シリコン及び等電子不純物を含む例示的なシリコン系熱電材料を示す略図である。例えば、ゲルマニウム(Ge)、Si29、又はSi32のような等電子不純物は、シリコン系熱電材料における熱電性能指数を向上させることが、実験データ(SiGe)及び計算(Si29、Si32)を通じて示された。別の適切な等電子不純物は、錫(Sn)である。何らかの理論に拘束されることなく、第1の機構は、熱伝導率の低下を介するものであると考えられる。いくつかの場合において、ゼーベック係数の大きさと電気伝導度の大きさとは同様に増大し得る。特定の実施形態において、Siの等電子でもあり、かつ、Siと混合した場合にその熱伝導率の低下を引き起こし得る、Sn元素及びPb元素は、本発明のシリコン系熱電材料に添加され、その熱電特性をさらにより大きい範囲まで向上させ得る。Sn原子及びPb原子は、Ge及びSi28+xよりも原子量がより大きく、上記材料をより大きく変形させることから、Si−Sn混合物又はSi−Pb混合物の熱伝導率は、Si−Ge及びSi−Si28+x系材料の熱伝導率よりもさらに低くなることが予想され得る。一方、C元素は、Siよりも原子量が小さく、上記シリコン系熱電材料の変形を減少させることが予測され得る。
別の特定の実施形態において、Snは、毒性がなく、その原子量及び原子半径が比較的大きく、かつ、標準的なSiプロセスにて使用され得る温度(<1200℃)にてSi中において比較的高い溶解性を有することから、付加的な等電子元素として選択される。これらの標準的なSiプロセスには、シリコンインゴットの形成プロセス、ウェーハプロセス、他の材料処理プロセスにおけるドーピング工程及びイオン埋め込み工程、ナノワイヤ、ナノホール、ナノチューブ及びナノリボンを含むシリコンのナノ構造体を形成するエッチングプロセス、並びに、シリコンのナノパウダーを回収するプロセスが包含される。Siナノワイヤ、メソポーラスSi、Si逆オパール、焼結したバルクサイズのナノ構造のSi材料を含む任意の形態のシリコン系材料内部に、Sn、Pb、C、Ge及び他の等電子不純物のうちの1種又はそれらの組み合わせを添加することにより、上述のSiプロセスの間又はその後に、高性能なシリコン系熱電材料を製造することができる。随意的に、上記シリコン系材料はまた、標準的なN型ドーパント(例えば、P、As、Sb、Bi)又は標準的なP型ドーパント(例えば、B、Al、Ga、In)を用いてドープされることにより、その熱電性能指数が向上するか、又は、さもなければ、望ましい熱的特性又は望ましい電気的特性を得ることができる。
図1Bに示される実施形態において、上記等電子不純物は、錫(Sn)であるが、その代わりに他の適切な等電子不純物として、炭素(C)又は鉛(Pb)などが含まれ得ることが理解されるだろう。上記等電子不純物(例えば、錫(Sn))の原子は、実質的に、上記シリコン全体にわたって均一に分布することにより、上記材料の構造に局所的な変化を生成し得ることが、図1Bから理解され得る。上記材料は、実質的に、均一、かつ周期的な格子を有することが図1Bに示されているが、上記材料は、必ずしも全てが結晶性ではなく、例えば、非晶質であり得、或いは、任意の望ましい長さの規模において結晶性であり得ることが理解できるだろう。例えば、上記材料の所定の単位格子(例えば、図1Bの破線で囲まれた部分)は、一般的に、結晶性であり得、他の単位格子は必ずしも互いに同一の方向に配向する必要はない。例えば、上記材料は、一般的に、約2nm以下、約5nm以下、約10nm以下、約20nm以下、約50nm以下、又は約100nm以下の長さの規模において結晶性であり得るが、上述の長さの規模を超える長さの規模においては、必ずしも結晶性である必要はない。上記等電子不純物原子(例えば、錫)は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であり得ると共に、上記シリコン中における上記等電子不純物原子(例えば、錫)の飽和限界よりも少ない量であり得る。例えば、上記等電子不純物原子(例えば、錫)はそれぞれ、独立して、上記シリコン中のシリコン原子と置き換えられ得るか、或いは、上記シリコン中の空隙内部に配置され得る。例えば、上記シリコン原子及び上記等電子不純物原子(例えば、錫)は、上記熱電材料における単相を規定し得る。上記熱電材料における広範囲の結晶性の欠如は、上記熱電材料の特性を改善し得る。説明するための一実施形態において、上記材料は、本明細書にて全ての目的において参照により援用される、Reifenberg等の米国特許公報第2014/0116491号の記載の方法と類似の方法にて調製される、焼結したシリコンナノワイヤに基づく。
随意的に、図1Bにて示される熱電材料は、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含み得る。上述の実施形態において、熱電材料は、基本的に、上記シリコン、上記等電性不純物原子(例えば、錫)及びN型ドーパント又はP型ドーパントからなり得る。例示的なN型ドーパントは、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などのVB族(15族とも称する)の元素を含み得る。例示的なP型ドーパントは、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)などのIIIB族(13族とも称する)の元素を含み得る。一例において、N型ドーパント又はP型ドーパントの量は、約1×1017/cmから約1×1021/cmの間であり得る。例えば、N型ドーパント又はP型ドーパントの量は、約5×1018/cmから約5×1020/cmの間であり得る。
上述の通り、特定の等電子不純物は、シリコンと類似の価電子の電子配置を備えるが、その原子数及び/又は原子半径が異なる。例えば、錫は、約1.14Åであるシリコンの共有結合半径に対して、約1.40Åの比較的大きな共有結合半径を有する。本明細書にて使用する場合、「約」との語句は、他の記載がない限り、記載された値の10%以内であることを意味する。図1Bにて示される通り、上記シリコン(シリコン系材料とも称され得る)全体にわたって錫原子が分散することは、例えば、これら錫原子を含む単位格子の拡大といった歪みを発生させる。上記歪みはまた、上述のこれらの錫原子を含まない他の単位格子(例えば、隣接する単位格子)にいくらかの小さな歪みを発生させる(これらの他の単位格子は、必ずしも上記錫原子を含む単位格子と同一の配向を有する必要はない)。何らかの理論に拘束されることなく、Sn原子は、上記シリコンの空隙に取り込まれ易く、格子間原子としてより、むしろ置換原子になり易いと考えられるが、Sn原子はまた上記シリコン内の空隙内部へ配置され得ることが理解されるだろう。図1Bにて示される例示的な実施形態において、Sn原子は、置換不純物として、元のSi原子のそれぞれと置換される。何らかの理論に拘束されることなく、SnとSiとの間の比較的大きな共有結合半径の差異が、それぞれのSn原子周辺において比較的強い歪場を発生させ、フォノンの散乱及び上記シリコンの熱伝導率の低下を引き起こし得ると考えられる。他の等電子元素は、Siとは異なる共有結合半径を有し、上記元素の原子周辺に比較的強い歪場を発生させ得、フォノンの散乱及び上記シリコンの熱伝導率の低下を引き起こし得る。
上記等電子不純物の量は、シリコン系熱電材料の熱電特性における適度な改善を提供するために選択され得る。例えば、上記不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり得る。例えば、上記不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%であり得る。例えば、上記不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.05原子%から約1.5原子%であり得る。例えば、上記不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.1原子%から約1原子%であり得る。例えば、上記不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.5原子%から約1原子%であり得る。或いは、例えば、上記不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約0.5原子%であり得る。例えば、上記不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.1原子%から約0.5原子%であり得る。従来知られている通り、シリコンの原子数の密度は、約5×1022cm−3であり、不純物の原子%は、その原子%と5×1022cm−3とを掛けることによって、cm−3の単位に変換し得る。例えば、錫2原子%は、錫約1×1021cm−3に対応する。純粋なシリコン中における錫の飽和限界は、約5×1019cm−3(10%以上、50%以下の誤差を有する)との特性が文献にて示された。さらに詳しい詳細については、本明細書において、全ての目的において参照により援用される、Olesinskiらの“The Si-Sn (Silicon-Tin) System,” Bulletin of Alloy Phase Diagrams 5(3): 273-276 (1984)を参照する。しかしながら、錫などの元素の溶解性が、錫とは異なる共有結合半径を有する、B、C又はGeなどの付加的な元素を挿入することによって増大し得ることに注意する。上述の通り、5×1019cm−3の文献値は、錫が所定の熱電材料内部にどの程度挿入され得るかについての上限値を必ずしも表さない。C又はPbなどの他の等電子不純物はそれぞれ、他の元素の存在によってさらに影響を受け得る溶解限度を有する。いくつかの実施形態において、上記等電子不純物の量が、上記シリコン中における上記不純物の溶解限度を超える。例えば、何らかの理論に拘束されることなく、上記等電子不純物原子は、実質的に、上記シリコン全体にわたって均一に分布しているよりもむしろ、上記等電子不純物の複数の原子を有する比較的小さな相領域がそれぞれ、上記シリコン全体にわたって(例えば、実質的に均一に)分布し得ると考えられる。
加えて、2種以上の上記等電子不純物が、シリコン内に含まれ得、そのことにより上記材料の熱電特性の改善の度合いを相乗的に向上させる。例えば、図1Cは、本発明の特定の実施形態における、シリコン及び複数種の等電子不純物を含む例示的なシリコン系熱電材料を示す略図である。図1Cにて示される実施形態において、上記等電子不純物は、錫(Sn)及びゲルマニウム(Ge)であるが、異なる等電子不純物の任意の組み合わせ、例えば、Sn、Ge、Pb及びCの任意の好適な組み合わせを使用することができることが理解されるだろう。
上記等電子不純物原子(例えば、錫(Sn)及びゲルマニウム(Ge))はそれぞれ、実質的に、上記シリコン全体にわたって均一に分布することにより、上記材料の構造に局所的な変化を生成し得ることが、図1Cを説明するための実施形態から理解され得る。上記材料は、実質的に、均一、かつ周期的な格子を有することが図1Cに示されているが、上記材料は、必ずしも全てが結晶性ではなく、例えば、非晶質であり得、或いは、任意の望ましい長さの規模において結晶性であり得ることが理解できるだろう。例えば、上記材料の所定の単位格子(例えば、図1Cの破線で囲まれた部分)は、一般的に、結晶性であり得、他の単位格子は必ずしも互いに同一の方向に配向する必要はない。例えば、上記材料は、一般的に、約2nm以下、約5nm以下、約10nm以下、約20nm以下、約50nm以下、又は約100nm以下の長さの規模において結晶性であり得るが、上述の長さの規模を超える長さの規模においては、必ずしも結晶性である必要はない。上記等電子不純物原子(例えば、錫及びゲルマニウム)はそれぞれ、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であり得ると共に、上記シリコン中における上記等電子不純物原子(例えば、錫及びゲルマニウム)のそれぞれの飽和限界よりも少ない量であり得る。例えば、上記等電子不純物原子(例えば、錫又はゲルマニウム)はそれぞれ、独立して、上記シリコン中のシリコン原子と置き換えられ得るか、或いは、上記シリコン中の空隙内部に配置され得る。例えば、上記シリコン原子及び上記等電子不純物原子(例えば、錫及びゲルマニウム)は、上記熱電材料における単相を規定し得る。上記熱電材料における広範囲の結晶性の欠如は、上記熱電材料の特性を改善し得る。説明するための一実施形態において、Reifenberg等の米国特許公報第2014/0116491号の記載の方法と類似の方法にて調製される、焼結したシリコンナノワイヤに基づく。
随意的に、図1Cにて示される熱電材料は、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含み得る。上述の実施形態において、熱電材料は、基本的に、上記シリコン、上記等電性不純物原子(例えば、錫及びゲルマニウム)、並びに、N型ドーパント又はP型ドーパントからなり得る。例示的なN型ドーパントは、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などのVB族(15族とも称する)の元素を含み得る。例示的なP型ドーパントは、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)などのIIIB族(13族とも称する)の元素を含み得る。一例において、N型ドーパント又はP型ドーパントの量は、約1×1017/cmから約1×1021/cmの間であり得る。例えば、N型ドーパント又はP型ドーパントの量は、約5×1018/cmから約5×1050/cmの間であり得る。
上述の通り、等電子不純物は、シリコンと類似の価電子の電子配置を備えるが、その原子数及び/又は原子半径が異なる。例えば、ゲルマニウムは、約1.14Åであるシリコンの共有結合半径に対して、約1.22Åの比較的大きな共有結合半径を有し、約1.40Åである錫の共有結合半径に対して、比較的小さな共有結合半径を有する。図1Cにて示される通り、上記シリコン(シリコン系材料とも称され得る)全体にわたって錫原子及びゲルマニウム原子が配置されることは、例えば、これら等電子不純物を含む単位格子の拡大といった歪みを発生させる。上記歪みにおいて、錫原子を含む単位格子における歪みの方が、ゲルマニウム原子を含む単位格子における歪みよりも大きい。何らかの理論に拘束されることなく、異なる不純物(例えば、錫及びゲルマニウム)は、その物理的特性(例えば、原子数及び/又は原子半径)が異なっていることから、上記不純物は互いに、異なる度数分布の熱フォノンを散乱し得、従って、上記シリコンの熱伝導率を相乗的に減少させ得ると考えられる。例えば、上記不純物は、上記シリコンの構造における破壊(例えば、上記シリコンが別に有していた任意の周期性における1以上の破壊)を引き起こし得、フォノンの散乱現象が、結果として得られるシリコンの構造が備えるフォノンの非線形相互作用から発生し得る。1つの例示的な散乱の原因は、第1の等電子不純物(例えば、Sn)の上記Si構造内への挿入、及び/又は上記元素及びSiとの結合によって引き起こされる、質量、結合長さ、歪み、若しくは周期性、又はそれらの組み合わせにおける破壊であり得る。別の例示的な散乱の原因は、第2の等電子不純物(例えば、Ge)の上記Si構造内への挿入、及び/又は上記元素及びSiとの結合によって引き起こされる、質量、結合長さ、歪み、若しくは周期性、又はそれらの組み合わせにおける破壊であり得る。別の例示的な散乱の原因は、Siの単位格子における他のフォノン(ウムクラップ散乱とも称する)によって引き起こされる上記Si単位格子の周期的な破壊に由来する散乱である。何らかの理論に拘束されることなく、2種類以上の異なる種類の等電性不純物(例えば、Sn及びGe)をシリコン内部へ十分な量挿入することにより、上記不純物(例えば、Sn及びGe)の間の付加的な相互作用が、上記2種類の不純物の歪場が互いに重なり合うことを引き起こし得る。フォノンの散乱における上述の歪場の効果は、散乱が非線形であることから、シリコンと個々の不純物と間の歪場の相加効果(線形効果)と相対的な相乗効果(非線形効果)であることが予想され得る。加えて、上述の拡大が、上述のこれらの不純物の原子を含まない他の単位格子(例えば、隣接する単位格子)にいくらかの小さな歪みを発生させる(これらの他の単位格子は、必ずしも上記不純物の原子を含む単位格子と同一の配向を有する必要はない)。他の等電子元素は、Siとは異なる共有結合半径を有し、上記元素の原子周辺に比較的強い歪場を発生させ得、フォノンの散乱及び上記シリコンの熱伝導率の低下を引き起こし得る。
図1Cにて示される例示的な実施形態において、Sn原子及びGe原子はそれぞれ、置換不純物として、元のSi原子のそれぞれと置換される。何らかの理論に拘束されることなく、SnとSiとの間の比較的大きな共有結合半径の差異が、それぞれのSn原子周辺において比較的強い歪場を発生させ、フォノンの散乱及び上記シリコンの熱伝導率の低下を引き起こし得ると考えられる。加えて、GeとSiとの間の比較的大きな共有結合半径の差異が、それぞれのGe原子周辺において比較的強い歪場を発生させ、フォノンの散乱及び上記シリコンの熱伝導率の低下を引き起こし得ると考えられる。加えて、SnとGeとの間の比較的大きな共有結合半径の差異が、上記シリコン内部におけるSn単独又はGe単独の配置に基づいて予想され得るものと比較して、フォノン散乱の増大を引き起こすさらなる相乗効果、及び、熱伝導率のさらなる低下を提供し得ると考えられる。
各々の等電子不純物の量は、上記シリコン系材料の熱電特性を好適に改善するために共に選択され得る。例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり得る。例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%であり得る。例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.05原子%から約1.5原子%であり得る。例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.1原子%から約1原子%であり得る。例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.5原子%から約1原子%であり得る。或いは、例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約0.5原子%であり得る。例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.1原子%から約0.5原子%であり得る。或いは、加えて、代わりに、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり得る。例えば、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.01原子%から約2原子%であり得る。例えば、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.05原子%から約1.5原子%であり得る。例えば、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.1原子%から約1原子%であり得る。例えば、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.5原子%から約1原子%であり得る。或いは、例えば、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.01原子%から約0.5原子%であり得る。例えば、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.1原子%から約0.5原子%であり得る。第1の不純物原子及び第2の不純物原子(例えば、錫及びゲルマニウム)の量の任意の好適な組み合わせが使用され得る。特定の一実施形態において、第2の不純物原子(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり、かつ、例えば、第1の不純物原子(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。加えて、1種又は複数種の他の不純物原子、又は、P型若しくはN型のドーパントの存在が、上記シリコン中の所定の等電子不純物の飽和限界に影響を与え得ることに注意する。上述の実施形態において、上記シリコン中のそれらの不純物の飽和限界は、他の不純物原子、又は、P型若しくはN型のドーパントによる上述の任意の影響を含むと考えられる。
任意の好適な等電子不純物、すなわち、任意の好適な量及び好適な種類の等電子不純物が、好適な熱電特性を備えるシリコン系熱電材料を提供するために、上記シリコン内部に含まれ得ることが好ましいだろう。例示的な等電子不純物には、C、Ge、Sn及びPbが含まれる。上述の等電子不純物のそれぞれの量は、例えば、約0.001原子%から約2原子%であり得る。例えば、各々の不純物の量は、独立して、約0.01原子%から約2原子%であり得る。例えば、各々の不純物の量は、独立して、約0.05原子%から約1.5原子%であり得る。例えば、各々の不純物の量は、独立して、約0.1原子%から約1原子%であり得る。例えば、各々の不純物の量は、独立して、約0.5原子%から約1原子%であり得る。或いは、例えば、各々の不純物の量は、独立して、約0.01原子%から約0.5原子%であり得る。例えば、各々の不純物の量は、独立して、約0.1原子%から約0.5原子%であり得る。上述の等電子不純物のそれぞれの溶解性は、上記シリコン中の他の不純物又はドーパントの存在によって影響され得る。
説明するための一実施形態において、上記熱電材料は、Si及びSnを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Sn及びGeを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Sn及びPbを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Sn及びCを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Sn、Ge及びPbを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Sn、Ge及びCを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Sn、Ge、C及びPbを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si及びGeを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Ge及びCを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Ge及びPbを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、Ge、C及びPbを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si及びCを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si、C及びPbを含む。別の説明のための実施形態において、上記熱電材料は、Si及びPbを含む。
加えて、本発明のシリコン系熱電材料は、バルク材料の形態にて提供され得るか、或いは、代わりに、例えば、ナノ結晶、ナノワイヤ又はナノリボンのナノ構造体の形態にて提供され得る。例えば、ナノ結晶は、1nm〜250nm、例えば、1nm〜100nmの範囲の直径を有し得る。ナノワイヤは、長さ:直径=10:1よりも大きいアスペクト比を有し得る。例えば、ナノワイヤは、バルクの単結晶又は多結晶の同一の材料よりも、熱伝導率が低く、それゆえに、熱電性能指数ZTは大きいことが示された。別の実施例において、ナノワイヤは、1nm〜250nmの範囲の直径を有する。さらに別の実施例において、ナノワイヤは、1nm〜100nmの範囲に分布する粗い外面又は多孔性の外面を有する。ナノリボンは、リボンに類似する薄膜を含み得る。例えば、上記リボンは、幅10μm未満及び長さ10μm未満、並びに、数10nm〜数100nmの厚さを有し、並びに、上記リボン内部に孔を随意的に含み得る。上記孔は、1nm〜100nmの範囲の直径を有し得る。上述のナノ構造体は、熱伝導率が低下することによって、フォノンの熱移動に影響を与え得る一方、電気的特性には大きな影響を与えないことにより、熱電性能指数ZTが向上し得る。何らかの理論に拘束されることなく、例えば、ナノ結晶、ナノワイヤ又はナノリボンの上述のナノ構造体内部に含まれる本発明のシリコン系熱電材料は、バルクの形態にて上記材料を使用した場合と比較して、上記材料の熱電特性のさらなる強化を与え得ると考えられる。ナノ結晶、ナノワイヤ及びナノリボンを形成する方法は、従来知られた方法である。本発明における等電子不純物が配置され得るシリコンの別の例示的な形態は、少なくともバルクの形態中における、逆オパール、低次元シリコン材料(薄膜、ナノ構造のシリコン粉末、メソポーラス粒子など)、粗シリコン材料、ウエハ及び焼結構造体を含む。本発明の熱電材料にて使用され得るシリコンの種々の例示的な形態のさらに詳細な例について、本明細書において、全ての目的において参照により援用される以下の参考文献を参照する。Hochbaum等の「Enhanced thermoelectric performance of rough silicon nanowires」(Nature 451: 06381, pages 163-168 (2008));国際特許公報第2009/026466号(Yang等);米国特許公報第2014/0116491号(Reifenberg等);米国特許公報第2011/0114146号(Scullin等);米国特許公報第2012/152295(Matus等);米国特許公報第2012/0247527号(Scullin等);米国特許公報第2012/0295074号(Yi等);米国特許公報第2012/0319082号(Yi等);米国特許公報第2013/0175654(Muckenhirn等);米国特許公報第2013/0187130号(Matus等);及び米国特許公報第2014/0024163(Aguirre等)。
上述の通り、そして、本段落にてさらに強調される通りに、図1B及び図1Cは、単なる例であり、クレームの範囲を過度に限定する意図はない。当業者は、多くの変形、代替、変更を理解するだろう。例えば、本発明の熱電材料は、任意の好適な等電性不純物又は等電性不純物の任意の好適な組み合わせを含む、任意の好適な形態のシリコンを含み得る。例えば、上記シリコンは、任意の好適な結晶性を有し、例えば、非晶質、多結晶、ナノ結晶性、又は、単結晶、若しくは、任意の他の好適な大きさの長距離秩序(又はそれらの欠如)であり得る。
本明細書にて開示される材料(例えば、図1B、図1Cを参照して上述した材料)は、改善された熱電特性を備える素子を提供するための熱電素子の内部に含まれ得る。例えば、図2Aは、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む例示的な熱電素子を示す略図である。熱電素子20は、第1電極21、第2電極22、第3電極23、第1シリコン系熱電材料24及び第2シリコン系熱電材料25を含む。説明するための実施形態において、材料24及び材料25は、共に、1種又は複数種の等電子不純物をそれぞれ含むシリコン系熱電材料である。しかしながら、他の実施形態において、材料24及び材料25のうちの一方が1種又は複数種の等電子不純物を含むシリコン系熱電材料であり、材料24及び材料25のうちの他方が従来知られている任意の他の好適な熱電材料、又は、まだ改良される前の材料であり得る。材料24及び材料25のうちの一方として使用されるために好適な例示的な熱電材料は、特に限定されないが、テルル化鉛(PbTe)、テルル化ビスマス(BiTe)、スクッテルド鉱、クラスレート、シリサイド及びテルル−銀−ゲルマニウム−アンチモン(TeAgGeSb、又は「TAGS」)を含む。
第1のシリコン系熱電材料24は、第1電極21と第2電極22との間に配置され得る。第1のシリコン系熱電材料24は、例えば、図1Bを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第1の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第1の等電子不純物原子を含み得る。例えば、第1のシリコン系熱電材料24は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における錫の飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される錫原子を含み得る。各々の第1の等電子不純物原子は、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第1の不純物が錫である、説明するための一実施形態において、各々の錫原子は、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン及び上記第1の不純物(例えば、錫)は、第1のシリコン系熱電材料24における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。
随意的に、第1のシリコン系熱電材料24はまた、例えば、図1Cを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第2の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第2の等電子不純物原子を含み得る。例えば、第1のシリコン系熱電材料24は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置されるゲルマニウム原子をさらに含み得る。第1及び第2の等電子不純物原子はそれぞれ、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第1の不純物が錫であり、第2の不純物がゲルマニウムである、説明するための一実施形態において、錫原子及びゲルマニウム原子はそれぞれ、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン及び上記第1及び第2の不純物(例えば、錫及びゲルマニウム)は、第1のシリコン系熱電材料24における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり、第2の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%であり、第2の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。第1のシリコン系熱電材料24は、任意の好適なそれぞれの量にて、任意の好適な数及び好適な種類の種々の等電子不純物を好適に含み得ること、並びに、上記シリコンが、任意の好適な結晶性を有し、例えば、非晶質、多結晶、ナノ結晶性、又は、単結晶、若しくは、任意の他の好適な大きさの長距離秩序(又はそれらの欠如)であり得ることが好ましいだろう。
上記第2の等電子不純物の代わりとして、又は上記第2の等電子不純物に加えて、第1のシリコン系熱電材料24はまた、上記シリコン内部に配置されるN型又はP型ドーパントを含み得る。例えば、図2Aに示した実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24は、N型ドーパントを含む。第1のシリコン系熱電材料24は、実質的には、上記シリコン、当該シリコン中に配置される1種又は複数種の等電子不純物原子、及び、N型又はP型ドーパントからなり得る。説明するための一実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24は、シリコン、錫原子、ゲルマニウム原子及びN型ドーパントからなる。
第2のシリコン系熱電材料25は、第1電極21と第3電極23との間に配置され得る。第2のシリコン系熱電材料25は、例えば、図1Bを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第3の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第3の等電子不純物原子を含み得る。随意的に、必ずしもそうではないが、第3の等電子不純物は、第1の等電子不純物と同一の種類及び/又は同一の量である。例えば、第2のシリコン系熱電材料25は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における錫の飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される錫原子を含み得る。各々の第3の等電子不純物原子は、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第1の不純物が錫である、説明するための一実施形態において、各々の錫原子は、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン及び上記第3の不純物(例えば、錫)は、第2のシリコン系熱電材料25における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。
随意的に、第2のシリコン系熱電材料25はまた、例えば、図1Cを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第4の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第4の等電子不純物原子を含み得る。第4の等電子不純物は、必ずしもそうではないが、随意的に、(もし存在するのならば)第2の等電子不純物と同一の種類及び/又は同一の量である。例えば、第2のシリコン系熱電材料25は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置されるゲルマニウム原子をさらに含み得る。第3及び第4の等電子不純物原子はそれぞれ、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第3の不純物が錫であり、第4の不純物がゲルマニウムである、説明するための一実施形態において、錫原子及びゲルマニウム原子はそれぞれ、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン及び上記第3及び第4の不純物(例えば、錫及びゲルマニウム)は、第2のシリコン系熱電材料25における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり、第4の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%であり、第4の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。第2のシリコン系熱電材料25は、任意の好適なそれぞれの量にて、任意の好適な数及び好適な種類の種々の等電子不純物を好適に含み得ること、並びに、上記シリコンが、任意の好適な結晶性を有し、例えば、非晶質、多結晶、ナノ結晶性、又は、単結晶、若しくは、任意の他の好適な大きさの長距離秩序(又はそれらの欠如)であり得ることが好ましいだろう。
上記第4の等電子不純物の代わりとして、又は上記第4の等電子不純物に加えて、第2のシリコン系熱電材料25はまた、上記シリコン内部に配置されるN型又はP型ドーパントを含み得る。例えば、図2Aに示した実施形態において、第2のシリコン系熱電材料25は、P型ドーパントを含む。第2のシリコン系熱電材料25は、実質的には、上記シリコン、当該シリコン中に配置される1種又は複数種の等電子不純物原子、及び、N型又はP型ドーパントからなり得る。説明するための一実施形態において、第2のシリコン系熱電材料25は、シリコン、錫原子、ゲルマニウム原子及びP型ドーパントからなる。いくつかの実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24及び第2のシリコン系熱電材料25は、実質的に、互いに同じ種類及び互いに同じ量の等電子不純物、並びに、互いに異なる種類のドーパントを含み得る。限定されない一実施例において、第1のシリコン系熱電材料24及び第2のシリコン系熱電材料25は共に、同じ量(例えば、錫及びゲルマニウムについてそれぞれ約0.001原子%から約2原子%)の錫及びゲルマニウムを含み得る一方、材料24は、N型ドーパントを含み、材料25は、P型ドーパントを含む。別の限定されない実施例において、第1のシリコン系熱電材料24及び第2のシリコン系熱電材料25は共に、同じ量(例えば、錫及びゲルマニウムについてそれぞれ約0.01原子%から約2原子%)の錫及びゲルマニウムを含み得る一方、材料24は、N型ドーパントを含み、材料25は、P型ドーパントを含む。別の実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24及び第2のシリコン系熱電材料25は、任意のそれぞれの好適な量にて、互いに異なる等電子不純物含み得るか、或いは、互いに同じ種類の等電子不純物を含むが、互いに異なる量にて含み得るか、或いは、互いに同じドーパントを含み得る。不純物とドーパントとの他の組み合わせを、容易に想像することができる。加えて、上記シリコンは、材料24及び材料25において、類似であり得、或いは、材料24と材料25との間において異なるものであり得る。
第1のシリコン系材料24及び/又は第2のシリコン系材料25は、バルク材料の形態であり得、或いは、代わりに、例えば、ナノ結晶、ナノワイヤ又はナノリボンのナノ構造体の形態にて提供され得る。熱電素子における、ナノ結晶、ナノワイヤ及びナノリボンの使用は、既知である。本発明における等電子不純物が配置されるシリコンの他の例示的な形態は、少なくともバルクの形態中における、低次元シリコン材料(薄膜、ナノ構造のシリコン粉末、メソポーラス粒子など)、粗シリコン材料、ウエハ及び焼結構造体を含む。限定されない、説明するための一実施形態において、材料24及び/又は材料25は、米国特許公報第2014/0116491号(Reifenberg等)に記載の方法と類似の方法にて調製された、焼成されたシリコンナノワイヤに準拠し得る。
熱電素子20は、第1電極21と第2電極22との間に、第1の熱電材料24を介して、第1電極と第2電極が互いに異なる温度であることに基づく電流の流れを発生させるように構成され得る。例えば、第1電極21は、第1の熱電材料24、第2の熱電材料25及び第1の部品(例えば、熱源26)と熱的若しくは電気的に接触し得る。第2電極22は、第1の熱電材料24及び第2の部品(例えば、放熱板27)と熱的若しくは電気的に接触し得る。第3電極23は、第2の熱電材料25及び第2の部品(例えば、放熱板27)と熱的若しくは電気的に接触し得る。従って、第1の熱電材料24及び第2の熱電材料25は、互いに電気的に直列に構成され得、熱的には、第1の部品(例えば、熱源26)と第2の部品(例えば、放熱板27)との間において互いに並列に構成され得る。熱源26及び放熱板27は、必ずしも必要ではないが、熱電素子20の一部であると考えられる。
図2Aにて示される例示的な実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24は、その内部に配置された1種又は複数種の等電子不純物及びN型ドーパントを備えるシリコンを含み、第2のシリコン系熱電材料25は、その内部に配置された1種又は複数種の等電子不純物及びP型ドーパントを備えるシリコンを含む。第1のシリコン系熱電材料24は、素子20におけるN型の熱電脚を規定すると考えられ得、第2のシリコン系熱電材料25は、素子20におけるP型の熱電脚を規定すると考えられ得る。第1の部品(例えば、熱源26)と第2の部品(例えば、放熱板27)との間における、温度の差異又は温度の勾配に対応して、電子(e)が、第1電極21から第2電極22へ、第1のシリコン系熱電材料24を介して流れ、ホール(h)が、第1電極21から第3電極23へ、第2のシリコン系熱電材料25を介して流れ、従って電流が発生する。説明するための一実施例において、第1のシリコン系熱電材料24及び第2のシリコン系熱電材料25は、第1電極21を介して、電気的には互いに、熱的には第1の部品(例えば、熱源26)と連結される。熱が第1の部品26から第2の部品27(例えば、放熱板)へ、第1のシリコン系熱電材料24及び第2のシリコン系熱電材料25を同時に介して流れる場合、負の電子が、第1のシリコン系熱電材料24における熱い方の末端から冷たい方の末端へ移動し、正のホールが、第2のシリコン系熱電材料25における熱い方の末端から冷たい方の末端へ移動する。電極28と電極29の間の電気的ポテンシャル又は電圧は、第1のシリコン系熱電材料24及び第2のシリコン系熱電材料25が電気的には直列に、熱的には並列に連結される場合に発生する電流の流れを伴う温度勾配を各々の材料の脚部が有することによって発生する。材料24及び/又は材料25に含まれる等電子不純物が、各々の材料における性能指数ZTを向上させ得、その結果、第1の部品(例えば、熱源26)と第2の部品(例えば、放熱板27)との間の所定の温度の差異に対するエネルギー変換効率がより大きくなる。所定の熱の流れに対して、この向上する効率は、結果として、素子20の出力をより大きくし得る。
素子20によって発生した電流は、任意の好適な方法にて活用され得る。例えば、第2電極22は、好適な接続(例えば、導電体)を介して、負極28と連結され得、第3電極23は、好適な接続(例えば、導電体)を介して、正極29と連結され得る。負極28及び正極29は、任意の好適な電気装置と連結されることにより、上記装置に電位又は電流を提供し得る。例示的な電気装置には、バッテリー、コンデンサー、モーターなどが含まれる。例えば、図2Bは、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む例示的な他の熱電素子を示す略図である。図2Bにて示される素子20’は、図2Aにて示される素子20と類似の構成を有するが、抵抗30の第1の端部及び第2の端部とそれぞれ連結している、別の負極28’及び別の正極29’を含む。抵抗30は、独立型の装置であり得るか、或いは、負極28’及び正極29’と連結し得る別の電気装置の一部であり得る。例示的な電気装置には、バッテリー、コンデンサー、モーターなどが含まれる。
他の種類の熱電素子にも、本発明のシリコン系熱電材料が好適に含まれ得る。例えば、図2Cは、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む別の例示的な他の熱電素子を示す略図である。熱電素子20''は、第1電極21''、第2電極22''、第3電極23''、第1のシリコン系熱電材料24''及び第2のシリコン系熱電材料25''を含む。
第1のシリコン系熱電材料24''は、第1電極21''と第2電極22''との間に配置され得る。第1のシリコン系熱電材料24''は、例えば、図1Bを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第1の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第1の等電子不純物原子を含み得る。例えば、第1のシリコン系熱電材料24''は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における錫の飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される錫原子を含み得る。各々の第1の等電子不純物原子は、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第1の不純物が錫である、説明するための一実施形態において、各々の錫原子は、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン及び上記第1の不純物(例えば、錫)は、第1のシリコン系熱電材料24''における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。
随意的に、第1のシリコン系熱電材料24''はまた、例えば、図1Cを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第2の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第2の等電子不純物原子を含み得る。例えば、第1のシリコン系熱電材料24''は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置されるゲルマニウム原子をさらに含み得る。第1及び第2の等電子不純物原子はそれぞれ、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第1の不純物が錫であり、第2の不純物がゲルマニウムである、説明するための一実施形態において、錫原子及びゲルマニウム原子はそれぞれ、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン及び上記第1及び第2の不純物(例えば、錫及びゲルマニウム)は、第1のシリコン系熱電材料24''における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり、第2の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第1の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%であり、第2の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。第1のシリコン系熱電材料24''は、任意の好適なそれぞれの量にて、任意の好適な数及び好適な種類の種々の等電子不純物を好適に含み得ること、並びに、上記シリコンが、任意の好適な結晶性を有し、例えば、非晶質、多結晶、ナノ結晶性、又は、単結晶、若しくは、任意の他の好適な大きさの長距離秩序(又はそれらの欠如)であり得ることが好ましいだろう。
上記第2の等電子不純物の代わりとして、又は上記第2の等電子不純物に加えて、第1のシリコン系熱電材料24''はまた、上記シリコン内部に配置されるN型又はP型ドーパントを含み得る。例えば、図2Cに示した実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24''は、N型ドーパントを含む。第1のシリコン系熱電材料24は、実質的には、上記シリコン、当該シリコン中に配置される1種又は複数種の等電子不純物原子、及び、N型又はP型ドーパントからなり得る。説明するための一実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24''は、シリコン、錫原子、ゲルマニウム原子及びN型ドーパントからなる。
第2のシリコン系熱電材料25''は、第1電極21''と第3電極23''との間に配置され得る。第2のシリコン系熱電材料25''は、例えば、図1Bを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第3の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第3の等電子不純物原子を含み得る。随意的に、必ずしもそうではないが、第3の等電子不純物は、第1の等電子不純物と同一の種類及び/又は同一の量である。例えば、第2のシリコン系熱電材料25''は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における錫の飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される錫原子を含み得る。各々の第3の等電子不純物原子は、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第3の不純物が錫である、説明するための一実施形態において、各々の錫原子は、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン及び上記第3の不純物(例えば、錫)は、第2のシリコン系熱電材料25''における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。
随意的に、第2のシリコン系熱電材料25''はまた、例えば、図1Cを参照して上述したように、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中における第4の等電子不純物のそれぞれの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置される第4の等電子不純物原子を含み得る。第4の等電子不純物は、必ずしもそうではないが、随意的に、(もし存在するのならば)第2の等電子不純物と同一の種類及び/又は同一の量である。例えば、第2のシリコン系熱電材料25''は、シリコンと、上記シリコンを通して伝播する熱フォノンを散乱するために十分であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量にて上記シリコンの内部に配置されるゲルマニウム原子をさらに含み得る。第3及び第4の等電子不純物原子はそれぞれ、独立して、上記シリコン中においてシリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。例えば、第3の不純物が錫であり、第4の不純物がゲルマニウムである、説明するための一実施形態において、錫原子及びゲルマニウム原子はそれぞれ、独立して、シリコン原子と置換され得るか、或いは、上記シリコンの隙間内部に配置され得る。上記シリコン並びに上記第3及び第4の不純物(例えば、錫及びゲルマニウム)は、第2のシリコン系熱電材料25''における単相を規定し得る。説明するための一実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.001原子%から約2原子%であり、第4の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.001原子%から約2原子%である。別の説明のための実施形態において、第3の等電子不純物(例えば、錫)の量は、約0.01原子%から約2原子%であり、第4の等電子不純物(例えば、ゲルマニウム)の量は、約0.01原子%から約2原子%である。第2のシリコン系熱電材料25''は、任意の好適なそれぞれの量にて、任意の好適な数及び好適な種類の種々の等電子不純物を好適に含み得ること、並びに、上記シリコンが、任意の好適な結晶性を有し、例えば、非晶質、多結晶、ナノ結晶性、又は、単結晶、若しくは、任意の他の好適な大きさの長距離秩序(又はそれらの欠如)であり得ることが好ましいだろう。
上記第4の等電子不純物の代わりとして、又は上記第4の等電子不純物に加えて、第2のシリコン系熱電材料25''はまた、上記シリコン内部に配置されるN型又はP型ドーパントを含み得る。例えば、図2Cに示した実施形態において、第2のシリコン系熱電材料25''は、P型ドーパントを含む。第2のシリコン系熱電材料25''は、実質的には、上記シリコン、当該シリコン中に配置される1種又は複数種の等電子不純物原子、及び、N型又はP型ドーパントからなり得る。説明するための実施形態において、第2のシリコン系熱電材料25''は、シリコン、錫原子、ゲルマニウム原子及びP型ドーパントからなる。いくつかの実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24''及び第2のシリコン系熱電材料25''は、実質的に、互いに同じ種類及び互いに同じ量の等電子不純物、並びに、互いに異なる種類のドーパントを含み得る。限定されない一実施例において、第1のシリコン系熱電材料24''及び第2のシリコン系熱電材料25''は共に、同じ量(例えば、錫及びゲルマニウムについてそれぞれ約0.001原子%から約2原子%)の錫及びゲルマニウムを含み得る一方、材料24''は、N型ドーパントを含み、材料25''は、P型ドーパントを含む。別の限定されない実施例において、第1のシリコン系熱電材料24''及び第2のシリコン系熱電材料25''は共に、同じ量(例えば、錫及びゲルマニウムについてそれぞれ約0.01原子%から約2原子%)の錫及びゲルマニウムを含み得る一方、材料24''は、N型ドーパントを含み、材料25''は、P型ドーパントを含む。別の実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24''及び第2のシリコン系熱電材料25''は、任意のそれぞれの好適な量にて、互いに異なる等電子不純物含み得るか、或いは、互いに同じ種類の等電子不純物を含むが、互いに異なる量にて含み得るか、或いは、互いに同じドーパントを含み得る。不純物とドーパントとの他の組み合わせを、容易に想像することができる。加えて、上記シリコンは、材料24''及び材料25''において、類似であり得、或いは、材料24''と材料25''との間において異なるものであり得る。
第1のシリコン系材料24''及び/又は第2のシリコン系材料25''は、バルク材料の形態であり得、或いは、代わりに、例えば、ナノ結晶、ナノワイヤ又はナノリボンのナノ構造体の形態にて提供され得る。熱電素子における、ナノ結晶、ナノワイヤ及びナノリボンの使用は、既知である。本発明における等電子不純物が配置されるシリコンの他の例示的な形態は、少なくともバルクの形態中における、逆オパール、低次元シリコン材料(薄膜、ナノ構造のシリコン粉末、メソポーラス粒子など)、粗シリコン材料、ウエハ及び焼結構造体を含む。限定されない、説明するための一実施形態において、材料24及び/又は材料25は、米国特許公報第2014/0116491号(Reifenberg等)に記載の方法と類似の方法にて調製された、焼成されたシリコンナノワイヤに準拠し得る。
熱電素子20''は、第1電極21''と第2電極22''との間に、第1の熱電材料24''を介して、第1電極と第2電極との間に加えられる電圧に基づいて熱を移動させるように構成され得る。例えば、第1電極21''は、第1の熱電材料24''、第2の熱電材料25''及び熱の供給源である第1の部品26''と熱的若しくは電気的に接触し得る。第2電極22''は、第1の熱電材料24''及び熱の移動先である第2の部品27''と熱的若しくは電気的に接触し得る。第3電極23''は、第2の熱電材料25''及び熱の移動先である第2の部品27''と熱的若しくは電気的に接触し得る。従って、第1の熱電材料24''及び第2の熱電材料25''は、互いに電気的に直列に構成され得、熱的には、熱の供給源である第1の部品26''と熱の移動先である第2の部品27''との間において互いに並列に構成され得る。第1の部品26''及び第2の部品27''は、必ずしも必要ではないが、熱電素子20''の一部であると考えられる。
図2Cにて示される例示的な実施形態において、第1のシリコン系熱電材料24''は、N型ドーパントを含み、第2のシリコン系熱電材料25''は、P型ドーパントを含む。第1のシリコン系熱電材料24''は、素子20''におけるN型の熱電脚を規定すると考えられ得、第2のシリコン系熱電材料25''は、素子20''におけるP型の熱電脚を規定すると考えられ得る。第2電極22''は、バッテリーにおける正極28''又は他の電力源30''と、好適な接続(例えば、導電体)を介して連結され得、第3電極23''は、バッテリーにおける負極29''又は他の電力源30''と、好適な接続(例えば、導電体)を介して連結され得る。バッテリー又は他の電力源30''によって、第2電極22''と第3電極23''との間に加えられる電圧に対応して、電子(e)が、第1電極21''から第2電極22''へ、第1のシリコン系熱電材料24''を介して流れ、ホール(h)が、第1電極21''から第3電極23''へ、第2のシリコン系熱電材料25''を介して流れ、従って、第1の部品26''から第2の部品27''へ熱が移動する。説明するための一実施例において、第1のシリコン系熱電材料24''及び第2のシリコン系熱電材料25''は、第1電極21''を介して、電気的に互いに連結され、そして、熱の供給源である第1の部品26''と連結される。電流がバッテリー又は他の電力源30''から供給され、第2の材料25''から第1の材料24''への一対の流れとなる場合(第1の材料24''及び第2の材料25''は、電気的には直列であり、熱的には並列である)、第1の材料24''における負の電子、及び第2の材料25''における正のホールが、対応する熱電材料の一方の末端から他方の末端へ移動する。熱は、上記電子及び上記ホールと同一の方向へ移動し、温度勾配を発生させる。電流の流れが逆である場合、電子及びホールの移動方向、並びに、熱の移動する方向は、同様に逆となるだろう。材料24''及び/又は材料25''に含まれる等電子不純物が、各々の材料における性能指数ZTを向上させ得、その結果、第1の部品26''と第2の部品27''との間の所定の温度の差異に対する性能係数(COP)がより向上し得る。所定の電流に対して、この向上したCOPは、結果として、熱移動をより効率的とし得、バッテリー及び/又は他の電力源30''によって供給される入力をより小さくし得る。第1の部品26''から第2の部品27''への熱の移動は、第1の部品26''を冷却するために好適に使用され得る。例えば、第1の部品26''にはコンピュータチップが含まれ得る。
上述の通り、そして、本段落にてさらに強調される通りに、図2A〜2Cは、単なる例であり、クレームの範囲を過度に限定する意図はない。当業者は、多くの変形、代替、変更を理解するだろう。例えば、本発明の熱電材料は、任意の好適な熱電素子又は非熱電素子に使用され得る。加えて、図2A〜2Cにて示される実施形態においては、図1B及び図1Cにて特に示される材料以外の材料を好適に使用することもできる。
上述の通り、本発明のシリコン系熱電材料は、強化された熱電特性を有し得る。例えば、本発明のシリコン系熱電材料は、増大した性能指数ZT、低下した熱伝導率の低下、増大した熱伝導率、若しくは増大したゼーベック係数、又は上述の改善の任意の好適な組み合わせを有し得る。上述の改善された熱電特性により、熱電素子(例えば、図2A〜2Cにてそれぞれ示される、例示的な素子20、20’及び20'')の性能が強化され得る。
一実施例として、図3は、本発明の特定の実施形態における、等電子不純物(例えば、錫(Sn))の濃度がシリコン系熱電材料の熱伝導率に及ぼす例示的な影響を示す略図である。図示される通り、比較的低い熱伝導率が提供されることが予測され得る、約0.001原子%又は0.01原子%から2原子%の範囲に対応する、領域3IIにおける上記不純物の錫原子の濃度を提供することが有用であり得る。何らかの理論に拘束されることなく、比較的低い不純物濃度の領域3I内において、フォノンの散乱は、従来の散乱機構(例えば、フォノン−電子、フォノン−フォノン、又は粒界の散乱、フォノン−ドーパント)に支配されると考えられる。その残渣又は少量のSn不純物原子は、熱伝導率をより低下させる相対的な限定効果を有すると考えられる。何らかの理論に拘束されることなく、比較的高いドープ濃度である領域3III内において、Snと基材Siとの相分離が発生し得、熱伝導率の増大が引き起こされ得ると考えられる。何らかの理論に拘束されることなく、中間のドープ濃度(例えば、約0.01原子%から約2原子%)である領域3II内において、例えば、シリコン基材内部における比較的大きな不純物である(例えば、シリコン基材においてシリコン原子と置換する)錫原子に由来する散乱によって、フォノン散乱速度が、実質的に増大し得ると考えられる。何らかの理論に拘束されることなく、上述の効果は、少なくともバルクの形態中における、ナノリボン、ナノ結晶、ナノワイヤ、逆オパール、低次元のシリコン材料(薄膜、ナノ構造のシリコン粉末、メソポーラス粒子など)、粗シリコン材料、ウエハ及び焼結構造体を含むが、これらに限定されない任意の形態のシリコンにて得られ得ると考えられる。上記シリコンは、任意の好適な結晶性を有し、例えば、非晶質、多結晶、ナノ結晶性、又は、単結晶、若しくは、任意の他の好適な大きさの長距離秩序(又はそれらの欠如)であり得る。
別の例として、図4は、本発明の特定の実施形態における、錫(Sn)等の等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料の電気伝導度に及ぼす例示的な影響を示す略図である。図のように、例えば約2原子%以下に対応する、範囲4Iの原子濃度にて錫をドーピングすることは、電気伝導度に対して及ぼす影響が比較的小さいことが期待でき、有用であり得る。特定の理論に縛られることを望むものではないが、Snのドーピング濃度が低い範囲4Iにおいて、上記不純物(例えば置換不純物)の等電子の性質のために、電気伝導度は比較的小さな程度の影響を受けると考えられる。より具体的には、上記不純物は、半導体シリコン材料中の正孔伝導若しくは電子伝導のいずれかに貢献する余分なドナー又はアクセプターを、シリコン基材に実質的に導入しない。しかし、錫のドーピング濃度が増加した場合、例えば範囲4IIでは、シリコン基材から分離した錫の相を通じて短絡する結果として、電気伝導度が急速に増大すると予想され得る。特定の理論に縛られることを望むものではないが、そのような影響は、いかなる種類のシリコンにおいても得られ得ると考えられる。当該いかなる種類のシリコンとしては、限定されないが、ナノリボン、ナノ結晶、ナノワイヤ、逆オパール、低次元シリコン材料(薄膜、ナノ構造化されたシリコン粉末、多孔質粒子、等)、粗シリコン材料、ウエハ、及び少なくとも部分的にバルク形態の焼結した構造を含む。例えば、これまで用いられてきた、薄膜におけるヒ素ドーピングは、熱伝導率を低減する(>2倍)。特定の理論に縛られることを望むものではないが、SnはAsよりも質量が大きいため、錫は、Asと同様の原子濃度において、低次元シリコン材料(薄膜、ナノ構造化されたシリコン粉末、多孔質Si粒子、等)に対して、より大きな(3〜10倍)影響を有することが予想され得ると考えられる。一般的に、シリコンにAsがドープされると、多くの電気的な応用に対して望ましい比較的高い熱伝導率を維持する一方で、その電気伝導度が向上する。しかし熱電応用においては、例えば、Sn、Ge、C、若しくはPb、又はそれらの組み合わせといった1種又は複数種の等電子不純物を導入することにより、熱伝導率を劇的に低減する一方で、電気伝導度を維持することが有用であり得る。シリコンは、任意の適切な結晶化度を有していてもよく、例えば、非晶質、多結晶、ナノ結晶、若しくは単結晶、又は任意の他の適切な長距離秩序(又はそれらの欠如)であり得る。
別の例として、図5は、本発明の特定の実施形態における、錫(Sn)等の等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料のゼーベック係数に及ぼす例示的な影響を示す略図である。図のように、例えば約0.001又は0.01から約2原子%の範囲に対応する、範囲5IIの原子濃度にて錫をドーピングすることは、高いゼーベック係数値を与えるために有用であり得る。特定の理論に縛られることを望むものではないが、Snのドーピング濃度が低い範囲5Iにおいて、バンド構造を有意に変更するには錫の濃度が低すぎて、ゼーベック係数がほとんど変化しないままであり得ると考えられる。特定の理論に縛られることを望むものではないが、錫の濃度が比較的高い範囲5IIIにおいて、シリコンからの錫の相分離は、電気的短絡及びバンドの重なりを引き起こし得ると考えられる。範囲5IIIでは、上記熱電材料は、錫の濃度が増大するにつれて、電気伝導度もまた増大するけれども、ゼーベック係数が急激に減少して、実質的に金属と同様になると予想され得る。そのような範囲では、満足な、又は最高の熱電性能指数ZTを達成することはできないであろう。特定の理論に縛られることを望むものではないが、錫の濃度を、範囲5II(例えば、0.001原子%又は0.01原子%と2原子%との間)に対応する中間の範囲に制御すれば、置換不純物である錫が、バンド屈曲及びバンドギャップの変化を引き起こして、ゼーベック係数の増大をもたらし得ると考えられる。
加えて、さらに上述のように、シリコン材料へのナノ構造化処理、及び具体的には大まかにナノ構造化されたシリコン材料の形成は、フォノン分散関係の分裂、及び散乱の増大を通じて熱伝導率を減少すると考えられる。ナノ構造化されたシリコン材料に適切な濃度の等電子不純物を導入することは、フォノン分散関係をさらに変更して、上述の2つのアプローチの単純な相加作用から単に予測することができるものよりも低い熱伝導率さえも引き起こし得る。例えば、錫原子、特にシリコンナノワイヤの特定の局所的な荒い表面近傍の錫原子は、シリコンナノワイヤの局所的な粗い表面におけるナノスケールの粗さに関係する散乱機構を増強することにより、熱伝導率の減少における粗さの役割を向上させると予測され得る。孔のあるシリコンのような、他のナノ構造においても同様に、構造化された領域の近傍の錫原子の存在が、関連するフォノン散乱機構の強さを増強すると予測され得る。このフォノン散乱の増強は、散乱におけるマーティセンの法則から予測されるように、バルク中、及びナノ構造化されたシリコン材料中の両方に適用される直接不純物散乱機構の加算である。
Sn、Pb、Ge、C、及び他の等電子不純物における任意の適切な組み合わせは、対応する固体溶解度によって制限される様々な度合いまで、シリコン基材(例示的には、少なくとも部分的に結晶性のシリコン)中に配置することができる。さらに、例えばSn、Pb、Ge、C、又はそれらの任意の組み合わせといった電気的不純物を有するシリコン基材の電気的なドーピング特性は、電気伝導度を制御して熱電力率を向上させるために、随意的にIII族又はV族のドーパント(これらも不純物として称され得るが、等電子的でなくともよい)を、適切な量(例えば、B又はPのどちらかを用いて約5×1018原子/cmまで)ドーピングすることによってさらに調節され得る。これに対応して、本発明の熱電材料は、N型又はP型のシリコン系熱電材料(ナノ構造を含むように前処理された材料と、Sn、Ge、C、若しくはPb、又はそれらの任意の組み合わせをドープされた材料とのどちらか一方)を提供することができ、それらは、図2A〜2Cを参照して上述したように、それぞれ熱電素子のN脚部又はP脚部に適用することができる。N型の不純物及びP型の不純物のドーピングプロセスは、Sn、Ge、C、若しくはPbといった等電子不純物のドーピングと順番に、又は同時に行うことができる。
上述したように、及びここでさらに強調するように、図3〜5は単なる例であり、それらは特許請求の範囲を過度に制限すべきではない。当業者は、多様な変形、代替、変更を認識するであろう。例えば、ある材料における特定の熱電特性は、シリコンの形態及び結晶性(若しくは結晶性の不足)、並びに、シリコン中の任意の等電子不純物及びN型ドーパント若しくはP型ドーパントによって変わり得る。
図6は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む熱電素子の例示的な製造方法及び使用方法を示す略図である。方法60は、シリコンと、1種又は複数種の等電子不純物とを含む熱電材料を準備することを含み得、上記1種又は複数種の等電子不純物は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるそれぞれの不純物の飽和限界よりも少ない量である(61)。シリコン系熱電材料のいくつかの限定されない例は、図1B及び図1Cを参照して上述した。シリコン系熱電材料が使用され得る素子のいくつかの限定されない例は、図2A〜2Cを参照して上述した。特定の例示的な熱電材料の熱電特性のいくつかの限定されない例は、図3〜5を参照して上述した。シリコン系熱電材料の例示的な製造方法について、図7及び図8A〜8Fを参照して以下に説明する。
図6を再び参照して、方法60は、上記熱電材料を第1の電極と第2の電極との間に配置すること(62)をさらに含み得る。例えば、図2Aを参照して上述したように、第1の熱電材料24は、第1の電極21と第2の電極22との間に配置され得ると共に、第2の熱電材料25は、第1の電極21と第3の電極23との間に配置され得る。電極の間に材料を配置する方法は、既知である。
図6を再び参照して、方法60は、互いに異なる温度の上記第1の電極及び第2の電極に基づいて、上記第1の電極と第2の電極との間に、上記熱電材料を通じて流れる電流を発生させること(63)をさらに含み得る。例えば、図2Aを参照して上述したように、第1の電極21は、第1のシリコン系熱電材料24、第2のシリコン系熱電材料25、及び第1の本体(例えば熱源26)と電気的及び熱的に接触することができる。第2の電極22は、第1のシリコン系熱電材料24及び第2の本体(例えば、放熱板27)と電気的及び熱的に接触することができる。第3の電極23は、第2のシリコン系熱電材料25及び第2の本体(例えば、放熱板27)と電気的及び熱的に接触することができる。第1のシリコン系熱電材料24は、N型ドーパントを含み得ると共に、熱電素子のN型脚部として定義され得る。そして、第2のシリコン系熱電材料25は、P型ドーパントを含み得ると共に、熱電素子のP型脚部として定義され得る。上記第1の本体(例えば熱源26)と第2の本体(例えば放熱板27)との間の温度差又は温度勾配に対応して、第1のシリコン系熱電材料24を通じて電子が第1の電極21から第2の電極22へと流れ、第2のシリコン系熱電材料25を通じて正孔が第1の電極21から第3の電極23へと流れる。これにより電流が発生する。第1のシリコン系熱電材料24若しくは第2のシリコン系熱電材料25、又はその両方に含有される等電子不純物は、それぞれの熱電材料の性能指数ZTを向上させて、第1の本体26と第2の本体27との間の所定の温度差におけるエネルギー変換効率を向上させ得る。所定の熱の流れの間、この向上した効率は、熱電素子20の出力をより高くし得る。
例示的な一実施形態では、図6の方法60におけるシリコン系材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置された錫原子とを含み得、上記錫原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における錫の飽和限界よりも少ない量であり得る。例示的な一実施形態では、上記錫原子の量は約0.001原子%から約2原子%である。別の例示的な実施形態では、上記錫原子の量は約0.01原子%から約2原子%である。上記熱電材料は、ゲルマニウム原子をさらに含み得、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量であり得る。例えば、上記シリコン、上記錫原子、及び上記ゲルマニウム原子は、上記熱電材料における単相を規定し得る。例えば、上記錫原子及び上記ゲルマニウム原子のそれぞれは、独立して、上記シリコン中のシリコン原子と置換する、又は、上記シリコンの格子間内に配置される。例えば、上記シリコン、上記錫原子、及び上記ゲルマニウム原子は、上記熱電材料における単相を規定し得る。上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含み得る。例えば、上記熱電材料は、実質的に、上記シリコン、上記錫原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなることができる。例示的な一実施形態では、上記ゲルマニウム原子の量は約0.001原子%から約2原子%であり、上記錫原子の量は約0.001原子%から約2原子%である。別の例示的な実施形態では、上記ゲルマニウム原子の量は約0.01原子%から約2原子%であり、上記錫原子の量は約0.01原子%から約2原子%である。しかしながら、上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置された、任意の好適な数、種類、及び量の等電子不純物を含み得ることが十分に理解されるべきである。そして、上記シリコンは、任意の適切な結晶化度を有していることができ、例えば、アモルファス、多結晶、ナノ結晶、若しくは単結晶、又は任意の他の適切な長距離秩序度(若しくは当該長距離秩序度を有しない)であり得ることが十分に理解されるべきである。
図7は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料の例示的な調製方法を示す略図である。方法70は、シリコンを準備すること(71)と、上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物を配置することとを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物を、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるそれぞれの不純物の飽和限界よりも少ない量にて配置する(72)。工程71及び工程72は、任意の好適な順序で行うことができ、互いに同時に行うこともできることに留意する。
例示的な実施形態では、方法70は、シリコンを準備することと、上記シリコンの内部に錫原子を配置することとを含み、上記錫原子を、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における錫の飽和限界よりも少ない量にて配置する。例示的な一実施形態では、上記錫原子の量は約0.001原子%から約2原子%である。別の例示的な実施形態では、上記錫原子の量は約0.01原子%から約2原子%である。方法70は、上記シリコンの内部にゲルマニウム原子を配置することをさらに含み得、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量であり得る。例えば、上記シリコン、上記錫原子、及び上記ゲルマニウム原子は、上記熱電材料における単相を規定し得る。例えば、方法70は、上記錫原子及び上記ゲルマニウム原子のそれぞれを、独立して、上記シリコン中のシリコン原子と置換すること、又は、錫原子若しくはゲルマニウム原子を、上記シリコンの格子間内に配置することを含み得る。例えば、上記シリコン、上記錫原子、及び上記ゲルマニウム原子は、上記熱電材料における単相を規定し得る。特定の実施形態では、方法70は、上記シリコンの内部に、N型ドーパント又はP型ドーパントを配置することをさらに含み得る。例えば、上記熱電材料は、実質的に、上記シリコン、上記錫原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント若しくはP型ドーパントからなることができる。例示的な一実施形態では、上記ゲルマニウム原子の量は約0.001原子%から約2原子%であり、上記錫原子の量は約0.001原子%から約2原子%である。別の例示的な実施形態では、上記ゲルマニウム原子の量は約0.01原子%から約2原子%であり、上記錫原子の量は約0.01原子%から約2原子%である。しかしながら、任意の好適な種類及び量の、1種又は異なる複数種の等電子不純物を上記シリコンの内部に配置し得ることが十分に理解されるべきである。
1種又は複数種の本発明の等電子不純物は、任意の好適な方法又は装置を用いて、シリコンの内部に配置され得る。例えば、図8A〜8Fはそれぞれ、本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。図8A〜8Fは限定を加えることを意図するものではなく、任意の他の好適な方法又は装置を代わりに用いることができることが、十分に理解されるべきである。
図8Aを参照して、方法80は、拡散炉内に上記シリコンを配置すること(81)を含む。例えば、図9は、本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入するために用いることができる例示的な装置を示す略図である。装置90は、その内部にルツボ91が配置され得る拡散炉(具体的には図示していない)を含む。ルツボ91は、当該ルツボ91の中央部付近に設置された多孔質の円板92を含む。多孔質の円板92の上側には、Si基材(例えば少なくとも部分的に結晶性のシリコン)の塊を配置することができる。上記Si基材は、前述のように、任意の好適な形態として調製することができ、例えば、ナノリボン、ナノ結晶、ナノワイヤ、逆オパール、低次元シリコン材料(薄膜、ナノ構造化されたシリコン粉末、多孔質粒子、等)、粗シリコン材料、ウエハ、及び少なくとも部分的にバルク形態の焼結した構造、から選択される形態であり得る。
図8Aを再び参照して、方法80は、1種又は複数種の等電子不純物を上記シリコン中に拡散させること(82)をさらに含む。例えば、図9に示す多孔質の円板92の下側には、1種又は複数種の不純物の粉末をあらかじめ配置することができる。当該1種又は複数種の不純物の粉末は、例えば、Sn、C、Pb、若しくはGe、又はそれらの組み合わせといった複数の等電子不純物の粉末や小さな粒子である。上記ルツボが約1050℃又はそれ以上まで外部から加熱されたときに、不純物原子の気相が、上記不純物の固体粉末から昇華することによって比較的容易に形成され得るように、上記不純物は粉末形態で製造され得る。拡散プロセスの間、上記不純物の蒸気は、熱拡散によってSi基材中に徐々に取り込まれ得る。上記不純物が、例えばシリコンへの不純物の溶解度(例えば、不純物がSnである実施形態において5×1019原子/cm付近)に近い、十分な量導入されることを確実にするために、全プロセスは数時間から数日間にわたってもよい。例示的な一実施形態では、Snは、拡散炉中にて1050℃程度で、5×1019原子/cm程度の水準までSi基材中に拡散される。随意的に、上記Snと同時、又はSnが上記Si基材に拡散される前若しくは後に、上記Snと類似の方法にて、Ge原子も上記Si基材中に拡散され得る。C、Ge、Sn、及びPbの1種又は複数種の任意の好適な組み合わせを、同じようにSi基材中に拡散させることができる。
図8Aを再び参照して、方法80は、随意的に、シリコン中にP型ドーパント又はN型ドーパントを拡散させること(83)をさらに含む。工程83は、上記不純物と類似の方法において、若しくは当技術分野で既知の任意の他の好適な手法を用いて、工程82と同時に行うことができる、又は二者択一的に、工程82の前若しくは後に行うことができる。或いは、上記P型ドーパント又はN型ドーパントは、工程82の前若しくは後のどちらかにおいて、拡散以外の手法を用いてシリコン中に配置させることができる。
図8Bは、シリコン中に1種又は複数種の等電子不純物を導入するための、代替的な方法80’を示す。方法80’は、シリコンと、上記1種又は複数種の等電子不純物と、随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントとの粉末混合物を得ること(81’)を含む。例えば、所望の原子%の、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物、及び上記随意的なドーパントのそれぞれを、例えば商業的に得ることができ、任意の好適な手法を用いて、粉末にして一体に混合することができる。例示的な一実施形態では、シリコンウエハの小片と、1種又は複数種の等電子不純物(例えば錫及びゲルマニウム)の粉末と、随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントの粉末とを、不活性雰囲気中(例えばアルゴンや窒素のような、非反応な非酸化ガスの存在下)にて、一緒にボール粉砕する。例示的な粉砕時間は、約10分間から4時間の間で変動する。当該粉砕の結果として得られる粒子の例示的な大きさは、約10nmから約100μmの間であり得る。
図8Bに示す方法80’は、上記粉末混合物を焼結して、内部に配置された上記不純物原子及び上記随意的なドーパントを有するシリコンを形成すること(82’)をさらに含む。例えば、工程81’の上記粉末混合物は、好適な焼結炉の内部に配置して、不活性雰囲気中にて、好適な時間、好適な温度及び圧力で焼結することができる。当該好適な時間とは、例えば、上記粉末混合物が、内部に配置された上記1種又は複数種の不純物原子、及び随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントを有するシリコンを形成するまでである。例示的な焼結圧力は、約5〜100MPaの間であり得る。例示的な焼結時間は、約0.1分間から90分間の間であり得る。例示的な焼結温度は、約800〜1300℃の間であり得る。例示的な一実施形態では、シリコン及び錫の粉末混合物を得て、そして焼結することにより、内部に適当に配置された錫原子を有するシリコンを形成する。ゲルマニウム又は任意の他の等電子不純物を、同じように導入することができる。例えば、C、Ge、Sn、及びPbの1種又は複数種の任意の好適な組み合わせを、同じようにSi基材中に組み込むことができる。
図8Cは、シリコン中に1種又は複数種の等電子不純物を導入するための、別の代替的な方法80''を示す。方法80''は、シリコンと、上記1種又は複数種の等電子不純物と、随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントとの融解物を得る(81'')。例えば、所望の原子%の、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物、及び上記随意的なドーパントのそれぞれを、例えば商業的に得ることができ、任意の好適な手法を用いて、一体に溶融することができる。例示的な一実施形態では、シリコンウエハの小片と、1種又は複数種の等電子不純物(例えば錫及びゲルマニウム)の粉末と、随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントの粉末とを、不活性雰囲気中(例えばアルゴンや窒素のような、非反応な非酸化ガスの存在下)にて、一緒に溶融する。例示的な溶融温度は、約800〜1300℃の間であり得、例示的な溶融時間は、上記シリコン及び不純物の融解物を実質的に形成するのに十分な時間であり得る。より大きな粒子を溶融するためには、より長い溶融時間が用いられ得る。
図8Cに示す方法80''は、上記融解物を凝固させて、内部に配置された不純物原子及び上記随意的なドーパントを有するシリコンを形成すること(82'')を含む。融解物を凝固する例示的な方法は、冷却プロセス又はチョクラルスキー・プロセスを含む。例えば、例示的な一実施形態では、上記等電子不純物は、溶融して混合及びアニーリングしている間に添加することができる。例えば、固体オパール若しくは粉末の形態であり得る、Sn、Ge、C、若しくはPb、又はそれらの任意の組み合わせを、所定の量、ルツボ中に添加して、シリコン基材と混合することができる。当該シリコン基材も固体の形態であって、粗シリコン結晶若しくはドープされたシリコン結晶を含む。その後、上記ルツボに熱が供給されて、全ての固体材料を完全に溶融することができる。その溶融した材料は、溶融混合物を室温に冷却する前に、1つ又は複数のアニール温度にて十分に混合することができる。他の電気的な不純物を、同時にドープすることができる。そのような冷却プロセスの結果として、少なくとも部分的に結晶性の固体シリコン材料の内部に、Sn不純物(又は他の等電子不純物)が形成され得、さらに、ナノ構造の形成、又は材料の熱電特性を向上させる他のプロセスが進行し得る。さらに別の代替的な実施形態では、等電子不純物は、チョクラルスキー・プロセスを用いて組み込まれ、当該不純物を含むシリコンのインゴットが形成される。同様に、B及びPのような他の不純物も、上記プロセス中に、適切に添加され得、それにより所望のN型又はP型のシリコン基材を得ることができる。当該N型又はP型のシリコン基材は、熱伝導率を低減するため、若しくはゼーベック係数をできる限り増大させるために、選択又は最適化され得る、錫、ゲルマニウム、又は鉛といった等電子不純物を所望の水準で含んでいる。さらに、このシリコン基材は、さらに加工して、熱電素子の現実のN脚部若しくはP脚部の構築材料として、エッチングによってナノワイヤ若しくはナノホールを、成長若しくはエッチングによって多孔質のシリコン材料を、上記材料を集めた粉末材料を、又は粉末材料の焼結によってバルクの大きさのナノ構造化されたシリコン材料を形成することができる。例示的な一実施形態では、シリコン及び錫の融解物を得て、当該融解物を凝固(例えば、少なくとも部分的に結晶化)させ、内部にできる限り配置された錫原子を有するシリコンを形成する。ゲルマニウム若しくは他の任意の等電子不純物、又は等電子不純物の組み合わせを、同じように組み込むことができる。例えば、C、Ge、Sn、及びPbの1種又は複数種の任意の好適な組み合わせを、同じようにSi基材中に組み込むことができる。
図8Dは、シリコン中に1種又は複数種の等電子不純物を導入するための、別の代替的な方法85を示す。方法85は、溶媒、1種又は複数種の等電子不純物、及び随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントを含むスピンオン材料を、シリコンの上に配置すること(86)を含む。スピンオン材料は、シリコン中に不純物を組み込むための、良く知られた手法である。例示的なスピン速度は、一分間あたりの回転数(RPM)が約1000から10000の間であり得る。
図8Dに示す方法85は、上記シリコン上のスピンオン材料をキュアすること(87)をさらに含む。キュアすることにより、上記スピンオン材料から溶媒を除去することができ、上記シリコン上に配置されたスピンオン材料の残存部分を層として接合することができる。この層からは、上記1種又は複数種の不純物と随意的なドーパントとが、上記シリコン中に拡散することができる。例示的な一実施形態では、上記層は、約1nmから約1μmの間の厚さである。例示的なキュア温度は、約100℃から約1200℃の間であり得る。上記キュアが行われ得る例示的なガス雰囲気は、空気、真空、又はN若しくはArのような不活性ガスを含む。
図8Dに示す方法85は、キュアされたスピンオン材料から上記シリコンへと、上記1種又は複数種の等電子不純物、及び随意的なドーパントを拡散すること(88)をさらに含む。拡散は、拡散炉内で生じ得る。例示的な拡散温度は、約900℃から約1300℃の間であり得る。上昇した温度は、上記1種又は複数種の等電子不純物、及び随意的なドーパントが、上記キュアされたスピンオン材料の層から上記シリコンへと移動することを引き起こし得る。例示的な一実施形態では、内部にできる限り配置された錫原子を有するシリコンが得られる。ゲルマニウム若しくは他の任意の等電子不純物を、同じように組み込むことができる。例えば、C、Ge、Sn、及びPbの1種又は複数種の任意の好適な組み合わせを、同じようにSi基材中に組み込むことができる。
図8Eは、シリコン中に1種又は複数種の等電子不純物を導入するための、別の代替的な方法85’を示す。方法85’は、シリコンの小片と、1種又は複数種の等電子不純物及び随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントとを、機械的に合金化すること(86’)を含む。一例では、高エネルギーボールミル又は遊星ボールミルを用いて、そのような機械的な合金化を行うことができる。例示的な、機械的な合金化時間は、1000Hzより大きく運転される高エネルギーボールミルにおいて約10分間から約12時間の間であり得、300RPMよりも大きく運転される遊星ボールミルにおいて約1時間から約48時間であり得る。
図8Eに示す方法85’は、合金化された粉末を圧密化すること(87’)を含む。圧密化は、例えば、冷間一軸加圧成形、加熱一軸加圧成形、冷間静水圧加圧成形、加熱静水圧加圧成形、スパークプラズマ焼結(SPS)、又は、粉末に圧力若しくは温度又はその両方を与えるための他の装置を用いて、制御された雰囲気下にて行われ得る。例示的な実施形態では、上記圧密化は、約25℃から約1300℃の間の温度にて行われ得る。例示的な実施形態では、上記圧密化は、約5MPaから約2GPaの間の圧力にて行われ得る。
図8Eに示す方法85’は、上記圧密化した粉末を熱処理して、内部に配置された不純物原子及び上記随意的なドーパントを有するシリコンを形成すること(88’)を含む。熱処理は、窒素又はアルゴンのような不活性な温度下の炉中で行われ得る。例示的な熱処理温度は、約1000℃から約1300℃の間であり得る。例示的な熱処理時間は、約30分間から約72時間の間であり得る。例示的な一実施形態では、内部にできる限り配置された錫原子を有するシリコンが得られる。ゲルマニウム若しくは他の任意の等電子不純物を、同じように組み込むことができる。例えば、C、Ge、Sn、及びPbの1種又は複数種の任意の好適な組み合わせを、同じようにSi基材中に組み込むことができる。
図8Fは、シリコン中に1種又は複数種の等電子不純物を導入するための、さらに別の代替的な方法85''を示す。方法85''は、シリコンを、イオン注入システムに配置すること(86'')を含む。
図8Fに示す方法85''は、1種又は複数種の等電子不純物、及び随意的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントを、上記シリコン中にさらに注入する(87'')。例えば、上記1種又は複数種の等電子不純物及び随意的なドーパントのイオンを、継時的に、若しくは互いに同時に、注入することができる。例示的な注入エネルギーは、約10keVから約400keVの間であり得る。例示的な一実施形態では、内部にできる限り配置された錫原子を有するシリコンが得られる。ゲルマニウム若しくは他の任意の等電子不純物を、同じように組み込むことができる。例えば、C、Ge、Sn、及びPbの1種又は複数種の任意の好適な組み合わせを、同じようにSi基材中に組み込むことができる。
上述したように、及びここでさらに強調するように、図6〜8Fは単なる例であり、それらは特許請求の範囲を過度に制限すべきではない。当業者は、多様な変形、代替、変更を認識するであろう。例えば、本発明の熱電材料及び熱電素子は、当技術分野で既知の、又はすでに開発された手法の任意の好適な組み合わせを用いて調製することができるような材料を含んでいる。例示的な一実施形態では、上記熱電材料は、米国特許公報第2014/0116491号(Reifenberg等)に記載の方法と類似の方法で調製された、焼結したシリコンナノワイヤに基づくことができる。
〔実施例〕
図1B又は図1Cに示すような複数の例示的な材料を、図7及び図8Aに示すような方法に従って調製した。その後、上記材料の特定の熱電特性を測定し、互いに比較した。これらの実施例は、純粋に実例であることを意図するものであって、本発明を限定するものではないことが十分に理解されるべきである。
シリコンウエハの小片、並びに、Sigma Aldrich(St. Louis, Missouri)及びAlfa Aesar(Ward Hill, Massachusetts)から購入した錫、ゲルマニウム、及びホウ素(P型ドーパント)の市販の粉末を、それぞれ所望の量、量り分けることによって、例示的な材料を調製した。上記シリコンウエハの小片の抵抗率は、それぞれ10〜30Ωcmであった。図10〜図13は、それぞれの材料の種々の成分の量を示している。
上記シリコンウエハの小片及び粉末、並びにミリングボールを、Spex SamplePrep(Metuchen, New Jersey)製の高エネルギー粉砕機内に設置された炭化タングステンのタンクに入れた。上記シリコンウエハの小片及び粉末を、約120分間、又は約240分間ボール粉砕した。続いて、この粉砕した粉末を不活性雰囲気中で焼結した。より具体的には、SPS(スパークプラズマ焼結)法を用いて、グラフェン製の工具を使用して、1回あたり1gの材料を焼結した。しかしながら、ホットプレスやコールドプレスを用いることも可能であることが理解されよう。この焼結の間、上記材料を、80MPaで加圧すると共に、約200℃/分の速度で約1200℃まで加熱した。そして、1200℃で約10分間保持した後、冷却した。得られたバルクの材料の特性を測定した。具体的には、C−THERM TCI(登録商標)熱伝導率計(C-THERM Technologies Ltd., Fredericton, New Brunswick, Canada)を用いて、室温における上記材料の熱伝導率を測定した。Lucas Signatone Corporation(Gilroy, California)製の4探針プローブを用いて、室温における上記材料の電気抵抗率を測定した。温度勾配が適用されるように、上記材料を横断して、同じ位置にて、温度及び電圧を測定して、200℃における上記材料のゼーベック係数を測定した。
表1は、種々の例示的な材料中に含まれる等電子不純物及びP型ドーパントの様々な量についての情報を含んでいる。図10〜図13は、より詳細に後述するように、それらの材料について行われた測定結果、又はそれらの測定に基づく計算結果を、グラフを用いて示している。表1に記載のサンプル6は、サンプル1,2,3,4に対する「対照」として考えることができる。その理由は、サンプル6は、サンプル1,2,3,4と同じ量のホウ素(B)を含んでいるが、等電子不純物が添加されていないためである。表1に記載のサンプル7は、サンプル5に対する「対照」として考えることができる。その理由は、サンプル7は、サンプル5と同じ量のホウ素(B)を含んでいるが、等電子不純物が添加されていないためである。

図10は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定した電気抵抗率ρ(μΩm)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。図10から、0.1原子%と1原子%との間の量の錫の添加が電気抵抗率を向上させること、及び、錫に加えて1原子%以下の量のゲルマニウムを添加することが、電気抵抗率の更なる向上を提供し得ることを理解することができる。
例えば、図10から分かるように、1原子%のGeと、2×1020/cmのBとを含むサンプル1の測定された電気抵抗率は54μΩmであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された電気抵抗率(38μΩm)よりも高いものであった。0.1原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル2の測定された電気抵抗率は34μΩmであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された電気抵抗率(38μΩm)よりも低いものであった。1原子%のGeと、0.1原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル3の測定された電気抵抗率は31μΩmであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された電気抵抗率(38μΩm)よりも低いものであった。1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル4の測定された電気抵抗率は31μΩmであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された電気抵抗率(38μΩm)よりも低いものであった。また、図10に明白には示されていないが、1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、7×1020/cmのBとを含むサンプル5の測定された電気抵抗率は10μΩmであり、この値は、7×1020/cmのBを含む対照サンプル7の測定された電気抵抗率(16μΩm)よりも低いものであった。
したがって、図10に示すデータに基づいて、以下のことを理解することができる。2×1020/cmのBに加えて1原子%のGeを含むサンプル1の電気抵抗率は、対照サンプル6の電気抵抗率の約142%であった。2×1020/cmのBに加えて0.1原子%のSnを含むサンプル2の電気抵抗率は、対照サンプル6の電気抵抗率の約89.5%であった。1原子%のGeと、0.1原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル3の電気抵抗率は、対照サンプル6の電気抵抗率の約82%であった。1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル4の電気抵抗率は、対照サンプル6の電気抵抗率の約82%であった。また、図10に明白には示されていないが、1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、7×1020/cmのBとを含むサンプル5の電気抵抗率は、対照サンプル7の電気抵抗率の約62.5%であった。このように、上記サンプルの多くが、シリコンの電気抵抗率の有用な低減を提供することがわかる。
別の例として、図11は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定した熱伝導率k(W/mK)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。図10から、0.1原子%と1原子%との間の量の錫の添加が熱伝導率を向上させること、この範囲の中間(例えば、約0.2原子%から0.8原子%、例えば、約0.5原子%)の量が特に熱伝導率を向上させること、及び、錫に加えて1原子%以下の量のゲルマニウムの添加が、熱伝導率の更なる向上を提供し得ること、を理解することができる。
例えば、図11から分かるように、1原子%のGeと、2×1020/cmのBとを含むサンプル1の測定された熱伝導率は11.7W/mKであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された熱伝導率(9.5W/mK)よりも高いものであった。0.1原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル2の測定された熱伝導率は10.3W/mKであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された熱伝導率(9.5W/mK)よりも高いものであった。1原子%のGeと、0.1原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル3の測定された熱伝導率は11.8W/mKであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された熱伝導率(9.5W/mK)よりも高いものであった。1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル4の測定された熱伝導率は8.3W/mKであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定された熱伝導率(9.5W/mK)よりも低いものであった。また、図11に明白には示されていないが、1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、7×1020/cmのBとを含むサンプル5の測定された熱伝導率は11.5W/mKであり、この値は、7×1020/cmのBを含む対照サンプル7の測定された熱伝導率(13.5W/mK)よりも低いものであった。
したがって、図11に示すデータに基づいて、以下のことを理解することができる。2×1020/cmのBに加えて1原子%のGeを含むサンプル1の熱伝導率は、対照サンプル6の熱伝導率の約123%であった。2×1020/cmのBに加えて0.1原子%のSnを含むサンプル2の熱伝導率は、対照サンプル6の熱伝導率の約108%であった。1原子%のGeと、0.1原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル3の熱伝導率は、対照サンプル6の熱伝導率の約102%であった。1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル4の熱伝導率は、対照サンプル6の熱伝導率の約87%であった。また、図11に明白には示されていないが、1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、7×1020/cmのBとを含むサンプル5の熱伝導率は、対照サンプル7の熱伝導率の約85%であった。このように、サンプル4及びサンプル5中に含まれる上記量及び種類の等電子不純物は、シリコンの熱伝導率の有用な低減を提供することがわかる。
図12は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定したゼーベック係数S(μV/K)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。図12から、0.1原子%と1原子%との間の量の錫の添加がゼーベック係数を向上させること、及び、錫に加えて1原子%以下の量のゲルマニウムの添加が、ゼーベック係数の更なる向上を提供し得ること、を理解することができる。
例えば、図12から分かるように、1原子%のGeと、2×1020/cmのBとを含むサンプル1の測定されたS値は248μV/Kであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定されたS値(244μV/K)よりも高いものであった。1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル4の測定されたS値は267μV/Kであり、この値は、2×1020/cmのBを含む対照サンプル6の測定されたS値(244μV/K)よりも高いものであった。図12に明白には示されていないが、1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、7×1020/cmのBとを含むサンプル5の測定されたS値は217μV/Kであった。サンプル2,3,7については、ゼーベック係数を測定しなかった。さらに、図12に示すデータに基づいて、以下のことを理解することができる。2×1020/cmのBに加えて1原子%のGeを含むサンプル1のS値は、対照サンプル6のS値の約102%であった。1原子%のGeと、0.5原子%のSnと、2×1020/cmのBとを含むサンプル4のS値は、対照サンプル6のS値の約109%であった。
図13は、本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料における測定した熱伝導率kと電気抵抗率ρとの積kρの逆数1/kρ(K/WμΩ)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。図13に示す中実点(◆)から、2×1020のB及び1原子%のGeを有するSiサンプルに、0.1原子%のSnを添加した場合に、1/kρ値が著しく向上することが分かる。当該1/kρ値は、0.5原子%のSnを添加するとさらに向上するが、その反面、1原子%のSnを添加すると悪化することが分かる。図13に示す0原子%のSnにおける中実点及び白色点から、0原子%のSnにおいて、1原子%のGeを添加することは、0原子%のGeのサンプルよりも1/kρ値が悪くなり得ることが分かる。図13に示す白色点から、0.1原子%のSnにおいて、1原子%のGeを添加すると、0原子%のGe、0原子%のSnのサンプルを超える結果へと向上し得ることが分かる。そのような結果は、0原子%のSnにおいて、1原子%のGeを添加することが、0原子%のGeのサンプルよりも1/kρを悪くし得ることを考えれば、意外なものであると考えられ得る。したがって、特定の理論に縛られることを望むものではないが、Geの存在下(例えば1原子%のGe)におけるSnの添加によるこれらの結果は、シリコン内部に特定の量の2つの異なる等電子不純物が配置されることによる非線形かつ相乗的な効果だけでなく、適切な量が添加された条件における性能指数ZTの向上を明確に示していると考えられる。例えば、1原子%のGeと、0.01原子%から1原子%のSnとを含む材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、1原子%のGeと、0.1原子%から1原子%のSnとを含む材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、1原子%のGeと、0.1原子%から0.9原子%のSnとを含む材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、1原子%のGeと、0.2原子%から0.8原子%のSnとを含む材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、1原子%のGeと、0.3原子%から0.7原子%のSnとを含む材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、1原子%のGeと、0.4原子%から0.6原子%のSnとを含む材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、1原子%のGeと、約0.5原子%のSnとを含む材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。
さらに、本例示的な材料は、変化する量のSnと組み合わせて、0原子%のGe又は1原子%のGeのどちらかを含むけれども、他の量のGe、1種若しくは複数種の他の等電子不純物、又はその両方ともを含む上記材料が、向上した性能指数ZTを示し得ると期待され得ることが、十分に理解されるべきである。例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが0.01原子%から1原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが0.1原子%から1原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが0.1原子%から0.9原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが0.2原子%から0.8原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが0.3原子%から0.7原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが0.4原子%から0.6原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。或いは、例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが約0.5原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。他の実施形態では、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが0.01原子%から2原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。例えば、0.01原子%から2原子%のGeと、C、Sn、及びPbから選択された1種又は複数種の等電子不純物とを含み、該選択された1種又は複数種の等電子不純物のそれぞれが1原子%から2原子%である材料は、向上した性能指数ZTを示し得る。本段落に記載の材料はそれぞれ、例えば、0.01原子%から1原子%のGe、0.1原子%から0.9原子%のGe、0.2原子%から0.8原子%のGe、0.3原子%から0.7原子%のGe、0.4原子%から0.6原子%のGe、又は約0.5原子%のGeを含み得る。
他の材料もまた調製し、他のサンプルの熱伝導率も測定して、下記表2に要約した。上記サンプルは、図9に示す装置に類似した蒸散装置を用いて調製した。より具体的には、1.0gの錫の小球(99.8%、Sigma Aldrich)を、ルツボ内にて、多孔性(フリット)ガラス円板の下に設置した。リンを用いてNドープされたシリコンナノワイヤ2.5gを、フリット円板の上側の表面に設置して、ルツボに蓋を被せた。このルツボを焼結炉内に設置して、1100℃に昇温し、当該温度で48時間保持した。上記炉における最大N流量の40%(例えば、100標準cm/分の40%)を、サンプル表面に流した。シリコン中の錫の拡散定数Dは約1×10−15cm/秒であり、それによれば、約200nmの拡散深さとするために、約30時間の拡散時間を要すると予想することができる。第1の対照ペレットを、拡散炉中にて同じように、しかし当該ペレット中に錫を拡散させることなく、調製した。第2の対照ペレットは、拡散炉中で加熱しなかった。上記第1の対照ペレット及び錫を含むペレットのために電気炉が作動している間に、ルツボの蓋の周辺に白い残留物が形成されることが観測された。上記残留物を、エネルギー分散型X線検出器(EDX)を用いて分析して、上記残留物はSnを含んでいないと決定された。上記残留物の走査型電子顕微鏡(SEM)は、ナノ構造化された糸状のものを示した。特定の理論に縛られることを望むものではないが、上記残留物はSiOであり得ると考えられた。
3つのサンプルの熱伝導率及び電気抵抗率を、上述したことと同じように測定した。加えて、結果として得られたペレットの、質量、厚さ、及び直径を測定して、その質量/体積比をバルクのシリコン(2.33g/cm)と比較することにより、サンプルの比重を測定した。結果は、錫のような等電子不純物を含むことは、焼結したナノワイヤの熱伝導率を、プロセス中における他の影響と独立して低減し得ることを示す、と解釈することができる。例えば、表2から、錫を含む上記サンプルの熱伝導率は、約5.5〜6W/m/Kであると測定されたことがわかる。当該熱伝導率は、上記第2の対照サンプルの熱伝導率(9.1〜13W/m/K)の約46〜60%であり、上記第1の対照サンプルの熱伝導率(7.5〜8W/m/K)の約73〜75%であった。したがって、錫を添加することは、他の類似のサンプルよりも顕著に低い熱伝導率を与えることがわかる。特定の理論に縛られることを望むものではないが、上記Sn不純物は、Siナノワイヤに基づいたペレットの焼結を妨げ得ると考えられる。

したがって、本明細書に記載するように、シリコンに比べて相対的に重い若しくは軽い原子(又はそれらの混合)のような等電子不純物を材料に導入することは、熱伝導率を低減するために適用し得る。少なくとも1種又は複数種の等電子不純物をSi材料中に導入することによって、電気的な構造を損なうことなく、熱伝導率をそのバルクの値から低減することができ、それによりシリコンを有望な熱電材料にする。上記熱電材料は、例えば、ナノリボン、ナノ結晶、ナノワイヤ、逆オパール、低次元シリコン材料(薄膜、ナノ構造化されたシリコン粉末、多孔質粒子、等)、粗シリコン材料、ウエハ、及び少なくとも部分的にバルク形態の焼結した構造として提供され得る。例えばIII族若しくはV族元素からの、電気的なP型ドーパント若しくはN型ドーパントを導入して、基材として用いるために(例えばN型若しくはP型のどちらかの熱電脚部として形成するために)、上記材料のゼーベック係数及び電気抵抗率をさらに向上若しくは最適化することもできる。
例えば、材料の熱伝導率を低減するために、比較的重い原子が、熱電材料に組み込まれ得る。特定の理論に縛られることを望むものではないが、比較的重い、比較的弱く結合された原子は、低効率な熱の輸送体であると考えられる。Si材料に導入された場合、そのような原子は、熱の輸送を妨げるフォノン散乱サイトとして働き得る。特定の理論に縛られることを望むものではないが、特定の量のある種の等電子要素は、ゼーベック係数及び電気伝導度への、比較的低い若しくは最小限の影響と共に、シリコンの熱伝導率を低減し得ると考えられる。IV族の同位元素を含む、任意の等電子原子の組み合わせを用いることができる。組み込むための特に単純な等電子要素は錫である。錫は、シリコン中で比較的高い固溶度を有し、シリコン中で比較的高い拡散度を有し、Siと似た結合構造を有し、そしてSiよりも4.3倍程度大きい。標準的な電気的ドーパント(P又はB)と組み合わせて、Sn不純物単体、又はGeのような他の等電子不純物との組み合わせは、シリコン系熱電材料の熱電性能指数ZTに、著しい向上を与えることができる。しかしながら、向上した熱電特性を有する材料を提供するために、C、Ge、Sn、及びPbの1種又は複数種の任意の好適な組み合わせが、シリコン中に含まれ得ることを理解するべきである。
別の実施形態によれば、熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記熱電材料は、図1B及び/又は図1Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。
一例では、上記熱電材料は、ゲルマニウム原子を含み、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記熱電材料は、図1Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。
別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されている。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含む。別の例では、上記熱電材料は、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなる。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
別の例では、ナノ結晶、ナノワイヤ、又はナノリボンは熱電材料を含み、当該熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記熱電材料は、図1B及び/又は図1Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。
別の実施形態によれば、熱電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、上記第1の電極及び上記第2の電極の間に配置された熱電材料とを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記素子は、図2A、図2B、及び/又は図2Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、図1B及び/又は図1Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。
別の例では、上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに含み、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記熱電材料は、図1Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。
別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン中のシリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されている。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含んでいる。別の例では、上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなる。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記素子は、互いに異なる温度の上記第1の電極及び第2の電極に基づいて、上記第1の電極と第2の電極との間に、上記熱電材料を通じて流れる電流が発生するように構成されている。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
さらに別の実施形態によれば、熱電材料の製造方法は、シリコンを準備することと、上記シリコンの内部に、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することとを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。別の例では、上記熱電材料は、図1B及び/又は図1Cを参照して上述されている。
別の例では、上記方法は、上記シリコンの内部に、ゲルマニウム原子を配置することを含み、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。別の例では、上記熱電材料は、図1Cを参照して上述されている。
さらに別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記方法は、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とを、独立して、シリコン原子と置換すること、又は、等電子不純物原子若しくはゲルマニウム原子を上記シリコンの格子間内に配置することを含む。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記方法は、上記シリコンの内部に、N型ドーパント又はP型ドーパントを配置することをさらに含む。別の例では、上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなる。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。さらに別の例では、上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、拡散炉内に上記シリコンを設置することと、上記拡散炉内にて、上記1種又は複数種の等電子不純物原子を上記シリコン中に拡散させることとを含む。さらに別の例では、上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、シリコンと上記1種又は複数種の等電子不純物原子との粉末混合物を得ることと、上記粉末混合物を焼結して、内部に配置された上記1種又は複数種の等電子不純物原子を有する上記シリコンを形成することとを含む。さらに別の例では、上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、シリコンと上記1種又は複数種の等電子不純物原子との融解物を得ることと、上記融解物を凝固させて、内部に配置された上記1種又は複数種の等電子不純物原子を有する上記シリコンを形成することとを含む。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
さらに別の実施形態によれば、熱電素子の製造方法は、熱電材料を準備することと、上記熱電材料を第1の電極と第2の電極との間に配置することとを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記素子は、図2A、図2B、及び/又は図2Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。別の例では、上記熱電材料は、図1B及び/又は図1Cを参照して上述されている。
別の例では、上記熱電材料は、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに含み、上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。別の例では、上記熱電材料は、図1Cを参照して上述されている。
さらに別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン中のシリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されている。別の例では、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定する。別の例では、上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに含む。別の例では、上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなる。別の例では、上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%である。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含む。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。さらに別の例では、上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいる。
さらに別の実施形態によれば、熱電素子の使用方法は、熱電材料を準備することと、互いに異なる温度の上記第1の電極及び第2の電極に基づいて、上記第1の電極と第2の電極との間に、上記熱電材料を通じて流れる電流を発生させることとを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記素子は、少なくとも図6に基づいて製造され、使用される。別の例では、上記素子は、図2A及び/又は図2Bを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。別の例では、上記熱電材料は、図1B及び/又は図1Cを参照して上述されている。
さらになお別の実施形態によれば、熱電素子の使用方法は、熱電材料を準備することと、上記第1の電極から第2の電極へと、上記熱電材料を通じ、電流に対応する熱を供給することとを含む。上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを含み、上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量である。一例では、上記素子は、少なくとも図6に基づいて製造され、使用される。別の例では、上記素子は、図2Cを参照して上述されている。別の例では、上記熱電材料は、少なくとも図7、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、及び/又は図9に基づいて製造される。別の例では、上記熱電材料は、図1B及び/又は図1Cを参照して上述されている。
本発明の特定の実施形態について説明を行ってきたが、当業者は、上記実施形態と等価な他の実施形態が存在することを理解するであろう。例えば、本発明の種々の実施形態および/または実施例を組み合わせることができる。したがって、本発明は、本明細書内で説明した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解すべきである。
従来技術のシリコンを示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコン及び等電子不純物を含む例示的なシリコン系熱電材料を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコン及び複数種の等電子不純物を含む例示的なシリコン系熱電材料を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む例示的な熱電素子を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む例示的な他の熱電素子を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む別の例示的な他の熱電素子を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料の熱伝導率に及ぼす例示的な影響を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料の電気伝導度に及ぼす例示的な影響を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、等電子不純物の濃度がシリコン系熱電材料のゼーベック係数に及ぼす例示的な影響を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料を含む熱電素子の例示的な製造方法及び使用方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと1種又は複数種の等電子不純物とを含有するシリコン系熱電材料の例示的な調製方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入する例示的な方法を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、1種又は複数種の等電子不純物をシリコン中に導入するために用いることができる例示的な装置を示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定した電気抵抗率ρ(μΩm)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定した熱伝導率k(W/mK)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料の測定したゼーベック係数S(μV/K)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。 本発明の特定の実施形態における、シリコンと、種々の量及び種類の等電子不純物と、P型ドーパントとを含有する例示的なシリコン系熱電材料における測定した熱伝導率kと電気抵抗率ρとの積kρの逆数1/kρ(K/WμΩ)を、当該材料中の錫の量の関数として示す略図である。



  1. シリコンと、
    上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを備え、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量であることを特徴とする熱電材料。

  2. 上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに備え、
    上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量であることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。

  3. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の熱電材料。

  4. 上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定することを特徴とする請求項3に記載の熱電材料。

  5. 上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の熱電材料。

  6. 実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなることを特徴とする請求項5に記載の熱電材料。

  7. 上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項2に記載の熱電材料。

  8. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。

  9. 請求項1に記載の熱電材料を含む、ナノ結晶、ナノワイヤ、又はナノリボン。

  10. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。

  11. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。

  12. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。

  13. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。

  14. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    上記第1の電極及び上記第2の電極の間に配置された熱電材料とを備える熱電変換素子において、
    上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを備え、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量であることを特徴とする熱電変換素子。

  15. 上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに備え、
    上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量であることを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  16. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されていることを特徴とする請求項15に記載の熱電変換素子。

  17. 上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定することを特徴とする請求項16に記載の熱電変換素子。

  18. 上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに備えていることを特徴とする請求項15に記載の熱電変換素子。

  19. 上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなることを特徴とする請求項18に記載の熱電変換素子。

  20. 上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項18に記載の熱電変換素子。

  21. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  22. 互いに異なる温度の上記第1の電極及び第2の電極に基づいて、上記第1の電極と第2の電極との間に、上記熱電材料を通じて流れる電流が発生するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  23. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含むことを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  24. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含むことを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  25. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  26. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  27. シリコンを準備することと、
    上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することとを含み、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子を、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量にて配置することを特徴とする熱電材料の製造方法。

  28. 上記シリコンの内部に、ゲルマニウム原子を配置することをさらに含み、
    上記ゲルマニウム原子を、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量にて配置することを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  29. 上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定することを特徴とする請求項28に記載の熱電材料の製造方法。

  30. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とを、独立して、シリコン原子と置換すること、又は、等電子不純物原子若しくはゲルマニウム原子を上記シリコンの格子間内に配置することを含むことを特徴とする請求項28に記載の熱電材料の製造方法。

  31. 上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定することを特徴とする請求項28に記載の熱電材料の製造方法。

  32. 上記シリコンの内部に、N型ドーパント又はP型ドーパントを配置することをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の熱電材料の製造方法。

  33. 上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなることを特徴とする請求項32に記載の熱電材料の製造方法。

  34. 上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項28に記載の熱電材料の製造方法。

  35. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  36. 上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、
    拡散炉内に上記シリコンを設置することと、
    上記拡散炉内にて、上記1種又は複数種の等電子不純物原子を上記シリコン中に拡散させることとを含むことを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  37. 上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、
    シリコンと上記1種又は複数種の等電子不純物原子との粉末混合物を得ることと、
    上記粉末混合物を焼結して、内部に配置された上記1種又は複数種の等電子不純物原子を有する上記シリコンを形成することとを含むことを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  38. 上記シリコンの内部に、1種又は複数種の等電子不純物原子を配置することが、
    シリコンと上記1種又は複数種の等電子不純物原子との融解物を得ることと、
    上記融解物を凝固させて、内部に配置された上記1種又は複数種の等電子不純物原子を有する上記シリコンを形成することとを含むことを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  39. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含むことを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  40. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含むことを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  41. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  42. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  43. 熱電材料を準備することと、
    上記熱電材料を第1の電極と第2の電極との間に配置することとを含み、
    上記熱電材料は、シリコンと、上記シリコンの内部に配置され、炭素、錫、及び鉛からなる群より選択された1種又は複数種の等電子不純物原子とを備え、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中における上記1種又は複数種の等電子不純物原子の飽和限界よりも少ない量であることを特徴とする熱電素子の製造方法。

  44. 上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置されたゲルマニウム原子をさらに備え、
    上記ゲルマニウム原子は、上記シリコン中を伝播する熱フォノンを散乱するのに十分な量であると共に、上記シリコン中におけるゲルマニウムの飽和限界よりも少ない量であることを特徴とする請求項43に記載の熱電素子の製造方法。

  45. 上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定することを特徴とする請求項44に記載の熱電素子の製造方法。

  46. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれと上記ゲルマニウム原子とは、独立して、シリコン原子を置換している、又は上記シリコンの格子間内に配置されていることを特徴とする請求項44に記載の熱電素子の製造方法。

  47. 上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、及び上記ゲルマニウム原子が、上記熱電材料における単相を規定することを特徴とする請求項44に記載の熱電素子の製造方法。

  48. 上記熱電材料が、上記シリコンの内部に配置された、N型ドーパント又はP型ドーパントをさらに備えていることを特徴とする請求項44に記載の熱電素子の製造方法。

  49. 上記熱電材料が、実質的に、上記シリコン、上記1種又は複数種の等電子不純物原子、上記ゲルマニウム原子、並びに、上記N型ドーパント又はP型ドーパントからなることを特徴とする請求項48に記載の熱電素子の製造方法。

  50. 上記ゲルマニウム原子の量が約0.001原子%から約2原子%であり、
    上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項44に記載の熱電素子の製造方法。

  51. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子のそれぞれの量が、約0.001原子%から約2原子%であることを特徴とする請求項43に記載の熱電素子の製造方法。

  52. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び炭素を含むことを特徴とする請求項43に記載の熱電素子の製造方法。

  53. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が、錫及び鉛を含むことを特徴とする請求項43に記載の熱電素子の製造方法。

  54. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項43に記載の熱電素子の製造方法。

  55. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が鉛を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項43に記載の熱電素子の製造方法。

  56. 請求項43に記載の熱電素子の製造方法を用いて熱電材料を準備することと、
    互いに異なる温度の上記第1の電極及び第2の電極に基づいて、上記第1の電極と第2の電極との間に、上記熱電材料を通じて流れる電流を発生させることとを含むことを特徴とする熱電素子の使用方法。

  57. 請求項43に記載の熱電素子の製造方法を用いて熱電材料を準備することと、
    上記第1の電極から第2の電極へと、上記熱電材料を通じ、電流に対応する熱を供給することとを含むことを特徴とする熱電素子の使用方法。

  58. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が錫を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。

  59. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項14に記載の熱電変換素子。

  60. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項27に記載の熱電材料の製造方法。

  61. 上記1種又は複数種の等電子不純物原子が炭素を含んでおり、上記熱電材料はさらにゲルマニウムを含んでいることを特徴とする請求項43に記載の熱電素子の製造方法。

 

 

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